JP6090235B2 - 車両用空調制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用空調制御装置に関するものである。
車両用空調制御装置にあっては、コンプレッサ、コンデンサおよびエバポレータを含む冷風生成器と、エンジン冷却水を熱源とする温風生成器とを有して、冷風と温風との混合比率をエアミックスダンパによって変更して、所望温度の空調風を得るようにしている。そして、空調風は、ブロアファンによって車室内に送風されることになり、ブロアファンの回転数変更によって送風量が変更される。上記コンプレッサは、エンジンにより駆動され、また冷却水の循環を行うウオータポンプもエンジンにより駆動されるのが一般的である。したがって、エンジンが停止したときには、コンプレッサおよびウオータポンプが停止されて、冷風生成機能および温風生成機能が停止されることになる。
また、車両用空調制御装置にあっては、目標室内温度となるように実際の室内温度を自動制御するオートエアコンが主流となっている。空調の自動制御は、車室内の環境条件、車室外の環境条件、乗員による空調操作状態(特に目標室内温度の設定)を表すパラメータに応じて行われて、空調吹出温度、空調風の吹き出し口、空調風の吹出量等が自動設定されることになる。
一方、最近の車両では、燃費向上のために、車両停止時や停止直前の極低速時にエンジンを自動停止させるいわゆるアイドルストップを行うものが多くなっている。このアイドルストップは、あらかじめ設定された開始条件が成立しているを条件に実行され、この開始条件としては、例えば、車速が零であること(車両停止であること)、ブレーキ操作されていること、アクセル操作されていないこと、変速機がD位置にある等の全ての条件を満足するものとして設定されることが一般的である。
一方、オープンカーで代表されるルーフを開閉可能とした車両において、特許文献1に示すように、ルーフ開時とルーフ閉時とで空調モードを変更することが開示されている。すなわち、ルーフ閉時には、目標吹出温度に基づいた内外気モードにする一方、ルーフ開時には、目標吹出温度にかかわらず強制的に内気モードに変更することが開示されている。
この特許文献1にものでは、ルーフ開時に内気モードとすることにより、空調ユニットの吹出開口部からの吹出風量を車速に関係なく一定にすることを意図したものとなっている。
特開2001−88537号公報
ところで、外気にふれつつ走行を楽しむ状況となるルーフ開時での空調ニーズは、ルーフ閉時に比して相対的に低いものとなる。一方、アイドルストップによるエンジンの自動停止の条件をルーフ閉時とルーフ開時と同一に設定したままでは、空調ニーズの低いルーフ開時において、アイドルストップによってエンジンを自動停止する機会が少なくなってしまうことになる。このため、アイドルストップ条件を、ルーフ開時はルーフ閉時に比して緩和して、エンジンが自動停止される機会を増大することが考えられる。
上述のように、ルーフ開時にアイドルストップ条件を緩和することは、燃費向上の上では好ましいものとなる。その反面、アイドルストップによるエンジンの自動停止に起因して空調装置の作動を停止すると、外気温度が高かったり日射が強いときに、ルーフが開かれているが故に、乗員は外気温度や日射の影響を受けやすくなって不快感を感じやすいものとなる(乗員の空調ニーズに応えられないものとなりやすい)。
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、ルーフ開時において、アイドルストップによるエンジンの自動停止の機会を増大させつつ、乗員の空調ニーズにも十分応えることのできるようにした車両用空調制御装置を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明にあっては、次のような第1の解決手法を採択してある。すなわち、請求項1に記載のように、
ルーフが開閉可能とされた車両における車両用空調制御装置であって、
車両停止を含む所定のアイドルストップ条件が成立したときに、エンジンを自動的に停止させるアイドルストップ制御手段と、
エンジンを駆動源として冷却される空調用のエバポレータを備えた空調装置と、
前記空調装置を制御すると共に、前記アイドルストップ制御手段に対してアイドルストップによるエンジン自動停止の許可信号または禁止信号を出力する空調制御手段と、
を備え、
前記空調制御手段は、冷房時において、ルーフ閉時はエンジン自動停止の禁止信号を出力する一方、ルーフ開時は日射量が所定値以下であることを条件としてエンジン自動停止の許可信号を出力する、
ようにしてある。
上記解決手法によれば、冷房時において、乗員の空調ニーズが相対的に低くなるルーフ開時には、基本的にアイドルストップによるエンジン自動停止を許可するようにして、エンジンが自動停止される機会を増大させて、燃費向上を図ることができる。また、ルーフ開時であっても、日射量が所定値以上となって乗員が不快感を感じると想定されるときは、エンジン自動停止を禁止して、乗員が不快感を感じてしまうことを適切に防止できる。
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような第2の解決手法を採択してある。すなわち、請求項2に記載のように、
ルーフが開閉可能とされた車両における車両用空調制御装置であって、
車両停止を含む所定のアイドルストップ条件が成立したときに、エンジンを自動的に停止させるアイドルストップ制御手段と、
エンジンを駆動源として冷却される空調用のエバポレータを備えた空調装置と、
前記空調装置を制御すると共に、前記アイドルストップ制御手段に対してアイドルストップによるエンジン自動停止の許可信号または禁止信号を出力する空調制御手段と、
を備え、
前記空調制御手段は、冷房時において、ルーフ閉時はエンジン自動停止の禁止信号を出力する一方、ルーフ開時はサイドウインドガラスが開状態であることを条件としてエンジン自動停止の許可信号を出力する、
ようにしてある。
上記解決手法によれば、冷房時において、乗員の空調ニーズが相対的に低くなるルーフ開時には、基本的にアイドルストップによるエンジン自動停止を許可するようにして、エンジンが自動停止される機会を増大させて、燃費向上を図ることができる。また、ルーフ開時であっても、サイドウインドガラスが開状態でないときは(サイドウインドガラスが閉状態にあるときは)、乗員の空調要求がそれなりに高いときであると想定されることから、この場合はエンジン自動停止を禁止して、乗員が不快感を感じてしまうことを適切に防止できる。
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような第3の解決手法を採択してある。すなわち、請求項3に記載のように、
ルーフが開閉可能とされた車両における車両用空調制御装置であって、
車両停止を含む所定のアイドルストップ条件が成立したときに、エンジンを自動的に停止させるアイドルストップ制御手段と、
エンジンを駆動源として冷却される空調用のエバポレータを備えた空調装置と、
前記空調装置を制御すると共に、前記アイドルストップ制御手段に対してアイドルストップによるエンジン自動停止の許可信号または禁止信号を出力する空調制御手段と、
を備え、
前記空調制御手段は、冷房時において、ルーフ閉時は前記アイドルストップ禁止信号を出力する一方、ルーフ開時は日射量が所定値以下でありかつサイドウインドガラスが開状態であることを条件としてアイドルストップ許可信号を出力する、
ようにしてある。
上記解決手法によれば、冷房時において、乗員の空調ニーズが相対的に低くなるルーフ開時には、基本的にアイドルストップによるエンジン自動停止を許可するようにして、エンジンが自動停止される機会を増大させて、燃費向上を図ることができる。また、ルーフ開時であっても、日射量が所定値以上でしかもサイドウインドガラスが開状態でないときは(サイドウインドガラスが閉状態にあるときは)、乗員の空調要求がかなり高いときであると想定されることから、この場合はエンジン自動停止を禁止して、乗員が不快感を感じてしまうことを適切に防止できる。
上記各解決手法を前提とした好ましい態様は、請求項4に記載のとおりである。すなわち、
前記空調制御手段は、アイドルストップによるエンジンの自動停止中に要求吹出温度と実現可能な吹出温度との差が所定値よりも大きくなったときは、エンジン自動停止の禁止信号を出力する、ようにしてある(請求項4対応)。この場合、エバポレータの温度が高くなって乗員の冷房要求に十分に応えにくい状況となったときは、エンジン自動停止を禁止することにより、すみやかに乗員の要求に対応した冷えた空調風を吹き出させるようにして、乗員が不快感を感じてしまう事態を適切に防止できる。
本発明によれば、アイドルストップによるエンジン自動停止の機会を増大させて燃費向上を図りつつ、エンジン自動停止時における乗員の不快感をも防止することができる。
ルーフ開閉式の車両について、ルーフが閉じられたときの状態を示す図。 図1の状態からルーフを開いたとき状態を示す図。 空調システムの一例を示す系統図。 冷風生成器と温風生成器との一例を示す図。 空調の操作パネル部分の一例を示す図。 空調システムの制御系統例を示す図。 エンジン自動停止の制御系統例を示す図。 ルーフ開時における空調制御とアイドルストップ制御とを示すタイムチャート。 ルーフ開時におけるアイドルストップ制御例を示すフローチャート。
図1は、ルーフ開閉式とされた車両Vを示し、図1では、ルーフRが閉じられているルーフ閉時の状態が示される。また、図2は、図1の状態からルーフRが開かれたルーフ開時が示される。図1においてSGはサイドウインドガラスであり、図1ではサイドウインドガラスSGが閉状態のときが示され、また図2ではサイドウインドガラスSGが開状態(全開状態)のときが示される。
図3は、空調システムKにおける通路構成例を示すものである。空調システムKは、既知のものなので簡単に説明すると、流入口1を有する通路部2には、その上流側(流入口1)から下流側に向かって順次、切換ダンパ3、ブロアファン4、エバポレータ5が配設されている。通路部2のうちエバポレータ5の下流側部分が、隔壁6によって互いに並列に2つの独立通路7、8に区画され、この独立通路7、8の下流側は互いに合流された共通室9とされている。
前記隔壁6には、2つの独立通路7、8に突出するようにして、ヒータコア10が保持されている。独立通路7には、ヒータコア10の直上流側においてエアミックスダンパ11が配設されている。同様に、独立通路8には、ヒータコア10の直上流側においてエアミックスダンパ12が配設されている。通路部2には、前記共通室9よりも上流側の独立通路7に臨ませて運転席用のエア通路13が開口されている。また、通路部2には、前記共通室9よりも上流側の独立通路8に臨ませて助手席用のエア通路14が開口されている。さらに、共通室9に臨ませて、複数のエア通路15〜17が開口されている。エア通路15は例えばデフロスタ用とされ、エア通路16、17は例えばサイドベント用とされている。各エア通路13〜17には、開度調整用のダンパ13A〜17Aが配設されている。
エアミックスダンパ11の開度(位置)変更により、エバポレータ5を通過した冷却エアがヒータコア10を経由する割合が変更されて、独立通路7を通過した直後のエアの温度および湿度が調整される。この独立通路7を通過した直後のエアが、運転席に供給されることになる。なお、エアミックスダンパ11は、電気式のモータ(アクチュエータ)11Aによって駆動されて、開度0%〜100%の範囲で任意の開度をとり得るようになっている。
エアミックスダンパ12の開度(位置)変更により、エバポレータ5を通過した冷却エアがヒータコア10を経由する割合が変更されて、独立通路8を通過した後のエアの温度および湿度が調整される。この独立通路8を通過した直後のエアが、助手席に供給されることになる。なお、エアミックスダンパ12は、電気式のモータ(アクチュエータ)12Aによって駆動されて、開度0%〜100%の範囲で任意の開度をとり得るようになっている。
前述の説明から明らかなように、実施形態では、運転席用と助手席用との空調が個別に制御可能となっている。そして、エアミックスダンパ11、12の開度を図中実線で示す100%としたときに、運転席および助手席に対する空調温度がもっとも高くされる。逆に、エアミックスダンパ11、12の開度を図中破線で示す0%としたときに、運転席および助手席に対する空調温度がもっとも低くされる。なお、エア通路15〜17へは、独立通路7と8とを通過した空調エアが混合された混合エアが供給されることになる。
18は、流入口1近傍に設けられた内気導入口であり、前述した切換ダンパ1により外気導入と内気循環とが切換えられる。
図4は、エバポレータ5に対する冷媒の循環経路と、ヒータコア10に対するエンジン冷却水の循環経路を示すものである。この図4において、コンプレッサ50の回転軸に取付けたプーリ51と、エンジンEG(のクランク軸)に取付けたプーリ52との間にベルト53が巻回されて、エンジンEGによってコンプレッサ50が回転駆動される。コンプレッサ50によって圧縮された冷媒が、配管54、コンデンサ55、配管56を経てエバポレータ5に供給される。エバポレータ5に供給された冷媒は、空調風と熱交換された後に、配管57を経てコンプレッサ50に戻される。上記コンプレッサ50、コンデンサ55、エバポレータ5が、冷風生成器の主要構成要素となる。なお、プーリ51にはクラッチ51Aが組み込まれて、エンジンEGが作動しているときでも、適宜コンプレッサ50の駆動を停止可能とされている。
一方、エンジンEGによって駆動されるウオータポンプ60からの冷却水は、配管61を経てヒータコア10に供給されて、ヒータコア10によって空調風と熱交換される。そして、ヒータコア10内の冷却水は、配管62を経てウオータポンプ60へ戻される。このウオータポンプ60とヒータコア10とが、温風生成器の主要構成要素となる。
図5は、乗員により操作される空調用パネル部KPの一例を示すものであり、インストルメントパネルにセットされている。実施形態では、運転席と助手席とで左右独立して温度制御するものに対応しており、乗員により操作されるスイッチとして、次のように設定されている。
まず、スイッチ21は、オートエアコンをONするメインスイッチであり、プッシュ式とされている。スイッチ22は、運転席の温度設定スイッチであり、ダイアル式とされている。スイッチ23は、オートエアコンのOFFスイッチであり、プッシュ式とされている。スイッチ24は、風量調整用スイッチであり、ダイアル式とされている。スイッチ25は、助手席用の温度を個別に選択する際に操作されるもので、プッシュ式とされている。スイッチ26は、助手席用の温度調整用であり、ダイアル式とされている。
スイッチ31は、エアコンをOFFするスイッチである。スイッチ32は、フロントデフロスタ作動用のスイッチである。スイッチ33は、リアデフロスタ作動用スイッチである。スイッチ34、35は、空調風の吹出口選択用スイッチである。スイッチ36は、外気導入選択用のスイッチである。スイッチ37は、内気循環選択用のスイッチである。各スイッチ31〜37は、それぞれプッシュ式とされている。
図6は、空調システムKの制御系統例が示される。この図6中、UKは、マイクロコンピュータを利用して構成された空調システム用のコントローラ(制御ユニット)である。このコントローラUKには、前述した各種スイッチからの信号が入力される他、温度センサS0で検出されたヒータコア10の温度、外気温センサS1で検出された外気温度、内気温センサS2で検出された室内温度、日射センサS3で検出された車室内への日射状態、温度センサS4で検出されたエバポレータ8の温度に関する信号、エアミックスダンパ11、12の実際の開度を検出する開度センサ11B、12Bからの信号が入力される。また、コントローラUKは、前述した各ダンパ等の機器類1、4、11(11A)、12(12A)、13A〜17A、18の他、エンジンと冷媒圧縮用コンプレッサとの動力伝達経路に介在されたコンプレッサクラッチ51A(図4をも参照)を制御するようになっている。コントローラUKと、上記センサ、スイッチ、機器類とは、低速通信系でもって接続されている。
コントローラUKは、基本的に、各種センサS0〜S4で検出される車内外の環境条件と乗員によるスイッチ操作状態に応じて、目標室内温度を設定すると共に、実際の室内温度が目標室内温度にするのに最適な空調風吹出量、空調エア温度、空調風の吹出口の選択等を自動制御する。
低速通信系となるコントローラUKは、インストルメントパネルに設けたメータを介して、高速通信系(CAN)に対して接続されている。この高速通信系には、エンジン自動停止と自動再始動を含むエンジン制御を行うPCM、自動変速機の変速制御等を行うTCM、エンジン自動停止時の自動ブレーキ制御を含むブレーキ制御を行うDSC、ドアの開閉状態の検出を含む車体回りの制御を行うBCM、キーの車内置き忘れの検出を含むスマートキーレスに関する制御を行うキーレスコントロールモジュール(SKEで表示)、パワーステアリング制御を行うEHPASが含まれる。コントローラUKには、PCMからアイドリングストップ状態に関する情報が入力される一方、コントローラUKからPCMに対して、後述するように、空調制御状態に応じてアイドリングストップの許可信号または禁止信号を出力するようになっている。また、DSCには車速センサS10が接続されており、車速センサS10で検出された車速信号は、CANを経由してコントローラUKおよびPCMに入力される。
図7は、アイドリングストップに関する制御を行うPCMに関する詳細な制御系統例を示すものである。この図7において、PCMには、各種センサあるいはスイッチS10〜S19からの信号が入力される。センサS11は、アクセル開度を検出するアクセルセンサである。センサS12は、スロットル開度を検出するスロットルセンサである。センサS13は、クランクシャフトの回転角度位置を検出する角度センサである。センサS14は、吸気温度を検出する吸気温センサである。センサS14は、冷却水温を検出する水温センサである。センサS16は、負圧式倍力装置を有するブレーキ装置における負圧を検出する負圧センサである。スイッチS17は、ブレーキペダルが踏み込み操作されていることを検出するブレーキスイッチであり(ストップライトスイッチと兼用)。センサS18は、自動変速機のレンジ位置を検出するレンジ位置センサである。S19は、バッテリの充電量、電圧、消費電流等を総合的に検出するバッテリセンサである。
PCMは、エンジンの自動停止(アイドルストップ)と自動再始動の制御に関連して、次のような各種機器類41〜47を制御するようになっている。すなわち、41は、スロットルバルブを駆動するアクチュエータであり、エンジン自動停止時に全閉とされる。42は、電動式の可変バルブタイミング装置における駆動モータであり、エンジン自動停止時に、自動再始動に備えて吸気弁の開閉タイミングを遅らせる。43は、燃料噴射弁であり、エンジン自動停止の際に燃料噴射がカットされる。44はイグニッションコイルであり、エンジン自動停止時には通電が停止されて点火が禁止される。45はスタータモータであり、エンジン自動再始動時に駆動される。46は、オルタネータであり、エンジン自動停止時に、オルタネータの負荷を上げることによりエンジン回転数を下げる。47は、DC/DCコンバータであり、エンジン自動再始動時のためにクランキングを行う際に、バッテリの電力低下を補うように制御される。なお、PCMには、ルーフRの開閉を検出する(開状態と閉状態とを識別する)スイッチS20からの信号が入力され、またサイドウインドガラスSGの開閉を検出するスイッチS21からの信号が入力される。
車両停止時にエンジンを自動停止するアイドルストップが行われるが、これは、後述するアイドルストップ禁止条件の1つでも成立していないことを条件に実行される。
自動停止禁止条件(アイドルストップ禁止条件)
(1)車速が0でないとき。
(2)乗員によるブレーキ操作が行われていないとき。
(3)アクセルペダルが踏み込み操作されているとき。
(4)バッテリに関連して、電圧が所定電圧以下の低電圧のとき、充電量があらかじめ設定された所定充電量以下のとき、消費電流があらかじめ設定された所定電流以上のとき、あるいはバッテリ制御システムが異常のとき(異常信号発生のとき)。
(5)ハンドル舵角がニュートラル位置から所定の小舵角範囲内にないとき。
(6)変速機に関連して、変速機がDレンジ位置にないとき、油温が所定温度範囲内にないとき、油圧が所定圧力範囲内にないとき、変速機異常信号が発生されているとき、クラッチ(ロックアップクラッチを含む)に異常があるとき。
(7)エンジンに関連して、冷却水温度が所定温度範囲にないとき、吸気温度が高すぎるとき、大気圧が低いとき。
(8)負圧式倍力装置を含むブレーキ装置でのブレーキ負圧が不足するとき、あるいはエンジンシステムの異常信号が発生されたとき。
(9)車体回りに関連して、イグニッションキーが車外に持ち出されているとき(スマートキーレスエントリーシステムの場合)、シートベルトが取外されているとき、いずれかのドアが開いているとき、あるいはボンネットが開いているとき。
(10)路面の傾斜角度が大きいとき。
(11)空調用コントローラUKから自動停止禁止信号が出力されているとき。この点については、後に詳述する。
上述の自動停止禁止条件はあくまで一例を示すものであり、その他の禁止条件を付加してもよい。例えば、エンジン自動停止を運転者の意思によってキャンセル(禁止)するISスイッチS5がONされているとき、エンジン回転数があらかじめ設定された回転数(安定したときのアイドル回転数よりもかなり高い回転数)以上の高回転であるととき、等の条件をさらに追加してもよい。逆に、上記禁止条件の一部を削除した設定とすることもできる。
エンジンを自動停止しているアイドルストップ状態からエンジンを自動再始動する自動再始動開始条件としては、上記自動停止禁止条件のいずれか1つが解除されたときとして設定することができるが、特に、少なくとも乗員によるブレーキ操作が解除されたときを自動再始動の条件として設定するのが好ましい。
次に、空調システムKに関連した自動停止禁止条件について説明する。まず、空調の自動制御は、内気温センサS2で検出される実際の室内温度が、乗員により選択された温度調整ダイアル22、26に基づいて設定される目標室内温度に近づくように制御される。この空調自動制御に際しては、空調風の温度、吹出口の選択、空調風吹出量等が自動制御されることになる。
空調用のコントローラUKは、次の場合に、空調を優先すべく、車両停止時におけるエンジンの自動停止を禁止する禁止信号を出力する。なお、空調用コントローラUKは、自動停止禁止信号を出力しないときは、自動停止許可信号を出力する。
空調システム側からの自動停止禁止条件
(1)空調システムKにおける各種センサ等の異常が発生したとき。
(2)外気温度が、極めて高いとき(例えば40度C以上)、または極めて低いとき(例えば−10度C以下)。
(3)デフロスタを使用しているとき(視界確保を優先)。
(4)乗員により選択された室内温度が、高温側の上限値であるとき(暖房要求が極めて強いとき)。
(5)乗員により選択された室内温度が、低温側の下限値でありかつエアコン作動されているとき(冷房要求が極めて強いとき)。
(6)目標室内温度と実際の室内温度との偏差が所定値よりも大きいとき。
(7)ルーフ閉時のとき。
(8)ルーフ開時で、かつ日射量が所定値以上のとき。
(9)ルーフ開時で、かつサイドウインドガラスSGが閉状態のとき。
空調用コントローラUKは、上記自動停止禁止条件が成立しないときは、エンジン自動停止時であっても、空調制御を行う。
コントローラUKは、ルーフ開時には、ルーフ閉時に比して、アイドルストップによるエンジンの自動停止の機会を増大させるべく、空調側からのアイドルストップ条件を緩和することになる。すなわち、ルーフ開時には、日射量が所定値以上でないこと、およびサイドウインドガラスSGが閉状態でないことが確認されると、アイドルストップによるエンジン自動停止の許可信号を出力することになる(ただし、上記(1)〜(6)の禁止条件を満足していないことが前提)。
ルーフ開時に、アイドルストップによりエンジンが自動停止されたときに実行される冷房時での空調制御例について、図8のタイムチャートを参照しつつ説明する。まず、t1時点よりも前のときは、エンジンが駆動されており(エンジン側からの要請によりアイドルストップによるエンジン自動停止が禁止されている状態)、空調制御側からはアイドルストップによるエンジン自動停止の許可信号が出力されている。
t1時点では、エンジン側においてアイドルストップによるエンジン自動停止の許可状態となり、空調制御側からは既にアイドルストップによるエンジン自動停止の許可信号が出力されていることから、エンジン自動停止とされる。エンジン自動停止されても、空調制御(冷房)は実行されるが、エンジンによる冷却が期待できないエバポレータ5の温度は徐々に上昇されていくことになる。
エンジン自動停止から所定時間(例えば10秒)経過したt2時点で、要求吹出温度と実現可能な吹出温度との温度差が所定値以下であるかの確認が行われるが、t2時点では、温度差が所定値以下であるため、このままエンジン自動停止が続行される。
t3時点になると、エバポレータ5の温度が、アイドルストップによるエンジン自動停止を禁止するときの温度にまで上昇したときであり、このt3時点で、空調制御側からエンジン自動停止の禁止信号が出力されて、エンジンが再始動される。これにより、エバポレータ5の温度が低下されて、乗員の空調(冷房)要求に十分応えることのできる空調制御が行われることになる。
図9は、ルーフ開時における空調制御例を示すフローチャートであり、以下このフローチャートについて説明する。なお、以下の説明で、Qはステップである。
まず、Q1において、各種センサ等からの信号が読み込まれた後、Q2において、外気温度に基づくエンジン自動停止の禁止条件が成立しているか否かが判別される。このQ2の判別でYESのときは、Q12において、エンジン自動停止の禁止信号が出力される。
上記Q2の判別でYESのときは、Q3において、要求吹出温度TAOが算出される。この要求吹出温度は、乗員によりマニュアル設定される設定車室内温度または車室内温度との少なくとも一方あるいは両方に基づいて算出される。
Q3の後、Q4において、要求吹出温度TAOが所定温度(制御上での温度で、実際の温度とは相違)以下であるか否かが判別される。このQ4の判別でYESのときは、Q5において、ルーフ開時であるか否かが判別される。このQ5の判別でNOのとき(つまりルーフ閉時のとき)は、Q12に移行されて、エンジン自動停止の禁止信号が出力される。
上記Q5の判別でYESのときは、Q6において、日射量が所定値以下であるか否かが判別される。このQ6の判別でNOのときは、Q12に移行されて、エンジン自動停止の禁止信号が出力される。
上記Q6の判別でYESのときは、Q7において、サイドウインドガラスSGが開状態であるか否かが判別される。このQ7の判別でNOのときは、Q12に移行されて、エンジン自動停止の禁止信号が出力される。
上記Q7の判別でYESのときは、Q8において、エンジン自動停止の許可信号が出力される。この後、Q9において、現在アイドルストップ中であるか否か、つまりエンジン自動停止中であるか否かが判別される。このQ9の判別でYESのときは、Q10において、アイドルストップによるエンジン自動停止の開始から所定時間(例えば10秒)経過したか否かが判別される(図8のt2時点となったか否かの確認処理)。このQ10の判別でYESのときは、Q11において、目標温度と実際の吹出温度との差が所定値以下であるか否かが判別される。このQ11の判別でYESのときはそのままリターンされる。また、Q11の判別でNOのときは、Q12に移行して、エンジン自動停止の禁止信号が出力される。
前記Q9の判別でNOのとき、あるいはQ10の判別でNOのときは、そのままリターンされる(エンジン自動停止しつつ冷房のための空調制御の続行)。
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。図9において、Q6の処理を廃止してもよく(Q7による禁止の判断のみ)、あるいはQ7の処理を廃止してもよい(Q6による禁止の判断のみ)。また、図9において、Q2の処理を廃止してもよい。ルーフ開閉式の車両としては、フルオープンを選択できる車両に限らず、例えばタルガトップ式の車両やサンルーフ式の車両等、ルーフの一部が開閉される形式の車両であってもよい。ルーフ開時でのエンジン自動停止時において、空調風の吹出し方向を乗員の上半身付近(特に顔付近)にのみ指向させるようにしてもよく、また乗員が運転席にのみ存在するときは、助手席側用の吹き出し口を閉じて、運転席側の吹き出し口のみを開口させるようにしてもよい。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
本発明はルーフが開閉されると共にエンジンの自動停止を行う車両の空調制御用として好適である。
UK:コントローラ(空調制御用)
EG:エンジン
K:空調システム
SG:サイドウインドガラス
S20:センサ(ルーフ開閉検出用)
S21:センサ(サイドウインドガラス開閉検出用)
4:ブロアファン
5:エバポレータ
10:ヒータコア
11:エアミックスダンパ
11A:モータ(アクチュエータ)
11B:開度センサ
12:エアミックスダンパ
12A:モータ(アクチュエータ)
12B:開度センサ
50:コンプレッサ
55:コンデンサ
60:ウオータポンプ

Claims (4)

  1. ルーフが開閉可能とされた車両における車両用空調制御装置であって、
    車両停止を含む所定のアイドルストップ条件が成立したときに、エンジンを自動的に停止させるアイドルストップ制御手段と、
    エンジンを駆動源として冷却される空調用のエバポレータを備えた空調装置と、
    前記空調装置を制御すると共に、前記アイドルストップ制御手段に対してアイドルストップによるエンジン自動停止の許可信号または禁止信号を出力する空調制御手段と、
    を備え、
    前記空調制御手段は、冷房時において、ルーフ閉時はエンジン自動停止の禁止信号を出力する一方、ルーフ開時は日射量が所定値以下であることを条件としてエンジン自動停止の許可信号を出力する、
    ことを特徴とする車両用空調制御装置。
  2. ルーフが開閉可能とされた車両における車両用空調制御装置であって、
    車両停止を含む所定のアイドルストップ条件が成立したときに、エンジンを自動的に停止させるアイドルストップ制御手段と、
    エンジンを駆動源として冷却される空調用のエバポレータを備えた空調装置と、
    前記空調装置を制御すると共に、前記アイドルストップ制御手段に対してアイドルストップによるエンジン自動停止の許可信号または禁止信号を出力する空調制御手段と、
    を備え、
    前記空調制御手段は、冷房時において、ルーフ閉時はエンジン自動停止の禁止信号を出力する一方、ルーフ開時はサイドウインドガラスが開状態であることを条件としてエンジン自動停止の許可信号を出力する、
    ことを特徴とする車両用空調制御装置。
  3. ルーフが開閉可能とされた車両における車両用空調制御装置であって、
    車両停止を含む所定のアイドルストップ条件が成立したときに、エンジンを自動的に停止させるアイドルストップ制御手段と、
    エンジンを駆動源として冷却される空調用のエバポレータを備えた空調装置と、
    前記空調装置を制御すると共に、前記アイドルストップ制御手段に対してアイドルストップによるエンジン自動停止の許可信号または禁止信号を出力する空調制御手段と、
    を備え、
    前記空調制御手段は、冷房時において、ルーフ閉時は前記アイドルストップ禁止信号を出力する一方、ルーフ開時は日射量が所定値以下でありかつサイドウインドガラスが開状態であることを条件としてアイドルストップ許可信号を出力する、
    ことを特徴とする車両用空調制御装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
    前記空調制御手段は、アイドルストップによるエンジンの自動停止中に要求吹出温度と実現可能な吹出温度との差が所定値よりも大きくなったときは、エンジン自動停止の禁止信号を出力する、ことを特徴とする車両用空調制御装置。
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