JP4794327B2 - 車両 - Google Patents

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    • B62K11/00Motorcycles, engine-assisted cycles or motor scooters with one or two wheels
    • B62K11/007Automatic balancing machines with single main ground engaging wheel or coaxial wheels supporting a rider

Description

本発明は車両に関し、例えば倒立振り子の姿勢制御を利用した車両の姿勢制御に関する。
倒立振り子の姿勢制御を利用した車両(以下、単に倒立振り子車両という)が注目され、現在実用化されつつある。
例えば、同軸上に配置された2つの駆動輪を有し、運転者の重心移動による駆動輪の姿勢を感知して駆動する技術が特許文献1で提案されている。
また、従来の円形状の駆動輪1つや、球体状の駆動輪1つの姿勢を制御しながら移動する車両が特許文献2において提案されている。
このような、倒立振り子の姿勢制御を利用した車両では、運転者の重心移動量やリモコン操作量に応じた駆動力を発生させ、姿勢制御を行いながら走行するようになっている。
特許文献記載の技術では、車両の重心位置を移動させてバランスを保持するために、錘やカウンタウェイト(以下単にバランサという)を配置し、これを移動させることで重心移動を行う技術について開示されている。
特開2004−276727公報 特開2004−129435公報
上記した両特許文献では、車両の重心移動方向と反対方向にバランサを移動させるようにしている。
しかし、バランサを移動すると、その移動方向と反対方向の反力が車両に作用し、バランサと反対方向に車両重心(バランサの重心を除く)が移動することになる。
このため、バランサ重心を除いた車両重心が例えば前方に移動した場合に、バランサを後方に移動させると、反力により車両重心はさらに前方に移動してしまいバランスをとることができない。
特許文献に記載された車両重心とバランサ重心は、両重心を合成した全重心が車軸の鉛直線上に位置したバランス状態、言い換えれば静的な安定状態における重心位置を表現したに過ぎず、この静的安定状態は、車両重心の移動方向と反対方向にバランサを移動させることによっては実現することはできない。
そこで、本発明は、倒立振り子の姿勢制御を利用した車両において、バランサの移動により車両の姿勢を動的に制御することが可能な車両を提供することを目的とする。
(1)請求項1記載の発明では、一軸上に配置された駆動輪と、搭乗部と、前記搭乗部の傾斜に基づく物理量を検出する姿勢感知センサと、前記搭乗部に対して移動可能に配置されたバランサと、搭乗者による駆動指令に従って前記駆動輪を駆動制御する駆動制御部と、前記検出した搭乗部の物理量に応じて前記検出した搭乗部の傾斜方向に前記バランサを移動し、これにより生じる反力トルクで前記搭乗部を元の姿勢位置に戻すことで前記搭乗部の姿勢制御を行う姿勢制御手段と、を車両に具備させて前記目的を達成する。
(2)請求項2に記載した発明では、請求項1に記載の車両において、前記姿勢制御手段は、前記バランサを、前記検出した物理量に対するトルクT1以上のトルクT2を発生させる角加速度又は角速度で移動させることを特徴とする。
(3)請求項3に記載した発明では、請求項2に記載の車両において、前記バランサを移動させるバランサモータを備え、前記姿勢制御手段は、前記バランサモータにより前記バランサを前記搭乗部の傾斜方向に移動させることを特徴とする。
(4)請求項4に記載した発明では、請求項3に記載の車両において、前記姿勢制御手段は、前記バランサと共に前記バランサモータを、前記搭乗部の傾斜方向に移動させることを特徴とする。
(5)請求項5に記載した発明では、請求項1から請求項4のうちのいずれか1の請求項に記載の車両において、前記バランサは、前記バランサモータに電力を供給する電源であることを特徴とする。
本発明では、搭乗部の傾斜に基づく角加速度等の物理量を検出し、検出した物理量に応じて、バランサを搭乗部の傾斜方向に移動させることで姿勢制御を行うようにしたので、駆動輪が一軸上に配置された車両の姿勢を動的に制御することができる。
以下、本発明の車両における好適な実施の形態について、図1から図16を参照して詳細に説明する。
(1)実施形態の概要
本実施形態では、ジャイロセンサで搭乗部(車体)の傾斜を検出し、その傾斜する角加速度から、搭乗部の傾斜に対するトルクT1を算出し、そのトルクT1を打ち消して傾斜方向と反対の方向に搭乗部を戻すためのトルクT2をバランサの移動により発生させる。
すなわち、バランサを搭乗部の傾斜方向にトルクT2(>T1)で駆動することにより、トルクT2に対する反力トルク−T2を搭乗部に作用させる。
この反力トルク−T2により、搭乗部は最初に傾斜した方向と反対方向に押し戻される。
搭乗部が反対方向に押し戻されることで、鉛直線に対する反対側に搭乗部が傾斜した際の角加速度をジャイロセンサで検出し、その角加速度に対応したトルクT2でバランサを反対方向(搭乗部の移動方向で、最初にバランサを移動した方向と逆の方向)に再度移動する。
このように、本実施形態では、搭乗部の傾斜方向にバランサを移動し、その反力トルクで搭乗部を反対方向に移動する。この動作が繰り返されることで搭乗部の傾斜角度は徐々に小さくなり、搭乗部とバランサとの全体の重心が鉛直線上に戻るまで繰り返される。
(2)実施形態の詳細
図1は本実施形態にかかる倒立振り子車両の外観構成を例示したものである。
図1に示されるように、倒立振り子車両は、同軸に配置された2つの駆動輪11a、11bを備えている。
両駆動輪11a、11bは、それぞれ駆動モータ(ホイールモータ)12で駆動されるようになっている。
駆動輪11a、11b(以下、両駆動輪11aと11bを指す場合には駆動輪11という)及び駆動モータ12の上部には運転者が搭乗する搭乗部13が配置されている。
搭乗部13は、運転者が座る座面部131、背もたれ部132、及びヘッドレスト133で構成されている。
搭乗部13は、駆動モータ12が収納されているホイールモータ筐体121に固定された支持部材14により支持されている。
搭乗部13の左脇には操縦装置15が配置されている。この操縦装置15は、運転者の操作により、倒立振り子車両の加速、減速、旋回、回転、停止、制動等の指示を行う為のものである。
本実施形態における操縦装置15は、座面部131に固定されているが、有線又は無線で接続されたリモコンにより構成するようにしてもよい。また、肘掛けを設けその上部に操縦装置を配置するようにしてもよい。
なお本実施形態において、操縦装置15の操作により出力される操作信号によって加減速等の制御が行われるが、例えば、特許文献1に示されるように、運転者が車両に対する前傾きモーメントや前後の傾斜角を変更することで、その傾斜角に応じた車両の姿勢制御及び走行制御を行うように切替可能にしてもよい。
なお、運転者による傾きモーメントによる姿勢制御及び走行制御を行う場合には、本実施形態による姿勢制御は行わない。
但し、傾きモーメントによる姿勢制御等を行う場合であっても、運転者の動きによる傾きモーメントと、外力による傾きモーメントとを別々に検出するセンサを配置する場合には、外力による傾きモーメントを打ち消すために本実施形態による姿勢制御を適用するようにしてもよい。
搭乗部13と駆動輪11との間には制御ユニット16が配置されている。
本実施形態において制御ユニット16は、搭乗部13の座面部131の下面に取り付けられているが、支持部材14に取り付けるようにしてもよい。
制御ユニット16の下部には、本実施形態におけるバランサ駆動部18が配置されている。
バランサ駆動部18は、両駆動輪11間の略中心上で、駆動輪に挟まれる位置に配置されている。
図2は、バランサ駆動部18の構成を表したものである。
図2に示されるようにバランサ駆動部18は、制御ユニット16の下部に取り付けられたバランサモータ181、バランサ182、及びバランサ駆動機構183から構成されている。
バランサ駆動機構183は、互いに歯合するバランサ歯車184、軸受け185、歯車支持部186、及びモータ歯車187を備えている。
バランサ歯車184は、半円形状に形成され、その長さ方向の中心にはバランサ182が固定されている。
軸受け185は、静圧軸受け等の各種軸受けを使用することが可能であるが、本実施形態では転がり軸受けで構成されている。
軸受け185の内輪はホイールモータ筐体121の外面に固定されており、外輪には3本の歯車支持部186を介してバランサ歯車184が固定されている。これにより、半円形状のバランサ歯車184は駆動輪11と同軸(回転軸111)で回動することになる。
本実施形態において、バランサ歯車184を半円形状とすることで、バランサ歯車184自体をバランサ182の荷重の一部として使用することができる。
本実施形態では、バランサ182がバランサ歯車184の長さ方向の中心に固定されることで、約180度の範囲で移動可能になっている。
モータ歯車187は、バランサモータ181の回転軸に取り付けられている。
モータ歯車187は、バランサ歯車184と歯合しており、バランサモータ181の駆動力で回動することで、バランサ歯車184を回動させる。これにより、バランサ182が、その回動軸111を中心に駆動輪11と平行な面内を移動する。
バランサモータ181は、制御ユニット16に固定されることで、間接的に搭乗部13(本実施形態では座面部131)に固定されている。
これにより、バランサモータ181によりバランサ182を所定トルクTで回動(移動)させる、その反力がバランサモータ181から搭乗部22に作用することになる。
図3は、倒立振り子車両の制御ユニット16の構成を表したものである。
制御ユニット16は、バッテリ160、主制御装置161、ジャイロセンサ162、モータ制御装置163を備えている。
バッテリ160は、駆動モータ12及びバランサモータ181に電力を供給する。また、主制御装置161にも制御用の低電圧の電源を供給するようになっている。
主制御装置161は、メインCPUを備え、図示しない各種プログラムやデータが格納されたROM、作業領域として使用されるRAM、外部記憶装置、インターフェイス部等を備えたコンピュータシステムで構成されている。
倒立振り子車両の姿勢を保持する姿勢制御プログラム、操縦装置15からの各種指示信号に基づいて走行を制御する走行制御プログラム等の各種プログラムがROM(又は外部記憶装置)に格納されており、主制御装置161は、これら各種プログラムを実行することで対応する処理を行う。
ジャイロセンサ162は、搭乗部13の姿勢を感知する姿勢感知センサとして機能する。
ジャイロセンサ162は、搭乗部13の傾斜に基づく物理量として、搭乗部13の角加速度と傾斜角度θを検出する。
なお、本明細書において角加速度は{θ}で表し、図面においてはθの上部に2つのドットを付したθドット・ドットで表示する。
ジャイロセンサ162で検出される傾斜角度θは、車両前方に傾斜する場合がθ>0、後に傾斜する場合がθ<0である。
主制御装置161は、ジャイロセンサ162で検出される傾斜角度から傾斜方向を認識する。
なお、本実施形態のジャイロセンサ162では、角加速度と傾斜角を検出して主制御装置161に供給するが、角加速度だけを検出するようにしてもよい。
この場合、主制御装置161は、ジャイロセンサ162から供給される角加速度を蓄積することで、角速度と角度を算出して傾斜角を取得するようにする。
また、姿勢感知センサとしてはジャイロセンサ162以外に、液体ロータ型角加速度計、渦電流式の角加速度計等の搭乗部13が傾斜する際の角加速度に応じた信号を出力する各種センサを使用することができる。
液体ロータ型角加速度計は、サーボ型加速度計の振り子の代わりに液体の動きを検出し、この液体の動きをサーボ機構によりバランスさせるときのフィードバック電流から角加速度を測定するものである。一方、渦電流を利用した角加速度計は、永久磁石を用いて磁気回路を構成し、この回路内に円筒形のアルミニウム製のロータを配置し、このロータの回転速度の変化に応じて発生する磁気起電力に基づき、角加速度を検出するものである。
モータ制御装置163は、駆動モータ12、及びバランサ駆動部18のバランサモータ181を制御する。
すなわち、主制御装置161から供給される駆動トルク、速度、回転向きの各指示信号に応じて駆動モータ12を制御する。
また、主制御装置161から供給される回転方向指令とトルク指令値T2に応じたトルクを出力するようにバランサモータ181を、指令された方向に駆動制御する。
モータ制御装置163は、駆動モータ12用のトルク−電流マップと、バランサモータ181用のトルク−電流マップを備えている。
このトルク−電流マップに従って、モータ制御装置163は、主制御装置161から供給される駆動トルクに対応する電流を駆動モータ12に対して出力し、供給されるトルク指令値T2に対応する電流をバランサモータ181に対して出力するように制御する。
なお、主制御装置161から供給される駆動トルクは、車両が停止している場合には、姿勢制御のためのトルク指令値T3であり、走行中は運転者の駆動要求に応じたトルク指令値から姿勢制御のためのトルク指令値T3を加減算した値である。
主制御装置161には、駆動モータ12、操縦装置15、及びジャイロセンサ162から各装置、機器に応じた情報が供給されるようになっており、これらの情報に応じて姿勢、走行、制動の各制御が行われるようになっている。
すなわち、駆動モータ12からトルクとロータ位置を示す情報が供給され、操縦装置15から加速指示情報、減速指示情報、旋回方向を示す旋回情報が供給され、ジャイロセンサ162からは搭乗部の角加速度{θ}が供給されるようになっている。
以上のように構成された倒立振り子車両による姿勢制御処理の動作について説明する。なお、この姿勢制御処理は、車両が停止している(走行していない)場合、加減速中、及び定速走行中、すなわち、車両が取りうるの全ての状態において行われる。
図4は、倒立振り子車両における姿勢制御の原理について説明したものである。
図4(a)に示されるように、乗員Aの重量をm1、バランサBの重量をm2とし、駆動輪11の車輪中心(回転軸)から、乗員の重心までの距離をr1、バランサの重心までの距離をr2とする。
なお、バランサBの重量m2は、バランサ182だけでなくバランサ182と一体となって駆動するバランサ歯車184等の重量である。
また、乗員Aの重量m1は、搭乗者が搭乗し、駆動輪11を固定した状態で回転部分の全重量Mからバランサ重量m2を減じた値である。
いま図4(a)の状態から、何かの外力が加わって図4(b)に示されるように、乗員Aの重心(以下乗員重心という)が前方に角加速度{θ1}で傾斜したものとする。
この乗員重心の傾斜による傾斜角度θ1と角加速度{θ1}がジャイロセンサ162で検出される。
乗員重心の傾斜を検出すると、図4(c)に示されるように、バランサBを乗員Aの傾斜方向に角加速度{θ2}で移動させる。傾斜方向については、傾斜角θの正負で判断される。
このバランサBを動かす角加速度{θ2}は、{θ2}>K{θ1}である。Kは常数で、その導出については後述する。
バランサBを、角加速度{θ2}で動かすと、図4(c)に示されるように、バランサBを動かすためのトルクに対する反力によって乗員Aが後方(最初の傾斜方向と反対方向)に移動する。
乗員Aが後方に移動することで鉛直線を越えて角度θ3(<0)になったこと、すなわち、鉛直線に対する傾斜角θが反転したことを検出すると、バランサBを角度θ3方向(反対方向)に再度移動させる。
すなわち、乗員Aの傾斜角度が反転した際の角加速度{θ3}もジャイロセンサ162で検出され、角速度{θ3}に応じた角速度{θ4}({θ4}>K{θ3})でバランサBを後方(乗員Aの移動方向)に移動させる。
これにより、図4(d)に示されるように、バランサBを後方に動かすためのトルクに対する反力によって乗員Aが再度前方に角加速度{θ5}で移動する。
以後、同様に乗員Aの鉛直線に対する傾斜角の反転を検出した際の角速度に対応した角速度でバランサBを傾斜角方向に移動し、そのバランサBの移動による反力で乗員Aを鉛直線方向に戻す動作を繰り返すことで、鉛直線を中心とした傾斜角θが徐々に0に収束し、図4(a)に示す正常状態の姿勢に戻すことができる。
なお、図4に示した乗員Aの傾斜角は説明のため大きく表示しているが実際には、傾斜角θ1又は角加速度{θ1}の検出により直ちにバランサBを移動させるので、乗員Aにとってわずかな動きでしかない。
ここで、上記常数Kについて説明する。
今、乗員Aが前方に角加速度{θ1}で移動するのに必要なトルクをT1とし、バランサBを前方に動かす際に必要なトルクをT2とすると、両トルクT1、T2は次の式(1)、(2)により求まる。
T1=m1×(r1×r1)×{θ1}…(1)
T2=m2×(r2×r2)×{θ2}…(2)
このトルクT2がT1よりも大きければ、トルクT2の反力−T2により乗員Aが反対方向(後方)に戻されることになる。
(1)(2)式から、{θ2}>((m1×r1×r1)/(m2×r2×r2)){θ1}となる。
従って、K=(m1×r1×r1)/(m2×r2×r2)となる。
実際の制御では、バランサモータ181によるバランサBの駆動トルクをT2とし、T2>T1となるように、バランサモータ181を駆動制御することになる。
角加速度{θ1}はジャイロセンサ162で検出する。
乗員Aの重量m1は、装置の重量m1a+搭乗者の重量m1bであるが、このうち装置重量m1aは車両毎に既知である。搭乗者の重量m1bは、予想される搭乗者の予想最大体重、例えば、90kgを設定しておく。予想最大体重を設定しておき、その値に基づいてT2を決定すれば、それ以下の体重であっても、T2>T1の条件を満たし、バランサBの移動によって乗員Aを反対方向に戻すことができる。
なお、搭乗部13の運転者が座る座面部131に搭乗者の体重を測定する体重計(体重計測手段)を配置しておき、その測定値を搭乗者の重量m1bとして使用するようにしてもよい。
図5は、主制御装置161による姿勢制御動作を表したフローチャートである。
主制御装置161は、ジャイロセンサ162から搭乗部13の傾斜角θと傾斜角加速度{θ}を取得し(ステップ50)、傾斜角θが反転したか否かを判断する(ステップ51)。
ここで、傾斜角θの反転は、図4(b)から(c)への乗員Aの状態変化、(c)から(d)への乗員Aの変化のように、傾斜角θ>0の状態と傾斜角θ<0の状態間の変化が該当する。
また、本出願において、図4(a)から(b)への乗員Aの状態変化のように、傾斜角θ=0(安定状態)から傾斜角θ>0やθ<0への状態変化も、傾斜角θの反転に含まれるものとする。
主制御装置161は、傾斜角θの反転が無ければ(ステップ51;N)、ステップ50に戻って引き続き姿勢の監視を継続する。
一方、傾斜角θの反転が検出された場合(ステップ51;Y)、主制御装置161は、ステップ50で取得した搭乗部13の角加速度{θ}から上記式(1)に従って、乗員Aを角加速度{θ}で傾斜させるためのトルクT1を算出する(ステップ52)。
ついで、バランサモータ181に出力トルクT2を指令する(ステップ53)。
すなわち、主制御装置161は、モータ制御装置163に対して、算出したトルクT1よりも大きいトルクT2(>T1)をトルク指令値とし供給すると共に、傾斜角θに対応したバランサ182の移動方向の情報(θ>0:前方、θ<後方)を供給する。
これにより、モータ制御装置163は、主制御装置161から指示された方向にトルクT2でバランサモータ181を駆動する。
これにより、バランサ182が指示方向に移動し、その駆動トルクT2と釣り合う反力トルク−T2が搭乗部13(乗員A)に作用し、反対方向に戻される。
ついで、主制御装置161は、電源がオフされたか判断し(ステップ54)、オフされれば(;Y)処理を終了し、オフされていなければ(;N)、ステップ50に戻って姿勢制御を継続する。
図6は、他の倒立振り子車両の外観を表したものである。
この倒立振り子車両は、同軸上に配置された2つの駆動輪11a、11bと、両駆動輪11a、11bをそれぞれ独立して駆動するホイール駆動モータ12a、12bを備えている。
そして、両ホイール駆動モータ12の筐体上に、運転者が立った姿勢で搭乗するための搭乗部40が配置されている。なお、搭乗部40は、駆動軸上又は駆動軸より下方に配置するようにしてもよく、何れの場合も、ホイール駆動モータ12aとホイール駆動モータ12bを接続する機能を備えている。
搭乗部40の前方中央には、支持部41が配置されている。
支持部41の上端部には、ハンドル42が取り付けられている。ハンドル42には、操縦装置15が取り付けられている。
なお、原動機付き自転車等と同様に、アクセルとブレーキで操縦装置15を構成するようにしてもよい。ハンドルの回転角度から駆動力指令を取得し、ブレーキ操作で停止指令を取得するようにしてもよい。
搭乗部40の下面には制御ユニット16が固定され、制御ユニット16の下部にはバランサ駆動部18が配置されている。
バランサ駆動部18の基本的構成は図2に示した構成と同一であるが、以下異なる点を中心に説明する。
バランサ駆動部18は、バランサモータ181が制御ユニット16に固定され、ホイール駆動モータ12aの筐体にバランサ駆動機構183が配設されている。
バランサ駆動機構183のバランサ歯車184の長さ方向の中心位置にバランサ182が取り付けられている。バランサ歯車184は、内歯歯車で構成され、バランサモータ181の回転軸に取り付けられたモータ歯車187と歯合するようになっている。
この変形例におけるバランサ駆動機構183では、バランサ歯車184が内歯歯車になっているので、歯車支持部は、半円形状のバランサ歯車184の両端で軸受けの外輪に支持されている。図2と同様に中央にも歯車支持部を配設する場合には、モータ歯車187を軸方向に避けた位置に配設する。
軸受けの内輪は、ホイール駆動モータ12aの駆動軸と同軸となるように、ホイール駆動モータ12aの筐体に固定されている。
なお、図6に示した車両におけるバランサ駆動機構183では、バランサ182とバランサ歯車184を、ホイール駆動モータ12aの駆動軸の上側となるように配置したが、下側となるように配置してもよい。この場合バランサ182は、乗員Aが傾斜していない(θ=0)状態で、駆動軸の鉛直線上下側に位置することになる。そして、内歯歯車と歯合するようにモータ歯車の径を大きくするか、モータ取り付け位置を調整する(両者でもよい)。
このようにバランサ182とバランサ歯車184を下側に配置することで、バランサの重心までの距離r2(図4参照)を大きくすることができる。
また図6に示した車両では、バランサ駆動機構183をホイール駆動モータ12a側に配置したが、バランサ駆動機構183をホイール駆動モータ12aとホイール駆動モータ12bの中央部に配置するようにしてもよい。
また、バランサ駆動機構183をホイール駆動モータ12a側だけでなく、他方のホイール駆動モータ12b側にも配置するようにしてもよい。
この場合、バランサモータ181を共通化し、バランサ182a、182b、バランサ駆動機構183a、183bをそれぞれホイール駆動モータ12a、12bに配置するようにしてもよい。
図6で説明した他の倒立振り子車両に対する制動処理については、図5のフローチャートで説明した制動処理と同様である。
以上説明したように本実施形態の車両によれば、搭乗部13の姿勢変化(乗員Aの傾斜)を検出すると、乗員Aが傾斜した角加速度{θ}から乗員Aの傾斜に要したトルクT1を算出し、このトルクT1より大きなトルクT2でバランサBを乗員Aの傾斜方向に移動することで、その反力−T2を乗員Aに作用させ、乗員Aのバランスをとること(姿勢を定常状態に維持すること)が可能になる。
(3)第2の実施形態の概要
第1の実施形態では、乗員Aが傾斜した方向にバランサBを移動させることで搭乗部の姿勢制御を行う場合について説明した。
これに対して、第2の実施形態では、姿勢制御を行うために、バランサBの移動による反力に加えて、駆動輪11の駆動による反力を使用する。
すなわち、乗員部(乗員A)の安定制御(姿勢制御)において、車両の停止/走行/制動/旋回時に乗員部をより安定させるために、バランサの移動による反力トルクと、駆動輪11の駆動トルクを加減することによる反力トルクを使用する。
駆動輪11の駆動トルクはバランサBの移動によるトルクを補完するために補助的に使用する。
具体的には、乗員Aの移動トルクT1が所定トルク値以下の場合はバランサBの移動による姿勢制御をする。
一方、乗員Aの移動トルクT1が所定トルク値よりも大きくなった場合には、バランサBを所定トルク値に対応する反力を発生させる角加速度で移動し、乗員Aを鉛直線方向に戻すために不足している反力トルク分を駆動輪11のトルクを加減させることで、乗員Aの姿勢を制御する。
本実施形態では、所定トルク値としてバランサBの移動により得られる最大トルク値T2maxが使用される。
なお、第2実施形態で使用する車両は、駆動輪11に対する姿勢制御の部分を除いて、第1実施形態及びその変形例(図6を含む)で説明した構成と同様である。
また、本実施形態を含む全ての実施形態及び及び各変形例において、乗員AとバランサBについては、第1実施形態の説明と同様に、乗員Aは搭乗者が車両に搭乗し、駆動輪11の回転を固定した状態で回転する部分の全体からバランサBを除いた部分を指し、バランサBは、バランサ182だけでなくバランサ182と一体となって重心位置が移動する部分全体、例えば、バランサ歯車184等を含めた部分を指す。
(4)第2実施形態の詳細
図7は、第2実施形態における、倒立振り子車両のトルクバランスについて表したものである。
図7に示されるように、乗員Aが点線で表した鉛直線上にいる状態から、外力によって、図7に示されるように、角加速度{θ1}で移動した場合、この移動による乗員AのトルクT1は上記式(1)で表される。
そして、この乗員Aの動きに対して、乗員Aの姿勢を鉛直線上に戻すために、バランサBを角加速度{θ2}で動かした時のトルクT2は上記(2)で表される。
これに対して、駆動輪11を駆動モータ12で駆動するために必要なトルクT3は次のT3で表される。
T3=I3×{θ3}+(F×r3)…(3)
ここで、r3は駆動輪の半径、{θ3}は駆動輪11の回転角加速度である。
また、I3はタイヤのイナーシャ(慣性モーメント)で、駆動輪11の重量をm3とした場合にm3×(r3×r3)で表される。
そして、乗員Aの外力による移動に対して、バランサBを移動したことによるトルクT2に対する反力トルク−T2と、駆動輪11に加えたトルクT3に対する反力トルク−T3が乗員Aに作用することで、乗員Aは鉛直線方向に戻されることになる。
なお、乗員Aを鉛直方向(外力により移動した方向と反対方向)に戻すためには、次の式(4)を満たす必要がある。
(T2+T3)>T1…(4)
図8は、第2実施形態において、主制御装置161の姿勢制御動作を表したフローチャートである。
なお、図8において第1実施形態と同一の部分には同一のステップ番号を付してその説明を適宜省略する。
第2実施形態の姿勢制御において、主制御装置161は、搭乗部13の角加速度{θ}から乗員Aを角加速度{θ}で傾斜させるためのトルクT1を算出(ステップ52)した後、算出したT1が、バランサBの移動で得られるトルクT2(反力トルク−T2)の最大値T2max以下であるか否かを判断する(ステップ52a)。
T1≦T2maxである場合(ステップ52a;Y)、主制御装置161はステップ53に移行し、第1実施形態と同様の制御を行う。
一方、T1>T2maxである場合(ステップ52a;N)、主制御装置161は、バランサモータ181に出力トルクT2maxと、加減トルク値T3>T1−T2maxをモータ制御装置163に供給することで、出力トルクを指令する(ステップ53a)。
モータ制御装置163では、第1実施形態の場合と同様に、バランサモータ181用のトルク−電流マップに基づいて、供給された出力トルクT2maxに対応する電流値をバランサ駆動部18に供給することで必要な反力トルク−T2maxを得る。
一方、モータ制御装置163は、駆動モータ12用のトルク−電流マップに基づいて、供給された加減トルクT3に対応する電流値で駆動モータ12(駆動輪11)を駆動することで、必要な反力トルク−T3を得る。
なお、主制御装置161は、モータ制御装置163に対して、車両が停車している場合には、加減トルクT3を供給する。
一方、車両が走行中である場合、主制御装置161は、操縦装置15から出力される操作信号に対応した出力を得るために必要な駆動モータ12の駆動トルクTMに加減トルクT3を加えた値(TM+T3)をモータ制御装置163に供給する。
モータ制御装置163は、実際には、主制御装置161から供給されるトルク値(T3、TM+T3、TM(駆動モータによる姿勢制御を行わない場合))に対応する電流で駆動モータ12を駆動することになる。
以上、バランサBの移動による反力トルク−T2と、駆動モータ12(駆動輪11)の駆動による反力トルク−T3とにより、乗員Aが鉛直線方向に戻されることになる。
以下、第1実施形態と同様に、図8のステップ50からステップ54を繰り返すことで、乗員Aの姿勢制御が行われる。
この第2実施形態によれば、車両停止又は走行時(特に定速走行時)の搭乗部Aの安定制御において、駆動モータトルクを補助的に利用する事で、許容外力を向上する事が可能となり、更には起動時の乗員傾斜許容角度を向上する事が可能となる。
(5)第3実施形態の概要
第1実施形態、第2実施形態、及び本実施形態では、乗員部(乗員A)の安定制御(姿勢制御)において、バランサは、次の(a)、(b)の2つの効果を得るために使用される。
(a)バランサBを移動することにより反力トルク−T2を乗員Aに作用させる。
(b)バランサの位置を鉛直線上から前方又は後方に位置させることにより重心位置を移動させる。
しかし、これらは同時に発生する物理現象の為、その制御則は複雑にならざるをえない。これは、バランサ駆動トルクの反力を得る場合、同時に重心移動も発生するためである。
そこで、本実施形態では、第2実施形態による制御は車両が停止している場合に実行する。
そして、車両が走行している場合には、バランサBの移動を上記(b)の重心位置の制御用に使用し、反力トルクを得るためには使用しない。
一方、乗員Aの外力による移動に対する走行中の姿勢制御については、駆動モータ12(駆動輪11)の駆動トルクの加減によるものとする。
(6)第3実施形態の詳細
図9は、第3実施形態における、車両走行中の各部の状態を表したものである。
図9(a)には、車両走行中に乗員Aが鉛直線上に姿勢制御されている状態を表したものである。
車両走行中は、車両全体の重心(乗員AとバランサBの合成重心)位置を進行方向に傾けることで、走行抵抗分の駆動トルクとバランスさせる必要がある。
本実施形態では、この図9(a)に示されるように、バランサBを進行方向前方にθ2だけ傾けた位置に位置させる。
この場合、駆動モータ12で駆動輪11を駆動することにより発生する駆動トルクTMによる反力トルク−TMと、θ2だけ傾けた位置にあるバランサBの重力によるトルクT2(G)とを一致さることで、乗員Aの位置を鉛直線上に位置させながら走行することが可能になる。
ここで、重力加速度をGとした場合に、トルクT2(G)は、次の式(5)で表される。
T2(G)=r2×m2×G×sinθ2…(5)
図9(a)のように安定走行している状態で、図9(b)に示すように外力によって乗員Aが鉛直線からずれた場合、乗員Aの姿勢を鉛直線方向に戻すために、駆動モータ12の駆動トルクを、走行に必要な駆動トルクTMに加減トルクT3を加えたTM+T3に変更する。
ここで加減トルクT3の値として、T3>T1とすることで、乗員Aは反力トルク−T3により鉛直線方向に戻されることになる。
図10は、第3実施形態において、主制御装置161の姿勢制御動作を表したフローチャートである。
なお、図10において第2実施形態と同一の部分には同一のステップ番号を付してその説明を適宜省略する。
第3実施形態の姿勢制御において、主制御装置161は、搭乗部13の角加速度{θ}から乗員Aを角加速度{θ}で傾斜させるためのトルクT1を算出(ステップ52)した後、車両が走行中か否かを判断する(ステップ52b)。
車両が走行中か否かについては、例えば、車速センサからの出力が0より大きいか否か、駆動モータ12に駆動トルクTMを供給しているか否か等により判断される。
またこの判断は、徐行の速度以下か否か、すなわち、車速センサからの出力が、例えば5km/hより大きいか否かで判断してもよい。
車両が走行中でない、すなわち、車両が停車中であると判断された場合(ステップ52b;N)、主制御装置161は、ステップ52aに移行し、以後ステップ54まで第2実施形態と同様に処理する。
一方、車両が走行中であると判断された場合(ステップ52;Y)、主制御装置161は、ステップ52で算出したT1よりも大きいトルク値を加減トルク値T3としてモータ制御装置163に供給することで、出力トルクを指令し(ステップ53b)、ステップ54に移行する。
なお、車両走行のための駆動トルクTMが指令されているので、主制御装置161からは、操縦装置15から出力される操作信号に対応した出力を得るために必要な駆動モータ12の駆動トルクTMに加減トルクT3を加えた値(TM+T3)がモータ制御装置163に供給される。
そして、モータ制御装置163は、実際には、主制御装置161から供給されるトルク値(TM+T3)に対応する電流で駆動モータ12を駆動することになる。
以上説明したように、第3実施形態では、車両走行中においては、バランサ位置を姿勢制御のためには移動させず、駆動モータ12(駆動輪11)の加減トルクT3による反力トルク−T3を制御することで姿勢制御を行う。
このように、車両走行中はバランサ位置を姿勢制御用に移動させないので、バランサ位置の移動による重心の移動を考慮しなくてよいため制御が簡略化される。
なお、本実施形態では、走行中においてバランサ移動による反力を利用せず、車輪の駆動トルクを変化させるため、車速に変化が発生する。
しかし、車両の走行中であるため、停車中に比べて、乗員が車両の揺れとして感じる程度は小くて済むという効果がある。
次に、本実施形態における車両による発進時、及び加減速時の動作について説明する。
ここで発進時とは車両が停止している状態から前方又は後方に発進するする場合をいい、加減速時とは車両の走行中において加速又は減速する場合をいう。
本実施形態の車両では、発進時、及び加減速時において、全体重心(乗員Aの重心とバランサBの重心の合成重心)の傾斜角αを変化させる必要がある。
すなわち、発進、加減速直前における、車輪中心(回転軸)と全体重心を結ぶ線を基準線とした場合に、発進時と加速時には全体重心を進行方向に、減速時には全体重心を進行方向と逆方向に傾斜(傾斜角α)させる必要がある。
ここで、発進時には鉛直線が基準線であり、鉛直線から加減速直前の状態での走行に必要な傾斜角αだけ傾斜した線が基準線となる。
本実施形態では、発進、加減速のために全体重心を基準線に対して前方又は後方に移動させる方法として、駆動輪による第1動作と、バランサBの移動による第2動作とがある。
図11は、(a)が第1動作の概要を、(b)が第2動作の概要を表したものである。
この図11では、車両の発進時の動作について表しているが、基準線が異なる点、減速の場合に傾斜の方向が逆(減少させる方向)である点を除き同一である。
(a)第1動作
この第1動作では、発進直前において、乗員A(の重心)、バランサB(の重心)及び全体重心Zは、姿勢制御によって全て基準線(鉛直線)P上にある状態にバランスが取られている。
この状態で、図11(a)(イ)に示すように、進行方向と逆方向に駆動輪11を回転(図では進行方向右方向に対して左方向に回転)させることで、駆動輪11を後退させる。
すると、図11(a)(ロ)に示すように、基準線P上にあった乗員A、バランサB、全体重心Zは、同一の位置関係(角度関係)を保持したまま重力によって前傾(傾斜角α)する。
そして、図11(a)(ハ)に示すように、所定の傾斜角α(全体重心Zの傾斜角)の姿勢を保持しながら、指定された方向に加速することで発進(前進、後進)が行われる。
(b)第2動作
この第1動作では、発進直前において、乗員A(の重心)、バランサB(の重心)及び全体重心Zは、姿勢制御によって全て基準線(鉛直線)P上にある状態にバランスが取られている。
なお、加減速の場合には、加減速直前において基準線Pは鉛直線に対してα0だけ傾斜しており、全体重心Zはこの基線上に位置する。乗員AとバランサBは、一方が基準線P上の前方に、他方は後方に存在するか、又は両者とも基準線P上に位置している。
この状態で、図11(b)(イ)に示すように、バランサBを進行方向と逆方向、すなわち、後方に移動させる。
すると、図11(b)(ロ)に示すように、バランサBが後方に移動したことによる反力トルクにより、乗員AはバランサBと反対方向(進行方向)に傾斜する。
また、全体重心Zも、乗員AはバランサBと反対方向(進行方向)で、基準線Pと乗員Aの間に移動する。
そして、図11(b)(ハ)に示すように、バランサBを徐々に前に戻しながら加速が行われる。
以上説明した第2動作では、バランサBを移動させた場合にその反力で乗員AがバランサBと反対方向に移動するが、両者の全体重心ZについてもバランサBと反対方向に移動する場合について説明した。
このようにバランサBと全体重心Zが反対方向に移動するための条件は、次の式(6)で示される。
m1×r1/(I1+m1×{r1})>m2×r2/(I2+m2×{r2}) (6)
この式(6)において、m1は乗員Aの重量、r1は駆動輪11の車輪中心(車軸)から乗員Aの重心までの距離、{r1}は、乗員Aの角加速度、I1は乗員Aの重心回りのイナーシャ、式(6)中のm1×{r1}は、乗員Aの車軸周りのイナーシャである。
また、m2はバランサBの重量、r2は駆動輪11の車軸からバランサBの重心までの距離、{r2}は、バランサBの角加速度、I2はバランサBの重心回りのイナーシャ、式(6)中のm2×{r2}はバランサBの車軸周りのイナーシャである。
なお、式(6)において不等号の向きが逆である場合、バランサBを移動した場合、乗員AについてはバランサBと反対方向に移動するが、全体重心Zはバランサと同一方向に移動する。この場合、バランサBを進行方向、加速方向、減速方向と反対方向に移動することで、全体重心Zを所望方向に移動することができるが、乗員Aが重心の移動方向と逆方向となり、通常の乗車感覚と逆になるため、式(6)による方がこのましい。
ただし、第1〜第3実施形態等で説明した姿勢制御を行う場合については、乗員AはバランサBと逆方向に移動するので、式(6)の関係でも、不等号が逆の関係でもよい。
次に、第1動作及び第2動作による、発進時、及び加減速時の制御動作について説明する。
ここで、発進時、及び加減速時の制御動作において使用される運動方程式について説明する。
なお、各式において{θ}は角加速度を、「θ」は角速度を表し、添え字wは駆動輪を意味し、添え字1は乗員Aを表し、添え字2はバランサを表すものとする。またgは重力加速度を、Rwは駆動輪の半径を表す。
(a)駆動輪11の運動方程式は、ホイルモータトルクをT3とした場合、次の式(7)で表される。
T3=Iw{θw}
+Rw[mw×Rw×{θw}+[(m1×Rw×{θw})+(m1×r1{θ1}×cosθ1)−(m1×r1×「θ1」×「θ1」×sinθ1)]+[(m2×Rw×{θw})+(m2×r2{θ2}×cosθ2)−(m2×r2×「θ2」×「θ2」×sinθ2)]]
+(Rw×Dxw+Dθw)×「θw」 (7)
式(7)は、次のように表される。
T3=T31+T32+T33
T32=Rw×(T32a+T32b+T32b)
T33=(T33a+T33b)×「θw」
T31は駆動輪11の慣性である。
T32は地面との摩擦力によるモーメントである。
Rw×T32aはタイヤの慣性(並進)である。
Rw×T32bは車体の慣性(並進方向加速度+周方向加速度−半径方向加速度)である。
Rw×T32cはバランサの慣性(並進方向加速度+周方向加速度−半径方向加速度)である。
T33は減衰力である。
T33a×「θw」は、空気抵抗による減衰力である
T33b×「θw」は、摩擦による減衰力である。
Rwは駆動輪11の半径である。
(b)車体の運動方程式は次の式(8)で表される。
T1=−(T2+T3)
=(m1×r1×r1+I1)×{θ1}
+(m1×Rw×{θw}×r1×cosθ1)
−(m1×g×r1×sinθ1)+(Dθ1×「θ1」) (8)
式(8)は次のように表される。
T1=車体(乗員Aの)慣性+車体の慣性力によって働く偶力−重力+減衰力
(c)バランサの運動方程式は、バランサモータトルクをT2とした場合、次の式(9)で表される。
T2=(m2×r2×r2+I2)×{θ2}
+(m2×Rw×{θw}×r2×cosθ2)
−(m2×g×r2×sinθ2)(Dθ2×「θ2」) (9)
式(9)は次のように表される。
T2=バランサの慣性+バランサの慣性力によって働く偶力−重力+減衰力
なお、上記式(7)〜(9)を線形近似すると共に、粘性摩擦を無視(省略)することで、T3、T1、T2をそれぞれT3’、T1’、T2’で近似することも可能である。
T3’=Iw’×{θw}+Rw(m1×R1×{θ1}+m2×R1×{θ1})
T1’=I1’×{θ1}+m1×Rw×{θw}×r1−m1×g×r1×θ1
T2’=I2’×{θ1}+m2×Rw×{θw}×r2−m2×g×r2×θ2
この近似式において、Iw’、I1’、I2’は次の通りである。
Iw’=Iw+(m1+m2+mw)×Rw×Rw
I1’=I1+m1×r1×r1
I2’=I2+m2×r2×r2
図12は、第2動作による発進時、加減速時の制御動作を表したフローチャートである。
この図12に示されるように、主制御装置161は、発進、加減速(以下発進等という)直前における車両(乗員A)とバランサBの現状状態を検出する(ステップ21〜ステップ25)。
すなわち、主制御装置161は、車両速度を測定する(ステップ21)。
この車両速度は後述のステップ23で車両傾斜角速度の検出精度を上げるために使用される。
また、上記式(8)における慣性及び重力の値を車速を用いたより精度の高い値を算出する場合にも使用可能である。
ただし、車速の検出は省略することも可能である。
ついで主制御装置161は、車両(乗員A)の傾斜角と傾斜角速度を測定する(ステップ22、23)。
なお、車両の傾斜角加速度は、測定した傾斜角速度から算出される。
さらに主制御装置161は、バランサBの角度(傾斜角度)と角速度を測定する。
バランサBの角加速度は、測定した角速度から算出される。
以上により車両とバランサBの現状状態の測定が完了すると、主制御装置161は、操縦装置15から出力される走行指令(操作信号)を読み取る(ステップ26)。
次に主制御装置161は、ステップ21〜25で検出した車両とバランサBの現状状態と、ステップ26で読み取った走行指令とに対応する、発進又は加減速後における全体重心Zの目標傾斜角αを算出する(ステップ27)。
次に主制御装置161は、全体重心Zを算出した目標傾斜角αとするために必要な、車両(乗員A)の目標傾斜角と目標傾斜角速度を算出する(ステップ28、29)。
目標傾斜角αとするために必要な車両の目標傾斜角と目標傾斜角速度は、上記運動方程式と、車両(乗員A)及びバランサBの重量や重心までの距離r1、r2、イナーシャ等から求まる。
次に主制御装置161は、車体を算出した目標傾斜角と目標傾斜角速度にするために必要なバランサトルクT3を算出し、モータ制御装置163に出力指令を出す(ステップ30)。
モータ制御装置163では、バランサモータ181用のトルク−電流マップに基づいて、出力されたバランサトルクT3に対応する電流値をバランサ駆動部18に供給することで、車両(乗員A)及び全体重心Zを移動させる。
ついで、主制御装置161は、車両を現状状態から発進又は加減速させるために必要な駆動モータトルクT1を算出し、モータ制御装置163に出力指令を出す(ステップ31)。
モータ制御装置163では、駆動モータ12用のトルク−電流マップに基づいて、供給された駆動モータトルクT1に対応する電流値で駆動モータ12(駆動輪11)を駆動することで、発進又は加減速を行う。
以上により、発進又は加減速を行った後主制御装置161は、姿勢安定制御(姿勢制御)を行い(ステップ32)、メインルーチンにリターンする。
以上、第2動作による発進時、加減速時の制御動作について説明したが、第1動作による発進等の制御動作を行う場合には次のようにする。
すなわち、バランサBを移動させないので車両(乗員A)、バランサB、全体重心Zの位置関係は変化しない。
そこで、ステップ27で算出した目標傾斜角αと発進等直前の全体重心Zの傾斜角α0との差分Δαを、ステップ22で測定した車両傾斜角に加算した角度が目標車両傾斜角となる(ステップ28、29)。
そして、主制御装置161は、車体を算出した目標傾斜角と目標傾斜角速度にして発進又は加減速に必要な駆動モータトルクの算出と指令を出力する(ステップ32)。
なお、この場合には当然にステップ30は省略される。
以上説明したように、第1及び第2動作によれば、車両(乗員A)は、発進及び加速時において発進方向に傾斜(前進の場合には前傾)し、減速時において発進方向と逆方向に傾斜するので、違和感のない乗車感覚を得ることができる。
次に、本実施形態及び各種変形例で使用するバランサの他の構成について図13〜図15を用いて説明する。
なお、図13〜図15に示した構成図は、バランサの構成を説明するためのものであり、図1に示した操縦装置15や制御ユニット16等については適宜省略してある。制御ユニット16については、座面部131の下部等に適宜配置される。
図13は、360度回転可能なバランサ182の構成を表したものである。
この図13に示されるように、駆動輪11a用の駆動モータ12aと駆動輪11b用の駆動モータ12bとの間にバランサモータ181が配置されている。
このバランサモータ181のバランサ駆動軸188は、駆動輪11a、11bの回転軸111と同軸上に配置され、バランサ駆動軸188にはバランサ指示部材187を介してバランサ182が配置されている。
なお、図13では、バランサ支持部材187は、バランサモータ181の一方側のバランサ駆動軸188に配置されているが、両側のバランサ駆動軸188にバランサモータ181を挟むように配置し、2つのバランサ支持部材187、187でバランサを支持するようにしても良い。
図14は、バランサモータ181で構成したバランサ182を表したものである。
図14に示されるように、駆動モータ12bの筐体には駆動輪11と同軸線上に軸189aが配置され、この軸189aには軸受けを介してバランサ支持部材189bが配置され、バランサ支持部材189bにバランサとして機能するバランサモータ181が取り付けられている。
バランサモータ181の回転軸にはモータ歯車187aが配置されており、モータ歯車187aは、駆動モータ12aの駆動輪11aと反対側の筐体に配置されている固定歯車187bと歯合している。
このバランサモータ181を駆動すると、モータ歯車187aが回転し、固定歯車187bと歯合しながら固定歯車187bの周囲をバランサモータ181と共に回転移動する。
その際バランサモータ181は、バランサ支持部材189bを介して軸189aを回転軸として軸支されて、回転する。
このようにバランサモータ181でバランサを構成したので、バランサを機能させるために必要な部材を小さくすることができるので、搭乗部13下部の空間を有効に活用できる。
また、搭乗部Aの重量となっていたバランサモータの重量をバランサの重量とすることができる。
図15は、回転軸111を中心として回転するのではなく、水平面を車両の前後方向に移動するバランサ182を表したものである。
この図15に示されるように、座面部131の座面と反対側に固定され、車両の前後方向を長手方向とする長さを持った固定部181cが配置されている。
そして、バランサ182は、固定部181cに案内されながら、矢印qで示されるように、車両の前後方向に移動するように構成されている。
この固定部181cとバランサ182による駆動は、ボールネジ式及び、リニアモータ式のいずれとしてもよい。
ボールネジ式の場合には、図示しないバランサモータでボールネジが回転され、その回転によりバランサ182が前後に移動するようにする。
また、リニアモータ式の場合には、固定部181cに固定子、バランサ182に可動子が配置され、バランサ182は、固定部181cの長手方向に形成されたガイドに沿って前後に移動する。
次に第4の実施形態について説明する。
この第4の実施形態では、前後方向の姿勢制御ではなく、左右方向の姿勢制御を行う物である。
すなわち、以上説明した実施形態では、前後方向の倒立制御(姿勢制御)にバランサ182を使用する場合について説明したが、第4実施形態では、左右方向にバランサを移動することで、左右方向の姿勢制御を行うようにしたものである。
なお、第4実施形態の車両の場合、左右方向の傾斜に対する姿勢制御としてバランサを使用するので、駆動輪11は1つである。
図16は、第4実施形態におけるバランサの動きについて表したものである。
図16(a)に示した実施形態では、バランサBは、駆動輪11の回転軸111を中心として車両の前後方向の円弧上を矢印p1で示すように移動すると共に、回転軸111を中心とした左右方向の円弧上を矢印p2で示すように移動する。
一方、図16(b)に示した実施形態では、バランサBは水平面上を前後方向に矢印p3で示すように移動すると共に、左右方向に矢印p4で示すように移動する。
なお、図16(a)(b)では、前後、左右方向に決められたラインp1〜p4上をバランサが移動する場合について説明したが、回転軸111を中心とする曲面上の任意の位置や、水平面上の任意の位置を所定範囲内で移動するように構成してもよい。
更に、図16(c)に示した実施形態では、バランサBは回転軸111と搭乗者A(の重心)を結ぶ車両線Yを中心に、該車両線Yの周囲を回転移動するように構成されている。図16(c)において、バランサBの周囲に記載した点線の領域は、バランサの外形形状を概念的に表したものであり、バランサ全体が車両線Yに接する状態で配置されている。
この場合、車両(搭乗者A)の傾斜に伴って車両線Yも傾斜し、バランサBは水平面上ではなく、車両線Yと直交する平面上を車両線Yを中心として、矢印p5で示すように回転する。
なお、バランサBを車両の傾斜と関係なく水平面上を鉛直線を中心として回転するように構成してもよい。
以上説明したように、左右方向の姿勢をバランサで制御することにより、車両の走行安定性を向上させることができる。
また、バランサの移動により強制的に全体重心Zの位置を左右に移動させることで、全体重心Zの移動方向に進路変更することが可能になる。例えば、バランサを左方向に移動させ、その反力で全体重心及び車両(搭乗者A)を右方向に傾斜させることで、右方向にカーブすることが可能になる。
なお、以上説明したバランサによる左右方向の姿勢制御については、第1〜第3実施形態で説明した姿勢制御と同様に制御され、全体重心Zの強制的移動については第2動作と同様に制御される。
以上、本発明の車両における1実施形態について説明したが、本発明は説明した実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲において各種の変形を行うことが可能である。
例えば、説明した実施形態では、バランサ歯車を回動させるために駆動軸11の鉛直線上で平行な軸線上にバランサモータ181の回転軸を配置するようにしたが、バランサ歯車184の回転軸と直交する軸線上にバランサモータ181の回転軸を配置し、ウォームギアによりバランサ歯車184を回動するようにしてもよい。
また、説明した実施形態では、バランサ歯車を外歯歯車としたが、内歯歯車としてもよい。
更に、バランサモータ181で発生させたトルクをバランサBに伝達する機構としては、歯車の他に、ベルト等の各種伝達機構を使用してもよい。
また、バランサ182の移動方向を駆動輪11の回転軸111を中心とした回動方向としたが、制御ユニット16と平行な方向を往復動可能に構成してもよい。
この場合、バランサ駆動部18として、特許文献2の図29、30で説明されているようにリニアモータを使用してバランサを移動するようにしてもよい。
また、特許文献1の図13で説明されているように、モータの回転軸に配置したねじ軸の回転により軸方向にバランサを移動するようにしてもよい。
また、説明した実施形態では、車両の姿勢を定常状態に維持するために、乗員Aの傾斜角加速度{θ}から求まるトルクT1を、バランサBの移動トルクT2の反力−T2で相殺することで姿勢制御をする場合について説明した。
しかし、乗員Aの傾斜によるトルクT1を相殺するために、バランサBの移動トルクT2とホイール駆動モータ12の駆動によるトルクT3で姿勢制御をするようにしてもよい。
すなわち、バランサBの移動だけでは姿勢制御できない場合、例えば、バランサBの最大出力トルクT2よりも乗員Aの角加速度{θ}を発生させたトルクT1の方が大きい場合、ホイール駆動モータ12を駆動し、駆動輪11を駆動することで、姿勢制御をする。
具体的には、車両が停止状態の場合であれば、車両が乗員Aの傾斜方向に移動するようにホイール駆動モータ12を駆動することでトルクT3を発生させ、その反力−T3とバランサBの移動による反力−T2の合計トルク−(T2+T3)により乗員Aの傾斜によるトルクを相殺するようにする。
また、車両が定常走行状態の場合、車両の前方への傾斜(θ>0)であれば、ホイール駆動モータ12が分担するトルクT3分だけ加速するようにホイル駆動モータ12を制御する。
一方、車両の後方への傾斜(θ<0)であれば、トルクT3分だけ減速するようにホイール駆動モータ12を制御する。
このように、バランサBの移動によるトルクの不足分をホイール駆動モータ12の駆動トルクT3により補正することで、大きなトルクによる乗員Aの傾斜にも対応することが可能になる。
また、説明した実施形態では、独立したバランサ182を配置するようにしたが、バランサモータ181をバランサとして使用するようにしてもよい。
この場合、バランサモータ181が駆動輪11の回転軸を中心とする円弧上を往復動し、または、水平面上を往復道するように構成する。
また、バランサモータ181とバランサ182の両者が移動するようにしてもよい。この場合バランサモータ181とバランサ182とを一体として移動するようにしてもよく、通常バランサ182のみを移動し、所定以上のトルクが必要である場合にバランサモータを移動させるようにしてもよく、その逆でもよい。
また、バランサとして、独立したバランサ182を配置するのではなく、これに代えて、またはこれに加えて、車両搭載装置をバランサとして使用するようにしてもよい。
例えば、バッテリ160をバランサとして使用したり、さらにバッテリ16を含む制御ユニットをバランサとして使用するようにしてもよい。
また、説明した実施形態では、鉛直線を基準として姿勢が鉛直線上となるように姿勢制御する場合について説明した。例えば、図5で説明した姿勢制御では、鉛直線を基準にした傾斜角θが0になるように姿勢を制御する場合について説明した。
これに対して、姿勢制御の基準線を鉛直線から所定角度Θだけ傾斜させるようにしてもよい。
例えば、走行(前進、行進を含む)している場合に、走行している方向に所定角Θだけ傾斜させることで、不自然な感覚を解消することができる。
この場合、車速が大きくなるほどΘを大きくすることで、車速Vの関数としてΘ(V)を規定するようにしてもよい。
そして、この場合、図5のステップ51では、傾斜角θは、鉛直線からΘだけ進行方向に傾斜した角を基準にして反転があったか否かを判断する。
この場合においても、安定状態である傾斜角θ=0(鉛直線からΘ傾斜)ら傾斜角θ>0やθ<0への状態変化も、傾斜角θの反転に含まれる。
また図1、図6で説明した両実施形態では、バランサ駆動部18又はバランサ182(以下バランサ18等という)を搭乗部13の下側に配置した場合について説明したが、他の位置に配置するようにしてもよい。
この場合、乗員重心よりもバランサ重心が高い位置となるようにバランサ駆動部を配置するようにしてもよい。
例えば、搭乗部13に肘掛けを配置してその内部にバランサ18等を配置することができる。
また、本実施形態の車両をカバーする本体を設け、搭乗部をカバーするドア部分等の車両側面(一方、又は両方)内部にバランサ等を配置するようにしてもよい。
さらに、車両の上部に屋根部を配置し、この屋根部にバランサ18等を配置するようにしてもよい。
これらの各場合において、バランサ182の駆動は、回転運動、直線運動のいずれの方式を採用するようにしてもよい。
このように、乗員重心よりもバランサ重心が高い位置にバランサ182を配置することで、説明した実施形態よりも、バランサを駆動する際の角加速度(回転運動の場合)、加速度(直線運動の場合)を小さくすることができる。その結果、小型のバランサモータを使用することが可能になる。
また説明した実施形態では、水平面に対して直角で進行方向と平行な平面内において、所定の軸を中心としてバランサ182を回動させる場合について説明したが、水平面内において所定の軸を中心としてバランサ182を回動させるようにしてもよい。
すなわち、制御ユニット16の下部に、座面131の略中心部分となる所定位置を回転軸として水平面内で回転するバランサ182配置する。
また、車両の屋根部の水平面に、屋根の略中心部分となる所定位置回転軸として水平面内で回転するバランサ182を配置するようにしてもよい。
バランサ182を水平面上で回転させることで、車両内の空間を有効に使用することができる。
また、説明した姿勢制御では、ステップ51(図5、図8、図10)において傾斜角θの反転を検出したことを条件として、バランサ182を傾斜方向に移動させる場合について説明した。
これに対して、θ=0になる直前の角度θ1でバランサ182を反対側(θ1の反対側)に移動させるようにしてもよい。
この場合のθ1は、バランサ182を反対側に動かさなかった場合に、θ=0の基準線(鉛直線、又は鉛直線からΘ傾いた線)を通過する角加速度{θz}を算出し、その角加速度{θz}に応じて決定する。
この場合、角加速度{θz}が大きいほどθ1を大きくする。
これにより、より早く基準線上に姿勢を戻すことが可能になる。
また説明した実施形態では、ステップ51において、傾斜角θ=0からθ≠0になった場合に、傾斜角の反転がありと判断した。
これに対して、搭乗部(乗員A)の傾斜角度θが所定の許容角度θaを超えた場合、すなわち、θ>θaとなった場合に傾斜角の反転がありと判断して姿勢制御を行うようにしてもよい。
この場合、式(1)からT1を算出するための乗員Aの角加速度{θ1}は、θ>θaとなった際の角加速度とするが、θ≠0となった際の角加速度とすることも可能である。
また、説明した第2実施形態及び、第3実施形態では、駆動モータ12による加算トルクT3として特に閾値を設定しなかった。
しかし、駆動モータ12から出力される駆動トルクは全て駆動輪11の回転に使用される訳ではなく、その一部は、路面抵抗(転がり抵抗)及びタイヤ(ゴム)の変形に使用される。このため、駆動モータ12を駆動したとしても、ただちに駆動輪11が始動する訳ではない。
そこで、駆動輪11が停止状態から駆動を開始する始動トルク値を第1閾値とし、乗員Aの移動によるトルクT1が、この第1閾値よりも小さい場合には、駆動モータ12による加減トルクT3>T1(<第1閾値)で姿勢制御を行うようにしてもよい。
この場合、トルクT1が第1閾値以上で第2閾値未満である場合、駆動モータ12により加減トルクT3を第1閾値未満の所定値とし、バランサBの移動によるトルクT2をT1−第1閾値とする。
ここで第2閾値は、Tmax+第1閾値未満とする。
また、トルクT1が第2閾値以上である場合、バランサBの移動によるトルクT2をTmaxとし、駆動モータ12による加減トルクT3をT3>T1−T2maxとする。
この変形例により、トルクT1が第1閾値より小さい場合では、車両が移動したり(制止状態の場合)、走行速度が変わったり(走行状態の場合)することなく、姿勢制御を行うことができる。
また、バランサBを動かさないので、その後の大きな外力にたいしてバランサBの位置を鉛直線上等の所定位置に保持しておくことができる。
また、本実施形態では、走行状態による、バランサ駆動モータと車輪駆動モータの負荷や効率に応じ、安定制御(姿勢制御)に用いるモータを選択的に使用するようにしてもよい。
例えば、車両の停車中はバランサモータを優先的に使用し、車両の走行中は駆動モータの使用を優先的に使用する。
また、トルクT1がT2max以上である場合、バランサBのトルクT2=T2maxとする場合について説明したが、トルクT2がT2max未満となる範囲であれば、トルクT1を、トルクT2と加減トルクT3に所定割合で分担させるようにしてもよい。
なお、本実施形態の車両は次のように構成することも可能である。
(1)構成A
一軸上に配置された駆動輪と、
搭乗部と、
前記搭乗部の傾斜に基づく物理量を検出する姿勢感知センサと、
前記搭乗部に対して移動可能に配置されたバランサと、
搭乗者による駆動指令に従って前記駆動輪を駆動制御する駆動制御部と、
前記検出した搭乗部の物理量に応じて、前記バランサを該傾斜方向に移動させることで前記搭乗部の姿勢制御を行う姿勢制御手段と、
を具備し、
前記姿勢制御手段は、前記検出した物理量が所定値を超える場合に、該所定値に対応する反力トルクが発生するように前記バランサを移動すると共に、姿勢制御に必要な前記駆動輪の加減トルク値を前記駆動制御部に供給し、
前記駆動制御部は、前記駆動指令及び前記加減トルク値に従って前記駆動輪を駆動制御する、ことを特徴とする車両。
(2)構成B
前記姿勢制御手段は、車速が所定値以下の場合は前記バランサの移動と前記加減トルク値の供給により、車速が前記所定値より大きい場合は前記加減トルク値の供給により、姿勢制御を行うことを特徴とする構成Aに記載の車両。
(3)構成C
一軸上に配置された駆動輪と、
搭乗部と、
前記搭乗部の傾斜に基づく物理量を検出する姿勢感知センサと、
前記搭乗部に対して移動可能に配置されたバランサと、
搭乗者による駆動指令に従って前記駆動輪を駆動制御する駆動制御部と、
前記検出した搭乗部の物理量に応じて前記搭乗部の姿勢制御を行う姿勢制御手段と、
を具備し、
前記姿勢制御手段は、車両の発進時において、進行方向と逆方向に前記バランサを移動し、その反力トルクで車両全体の重心を進行方向に移動させる、ことを特徴とする車両。
(4)構成D
前記姿勢制御手段は、車両の加速時において進行方向と逆方向に前記バランサを移動し、減速時において進行方向に前記バランサを移動する、ことを特徴とする構成Cに記載の車両。
(5)構成E
一軸上に配置された1又は複数の駆動輪と、
搭乗部と、
前記搭乗部の傾斜に基づく物理量を検出する姿勢感知センサと、
前記搭乗部に対して移動可能に配置されたバランサと、
搭乗者による駆動指令に従って前記駆動輪を駆動制御する駆動制御部と、
前記検出した搭乗部の物理量に応じて、前記バランサを該傾斜方向に移動させることで前記搭乗部の姿勢制御を行う姿勢制御手段と、
を具備することを特徴とする車両。
(6)構成F
一軸上に配置された駆動輪と、
搭乗部と、
前記搭乗部の傾斜に基づく物理量を検出する姿勢感知センサと、
前記搭乗部に対して移動可能に配置されたバランサと、
搭乗者による駆動指令と加減トルク値に従って前記駆動輪を駆動制御する駆動制御部と、
前記検出した搭乗部の物理量に応じて、
前記物理量が第1閾値よりも小さい場合に、姿勢制御に必要な前記駆動輪の第1の加減トルク値を前記駆動制御部に供給し、
前記物理量が第1閾値以上で第2閾値以下である場合に、前記物理量に対応する反力トルクが発生するように前記バランサを前記搭乗部の傾斜方向に移動させ、
該物理量が第2閾値より大きい場合、該第2閾値に対応する反力トルクが発生するように前記バランサを前記搭乗部の傾斜方向に移動させると共に、姿勢制御に必要な前記駆動輪の第2の加減トルク値を前記駆動制御部に供給する、
ことで前記搭乗部の姿勢制御を行う姿勢制御手段と、
を具備することを特徴とする車両。
(7)構成G
前記第1の閾値は、前記駆動輪が停止状態から駆動を開始する始動トルク値に対応する物理量であることを特徴とする構成Eに記載の車両。
以上の構成A〜構成Gの車両によれば、搭乗部の傾斜に基づく角加速度等の物理量を検出し、検出した物理量に応じて、バランサを搭乗部の傾斜方向に移動させることで姿勢制御を行うようにしたので、駆動輪が一軸上に配置された車両の姿勢を動的に制御することができる。
また、構成A〜構成Eの車両によれば、物理量が所定値を超える場合に、所定値に対応する反力トルクが発生するように前記バランサを移動すると共に、姿勢制御に必要な駆動輪の加減トルク値を駆動制御部に供給することで、バランサと駆動輪による姿勢制御を行うようにしたので、より大きな外力に対しても車両の姿勢を動的に制御することができる。
また、構成C及び構成Dに記載した実施形態では、姿勢制御手段が、車両の発進時において、進行方向と逆方向に前記バランサを移動し、その反力トルクで車両全体の重心を進行方向に移動させるように構成したので、バランサの移動により発進ことができる。
本発明の車両における一実施例である倒立振り子車両の外観構成図である。 バランサ駆動部の構成図である。 倒立振り子車両の制御ユニットの構成図である。 倒立振り子車両における姿勢制御の原理についての説明図である。 姿勢制動処理の動作を表したフローチャートである。 他の倒立振り子車両の外観構成図である。 第2実施形態における、倒立振り子車両のトルクバランスについて表した説明図である。 第2実施形態において、主制御装置の姿勢制御動作を表したフローチャートである。 第3実施形態における、車両走行中の各部の状態を表した説明図である。 第3実施形態において、主制御装置の姿勢制御動作を表したフローチャートである。 発進又は加減速における第1動作の概要とが第2動作の概要を表した説明図である。 第2動作による発進時、加減速時の制御動作を表したフローチャートである。 360度回転可能なバランサの構成を表した説明図である。 バランサモータでバランサを構成した場合の説明図である。 水平面を車両の前後方向に移動するバランサの説明図である。 第4実施形態におけるバランサの動きについて表した説明図である。
符号の説明
11 駆動輪
12 ホイール駆動モータ
13 搭乗部
131 座面部
132 背もたれ部
133 ヘッドレスト
14 支持部材
15 操縦装置
16 制御ユニット
160 バッテリ
161 主制御装置
162 ジャイロセンサ
163 モータ制御装置
18 バランサ駆動部
181 バランサモータ
182 バランサ
183 バランサ駆動機構
184 バランサ歯車
185 軸受け
186 歯車支持部
187 モータ歯車

Claims (5)

  1. 一軸上に配置された駆動輪と、
    搭乗部と、
    前記搭乗部の傾斜に基づく物理量を検出する姿勢感知センサと、
    前記搭乗部に対して移動可能に配置されたバランサと、
    搭乗者による駆動指令に従って前記駆動輪を駆動制御する駆動制御部と、
    前記検出した搭乗部の物理量に応じて前記検出した搭乗部の傾斜方向に前記バランサを移動し、これにより生じる反力トルクで前記搭乗部を元の姿勢位置に戻すことで前記搭乗部の姿勢制御を行う姿勢制御手段と、
    を具備することを特徴とする車両。
  2. 前記姿勢制御手段は、前記バランサを、前記検出した物理量に対するトルクT1以上のトルクT2を発生させる角加速度又は角速度で移動させることを特徴とする請求項1に記載の車両。
  3. 前記バランサを移動させるバランサモータを備え、
    前記姿勢制御手段は、前記バランサモータにより前記バランサを前記搭乗部の傾斜方向に移動させることを特徴とする請求項2に記載の車両。
  4. 前記姿勢制御手段は、前記バランサと共に前記バランサモータを、前記搭乗部の傾斜方向に移動させることを特徴とする請求項3に記載の車両。
  5. 前記バランサは、前記バランサモータに電力を供給する電源であることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1の請求項に記載の車両。
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