以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
本発明の実施形態に係る車両の制御装置Aは、乗用自動車に搭載されている。この車両の車室には、図1に示す空調装置1が配設されている。上記制御装置Aは、図3に示すように、空調装置1を制御するエアコン制御ユニット2と、当該車両のエンジンの点火装置4や燃料噴射装置5等を制御するエンジン制御ユニット3と、エンジン制御ユニット3に対しエンジンの始動及び停止要求信号を出力する車両制御ユニット6とを備えている。詳細は後述するが、車両側の停止条件を満たし、かつ、空調装置1側の停止条件を満たしたときに、上記車両制御ユニット6によってエンジンのアイドリングを停止させるようにしている。
上記空調装置1は、車室の前端部に配設されたインストルメントパネルIP内に収容されている。図2に示すように、インストルメントパネルIPの左右略中央部には、空調装置1の操作パネルBが配設されている。このインストルメントパネルIPの車体後方には、車体右側に運転席(図示せず)が配設され、左側に助手席(図示せず)が配設されている。インストルメントパネルIPの前端部には、フロントウインド(図示せず)の内面に向けて空調風が吹き出すデフロスタ口7が開口している。インストルメントパネルIPの上側の左右両端部には、サイドウインド(図示せず)の内面に向けて空調風が吹き出すデミスタ口8がそれぞれ開口している。インストルメントパネルIPの左右方向略中央部には、乗員の上半身に向けて空調風が吹き出すセンタベント口9が開口している。インストルメントパネルIPの左右方向両端部近傍にも、乗員の上半身に向けて空調風が吹き出すサイドベント口10が開口している。
図1に示すように、上記空調装置1は、樹脂材を成形してなるケース20を備えている。このケース20には空気導入部21と温度調節部22と空調風分配部23とが設けられている。尚、ケース20は、例えば空気導入部21と温度調節部22と空調風分配部23とに3分割されたものや、空気導入部21と、温度調節部22及び空調風分配部23とに2分割されたものであってもよい。
上記空気導入部21には、車室内で開口し車室内の空気をケース20内に取り入れるための内気導入口25と、車室外に連通するダクト(図示せず)に接続され車室外の空気をケース20内に取り入れるための外気導入口26とが形成されている。空気導入部21の内部には、上記内気導入口25と外気導入口26との一方を開いて他方を閉じる内外気切替ドア27が設けられている。この内外気切替ドア27は、ケース20の外面に固定された内外気アクチュエータ28(図3に示す)により動作して、内気導入口25及び外気導入口26の一方を開き他方を閉じるようになっている。この内外気アクチュエータ28は、サーボモータを内蔵した周知の構造のものである。この内外気アクチュエータ28により、動作モードとしての導入モードが、内気のみをケース20に導入する内気導入モードと、外気のみをケース20に導入する外気導入モードとに切り替えられるようになっている。
上記空気導入部21の内部における内外気切替ドア27よりも空気流れ方向下流側には、ケース20内に導入された空気を濾過するためのエアフィルタ31と送風ファン32とが下流側へ向けて順に設けられている。送風ファン32は遠心式ファンであり、回転軸が上下方向に延びるように配置されている。送風ファン32の下部には、該送風ファン32を回転駆動するためのブロアモータ33が配置されている。このブロアモータ33は、一部がケース20の外部に突出した状態で該ケース20に固定されている。
上記空気導入部21の空気流れ方向下流側に上記温度調節部22が位置している。温度調節部22の内部には、冷却用熱交換器としてのエバポレータ35が収容されている。このエバポレータ35と、エンジンにより駆動される補機としてのコンプレッサー36(図3に示す)と、冷媒凝縮器と、膨張弁とで周知の冷凍サイクルが構成されている。エバポレータ35は、複数のチューブとフィン(共に図示せず)とを交互に並べて一体化したチューブアンドフィンタイプの熱交換器である。エバポレータ35には、熱媒体としての冷媒がクーラパイプ(図示せず)を介して供給され、この冷媒がチューブを流通するようになっている。エバポレータ35のフィン間を通過する空気がチューブを流通する冷媒と熱交換し、これによって空気が冷却される。また、エバポレータ35の空気流れ下流側の面には、エバポレータ35の表面温度を検出するための温度センサからなるエバセンサ37が取り付けられている。
上記温度調節部22内部のエバポレータ35よりも下流側には、加熱用熱交換器としてのヒータコア43が収容されている。このヒータコア43は、エバポレータ35と同様なチューブアンドフィンタイプの熱交換器である。ヒータコア43には、上記エンジンにより駆動される補機としてのウォータポンプ(図示せず)から熱媒体としてのエンジン冷却水がヒータパイプ(図示せず)を介して供給されるようになっている。このヒータコア43を通過する空気がチューブを流通するエンジン冷却水と熱交換し、これによって空気が加熱される。このヒータコア43の側方には、エバポレータ35を通過した空気を、ヒータコア43をバイパスして流すバイパス通路44が形成されている。バイパス通路44の下流側には、バイパス通路44を流れた空気とヒータコア43を通過した空気とを混合させて空調風を得るためのエアミックス空間45が形成されている。
上記エバポレータ35とヒータコア43との間には、エアミックスドア46が配設されている。エアミックスドア46は、ケース20の外面に固定されたエアミックスアクチュエータ48(図3に示す)により動作するようになっている。エアミックスアクチュエータ48は、上記内外気アクチュエータ28と同様に構成されている。
上記エアミックスアクチュエータ48を動作させてエアミックスドア46によるバイパス通路44の開度を変更することにより、バイパス通路44を流れる空気量とヒータコア43を通過する空気量との比率が変更され、その結果、エアミックス空間45で得られる空調風の温度が変更される。エアミックスドア46の開度が0%のときには、ヒータコア43側の通路が全閉とされかつバイパス通路44が全開とされ、100%のときにはヒータコア43側の通路が全開とされかつバイパス通路44が全閉とされるようになっている。エアミックスドア46の開度は、上記した0%〜100%の間で任意の値に設定されるようになっている。
上記温度調節部22の空気流れ方向下流側に、上記エアミックス空間45に連通する空調風分配部23が位置している。空調風分配部23には、ベント吹出口50、ヒート吹出口51及びデフロスタ吹出口52が形成されている。ベント吹出口50には、インストルメントパネルIPのセンタベント口9及びサイドベント10に連通するベントダクト53の上流端が接続されている。また、ヒート吹出口51には、前席乗員の足下及び後席乗員の足下近傍まで延びるヒートダクト54(図2にその一部を示す)の上流端が接続されている。また、デフロスタ吹出口52には、インストルメントパネルIPのデフロスタ口7及びデミスタ口8に連通するデフロスタダクト55の上流端が接続されている。上記ベント吹出口50、ヒート吹出口51及びデフロスタ吹出口52は、空調風分配部23の内部に配設されたベントドア56、ヒートドア57及びデフロスタドア58により個別に開閉されるようになっている。
上記ベントドア56、ヒートドア57及びデフロスタドア58は、図示しないが、リンク部材によって連結されており、吹出モードを切り替えるための吹出モードアクチュエータ60(図3に示す)により互いに連動して動作するようになっている。上記吹出モードアクチュエータ60は、上記内外気アクチュエータ28と同様にサーボモータを内蔵した周知の構造のものであり、ケース20の外面に固定されている。
この空調装置1は、図3に示すように、外気温度検出手段としての外気センサ65、内気センサ66及び日射センサ67を備えている。外気センサ65は、車両周囲の外気温度を検出するためのものであり、フロントグリル(図示せず)近傍やドアミラー(図示せず)近傍等の車室外に配設されている。上記内気センサ66は、車室内温度を検出するためのものであり、図2に示すように、インストルメントパネルIPの運転席側に配設されている。この内気センサ66には、過渡応答を遅らせるために時定数が設けられている。上記日射センサ67は、車室内に差し込んでくる太陽光の強さである日射量を検出するためのものであり、インストルメントパネルIPの前端部に配設されている。これら外気センサ65、内気センサ66及び日射センサ67は、エアコン制御ユニット2に接続されている。
上記インストルメントパネルIPの操作パネルBには、図3に示すように、温度設定スイッチ68、吹出モードスイッチ69、エアコンスイッチ70、内外気切替スイッチ71、ファンスイッチ72、エアコン優先スイッチ73が配設されている。上記温度設定スイッチ68は、乗員が車室の設定温度を所望温度に変更してセットするためのものである。上記吹出モードスイッチ69は、空調風の吹出モードを乗員が選択する場合に操作されるものである。吹出モードは、動作モードであり、空調風がデフロスタ口7及びデミスタ口8から吹き出すデフロスタモードと、デフロスタ口7、デミスタ口8及びヒートダクト54から吹き出すヒートデフモードと、センタベント口9及びサイドベント口10から吹き出すベントモードと、ヒートダクト54から吹き出すヒートモードと、センタベント口9、サイドベント口10及びヒートダクト54から吹き出すバイレベルモードとがある。
上記エアコンスイッチ70は、冷凍サイクルのコンプレッサー36を通常運転させるACモードを選択するためのACポジションと、弱冷房でよい場合のエコノミーモード(ECOモード)を選択するためのECOポジションと、コンプレッサー36を運転させないOFFモードを選択するためのOFFポジションとを備えており、乗員が3つのポジションから任意の1つを選択できるようになっている。内外気切替スイッチ71は、空気の導入モードを内気導入モードと外気導入モードとを切り替えるためのものである。ファンスイッチ72は、ファン32による送風量を多段階に増減させるためのものである。エアコン優先スイッチ73は、空調装置1を作動させているときにはエンジンのアイドリングを停止させないエアコン優先モードと、アイドリングの停止を許可するアイドリング停止モードとに切り替えるためのものである。つまり、この車両においては、乗員の意志により、アイドリング停止機能を解除することができるようになっている。
上記エアコン制御ユニット2は、中央演算処理装置、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、入出力ポート等(図示せず)を有しており、車載バッテリー(図示せず)から電力供給を受けて作動するようになっている。エアコン制御ユニット2の入出力ポートには、上記スイッチ68〜73が接続されるとともに、外気センサ65、内気センサ66、日射センサ67、水温センサ74、エバセンサ37、ブロワモータ33、アクチュエータ28、48、60が接続されている。上記水温センサ74は、エンジンの冷却水の温度を検出するためのものである。尚、エアコン制御ユニット2には、吹出モード、導入モード及び送風量を車室の空調状態に適するように自動的に設定する自動空調モードと、乗員が手動で設定する手動モードとがあり、乗員によって一方が選択されるようになっている。
上記エンジン制御ユニット3と、エアコン制御ユニット2とは、信号線を介して接続されている。エアコン制御ユニット2がコンプレッサー36を作動させる必要があると判断したときには、コンプレッサーON信号をエンジン制御ユニット3に送信し、このコンプレッサーON信号を受けたエンジン制御ユニット3は電磁クラッチを接続状態にし、一方、エアコン制御ユニット2がコンプレッサー36を作動させる必要がないと判断したときには、コンプレッサーOFF信号をエンジン制御ユニット3に送信し、このコンプレッサーOFF信号を受けたエンジン制御ユニット3は電磁クラッチを断状態にするようになっている。
上記エアコン制御ユニット2は、空調制御部2aと、自動停止制御部2bとを備えている。空調制御部2aは、自動空調モードとされている場合には、所定のプログラムに従って上記各センサ37、65〜67、74からの入力信号やスイッチ68〜73からの入力信号を処理し、空調装置1の動作モードを決定して、ブロアモータ33やアクチュエータ28、48、60を制御するように構成されている。自動停止制御部2bは、空調装置1の動作モードを検出し、この検出した動作モードに基づいてエンジンのアイドリングを停止させておく時間を設定し、アイドリング停止の許可又は禁止信号を生成するように構成されている。
上記エンジン制御ユニット3には、点火装置4、燃料噴射装置5及びコンプレッサー36が信号線を介して接続されている。このエンジン制御ユニット3により、コンプレッサー36の電磁クラッチが断続制御されるようになっている。電磁クラッチが接続状態のときには、エンジンの動力がコンプレッサー36に伝わり、断状態のときには、動力が伝わらないようになっている。
上記車両制御ユニット6には、乗員が操作する自動変速機のセレクトレバーがどの変速レンジ位置にあるかを検出するインヒビタスイッチ75、当該車両の車速を検出する車速センサ76及びブレーキペダルの踏み込み操作を検出するブレーキスイッチ77が信号線を介して接続されている。また、車両制御ユニット6と上記エアコン制御ユニット2とは信号線で接続されており、エアコン制御ユニット2からは、自動停止制御部2bで生成されたアイドリング停止許可信号と禁止信号とのうち、一方の信号が出力されて車両制御ユニット6に入力されるようになっている。また、車両制御ユニット6からは、エンジンが停止しているか否かの判別信号がエアコン制御ユニット2に対し出力されるようになっている。尚、車両が手動変速機を搭載している場合には、シフトレバーがどの位置にあるかを検出するセンサを設け、このセンサの信号を車両制御ユニット6に入力するようにすればよい。
上記車両制御ユニット6は、車両側の停止条件が成立したときで、かつ、エアコン制御ユニット2からアイドリング停止の許可信号が出力されているときには、エンジンのアイドリングを所定時間だけ停止させるようになっているが、所定時間経過前に車両側の停止条件が成立しなくなったとき、または、エアコン制御ユニット2からアイドリング停止の禁止信号が出力されたときには、その時点でアイドリング停止を終了し、エンジンを始動する。車両側の停止条件とは、車速センサ76により検出された車速が0で車両が停止し、かつインヒビタスイッチ75によりセレクトレバーがニュートラルレンジ又はパーキングレンジに位置していることが検出され、かつブレーキスイッチ77によりブレーキペダルの踏み込み操作が検出されたときである。尚、車両制御ユニット6がエンジンのアイドリングを停止を許可する場合には、エンジン制御ユニット3に対してアイドリング停止許可信号を出力して、点火装置4や燃料噴射装置5を非作動状態にさせる。また、車両制御ユニット6からは、エンジンが停止しているか否かの判別信号がエアコン制御ユニット2に対し出力されるようになっている。
次に、上記エアコン制御ユニット2の具体的な制御動作を、図4〜6、図13及び図17に示すフローチャートに基づいて説明する。この制御は、車両のイグニッションスイッチがONとなったときにスタートし、所定サイクルで繰り返されるようになっている。
車両のイグニッションスイッチがONにされると、図4に示すフローチャートのステップSA1に進み、エアコン制御ユニット2の空調制御部2aは、上記センサ37、65〜67、74やスイッチ68〜73からの信号を読み込む。その後、ステップSA2に進んで、目標車室内温度を演算する。目標車室内温度は、温度設定スイッチ68の設定温度を含む空調条件に基づいて決定されるようになっている。そして、空調制御部2aにおいては、エバセンサ37やエンジン水温センサ74等の入力信号を考慮してエアミックスドア46の開度を演算し、エアミックスアクチュエータ48を作動させてエアミックスドア46を所望の開度とする。
しかる後、ステップSA3に進んで、吹出モードを選択し、この選択した吹出モードとなるように吹出モードアクチュエータ60を作動させるとともに、導入モードを選択し、この選択した導入モードとなるように内外気アクチュエータ28を作動させる。このステップSA3が本発明の動作モード切替手段である。尚、吹出モードと導入モードとは、同じタイミングで切り替えるようにしてもよいし、異なるタイミングで切り替えるようにしてもよい。
ステップSA3において吹出モードを選択する際には、夏場のように、外気センサ65により検出された外気温度が例えば約30℃以上で高く強めの冷房が必要な場合には、吹出モードをベントモードにし、導入モードを内気導入モードとする。吹出モードをベントモードにすることで、冷風が乗員の上半身に向けて直接供給され、また、導入モードを内気導入モードとすることで、車室外の空気よりも目標車室内温度に近い車室内の空気をケース20に取り込むことができ、効率の良い冷房が可能になる。また、外気温度が例えば約20℃で低く比較的弱めの冷房でよい場合には、吹出モードをバイレベルモードにし、導入モードを外気導入モードとする。一方、冬場のように、外気センサ65により検出された外気温度が例えば約10℃以下の低温で暖房が必要な場合には、吹出モードをヒートモードやヒートデフモードにし、導入モードを外気導入モードとする。導入モードを外気導入モードとすることで、乾燥した外気を車室に取り込んでウインドガラスの曇りが防止される。
次いで、ステップSA4に進み、送風量が設定され、この設定された送風量となるように、ブロアモータ33に印加される電圧が変更される。この送風量は、内気センサ66で検出された車室内温度と目標車室内温度との差が大きいほど増加する。そして、ステップSA5に進み、コンプレッサー36を作動させるか停止させるかを決定する。ステップSA5では、エアコンスイッチ70により設定されたエアコンモードがACモード又はECOモードとされているときにはコンプレッサー36を作動させ、OFFモードとされているときには、停止させる。ステップSA5においてコンプレッサー36を作動させるとした場合には、コンプレッサーON信号がエアコン制御ユニット2からエンジン制御ユニット3に出力され、このエンジン制御ユニット3によりコンプレッサー36の電磁クラッチが接続状態とされる。一方、停止させるとした場合には、コンプレッサーOFF信号がエアコン制御ユニット2からエンジン制御ユニット3に出力され、電磁クラッチが断状態となる。
以上のステップSA1からステップSA5での制御は空調制御部2aで行われており、ステップSA5に続くステップSA6での制御は、自動停止制御部2bにおいて行われる。この自動停止制御部2bでは、まず、図5のフローチャートに示すように、ステップSB1において、エアコンモード、吹出モード及び外気温度に基づいて第1アイドリング停止時間(ISMAX)が設定される。詳しくは、図6のフローチャートに示すように、まず、ステップSC1において、エアコンスイッチ70により設定されたエアコンモードが判定される。エアコンモードがACモード又はECOモードであると判定されると、ステップSC2に進んで吹出モードがどのモードにあるか判定される。ステップSC1においてエアコンモードがOFFモードであると判定されて進んだステップSC3においても、吹出モードがどのモードにあるか判定される。
ステップSC2において、吹出モードがベント(VENT)モードであると判定されると、ステップSC4に進む。このステップSC4においては、エアコンモードがACモード又はECOモードで、かつ吹出モードがベントモードであるときのデータテーブルを読み込み、外気センサ65で検出された外気温度に基づいて第1アイドリング停止時間(ISMAX)を得る。このデータテーブルは、グラフにすると、図7に示すようになり、外気温度が高くなるほど第1アイドリング停止時間(ISMAX)が短くなるように構成されている。これは、外気温度が高くなるほど高い冷房能力が要求されることに対応して、補機の駆動時間を短くするためである。具体的には、外気温度が例えば30℃以下では、30℃よりも高いときと比べて、第1アイドリング停止時間(ISMAX)が長く設定される。
ステップSC2において、吹出モードがバイレベル(B/L)モードであると判定されると、ステップSC5に進む。このステップSC5においては、エアコンモードがACモード又はECOモードで、かつ吹出モードがバイレベルモードであるときのデータテーブルを読み込み、外気センサ65で検出された外気温度に基づいて第1アイドリング停止時間(ISMAX)を得る。このデータテーブルは、グラフにすると、図8に示すようになり、外気温度が20℃付近にあるときに第1アイドリング停止時間(ISMAX)が最も長くなるように構成されている。また、このデータテーブルでは、外気温度が−10℃以下では、−10℃よりも高い場合に比べて、第1アイドリング停止時間(ISMAX)が短く設定され、また、外気温度が20℃以上の場合には、外気温度が高くなるほど、第1アイドリング停止時間(ISMAX)が短くなる。具体的には、外気温度が例えば20℃以上30℃以下の範囲にあるときには、30℃よりも高いときと比べて、第1アイドリング停止時間(ISMAX)が長く設定される。
ステップSC2において、吹出モードがヒート(HEAT)モード又はヒートデフ(H/D)モードであると判定されると、ステップSC6に進む。このステップSC6においては、エアコンモードがACモード又はECOモードで、かつ吹出モードがヒートモード又はヒートデフモードであるときのデータテーブルを読み込み、外気センサ65で検出された外気温度に基づいて第1アイドリング停止時間(ISMAX)を得る。このデータテーブルは、グラフにすると、図9に示すようになり、外気温度が約−5℃以下の低い領域では、−5℃よりも高い場合に比べて、第1アイドリング停止時間(ISMAX)が短く設定され、また、約35℃以上の高い領域では、第1アイドリング停止時間(ISMAX)が最長時間となるように構成されている。
また、上記ステップSC3において、吹出モードがベントモードであると判定されると、ステップSC7に進む。このステップSC7においては、エアコンモードがOFFモードで、かつ吹出モードがベントモードであるときのデータテーブルを読み込み、外気センサ65で検出された外気温度に基づいて第1アイドリング停止時間(ISMAX)を得る。このデータテーブルは、グラフにすると、図10に示すようになり、外気温度に関係なくアイドリング停止時間が最長時間となるように構成されている。
上記ステップSC3において、吹出モードがバイレベルモードであると判定されると、ステップSC8に進む。このステップSC8においては、エアコンモードがOFFモードで、かつ吹出モードがバイレベルモードであるときのデータテーブルを読み込み、外気センサ65で検出された外気温度に基づいて第1アイドリング停止時間(ISMAX)を得る。このデータテーブルは、グラフにすると、図11に示すようになり、外気温度が約20℃以上では、第1アイドリング停止時間(ISMAX)が最長時間となり、約−20℃以下では、−20℃よりも高い場合に比べて短くなるように構成されている。
上記ステップSC3において、吹出モードがヒートモード又はヒートデフモードであると判定されると、エアコンモードがOFFモードで、かつ吹出モードがヒートモード又はヒートデフモードであるときのデータテーブルを読み込み、外気センサ65で検出された外気温度に基づいて第1アイドリング停止時間(ISMAX)を得る。このデータテーブルは、グラフにすると、図12に示すようになり、外気温度が低い領域では、アイドリング停止時間が短く、高い領域では長くなるように構成されている。
つまり、吹出モードは、図4のフローチャートにおけるステップSA3において、強い冷房時、弱い冷房時及び暖房時に適した吹出モードとされるので、この吹出モードを検出することで、現在の車室の空調状態が得られる。そして、図6のフローチャートにおけるステップSC2及びSC3において吹出モードが検出され、吹出モード毎に設けられているデータテーブルによって、吹出モード別に第1アイドリング停止時間(ISMAX)が設定される。このように吹出モードを検出し吹出モードに基づいて第1アイドリング停止時間(ISMAX)を設定することにより、第1アイドリング停止時間(ISMAX)は、内気センサ66に設けられている時定数の影響を受けることなく、現在の車室の空調状態に適応した時間となる。上記ステップSC2及びSC3が本発明の動作モード検出手段である。尚、図示しないが、ステップSC2及びステップSC3において、吹出モードがベントモード、バイレベルモード、ヒートモード及びヒートデフモード以外のデフロスタモードである場合には、ENDに進み、第1アイドリング停止時間(ISMAX)を、設定可能な範囲で最も短い時間とする。
このようにして、第1アイドリング停止時間(ISMAX)が設定された後、図5のフローチャートのステップSB2に進み、吹出モード及び日射量により第2アイドリング停止時間(ISSRA)が設定される。詳しくは、図13のフローチャートに示すように、まず、ステップSD1において、吹出モードがどのモードにあるか判定される。
上記ステップSD1において、吹出モードがベントモードであると判定されると、ステップSD2に進む。このステップSD2においては、吹出モードがベントモードであるときのデータテーブルを読み込み、日射センサ67で検出された日射量に基づいて第2アイドリング停止時間(ISSRA)を得る。このデータテーブルは、グラフにすると、図14に示すようになり、日射量が多くなるほど第2アイドリング停止時間(ISSRA)が長くなるように構成されている。
上記ステップSD1において、吹出モードがバイレベルモードであると判定されると、ステップSD3に進む。このステップSD3においては、吹出モードがバイレベルモードであるときのデータテーブルを読み込み、日射センサ67で検出された日射量に基づいて第2アイドリング停止時間(ISSRA)を得る。データテーブルは、グラフにすると、図15に示すようになり、日射量が多くなるほど第2アイドリング停止時間(ISSRA)が長くなるように構成され、上記図14に示すデータテーブルに比べて、第2アイドリング停止時間(ISSRA)の最大値が小さく設定されている。
上記ステップSD1において、吹出モードがヒートモード又はヒートデフモードであると判定されると、ステップSD4に進む。このステップSD4においては、吹出モードがヒートモード又はヒートデフモードであるときのデータテーブルを読み込み、日射センサ67で検出された日射量に基づいて第2アイドリング停止時間(ISSRA)を得る。データテーブルは、グラフにすると、図16に示すようになり、日射量が多くなるほどアイドリング停止時間が長くなるように構成されている。このデータテーブルは、上記図15に示すデータテーブルと略同じである。
つまり、上記第1アイドリング停止時間(ISMAX)を設定する場合と同様に、吹出モードを検出し、これら吹出モード毎に設けられているデータテーブルによって、吹出モード別に第2アイドリング停止時間(ISSRA)が設定されるので、第2アイドリング停止時間(ISSRA)は、内気センサ66に設けられている時定数の影響を受けることなく、現在の車室の空調状態に適応した時間となる。第2アイドリング停止時間(ISSRA)を設定するモジュールのフローチャートにおけるステップSD1が、本発明の動作モード検出手段を構成している。尚、図示しないが、ステップSD1において、吹出モードがベントモード、バイレベルモード、ヒートモード及びヒートデフモード以外のデフロスタモードである場合には、ENDに進み、第2アイドリング停止時間(ISSRA)を、設定可能な範囲で最も短い時間とする。
このようにして、第2アイドリング停止時間(ISSRA)が設定された後、図5のフローチャートのステップSB3に進み、吹出モード及び導入モードにより第3アイドリング停止時間(ISRF)が設定される。詳しくは、図17のフローチャートに示すように、まず、ステップSE1において、導入モードがどのモードにあるか判定される。このステップSE1において、導入モードが内気導入(REC)モードとされると、ステップSE2に進む。このステップSE2では、吹出モードがどのモードにあるか判定される。
上記ステップSE2において、吹出モードがベントモードであると判定されると、ステップSE3に進む。このステップSE3においては、導入モードが内気導入モードで、かつ吹出モードがベントモードであるときのデータテーブルを読み込み、第3アイドリング停止時間(ISRF)を得る。
上記ステップSE2において、吹出モードがバイレベルモードであると判定されると、ステップSE4に進む。このステップSE4においては、導入モードが内気導入モードで、かつ吹出モードがバイレベルモードであるときのデータテーブルを読み込み、第3アイドリング停止時間(ISRF)を得る。
上記ステップSE2において、吹出モードがヒートモード又はヒートデフモードであると判定されると、ステップSE5に進む。このステップSE5においては、導入モードが内気導入モードで、かつ吹出モードがヒートモード又はヒートデフモードであるときのデータテーブルを読み込み、第3アイドリング停止時間(ISRF)を得る。尚、図示しないが、ステップSE2において、吹出モードがベントモード、バイレベルモード、ヒートモード及びヒートデフモード以外のデフロスタモードである場合には、ENDに進み、第3アイドリング停止時間(ISRF)を、設定可能な範囲で最も短い時間とする。
一方、上記ステップSE1において、外気導入モードであると判定されると、ステップSE6に進む。このステップSE6では、第3アイドリング停止時間(ISRF)を、設定可能な範囲で最も短い時間とする。
つまり、上記第3アイドリング停止時間(ISRF)を設定するモジュールのフローチャートにおけるステップSE1が内外気モードを検出する動作モード検出手段を構成し、また、ステップSE2が吹出モードを検出する動作モード検出手段を構成している。そして、内気導入モードと外気導入モードとで別のデータテーブルが設けられていることによって、導入モード別に第3アイドリング停止時間(ISRF)が設定される。さらに、吹出モード毎にデータテーブルが設けられていることによって、吹出モード別に第3アイドリング停止時間(ISRF)が設定される。これにより、第3アイドリング停止時間(ISRF)は、内気センサ66に設けられている時定数の影響を受けることなく、現在の車室の空調状態に適応した時間となる。
このようにして、第3アイドリング停止時間(ISRF)が設定された後、図5のフローチャートのステップSB4に進み、吹出モードがヒート又はヒートデフモードであるか否かが判定される。ステップSB4において吹出モードがヒート又はヒートデフモードであるYESと判定されて進んだSB5では、第1アイドリング停止時間(ISMAX)、第2アイドリング停止時間(ISSRA)及び第3アイドリング停止時間(ISRF)を加算してアイドリング停止時間(IS)を得る計算処理を行う。
上記ステップSB5では、吹出モードがヒート吹出口51を開いていて車室を暖房している状態であり、従って、日射量が多いと乗員は温かく感じフィーリングが良くなる。このため、日射量に基づいて設定された第2アイドリング停止時間(ISSRA)を加算してアイドリング停止時間(IS)を長くしても乗員の快適性が損なわれにくい。
一方、上記ステップSB4において吹出モードがヒート又はヒートデフモード以外のNOであると判定されて進んだステップSB6では、吹出モードがベント又はバイレベルモードであるか否かが判定される。ステップSB6において吹出モードがベント又はバイレベルモードであるYESと判定されて進んだステップSB7では、第1アイドリング停止時間(ISMAX)から第2アイドリング停止時間(ISSRA)を差し引いた値に第3アイドリング停止時間(ISRF)を加算する計算処理を行う。
上記ステップSB7では、吹出モードがベント吹出口50を開いていて車室を冷房している状態であり、従って、日射量が多いと乗員は暑く感じフィーリングが悪くなる。このため、日射量に基づいて設定された第2アイドリング停止時間(ISSRA)を減算してアイドリング停止時間(IS)を短くしている。
ステップSB6においてNOと判定されて吹出モードがデフロスタモードである場合には、ステップSB13に進んでアイドリング停止禁止信号の出力値を設定する。その後、図4に示すフローチャートのステップSA7に進んでアイドリング停止禁止信号の出力制御が行われる。このアイドリング停止禁止信号が入力された車両制御ユニット6は、エンジンのアイドリング停止を解除、即ち、エンジンがアイドリング停止状態にあれば始動させる。
ステップSB5又はSB7を経て進んだステップSB8においては、アイドリング停止時間(IS)が最短時間(ISMIN)以上であるか否かが判定される。最短時間(ISMIN)は、アイドリング停止直後の再始動によってエンジンや始動装置が損傷しないように、アイドリング停止直後から所定時間経過してからエンジンが始動されるようにするための短い時間である。この最短時間(ISMIN)は、エンジンや始動装置を保護するのに十分な時間であればよい。
ステップSB8において、アイドリング停止時間(IS)が最短時間(ISMIN)以上のYESであればステップSB9、SB10へ進み、ステップSB5又はステップSB7で計算したアイドリング停止時間(IS)を選択しアイドリング停止時間として確定する。一方、ステップSB8において、アイドリング停止時間(IS)が最短時間(ISMIN)未満のNOと判定されると、ステップSB11、SB10へ進み、最短時間(ISMIN)をアイドリング停止時間として確定する。
ステップSB10に続くステップSB12においては、外気センサ65で検出された外気温度がTa1以上であるか否かが判定される。Ta1は、例えば氷点下近傍の低い値に設定されており、従って、ステップSB12においては、冬場で強めの暖房が必要な状況であるか否かが判定される。ステップSB12において、外気温度がTa1未満であるNOと判定されると、強めの暖房を行うための熱源を確保すべく、ステップSB13に進んでアイドリング停止禁止信号の出力値を設定する。その後、図4に示すフローチャートのステップSA7に進んでアイドリング停止禁止信号の出力制御が行われる。一方、ステップSB12において、外気温度がTa1以上であるYESと判定されると、ステップSB15に進む。
上記ステップSB15においては、水温センサ74で検出されたエンジン冷却水温がTw1以上であるか否かが判定される。ステップSB15において、エンジン冷却水温がTw1未満であるNOと判定されると、エンジンの暖機が不十分であるとして、ステップSB13に進んでアイドリング停止禁止信号の出力値を設定する。その後、図4に示すフローチャートのステップSA7に進んでアイドリング停止禁止信号の出力制御が行われる。一方、ステップSB15において、エンジン冷却水温がTw1以上であるYESと判定されると、ステップSB16に進む。
上記ステップSB16においては、エアコン優先スイッチ73がONであるか否かが判定される。ステップSB16において、エアコン優先スイッチ73がONであるYESと判定されると、乗員が空調を優先したい状況であるため、ステップSB13に進んでアイドリング停止禁止信号の出力値を設定する。その後、図4に示すフローチャートのステップSA7に進んでアイドリング停止禁止信号の出力制御が行われる。一方、ステップSB16において、エアコン優先スイッチ73がOFFであるNOと判定されると、ステップSB17に進む。
上記ステップSB17においては、目標車室内温度から内気センサ66で検出された車室内温度を差し引いた値が−5℃以上であるか否かが判定される。ステップSB17でNOと判定されると、目標車室内温度と車室内温度との差が大きく車室が快適な状態となっていないため、ステップSB13に進んでアイドリング停止禁止信号の出力値を設定する。その後、図4に示すフローチャートのステップSA7に進んでアイドリング停止禁止信号の出力制御が行われる。一方、ステップSB17でYESと判定されると、ステップSB18に進む。
上記ステップSB18においては、目標車室内温度から内気センサ66で検出された車室内温度を差し引いた値が+5℃以下であるか否かが判定される。ステップSB18でNOと判定されると、目標車室内温度と車室内温度との差が大きく車室が快適な状態となっていないため、ステップSB13に進んでアイドリング停止禁止信号の出力値を設定する。その後、図4に示すフローチャートのステップSA7に進んでアイドリング停止禁止信号の出力制御が行われる。一方、ステップSB18でYESと判定されると、ステップSB19に進む。
上記ステップSB19においては、エンジンが停止中であるか否かが判定される。ステップSB19でYESと判定されると、ステップSB20に進み、アイドリング停止時間のカウントダウンが開始される。そして、ステップSB21に進み、アイドリング停止時間が0であるか否かが判定される。ステップSB21において、アイドリング停止時間が0であるYESと判定されると、ステップSB13に進んでアイドリング停止禁止信号の出力値を設定する。その後、図4に示すフローチャートのステップSA7に進んでアイドリング停止禁止信号の出力制御が行われる。一方、ステップSB21においてNOと判定されると、ステップSB22に進んでアイドリング停止許可信号の出力値を設定する。その後、図4に示すフローチャートのステップSA7に進んでアイドリング停止許可信号の出力制御が行われる。これにより、車両の停止条件が成立したときに、エンジンのアイドリングが上記ステップSB10で確定した時間だけ停止される。上記自動停止制御部2b及び車両制御ユニット6が、本発明のエンジン自動停止手段である。また、自動停止制御部2bは、ファンスイッチ72がOFFであるときのように空調装置1が作動していないときには、アイドリング停止許可信号を出力する。
以上説明したように、この実施形態に係る車両の制御装置Aによれば、空調装置1の吹出モード及び空気の導入モードを検出し、これらモードに基づいてエンジンのアイドリング停止時間を設定するようにしたので、内気センサ66の時定数の影響を受けることなく、現在の車室の空調状態に適したアイドリング停止時間を得ることができる。これにより、乗員に快適な空調を実現できるので、アイドリング停止機能が乗員により解除され難くなり、燃料消費量及び排気ガス排出量の低減効果を十分に得ることができる。
また、空調装置1の吹出モードを検出し、この吹出モード別にアイドリング停止時間を設定するようにしたので、現在の車室の空調状態を的確に把握して、その空調状態に適したエンジンのアイドリング停止時間を設定することができ、車室の空調をより一層快適にできる。
また、外気温度が所定温度、例えば約25℃以下で、しかも、吹出モードがベント吹出口50を開く吹出モードのように、弱めの冷房が要求されているときに、エンジンのアイドリング停止時間を、外気温度が25℃よりも高いときと比べて長く設定することができる。これにより、乗員の快適性を損なうことなく、燃料消費量及び排気ガス排出量を一層低減できる。
また、導入モードを検出することで、現在の車室の空調状態を的確に把握して、その空調状態に適したエンジンのアイドリング停止時間を設定することが可能になり、車室の空調をより一層快適にできる。
また、車室の空調状態に影響を及ぼす日射量によってアイドリング停止時間が変更されるので、車室の空調をより一層快適にできる。
また、エンジンのアイドリング停止時間を最短時間(ISMIN)以上としたので、アイドリング停止直後に再始動されることは無く、エンジンや始動装置の損傷を防止できる。
尚、自動停止手段は、エアコン制御ユニット2やエンジン制御ユニット3で構成してもよく、また、これら複数のユニットを組み合わせた装置で構成してもよい。