以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図3は、本発明の実施形態に係る車両(本実施形態では、乗用自動車)の制御装置100を示す。この車両の制御装置100は、図1にも示す空調装置1と、上記車両のエンジンの点火装置4や燃料噴射装置5等を制御するエンジン制御ユニット3と、このエンジン制御ユニット3に対しエンジンの停止及び再始動信号を出力する車両制御ユニット6とを備えている。空調装置1は、当該空調装置1の作動を制御するエアコン制御ユニット2を含む。
上記空調装置1は、図2に示す、上記車両の車室の前端部に配設されたインストルメントパネルIP内に収容されている。このインストルメントパネルIPの車幅方向略中央部には、空調装置1の操作パネルBが配設されている。そして、インストルメントパネルIPの車両後方における車両右側には、運転席(図示せず)が配設され、車両左側には、助手席(図示せず)が配設されている。インストルメントパネルIP上面の前端部には、上記車室内におけるフロントウインド(図示せず)の内面に向けて、空調装置1で生成された調和空気が吹き出すデフロスタ口7が開口している。また、インストルメントパネルIP上面の車幅方向両端部には、上記車室内におけるサイドウインド(図示せず)の内面に向けて、上記調和空気が吹き出すデミスタ口8がそれぞれ開口している。さらに、インストルメントパネルIPの車幅方向略中央部には、上記車室内における乗員の上半身に向けて、上記調和空気が吹き出すセンタベント口9が開口しているとともに、インストルメントパネルIPの車幅方向両端部にも、上記車室内における乗員の上半身に向けて、上記調和空気が吹き出すサイドベント口10が開口している。
図1に示すように、上記空調装置1は、樹脂材を成形してなるケース20を備えている。このケース20には、空気導入部21と温度調節部22と調和空気分配部23とが設けられている。尚、ケース20は、例えば、空気導入部21と温度調節部22と調和空気分配部23とに3分割されたものや、空気導入部21と、温度調節部22及び調和空気分配部23とに2分割されたもの(送風ユニットと空調ユニットとに2分割されたもの)であってもよい。
上記空気導入部21には、上記車室内で開口し車室内の空気をケース20内に取り入れるための内気導入口25と、車室外に連通するダクト(図示せず)に接続されて車室外の空気をケース20内に取り入れるための外気導入口26とが形成されている。空気導入部21の内部には、上記内気導入口25及び外気導入口26の一方を開いて他方を閉じる内外気切替ドア27が設けられている。この内外気切替ドア27は、ケース20の外面に固定された内外気アクチュエータ28(図3参照)により動作して、内気導入口25及び外気導入口26の一方を開き他方を閉じるようになっている。この内外気アクチュエータ28は、サーボモータを内蔵した周知の構造のものである。この内外気アクチュエータ28により、空気の導入モードを、内気のみをケース20に導入する内気導入モードと、外気のみをケース20に導入する外気導入モードとに切り替えることができるようになっている。
上記空気導入部21内における内外気切替ドア27の近傍には、ケース20内に取り入れられた空気を濾過するためのエアフィルタ31が配設され、このエアフィルタ31よりもケース20内の奥側には、内気導入口25又は外気導入口26より空気をケース20の空気導入部21内に導入して、そこから該空気を温度調節部22及び調和空気分配部23へと流す送風ファン32が配設されている。この送風ファン32は遠心式ファンであって、その回転軸が上下方向に延びるように配置されている。送風ファン32の下部には、該送風ファン32を回転駆動するためのブロアモータ33が配置されている。このブロアモータ33は、一部がケース20の外部に突出した状態で該ケース20に固定されている。以下、上記空気の流れ方向の上流側及び下流側をそれぞれ、単に上流側及び下流側という。
上記空気導入部21の下流側(図1の右側)に位置する温度調節部22内の上流部分には、冷却通路22aが形成されていて、この冷却通路22aには、ケース20内に導入された空気(つまり上記車室内への送風空気)を冷却する冷却用熱交換器としてのエバポレータ35が収容配置されている。このエバポレータ35と、上記エンジンにより駆動される補機としてのコンプレッサー36(図3参照)と、冷媒凝縮器(図示せず)と、膨張弁(図示せず)とで、周知の冷凍サイクルが構成されている。
エバポレータ35は、複数のチューブとフィン(共に図示せず)とを交互に並べて一体化したチューブアンドフィンタイプの熱交換器である。エバポレータ35には、熱媒体としての冷媒がクーラパイプ(図示せず)を介して給排され、この冷媒がチューブを流通するようになっている。エバポレータ35のフィン間を通過する空気がチューブを流通する冷媒と熱交換し、これによって該空気が冷却される。
エバポレータ35の直下流側には、エバポレータ35を通過した直後の空気の温度(エバポレータ35の温度と見做すことができる)を検出するための温度センサであるエバセンサ37が配設されている。このエバセンサ37は、冷却用熱交換器の温度を検出する冷却用熱交換器温度検出手段を構成することになる。尚、冷却用熱交換器温度検出手段としては、エバポレータ35の表面温度を直接検出するものであってもよい。
上記温度調節部22内における冷却通路22aの下流側には、冷却通路22aを流れてきた空気(エバポレータ35により冷却された空気)の一部又は全部が流れる加熱通路22bが形成されている。この加熱通路22bの上流端(加熱通路22bの入口)は、冷却通路22aの下流端に接続されている。加熱通路22bには、冷却通路22aを流れてきた空気(上記車室内への送風空気)を加熱する加熱用熱交換器としてのヒータコア43が収容配置されている。
ヒータコア43は、エバポレータ35と同様のチューブアンドフィンタイプの熱交換器である。ヒータコア43には、上記エンジンにより駆動される補機としてのウォーターポンプ(図示せず)から熱媒体としてのエンジン冷却水がヒータパイプ(図示せず)を介して給排されるようになっている。このヒータコア43を通過する空気がチューブを流通するエンジン冷却水と熱交換し、これによって該空気が加熱される。
ヒータコア43の直下流側には、ヒータコア43を通過した直後の空気の温度(ヒータコア43の温度と見做すことができる)を検出するための温度センサからなるヒータコアセンサ38が配設されている。このヒータコアセンサ38は、加熱用熱交換器の温度を検出する加熱用熱交換器温度検出手段を構成することになる。尚、加熱用熱交換器温度検出手段としては、ヒータコア43の表面温度を直接検出するものであってもよい。
加熱通路22bの側方には、冷却通路22aを流れてきた空気の一部又は全部を、加熱通路22b(ヒータコア43)をバイパスして流すバイパス通路44が形成されている。このバイパス通路44の上流端も冷却通路22aの下流端に接続されている。そして、冷却通路22aを流れてきた空気の一部が加熱通路22bへと流れた場合、その残りの空気がバイパス通路44を流れることになる。バイパス通路44は、冷却通路22aの一部と見做すことができ、この場合、加熱通路22bは、冷却通路22aにおけるエバポレータ35の下流側の部分から分岐したことになる。
上記加熱通路22b及びバイパス通路44(冷却通路22a)の下流端は、該加熱通路22b及びバイパス通路44(冷却通路22a)からの空気が混合されて上記車室内へ送風される調和空気が生成されるエアミックス空間45に連通している。このエアミックス空間45で混合されて得られた調和空気の温度は、バイパス通路44(冷却通路22a)を流れてきた空気と、加熱通路22bを流れてきた空気との流量割合で決まる。この流量割合は、加熱通路22bの入口に設けられかつ該入口の開度を変更するエアミックスドア46により調節することができる。すなわち、エアミックスドア46は、加熱通路22bの入口の開度を変更して、上記調和空気の温度を調整する。
エアミックスドア46は、ケース20の外面に固定されたエアミックスアクチュエータ48(図3参照)により動作するようになっている。エアミックスアクチュエータ48は、上記内外気アクチュエータ28と同様に構成されている。エアミックスアクチュエータ48を動作させてエアミックスドア46による加熱通路22b入口の開度(以下、エアミックスドア46の開度という)を変更することにより、バイパス通路44の空気流量と加熱通路22bの空気流量との割合が変更され、その結果、エアミックス空間45で混合されて得られる上記調和空気の温度が変更される。エアミックスドア46の開度が0%であるときには、加熱通路22b入口が全閉とされて、冷却通路22aを流れてきた空気の全部がバイパス通路44へと流れる。一方、エアミックスドア46の開度が100%であるときには、加熱通路22b入口が全開とされて、冷却通路22aを流れてきた空気の全部が加熱通路22bへと流れる。エアミックスドア46の開度は、0%〜100%の間で任意の値に設定することが可能である。
上記温度調節部22(エアミックス空間45)の下流側には、エアミックス空間45における上記調和空気をデフロスタ口7やセンタベント口9等に分配する調和空気分配部23が位置している。調和空気分配部23の内部には、エアミックス空間45から分岐して延びるベント通路47、ヒート通路49及びデフロスタ通路59が形成されている。ベント通路47の下流端は、ケース20の外面にベント吹出口50として開口し、ヒート通路49の下流端は、ケース20の外面にヒート吹出口51として開口し、デフロスタ通路59の下流端は、ケース20の外面にデフロスタ吹出口52として開口している。
ベント吹出口50には、インストルメントパネルIPのセンタベント口9及びサイドベント10に連通するベントダクト53の上流端が接続されている。また、ヒート吹出口51には、複数のヒートダクト54(図2にその一部を示す)の上流端が接続され、こられヒートダクト54の下流端(開口)は、前席乗員(運転席乗員及び助手席乗員)の足下及び後席乗員の足下近傍に位置している。また、デフロスタ吹出口52には、インストルメントパネルIPのデフロスタ口7及びデミスタ口8に連通するデフロスタダクト55の上流端が接続されている。上記ベント通路47、ヒート通路49及びデフロスタ通路59は、調和空気分配部23の内部に配設されたベントドア56、ヒートドア57及びデフロスタドア58によりそれぞれ開閉されるようになっている。
上記ベントドア56、ヒートドア57及びデフロスタドア58は、図示しないが、リンク部材によって互いに連結されており、後述の吹出モードを切り替えるための吹出モードアクチュエータ60(図3参照)により互いに連動して動作するようになっている。上記吹出モードアクチュエータ60は、上記内外気アクチュエータ28と同様にサーボモータを内蔵した周知の構造のものであり、ケース20の外面に固定されている。
上記空調装置1は、図3に示すように、エンジン水温センサ64、外気センサ65、内気センサ66及び日射センサ67を備えている。エンジン水温センサ64は、エンジン冷却水の温度を検出するための温度センサである。外気センサ65は、車両周囲の外気温度を検出するための温度センサであって、フロントグリル(図示せず)近傍やドアミラー(図示せず)近傍等の車室外に配設されている。上記内気センサ66は、車室内温度を検出するための温度センサであって、インストルメントパネルIPの運転席側に配設されている(図2参照)。上記日射センサ67は、車室内に差し込んでくる太陽光の強さである日射量を検出するためのものであって、インストルメントパネルIPの前端部に配設されている(図2参照)。
上記インストルメントパネルIPの操作パネルBには、図3に示すように、温度設定スイッチ68、吹出モードスイッチ69、エアコンスイッチ70、内外気切替スイッチ71、ファンスイッチ72、エアコン優先スイッチ73、DEFスイッチ80及びオートスイッチ81が配設されている。
上記温度設定スイッチ68は、上記車両の乗員が車室内温度を所望の温度に設定するために操作するスイッチである。この温度設定スイッチ68は、上記車両の乗員の操作により設定された設定温度を検出する設定温度検出手段を構成する。
上記吹出モードスイッチ69は、上記調和空気の吹出モードを乗員が選択するために操作するスイッチである。この吹出モードとしては、センタベント口9及びサイドベント口10から調和空気が吹き出すベントモードと、センタベント口9及びサイドベント口10に加えて、ヒートダクト54の下流側開口からも調和空気が吹き出すバイレベルモードと、ヒートダクト54の下流側開口から調和空気が吹き出すヒートモードと、デフロスタ口7、デミスタ口8及びヒートダクト54の下流側開口から調和空気が吹き出すヒートデフモードと、デフロスタ口7及びデミスタ口8から調和空気が吹き出すデフロスタモードとがある。後述の自動空調モードでは、ヒートデフモード及びデフロスタモードになるのは、上記エンジン水温センサ64により検出されたエンジン冷却水の温度が所定値以下であるエンジン冷間時であり、エンジン冷却水の温度が上記所定値よりも高いエンジン温間時であるときには、ベントモード、バイレベルモード及びヒートモードのいずれかとなる(但し、DEFスイッチ80がONになったときには、デフロスタモードになる)。上記エンジン冷間時には、後述のエンジンの自動停止はなされない。このため、後に説明するエアコン制御ユニット2の制御では、エンジン温間時の制御について説明する。尚、エンジン温間時であっても、DEFスイッチ80がONであるとき等のように、後述の第1アイドリング停止判定によりアイドリング停止禁止と判定されたときにも、エンジンの自動停止はなされない。
上記エアコンスイッチ70は、上記車両の乗員が、冷凍サイクルのコンプレッサー36の動作モードを設定するために操作するスイッチであって、コンプレッサー36を通常運転させるA/Cモードを選択するためのA/Cポジションと、弱冷房でよい場合のエコノミーモード(ECOモード)を選択するためのECOポジションと、コンプレッサー36を運転させないOFFモードを選択するためのOFFポジションとを備えており、乗員が3つのポジションから任意の1つを選択できるようになっている。
上記内外気切替スイッチ71は、上記車両の乗員が、空気の導入モードを内気導入モードと外気導入モードとに切り替えるために操作するスイッチである。
上記ファンスイッチ72は、上記車両の乗員が、空調装置1を作動状態にするか、又は非作動状態にするかを選択するために操作するスイッチである。ファンスイッチ72をONにすると、空調装置1が作動し、OFFにすると、空調装置1の作動が停止する。また、ファンスイッチ72は、ON状態であるときに、上記車両の乗員が操作することで、送風ファン32による送風量を多段階に増減させることも可能である。
上記エアコン優先スイッチ73は、上記車両の乗員が、空調装置1の作動を優先して上記エンジンを後述の如く自動停止させないようにする(エアコン優先モードにする)ために操作するスイッチである。すなわち、この車両においては、エアコン優先モードにすることで、エンジンの自動停止(アイドリング停止)機能を解除することができるようになっている。
上記DEFスイッチ80は、上記車両の乗員が、フロントウインドやサイドウインドが曇ったときにその曇を晴らすために操作するスイッチであって、該DEFスイッチ80をONにすると、吹出モードがデフロスタモードとなりかつ風量が増大されるようになっている。
上記オートスイッチ81は、上記車両の乗員が、自動空調モードと手動モードとの一方を選択するために操作するスイッチである。自動空調モードが選択されたときには、吹出モード、導入モード及び送風量が、車室の空調状態に応じて自動的に設定される。一方、手動モードが選択されたときには、吹出モード、導入モード及び送風量が、それぞれ、吹出モードスイッチ69、内外気切替スイッチ71及びファンスイッチ72により設定(選択)された吹出モード、導入モード及び送風量となる。
上記エアコン制御ユニット2は、図示しないが、中央演算処理装置、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、入出力ポート等を有しており、車載バッテリー(図示せず)から電力供給を受けて作動するようになっている。エアコン制御ユニット2の入出力ポートには、上記各スイッチ68〜73,80,81及び上記各センサ37,38,64〜67が信号線を介して接続されているとともに、ブロアモータ33及び各アクチュエータ28,48,60が信号線を介して接続されている。そして、エアコン制御ユニット2は、上記各スイッチ68〜73,80,81及び上記各センサ37,38,64〜67からの情報を入力して、該入力情報に基づいて、ブロアモータ33及び各アクチュエータ28,48,60の作動を制御する。
上記エンジン制御ユニット3には、点火装置4、燃料噴射装置5及びコンプレッサー36が信号線を介して接続されている。コンプレッサー36には、エンジンに対して機械的に連結したり非連結にしたりする電磁クラッチが設けられており、この電磁クラッチの断接制御がエンジン制御ユニット3により行われる。電磁クラッチが接続状態にあるときには、エンジンの動力がコンプレッサー36に伝達される一方、電磁クラッチが切断状態にあるときには、エンジンの動力がコンプレッサー36に伝達されないようになっている。
エアコン制御ユニット2とエンジン制御ユニット3とは、信号線を介して接続されている。エアコン制御ユニット2がコンプレッサー36を作動させる必要があると判断したときには、コンプレッサーON信号をエンジン制御ユニット3に送信し、このコンプレッサーON信号を受けたエンジン制御ユニット3が、コンプレッサー36の電磁クラッチを接続状態にする一方、エアコン制御ユニット2がコンプレッサー36を作動させる必要がないと判断したときには、コンプレッサーOFF信号をエンジン制御ユニット3に送信し、このコンプレッサーOFF信号を受けたエンジン制御ユニット3が、電磁クラッチを切断状態にするようになっている。
エアコン制御ユニット2は、オートスイッチ81により自動空調モードが選択されている場合には、所定のプログラムに従って、主として温度設定スイッチ68、外気センサ65、内気センサ66及び日射センサ67からの入力情報に基づいて、エアミックスドア46の開度を決定して、この開度になるようにエアミックスアクチュエータ48を制御するとともに、該開度に対応して予め定められた吹出モードになるように吹出モードアクチュエータ60を制御する。尚、エアミックスドア46の開度の決定は、少なくとも温度設定スイッチ68からの入力情報に基づいて行えばよい(特に、手動モードでは、温度設定スイッチ68からの入力情報に基づいてエアミックスドア46の開度を決定すればよい)。
図10に示すように、上記吹出モードの切替えのために、エアミックスドア46の開度として、第1設定開度A、第2設定開度B及び第3設定開度Cが予め設定されている。これら値の大きさは、第1設定開度A、第2設定開度B及び第3設定開度Cの順に大きくなる。そして、エアミックスドア46の開度が第1設定開度A以下であるときには、ベントモードとなり、上記開度が第1設定開度Aよりも大きくかつ第2設定開度B以下であるときには、ベントモード又はバイレベルモードとなり、上記開度が第2設定開度Bよりも大きくかつ第3設定開度C以下であるときには、バイレベルモード又はヒートモードとなり、上記開度が第3設定開度Cよりも大きいときには、ヒートモードとなる。ここで、ベントモードとバイレベルモードとの間の切替えにあたっては、乗員の空調フィーリングを向上させるために、吹出モードの切替えの境界値にヒステリシスが設けられており、バイレベルモードからベントモードへの切替えは、上記開度が第1設定開度A以下になったときに行われ、ベントモードからバイレベルモードへの切替えは、上記開度が第2設定開度Bよりも大きくなったときに行われる。また、バイレベルモードとヒートモードとの間の切替えについても、同様であり、ヒートモードからバイレベルモードへの切替えは、上記開度が第2設定開度B以下になったときに行われ、バイレベルモードからヒートモードへの切替えは、上記開度が第3設定開度Cよりも大きくなったときに行われる。第2設定開度Bは、50%ないしそれに近い値であり、上記開度が第2設定開度B以下であるときには、基本的に冷房を行い、第2設定開度Bよりも大きいときには、基本的に暖房を行うことになる。尚、ヒートモードからバイレベルモードへの切替えを、上記開度が第4設定開度D(第2設定開度Bよりも大きくかつ第3設定開度Cよりも小さい値に設定される)以下になったときに行うようにしてもよい。ヒステリシスの幅は、エアミックスドア46の開度で、例えば5%〜10%程度である。
また、エアコン制御ユニット2は、後述の如くエンジンが自動停止されているときに、エバセンサ37及びヒータコアセンサ38並びに温度設定スイッチ68からの入力情報と、該自動停止前における吹出空気(上記調和空気)の予測温度とに基づいて、エンジンを再始動させるか否かを決定する。
上記車両制御ユニット6には、上記車両の車速を検出する車速センサ76及びブレーキペダルの踏み込み操作を検出するブレーキスイッチ77が信号線を介して接続されている。また、車両制御ユニット6と上記エアコン制御ユニット2とは信号線で接続されており、エアコン制御ユニット2からは、該エアコン制御ユニット2で生成されたアイドリング停止許可信号及び禁止信号のうちの一方の信号が出力されて車両制御ユニット6に入力されるようになっている。ファンスイッチ72がOFF状態では、アイドリング停止許可信号がエアコン制御ユニット2から車両制御ユニット6へ出力される。また、車両制御ユニット6からは、エンジンが自動停止しているか否かの判別信号がエアコン制御ユニット2に対し出力されるようになっている。
車両制御ユニット6は、所定のエンジン停止条件が成立したときにおいて、エアコン制御ユニット2からのアイドリング停止許可信号を入力している限り、上記エンジンを自動停止させる。上記所定のエンジン停止条件は、本実施形態では、ブレーキスイッチ77によりブレーキペダルの踏み込み操作が検出され、かつ車速センサ76により検出された車速が0であるという条件である。尚、車両制御ユニット6がエンジンを自動停止させる場合には、エンジン制御ユニット3に対して停止信号を出力して、点火装置4や燃料噴射装置5を非作動状態にさせる。
また、車両制御ユニット6は、エンジンを自動停止させた後、例えばブレーキペダルの踏み込みが解放されたりアクセルペダルが踏み込まれたりする等といった、車両のアクセルペダル又はブレーキペダルの操作に関する所定のエンジン再始動条件が成立したときには、該自動停止させたエンジンを再始動させる。本実施形態では、所定のエンジン再始動条件は、ブレーキスイッチ77によりブレーキペダルの踏み込みが解放されたという条件である。車両制御ユニット6は、所定のエンジン再始動条件が成立したときには、エンジン制御ユニット3に対して再始動信号を出力して、エンジンを再始動させる。
さらに、車両制御ユニット6は、エンジンの自動停止中でかつ空調装置1の作動中(ファンスイッチ72がON状態)において、エアコン制御ユニット2からアイドリング停止禁止信号を入力したときには、上記所定のエンジン再始動条件が不成立であっても、エンジンを再始動させる(エンジン制御ユニット3に対して再始動信号を出力する)。一方、エンジンの自動停止中でかつ空調装置1の作動中において、エアコン制御ユニット2からアイドリング許可信号を入力したときには、そのまま自動停止を継続する。但し、アイドリング停止許可信号に拘わらず、上記所定のエンジン再始動条件が成立したときには、エンジンを再始動させる。
次に、空調装置1の作動中におけるエアコン制御ユニット2の具体的な制御動作を、図4に示すフローチャートに基づいて説明する。この制御は、所定時間(例えば数十ms)毎に繰り返し行われる。
最初のステップSA1において、エアコン制御ユニット2は、上記各センサ37,38,64〜67や上記各スイッチ68〜73,80,81からの信号を読み込む。
その後、ステップSA2に進んで、エアミックスドア46の制御を行う。すなわち、温度設定スイッチ68による設定温度を含む空調状態(自動空調モードでは、外気センサ65、内気センサ66及び日射センサ67による検出値を考慮する)に基づいて、目標車室内温度を演算して、この目標車室内温度からエアミックスドア46の開度を演算し、この開度になるようにエアミックスアクチュエータ48を作動させる。
しかる後、ステップSA3に進んで、吹出モード及び導入モード制御を行う。すなわち、自動空調モードでは、上記エアミックスドア46の開度に対応して上記の如く予め定められた吹出モードになるように吹出モードアクチュエータ60を作動させる。また、外気温度や車室内温度を考慮して、導入モードを決定して、その決定した導入モードになるように内外気アクチュエータ28を作動させる。
例えば、夏場のように、外気センサ65により検出された外気温度が30℃以上と高くて強めの冷房が必要な場合には、吹出モードがベントモードとなり、導入モードが内気導入モードとなる。吹出モードをベントモードにすることで、冷風が乗員の上半身に向けて直接供給され、また、導入モードを内気導入モードとすることで、車室外の空気よりも目標車室内温度に近い車室内の空気をケース20に取り込むことができ、効率の良い冷房が可能になる。また、外気温度が約20℃であって比較的弱めの冷房でよい場合には、吹出モードがバイレベルモードとなり、導入モードが外気導入モードとなる。一方、冬場のように、外気センサ65により検出された外気温度が10℃以下の低温であって暖房が必要な場合には、吹出モードがヒートモードとなり、導入モードが外気導入モードとなる。導入モードを外気導入モードとすることで、乾燥した外気を車室に取り込んでウインドガラスの曇りを防止することができる。
次いで、ステップSA4に進み、送風ファンの制御を行う。すなわち、自動空調モードでは、内気センサ66により検出された車室内温度と上記目標車室内温度との差から送風量を演算し、この送風量となるように、ブロアモータ33に印加される電圧を変更する。上記送風量は、上記車室内温度と上記目標車室内温度との差が大きいほど、大きくされる。
そして、ステップSA5に進み、コンプレッサー36を作動させるか停止させるかを決定する。すなわち、エアコンスイッチ70により設定されたエアコンモードがA/Cモード又はECOモードとされているときにはコンプレッサー36を作動させ、OFFモードとされているときには、コンプレッサー36を停止させる。ステップSA5においてコンプレッサー36を作動させるとした場合には、コンプレッサーON信号がエアコン制御ユニット2からエンジン制御ユニット3に出力され、このエンジン制御ユニット3によりコンプレッサー36の電磁クラッチが接続状態とされる。一方、コンプレッサー36を停止させるとした場合には、コンプレッサーOFF信号がエアコン制御ユニット2からエンジン制御ユニット3に出力されて、電磁クラッチが切断状態となる。
エアコンモードがA/Cモード又はECOモードとされているとき、コンプレッサー36を常時作動させるのではなく、図5に示すように、エバセンサ37による検出温度に応じて、コンプレッサー36の作動(コンプレッサーON信号の出力)と停止(コンプレッサーOFF信号の出力)とを繰り返す。すなわち、コンプレッサーON信号は、エバセンサ37による検出温度がTof+Diff(℃)となったときに出力され、コンプレッサーOFF信号は、エバセンサ37による検出温度がTof(℃)になったときに出力されるようになっている。したがって、エバポレータ37の温度は、少なくとも、Tof(℃)とTof+Diff(℃)との間で変化している。
図4のステップSA5に続くステップSA6では、アイドリング停止の許可/禁止判定を行う。このアイドリング停止の許可/禁止判定の詳細なフローチャートは、図6に示すようになっている。
最初のステップSB1では、アイドリング停止最短時間(ISMIN)が設定される。このアイドリング停止最短時間は、通常は、予め決められた基準時間に設定されるが、後述の如く、基準時間にISset(秒)を加えた時間に設定される場合がある。上記基準時間は、エンジンの自動停止後直ぐに上記所定の条件が成立して乗員が不快感を感じ始めても、我慢ができる程度の比較的短い時間に設定されるとともに、エンジンの自動停止直後の再始動によってエンジンや始動装置が損傷しないようにすることも考慮して設定される。例えば、基準時間は、外気センサ65により検出された外気温度が0℃未満か又は35℃以上であれば、5秒とされ、0℃以上35℃未満であれば、10秒程度に設定される。
ステップSB1に続くステップSB2では、詳細は後述するが、第1アイドリング停止判定が行われる。ステップSB2でアイドリング停止許可と判定されれば、続くステップSB3に進む。ステップSB2でアイドリング停止禁止と判定されれば、ステップSB8に進む。
ステップSB2に続くステップSB3では、ベント吹出口50、ヒート吹出口51又はデフロスタ吹出口52から吹き出す吹出空気の予測温度Tiを算出する。これについては後述する。
ステップSB3で吹出空気の予測温度Tiを算出した後、ステップSB4に進む。ステップSB4では、アイドリング停止中(エンジンの自動停止中)であるか否かを判定する。ステップSB4でNOと判定されてアイドリング停止中でない場合には、ステップSB7に進む。
一方、ステップSB4でYESと判定されてアイドリング停止中である場合には、ステップSB5に進み、後述する第2アイドリング停止判定を行う。ステップSB5の第2アイドリング停止判定でアイドリング停止禁止と判定されれば、ステップSB6に進む。一方、ステップSB5でアイドリング停止許可と判定されれば、ステップSB7に進む。ステップSB7では、アイドリング停止許可信号の出力値を設定する。そして、このアイドリング停止許可信号が、図4のフローチャートのステップSA6に続くステップSA7で車両制御ユニット6へ出力される。
また、図6に示すフローチャートのステップSB5でアイドリング停止禁止と判定されて進んだステップSB6では、エンジンの自動停止からの時間であるアイドリング停止時間(IS)がアイドリング停止最短時間(ISMIN)以上であるか否かが判定される。ISがISMIN以上であれば、ステップSB8に進み、このステップSB8では、アイドリング停止禁止信号の出力値を設定する。そして、このアイドリング停止禁止信号が、図4のフローチャートのステップSA6に続くステップSA7で車両制御ユニット6へ出力される。
ステップSB6でNOと判定されれば、ステップSB7に進む。すなわち、上記所定のエンジン再始動条件が不成立の状態で、第2アイドリング停止判定でアイドリング停止禁止と判定されても、エンジンの自動停止からアイドリング停止最短時間(ISMIN)が経過していないときには、該エンジンの自動停止を該アイドリング停止最短時間が経過するまで継続させる。
次に、図6のフローチャートのステップSB2で行われる第1アイドリング停止判定の詳細について、図7のフローチャートに基づいて説明する。
最初のステップSC1では、エバセンサ37、ヒータコアセンサ38、エンジン水温センサ64、外気センサ65、内気センサ66及び日射センサ67に異常がなく、信号が正規の状態で出力されているか否かを判定する。ステップSC1でYESと判定されて、これらセンサ37,38,64〜67の1つでも異常がある場合には、正常な制御が行えないので、アイドリング停止禁止と判定する。ステップSC1でNOと判定されれば、センサ37,38,64〜67が正常であるので、続くステップSC2に進む。ここで、他のセンサから明らかに異常であると見なせる検出値を示したり全くあり得ない検出値を示したりするセンサや、検出値が全く変化しないセンサを、異常であると判定する。
ステップSC2においては、外気センサ65で検出された外気温度がTa1よりも高く、かつ、Ta2よりも低いか否かが判定される。Ta1は、例えば氷点下近傍の低い値に設定され、また、Ta2は、例えば50℃程度の高い値に設定されている。したがって、ステップSC2においては、冬場で強めの暖房が必要な状況であるか否か、又は、炎天下のように強めの冷房が必要であるか否かが判定されることになる。外気温度がTa1以下であれば、ステップSC2でNOと判定され、強めの暖房を行うための熱源を確保すべく、アイドリング停止禁止と判定する。また、外気温度がTa2以上であれば、ステップSC2でNOと判定され、強めの冷房を行うために、アイドリング停止禁止と判定する。
一方、ステップSC2において、外気温度がTa1よりも高く、かつ、Ta2よりも低いYESと判定されると、ステップSC3に進む。
ステップSC3においては、エアコン優先スイッチ73がONであるか否かが判定される。ステップSC3において、エアコン優先スイッチ73がONであるYESと判定されると、乗員が空調を優先したい状況であるため、アイドリング停止禁止と判定する。一方、ステップSC3において、エアコン優先スイッチ73がOFFであるNOと判定されると、ステップSC4に進む。
ステップSC4では、DEFスイッチ80がONであるか否かが判定される。ステップSC4において、DEFスイッチ80がONであるYESと判定されると、窓の曇を晴らしたい状況であるため、アイドリング停止禁止と判定する。一方、ステップSC4において、DEFスイッチ80がOFFであるNOと判定されると、ステップSC5に進む。
ステップSC5においては、目標車室内温度から、内気センサ66により検出された車室内温度を引いた値が−5℃以上であるか否かが判定される。ステップSC5でNOと判定されると、目標車室内温度と車室内温度との差が大きく車室が快適な状態となっていないため、アイドリング停止禁止と判定する。一方、ステップSC5でYESと判定されると、ステップSC6に進む。
ステップSC6においては、目標車室内温度から、内気センサ66により検出された車室内温度を引いた値が+5℃以下であるか否かが判定される。ステップSC6でNOと判定されると、目標車室内温度と車室内温度との差が大きく車室が快適な状態となっていないため、アイドリング停止禁止と判定する。一方、ステップSC6でYESと判定されると、アイドリング停止許可と判定する。
上記第1アイドリング停止判定でアイドリング停止禁止と判定された場合には、エアコン制御ユニット2から車両制御ユニット6へアイドリング停止禁止信号が出力されて、車両制御ユニット6は、所定のエンジン停止条件が成立しても、エンジンを自動停止させないことになる。
次に、図6のフローチャートにおけるステップSB3で行われる吹出空気の予測温度Tiを得る手順について、図8のフローチャートに基づいて説明する。
最初のステップSD1では、吹出空気の温度予測に必要な各種パラメータを読み込む。このパラメータとしては、エバセンサ37による検出値、ヒータコアセンサ38による検出値、及び、エンジンの自動停止前のエアミックスドア46の開度である。
ステップSD1に続くステップSD2では、エアコンスイッチ70により設定されたコンプレッサー36の動作モードを判定する。ステップSD2において、コンプレッサー36の動作モードがA/Cモード又はECOモードであると判定されると、ステップSD3に進む。
ステップSD3では、図示するような右上がりの直線グラフに基づいて、吹出空気の予測温度を算出する。このグラフの横軸は、エアミックスドア46の開度を百分率で表しており、縦軸は、温度(℃)を表している。
A点のエアミックスドア46の開度は0%で、温度はコンプレッサーOFF信号を出力するときの温度Tof(例えば、4℃)である。エアミックスドア46の開度が0%ということは、最大冷房時であって加熱通路22b入口が全閉となっており、ケース20内に導入された空気はエバポレータ35のみを通過することになる。この予測時には、温度をTofに固定してA点が動かないようにしている。その理由は、上述のようにコンプレッサー36が作動と停止とを繰り返すとエバポレータ35の温度状態が変化することになるが、その変化する温度状態を吹出空気の温度予測に使うと、予測ロジックが煩雑になることが考えられ、これを回避するためである。
また、B点のエアミックスドア46の開度は100%で、温度は、エンジンの自動停止前にヒータコアセンサ38により検出された温度Th1である。エアミックスドア46の開度が100%ということは、最大暖房時であり、加熱通路22b入口が全開とされているので、吹出空気の温度は、ヒータコアセンサ38による検出温度と略同じになる。
そして、吹出空気の予測温度Tiは、次式で算出することができる。
Ti(℃)=Tof+tanθ1×MIXac
tanθ1=(Th1−Tof)/100
ここで、MIXac(%)は、エンジンの自動停止直前のエアミックスドア46の開度である。
ステップSD3に続くステップSD4において、ステップSD3で算出された温度を、自動停止前の吹出空気の予測温度Tiとして決定する。
一方、ステップSD2においてコンプレッサー36の動作モードがOFFモードであると判定されると、ステップSD5に進む。ステップSD5では、図示するような右上がりの直線グラフに基づいて吹出空気の温度を予測する。このグラフの横軸及び縦軸は、ステップSD3のものと同じである。C点のエアミックスドア46の開度は0%で、温度は、自動停止前のエバセンサ37から出力された温度Tmである。エアミックスドア46の開度が0%のときの吹出空気の温度は、エバセンサ37による検出温度と略同じになる。また、D点のエアミックスドア46の開度及び温度は、ステップSD3におけるB点と同じである。
そして、吹出空気の予測温度Tiは、次式で算出することができる。
Ti(℃)=Tm+tanθ2×MIXac
tanθ2=(Th1−Tm)/100
ステップSD5に続くステップSD4において、ステップSD5で算出された温度を、自動停止前の吹出空気の予測温度Tiとして決定する。
上記のようにして得られた吹出空気の予測温度Tiは、図6に示すフローチャートのステップSB5の第2アイドリング停止判定で用いられる。
次に、図6に示すフローチャートのステップSB5の第2アイドリング判定の詳細手順について、図9に示すフローチャートに基づいて説明する。
最初のステップSE1では、エアミックスドア46の開度が所定開度以下であるか否かを判定する。本実施形態では、上記所定開度は、上記第2設定開度Bと同じ値に設定される。すなわち、エアミックスドア46の開度が所定開度以下である場合には、基本的に冷房中である。ステップSE1でYESと判定されると、ステップSE2に進む。
ステップSE2では、コンプレッサー36の動作モードを判定する。ステップSE2でコンプレッサー36の動作モードがA/Cモード又はECOモードであると判定されると、ステップSE3に進み、エバセンサ37により検出されたエバポレータ35の温度と、吹出空気の予測温度Tiにα3(正の値)を加えた値とを比較し、エバポレータ35の温度(エンジンの自動停止から徐々に上昇していく)がTi+α3以上であるか否か判定する。尚、α3は、乗員の空調フィーリング等に基づいて、予測温度Tiを微調整するための温度であり、0としてもよい。尚、後述のα4及びβ8(いずれも正の値)も、α3と同様である。
ステップSE3でYESと判定されてエバポレータ35の温度がTi+α3以上であるときには、アイドリング停止禁止と判定する。すなわち、エバポレータ35の温度がTi+α3以上であるということは、ケース20内に導入した空気を十分に冷却できないということであり、乗員が望む冷房を行うことができないので、乗員に不快感を与えないようにするべくエンジンを再始動させる。
ステップSE3でNOと判定されると、ステップSE5に進んで内外気モードを判定する。ステップSE5で内外気モードが外気モードであると判定されるとステップSE6に進み、エバセンサ37により検出されたエバポレータ35の温度が所定温度Te1以上であるか否かを判定する。この所定温度Te1は、25℃程度に設定しておくのが好ましい。ステップSE6でYESと判定されてエバポレータ35の温度が所定温度Te1以上であるときには、十分な冷房が行えないので、アイドリング停止禁止と判定する。
また、ステップSE5で内外気モードが内気モードであると判定されるとステップSE7に進み、エバセンサ37で検出されたエバポレータ35の温度が所定温度Te2以上であるか否かを判定する。この所定温度Te2は、Te1よりも低い20℃程度に設定しておくのが好ましい。ステップSE7でYESと判定されてエバポレータ35の温度が所定温度Te2以上であるときには、十分な冷房が行えないので、アイドリング停止禁止と判定する。
ステップSE6でNOと判定されると、アイドリング停止許可と判定する。また、ステップSE7でNOと判定された場合も、アイドリング停止許可と判定する。
尚、ステップSE5〜SE7の処理は必ずしも行う必要はなく、ステップSE3でNOと判定されれば、アイドリング停止許可と判定するようにしてもよい。すなわち、エバポレータ35の温度について吹出空気の予測温度Tiとの比較だけでは、アイドリング停止の許可/禁止の判定を正確に行えない可能性があるので、ステップSE6及びSE7の判定を行っている。
上記ステップSE2でコンプレッサー36の動作モードがOFFモードであると判定されると、ステップSE4に進む。ステップSE4では、ステップSE3と同様に、エバポレータ35の温度と吹出空気の予測温度Tiにα4を加えた値とを比較し、エバポレータ35の温度がTi+α4以上であるか否か判定する。ステップSE4でYESと判定された場合には、アイドリング停止禁止と判定し、ステップSE4でNOと判定された場合には、アイドリング停止許可と判定する。
上記ステップSE1でNOと判定された場合(エアミックスドア46の開度が上記所定開度よりも大きい場合、つまり基本的に暖房中の場合)には、ステップSE8に進み、ステップSE8で、ヒータコアセンサ38により検出されたヒータコア43の温度(エンジンの自動停止から徐々に低下していく)がTi−β8以下であるか否か判定する。ステップSE8でYESと判定されれば、アイドリング停止禁止とする。すなわち、ヒータコア43の温度が、空気を加熱するのに十分な温度ではないということであり、乗員が望む暖房を行うことができないので、乗員に不快感を与えないようにするべくアイドリング停止禁止とする。
ステップSE8でNOと判定されれば、ステップSE9に進み、このステップSE9では、ヒータコアセンサ38により検出されたヒータコア43の温度が所定温度Th以下であるか否かを判定する。ステップSE9でYESと判定されれば、ヒータコア43の温度が空気を加熱するのに十分な温度ではないので、アイドリング停止禁止とする。ステップSE9でNOと判定されれば、アイドリング停止許可とする。
尚、ステップSE9の処理は、ステップSE5〜SE7の処理と同様に、必ずしも行う必要はなく、ステップSE8でNOと判定されれば、アイドリング停止許可と判定するようにしてもよい。
上記第2アイドリング停止判定でアイドリング停止禁止と判定された場合(この場合には、既にエンジンが自動停止されている)には、エアコン制御ユニット2から車両制御ユニット6へアイドリング停止禁止信号が出力されて、車両制御ユニット6は、上記所定のエンジン再始動条件が不成立であっても、エンジンを再始動させることになる。すなわち、エンジンの自動停止中でかつ空調装置1の作動中において、上記所定のエンジン再始動条件とは別に定めた第2アイドリング停止判定での、エバポレータ35及びヒータコア43の温度に関する所定の条件(図9のフローチャートにおけるステップSE3、SE4、SE6及びSE7〜SE9に記載の条件)が成立したときに、上記所定のエンジン再始動条件が不成立であっても、エンジンを再始動させることになる。一方、上記所定の条件が成立しないときには、エンジンは再始動されず、自動停止を続行する。
上記所定の条件は、エアミックスドア46の開度が上記所定開度以下である場合には、エバポレータ35の温度が第1所定温度以上であるという条件に相当し、エアミックスドア46の開度が上記所定開度よりも大きい場合には、ヒータコア43の温度が第2所定温度以下であるという条件に相当する。図9のフローチャートにおけるステップSE3のTi+α3、ステップSE4のTi+α4、ステップSE6のTe1、及び、ステップSE7のTe2が、上記第1所定温度に相当し、ステップSE8のTi−β8、及び、ステップSE9のThが、上記第2所定温度に相当する。上記第1所定温度がTi+α3又はTi+α4である場合、該第1所定温度は、エアミックスドア46の開度によって変化することになる。また、上記第2所定温度がTi−β8である場合、該第2所定温度は、エアミックスドア46の開度によって変化することになる。
本実施形態では、上記エアコン制御ユニット2は、エンジンの自動停止中でかつ空調装置1の作動中において、エアミックスドア46の開度が上記所定開度以下でかつ温度設定スイッチ68による設定温度が上昇したときには、エンジンの自動停止の時間が長くなるように上記所定の条件を変更する。また、エアコン制御ユニット2は、エンジンの自動停止中でかつ空調装置1の作動中において、エアミックスドア46の開度が上記所定開度よりも大きくかつ上記設定温度が低下したときにも、エンジンの自動停止の時間が長くなるように上記所定の条件を変更する。すなわち、基本的に冷房中に乗員が設定温度を上昇させたとき、又は、基本的に暖房中に乗員が設定温度を低下させたときに、エンジンの自動停止の時間が長くなるように上記所定の条件を変更することになる。
具体的には、エアコン制御ユニット2は、エンジンの自動停止中でかつ空調装置1の作動中において、エアミックスドア46の開度が上記所定開度以下でかつ上記設定温度が上昇したときには、上記第1所定温度を上昇させるとともに、エアミックスドア46の開度が上記所定開度よりも大きくかつ上記設定温度が低下したときには、上記第2所定温度を低下させる。本実施形態では、エアミックスドア46の開度が上記所定開度以下でかつ上記設定温度が上昇したときには、図9のフローチャートにおけるステップSE3のTi+α3、及び、ステップSE4のTi+α4に、後述の如く算出したTiset(℃)をそれぞれ加え、エアミックスドア46の開度が上記所定開度よりも大きくかつ上記設定温度が低下したときには、ステップSE8のTi−β8に、後述の如く算出したTiset(℃)を加える(この場合のTisetは後述の如く負の値であるので、Ti−β8+Tisetの値はTi−β8の値よりも小さくなる)。すなわち、ステップSE3では、エバポレータ35の温度がTi+α3+Tiset以上であるか否か判定し、ステップSE4では、エバポレータ35の温度がTi+α4+Tiset以上であるか否か判定し、ステップSE8では、ヒータコア43の温度がTi−β8+Tiset以下であるか否かを判定することになる。尚、本実施形態では、Te1、Te2及びThの値は変更しないが、これらの値も変更するようにしてもよい。
上記のTisetの値は、例えば、変更後の設定温度(℃)から、冷房と暖房との境目となる基準温度(例えば25℃)を引いた値又は該値に所定係数を掛けた値である。上記所定係数は、車両の乗員に対して不快感を与えないように微調整するための係数である。ステップSE3及びSE4では、Tisetの値が正の値となる場合にTisetを加え、Tisetの値が0以下である場合には、Tisetを加えない。また、ステップSE8では、Tisetの値が負の値となる場合にTisetを加え、Tisetの値が0以上である場合には、Tisetを加えない。
したがって、冷房中に乗員が設定温度を上昇させたときには、ステップSE3又はSE4で、YESと判定され難くなり、その分だけエンジンの自動停止時間が長くなる。また、暖房中に乗員が設定温度を低下させたときには、ステップSE8で、YESと判定され難くなり、その分だけエンジンの自動停止時間が長くなる。すなわち、乗員の設定温度の変更から、冷房能力や暖房能力を低下させてもよいことになるので、その分だけエンジンの自動停止時間を長くしても、乗員に不快感を与えないようにすることができる。
尚、上記所定の条件としては、上記のものに限らず、エバポレータ35及びヒータコア43の温度に関するものであればよい。また、Tisetの値は、上記の算出方法には限られず、例えば、予め設定した値であってもよい。
また、本実施形態では、上記エアコン制御ユニット2は、上記所定のエンジン再始動条件が不成立の状態で、上記所定の条件が成立しても、エンジンの自動停止からアイドリング停止最短時間(ISMIN)が経過していないときには、該エンジンの自動停止を該アイドリング停止最短時間が経過するまで継続させるようになっているが、エンジンの自動停止中でかつ空調装置1の作動中において、エアミックスドア46の開度が上記所定開度以下でかつ温度設定スイッチ68による設定温度が上昇したときには、上記所定の条件の変更に加えて、上記アイドリング停止最短時間(ISMIN)を長くする。また、エアコン制御ユニット2は、エンジンの自動停止中でかつ空調装置1の作動中において、エアミックスドア46の開度が上記所定開度よりも大きくかつ上記設定温度が低下したときにも、上記所定の条件の変更に加えて、上記アイドリング停止最短時間を長くする。
具体的には、図6のフローチャートにおけるステップSB1で設定される基準時間(秒)に、ISset(秒)を加える。ISsetの値は、例えば、冷房と暖房との境目となる基準温度(例えば25℃)から、変更後の設定温度(℃)を引いた値に、温度−時間換算係数γ(s/℃)を掛けた値である。この温度−時間換算係数γは、図11のグラフに示すように、エアミックスドア46の開度に応じて決まる値である。このグラフにおけるエアミックスドア46の開度のA、B及びCは、それぞれ上記第1設定開度、上記第2設定開度及び上記第3設定開度である。そして、ISsetの値が正の値となる場合に、基準時間にISsetを加える。例えば、エアミックスドア46の開度が上記第1設定開度Aであるときに、設定温度が30℃に上昇した場合、ISsetの値は、基準温度を25℃とすると、(25−30)×(−5)=+25(秒)となり、基準時間に25秒を加えた時間がアイドリング停止最短時間となる。
したがって、冷房中に乗員が設定温度を上昇させるか、又は、暖房中に乗員が設定温度を低下させたときには、アイドリング停止最短時間が長くなる。この場合、エンジンの自動停止後直ぐに上記所定の条件が成立したときの、エンジンの再始動までの時間が長くなるが、乗員の設定温度の変更を考慮すれば、乗員に不快感を与えるようなことはない。
以上のように、本実施形態では、エンジンの自動停止中でかつ空調装置1の作動中において、エバポレータ35及びヒータコア43の温度に関する所定の条件が成立したときには、所定のエンジン再始動条件が不成立であっても、エンジンを再始動させるとともに、エンジンの自動停止中でかつ空調装置1の作動中において、エアミックスドア46の開度が所定開度以下でかつ温度設定スイッチ68による設定温度が上昇したとき、又は、エアミックスドア46の開度が上記所定開度よりも大きくかつ上記設定温度が低下したときに、エンジンの自動停止の時間が長くなるように上記所定の条件を変更したので、車両の乗員に対して不快感を与えないようにしつつ、エンジンの自動停止時間を出来る限り長くすることができる。
また、エンジンの自動停止中でかつ空調装置1の作動中において、エアミックスドア46の開度が上記所定開度以下でかつ温度設定スイッチ68による設定温度が上昇したとき、又は、エアミックスドア46の開度が上記所定開度よりも大きくかつ上記設定温度が低下したときに、上記所定の条件の変更に加えて、アイドリング停止最短時間を長くするようにしたので、エンジンの自動停止後直ぐに上記所定の条件が成立しても、車両の乗員に対して不快感を与えることなく、エンジンの自動停止時間を長くすることができる。
本実施形態では、エアコン制御ユニット2及び車両制御ユニット6が、本発明のエンジン自動停止制御装置を構成することになるが、これには限られず、例えば、エアコン制御ユニット2と車両制御ユニット6とを一体化(又は、更にエンジン制御ユニット3も一体化)した1つのユニットがエンジン自動停止制御装置を構成するようにしてもよい。