JP2007176078A - 画像形成装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ミスト吐出方式を用い、高速かつ高画質の印字を実現できる画像形成装置及び方法を提供する。
【解決手段】本発明の一態様による画像形成装置は、インクが充填される液室と、該液室内のインクに振動エネルギーを与え、吐出口内のメニスカスからミストを発生させるミスト発生手段と、吐出されたミストを記録媒体へ移動させる電界を発生させる電界発生手段と、ミストから成るミスト・ドット同士の一部が重なり合うように2個のミスト・ドットを略同一の吐出条件で略同時に打滴した際に、ドット形状を所定形状に定着することが可能な最小のドット中心間距離を達成する許容重なり外径をd2とし、記録解像度で規定されるドット中心間ピッチをPtとするとき、Pt≧d2 となるように、ミスト発生手段の駆動条件又は記録解像度を設定する設定手段と、を備える。
【選択図】 図12
【解決手段】本発明の一態様による画像形成装置は、インクが充填される液室と、該液室内のインクに振動エネルギーを与え、吐出口内のメニスカスからミストを発生させるミスト発生手段と、吐出されたミストを記録媒体へ移動させる電界を発生させる電界発生手段と、ミストから成るミスト・ドット同士の一部が重なり合うように2個のミスト・ドットを略同一の吐出条件で略同時に打滴した際に、ドット形状を所定形状に定着することが可能な最小のドット中心間距離を達成する許容重なり外径をd2とし、記録解像度で規定されるドット中心間ピッチをPtとするとき、Pt≧d2 となるように、ミスト発生手段の駆動条件又は記録解像度を設定する設定手段と、を備える。
【選択図】 図12
Description
本発明は画像形成装置及び方法に係り、特に超音波を用いてミスト化されたインク微粒子の集合体(インクミスト)によって画像記録を行う画像形成装置及び方法に関する。
従来、超音波振動を利用してインクミスト(微小インク粒子)流を発生させ、このインクミストを群(クラスタ)で記録媒体上に付着させることによって画像記録を行うインクミスト方式の画像記録装置(インクミストプリンタ)が提案されている(特許文献1)。
特開平8−104004号公報
特許文献1には、効率的にインクのミスト化を行うために、振動源としての圧電基板の少なくとも電極配設位置をインク吐出口側に凹状の凹部形状とする構造が提案されている。しかしながら、かかるミスト噴射方式の記録ヘッドを用いて高速でドットを重ねて打滴すると、ドット間で着弾干渉が発生して、ドット形状が崩れたり混色したりして、高画質画像が得られないという問題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、高速かつ高画質の印字を実現できる画像形成装置及び方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、請求項1に係る画像形成装置は、インクが充填される液室と、前記液室に充填された液を吐出するための吐出口と、前記液室の内のインクに振動エネルギーを与え、前記吐出口内のメニスカスからミストを発生させるミスト発生手段と、前記吐出口から吐出された前記ミストを記録媒体へ移動させるための電界を発生させる電界発生手段と、前記ミストから成るミスト・ドット同士の一部が重なり合うように2個のミスト・ドットを略同一の吐出条件で略同時に打滴した際に、ドット形状を所定形状に定着することが可能な最小のドット中心間距離を達成する許容重なり外径をd2とし、記録解像度で規定されるドット中心間ピッチをPtとするとき、Pt≧d2 となるように、前記ミスト発生手段の駆動条件又は前記記録解像度を設定する設定手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、ミスト・ドットによる許容重なり外径d2 を把握し、この許容重なり外径d2 と、記録解像度によるドット中心間ピッチPt の関係がPt≧d2を満たすように、駆動条件や記録解像度が設定され、その設定にしたがってミスト発生手段の駆動(すなわち、ミスト噴射による打滴)が制御される。
入力された画像データに基づいてミスト発生手段(振動発生手段)の駆動が制御され、吐出口から帯電ミスト(インクのミスト粒子)が吐出される。吐出された帯電ミストのクラスタは電界の静電力によって記録媒体に向けて加速され、記録媒体上に着弾する。こうして記録媒体上に付着したミストクラスタによってドットが形成される。画像データに応じて液滴の吐出タイミングや吐出量を制御することにより、記録媒体上に所望の画像(ドット配置)を記録することができる。本発明の画像形成装置によれば、着弾干渉の発生を防止することができ、ドット定着時間の制約を受けることなく、高速かつ高画質の画像形成を実現できる。
ミスト・ドットの許容重なり外径d2 は、ミスト密度(1ドット内におけるミスト粒子の数)に依存するが、ミスト密度が高い程、許容重なり外径は大きくなる傾向にあるため、ミスト密度を変えて打滴することが可能な装置(システム)構成の場合には、最大ミスト密度の吐出条件で打滴されたミスト・ドットについての許容重なり外径d2 を用いてPt≧d2の関係を満たすように設定すれば、それより低いミスト密度の吐出条件については、高速に略同時に連続打滴しても着弾干渉が発生しない。
高速で高解像度の画像出力を実現するためには、液滴を吐出する吐出口と、該吐出口に対応した液室及びミスト発生手段とを含んで構成される液滴吐出素子(記録素子単位となる液室ユニット)を、記録媒体の搬送方向と直交する主走査方向に並ぶよう投影したときの吐出口ピッチを高密度に複数配列させたミスト吐出ヘッドを用いる態様が好ましい。
ミスト吐出ヘッドの構成例として、記録媒体の全幅に対応する長さにわたって複数の吐出口(ノズル)を配列させたノズル列を有するフルライン型のミスト吐出ヘッドを用いることができる。
この場合、記録媒体の全幅に対応する長さに満たないノズル列を有する比較的短尺の吐出ヘッドモジュールを複数個組み合わせ、これらを繋ぎ合わせることで全体として記録媒体の全幅に対応する長さのノズル列を構成する態様がある。
フルライン型のミスト吐出ヘッドは、通常、記録媒体の相対的な送り方向(相対的搬送方向)と直交する方向に沿って配置されるが、搬送方向と直交する方向に対して、ある所定の角度を持たせた斜め方向に沿ってミスト吐出ヘッドを配置する態様もあり得る。
カラー画像を形成する場合は、複数色のインクの色別にフルライン型のヘッドを配置してもよいし、1つのヘッドから複数色のインクを吐出可能な構成としてもよい。
「記録媒体」は、吐出口から吐出される液の付着を受ける媒体であり、画像形成装置においては、記録紙等の媒体がこれに相当する。すなわち、「記録媒体」は、印字媒体、被画像形成媒体、被記録媒体、受像媒体など呼ばれ得るものであり、連続用紙、カット紙、シール用紙、OHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、配線パターン等が形成されるプリント基板、中間転写媒体、その他材質や形状を問わず、様々な媒体を含む。
記録媒体とミスト吐出ヘッドを相対的に移動させる搬送手段は、停止した(固定された)ヘッドに対して記録媒体を搬送する態様、停止した記録媒体に対してヘッドを移動させる態様、或いは、ヘッドと記録媒体の両方を移動させる態様の何れをも含む。
また、本発明は、上記のフルライン型のヘッドに限らず、シャトルスキャン方式など、記録媒体のページ幅に満たない長さの記録ヘッドを複数回走査させて記録を行う方式についても適用可能である。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の画像形成装置の一態様であり、記録媒体及びインクのうち少なくとも一方の種類が異なる複数の組合せについてそれぞれ前記許容重なり外径d2 の情報を記憶する記憶手段と、使用される記録媒体及びインクの種類の組合せを特定する情報を取得する情報取得手段と、を備え、前記情報取得手段で取得した情報に基づき前記記憶手段から該当する組合せに対応する許容重なり外径d2 の情報が読み出されることを特徴とする。
ミスト・ドットの許容重なり外径d2 は、使用される記録媒体とインクの組合せにも依存する。記録媒体及びインクのうち少なくとも一方について複数の種類を選択的に使用し得る構成の場合、使用される可能性のある組合せについてそれぞれ上記の許容重なり外径d2 の情報をメモリ等の記憶手段に記憶しておき、実際に使用される記録媒体とインクの組合せを特定することで、該当する情報を読み出して活用する態様が好ましい。
かかる態様により、記録媒体やインクの種類が変わっても、高速かつ高画質の画像形成が可能な印字条件を設定することが可能になる。
「情報取得手段」は、例えば、記記録媒体の種類を特定する手段(記録媒体種特定手段)及びインクの種類を特定する手段(インク種特定手段)のち少なくとも一方を含む。記録媒体とインクの両方について種類を変更し得る場合においては、記録媒体種特定手段とインク種特定手段の両方を具備する態様が好ましい。記録媒体種のみを変更可能とし、インク種を変更しない場合は、実質的にインク種特定手段が不要なため、記録媒体種特定手段のみを具備すればよい。また、記録媒体種を変更せず、インク種のみについて変更可能な場合は、実質的に記録媒体種特定手段が不要なため、記録媒体特定手段のみを具備すればよい。
記録媒体種特定手段には、例えば、記録媒体の反射率を測定する手段、使用される記録媒体の種類を供給マガジンのID等から読み取る手段などが含まれる。また、記録媒体種特定手段は、センサや情報読取手段などによって自動的に情報を取得する形態のものに限らず、記録媒体の紙種等の情報をユーザが所定の入力装置(ユーザインターフェース)等を操作して入力する構成も可能である。
同様に、インク種特定手段には、例えば、インク液の物性(電気抵抗や反射率など)を測定する手段、インクタンクのID等からインク種情報を読み取る手段などが含まれる。また、インク種特定手段は、センサや情報読取手段などによって自動的に情報を取得する形態のものに限らず、インクの液種等の情報をユーザが所定の入力装置(ユーザインターフェース)等を操作して入力する構成も可能である。
請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の画像形成装置の一態様であり、前記設定手段は、指定された前記記録解像度に応じて前記ミスト発生手段の駆動条件を設定することを特徴とする。
記録解像度を優先して、ミスト発生手段の駆動条件(すなわち、ミスト密度の条件等)を設定することにより、高解像度の画像を高速に印字することが可能となる。
請求項4に係る発明は、請求項1又は2記載の画像形成装置の一態様であり、前記設定手段は、予め設定された1ドット当たりの投入バースト数に応じて、前記記録解像度を設定することを特徴とする。
請求項4の態様によれば、高濃度画像領域の画像品質を重視した画像を高画質で印字することが可能である。
請求項5に係る発明は、前記目的を達成する方法発明を提供する。すなわち、請求項5に係る発明は、液室に充填されたインクに振動エネルギーを与えることで吐出口内のメニスカスからミストを発生させ、電界を利用して前記ミストを記録媒体に付着させることで前記記録媒体上に画像を形成する画像形成方法において、前記ミストから成るミスト・ドット同士の一部が重なり合うように2個のミスト・ドットを略同一の吐出条件で略同時に打滴した際に、ドット形状を所定形状に定着することが可能な最小のドット中心間距離を達成する許容重なり外径をd2 、記録解像度で規定されるドット中心間ピッチをPtとするとき、Pt≧d2 となるように、前記振動エネルギーの付与に必要なミスト発生手段の駆動条件又は前記記録解像度を設定することを特徴とする。
本発明によれば、ミスト・ドットの許容重なり外径d2 に着目して、着弾干渉を抑制し得る打滴条件を実現したことにより、ドットの定着時間の制約を受けることなく、高速、高画質の印字が可能である。
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔吐出ヘッドの構造例〕
図1は本発明の実施形態に係る画像形成装置に適用されるミスト噴射装置(吐出ヘッド)の基本構成を示す断面図である。図示のミスト噴射装置10において、符号12はインクミストの吐出口となるノズル、14はインク室、16はインク供給口、18はインク室14へ供給するインクを収容する共通流路、20は絶縁性の樹脂フイルム、22は圧電素子(「ミスト発生手段」に相当)である。同図では、1つのノズル12に対応したインク室ユニット(1チャンネル分の液滴吐出素子)の断面図を示したが、プリントヘッド(「印字ヘッド」、或いは「記録ヘッド」ともいう)などのミスト吐出ヘッドに適用される場合は、複数のチャンネルが1次元(列状)又は2次元(面状)に配列された構造となる。
図1は本発明の実施形態に係る画像形成装置に適用されるミスト噴射装置(吐出ヘッド)の基本構成を示す断面図である。図示のミスト噴射装置10において、符号12はインクミストの吐出口となるノズル、14はインク室、16はインク供給口、18はインク室14へ供給するインクを収容する共通流路、20は絶縁性の樹脂フイルム、22は圧電素子(「ミスト発生手段」に相当)である。同図では、1つのノズル12に対応したインク室ユニット(1チャンネル分の液滴吐出素子)の断面図を示したが、プリントヘッド(「印字ヘッド」、或いは「記録ヘッド」ともいう)などのミスト吐出ヘッドに適用される場合は、複数のチャンネルが1次元(列状)又は2次元(面状)に配列された構造となる。
ノズル12が形成されたノズルプレート24は、金属などの導電材料で構成されており、インク液を帯電させる帯電用電極(第1の電極部に相当)及び帯電ミストを集束しつつ加速する集束兼加速用電極(第2の電極部に相当)として機能する。
ノズル12は、ノズルプレート24のインク室14側の面(図1において下面)からインク吐出方向(図1の上方向)に向かって断面積(内口径)が次第に減少するテーパ形状(先細り形状)を有している。また、ノズルプレート24のインク吐出側の面(インク室14と反対側の面、図1において上側の面)には、インク吐出方向に向かって断面積(内口径)が次第に増加する逆テーパ形状の凹部25がノズル12(吐出口)の外側周囲に形成されている。
図1のノズルプレート24において、インクと接するノズル12の内周面12Aとその近傍部分が帯電用電極(第1の電極部)として機能する部分であり、ノズル12の吐出開口よりも外側に形成された逆テーパ形状の凹部25の内周面(符号25A)と該凹部25の外側周囲(図1中符号24Aで示した平坦面領域)とから成る非平面形状(凹凸面形状)の電極面が集束兼加速用電極(第2の電極部)として機能する部分である。
以下、説明の便宜上、この凹部25内周面を「集束用凹部電極面25A」という。
集束用凹部電極面25Aの逆テーパ角度θは(ただし、θは図示のように片側の斜面への開き角度とする。)、集束加速電界の電気力線がノズル12内へ引き込まれないようにする観点から60度以上であること(θ≧60deg)が好ましい。
また、ノズルプレート24の集束用凹部電極面25Aよりも外側周囲の平坦面領域(符号24Aで示した水平面の領域)は、集束用凹部電極面25Aとの形状差によってミスト集束に適した電界を形成するために必要な電気力線の生成に寄与する電極部であり、以下、この平坦面領域を「集束用凸部電極面24A」という。すなわち、本実施形態の場合、集束用凹部電極面25Aと集束用凸部電極面24Aとを含んだ電極面が「第2の電極部」に相当している。
インク室14の内周面は放物面形状を成し、当該放物面14Aの焦点位置Fにノズル12のインク室14側開口径の中心が位置するようにインク室形成プレート30とノズルプレート24とが接合されている。この放物面14Aは圧電素子22が発生する超音波を反射する反射板となるため、高反射率の観点からインク室形成プレート30に金属材料を用いることが好ましい。
樹脂フイルム20は、インク室形成プレート30を挟んでノズルプレート24と反対側に配置されており、インク室14の一部の面(図1において底面)を封止する構成でインク室形成プレート30に接合されている。共通流路18からインク供給口16を通じて導入されたインクは、放物面14Aと樹脂フイルム20面及びノズルプレート24により囲まれた空間(インク室14)に充填される。
樹脂フイルム20のインク室14と反対側の面(図1において下側の面)には、振動子として機能する圧電素子22が接合されている。図2に圧電素子22の平面図(図1中の矢印2A方向から見た図)を示す。図2に示したように、圧電素子22は、放物面14Aの上流側開口14Bを覆う大きさの面積を有する。同図では、放物面14Aの上流側開口14Bよりも大きな面積を有する略正方形状の圧電素子22を例示したが、圧電素子22の平面形状は、正方形に限定されず、長方形、菱形などに代表される四角形、六角形、八角形、その他の多角形、或いは円、楕円など、多様な形態があり得る。なお、図2において符号14Cで示した破線円は、放物面14Aの下流側開口(ノズルプレート24に接する開口の縁)である(図1参照)。
図1に示したとおり、圧電素子22は、圧電体22Aを挟んでその両面に電極22B,22Cが形成された構造を有する。図1の例では、樹脂フイルム20に接合される側の電極22Bが共通電極であり、他方の電極22Cが独立した駆動電極(以下、「個別電極」という。)となっている。
かかる構成において、圧電素子22の個別電極22Cに高周波の駆動信号(駆動電圧)を印加することによって圧電素子22を振動させ、超音波を発生させる。樹脂フイルム20はその柔軟性によって圧電素子22とともに振動し、樹脂フイルム20を介してインク中に超音波が放射される。
圧電素子22からインク中に放射された超音波は、インクを媒質としてインク室14内を伝播し、放物面14Aでの反射によって焦点位置F付近(ノズル12の中央部付近)に集束する。図1では、超音波の振動数を持った圧力波の波面の進行方向を破線によって模式的に示している。この集束された超音波のエネルギーによってノズル12部の液面(メニスカス)に周波数固有のキャピラリ波(毛細表面波,capillary wave)が発生し、微細な表面波の波頭部からインク微粒子が分離することにより、ノズル12からミスト状の微粒子群(ミストクラスタ)が噴射される。
記録紙に代表される記録媒体(被吐出媒体)32は、ノズルプレート24のインク吐出面(図1では集束用凸部電極面24Aの平面)から一定の距離を保って搬送される。記録媒体32の裏面側(インク粒子が付着する記録面の反対側)には、平板状の背面電極34が配設されており、記録媒体32は背面電極34に保持(支持)される。背面電極34とノズルプレート24(ノズル電極)の間に直流電圧を印加することにより、ノズル部のインク液をプラスに帯電させるとともに、電極間に電界(ミスト集束効果のある加速電界)を発生させ、ノズル12から噴射された帯電ミストを静電力によって集束しつつ加速して記録媒体32上に付着させる。
図3はノズル部分を模式的に描いた拡大図である。接地された背面電極34は、ノズルプレート24と平行に配置され、ノズルプレート24によって構成されるノズル電極の対向電極として機能する。図示のように、ノズル電極(ノズルプレート24)には帯電兼加速用電源36の正極が接続され、所定の直流電圧が印加される。この電圧印加状態で圧電素子22(図1参照)を駆動することにより、図3に示したように、ノズル12部の液面40に電荷が誘起され、液面40からプラスに帯電したインク微粒子42のクラスタ(帯電ミスト)が噴射される。
また、ノズル電極(ノズルプレート24)及び背面電極34の電極間には帯電したインク微粒子42のクラスタを記録媒体32に向けて集束させつつ加速する電界が形成される。なお、電極間に図示した実線矢印は、各領域の電気力線を模式的に示している。
ノズル12の開口部の外側周囲に逆テーパ形状の集束用凹部電極面25Aを形成したことにより、図中のAで示した領域(ノズル12の開口部の位置に対応した電界領域)の空間電位は、図中のBで示した領域(集束用凸部電極面24Aの位置に対応した電界領域)の空間電位よりも小さくなっている。かかる空間電位差及びそれによる不均一電界によってインク微粒子42の帯電ミストは、ノズル12の中心軸CLnと記録媒体32の交点位置Px(図3におけるノズル12穴の直上位置)に向かって集束される。
これにより、記録媒体32上に記録されるドットのドット径の広がりを抑制することができ、高精細な画像記録が可能となる。
なお、ノズルプレート24の厚さh0に対するノズル長h1及び凹部25の深さh2、ノズル12の内周面12Aのテーパ角θNZ、ノズル径φ(Nz)(ノズル12の最狭窄部の直径)などの具体的な数値については、背面電極34までの距離、印加電圧、記録密度などの各種設計条件との関係から適切な値に設計される。
また、帯電兼加速用電源36として印加電圧を制御可能な電源(例えば、マルチ出力電源)を用い、ノズル電極(ノズルプレート24)に印加する電圧値を切り替えることにより、帯電機能(帯電電圧印加時)と加速機能(加速電圧印加時)とを時間的に分離する態様も可能である。
〔着弾ドットのミスト分布について〕
図4にヘッド駆動信号の例を示す(参考文献:Journal of imaging science and technology vol44 no5 sep./oct. 2000)。同図において(a)は高周波の基本信号(Basic signal)を示し、(b)は圧電素子に印加されるバースト信号(Burst signal)を表す。また、(c)はドット濃度を制御するためのドット濃度制御信号(Density control signal)を示す。
図4にヘッド駆動信号の例を示す(参考文献:Journal of imaging science and technology vol44 no5 sep./oct. 2000)。同図において(a)は高周波の基本信号(Basic signal)を示し、(b)は圧電素子に印加されるバースト信号(Burst signal)を表す。また、(c)はドット濃度を制御するためのドット濃度制御信号(Density control signal)を示す。
(a)に示した基本信号の周波数f0=1/T0は、圧電素子の共振周波数(base周期)と一致するように設定される。本例の場合、10MHzを用いる。(b)に示したバースト信号は、高周波の基本信号を波数nの間だけ周期的にオンさせるものである。バースト周波数fb=1/Tbは、メニスカス振動の固有値とマッチングさせ、メニスカスの不規則な振動を抑制するように設定される。
バースト信号の1バースト間(nT0の期間)に噴射されるインク量は、1ドットのフル(最大)階調濃度を得るには不足であるため、複数回のバーストで噴射されるインクミストを重ねて1ドットが形成される。すなわち、本例でいう1ドットとは、1回の吐出(周期Td単位でのバースト)で記録媒体上に打滴される複数のミストから成る略円形の記録点(画素)を意味する。
(c)に示したように、1ドットを記録する周期Tdは、フル階調濃度の記録に必要なインク量を確保できるバースト数が入る時間以上に設定される。1ドット周期(Td)内のバースト回数を変化させることにより、ドット毎の濃度を制御することができる。すなわち、1ドットの濃度は1ドットあたりバーストを何発打ち込むかで決まる。
図5は、バースト数を変えて記録されるドットの概念図である。Aはバースト数=2、Bはバースト数=4、Cはバースト数=6とした場合のドットの例を示す。図示のように、ドットはインク微粒子42の集合(2次元的な分布)により形成され、1ドット内におけるミスト(インク微粒子42)の数は、1ドット相当の打滴周期(1ドット周期Td)あたりに投入するバースト数で制御される。
1ドットの最外径d1及びドットの実質的な外径d2(後述する許容重なり外径に相当)は、図1で説明した吐出ヘッドの寸法ディメンジョンと吐出液体の物性値(主として、粘度と表面張力)と、圧電素子22への投入エネルギー等で決定される。
〔着弾干渉の考察とその防止手段について〕
着弾干渉は、記録媒体上に重なるように隣接して着弾した2つの液滴同士が記録媒体の表面上で、定着する前に合体することでドット形状の崩れ、または他色間インクの混色等が発生し、所望の画像が得られなくなる現象を言う。
着弾干渉は、記録媒体上に重なるように隣接して着弾した2つの液滴同士が記録媒体の表面上で、定着する前に合体することでドット形状の崩れ、または他色間インクの混色等が発生し、所望の画像が得られなくなる現象を言う。
1ドット内に複数のミスト粒子で吐出する微液滴打滴の場合、特にミスト粒子の密度が全体的に大きくなると、着弾した液滴を観察すると中央部分の密度が高く、周囲部分は比較的密度が低くなることが実験により判明した。さらに、ミスト粒子の密度が全体的に高くなる程、中央部分の密度の高い領域がドット全体の外径に対して占める割合が大きくなる傾向を示すことも確認できた(図5のA〜C参照)。
以下便宜上、図5のAを「低密度ミスト・ドット」、Bを「中密度ミスト・ドット」、Cを「高密度ミスト・ドット」と呼ぶことにする。
図6は高密度ミスト・ドット(図5のC)の拡大図である。図6に示すようなミスト・ドットに関して注目して、以下のようなドット形状保存性評価実験を行った。
ミスト・ドットの最外径d1の内部に外径d3の「仮想外径」を想定する。この仮想外径d3 を段階的に変更して、各段階ごとに仮想外径d3 同士が接触するようなミスト・ドットの重なり条件で、2個のミスト・ドットを同一の吐出条件で同時打滴する。
ここでいう「同一の吐出条件」とは、1ドットの吐出に含まれるミスト密度(ミスト数)を制御するための投入バースト数を同一にすることを意味する。
図7は、仮想外径を段階的に変更して、仮想外径が接する条件で2個のミスト・ドットを同時打滴した様子を示す模式図である。図7において、点線で示した円が最外径d1を示し、その内側の実線円が仮想外径を示している。
各段階でのドット形状保存性評価結果を図8の表に示す。図8の実験例では仮想外径比率d3/d1=0.6にてドット形状保存性が良好となること(画質への影響なし)が確認できたので、このときの仮想外径d3を「許容重なり外径d2」と定義する。
ドット形状の保存性は、2個のミスト・ドットのドット形状を所定形状に定着することが可能か否かで評価する。ここでいう「所定形状」の意義について、同一色による2ドット間の着弾干渉の観点から説明する。
図9の(a)は2個のミスト・ドットが長時間の打滴インターバルで打滴されたときのドットの輪郭形状を示しており、(b)は2個のミスト・ドットが略同時の打滴インターバルで打滴されたときのドットの輪郭形状を示している。
第1のドットが十分定着するまで長時間の打滴インターバルで第2のドットを打滴すると図9(a)のようになり、ドットの輪郭形状は略円弧同士の合成になる。その一方、略同時に第1のドットと第2のドットを打滴すると、図9(b)のように第1のドットと第2のドットとの重なり部分の輪郭形状が崩れて、理想の輪郭形状(点線線表示)に対して変形する。
図9(b)に示したように、ドットの重なり部分で実線(実際の輪郭線)と点線(理想の輪郭線)が最も離れた部分の距離をδLとするとき、このδLと、単一のミスト・ドットのドット径Dとの比率δL/Dが0.1を上回らないような形状を「所定形状」と定義する。
図8の実験例と同様に、中密度ミスト・ドット同士の同時打滴に関しても同様のドット保存性評価を行った。図10にその評価結果の表を示す。
図10の実験例では仮想外径比率d3/d1=0.4にてドット形状保存性が良好となること(画質への影響なし)が確認できたので、このときの仮想外径d3を「許容重なり外径d2」と定義する。に示す。
一般に、高密度ミスト・ドット同士における許容重なり外径d2Hと、中密度ミスト・ドット同士における許容重なり外径d2M、低密度ミスト・ドット同士における許容重なり外径d2Lに関しては、次式
d2L<d2M<d2H …[式1]
なる関係が成立することが判った。
d2L<d2M<d2H …[式1]
なる関係が成立することが判った。
上述のように、許容重なり外径d2同士が接する条件のミスト・ドット重なり度で打滴することにより、略同時打滴を行ってもドット形状保存性を確保できるので、着弾干渉による画像劣化を防止することが可能となる。なお、ここでいう「略同時」とは、約100μs以下の打滴インターバル時間の範囲を意味している。
[式1]より、ミスト・ドットの密度が低い程、ミスト・ドットの重なり度合いを大きい条件で打滴することが可能となる。
図11にミスト・ドットの重なり度合いを模式的に示した。(a)は低密度ミスト・ドットの場合、(b)は中密度ミスト・ドットの場合、(c)は高密度ミスト・ドットの場合を示している。高密度ミスト・ドット(図11(c))の場合、許容重なり外径d2Hは大きいので、最外径のドット同士の重なり度合いは小さくなる。その一方、低密度ミスト・ドット(図11(a))の場合、許容重なり外径d2Lは小さいので最外径のドット同士の重なり度合いは大きくすることが可能である。
ミスト方式ではない、いわゆるコンベンショナルな1液滴(サテライトで尾引きする場合を含む)にて打滴するインクジェット方式では、着弾干渉が顕著に発生するが、ミスト打滴の場合、外径がd2〜d1の外側領域は、ミストの着弾密度が比較的小さいので画質に影響するような着弾干渉が発生しないことを実験により明らかにした。
したがって、外径d2以内の内周領域同士を重ねて連続打滴する場合は、先に着弾したドットの外径d2以内の領域が定着終了してから、後のドットを打滴しないと着弾干渉が発生してしまうが、隣接ドット間で外径d2以下の領域が重ならないように打滴することで、高速に打滴しても着弾干渉による画像劣化を極めて低く抑制可能なことが判明した。
図12(a)に示すような最外径d1、許容重なり外径d2のミスト・ドットを連続打滴する際に、(b)に示すように、隣接ドット間の間隔(ドット中心間ピッチ)をPtとするとき、次式[式2]
Pt≧d2 …[式2]
となるように(隣接ドット間の許容重なり外径d2以下の領域が重ならないように)設定することで、ドットの定着時間の制約を受けることなく、高速(略同時打滴)で印字しても画質劣化の要因となるような着弾干渉を防止することが可能となる。
Pt≧d2 …[式2]
となるように(隣接ドット間の許容重なり外径d2以下の領域が重ならないように)設定することで、ドットの定着時間の制約を受けることなく、高速(略同時打滴)で印字しても画質劣化の要因となるような着弾干渉を防止することが可能となる。
上記の[式2]を満足させる方法としては、以下の2とおりの設定方法がある。
(設定方法1):記録解像度(ドット中心間ピッチ)を優先して設定する場合
例えば、プリンタの仕様として2400dpiを設定した場合、Pt=10.6μmとなるので、d2≦10.6μmとなるように1ドット当たりの投入バースト数を制御する。
例えば、プリンタの仕様として2400dpiを設定した場合、Pt=10.6μmとなるので、d2≦10.6μmとなるように1ドット当たりの投入バースト数を制御する。
(設定方法2):1ドット当たりの最大濃度を優先して設定する場合
例えば、1ドット当たりの最大濃度を確保するために、d1=25μm、d2=21.2μmが必要となった場合、Pt≧21.2μmとなり、出力解像度を1200dpiに設定する。
例えば、1ドット当たりの最大濃度を確保するために、d1=25μm、d2=21.2μmが必要となった場合、Pt≧21.2μmとなり、出力解像度を1200dpiに設定する。
図13に制御系の工程フロー図を示す。
まず、予め実験により、高密度、中密度、低密度の各ミスト・ドットの吐出条件にて、許容重なり外径d2を求め、その情報をメモリ等の記憶部に保存する(ステップS10)。このとき、使用されるインクや記録媒体の種類の異なる複数の組合せについて、それぞれ上記の許容重なり外径d2を求め、複数の組合せに対応したd2 のデータを記憶する。
次に、記録解像度を優先するモードか、1ドット当たりの最大濃度を優先するモードかのモード選択に応じて処理が分岐する。記録解像度を優先する場合、ステップS12に進み、記録解像度の条件の入力を受け付ける。記録解像度の設定は、上述したドット中心間ピッチPtを設定することに相当している。記録解像度の条件入力を行う手段は、特に限定されず、オペレータが操作画面により、出力記録解像度の設定を入力する態様などがある。 例えば、高解像度=2400dpi、中解像度=1200dpi、低解像度=600dpiの3種類の解像度が用意されており、オペレータがいずれかの出力記録解像度を選択(指定)できるように構成される。或いはまた、所望の出力記録解像度の数値(dpi値)を入力するように構成されてもよい。
ステップS12で記録解像度の条件入力後は、ステップS14に進み、許容重なり外径d2 のデータを参照して、最大高密度ミスト・ドットの駆動条件を設定する。その後、当該設定に従って印字が実行される(ステップS20)。
その一方、1ドット当たりの最大濃度を優先する場合は、ステップS10の後にステップS16に進み、高濃度領域画像重視印字モードの設定を行う。モード設定の手段は、特に限定されず、オペレータが操作画面により、高濃度領域画像重視印字モードを選択する態様などがある。オペレータによって、高濃度領域画像重視印字モードの選択操作が行われると、その条件に応じた最大高密度ミスト・ドットの吐出駆動条件時の許容重なり外径d2 が演算される。この演算結果から、ドット中心間ピッチPt が求められ、出力記録解像度の条件が決定される(ステップS18)。その後、当該設定に従って印字が実行される(ステップS20)。
〔画像形成装置の構成例〕
次に、上述したミスト噴射装置をプリントヘッドに適用した画像形成装置の例について説明する。
次に、上述したミスト噴射装置をプリントヘッドに適用した画像形成装置の例について説明する。
図14は、本発明に係る画像処理装置の一実施形態を示すインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示すように、このインクジェット記録装置110は、黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各インクに対応して設けられた複数のミスト吐出ヘッド(以下、「ヘッド」という)112K,112C,112M,112Yを有する印字部112と、各ヘッド112K,112C,112M,112Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部114と、記録媒体たる記録紙116を供給する給紙部118と、記録紙116のカールを除去するデカール処理部120と、前記印字部112のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙116の平面性を保持しながら記録紙116を搬送するベルト搬送部122と、印字部112による印字結果を読み取る印字検出部124と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部126とを備えている。
インク貯蔵/装填部114は、各ヘッド112K,112C,112M,112Yに対応する色のインクを貯蔵するインクタンクを有し、各タンクは所要の管路を介してヘッド112K,112C,112M,112Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部114は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
図14では、給紙部118の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
複数種類の記録媒体(メディア)を利用可能な構成にした場合、メディアの種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される記録媒体の種類(メディア種)を自動的に判別し、メディア種に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部118から送り出される記録紙116はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部120においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム130で記録紙116に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図14のように、裁断用のカッター(第1のカッター)128が設けられており、該カッター128によってロール紙は所望のサイズにカットされる。なお、カット紙を使用する場合には、カッター128は不要である。
デカール処理後、カットされた記録紙116は、搬送用ローラ対131によってニップ搬送され、プラテン132上へと送られる。プラテン132の後段(印字部112の下流側)にも搬送用ローラ対133が配置されており、前段の搬送用ローラ対131と後段の搬送用ローラ対133とが連動して記録紙116を所定の速度で搬送する。
プラテン132は記録紙116の平面性を保ちつつ記録紙116を保持(支持)する部材(記録媒体の保持手段)として機能するとともに、図1等で説明した背面電極34として機能する部材である。図14におけるプラテン132は記録紙116の幅よりも広い幅寸法を有し、少なくとも印字部112のノズル面及び印字検出部124のセンサ面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
記録紙116の搬送経路において、印字部112の上流側には、加熱ファン140が設けられている。加熱ファン140は、印字前の記録紙116に加熱空気を吹き付け、記録紙116を加熱する。印字直前に記録紙116を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部112の各ヘッド112K,112C,112M,112Yは、当該インクジェット記録装置110が対象とする記録紙116の最大紙幅に対応する長さを有し、そのノズル面には最大サイズの記録紙の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている(図15参照)。
ヘッド112K,112C,112M,112Yは、記録紙116の送り方向に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色順に配置され、それぞれのヘッド112K,112C,112M,112Yが記録紙116の搬送方向と略直交する方向に沿って延在するように固定設置される。
ベルト搬送部122により記録紙116を搬送しつつ各ヘッド112K,112C,112M,112Yからそれぞれ異色のインクを吐出することにより記録紙116上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッド112K,112C,112M,112Yを色別に設ける構成によれば、紙送り方向(副走査方向)について記録紙116と印字部112を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(すなわち1回の副走査で)、記録紙116の全面に画像を記録することができる。これにより、記録ヘッドが紙搬送方向と直交する方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組合せについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するヘッドを追加する構成も可能である。また、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
図14に示した印字検出部124は、印字部112の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ又はエリアセンサ)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりや着弾位置ずれなどの吐出不良をチェックする手段として機能する。各色のヘッド112K,112C,112M,112Yにより印字されたテストパターン又は実技画像が印字検出部124により読み取られ、各ヘッドの吐出判定が行われる。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定などで構成される。
印字検出部124の後段には後乾燥部142が設けられている。後乾燥部142は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
多孔質のペーパーに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパーの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部142の後段には、加熱・加圧部144が設けられている。加熱・加圧部144は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ145で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
こうして生成されたプリント物は排紙部126から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置110では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部126A、126Bへと送るために排紙経路を切り換える不図示の選別手段が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)148によってテスト印字の部分を切り離す。また、図14には示さないが、本画像の排出部126Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
〔ヘッドの構造〕
次に、ヘッドの構造について説明する。色別の各ヘッド112K,112C,112M,112Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号150によってヘッドを示すものとする。
次に、ヘッドの構造について説明する。色別の各ヘッド112K,112C,112M,112Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号150によってヘッドを示すものとする。
図16はヘッド150の内部構造を示す平面透視図である。記録紙116上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド150におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド150は、図16に示したように、インクの吐出口であるノズル151と、各ノズル151に対応するインク室152等からなる複数のインク室ユニット(液滴吐出素子)153を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。なお、図16では、作図便宜上、チャンネル数(インク室ユニット153の数)を省略して描いてある。
各チャンネルのインク室152は個別供給路154を介して共通流路155に連通している。共通流路155は、接続口155A,155Bを介してインク供給源たるインクタンク(図16中不図示、図14で説明したインク貯蔵/装填部114と等価なもの)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは、図16の共通流路155を介して各チャンネルのインク室152に分配供給される。なお、図16中の符号155Cは共通流路155の本流、155Dは本流155Cから分岐された支流である。
図16に示したヘッド150の構成と、図1で説明した構成との対応関係を説明すると、図16におけるノズル151、インク室152及び個別供給路154が図1で説明したノズル12、インク室14及びインク供給口16にそれぞれ相当している。また、図16において符号155Dで示した共通流路の支流が図1で説明した共通流路18に相当している。
図16における各インク室ユニット153の詳細な構造は図1で説明したとおりである。なお、図1及び図2では、圧電素子22を構成する圧電体22Aと個別電極22Cとが素子単位で個別に分離された構造を示したが、圧電体層を素子単位で分離せずに一体(一枚)とし、個別電極を分離させる(素子単位でパターニングする)ことによって、各個別電極範囲の圧電体を活性部とする複数の圧電素子を形成する構造も可能である。
図17は、図16に示したヘッド150におけるインク室ユニット153の配列構造の拡大図である。図17に示したように、多数のインク室ユニット153を主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度αを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
すなわち、主走査方向に対してある角度αの方向に沿ってインク室ユニット153を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosαとなり、主走査方向については、各ノズル151が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
なお、印字可能幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、用紙の幅方向(用紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
特に、図17に示すようなマトリクス状に配置されたノズル151を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。すなわち、ノズル151-11 、151-12 、151-13 、151-14 、151-15 、151-16 を1つのブロックとし(他にはノズル151-21 、…、151-26 を1つのブロック、ノズル151-31 、…、151-36 を1つのブロック、…として)、記録紙116の搬送速度に応じてノズル151-11 、151-12 、…、151-16 を順次駆動することで記録紙116の幅方向に1ラインを印字する。
一方、上述したフルラインヘッドと記録紙116とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
そして、上述の主走査によって記録される1ライン(或いは帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向といい、上述の副走査を行う方向を副走査方向という。すなわち、本実施形態では、記録紙116の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向ということになる。
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図16及び図17に示した例に限定されない。例えば、記録紙116の送り方向と略直交する方向に記録紙116の全幅に対応する長さにわたるノズル列を備えるフルライン型ヘッドの形態として、図16に例示した構成に代えて、図18に示すように、複数のノズル151が2次元に配列された短尺のヘッドブロック150’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録紙116の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
〔制御系の説明〕
図19は、インクジェット記録装置110のシステム構成例を示すブロック図である。図19に示したように、インクジェット記録装置110は、通信インターフェース170、システムコントローラ172、画像メモリ174、ROM175、モータドライバ176、ヒータドライバ178、プリント制御部180、画像バッファメモリ182、電源制御部183、ヘッドドライバ184等を備えている。
図19は、インクジェット記録装置110のシステム構成例を示すブロック図である。図19に示したように、インクジェット記録装置110は、通信インターフェース170、システムコントローラ172、画像メモリ174、ROM175、モータドライバ176、ヒータドライバ178、プリント制御部180、画像バッファメモリ182、電源制御部183、ヘッドドライバ184等を備えている。
通信インターフェース170は、ホストコンピュータ186から送られてくる画像データを受信するインターフェース部(画像入力手段)である。通信インターフェース170にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
ホストコンピュータ186から送出された画像データは通信インターフェース170を介してインクジェット記録装置110に取り込まれ、一旦画像メモリ174に記憶される。画像メモリ174は、通信インターフェース170を介して入力された画像を格納する記憶手段であり、システムコントローラ172を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ174は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ172は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置110の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。すなわち、システムコントローラ172は、通信インターフェース170、画像メモリ174、モータドライバ176、ヒータドライバ178等の各部を制御し、ホストコンピュータ186との間の通信制御、画像メモリ174及びROM175の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ188やヒータ189を制御する制御信号を生成する。搬送系のモータ188とは、例えば、図14で説明した搬送用ローラ対131、133の駆動ローラに動力を与えるモータである。また、図19のヒータ189とは、例えば、図14で説明した加熱ドラム130、加熱ファン140或いは後乾燥部142などに用いられる加熱手段である。
ROM175には、システムコントローラ172のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データ(許容重なり外径d2のデータを含む)などが格納されている。ROM175は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。画像メモリ174は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ176は、システムコントローラ172からの指示に従って搬送系のモータ188を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ178は、システムコントローラ172からの指示に従ってヒータ189を駆動するドライバである。
プリント制御部180は、入力画像に基づいて各色インクのドットデータを生成する信号処理手段として機能する。すなわち、プリント制御部180は、システムコントローラ172の制御に従い、画像メモリ174内の画像データからインク打滴制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行い、生成した印字データ(ドットデータ)をヘッドドライバ184に供給する制御部である。
プリント制御部180には画像バッファメモリ182が備えられており、プリント制御部180における画像処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ182に一時的に格納される。なお、図19において画像バッファメモリ182はプリント制御部180に付随する態様で示されているが、画像メモリ174と兼用することも可能である。また、プリント制御部180とシステムコントローラ172とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
電源制御部183は、帯電兼加速用電源36のON/OFF並びに出力電圧値を制御する制御回路を含んで構成される。電源制御部183は、プリント制御部180からの指令に従って帯電兼加速用電源36の出力を制御する。
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース170を介して外部から入力され、画像メモリ174に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの画像データが画像メモリ174に記憶される。
インクジェット記録装置110では、インク(色材) による微細なドットの打滴密度やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、画像メモリ174に蓄えられた元画像(RGB)のデータは、システムコントローラ172を介してプリント制御部180に送られ、該プリント制御部180においてディザ法や誤差拡散法などを用いたハーフトーン化処理によってインク色ごとのドットデータに変換される。
すなわち、プリント制御部180は、入力されたRGB画像データをK,C,M,Yの4色のドットデータに変換する処理を行う。こうして、プリント制御部180で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ182に蓄えられる。
ヘッドドライバ184は、プリント制御部180から与えられるインク用のドットデータ(すなわち、画像バッファメモリ182に記憶されたインク用のドットデータ)に基づき、ヘッド150の各ノズル151に対応する圧電素子22を駆動するための駆動信号を出力する。つまり、プリント制御部180とヘッドドライバ184の組合せが本発明の「駆動制御手段」に相当する手段として機能している。なお、ヘッドドライバ184にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
帯電兼加速用電源36からヘッド150のノズル電極(図1で説明したノズルプレート24)に所定の電圧が印加されるとともに、ヘッドドライバ184から出力された駆動信号がヘッド150に加えられることによって、該当するノズル151からインクミストが吐出される。記録紙116の搬送速度に同期してヘッド150からのインク吐出を制御することにより、記録紙116上に画像が形成される。
上記のように、プリント制御部180における所要の信号処理を経て生成されたドットデータに基づき、ヘッド150からの液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
印字検出部124は、図14で説明したように、イメージセンサを含むブロックであり、記録紙116に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつき、光学濃度など)を検出し、その検出結果をプリント制御部180に提供する。なお、この印字検出部124に代えて、又はこれと組み合わせて他の吐出検出手段(吐出異常検出手段に相当)を設けてもよい。
他の吐出検出手段としては、例えば、ヘッド150の各インク室152内又はその近傍に圧力センサを設け、インク吐出時或いは圧力測定用の圧電素子駆動時などに、この圧力センサから得られる検出信号から吐出異常を検出する態様(内部検出方法)、或いは、レーザ発光素子などの光源と受光素子から成る光学検出系を用い、ノズルから吐出された液滴にレーザ光等の光を照射し、その透過光量(受光量)によって飛翔液滴を検出する態様(外部検出方法)などがあり得る。
プリント制御部180は、必要に応じて印字検出部124或いは図示しない他の吐出検出手段から得られる情報に基づいて、ヘッド150に対する各種補正(吐出量の補正や吐出位置の修正等)を行うとともに、必要に応じて予備吐出(「パージ」、「空吐出」、「唾吐き」などと呼ばれる場合もある。)やノズル吸引、ワイピング等のクリーニング動作(ノズル回復動作)を実施する制御を行う。
また、本例のインクジェット記録装置110は、使用される記録媒体の種類(メディア種)に関する情報を取得するメディア種情報取得部190と、使用されるインクの種類に関する情報(インク種の情報)を取得するインク種情報取得部192と、を備えており、これら各部から得られた情報はシステムコントローラ172に送られる。
メディア種情報取得部190は、記録媒体の種類(紙種)やサイズを検出する手段である。例えば、図14で説明した給紙部118のマガジンに付されたバーコード等の情報を読み込む手段、用紙搬送路中の適当な場所に配置されたセンサ(用紙幅検出センサ、用紙の厚みを検出するセンサ、用紙の反射率を検出するセンサなど)が用いられ、これらの適宜の組み合わせも可能である。また、これら自動検出の手段に代えて、若しくはこれと併用して、所定のユーザインターフェースからの入力によって紙種やサイズ等の情報を指定する構成も可能である。
インク種の情報を取得する手段としては、例えば、インクタンクのカートリッジの形状(インク種を識別可能な特定の形状)、或いはカートリッジに組み込まれたバーコードやICチップなどからインクの物性情報を読み取る手段を用いることができる。その他、ユーザインターフェースを利用してオペレータが必要な情報を入力してもよい。
システムコントローラ172及びプリント制御部180は、メディア種情報取得部90及びインク種情報取得部92から得られる情報に基づいて、記録媒体とインクの種類の組合せを特定し、該当する組合せに対応した許容重なり外径d2の情報をROM175から読み出して活用し、記録媒体とインクの組合せに適した吐出制御を行う。
すなわち、本例の場合、システムコントローラ172、又はシステムコントローラ172とプリント制御部180の組合せがヘッド150の駆動条件(すなわち、各ノズルに対応した圧電素子の駆動条件)や記録解像度を設定する「設定手段」として機能するとともに、その設定にしたがって吐出制御を行う吐出制御手段(打滴制御手段)として機能する。
上記の如く構成されたインクジェット記録装置110によれば、ミスト・ドットの許容重なり外径という概念を用いて、着弾干渉を抑制し得る打滴条件を実現したことにより、ドットの定着時間の制約を受けることなく、高速、高画質の印字が可能である。
上記の実施形態では、ページワイドのラインヘッドについて説明したが、本発明の適用はラインヘッド方式のプリンタに限定されず、シャトルスキャン方式によるマルチパス走査や短尺ヘッドによるオーバーラップ走査を行うプリンタにも適用可能である。
10…ミスト噴射装置、12…ノズル、14…インク室、16…インク供給口、20…樹脂フイルム、22…圧電素子、24…ノズルプレート、24A…集束用凸部電極面、25…凹部、25A…集束用凹部電極面、26…凹部、32…記録媒体、34…背面電極、36…帯電兼加速用電源、42…インク微粒子(帯電ミスト)、110…インクジェット記録装置(画像形成装置)、112…印字部、112K,112C,112M,112Y…ヘッド、114…インク貯蔵/装填部、116…記録紙、132…プラテン(背面電極)、150…ヘッド、151…ノズル、152…インク室、153…インク室ユニット、154…個別供給路、172…システムコントローラ、180…プリント制御部、184…ヘッドドライバ、183…電源制御部、190…メディア種情報取得部、192…インク種情報取得部
Claims (5)
- インクが充填される液室と、
前記液室に充填された液を吐出するための吐出口と、
前記液室の内のインクに振動エネルギーを与え、前記吐出口内のメニスカスからミストを発生させるミスト発生手段と、
前記吐出口から吐出された前記ミストを記録媒体へ移動させるための電界を発生させる電界発生手段と、
前記ミストから成るミスト・ドット同士の一部が重なり合うように2個のミスト・ドットを略同一の吐出条件で略同時に打滴した際に、ドット形状を所定形状に定着することが可能な最小のドット中心間距離を達成する許容重なり外径をd2とし、記録解像度で規定されるドット中心間ピッチをPtとするとき、
Pt≧d2
となるように、前記ミスト発生手段の駆動条件又は前記記録解像度を設定する設定手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。 - 記録媒体及びインクのうち少なくとも一方の種類が異なる複数の組合せについてそれぞれ前記許容重なり外径d2 の情報を記憶する記憶手段と、
使用される記録媒体及びインクの種類の組合せを特定する情報を取得する情報取得手段と、を備え、
前記情報取得手段で取得した情報に基づき前記記憶手段から該当する組合せに対応する許容重なり外径d2 の情報が読み出されることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。 - 前記設定手段は、指定された前記記録解像度に応じて前記ミスト発生手段の駆動条件を設定することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
- 前記設定手段は、予め設定された1ドット当たりの投入バースト数に応じて、前記記録解像度を設定することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。
- 液室に充填されたインクに振動エネルギーを与えることで吐出口内のメニスカスからミストを発生させ、電界を利用して前記ミストを記録媒体に付着させることで前記記録媒体上に画像を形成する画像形成方法において、
前記ミストから成るミスト・ドット同士の一部が重なり合うように2個のミスト・ドットを略同一の吐出条件で略同時に打滴した際に、ドット形状を所定形状に定着することが可能な最小のドット中心間距離を達成する許容重なり外径をd2 、記録解像度で規定されるドット中心間ピッチをPtとするとき、
Pt≧d2
となるように、前記振動エネルギーの付与に必要なミスト発生手段の駆動条件又は前記記録解像度を設定することを特徴とする画像形成方法。
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