JP4795080B2 - 光ディスク装置 - Google Patents

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Description

本発明は、CD(compact disc)やDVD(digital versatile disk)等の光ディスクに対して、情報の記録や再生を行うことができる光ディスク装置に関する。
近年、光ディスクを記録媒体として、光ピックアップにより読み取り再生する光ディスク装置においては、小型化、高性能化が進んでおり、CDプレーヤや、記録型及び再生型のDVDプレーヤが一般的に普及している。
従来の光ディスク装置としては、例えば、特開平8−315521号公報に開示されたものがある。この光ディスク装置を、図10〜図12を用いて説明する。
図10は、従来例の光ディスク装置の一例であるCDプレーヤの駆動ユニットを示すものであり、トラバースシャーシの裏面を上向きとして示した斜視図である。図11Aは一方の支持体を図10の矢印111aの方向から見た部分斜視図であり、図11Bは他方の支持体を図10の矢印111bの方向から見た部分斜視図である。図12Aはガイド部材の取付け動作を示す平面図であり、図12Bは図12Aの矢印bの方向の側面図であり、図12Cは図12Aのc―c断面図である。
トラバースシャーシ101は、裏面に合成樹脂製のブラケット104及びブラケット120を固定している。ブラケット104は、ガイド部材としての主軸109の両端部を支持しており、ブラケット120は、ガイド部材としての副軸110の両端部を支持している。主軸109及び副軸110は、互いに平行で且つトラバースシャーシ101に夫々平行に配置され、光ピックアップHを搭載した光ピックアップユニット108の、コンパクトディスク100の半径方向(X1方向)の移動を案内する。ブラケット104は、さらに、駆動源であるトラッキングモータ105と、トラッキングモータ105の駆動力を伝達する減速ギヤ列106と、減速ギア列106により伝達されたトラッキングモータ105の駆動力により回転する送りスクリュー軸107とを支持している。送りスクリュー軸107には、光ピックアップユニット108に板ばね115を介して支持された雌ねじ部材116がネジ止めされている。また、ブラケット104は、台座部分104aにスピンドルモータ103を固定している。スピンドルモータ103の駆動軸は、トラバースシャーシ101の表面側に突出しており、この駆動軸にターンテーブル102が固定されている。
ターンテーブル102上にはコンパクトディスク100が装着され、スピンドルモータ103によって回転駆動される。光ピックアップユニット108は、このコンパクトディスク100の回転時に、送りスクリュー107の回転力により、コンパクトディスク100の内周側から外周側へと移動し、光ピックアップHが備える対物レンズLからコンパクトディスク100にレーザ光を照射し、その反射光を光ピックアップH内の受光素子により検出して、信号(情報)を読み取る。
次に、光ピックアップHを搭載する光ピックアップユニット108の支持機構について、さらに詳しく説明する。
光ピックアップユニット108は、光ピックアップユニット108の一方の側部に形成されたガイド穴108aにより主軸109に摺動自在に取り付けられている。主軸109の一端はブラケット104に一体的に形成された支持体104bの支持穴104c内に挿入され、主軸109の他端はブラケット104に設けられた支持体に支持されている。光ピックアップユニット108の他方の側部には、トラバースシャーシ101と平行で且つ主軸109から遠ざかる方向(Y1方向)に開口するガイド溝108bが形成されている。このガイド溝108bには、副軸110が摺動自在に取り付けられている。
副軸110は、ブラケット120においてトラバースシャーシ101の裏面方向へ一体的に突出形成された、一対の支持体121、122に支持されている。一方の支持体121には、図11Aに示すように、副軸110の一方の端部110aが挿入される、袋穴形状の支持穴123が形成されている。支持穴123は、矩形状の開口を有しており、トラバースシャーシ101に直交する方向(Z1方向)に対向する内壁面123aと内壁面123bとの間隔寸法は、副軸110の直径寸法とほぼ同じになっている。すなわち、支持穴123内に挿入された副軸110の端部110aは、この内壁面123aと内壁面123bによりZ1方向を拘束され、軽圧入状態で支持される。支持穴123の一方の側部内壁123cは、図12Aに示すように、Y1方向へ傾斜している。この傾斜している側部内壁123cの内側では、支持穴123に端部110aが挿入された状態の副軸110が、図12Aにて実線で示す取付け位置と破線で示す傾斜位置との間で、所定角度θだけ回動できるための回動余裕空間123eが形成されている。支持体122には、図11Bに示すように、副軸110の他方の端部110bが、主軸109に近付く方向(Y1方向とは逆方向)へ挿入できるように、Y1方向に開口する凹部124が形成されている。凹部124のZ1方向に対向する内壁面124aと内壁面124bとの間隔寸法は、副軸110の直径寸法とほぼ同じになっている。すなわち、凹部124内に挿入された副軸110の端部110bは、この内壁面124aと内壁面124bによりZ1方向を拘束され、軽圧入状態で支持される。
副軸110は、支持穴123に端部110aを挿入されたのち、凹部124に端部110bを挿入される。このとき、副軸110は、支持穴123の側部内壁123dに当たるとともに凹部124の側部内壁124cに当たって、トラバースシャーシ101と平行な方向の位置決めがなされるとともに、支持穴123の内壁面123a、123bと凹部124の内壁面124a、124bによりZ1方向の位置決めがなされる。
凹部124内に挿入され、位置決めがなされた副軸110の端部110bは、円柱状の位置決め頭部125a及び雄ねじ部125bからなる止めネジ125の雄ねじ部125bが、ブラケット120に形成された取付穴120aに挿入されて、トラバースシャーシ101に形成された雌ねじ穴101c(図12B参照)にネジ締めされることで、止めねじ125の位置決め頭部125aに当たり、凹部124内からY1方向へ抜け出るのを防止される。
特開平8−315521号公報
上記従来例の装置によれば、止めねじ125の位置決め頭部125aと、凹部124の側部内壁124cとで、副軸110の端部110bを、Y1方向へ動かないように拘束する。しかしながら、副軸110の、トラバースシャーシ101と平行な方向への位置決め精度は、Z1方向への位置決め精度に比べて低く、凹部124の内側壁124cと位置決め頭部125aとの間で副軸110がY1方向へ若干位置ずれする場合がある。つまり、ガタつきが生じる場合がある。副軸110にガタつきがあると、主軸109と副軸110との平行度が確保できなくなり、光ピックアップユニット108がコンパクトディスク100の半径方向へ移動したときに、異音や振動を発生させて、品質を悪化させる可能性がある。
従って、本発明の目的は、上記課題を解決することにあって、光ピックアップユニットを案内する主軸及び副軸を、トラバースシャーシにガタつきなく固定できる光ディスク装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、光ディスクに対して半径方向に移動可能に設けられ、前記光ディスクに書き込まれた情報の読み込み又は前記光ディスクに情報の書き込みを行う光ピックアップユニットと、
前記半径方向と平行に配設され、前記光ピックアップユニットを摺動可能に支持するとともに前記光ピックアップユニットの移動を案内する主軸と、
前記主軸と平行に配設され、前記主軸と協働して前記光ピックアップユニットを摺動可能に支持するとともに前記光ピックアップユニットの移動を案内する副軸と、
前記主軸と前記副軸とを保持するトラバースシャーシと、
を備える光ディスク装置であって、
前記トラバースシャーシの周囲には、前記主軸及び前記副軸が夫々挿入可能な挿入穴が夫々設けられたリブが立設され、
前記トラバースシャーシの前記リブより内側には、前記主軸及び前記副軸を夫々回転不自在に係止保持する係止保持部が夫々設けられ、
前記各係止保持部は、
前記挿入穴の近傍に設けられるとともに、前記挿入穴と同軸に配置され前記主軸又は前記副軸の一端部を内面で保持する第1の保持穴と、前記主軸又は前記副軸の前記第1の保持穴から前記挿入穴に向かう方向への移動を規制する弾性変形可能な抜け止め爪部とを有する第1の保持体と、
前記挿入穴から軸方向に離れた位置に設けられるとともに、前記挿入穴と同軸に配置され前記主軸又は前記副軸の他端部を内面で保持する第2の保持穴と、前記主軸又は前記副軸の他端部の前記軸方向の移動を規制する規制部とを有する第2の保持体と、を備え、
前記各抜け止め爪部は、
前記第1の保持穴の内面及び前記第2の保持穴の内面で保持されるとともに前記規制部により軸方向の移動を規制された保持位置に位置する前記主軸又は前記副軸の一端部に係止位置で係止可能な係止部と、
前記挿入穴に挿入される前記主軸又は前記副軸の他端部と当接して前記係止部を前記係止位置から退避位置に弾性変形により移動させる傾斜部と、
を備え、
前記係止部は、前記主軸又は前記副軸の一端部の前記軸方向と直交する面及び前記軸方向の面にそれぞれ面接触することで前記主軸又は前記副軸を係止し、
前記トラバースシャーシには、前記係止位置に位置する前記係止部の前記退避位置への移動を規制することにより前記主軸又は前記副軸をガタつきなく固定する退避規制部材が設けられていることを特徴とする光ディスク装置を提供する。
本発明の第態様によれば、前記抜け止め爪部は、前記第1の保持穴から前記挿入穴に向かう方向へ片持ち梁状に突設され、
前記退避規制部材は、前記抜け止め爪部の自由端部に接触して前記係止位置に位置する前記係止部の前記退避位置への移動を規制することを特徴とする第態様に記載の光ディスク装置を提供する。
本発明の第態様によれば、前記退避規制部材はフランジ部を有するビスであり、
前記フランジ部が前記係止位置に位置する前記係止部に当接するように、前記ビスが前記トラバースに取り付けられることにより、前記係止部の前記退避位置への移動が規制されることを特徴とする第態様又は第2態様に記載の光ディスク装置を提供する。
本発明の第態様によれば、前記主軸が係止保持される前記第1の保持体は、ガラス繊維を含む樹脂で形成され、
前記主軸は、前記主軸が係止保持される前記第1の保持穴に圧入されることにより、前記主軸が係止保持される前記第1の保持穴の内面に保持され、
前記主軸が係止保持される前記第1の保持穴の内面には、前記主軸の、前記光ピックアップユニットを摺動可能に支持する側の外周領域との間に隙間を形成可能な凹部が形成されていることを特徴とする第1態様〜第態様のいずれか1つに記載の光ディスク装置を提供する。
本発明の第態様によれば、前記副軸が係止保持される前記第1の保持体は、ガラス繊維を含む樹脂で形成され、
前記副軸は、前記副軸が係止保持される前記第1の保持穴に圧入されることにより、前記副軸が係止保持される前記第1の保持穴の内面に保持され、
前記副軸が係止保持される前記第1の保持穴の内面には、前記副軸の、前記光ピックアップユニットを摺動可能に支持する側の外周領域との間に隙間を形成可能な凹部が形成されていることを特徴とする第1態様〜第態様のいずれか1つに記載の光ディスク装置を提供する。
本発明の第様によれば、前記凹部は、前記第1の保持穴の中心から、角度83.3度から111.6度の範囲にわたって形成されていることを特徴とする第態様又は第態様に記載の光ディスク装置を提供する。
本発明の第態様によれば、前記第1及び第2の保持穴の夫々の内面は、前記主軸又は前記副軸を、少なくとも3つの保持領域で保持するように形成され、
前記第1の保持穴の内面の前記保持領域と前記第2の保持穴の内面の前記保持領域とは、軸まわりに位相が異なっていることを特徴とする第1態様〜第態様のいずれか1つに記載の光ディスク装置を提供する。
本発明の第態様によれば、前記主軸は、前記主軸が係止保持される前記第1の保持穴に圧入されることにより、前記主軸が係止保持される前記第1の保持穴の内面に保持され、
前記主軸が係止保持される前記第1の保持穴の内面形状は、前記光ピックアップユニットに形成されたガイド穴の内面形状と異なり、
前記ガイド穴の内面と、前記主軸の、前記光ピックアップユニットを摺動可能に支持する側の外周領域は当接し、
前記主軸の外周領域と当接する前記ガイド穴の内面に対応する前記第1の保持穴の内面には、前記主軸の外周領域との間に隙間を形成可能な凹部が形成されていることを特徴とする第1態様〜第態様のいずれか1つに記載の光ディスク装置を提供する。
本発明の第態様によれば、前記副軸は、前記副軸が係止保持される前記第1の保持穴に圧入されることにより、前記副軸が係止保持される前記第1の保持穴の内面に保持され、
前記副軸が係止保持される前記第1の保持穴の内面形状は、前記光ピックアップユニットに形成されたガイド溝の内面形状と異なり、
前記ガイド溝の内面と、前記副軸の、前記光ピックアップユニットを摺動可能に支持する側の外周領域は当接し、
前記副軸の外周領域と当接する前記ガイド溝の内面に対応する前記第1の保持穴の内面には、前記副軸の外周領域との間に隙間を形成可能な凹部が形成されていることを特徴とする第1態様〜第態様のいずれか1つに記載の光ディスク装置を提供する。
本発明の第1態様によれば、主軸及び副軸の両端部を内面で保持する第1及び第2の保持穴を有するともに、保持位置に位置する主軸及び副軸の一端部と係止位置で係止可能な係止部と、主軸及び副軸の他端部で押圧力が付与されることにより、係止部を係止位置から退避位置に移動させる傾斜部とを備えて、主軸及び副軸が保持位置で保持された状態のときには、自身の弾性力で係止部を退避位置から係止位置に復帰させる抜け止め爪部を有しているので、光ピックアップユニットを案内する主軸及び副軸をトラバースシャーシにガタつきなく固定できる。また、トラバースシャーシの周囲にリブが設けられているので、トラバースシャーシは変形に対する強度が強くなっている。したがって、主軸及び副軸は、光ピックアップユニットと光ディスクとの寸法関係(距離)を所定の数値を保つことができる。
また、本発明の第態様によれば、係止位置に位置する係止部の退避位置への移動を規制する退避規制部材を備えているので、主軸及び副軸の保持強度を向上させることができ、落下や振動などの外力が加わっても、主軸及び副軸の係止保持状態が解除されることがない。
また、本発明の第態様によれば、退避規制部材がフランジ部を有するビスであるので、簡単な工具で固定でき、工数を削減することができる。
また、トラバースシャーシの変形に対する強度をさらに向上させるために、トラバースシャーシを、主軸及び副軸より硬い材料、例えばガラス繊維を含む樹脂で形成した場合、主軸及び副軸を傷つけてしまうことがある。特に、主軸、副軸をトラバースシャーシにさらにガタつきなく固定するために、主軸、副軸を圧入により係止保持した場合には、組立時に第1の保持穴の内面に擦られながら挿入されるので主軸、副軸に傷が付きやすい。主軸、副軸の、光ピックアップと当接する部分に傷があると、光ピックアップが光ディスクの半径方向へ移動しても移動負荷が変化して、光ディスクの読み取りに失敗したり、異音が発生したりする可能性がある。
本発明の第又は態様によれば、主軸又は副軸が係止保持される第1の保持穴の内面に、主軸又は副軸の、光ピックアップユニットを摺動可能に支持する側の外周領域との間に隙間を形成可能な凹部が形成されているので、光ピックアップと当接する主軸又は副軸の外周領域には傷がつかない。したがって、光ピックアップが光ディスクの半径方向へ移動しても移動負荷が変化することはない。
本発明の記述を続ける前に、添付図面において同じ部品については同じ参照符号を付している。
以下、本発明の最良の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
《実施形態》
本発明の実施形態にかかる光ディスク装置の基本構成を図1〜図5を用いて説明する。図1は本発明の実施形態にかかる光ディスク装置の斜視図であり、図2は分解斜視図である。図3は本発明の実施形態にかかる光ディスク装置のメカニズム本体の分解斜視図であり、図4はトラバースベース部を含む支持基板の斜視図であり、図5はトラバースベース部の分解斜視図である。
光ディスク装置の本体1は、図1及び図2に示すように、前面パネル3aと蓋ケース3bと底ケース3cとで構成される第1の筐体内にメカニズム本体4を備えている。前面パネル3aには光ディスク2が挿入されるディスク挿入穴3dが形成されている。光ディスク2は、例えばCDやDVD等のディスク状の記録媒体である。底ケース3cの上面にはメカニズム本体4と配線される配線基板5が設けられている。ディスク挿入穴3dより挿入された光ディスク2は、メカニズム本体4内にローディングされ、情報が再生又は記録される。
メカニズム本体4は、図3に示すように、矩形の支持基板6と、支持基板6の上部を覆うように設けられ、支持基板6とで第2の筐体を構成する蓋体7と、前記第2の筐体内で支持基板6に支持され、光ディスク2のローディング動作をするためのモータ及び減速機構等を有するローディング部8とを有している。
支持基板6にはトラバースベース部9が設けられている。トラバースベース部9は、光ディスク2を載置するターンテーブル30(図3)を回転駆動するスピンドルモータ11と、光ディスク2に対して半径方向50に移動可能に設けられた光ピックアップユニット14と、互いに平行に配設され、光ピックアップユニット14を支持するとともに光ピックアップユニット14の半径方向50の移動を案内する円柱形状の、主軸16及び副軸17と、ターンテーブル30、スピンドルモータ11、主軸16及び副軸17を保持するトラバースシャーシ10とを備えている。
トラバースシャーシ10は、支持基板6の中央部を含んで支持基板6の一側部まで延在するようにU字形状に形成され、支持基板6に一体的に形成されている。トラバースシャーシ10は、ローディング部8の組立時の衝撃などによって変形すると、主軸16と副軸17との平行度やスピンドルモータ11のターンテーブル30に載置された光ディスク2との寸法関係(距離)が変化して、主軸16及び副軸17により案内される光ピックアップユニット14と光ディスク2との寸法関係が変わり、光ピックアップユニット14が光ディスク2の情報を再生したり、光ディスク2に情報を記録することができなくなる恐れがある。このため、トラバースシャーシ10には、図4及び図5に示すように、その底面10gの周囲を囲むようにリブ10aが立設されている。このリブ10aにより、トラバースシャーシ10の強度が強化され、トラバースシャーシ10の変形が抑えられている。また、トラバースシャーシ10は、例えば主軸16又は副軸17より硬い、ガラス繊維が含まれた樹脂で形成されて強度を強化されている。
リブ10aの装置外側に接する部分には、主軸16が挿入可能な挿入穴の一例である主軸挿入穴10bと、副軸17が挿入可能な挿入穴の一例である副軸挿入穴10cが形成されている。トラバースシャーシ10のリブ10aに囲まれる内側部分には、主軸16を回転不自在に係止保持する主軸係止保持部31aと、副軸17を回転不自在に係止保持する副軸係止保持部31bとが立設されている。
主軸係止保持部31aは、主軸挿入穴10bの近傍に設けられた第1の保持体の一例である第1の主軸保持体32と、主軸挿入穴10bから軸方向、つまり半径方向50に離れた位置に設けられた第2の保持体の一例である第2の主軸保持体33とで構成されている。副軸係止保持部31bは、副軸挿入穴10cの近傍に設けられた第1の保持体の一例である第1の副軸保持体34と、副軸挿入穴10cから軸方向、つまり半径方向50に離れた位置に設けられた第2の保持体の一例である第2の副軸保持体35とで構成されている。第1の主軸保持体32、第2の主軸保持体33、第1の副軸保持体34及び第2の副軸保持体は、トラバースシャーシ10と同様に、例えば主軸16又は副軸17より硬い、ガラス繊維が含まれた樹脂で形成され、トラバースシャーシ10に一体的に形成されている。
第1の主軸保持体32は、主軸挿入穴10bと同軸に配置され、主軸16の一端部を内面で保持可能に形成された第1の保持穴の一例である第1の主軸保持穴21と、主軸16が第1の主軸保持穴21から主軸挿入穴10bに向かう方向へ移動するのを規制する、弾性変形可能な抜け止め爪部の一例である主軸抜け止め爪部26−2(図4、図5及び図9A参照)とを有している。第2の主軸保持体33は、主軸挿入穴10bと同軸に配置され、主軸16の他端部を内面で保持可能に形成されている第2の保持穴の一例である第2の主軸保持穴23と、主軸16の他端部の半径方向50の移動を規制する規制部の一例である主軸規制部24とを有している。
第1の副軸保持体34は、副軸挿入穴10cと同軸に配置され、副軸17の一端部を内面で保持可能に形成された第1の保持穴の一例である第1の副軸保持穴25と、副軸17が第1の副軸保持穴25から副軸挿入穴10cに向かう方向へ移動するのを規制する、弾性変形可能な抜け止め爪部の一例である副軸抜け止め爪部26−1(図4、図5及び図9A参照)とを有している。第2の副軸保持体35は、副軸挿入穴10cと同軸に配置され、副軸17の他端部を内面で保持可能に形成されている第2の保持穴の一例である第2の副軸保持穴27と、副軸17の他端部の半径方向50の移動を規制する規制部の一例である副軸規制部28とを有している。
第1の主軸保持穴21、第2の主軸保持穴23、第1の副軸保持穴25及び第2の副軸保持穴27の夫々は、大略円筒形状に形成されている。主軸16は、一端部を第1の主軸保持体32の第1の主軸保持穴21の内面で保持され、他端部を第2の主軸保持体33の第2の主軸保持穴23の内面で保持される。また、副軸17は、一端部を第1の副軸保持体34の第1の副軸保持穴25の内面で保持され、他端部を第2の副軸保持体35の第2の副軸保持穴27の内面で保持される。
主軸規制部24は、主軸16が装置外側から主軸挿入穴10bを通って挿入される方向51(以下、挿入方向51という)下流側で、主軸16の挿入経路上に位置するように設けられている。主軸規制部24は、第2の主軸保持穴23の挿入方向51の下流側の一部又は全部を塞ぐように設けられても、第2の主軸保持穴23から挿入方向51の下流側へ少し離れて設けられてもよい。同様に、副軸規制部28は、挿入方向51の下流側で、副軸17の挿入経路上に位置するように設けられている。副軸規制部28は、第2の副軸保持穴27の挿入方向51の下流側を塞ぐように設けられても、第2の副軸保持穴27から副軸17の挿入方向51の下流側へ少し離れて設けられてもよい。
本発明の実施形態においては、主軸係止保持部31aと副軸係止保持部31bとで係止保持部の一例を構成している。各保持穴21,23,25,27の形状や各抜け止め爪26−1,26−2の具体的な構成等については、後で詳しく説明する。
トラバースシャーシ10の、支持基板6の中央部と対応する部分の近傍には、図5に示すように、複数(例えば3つ)のネジ穴10dが設けられている。このネジ穴10dに、チルトバネ12と光ディスク2を回転させるスピンドルモータ11とを介して、調整ビス13がねじ込まれることによって、図4に示すように、スピンドルモータ11がトラバースシャーシ10に固定されている。
光ピックアップユニット14は、光ピックアップ14aと移動ベース14bとを有している。光ピックアップ14aは、光ディスク2に書き込まれた情報の読み込み又は光ディスク2に情報の書き込みを行う。移動ベース14bには主軸16が摺動自在に貫通可能な2つのガイド穴14cと、主軸16から遠ざかる方向に開口し、副軸17が摺動自在に係合可能なガイド溝14dとが形成されている。光ピックアップユニット14は、第1の主軸保持体32及び第2の主軸保持体33に両端部を保持される主軸16が2つのガイド穴14cを貫通し、第1の副軸保持体34及び第2の副軸保持体35に両端部を保持される副軸17がガイド溝14dに係合することにより、半径方向50に移動可能に保持されている。ガイド穴14c及びガイド溝14dの具体的な形状等については、後で詳しく説明する。
また、移動ベース14bの主軸16及び副軸17から遠ざかる側の端部には、ナット部15が設けられている。ナット部15は、半径方向50に延在するように配設されたリードスクリュー18aと螺合している。リードスクリュー18aの一端部は、第1の主軸保持体32の近傍で且つ主軸16の副軸17から遠ざかる側の近傍に配置され、回転力を発生させるステッピングモータ18に回転可能に取り付けられている。リードスクリュー18aの他端部は、第2の主軸保持体33の近傍で且つステッピングモータ18より半径方向50に離れた位置に配置されたスクリュー保持体18bに回転可能に取り付けられている。光ピックアップユニット14は、ステッピングモータ18が回転力を発生させることにより、リードスクリュー18aが軸まわりに回転し、そのリードスクリュー18aに係合するナット部15が半径方向50に移動するので、半径方向50に移動可能となっている。
また、ステッピングモータ18とスクリュー保持体18bとは、半径方向50に延在する連結部材18cによって一体的に連結されている。連結部材18cには複数のネジ穴18dが設けられており、このネジ穴18dに止めビス19を差し込んで、止めビス19をトラバースシャーシ10に締め付けることにより、連結部材18cはトラバースシャーシ10に固定されている。
本発明の実施形態においては、主軸16、副軸17、ステッピングモータ18及びリードスクリュー18aにより案内機構が構成され、光ピックアップユニット14、ナット部15、主軸16、副軸17、ステッピングモータ18及びリードスクリュー18aにより光ピックアップ装置が構成される。
次に、各抜け止め爪部26−1,26−2の具体的な構成について、図6A〜図6B、図7A〜図7C、図8A〜図8C、及び図9A〜図9Cを参照しつつ説明する。図6Aは本発明の実施形態にかかる光ディスク装置のトラバースベース部9の副軸抜け止め爪26−1を示す部分平面図であり、図6Bは図6AのA−A断面図である。図7A〜図7Cは、本発明の実施形態にかかる光ディスク装置の副軸17の取付け動作を示す部分斜視図である。図8Aはトラバースベース部9の副軸抜け止め爪26−1が移動を規制された状態を示す部分平面図であり、図8Bは図8AのB−B断面図であり、図8Cは図8AのC−C断面図である。図9Aはメカニズム本体4を裏側から見た平面図であり、図9Bは図9AのD−D断面図であり、図9Cは図9AのE−E断面図である。主軸抜け止め爪部26−2と副軸抜け止め爪部26−1とは同様の構成であるので、以下には副軸抜け止め爪部26−1について説明する。
副軸抜け止め爪部26−1は、図6A及び図6Bに示すように、副軸挿入穴10cに向かって軸方向に延在し、一端部が副軸挿入穴10cの近傍に位置するように設けられている。副軸抜け止め爪部26−1は、図9Cに示すように、第1の副軸保持穴25の内面25a及び第2の副軸保持穴27の内面27aで保持されるとともに副軸規制部28により軸方向の移動を規制された状態、つまり保持位置A1に位置している状態の副軸17の一端部と係止可能な係止部26aと、副軸挿入穴10cを挿入した副軸17の他端部と当接可能に設けられ、副軸17の他端部で軸方向に押されることにより、係止部26aを、図6Bに示すように副軸17の軸方向の挿入経路17a上の係止位置B1(図8Bに示す位置)から、挿入経路17a上より離れた退避位置B2(図6Bに示す位置)に移動させる傾斜部26bとを一体的に備えている。
副軸抜け止め爪部26−1の係止部26a及び傾斜部26bの部分は、軸方向の断面が大略直角三角形状となるように形成されている。係止部26aと副軸規制部28との間隔寸法は、副軸17の長手方向の長さと同じ寸法となるように形成されている。係止部26aは、副軸17を副軸規制部28に軸方向に付勢するように、装置奥側に向かうに従いトラバースシャーシ10の底面10gから遠ざかるように若干傾斜している。これにより、副軸17は、係止部26aと副軸規制部28との間でガタつきなく固定される。傾斜部26bは、装置奥側に向かうに従いトラバースシャーシ10の底面10gに近づくように傾斜している。
副軸抜け止め爪部26−1の、副軸挿入穴10cの近傍部分には、挿入方向51と交差方向(例えば直交方向)に突出する突出部26cが形成されている。また、リブ10aの、突出部26cの近傍部分には、ネジ穴10eが装置の厚さ方向に形成されている。このネジ穴10eは、退避規制部材の一例である、フランジ部29aを有する規制ビス29を挿入可能に形成されている。規制ビス29のフランジ部29aは、規制ビス29の軸方向に対して交差方向(例えば直交方向)に放射状に突出している。規制ビス29のフランジ部29aの半径方向50の長さは、図7Cに示すように、突出部26cとネジ穴10eとの間の距離よりも長くなるように形成されている。
次に、副軸17の取付け動作について説明する。
まず、副軸17の他端部を装置外側、つまりトラバースシャーシ10のリブ10aの外側から副軸挿入穴10cに挿入し、副軸17の他端部を副軸抜け止め爪部26−1の傾斜部26bと当接させる。このとき、副軸抜け止め爪部26−1の係止部26aは係止位置B1に位置する。この状態で、さらに副軸17を挿入方向51に押し込むと、副軸17の他端部に傾斜部26bが押されるに従いトラバースシャーシ10の底面10gから遠ざかるように副軸抜け止め爪部26−1が弾性変形して、図6Bに示すように、副軸抜け止め爪部26−1の係止部26aが係止位置B1から退避位置B2に移動する。
さらに副軸17を挿入方向51に押し込むと、副軸17の他端部は、第1の副軸保持穴25を通過して第2の副軸保持穴27に挿入され、副軸規制部28と当接する。このとき、副軸17の一端部は副軸保持穴10cを貫通して、第1の副軸保持穴25に保持される。このとき、係止部26aと副軸規制部28との間の距離が副軸17の長手方向の長さと同じ寸法となるように形成されているので、副軸抜け止め爪部26−1の弾性力により係止部26aは、図9Bに示すように副軸17の挿入経路17a上に復帰して、副軸17の一端部と当接する。これにより、副軸17は、係止部26aと副軸規制部28との間でガタつきなく固定されるとともに、副軸抜け止め爪部26−1の弾性力によりトラバースシャーシ10の底面10gに近付く方向に付勢される。したがって、副軸17は、係止部26aと副軸抜け止め爪部26−1と副軸規制部28とにより、軸まわりに回転しないように固定される。
この状態で、図7C及び図8A〜図8Cに示すように、ネジ穴10eに規制ビス29をねじ込んで、規制ビス29のフランジ部29aを副軸抜け止め爪部26−1の突出部26cと当接させる。これにより、副軸抜け止め爪部26−1の係止部26aの退避位置B2への移動が規制される。
以上のようにして、副軸17の取付け動作が完了する。なお、主軸抜け止め爪部26−2の構成及び取付け動作は、副軸抜け止め爪部26−1と同様であるので説明を省略する。
なお、トラバースシャーシ10の、第1の主軸抜け止め爪26−2と対向する部分及び第1の副軸抜け止め爪26−1と対向する部分には、図6A及び図7A〜図7Cに示すように、マイナスドライバー等の挿入部材が挿入可能な貫通穴10fが設けられている。また、主軸規制部24又は副軸規制部28には、図9B又は図9Cに示すように、挿入方向51の下流側に向かうに従い図9B又は図9Cの上方に傾斜し、主軸16又は副軸17の挿入方向51の下流側の先端面との間に、マイナスドライバー等の挿入部材が挿入可能な隙間を形成する傾斜面24a又は傾斜面28aが設けられている。主軸16又は副軸17を取り外すときには、規制ビス29を外し、貫通穴10fに装置外側から前記挿入部材を挿入して、第1の主軸抜け止め爪26−2又は第1の副軸抜け止め爪26−1の係止部を係止位置B1から退避位置B2に移動させ、傾斜面24a又は傾斜面28aにより形成された、主軸16又は副軸17の挿入方向51の下流側の先端面と軸規制部24又は副軸規制部28との隙間に、別の挿入部材を挿入して主軸16又は副軸17の挿入方向51の下流側の先端面を挿入方向51と逆方向に押すことで主軸16又は副軸17の取り外しが容易になっている。
次に、各保持穴21,23,25,27、ガイド穴14c及びガイド溝14dの具体的な形状について、図9A、図9D〜図9Mを参照しつつ説明する。図9D〜図9Fは、図9Aの主軸16側のF−F断面図であり、図9Dは主軸16が第1の主軸保持穴21に圧入保持された状態を示す部分断面図であり、図9Eは第1の主軸保持穴21の第1の変形例を示す部分断面図であり、図9Fは第1の主軸保持穴21の第2の変形例を示す部分断面図である。図9G〜図9Iは、図9Aの主軸16側のG−G断面図であり、図9Gは主軸16が第1の主軸保持穴21の第2の変形例に圧入されたときの主軸16とガイド穴14cとの当接状態を示す部分断面図であり、図9Hは図9Gの部分拡大断面図であり、図9Iは主軸16が第1の主軸保持穴21の第1の変形例に圧入されたときの主軸16とガイド穴14cとの当接状態を示す部分拡大断面図である。図9Jは主軸16側のH−H断面図であり、主軸16が第2の主軸保持穴23に圧入保持された状態を示す部分断面図である。図9Kは副軸17側のF−F断面図であり、副軸17が第1の副軸保持穴25に圧入保持された状態を示す部分断面図である。図9Lは副軸17側のG−G断面図であり、副軸17とガイド溝14dとの接触状態を示す部分断面図である。図9Mは第2の副軸17側のH−H断面図であり、副軸17が第2の副軸保持穴27に圧入保持された状態を示す部分断面図である。なお、図9D〜図9Mにおいて、Xは半径方向50と直交し且つ主軸16から副軸17へ向かう方向を示し、Yは挿入方向51と逆方向を示し、Zは、光ピックアップユニット14が光ディスク2に書き込まれた情報の読み込み又は光ディスク2に情報を書き込む方向、つまり装置裏側から装置表側(支持基板6から蓋体7)に向かう方向を示している。なお、光ディスク装置1は、横置き(+Z方向を上側として載置)されているものとする。
第1の主軸保持穴21は、図9Dに示すように、内面21aで主軸16を圧入保持可能に形成されている。第1の主軸保持穴21の内面21aには、主軸16の外周領域16bの+Z方向側16b−1と対向する凹部21bと、主軸16の外周領域16bの+X方向側16b−2と対向する凹部21cとが形成されている。この凹部21b,21cにより、第1の主軸保持穴21と主軸16との間に隙間S21b,S21cが形成されている。ガイド穴14cは、図9Gに示すように、直径が主軸16の直径よりもやや大きく形成されている。本発明の実施形態の光ディスク装置においては、蓋体7を上側として載置されているので、光ピックアップユニット14に−Z方向に重力が働き、ガイド穴14cは主軸16の外周領域の+Z方向側16b−1で当接する。
第2の主軸保持穴23は、図9Jに示すように、内面23aで主軸16を圧入保持可能に形成されている。第2の主軸保持穴23の内面23aは、主軸16の外周領域16bの±X方向側及び±Z方向側に夫々位置する4つの保持領域23bで保持するように形成されている。第2の主軸保持穴23の内面23aの保持領域23b以外の領域は、主軸16との間に隙間S23cが形成されるように、凹部23cが設けられている。この隙間S23cが形成されることにより、主軸16の挿入が容易になっている。主軸挿入穴10b、第1の主軸保持穴21、ガイド穴14c及び第2の主軸保持穴23は、軸方向に平行に設けられている。
第1の副軸保持穴25は、図9Kに示すように、内面25aで副軸17を圧入保持可能に形成されている。第1の副軸保持穴25の内面25aには、副軸17の外周領域17bの+Z方向側17b−1と対向する凹部25bと、副軸17の外周領域17bの+X方向側17b−2と対向する凹部25cとが形成されている。この凹部25b,25cにより、第1の副軸保持穴25と副軸17との間に隙間S25b,S25cが形成されている。ガイド溝14dは、図9Lに示すように、半円形状に形成され、ガイド溝14dの内面の端部間の直線距離は、副軸17の直径よりもやや大きく形成されている。本発明の実施形態の光ディスク装置においては、蓋体7を上側として載置されているので、光ピックアップユニット14に−Z方向に重力が働き、ガイド溝14dは副軸17の外周領域17bの+Z方向側17b−1で当接する。
第2の副軸保持穴27は、図9Mに示すように、内面27aで副軸17を圧入保持可能に形成されている。第2の副軸保持穴27の内面27aは、副軸17の外周領域17bの±X方向側及び±Z方向側に夫々位置する4つの保持領域27bで保持するように形成されている。第2の副軸保持穴27の内面27aの保持領域27b以外の領域は、副軸17との間に隙間S27cが形成されるように、凹部27cが設けられている。この隙間S27cが形成されることにより、副軸17の挿入が容易になっている。副軸挿入穴10c、第1の副軸保持穴25、ガイド溝14d及び第2の副軸保持穴27は、軸方向に平行に設けられている。
光ディスク装置1が蓋体7を上側にして載置された場合、−Z方向に重力が働くので、主軸16、副軸17はそれぞれ、光ピックアップユニット14の重さを受けて、図9G、図9Lに示すように、外周領域16bの+Z方向側16b−1がガイド穴14c、ガイド溝14dに当接する。このとき、主軸16の外周領域16bの+Z方向側16b−1又は副軸17の外周領域17bの+Z方向側17b−1に傷があると、光ピックアップ14の移動負荷が変化し、光ディスク2の読み取りに失敗したり、異音が発生したりする可能性がある。主軸16は、組立時、他端部を最初に第1の主軸保持穴21の内面21aに圧入され、その状態で第1の主軸保持穴21の内面21aに擦られながら第2の主軸保持穴23の内面23aまで押し込まれるので、外周領域16bに傷がつきやすい。同様に、副軸17は、組立時、他端部を最初に第1の副軸保持穴25の内面25aに圧入され、その状態で第2の副軸保持穴27の内面27aまで押し込まれるので、外周領域17bに傷がつきやすい。
本発明の実施形態においては、第1の主軸保持穴21の内面21aに凹部21bを設けて隙間S21bを空けているので、主軸16の外周領域16bの+Z方向側16b−1は内面21aに当接しない。したがって、主軸16の外周領域16bの+Z方向側16b−1には傷がつかない。同様に、第1の副軸保持穴25の内面25aに凹部25bを設けて隙間S25bを空けているので、副軸17の外周領域17bの+Z方向側17b−1は内面25aに当接しない。したがって、副軸17の外周領域17bの+Z方向側17b−1には傷がつかない。
また、上記では、光ディスク装置1を横置きされているものとしたが、縦置き(−X方向を上側として載置)されることもあり得る。この場合、光ピックアップユニット14には、+X方向に重力が働くので、主軸16の外周領域16bの+X方向側16b−2及び副軸17の外周領域17bの+X方向側17b−2が傷つく恐れがある。
本発明の実施形態においては、第1の主軸保持穴21の内面21aに凹部21cを設けて隙間S21cを空けているので、主軸16の外周領域16bの+X方向側16b−2は内面21aに当接しない。したがって、主軸16の外周領域16bの+X方向側16b−2には傷がつかない。同様に、第1の副軸保持穴25の内面25aに凹部25cを設けて隙間S25cを空けているので、副軸17の外周領域17bの+X方向側17b−2は内面25aに当接しない。したがって、副軸17の外周領域17bの+X方向側17b−2には傷がつかない。
なお、第1の主軸保持穴21の内面21aに形成する凹部は、主軸16の、光ピックアップユニット14を摺動可能に支持する側の外周領域16bとの間に隙間が形成されるように設けられればよい。同様に、第1の副軸保持穴25の内面25aに形成する凹部は、副軸17の、光ピックアップユニット14を摺動可能に支持する側の外周領域17bとの間に隙間が形成されるように設けられればよい。例えば、ディスク装置1が横置きに限定されるような場合には、凹部21b、25bのみを設ければよい。また、ディスク装置1が縦置きに限定されるような場合には、凹部21c,25bのみを設ければよい。
また、ディスク装置1が−X方向にも+Z方向にも載置される可能性がある場合には、図9Eに示すように、第1の主軸保持穴21の内面21aに、主軸16の外周領域16bの−Z方向側16b−3と対向する凹部21dと、主軸16の外周領域16bの−X方向側16b−4と対向する凹部21eとをさらに形成して、隙間S21d,S21eを設けてもよい。なお、この場合、第1の主軸保持穴21の内面21aが主軸16を保持する保持領域21fと、第2の主軸保持穴23の内面23aが主軸16を保持する保持領域23bとは、主軸16にかかる応力を分散させるために、主軸16の軸まわりに位相が異なっていることが好ましい。例えば、図9E及び図9Jに示されるように、保持領域21fと保持領域23bとは位相が45度程度異なっていることが好ましい。
また、第1の主軸保持穴21の内面21aに形成する凹部の、第1の主軸保持穴21の中心に対する開き角度が狭いと、主軸16の外周領域16bの+Z方向側16b−1の傷がつく領域が大きくなってしまう。このため、第1の主軸保持穴21の内面21aに形成する凹部の、第1の主軸保持穴21の中心に対する開き角度を所定の角度以上確保することが好ましい。
例えば、主軸16の直径を3mm、第1の主軸保持穴21の直径を2.992mmと設定した場合、第1の主軸保持穴21の主軸16の圧入代は0.004mm、つまり4μmとなる。したがって、この場合、主軸16を第1の主軸保持穴21に圧入することにより生じる主軸16表面の傷の高さは最大で4μmとなる。一方、移動ベース14bのガイド穴14cの直径を主軸16の直径よりもやや大きく3.04mmと設定した場合、主軸16とガイド穴14cとの隙間は、図9Hに示すように、第1の主軸保持穴21の内面21aに形成する凹部の、主軸16の中心に対する開き角度83.3度に対応する位置で0.005mm、つまり5μmとなる。したがって、前記開き角度が83.3度以上であれば、主軸16表面の傷の高さよりも主軸16とガイド穴14cとの隙間の方が大きくなるので、主軸16表面に傷があっても、その傷がガイド穴14cに接触することはない。よって、光ピックアップユニット14が半径方向50へ移動しても移動負荷が変化して、光ディスクの読み取りに失敗したり、異音が発生したりすることがない。
また、第1の主軸保持穴21の内面21aに形成する凹部の、第1の主軸保持穴21の中心に対する開き角度が大きすぎると、主軸16が第1の主軸保持穴21の内面21aで十分に圧入保持されなくなるので、図9Fに示すように、前記開き角度を111.6度以下にすることが好ましい。なお、主軸16、第1の主軸保持穴21及びガイド穴14cの直径を前記と同様に設定するとともに前記開き角度を111.6度に設定した場合、主軸16とガイド穴14cとの隙間は、図9Iに示すように、0.0086mm、つまり8.6μmとなる。つまり、主軸16とガイド穴14cとの隙間の方が主軸16表面の傷の高さ(4μm)よりも大きくなるので、主軸16表面に傷があっても、その傷がガイド穴14cに接触することはない。
したがって、第1の主軸保持穴21の内面21aに形成する凹部の、第1の主軸保持穴21の中心に対する開き角度は、上述したように、83.3度〜111.6度の範囲内で形成されることが好ましい。
なお、第1の副軸保持穴25の内面25aに形成する凹部についても、第1の副軸保持穴25の内面25aに形成する凹部と同様であるので、説明は省略する。
本発明の実施形態によれば、副軸16の両端部を内面で保持する第1及び第2の副軸保持穴23,27を有するともに、保持位置A1に位置する副軸17の一端部と係止位置B1で係止可能な係止部26aと、副軸17の他端部で押圧力が付与されることにより、係止部26aを係止位置B1から退避位置B2に移動させる傾斜部26bとを備えて、副軸17が保持位置A1で保持された状態のときには、自身の弾性力で係止部26aを退避位置B2から係止位置B1に復帰させる主軸抜け止め爪部26−2及び副軸抜け止め爪部26−1を有しているので、光ピックアップユニット14を案内する副軸17をトラバースシャーシ10にガタつきなく固定できる。同様にして、主軸16をトラバースシャーシ10にガタつきなく固定できる。また、副軸17は、副軸抜け止め爪部26−1を介して規制ビス29に固定されるので、規制ビス29がネジ穴10eにねじ込まれるときに、その力を受けて軸まわりに回転することもない。同様に、主軸16も軸まわりに回転することはない。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、フランジ部29aを有する規制ビス29をネジ穴10eにねじ込む(螺着)ことで係止部26aの退避位置への移動を規制したが、これには限られない。係止部26aの退避位置への移動を規制できる部材であればよく、螺着ではなく、圧入や接着によっても同様な効果が得られる。
また、上記実施形態では、圧入により主軸16、副軸17を係止保持するように構成したが、圧入でなくとも、主軸抜け止め爪部26−2及び副軸抜け止め爪部26−1等により、主軸16及び副軸17をトラバースシャーシ10にガタつきなく固定することが可能である。
本発明のディスク装置は、CD/DVDプレーヤ等のスロットインローディングの光ディスク装置等として有用であり、更なる薄型化及び低コスト化が求められる光ディスク装置やポータブル系の光ディスク装置に適している。
本発明の実施形態にかかる光ディスク装置本体の斜視図 本発明の実施形態にかかる光ディスク装置本体の分解斜視図 本発明の実施形態にかかる光ディスク装置のメカニズム本体の分解斜視図 本発明の実施形態にかかる光ディスク装置のトラバースベース部の斜視図 本発明の実施形態にかかる光ディスク装置のトラバースベース部の分解斜視図 本発明の実施形態にかかる光ディスク装置のトラバースベース部の副軸抜け止め爪を示す部分平面図 図6AのA−A断面図 本発明の実施形態にかかる光ディスク装置の副軸の取付け動作を示す部分斜視図 本発明の実施形態にかかる光ディスク装置の副軸の取付け動作を示す他の部分斜視図 本発明の実施形態にかかる光ディスク装置の副軸の取付け動作を示すさらに他の部分斜視図 本発明の実施形態にかかる光ディスク装置のトラバースベース部の副軸抜け止め爪が移動を規制された状態を示す部分平面図 図8AのB−B断面図 図8AのC−C断面図 本発明の実施形態にかかる光ディスク装置のメカニズム本体を裏側から見た平面図 図9AのD−D断面図 図9AのE−E断面図 図9Aの主軸側のF−F断面図 第1の主軸保持穴の第1の変形例を示す断面図 第1の主軸保持穴の第2の変形例を示す断面図 図9Aの主軸側のG−G断面図 図9Gの部分拡大断面図 図9Aの主軸側のG−G断面図の他の部分拡大断面図 図9Aの主軸側のH−H断面図 図9Aの副軸側のF−F断面図 図9Aの副軸側のG−G断面図 図9Aの副軸側のH−H断面図 従来例の光ディスク装置のトラバースシャーシの裏面を上向きとして示した斜視図 従来例の光ディスク装置の副軸の一方の支持体を示す部分斜視図 従来例の光ディスク装置の副軸の他方の支持体を示す部分斜視図 従来例の光ディスク装置のガイド部材の取付け動作を示す平面図 図12Aの矢印bの方向の側面図 図12Aのc―c断面図
符号の説明
1 ディスク装置
2 光ディスク
3a 前面パネル
3b 蓋ケース
3c 底ケース
3d ディスク挿入穴
4 メカニズム本体
5 配線基板
6 支持基板
7 蓋体
8 ローディング部
9 トラバースベース部
10 トラバースシャーシ
10a リブ
10b、10c 挿入穴
10d、10e ネジ穴
10f 貫通穴
10g 底面
11 スピンドルモータ
12 チルトネジ
13 調整ビス
14 光ピックアップユニット
14a 光ピックアップ
14b 移動ベース
14c ガイド穴
14d ガイド溝
15 ナット部
16 主軸
17 副軸
18 ステッピングモータ
18a リードスクリュー
18b スクリュー保持体
18c 連結部材
18d ネジ穴
19 止めビス
21 第1の主軸保持穴
23 第2の主軸保持穴
24 主軸規制部
25 第1の副軸保持穴
26−1 第2の副軸抜け止め爪部
26−2 第1の主軸抜け止め爪部
26a 係止部
26b 傾斜部
26c 突出部
27 第2の副軸保持穴
28 副軸規制部
29 規制ビス
29a フランジ部
30 ターンテーブル
31 係止保持部
32 第1の主軸保持体
33 第2の主軸保持体
34 第1の副軸保持体
35 第2の副軸保持体

Claims (9)

  1. 光ディスクに対して半径方向に移動可能に設けられ、前記光ディスクに書き込まれた情報の読み込み又は前記光ディスクに情報の書き込みを行う光ピックアップユニットと、
    前記半径方向と平行に配設され、前記光ピックアップユニットを摺動可能に支持するとともに前記光ピックアップユニットの移動を案内する主軸と、
    前記主軸と平行に配設され、前記主軸と協働して前記光ピックアップユニットを摺動可能に支持するとともに前記光ピックアップユニットの移動を案内する副軸と、
    前記主軸と前記副軸とを保持するトラバースシャーシと、
    を備える光ディスク装置であって、
    前記トラバースシャーシの周囲には、前記主軸及び前記副軸が夫々挿入可能な挿入穴が夫々設けられたリブが立設され、
    前記トラバースシャーシの前記リブより内側には、前記主軸及び前記副軸を夫々回転不自在に係止保持する係止保持部が夫々設けられ、
    前記各係止保持部は、
    前記挿入穴の近傍に設けられるとともに、前記挿入穴と同軸に配置され前記主軸又は前記副軸の一端部を内面で保持する第1の保持穴と、前記主軸又は前記副軸の前記第1の保持穴から前記挿入穴に向かう方向への移動を規制する弾性変形可能な抜け止め爪部とを有する第1の保持体と、
    前記挿入穴から軸方向に離れた位置に設けられるとともに、前記挿入穴と同軸に配置され前記主軸又は前記副軸の他端部を内面で保持する第2の保持穴と、前記主軸又は前記副軸の他端部の前記軸方向の移動を規制する規制部とを有する第2の保持体と、を備え、
    前記各抜け止め爪部は、
    前記第1の保持穴の内面及び前記第2の保持穴の内面で保持されるとともに前記規制部により軸方向の移動を規制された保持位置に位置する前記主軸又は前記副軸の一端部に係止位置で係止可能な係止部と、
    前記挿入穴に挿入される前記主軸又は前記副軸の他端部と当接して前記係止部を前記係止位置から退避位置に弾性変形により移動させる傾斜部と、
    を備え、
    前記係止部は、前記主軸又は前記副軸の一端部の前記軸方向と直交する面及び前記軸方向の面にそれぞれ面接触することで前記主軸又は前記副軸を係止し、
    前記トラバースシャーシには、前記係止位置に位置する前記係止部の前記退避位置への移動を規制することにより前記主軸又は前記副軸をガタつきなく固定する退避規制部材が設けられていることを特徴とする光ディスク装置。
  2. 前記抜け止め爪部は、前記第1の保持穴から前記挿入穴に向かう方向へ片持ち梁状に突設され、
    前記退避規制部材は、前記抜け止め爪部の自由端部に接触して前記係止位置に位置する前記係止部の前記退避位置への移動を規制することを特徴とする請求項に記載の光ディスク装置。
  3. 前記退避規制部材はフランジ部を有するビスであり、
    前記フランジ部が前記係止位置に位置する前記係止部に当接するように、前記ビスが前記トラバースに取り付けられることにより、前記係止部の前記退避位置への移動が規制されることを特徴とする請求項又は請求項に記載の光ディスク装置。
  4. 前記主軸が係止保持される前記第1の保持体は、ガラス繊維を含む樹脂で形成され、
    前記主軸は、前記主軸が係止保持される前記第1の保持穴に圧入されることにより、前記主軸が係止保持される前記第1の保持穴の内面に保持され、
    前記主軸が係止保持される前記第1の保持穴の内面には、前記主軸の、前記光ピックアップユニットを摺動可能に支持する側の外周領域との間に隙間を形成可能な凹部が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1つに記載の光ディスク装置。
  5. 前記副軸が係止保持される前記第1の保持体は、ガラス繊維を含む樹脂で形成され、
    前記副軸は、前記副軸が係止保持される前記第1の保持穴に圧入されることにより、前記副軸が係止保持される前記第1の保持穴の内面に保持され、
    前記副軸が係止保持される前記第1の保持穴の内面には、前記副軸の、前記光ピックアップユニットを摺動可能に支持する側の外周領域との間に隙間を形成可能な凹部が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1つに記載の光ディスク装置。
  6. 前記凹部は、前記第1の保持穴の中心から、角度83.3度から111.6度の範囲にわたって形成されていることを特徴とする請求項又は請求項に記載の光ディスク装置。
  7. 前記第1及び第2の保持穴の夫々の内面は、前記主軸又は前記副軸を、少なくとも3つの保持領域で保持するように形成され、
    前記第1の保持穴の内面の前記保持領域と前記第2の保持穴の内面の前記保持領域とは、軸まわりに位相が異なっていることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1つに記載の光ディスク装置。
  8. 前記主軸は、前記主軸が係止保持される前記第1の保持穴に圧入されることにより、前記主軸が係止保持される前記第1の保持穴の内面に保持され、
    前記主軸が係止保持される前記第1の保持穴の内面形状は、前記光ピックアップユニットに形成されたガイド穴の内面形状と異なり、
    前記ガイド穴の内面と、前記主軸の、前記光ピックアップユニットを摺動可能に支持する側の外周領域は当接し、
    前記主軸の外周領域と当接する前記ガイド穴の内面に対応する前記第1の保持穴の内面には、前記主軸の外周領域との間に隙間を形成可能な凹部が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1つに記載の光ディスク装置。
  9. 前記副軸は、前記副軸が係止保持される前記第1の保持穴に圧入されることにより、前記副軸が係止保持される前記第1の保持穴の内面に保持され、
    前記副軸が係止保持される前記第1の保持穴の内面形状は、前記光ピックアップユニットに形成されたガイド溝の内面形状と異なり、
    前記ガイド溝の内面と、前記副軸の、前記光ピックアップユニットを摺動可能に支持する側の外周領域は当接し、
    前記副軸の外周領域と当接する前記ガイド溝の内面に対応する前記第1の保持穴の内面には、前記副軸の外周領域との間に隙間を形成可能な凹部が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項のいずれか1つに記載の光ディスク装置。
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