JP2005001221A - 中間調処理用マスク作成方法およびインクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ディザマトリクスを用いて、多階調画像をドットごとに2値あるいは多値の画像データに変換する場合、前記ディザマトリクスにより多階調画像が一部の濃度において閾値化されたときに、所定方向のライン基調に形成され、かつ基調以外の部分においてはハイパスフィルタ特性を持つ階調再現方法において、前記ライン基調がシリアルヘッドのマルチパスおよびインターレスの組み合わせで形成されるドットの記録シーケンスマトリクスと常に同期するドットが存在するようなパターンとなるようにして中間調処理用マスクを作成する。
【選択図】 図18
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、中間調処理用マスク作成方法およびインクジェット記録装置に関し、特に、ドットのサイズを変調することにより少値化を行う処理において、比較的低解像度のインクジェット記録装置であっても良好な画像品質を得る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のデジタル画像出力は、「1」と「0」すなわち「ON」と「OFF」で構成される2値画像が主であったが、作像エンジンの進歩と高画質画像のニーズの高まりにより、デジタル画像出力においても、1画素で複数の階調を表現できる少値(多値)画像記録装置が市場に出回るようになってきている。
【0003】
ここで、少値とは、一般的に言われる「多値」、「2値」に対する比較であり、情報量としては「多値」≧「少値」>「2値」の関係となる。通常、画像処理を行う場合、入力画像データとして1画素当たり8bit(256値)程度の情報量を持った多値データが使用されるが、実際にそのデータを出力する側の装置では、1画素当たり1〜3bit程度の表現力しか持たないため、便宜上、2値以上であるが多値と呼ぶには情報量の少ないものに対して少値と表現している。
【0004】
図20に、一般的に使用されている2値化処理および少値化処理を適用した場合のドットパターンを示す。
少値化処理は、色剤の濃淡を利用した濃度変調方式と異なるサイズのドットを利用したドットサイズ変調方式、更にはその両方を合わせた方式の3つが主に使用されている。
【0005】
図20で示したようなドットによる階調表現では、基本的に制御可能なドットサイズで情報量が決定する。制御できる段階が多ければ多い程情報量が増え、原画像データに近い高品質な出力画像が得られるが、前記したように一般的な出力装置、特に最近普及著しいインクジェット記録装置等では、1〜3段階程度の制御しかできないものがほとんどである。
【0006】
インクジェット記録装置は、インクジェットヘッドの圧力発生手段、例えば、サーマルインクジェット方式の場合は、気泡を発生させるための発熱抵抗体であり、ピエゾ方式の場合は、液室壁を変形させるための電気機械変換素子であるピエゾ素子であり、静電方式の場合には電極に与える駆動波形の駆動電圧の大きさ、パルス幅、パルス数など変化させることで、ドットサイズを変化させるが、インクの広がりなどがあるため、せいぜい、ドットサイズとしては「大滴、中滴、小滴、印字なし」の4値程度が限界である。
【0007】
このドットによる階調表現におけるドットサイズの少なさは、濃度変調方式との組み合わせである程度の改善は図れるが、その分、色剤や記録ユニットの占める割合が増えるため、コストや装置のサイズから来る制約により、倍程度にしか改善することはできない。
【0008】
このような1画素当たりの情報量不足を補うために、単位面積当たりのドット数を制御することで階調表現を行う手法として、一般的には中間調処理と呼ばれる擬似階調表現が用いられる。擬似階調表現は、配置されたドットの数を濃度として表現し、点の密度を変化させて多くの階調を表現する。
【0009】
擬似階調表現には、ディザ法が広く用いられ、代表的なものとして組織的ディザ法がある。組織的ディザ法はQ×Q個の閾値からなるディザマトリクスを設定し、このディザマトリクスを入力画像に重ね合わせ、対応する各画素の濃淡レベルと閾値を比較し、入力画像の値の方が大きい場合は1(白)、小さい場合は0(黒)として2値表示する。n×n画素の処理が済んだら、順次ディザマトリクスを次のn×n画素の位置に移動し、同じ処理を繰り返して画像を形成する。
【0010】
例えば、図21(A)に示すように入力された多値画像データに対して、同図(B)に示すような所定の方法で作成されたn×nの閾値マトリクスであるディザマトリクスとの比較を行い、同図(C)に示すように、その閾値以上(あるいは以下)の値を示す画素のみをドットに置き換える手法である。
【0011】
図21ではON/OFFのみの2値について示しているが、それ以上の組み合わせを持つ少値については、図22に示すように再現可能な階調領域を例えば小ドット、中ドット、大ドットに区分し、図23(A)〜(C)に示すように、それぞれのドットサイズに応じた閾値マトリクスを適用し、それぞれを入力画像データと比較することで対応したドットへの置き換えを行うことになる。
【0012】
擬似階調表現には誤差拡散法もあるが、誤差拡散法はディザ法と比べるとかなり複雑な処理となる。図24は2値誤差拡散の手順について示したものであるが、画素毎に閾値処理を行い、その際の誤差を保持しつつ後の計算に所定の比率で反映させている。これにより、ディザ処理では強制的に切り捨てられてしまう分の情報をも出力画像にフィードバックさせることができ、解像力等の面でディザ画像を上回る品質を得ることができる。
【0013】
これらのディザ法や誤差拡散法については、より高画質な出力を目指して年々高解像度化が進められてきている。これは、高解像度にすることで個々のドットのサイズや相互間距離が小さくなり、ディザ法もしくは誤差拡散法によって作成されるドットパターンが見分け辛くなるためである。パターンとして人間の目に認識できなくなれば、それは1画素で多値表現を行っているのと同義となり、最近のインクジェット記録装置では、2880dpiの解像度のものもある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、インクジェット記録装置は、数十〜数百の噴射ノズルを一まとめにした記録ヘッドユニットを何度も用紙上を往復させることで記録を行う。用紙幅分のノズルをまとめたラインヘッドユニットも一部の高級機では存在するが、ヘッドユニットにかかるコストや各ノズルの品質管理の難しさから一般的ではない。
【0015】
用紙の排紙方向(副走査方向)に対して垂直(主走査方向)に移動して記録を行うシリアルヘッドでは、印字品質に応じて記録シーケンスを異ならせている。これは束ねられたノズルのピッチが副走査方向の実質的な最低解像度を決定することになるからである。即ち、ノズルピッチを超える間隔でのドット形成では、ベタ埋まりを保証できない。
【0016】
例えば、往復印字を行って高速で印字を行いたい場合、図25や図26に示すようにノズルピッチの解像度でヘッド幅分の領域が一度に記録される。
逆に、高画質で印字を行う場合は、図27に示すように副走査方向の送り量をノズルピッチより小さく送るインターレス記録を行い、実質的な記録解像度を2倍〜数倍に高めることが可能である。図27のように送り量1/2の場合には、倍の解像度となる。
【0017】
主走査方向についても同様で、記録するドット間隔を調整することで、実質解像度を2倍〜数倍にすることが可能である。ただし、ヘッドの高周波駆動には限界があるため、一般的には複数回のパスに分けて記録を行っている(マルチパス)。
また、常に同じノズルで横一列を記録し続けると、ヘッドの曲がり特性が記録された画像上に表れてしまうため、副走査方向の送りと合わせて、複数のノズルで縦横一列を形成するようにしている(記録ノズルの分散化)。
【0018】
このように高画質用の記録シーケンスでは、主副走査の記録順を図28のようなマトリクス化することができる。
この記録シーケンスマトリクスに対して、本出願人の出願した特願2002−209907号並びに特願2002−274403号で提案されているような、ライン基調を形成する中間調処理マスクで処理されたデータが適用された場合、ライン基調と記録シーケンスマトリクスのアンマッチングが生じるケースが存在する。この場合、設計されたシーケンス数の全てが印字に使われる訳ではなく、空送りが混じって、より低品質の記録モードと実質的に同じ記録動作になってしまう。例えば、図29では、「2パス1/2インターレス」が「1パス1/2インターレス」と同じになってしまっている。
【0019】
本発明は、上述の実情を考慮してなされたものであって、ライン基調を有した中間調処理マスクにおいて、記録シーケンスの能力をフルに活用できるような中間調処理マスク作成方法およびインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1は、ディザマトリクスを用いて、多階調画像をドットごとに2値あるいは多値の画像データに変換する場合、前記ディザマトリクスにより多階調画像が一部の濃度において閾値化されたときに、所定方向のライン基調に形成され、かつ基調以外の部分においてはハイパスフィルタ特性を持つ階調再現方法において、前記ライン基調はシリアルヘッドのマルチパスおよびインターレスの組み合わせで形成されるドットの記録シーケンスマトリクスと常に同期するドットが存在するようなパターンであることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の請求項2は、請求項1記載の中間調処理用マスク作成方法において、前記記録シーケンスマトリクスが2×2以上のサイズとなる場合、中間調処理マスクのライン基調パターンのサイズを前記記録シーケンスマトリクスの公倍数と異なるサイズとすることを特徴とする。
【0022】
また、本発明の請求項3は、請求項1または2記載の中間調処理用マスク作成方法において、前記記録シーケンスマトリクスのサイズが偶数の場合、中間調処理マスクの前記ライン基調パターンのサイズを奇数とし、また、前記記録シーケンスマトリクスのサイズが奇数の場合、中間調処理マスクの前記ライン基調パターンのサイズを偶数とすることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の請求項4は、請求項1、2または3記載の中間調処理用マスク作成方法において、中間調処理マスクのライン基調部分以外のハイパスフィルタで処理される階調レベル区間についても、前記記録シーケンスマトリクスのサイズを考慮して、ライン基調と同期させたハイパスフィルタを用いて処理することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の請求項5は、ディザマトリクスを用いて、多階調画像をドットごとに2値あるいは多値の画像データに変換する記録装置において、請求項1乃至4のいずれかに記載の中間調処理用マスク作成方法で作成された中間調処理マスクを搭載することを特徴とする。
【0025】
以上の構成により、中間調処理用マスクの基調パターンと記録シーケンスマトリクスで常に同期するドットが存在するようにすることで、記録に使用されるノズルの分散が行われ、記録シーケンスマトリクスの幅および主走査パス数に応じた記録ムラの発生を防ぐことができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。図1は、インクジェット記録装置の機構部の概略斜視図、図2は同機構部の側面図である。
図1において、インクジェット記録装置は、記録装置本体1の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ13、キャリッジ13に搭載したインクジェットヘッドからなる記録ヘッド14、記録ヘッド14へのインクを供給するインクカートリッジ等で構成される印字機構部2等を収納し、記録装置本体1の下方部には前方側から多数枚の用紙3を積載可能な給紙カセット(あるいは給紙トレイでもよい)4を抜き差し自在に装着することができる。
また、用紙3を手差しで給紙するための手差しトレイ5を開倒することができ、給紙カセット4あるいは手差しトレイ5から給送される用紙3を取り込み、印字機構部2によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ6に排紙する。
【0027】
印字機構部2は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド11と従ガイドロッド12とでキャリッジ13を主走査方向(図2で紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、このキャリッジ13にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出するインクジェットヘッドからなる記録ヘッド14をインク滴吐出方向を下方に向けて装着し、キャリッジ13の上側には記録ヘッド14に各色のインクを供給するための各インクタンク(インクカートリッジ)15を交換可能に装着している。
【0028】
インクカートリッジ15は上方に大気と連通する大気口、下方には記録ヘッド14へインクを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力により記録ヘッド14へ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。このインクカートリッジ15からインクを記録ヘッド14内に供給する。
【0029】
ここで、キャリッジ13は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド11に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド12に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ13を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ17で回転駆動される駆動プーリ18と従動プーリ19との間にタイミングベルト20を張装し、このタイミングベルト20をキャリッジ13に固定しており、主走査モータ17の正逆回転によりキャリッジ13が往復駆動される。
【0030】
また、記録ヘッド14としてここでは各色のヘッドを用いているが、各色のインク滴を噴射するノズルを有する1個のヘッドとしてもよい。
記録ヘッド14として用いるインクジェットヘッドは、圧電素子などの電気機機械変換素子で液室(インク流路)壁面を形成する振動板を介してインクを加圧するピエゾ型のもの、あるいは発熱抵抗体による膜沸騰でバブルを生じさせてインクを加圧するバブル型のもの、若しくはインク流路壁面を形成する振動板とこれに対向する電極との間の静電力で振動板を変位させてインクを加圧する静電型のものなどを使用することができるが、ここではピエゾ型インクジェットヘッドを用いることにする。
【0031】
一方、給紙カセット4にセットした用紙3を記録ヘッド14の下方側に搬送するために、給紙カセット4から用紙3を分離給装する給紙ローラ21およびフリクションパッド22と、用紙3を案内するガイド部材23と、給紙された用紙3を反転させて搬送する搬送ローラ24と、この搬送ローラ24の周面に押し付けられる搬送コロ25および搬送ローラ24からの用紙3の送り出し角度を規定する先端コロ26とを設けている。搬送ローラ24は、副走査モータ27によってギヤ列を介して回転駆動される。
【0032】
そして、キャリッジ13の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ24から送り出された用紙3を記録ヘッド14の下方側へ案内する印写受け部材29を設けている。この印写受け部材29の用紙搬送方向下流側には、用紙3を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ31、拍車32を設け、さらに用紙3を排紙トレイ6に送り出す排紙ローラ33および拍車34と、排紙経路を形成するガイド部材35、36とを配設している。
【0033】
記録時には、キャリッジ13を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド14を駆動することにより、停止している用紙3にインクを吐出して1行分を記録し、用紙3を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号または、用紙3の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙3を排紙する。
【0034】
また、キャリッジ13の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、記録ヘッド14の吐出不良を回復するための信頼性維持回復装置37を配置している。信頼性維持回復装置37は、キャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ13は印字待機中にはこの信頼性維持回復装置37側に移動されてキャッピング手段で記録ヘッド14をキャッピングされ、吐出口部(ノズル孔)を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する(パージする)ことにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
【0035】
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段で記録ヘッド14の吐出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
【0036】
次に、図3乃至図7を参照して、インクジェット記録装置の記録ヘッド14を構成するインクジェットヘッドについて説明する。なお、図3はインクジェットヘッドの分解斜視図、図4はインクジェットヘッドの液室長手方向に沿う断面図、図5は図4の要部拡大図、図6はインクジェットヘッドの液室短手方向に沿う断面図、図7はインクジェットヘッドのノズル板の平面図である。
【0037】
このインクジェットヘッドは、単結晶シリコン基板で形成した流路形成基板(流路形成部材)41と、この流路形成基板41の下面に接合した振動板42と、流路形成基板41の上面に接合したノズル板43とを有し、これらによって液滴であるインク滴を吐出するノズル45が連通するインク流路である加圧液室46、流体抵抗部となるインク供給路47を介して加圧液室46にインクを供給する共通液室48を形成し、これらの流路形成基板41のインクに接する面となる加圧液室46、インク供給路47、共通液室48を各壁面には有機樹脂膜からなる耐液性薄膜50を成膜している。
【0038】
そして、振動板42の外面側(液室と反対面側)に各加圧液室46に対応して積層型の圧電素子52を接合し、この積層型の圧電素子52はベース基板53に接合して固定し、この圧電素子52の列の周囲にはスペーサ部材54をベース基板53に接合している。
【0039】
この圧電素子52は、図5にも示すように、圧電材料55と内部電極56とを交互に積層したものである。この圧電常数がd33である圧電素子52の伸縮により加圧液室46を収縮、膨張させるようになっている。圧電素子52に駆動信号が印加され充電が行われると、図5の矢示A方向に伸長し、また圧電素子52に充電された電荷が放電すると矢示A方向と反対方向に収縮するようになっている。ベース基板53およびスペーサ部材54には共通液室48に外部からインクを供給するためのインク供給口49を形成する貫通穴を形成している。
【0040】
また、流路形成基板41の外周部および振動板42の下面側外縁部をエポキシ系樹脂あるいはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成したヘッドフレーム57に接着接合し、このヘッドフレーム57とベース基板53とは図示しない部分で接着剤などで相互に固定している。さらに、圧電素子52には駆動信号を与えるために半田接合またはACF(異方導電性膜)接合もしくはワイヤボンディングでFPCケーブル58を接続し、このFPCケーブル58には各圧電素子52に選択的に駆動波形を印加するためのヘッド駆動回路(ドライバIC)59を実装している。
【0041】
ここで、流路形成基板41は、結晶面方位の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)などのアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングすることで、各加圧液室46となる貫通穴、インク供給路47となる溝部、共通液室48となる貫通穴をそれぞれ形成している。
【0042】
振動板42は、ニッケルの金属プレートから形成したもので、エレクトロフォーミング法で製造している。この振動板42は加圧液室46に対応する部分に変形を容易にするための薄肉部61および圧電素子52と接合するための厚肉部62を形成するとともに、液室間隔壁60に対応する部分にも厚肉部63を形成し、平坦面側を流路形成基板41に接着剤接合し、厚肉部をヘッドフレーム57に接着剤接合している。この振動板42の液室間隔壁に対応する厚肉部63とベース基板53との間には支柱部64を介設している。この支柱部64は圧電素子52と同じ構成である。
【0043】
ノズル板43は、各加圧液室46に対応して直径10〜30μmのノズル45を形成し、流路形成基板41に接着剤接合している。ここで、複数のノズル45が複数のドット形成手段を構成しており、図7に示すように、ノズル45の列(ノズル列)を主走査方向に対して直交させて配置し、ノズル間のピッチは2×Pnである。また、1つのヘッドには距離Lを隔ててノズル列を2列、各ノズル列を副走査方向にピッチPnだけずらして千鳥状に配置している。したがって、ピッチPnの画像を1回の主走査および副走査で形成することができる。
【0044】
このノズル板43としては、ステンレス、ニッケルなどの金属、金属とポリイミド樹脂フィルムなどの樹脂との組み合わせ等からなるものを用いることができる。また、ノズル面(吐出方向の表面:吐出面)には、インクとの撥水性を確保するため、メッキ被膜、あるいは撥水剤コーティングなどの周知の方法で撥水膜を形成している。
【0045】
このように構成したインクジェットヘッドにおいては、圧電素子52に対して選択的に20〜50Vの駆動パルス電圧を印加することによって、パルス電圧が印加された圧電素子52が積層方向に変位して振動板42をノズル45方向に変形させ、加圧液室46の容積/体積変化によって加圧液室46内のインクが加圧され、ノズル45からインク滴が吐出(噴射)される。
【0046】
そして、インク滴の吐出に伴って加圧液室46内の液圧力が低下し、このときのインク流れの慣性によって加圧液室46内には若干の負圧が発生する。この状態の下に、圧電素子52への電圧の印加をオフ状態にすることによって、振動板42が元の位置に戻って加圧液室46が元の形状になるため、さらに負圧が発生する。このとき、インク供給口49から共通液室48、流体抵抗部であるインク供給路47を経て加圧液室46内にインクが充填される。そこで、ノズル45のインクメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次のインク滴吐出のために圧電素子52にパルス電圧を印加し、インク滴を吐出させる。
【0047】
次に、図8を参照してインクジェット記録装置の制御部の概要を説明する。
この制御部は、この記録装置全体の制御を司るCPU(中央演算処理ユニット)80と、所要の固定情報を格納したROM81と、ワーキングメモリ等として使用するRAM82と、ホスト側から転送される画像データ(ドットデータあるいはドットパターンデータと称する。)を格納する画像メモリ(ラスタデータメモリ)83と、パラレル入出力(PIO)ポート84と、入力バッファ85と、パラレル入出力(PIO)ポート86と、駆動波形生成回路87と、ヘッド駆動回路88およびドライバ89等を備えている。
【0048】
ここで、PIOポート84にはホスト100のプリンタドライバ101側から転送される画像データなどの各種情報およびデータ、各種センサからの検知信号等が入力され、またこのPIOポート84を介してホスト100側や操作パネル側に対して所要の情報が送出される。
【0049】
また、駆動波形生成回路87は、記録ヘッド14の圧電素子52に対して印加する駆動波形を生成出力する。この駆動波形生成回路87としては、後述するように、CPU80からの駆動波形データをD/A変換するD/A変換器を用いることで、簡単な構成で所要の駆動波形を生成出力することができる。
【0050】
ヘッド駆動回路88は、PIOポート86を介して与えられる各種データおよび信号に基づいて、記録ヘッド14の選択されたチャンネルの圧電素子52に対して駆動波形生成回路87からの駆動波形を印加する。
さらに、ドライバ89は、PIOポート86を介して与えられる駆動データに応じて主走査モータ17および副走査モータ27を各々駆動制御することで、キャリッジ13を主走査方向に移動走査し、搬送ローラ24を回転させて用紙3を副走査方向に所定量搬送させる。
【0051】
図9乃至図11を参照して、この制御部のうちのヘッド駆動制御に係わる部分について説明する。なお、図9は同ヘッド駆動制御に係わる部分のブロック図、図10はヘッド駆動回路のブロック図、図11は同ヘッド駆動制御に係わる部分の作用を説明するための図である。
【0052】
主制御部91は、ホスト100側から送られてくる印字データとしてのフォントデータ(ドットデータ)を処理して、ヘッドの並びに対応した縦横変換を行い、また、インク滴を大滴、中滴、小滴、非印字の4値を打ち分けるために必要な2ビットの駆動データSDを生成してヘッド駆動回路88に出力する。
また、ヘッド駆動回路88に対しては、この他、クロック信号CLK、ラッチ信号LAT、駆動波形として画像ドットを形成するサイズのドット(大滴)に対応した駆動波形、中滴に対応した駆動波形を選択するための駆動波形および小滴に対応した駆動波形を選択するための駆動波形選択信号M1〜M3を出力する。さらに、この主制御部91はROM81に格納した駆動波形データを読み出して駆動波形生成回路87に与える。
【0053】
駆動波形生成回路87は、主制御部91から与えられる駆動波形データをD/A変換してアナログ信号として出力するD/Aコンバータ92と、D/Aコンバータ92からのアナログ信号を実際の駆動電圧まで増幅する増幅器93と、ヘッドを駆動するのに十分な電流を供給できるように電流を増幅する電流増幅器94とを含み、例えば、図11に示すような1駆動周期内に複数の駆動パルスを含む駆動波形Pvを生成してヘッド駆動回路88に与える。
【0054】
このヘッド駆動回路88は、図10に示すように、主制御部91からのクロック信号CKによって駆動データSDを取り込むシフトレジスタ95と、シフトレジスタ95のレジスト値をラッチ信号LATでラッチするラッチ回路96と、ラッチ回路96にラッチされた2ビットの駆動データによって駆動波形選択信号M1〜M3(ロジック信号)を選択するデータセレクタ97と、データセレクタ97の出力(ロジック信号)を駆動電圧レベルに変換するレベルシフタ98と、このレベルシフタ98の出力でオン/オフが制御されるトランスミッションゲート99とからなる。このトランスミッションゲート99は、駆動波形生成回路87からの駆動波形Pvが与えられ、記録ヘッド(インクジェットヘッド)14の各ノズルに対応する圧電素子52に接続されている。
【0055】
したがって、このヘッド駆動回路88は、駆動データSDに応じてデータセレクタ97により、駆動波形選択信号M1〜M3の1つが選択され、ロジック信号である選択した駆動波形選択信号M1〜M3をレベルシフタ98により駆動電圧レベルに変換し、トランスミッションゲート99のゲートに与える。
これにより、トランスミッションゲート99は選択された駆動波形選択信号M1〜M3の長さに応じてスイッチングされるので、トランスミッションゲート99が開状態になっているチャンネルに対して駆動波形Pvを構成する駆動パルスが印加される。
【0056】
例えば、図11(A)に示すような複数の駆動パルスを含む駆動波形Pvが与えられているとき、期間T0〜T1の間だけ開状態になるトランスミッションゲート99からは同図(B)に示すように1個の駆動パルスが出力されて圧電素子52に印加されるので、吐出される滴の大きさは小滴となる。同様に、期間T0〜T2の間だけ開状態になるトランスミッションゲート99からは同図(C)に示すように2個の駆動パルスが出力されて圧電素子52に印加されるので、吐出される滴の大きさは中滴となる。さらに同様に、期間T0〜T3の間だけ開状態になるトランスミッションゲート99からは同図(D)に示すように5個の駆動パルスが出力されて圧電素子52に印加されるので、吐出される滴の大きさは大滴となる。
【0057】
このよう複数の駆動パルスを含む駆動波形を生成して、圧電素子に印加する駆動パルス数を選択することで、1つの駆動波形から小滴用、中滴用、大滴用の各波形を生成しているので、駆動波形を供給する回路、信号線が1つでよく、コスト低減、回路基板、伝送線の小型化が図れる。
【0058】
次に、このインクジェット記録装置で中間調処理時に使われる本発明の中間調処理用マスクの作成方法を説明する前に、本発明のもととなる本出願人の出願した特願2002−209907号および特願2002−274403号の「所定のライン基調で階調再現を行うための閾値マトリクスの作成方法」について概説する。
【0059】
Bayer型ディザや誤差拡散処理のような中間調処理方法では、単に階調レベルと面積率の整合を取っているだけではなく、ドットの配置に偏りが生ないようにほぼ均等に配置され、配置パターンそのものも目に留まりにくい高周波特性を持つように調整されている。これらの処理を600dpi、1200dpiといった高解像度記録に適用すると、ドットの配置パターンが殆ど目につかず、ドットの分布にムラも無い非常に良好な画像品質を得ることができる。
【0060】
これに対して、150dpi、300dpiといった低解像度記録を行うと、高周波特性を持つように調整された処理であっても、さすがにドットの配置パターンそのものが目につくようになってくる。本来、原画像データでは1画素で表現しているところを、複数の画素を用いて表現しているため、元々の原画像にはないテクスチャーパターンが出力画像上に形成されることになる。
したがって、低解像度で良好な画像品質を得るには、整列性の良いドット配置パターンを形成し、それを各階調レベルに渡って変化させない(もしくは、変化を感じさせない)ことが必要である。
【0061】
そこで、ディザマトリクスは、ドット配置パターンのみですべての中間調レベルにおいて常に所定のライン基調(整列性を持ったドット配置パターン)を維持したドット再現を行うマトリクス構成とし、これにより、低解像度で1〜3bit程度の少値表現を行うインクジェット記録装置で記録する場合の画像品質を向上することができる。中でも、ドット径変調が可能なインクジェット記録装置に好適な印字データを得ることができるようになる。
【0062】
インクジェット記録装置では、用紙の送りに合わせて記録ユニットが主走査方向移動しながら記録を行っていくが、このとき、副走査方向の紙送り精度や主走査方向のヘッド移動速度にムラが発生すると、ドットの基調と干渉して、縦横のスジとして認識されてしまうおそれがある。
そこで、人間の目は、0°や90°(180°や270°)方向に対して感度が高く、斜め方向に対してはやや感度が鈍くなるため、垂直・水平の基調よりも斜め基調のドット配置の方が目立ち難いという特性を利用して、45°斜め基調や135°斜め基調などの万線基調を用いることによって、主走査方向および副走査方向のいずれの変動に対しても等しい効果が得られるようにする。
【0063】
一般的なディザ処理では、処理機構の単純化(高速化と低コスト化のため)を目指して、同じマスクが正方形状にタイリングされて使用されるため、1階調レベル当たり1ドットや2ドットではタイリングの周期で垂直・水平等に揃ったパターンとして認識されてしまうので、1階調レベル当たり3ドット以上を同時に発生させるようにする。
【0064】
例えば、斜め万線基調で再現を行う場合、図12(A)に示すように1階調レベル当たり1ドットのマスクを同図(B)に示すようにタイリングすると、同図(C)に示すような垂直・水平の格子基調となってしまう。
また、図13(A)に示すように1階調レベル当たり2ドットのマスク(これ自体は斜めにドットが配置されている)を同図(B)に示すようにタイリングすると、同図(C)に示すような斜め基調となるものの、45°と135°が交わった基調となってしまう。
これに対して、図14(A)に示すように、1階調レベル当たりのドット数を3ドット以上とすることで、同図(B)に示すようにタイリングを行っても、同図(C)に示すように、一方向の斜め基調のみとなる。
【0065】
次に、マスクサイズの拡大について説明する。図15(A)に示すような斜め万線基調となる基準マスクを基準として、同図(B)に示すように4ドット同時発生時のマスクを形成し、さらに同図(C)に示すように基準となるマスクの1マス1マスを、必要な階調数となるようにさらに細かいサブマトリクスへと分割する。この際、分割するサブマトリクスは基準となるマスクと相似形の斜め万線型とすることで、基調を崩すパターンが発生するのを防ぐことができる。
【0066】
例えば、同15(D)はサブマトリクスを3×3としたもので36階調を表現可能になる。また、同図(E)はサブマトリクス4×4としたもので64階調を表現可能になる。なお、同図(F)に示すように2×2のマトリクスも可能であるが、2×2のマトリクスではチェッカーフラグ様の基調が階調表現の過程で発生してしまう。また、6×6以上のサブマトリクスも可能であるが、基調が荒くなり、基調そのものが目につきやすく、汚く見えてしまう。また、マトリクスのサイズが大きくなると、それだけ処理時間が必要になるという不具合もある。
そこで、サブマトリクスの最小単位を3×3、最大単位を5×5、最適には4×4の斜め万線マスクとする。
【0067】
ところで、上述したような万線基調等の所定方向のライン基調に形成されるディザマトリクスを使用する場合であっても、一部の濃度において、低線数化、すなわち階調の連続性が途切れることによる画質低下が発生する場合がある。
そこで、所定方向のライン基調に形成されるようなディザマトリクスにおいて、一部の濃度における低線数化による画質の低下を解決するため、低線数化した濃度範囲部分を選定し、双方の濃度間のマトリクスのドット配置をハイパスフィルタ特性および所定方向のライン基調を持つように改めて配置する。ここで、ハイパスフィルタ特性には、空間周波数分析による人間の視覚の空間周波数特性を適用し、空間周波数特性の低いものを抽出する。
【0068】
上述した特願2002−209907号および特願2002−274403号の「所定のライン基調で階調再現を行うための閾値マトリクスの作成方法」の場合、中間調処理マスクの基調パターンと記録シーケンスマトリクスが完全に同期している場合は問題ないが、実際には記録シーケンスマトリクスの方がずっと小さいものとなる。
これは、記録シーケンスマトリクスのサイズ拡大は、記録速度の低下へとつながり、また、ある程度以上のシーケンス数になると画像品質的にも変わりがなくなってくるため、せいぜい2×2dot〜8×8dot程度のサイズとなるためである。
【0069】
これに対して中間調処理マスクは、マスクサイズが階調数に直結するため、大きいマスクサイズの方が有利となる。また、分散特性を有する中間調処理マスクではマスクサイズが大きい程、ドット配置の自由度が増すため、高画質用のマスクでは16×16dot以上のサイズのマスクが使用されるのが一般的である。
【0070】
中間調処理マスクも記録シーケンスマトリクスも、マスクサイズを超える画像データに対しては、図16の様に縦横にタイリングして使用される。この時、図17のように、記録シーケンスマトリクスのサイズに対して中間調処理マスクのサイズが公倍数的な関係にあった場合、図28に示した問題は、図16の様に画像全体に反映されてしまうことになる。
【0071】
そこで本発明では、記録シーケンスマトリクスより自由度の高い中間調処理マスクの基調パターンの設計に際して、図18のように記録シーケンスマトリクスと異なる周期とすることで、図28の問題の発生サイクルを崩し、シーケンス毎の空送りをなくすようにした。
図18では、最初の基調パターン周期で1dot分のズレを発生させ、これが基調パターン4枚目になるまで1dot分ずつズレが累積されていき、基調パターン縦横4枚でズレの一周期となる。即ち、記録シーケンスマトリクスの横または縦のdot数分の枚数で一周期になる。
【0072】
尚、ここで問題となるのは基調パターンと記録シーケンスマトリクスの関係であり、中間調処理マスクそのもののサイズではない。周期をずらしたことによる効果は、何れにしろ基調パターンと記録シーケンスマトリクスのサイズを掛け合わせた周期で繰り返されることになるので、中間調処理マスクが両マトリクスを掛け合わせた周期以上のサイズになる場合は、記録シーケンスマトリクスの公倍数であってもかまわない。例えば、図18の場合には、4×15=60dotが1周期であるから、中間調処理マスクのサイズが60×60dot以上であるならば、4の倍数であってもよい。
【0073】
図17、18の例では、基調パターンのサイズがかなり大きなものであったが、基調パターンサイズの増大は解像度の低下に繋がるため、実際に使用される基調パターンは記録シーケンスマトリクスと大差ない大きさとなる。
そのため、基調パターンを「記録シーケンスマトリクスサイズ±1dotにする」と言い換えても問題はない。例えば、記録シーケンスマトリクスが奇数サイズであれば、基調パターンは偶数サイズとするかまたは、その逆に記録シーケンスマトリクスが偶数サイズであれば、基調パターンは奇数サイズとする等が考えられる。
【0074】
また、特願2002−209907号および特願2002−274403号で提案されているような、ライン基調を形成する中間調処理マスクでは、更にハイパスフィルタを用いて基調パターン間のドット配置を決定し、補間している。ここで使用されるハイパスフィルタに関しても、基調パターンと周期を揃える(基調パターンで更にフィルタリングする)ことで、補間されるドットが記録シーケンスマトリクスに影響されて偏って記録されるのを防ぐことが可能となる。
【0075】
以上に説明した本発明に係る中間調処理マスク作成方法は、シリアルヘッドによって画像を表現するインクジェット方式等の記録装置に適応させるためのものである。
その使用形態としては、専用のROM/不揮発性RAM、ASICに書き込み、画像処理モジュールとして記録装置に搭載する場合、または、記録装置の制御用のプログラムとしてコンピュータにインストールして使用することも可能である。
【0076】
例えば、記録装置内に画像の描画または文字のプリント命令を受けて実際に記録するドットパターンを発生する機能を持たないような廉価機を対象として、ホスト側に本発明に係る中間調処理マスク作成方法を実行するプリンタドライバでドットパターンのデータを作成してインクジェット記録装置側に転送するように構成してもよい(図19参照)。
【0077】
即ち、ホスト100のプリンタドライバは、ホストで実行されるアプリケーションソフトなどから画像データをCMM処理部102、BG/UCR,γ補正部103およびズーミング処理部104で処理した後、本発明に係る多値・少値マトリクス105を用いて多値・少値画像データをドットパターンに置換して、記録装置へ出力する。
【0078】
また、ホスト側のプリンタドライバにはホストで実行されるアプリケーションソフトなどから画像データを処理するCMM処理部102およびBG/UCR,γ補正部103のみを有し、インクジェット記録装置200側の制御部ではズーミング処理部104および本発明に係る多値・少値マトリクス105を格納したROMなどを備えて、ドット配置への変換はインクジェット記録装置側のハードウェアで行うようにして、高速に画像処理を行うことができる。
【0079】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の変形、修正が可能であるのは勿論である。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、中間調処理用マスクの基調パターンと記録シーケンスマトリクスで常に同期するドットが存在するようにすることで、記録に使用されるノズルの分散が行われ、記録シーケンスマトリクスの幅および主走査パス数に応じた記録ムラの発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット記録装置の一例を示す機構部の概略斜視図である。
【図2】図1の機構部の側面図である。
【図3】インクジェットヘッドの分解斜視図である。
【図4】インクジェットヘッドの液室長手方向に沿う断面図である。
【図5】図4の要部拡大図である。
【図6】インクジェットヘッドの液室短手方向に沿う断面図である。
【図7】インクジェットヘッドのノズル板の平面図である。
【図8】インクジェット記録装置の制御部の概要を説明するブロック図である。
【図9】制御部のヘッド駆動制御に係わる部分のブロック図である。
【図10】ヘッド駆動回路のブロック図である。
【図11】ヘッド駆動制御に係わる部分の作用を説明するための図である。
【図12】マスクが1階調レベル当たり1ドットの場合のタイリングと基調についての説明図である。
【図13】マスクが1階調レベル当たり2ドットの場合のタイリングと基調についての説明図である。
【図14】マスクが1階調レベル当たり3ドットの場合のタイリングと基調についての説明図である。
【図15】基本マトリクスからサブマトリクスへの分割の説明図である。
【図16】記録シーケンスマトリクスと中間調処理マスクが、それぞれ、より大きい画像データに適用される時のタイル図である。
【図17】中間調処理マスクの基調パターンが記録シーケンスマトリクスの公倍数のサイズである場合、両マトリクスの対応関係を表した図である。
【図18】中間調処理マスクの基調パターンが記録シーケンスマトリクスの公倍数のサイズではない場合、両マトリクスの対応関係を表した図である。
【図19】本発明に係る中間調処理マスクを適用する場合のホスト側およびインクジェット記録装置側の構成を説明する図である。
【図20】2値化および少値化により階調表現を行ったときに実際に配置されるドットの説明図である。
【図21】ディザ法による2値化処理ついての説明図である。
【図22】少値化処理におけるサイズ変調ドットとディザマトリクスの対応についての説明図である。
【図23】各ドットサイズのディザマトリクスの一例である。
【図24】2値誤差拡散処理の手順についての説明図である。
【図25】シリアルヘッドの構成について示した図である。
【図26】ノズルピッチのまま記録を行う1パス印字についての説明図である。
【図27】ノズルピッチの半分の副走査送り量で記録を行う1/2インターレス印字についての説明図である。
【図28】インターレスとパスの組み合わせで形作られる記録シーケンスマトリクスについての説明図である。
【図29】記録シーケンスマトリクスと、中間調処理マスクの基調パターンとの組み合わせで印字されるドットについての説明図である。
【符号の説明】
1…記録装置本体、2…印字機構部、3…用紙、4…給紙カセット、5…手差しトレイ、6…排紙トレイ、11…主ガイドロッド、12…従ガイドロッド、13…キャリッジ、14…記録ヘッド、15…インクカートリッジ、17…主走査モータ、18…駆動プーリ、19…従動プーリ、20…タイミングベルト、21…給紙ローラ、22…フリクションパッド、23…ガイド部材、24…搬送ローラ、25…搬送コロ、26…先端コロ、27…副走査モータ、29…印写受け部材、31…搬送コロ、32,34…拍車、33…排紙ローラ、35,36…ガイド部材、37…信頼性維持回復装置、41…流路形成基板、42…振動板、43…ノズル板、45…ノズル、46…加圧液室、47…インク供給路、48…共通液室、49…インク供給口、50…耐液性薄膜、52…圧電素子、53…ベース基板、54…スペーサ部材、55…圧電材料、56…内部電極、57…ヘッドフレーム、58…FPCケーブル、59…ヘッド駆動回路(ドライバIC)、60…液室間隔壁、61…薄肉部、62,63…厚肉部、64…支柱部、80…CPU、81…ROM、82…RAM、83…画像メモリ、84…PIOポート、85…入力バッファ、86…PIOポート、87…駆動波形生成回路、88…ヘッド駆動回路、89…ドライバ、91…主制御部、92…D/Aコンバータ、93…増幅器、94…電流増幅器、95…シフトレジスタ、96…ラッチ回路、97…データセレクタ、98…レベルシフタ、99…トランスミッションゲート、100…ホスト、101…プリンタドライバ、102…CMM処理部、103…BG/UCR,γ補正部、104…ズーミング処理部、105…多値・少値マトリクス、200…インクジェット記録装置。
Claims (5)
- ディザマトリクスを用いて、多階調画像をドットごとに2値あるいは多値の画像データに変換する場合、前記ディザマトリクスにより多階調画像が一部の濃度において閾値化されたときに、所定方向のライン基調に形成され、かつ基調以外の部分においてはハイパスフィルタ特性を持つ階調再現方法において、前記ライン基調はシリアルヘッドのマルチパスおよびインターレスの組み合わせで形成されるドットの記録シーケンスマトリクスと常に同期するドットが存在するようなパターンであることを特徴とする中間調処理用マスク作成方法。
- 請求項1記載の中間調処理用マスク作成方法において、前記記録シーケンスマトリクスが2×2以上のサイズとなる場合、中間調処理マスクのライン基調パターンのサイズを前記記録シーケンスマトリクスの公倍数と異なるサイズとすることを特徴とする中間調処理用マスク作成方法。
- 請求項1または2記載の中間調処理用マスク作成方法において、前記記録シーケンスマトリクスのサイズが偶数の場合、中間調処理マスクの前記ライン基調パターンのサイズを奇数とし、また、前記記録シーケンスマトリクスのサイズが奇数の場合、中間調処理マスクの前記ライン基調パターンのサイズを偶数とすることを特徴とする中間調処理用マスク作成方法。
- 請求項1、2または3記載の中間調処理用マスク作成方法において、中間調処理マスクのライン基調部分以外のハイパスフィルタで処理される階調レベル区間についても、前記記録シーケンスマトリクスのサイズを考慮して、ライン基調と同期させたハイパスフィルタを用いて処理することを特徴とする中間調処理用マスク作成方法。
- ディザマトリクスを用いて、多階調画像をドットごとに2値あるいは多値の画像データに変換するインクジェット記録装置において、請求項1乃至4のいずれかに記載の中間調処理用マスク作成方法で作成された中間調処理マスクを搭載することを特徴としたインクジェット記録装置。
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