JP2010000989A - 二輪自動車 - Google Patents

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史好 栗原
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Abstract

【課題】 消費電力の増大を抑制することができる二輪自動車を提供する。
【解決手段】 二輪自動車1は、車体2と、車体2の左右両側に同軸上に配置された車輪3A,3Bとを備え、車両重心が車輪3A,3Bの中心よりも下方に位置している。車体2は、ボデー部4と、このボデー部4に車輪3A,3Bの周方向に沿って相対運動可能に連結され、座席6を有するキャビン部5とを有している。また、二輪自動車1は、車輪3A,3Bを個別に回転駆動させる車輪駆動モータ8A,8Bと、キャビン部5をボデー部4に対して回動させてキャビン部5の姿勢を制御するための姿勢制御モータ9と、キャビン部5の前端下部及び後端下部に設けられ、キャビン部5と路面Rとの距離を検出する2つのレーザ距離センサと、各レーザ距離センサの検出値に基づいて、キャビン部5が路面Rに対して水平に保たれるように姿勢制御モータ9を制御するECUとを備えている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、車体の左右両側に配置された2つの車輪を備えた二輪自動車に関するものである。
従来の二輪自動車としては、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。特許文献1に記載の二輪自動車は、同軸に配置された2つの駆動輪と、駆動輪の上部に配置された搭乗部と、駆動輪と搭乗部との間に配置された制御ユニットと、制御ユニットの下部における各駆動輪に挟まれる位置に配置されたバランサ駆動部とを備え、バランサ駆動部のバランサを双方向に移動させることで、搭乗部の振動を収束させるというものである。
特開2006−306374号公報
しかしながら、上記従来技術においては、搭乗部が傾斜すると、搭乗部の傾斜方向にバランサが移動し、その反力トルクで搭乗部が反対方向に移動するという動作が繰り返し行われる。つまり、バランサによって車体全体が動かされることとなるため、消費電力が増大してしまう。
本発明の目的は、消費電力の増大を抑制することができる二輪自動車を提供することである。
本発明は、車体と、車体の左右両側に同軸上に配置された2つの車輪とを備え、車両重心が車輪の中心よりも下方に位置するように構成されてなる二輪自動車において、車体は、少なくとも動力源を含むボデー部と、ボデー部に連結され、乗員が座る座席を含むキャビン部とを有し、ボデー部とキャビン部とは、車輪の周方向に対応する方向に沿って相対運動可能に連結されていることを特徴とするものである。ここで、車輪の周方向に対応する方向とは、完全に車輪の周方向だけでなく、車輪の周方向に近い方向も含んでいる。
車両重心が車輪の中心よりも下方に位置するような低重心の二輪自動車では、静安定特性は高くなるものの、加減速時や坂路走行時等に車体が大きく振動し、乗り心地が悪くなるという問題がある。そこで本発明では、車体をボデー部とキャビン部とに分離し、これらのボデー部とキャビン部とを車輪の周方向に対応する方向に沿って相対運動可能に連結した構成とする。そして、加減速時や坂路走行時等には、ボデー部に対するキャビン部の姿勢を制御して、キャビン部の振動を抑えるようにする。このように車体全体を制振(振動抑制)するのではなく、キャビン部のみを制振すれば良いので、省電力化を図ることができる。
好ましくは、キャビン部を車輪の周方向に対応する方向に沿って回動させるアクチュエータと、キャビン部の振動を抑えるようにアクチュエータを制御する制御手段とを備える。このようにアクチュエータを制御して、キャビン部の振動を抑えることにより、乗員にとって乗り心地が良くなると共に、進行方向の視界を十分確保することができる。
このとき、好ましくは、路面に対するキャビン部の傾きを検出する傾斜検出手段を更に備え、制御手段は、傾斜検出手段の検出値に基づいて、キャビン部が路面に対して一定の姿勢を保つようにアクチュエータを制御する。この場合には、加減速時や坂路走行時等でも、例えばキャビン部が路面に対して水平となるようにキャビン部の姿勢を制御することができる。
また、好ましくは、ボデー部の重量がキャビン部の重量よりも大きくなっており、ボデー部の重心がキャビン部の重心よりも下方に位置している。この場合には、重量の大きいボデー部の重心がキャビン部の重心よりも下方に位置するので、車両の静安定特性を更に高くすることができる。また、キャビン部の重量を小さくすることで、節電効果を上げることができる。
本発明によれば、車体全体の振動を抑えなくて済むので、消費電力の増大を抑制することができる。
以下、本発明に係わる二輪自動車の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
まず、本発明に係わる二輪自動車の一実施形態を示す概略正面図であり、図2は、図1に示した二輪自動車の概略側断面図である。各図において、本実施形態の二輪自動車1は、車体2と、この車体2の左右両側に同軸上に配置された車輪3A,3Bとを備えている。
二輪自動車1は、乗員Pの有無にかかわらず車両重心が車輪3A,3Bの中心よりも下方に位置するように構成されている。これにより、二輪自動車1が静安定の状態となり、乗員Pが転倒しにくくなる。また、二輪自動車1の安定性が良くなることから、停車時には車体2の姿勢制御が不要となるため電源OFFとすることが可能となり、消費電力を低減することができる。
車体2は、ボデー部4と、このボデー部4に連結されたキャビン部5とからなっている。キャビン部5には、乗員Pが座る座席6が設けられている。ボデー部4とキャビン部5とは、ボデー部4に設けられた2つの連結部7を介して車輪3A,3Bの周方向に沿って相対運動可能に連結されている。なお、ボデー部4とキャビン部5とを平行リンク機構により連結しても良い。この場合でも、ボデー部4とキャビン部5とを車輪3A,3Bの略周方向に沿って相対運動可能な構造とすることが可能となる。
各連結部7の外側端には、車輪3A,3Bを個別に回転駆動させる車輪駆動モータ8A,8Bが取り付けられている。各連結部7の内側端には、キャビン部5をボデー部4に対して車輪3A,3Bの周方向に沿って回動させてキャビン部5の姿勢を制御するための姿勢制御モータ9がそれぞれ取り付けられている。なお、姿勢制御モータ9の数としては、1つだけであっても良い。
ここで、キャビン部5の回動中心は、車輪3A,3Bの回転軸とほぼ同軸となっているのが望ましい。これにより、車輪3A,3Bの回転中にキャビン部5がボデー部4に対して回動したときに、キャビン部5の位置及び姿勢が素直に変化するため、乗員Pの乗り心地の悪化を防ぐことができる。
ボデー部4には、特に図示はしないが、上記の車輪駆動モータ8A,8B及び姿勢制御モータ9の他に、バッテリー及びフレーム等が設けられている。これにより、ボデー部4の重量がキャビン部5の重量よりも大きくなっており、ボデー部4の重心がキャビン部5の重心よりも下方に位置することとなる。従って、二輪自動車1の静安定性が十分高くなる。
また、二輪自動車1の加速時等には、ボデー部4が自在に揺れるため、駆動のための反力が発生するようになり、ドライバのアクセル操作に応じたスムーズな加速動作が可能となる。このとき、ボデー部4はキャビン部5に比べて十分重いため、駆動の反力を発生させるためのボデー部4の揺れが小さくて済む。このため、車両内に確保すべきボデー部4の可動スペースを減らすことができるため、二輪自動車1の小型軽量化を図ることが可能となる。
キャビン部5の前端下部には、キャビン部5の前端部と路面Rとの距離を検出するレーザ距離センサ10が設けられ、キャビン部5の後端下部には、キャビン部5の後端部と路面Rとの距離を検出するレーザ距離センサ11が設けられている。
図3は、二輪自動車1の制御系を示すブロック図である。同図において、二輪自動車1は、アクセル操作部(図示せず)の操作量としてのアクセル開度を検出するアクセル開度センサ12と、二輪自動車1の車速を検出する車速センサ13と、姿勢制御モータ9の回転角速度を検出する角速度センサ14と、ECU(Electronic Control Unit)15とを更に備えている。
ECU15は、車輪駆動モータ8A,8Bをサーボ制御するサーボ制御系16と、姿勢制御モータ9をサーボ制御するサーボ制御系17とを有している。
サーボ制御系16は、車速目標値設定部18と、比較部19と、制御指令値演算部20とからなっている。
車速目標値設定部18は、アクセル開度センサ12で検出されたアクセル開度に応じた車速目標値を設定する。比較部19は、車速目標値設定部18で設定された車速目標値と車速センサ13の検出値(車速検出値)との差分を求める。制御指令値演算部20は、車速目標値と車速検出値との差分をゼロにするような制御指令値を演算し、その制御指令値を車輪駆動モータ8A,8Bに送出する。
サーボ制御系17は、姿勢目標値設定部21と、角速度目標値演算部22と、比較部23と、制御指令値演算部24とからなっている。
姿勢目標値設定部21は、レーザ距離センサ10により検出されたキャビン部5の前端部と路面Rとの距離と、レーザ距離センサ11により検出されたキャビン部5の後端部と路面Rとの距離とに基づいて、路面Rに対するキャビン部5の傾き角度を求め、キャビン部5が路面Rに対して水平(図5参照)になるようなキャビン部5の姿勢目標値を設定する。
角速度目標値演算部22は、キャビン部5の姿勢を姿勢目標値設定部21で設定された姿勢目標値にするための姿勢制御モータ9の回転角速度目標値を演算する。比較部23は、その姿勢制御モータ9の回転角速度目標値と角速度センサ14の検出値(回転角速度検出値)との差分を求める。制御指令値演算部24は、回転角速度目標値と回転角速度検出値との差分をゼロにするような制御指令値を演算し、その制御指令値を姿勢制御モータ9に送出する。
図4は、ECU15により実行されるモータ制御処理手順を示すフローチャートである。同図において、まずアクセル開度センサ12の検出値を入力し(手順S51)、その検出値に応じた車速目標値を設定する(手順S52)。続いて、二輪自動車1の車速が車速目標値となるように、車輪駆動モータ8A,8Bを制御する(手順S53)。
これにより、車輪3A,3Bの回転速度が制御され、二輪自動車1が車速目標値に従って走行するようになる。なお、手順S51,S52は、図3に示す車速目標値設定部18で実行され、手順S53は、同比較部19及び制御指令値演算部20で実行される。
また、手順S51〜S53と並行して、以下の処理を行う。即ち、レーザ距離センサ10,11の検出値を入力し(手順S61)、その検出値に基づいて、キャビン部5が路面Rに対して水平になるようなキャビン部5の姿勢目標値を設定する(手順S62)。続いて、キャビン部5の姿勢を姿勢目標値にするための姿勢制御モータ9の回転角速度目標値を計算する(手順S63)。続いて、姿勢制御モータ9の回転角速度が回転角速度目標値となるように、姿勢制御モータ9を制御する(手順S64)。
これにより、キャビン部5は、図5に示すように、加減速時でも坂路走行時でも、路面Rに対して略水平な状態に保たれるように制御されることとなる。なお、手順S61,S62は、図3に示す姿勢目標値設定部21で実行され、手順S63は、同角速度目標値演算部22で実行され、手順S64は、同比較部23及び制御指令値演算部24で実行される。
以上において、レーザ距離センサ10,11は、路面Rに対するキャビン部5の傾きを検出する傾斜検出手段を構成する。角速度センサ14とECU15のサーボ制御系17とは、キャビン部5の振動を抑えるようにアクチュエータ(姿勢制御モータ)9を制御する制御手段を構成する。
以上のように本実施形態の二輪自動車1にあっては、車体2をボデー部4とキャビン部5とに分離し、姿勢制御モータ9によりボデー部4に対するキャビン部5の姿勢を制御可能な構成としたので、加減速時や坂路走行時においてピッチングが発生したときにも、ボデー部4は揺れるものの、キャビン部5の振動を抑制し、乗員Pの乗り心地を向上させることができる。このように車体2全体の振動抑制(制振)制御を行わずに、キャビン部5のみを制振するので、消費電力の増大を抑えることができる。
このとき、レーザ距離センサ10,11の検出値に基づいて、キャビン部5が路面Rに対して水平に保たれるようにキャビン部5の姿勢を制御するので、路面Rの勾配によらず、ドライバの進行方向の視界を十分確保することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、二輪自動車1が坂路を走行する際には、ECU15は、図6に示すようなモータ制御処理手順に従って姿勢制御モータ9を制御するようにしても良い。
この場合には、まずレーザ距離センサ10,11の検出値と車速センサ13の検出値とを入力する(手順S65)。続いて、レーザ距離センサ10,11の検出値に基づいて、路面Rの勾配マップを作成する(手順S66)。このとき、レーザ距離センサ10,11の検出値の差分から勾配マップを作成しても良いし、或いはキャビン部5の前端部に設けられたレーザ距離センサ10の検出値の時間変化分から勾配マップを作成しても良い。そして、路面Rの勾配マップデータと車速センサ13の検出値とに基づいて、キャビン部5を路面Rに対して略水平に保つためのキャビン部5の姿勢目標値タイムテーブルを設定する(手順S67)。続いて、その姿勢目標値タイムテーブルに応じた姿勢制御モータ9の回転角速度目標値を計算し(手順S68)、姿勢制御モータ9の回転角速度が回転角速度目標値となるように姿勢制御モータ9を制御する(手順S64)。
また、上記実施形態では、姿勢制御モータ9の回転角速度が回転角速度目標値になるように姿勢制御モータ9をサーボ制御するようにしたが、特にこれに限られず、キャビン部5の姿勢(傾斜角度)が姿勢目標値となるように姿勢制御モータ9をサーボ制御しても良い。この場合には、ジャイロ等を用いてキャビン部5の姿勢角度を検出し、この検出値と姿勢目標値との差分を求め、当該差分がゼロになるように姿勢制御モータ9を制御する。
さらに、上記実施形態では、車輪駆動モータ8A,8Bにより車輪3A,3Bを回転駆動させるようにしたが、車両を駆動させるための動力源としてはエンジンであっても良い。この場合には、キャビン部5のみを制振することで、二輪自動車1の燃費を向上させることが可能となる。
本発明に係わる二輪自動車の一実施形態を示す概略正面図である。 図1に示した二輪自動車の概略側断面図である。 図1及び図2に示した二輪自動車の制御系を示すブロック図である。 図3に示したECUにより実行されるモータ制御処理手順を示すフローチャートである。 図1及び図2に示した二輪自動車が坂路を走行する際に、路面に対してキャビン部の姿勢が制御される様子を示す概略図である。 図1及び図2に示した二輪自動車が坂路を走行する際に、ECUにより実行される他のモータ制御処理手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1…二輪自動車、2…車体、3A,3B…車輪、4…ボデー部、5…キャビン部、6…座席、8A,8B…車輪駆動モータ(動力源)、9…姿勢制御モータ(アクチュエータ)、10,11…レーザ距離センサ(傾斜検出手段)、14…角速度センサ(制御手段)、15…ECU、17…サーボ制御系(制御手段)。


Claims (4)

  1. 車体と、前記車体の左右両側に同軸上に配置された2つの車輪とを備え、車両重心が前記車輪の中心よりも下方に位置するように構成されてなる二輪自動車において、
    前記車体は、少なくとも動力源を含むボデー部と、前記ボデー部に連結され、乗員が座る座席を含むキャビン部とを有し、
    前記ボデー部と前記キャビン部とは、前記車輪の周方向に対応する方向に沿って相対運動可能に連結されていることを特徴とする二輪自動車。
  2. 前記キャビン部を前記車輪の周方向に対応する方向に沿って回動させるアクチュエータと、
    前記キャビン部の振動を抑えるように前記アクチュエータを制御する制御手段とを備えることを特徴とする請求項1記載の二輪自動車。
  3. 路面に対する前記キャビン部の傾きを検出する傾斜検出手段を更に備え、
    前記制御手段は、前記傾斜検出手段の検出値に基づいて、前記キャビン部が前記路面に対して一定の姿勢を保つように前記アクチュエータを制御することを特徴とする請求項2記載の二輪自動車。
  4. 前記ボデー部の重量が前記キャビン部の重量よりも大きくなっており、
    前記ボデー部の重心が前記キャビン部の重心よりも下方に位置していることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項記載の二輪自動車。




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