JP4794096B2 - グリコール酸系共重合体の製造方法 - Google Patents

グリコール酸系共重合体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、グリコール酸系共重合体を製造する方法に関する。詳しくは、着色が少ない、高分子量のグリコール酸系共重合体を、容易に効率よく製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリ乳酸、ポリグリコール酸及びこれらの共重合体に代表される脂肪族ヒドロキシカルボン酸から製造される脂肪族ポリエステルは、生分解性の高分子として注目され、例えば、縫合糸等の医用材料、医薬、農薬、肥料等の徐放性材料等、多方面に利用されている。これらの用途向けのポリマーを得る方法としては、従来、乳酸又はグリコール酸を一旦重縮合してプレポリマーを製造した後、解重合によりラクチド又はグリコリドを製造し、これらを用いて開環重合してポリラクチド又はポリグリコリドを製造していた。この方法によると、高分子量のポリマーが得られるものの、多くの工程を必要とし、また、ラクチドやグリコリドを得るために多大の労力がかかり、経済的とはいえなかった。
【0003】
一方、乳酸又はグリコール酸を、直接、重縮合反応させる方法は経済的ではあるが、その反面、分子量及び色調の点で必ずしも満足な重合体は得られていない。高分子量のポリヒドロキシカルボン酸を製造する方法として、例えば、オキシ酸を有機ゲルマニウム化合物の存在下に、直接、重縮合する方法(特開平6−345856号公報)が提案されているが、この公報には、グリコール酸を出発原料とした例は開示されておらず、グリコール酸共重合体の製造に適用した場合には、得られる重合体の色調及び分子量がともに不十分であった。また、ヒドロキシカルボン酸又はそのオリゴマーをアルカリ金属系化合物、アルカリ土類金属化合物又は周期表IIIb族に属する金属化合物の存在下に重縮合することにより、重量平均分子量が30000〜100000のポリヒドロキシカルボン酸を製造する方法(特開平10−168167号公報)が提案されているが、この方法によると、重合収率が33.0〜52.2%と低いうえに、製造時に重合体が淡褐色に着色するという問題点があった。
【0004】
近年、種々のモノオルガノスズ化合物と希土類化合物を重縮合触媒として用いて、乳酸を、直接、重縮合する方法(第9回ポリマー材料フォーラム(2000年11月30日)、岡山理大工学部大寺ら)が提案されているが、これにはグリコール酸を出発原料とした例は開示されておらず、モノオルガノスズ化合物をグリコール酸共重合体の製造に適用した場合には、得られるポリマーの着色が著しい。
【0005】
上記のように、ポリ乳酸の製造方法をグリコール酸系共重合体に適用することは困難であり、機械的物性、軟化温度等の熱的物性及びガスバリアー性等において、より優れた諸特性を有するグリコール酸系共重合体を、直接、重縮合する方法によって高品質に製造する方法は全く知られていないのが現状である。
【0006】
【発明が解決しょうとする課題】
本発明の目的は、着色が少なく、高分子量のグリコール酸系共重合体を容易に効率よく製造する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決する手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、ランタノイド元素イオンのトリフルオロメタンスルホン酸塩を重縮合触媒として用いることにより、着色が少なく、高分子量で高品質のグリコール酸系共重合体が高収率で得られることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1) グリコール酸を69mol%以上含む原料を重縮合して、グリコール酸単位を75mol%以上含むグリコール酸系共重合体を製造するに際して、重縮合触媒としてランタノイド元素イオンのトリフルオロメタンスルホン酸塩を用いることを特徴とするグリコール酸系共重合体の製造方法。
(2)ランタノイド元素が、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu及びDyから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする(1)に記載のグリコール酸系共重合体の製造方法。
(3)ランタノイド元素が、La又はSmであることを特徴とする(1)又は(2)に記載のグリコール酸系共重合体の製造方法。
(4)重縮合の一部において、固相重合前のプレポリマーの補外融解開始温度以上、かつ、融解ピーク温度未満の温度の下で固相重合を行うことを特徴とする(1)、(2)又は(3)に記載のグリコール酸系共重合体の製造方法。
【0008】
本発明を以下に詳細に説明する。
本発明により得られるグリコール酸系共重合体中に含まれるグリコール酸単位の含有率は75mol%以上である。脂肪族ポリエステルがより高い熱安定性を有するためには、グリコール酸単位の含有率が99mol%以下であることが好ましい。グリコール酸系共重合体中に含まれるグリコール酸単位の含有率は、好ましくは75mol%以上、99mol%以下、より好ましくは80mol%以上、95mol%以下、最も好ましくは82mol%以上、90mol%以下である。グリコール酸単位の含有率が75mol%未満の場合には、重合収率が低下したり、重合時に着色するうえ、得られるグリコール酸系共重合体の強度、弾性率等の機械的物性、軟化温度等の熱的物性及びガスバリアー性が低下する。
【0009】
グリコール酸系共重合体中に含まれるグリコール酸単位の含有率は、原料中に含まれるグリコール酸の割合、グリコール酸と、使用する共重合成分との反応性や重縮合条件等により変化するが、一般的には、目的とするグリコール酸系共重合体中のグリコール酸単位の含有率にほぼ等しい割合のグリコール酸と共重合成分とを原料として用いる。しかし、共重合成分によっては、グリコール酸より、重縮合性が劣るものもある。その場合は、原料中のグリコール酸単位の割合を、目的とするグリコール酸系共重合体中のグリコール酸単位の含有率よりも少ない割合で用いることができる。本発明の触媒は、原料中のグリコール酸の割合が少な過ぎると、優れた触媒性能を発揮せず、本発明の目的を達成しない。したがって、原料中のグリコール酸の割合は69mol%以上であることが必要であり、好ましくは72mol%以上、より好ましくは75mol%以上である。
【0010】
グリコール酸単位以外の共重合成分として、例えば、他のヒドロキシカルボン酸、ジカルボン酸、ジオール、3価以上の多価化合物、多糖類等を用いることができるが、グリコール酸と共重合可能なものであればこれらに限定されるものではない。
共重合成分として用いられるヒドロキシカルボン酸の例としては、L−乳酸、D−乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸等が挙げられる。ジオールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等が挙げられる。ジカルボン酸の例としては、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタン酸、アジピン酸、ピメリン酸、ジグリコール酸等の脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。3価以上の多官能化合物の例としては、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、リンゴ酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリカルバリル酸、没食子酸等が挙げられる。
【0011】
多糖類の例としては、セルロース、硝酸セルロース、酢酸セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、CMC(カルボキ シメチルセルロース)、ヘミセルロース、デンプン、アミロペクチン、デキストリン、デキストラン、グリコーゲン、ペクチン、キチン、 キトサン等及びこれらの混合物及びこれらの誘導体が挙げられる。
これらの共重合成分の中で、好ましくはD−乳酸及びL−乳酸、より好ましくはL−乳酸、最も好ましくは光学純度が95%以上、好ましくは98%以上の、発酵法で製造されるL-乳酸が用いられる。
所望により、上記の共重合成分の他に、グリコール酸単位を含むオリゴマーを一緒に用いることもできる。
【0012】
本発明は、ランタノイド元素イオンのトリフルオロメタンスルホン酸塩を重縮合触媒として用いることにより、着色の少ない、高分子量のグリコール酸系共重合体を高収率で製造できる点に最大の特徴を有する。
ランタノイド元素イオンのトリフルオロメタンスルホン酸塩は、有機合成化学協会誌、53巻(5)(1995年)p.371に記載の方法により製造することができる。
ランタノイド元素としては、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuの中から選ばれる1種以上であり、重合度、収率、着色及び触媒の価格の点から、好ましくはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu及びDy、より好ましくはLaおよびSmである。
【0013】
ランタノイド元素イオンのトリフルオロメタンスルホン酸塩の量は、好ましくはモノマー1g当たり、1×10-7〜1×10-2モルであり、より好ましくは3×10-7〜1×10-3モルである。添加量が1×10-7モル未満の場合には重合速度を高めることが困難な場合があり、添加量が1×10-2モルを越えると重合ポリマーが着色する等副反応が生じやすくなる。
通常、重縮合触媒には、ランタノイド元素イオンのトリフルオロメタンスルホン酸塩が単独で用いられるが、本発明の目的を損なわない範囲でランタノイド元素イオンのトリフルオロメタンスルホン酸塩と、公知の触媒である元素周期律表I、II、III、IV若しくはV族の金属、又はそれらの塩、水酸化物、酸化物若しくはアルコキシド、有機スルホン酸系化合物等を併用することもできる。
【0014】
本発明におけるグリコール酸系共重合体の製造方法は限定されるものではなく、例えば、(A)溶融重縮合法、(B)溶融重縮合工程の後に固相重合を行う方法等が挙げられる。
本発明の、着色が少なく、重量平均分子量が10万を超える高分子量のグリコール酸系共重合体を製造する場合には、例えば、(B)法のように、重縮合工程の一部において固相重合を実施する方法が好ましい。
【0015】
以下に、グリコール酸系共重合体の製造方法について、さらに詳細に説明する。
(イ)溶融重縮合は、グリコール酸を含む原料又は原料の水溶液に、重縮合触媒としてランタノイド元素イオンのトリフルオロメタンスルホン酸塩を添加し、重縮合反応の進行に応じて温度及び圧力をそれぞれ多段階に変化させて実施することが好ましい。
【0016】
例えば、原料の水溶液の脱水濃縮工程や、重合体の重量平均分子量が1万以下であるような重合初期の工程では、原料の留出や副反応を抑制しつつ、重縮合反応を効率的に進行させるために、窒素等の不活性ガス雰囲気下、不活性ガス流通下又は減圧下において、温度を、好ましくは100〜210℃、より好ましくは100〜200℃の範囲で多段階に昇温させて重縮合を行う。減圧度は、好ましくは101.3〜0.3kPa、より好ましくは101.3〜0.7kPaの範囲で多段階に減圧度を高めて重縮合を行う。重縮合触媒であるランタノイド元素イオンのトリフルオロメタンスルホン酸塩を、上記のように反応前の原料又は原料の水溶液に添加することも可能であるが、グリコール酸の自己触媒作用によって、重合初期の任意の時点まで重縮合反応を行った後に重合系中に添加し、引き続き溶融重縮合を行うことも可能である。
【0017】
最終的な溶融重縮合の条件としては、反応温度は、好ましくは130〜220℃、より好ましくは150〜210℃であり、多段階に変化させて重縮合を行う。重縮合温度が130℃未満の場合には反応速度が遅く、また高分子量のポリマーが得られないことがある。220℃を超える温度の場合には、ポリマーの着色、分解又は環状2量体等の副生物の留出が増加する傾向がある。減圧度は、好ましくは、13.3Pa〜6.7kPaであり、より好ましくは66.7Pa〜6.0kPaであり、多段階に変化させて重縮合を行う。減圧度が6.7kPaを越える場合には、重縮合時に発生する水を効率よく除去できず、13.3Pa未満では、副生物の生成の問題が生じたり、収率が低下する傾向がある。
【0018】
本発明における溶融重縮合反応の時間は2〜20時間が好ましく、4時間〜15時間がより好ましい。20時間を超えて実施する場合には、ポリマーの着色の問題が生じる場合がある。
本発明において、上記の溶融重縮合によって製造したポリマーをプレポリマーとして、引き続き固相重合を実施することにより、着色が少なく、さらに高分子量の脂肪族ポリエステルを製造することができる。
(ロ)固相重合においては、これに供するプレポリマーの分子量には制限はないが、重量平均分子量で、好ましくは3000〜80000、より好ましくは8000〜50000である。重量平均分子量が3000未満の場合には、所望する重量平均分子量を達成するまでの固相重合工程に要する時間が長くなり、結晶化工程や固相重合工程においても融着や粉砕等を生じやすくなる。一方、重量平均分子量が80000を超えるプレポリマーを溶融重合等で製造するのは効率的ではなく、着色が生じやすくなる。
【0019】
本発明におけるプレポリマーとは、溶融重縮合により得られた生成物を意味するものである。固相重合に供するまでにプレポリマーを冷却固化せしめ、粒子状やペレット状に賦形することができる。プレポリマーを結晶化させた後で固相重合に供することが好ましい。結晶化条件を適切に選択することにより、プレポリマー粒子どうしの固相重合時の融着・凝集を防止できるのみならず、固相重合時の重合反応速度を高めることもできる。
【0020】
賦形化工程における賦形化の方法には制限はないが、例えば、溶融状態のプレポリマーを不活性ガスや水等の液体と接触させることにより塊状物にした後、粉砕し粒子状にする方法、溶融状態のプレポリマーを押出機に移しペレット化する方法等が利用できる。プレポリマーを粒子状又はペレット状に賦形した粒子径は、結晶化工程や固相重合工程における取り扱いやすさや、固相重合における重合速度を考慮して設定すればよく、何ら制限されるものではないが、例えば、平均粒径は0.1〜10mmが好ましい。
【0021】
結晶化工程における結晶化の方法には制限はなく、公知の方法が利用できる。例えば、冷却固化したプレポリマーを気相中で加熱する方法、プレポリマーを溶解しない液体中で結晶化温度にて加熱する方法等がある。
プレポリマーの結晶化処理条件にも制限はなく、例えば、窒素等の不活性ガス雰囲気下、不活性ガス流通下又は減圧下において、結晶化処理温度は、プレポリマーのガラス転移温度以上、融点未満の範囲、結晶化時間は、例えば10〜360分の範囲で結晶化させることができる。
【0022】
特に好ましいプレポリマーの結晶化処理条件としては、圧力が13.3Pa〜101.3kPaであり、0.4〜6.7kPaがより好ましい。結晶化処理温度は100〜160℃が好ましく、より好ましくは120〜150℃、結晶化時間は30〜300分が好ましい。結晶化処理温度が100℃未満では、固相重合時にプレポリマー粒子どうしの融着が起こりやすく、また充分な固相重合速度が得られない場合がある。160℃を超える場合には、熱処理時にプレポリマーどうしの融着が起こりやすいことがある。この結晶化処理は上記温度範囲にて多段階に分けて実施することもできる。
【0023】
このようにして結晶化したプレポリマーから着色の少ない高品質な高分子量のグリコール酸共重合体を得るためには、溶融重縮合に引き続き固相重合を行うことが好ましい。
固相重合工程では、反応温度は、結晶化プレポリマーの中間点ガラス転移温度以上、融解ピーク温度未満の範囲であることが好ましく、より好ましくは結晶化プレポリマーの補外融解開始温度以上、融解ピーク温度未満の範囲である。固相重合における反応温度が、JISK7121に記載の中間点ガラス転移温度未満ではほとんど高分子量化ができず、融解ピーク温度以上では固相重合時に粒子どうしが融着し、固相重合を継続できなくなる場合がある。
【0024】
本発明の固相重合は、窒素等の不活性ガス雰囲気下、又は減圧下、更には加圧下で行うこともできる。反応系内の減圧度や反応系内の圧力は、充分に高い重量分子量を有するグリコール酸系共重合体が得られる範囲であれば制限されないが、減圧下にて実施する場合には、圧力が13.3Pa〜6.7kPaが好ましく、0.3〜1.3kPaがより好ましい。
【0025】
本発明において、より高分子量の、例えば、重量平均分子量が10万を超えるグリコール酸系共重合体を製造する場合は、不活性ガス流通雰囲気下で固相重合を行う方法がより好ましい。本発明の固相重合で使用する不活性ガス、すなわち、反応系に流通させるガスの具体例としては、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス、キセノンガス、クリプトンガス等が挙げられる。流通させる不活性ガスに含まれる水分量はできるだけ低く、実質的に無水状態のガスであることが好ましい。 含水量が多いと固相重合反応で生成した水が効率よく除去できないために重合速度が遅くなる。この場合、ガスをモレキュラーシーブ類やイオン交換樹脂類等を充填した層に通すことにより脱水して使用することができる。流通ガスの含水量を露点で示すと、ガスの露点が−20℃以下であることが好ましく、より好ましくは−50℃ 以下である。
【0026】
本発明において、流通させる不活性ガスの流量は、プレポリマーの粒径や結晶性を考慮し、十分に重量平均分子量が高いグリコール酸共重合体を得ることのできる程度に生成した水を除去することができればよい。一般的に、流通させる不活性ガスの流量が多いほど、固相重合反応において生成した水を効率よく除去することができる。重量平均分子量が10万を超えるグリコール酸系共重合体を製造する場合には、プレポリマー1g当たりの不活性ガスの流量は、0.02〜200ml/分が好ましく、0.5〜150ml/分がより好ましく、1. 0〜100ml/分が最も好ましい。プレポリマー1g当たりの不活性ガスの流量が0.02ml/分未満では、固相重合反応において、生成した水を除去する効率が低下し、高い分子量を有するグリコール酸系共重合体は得られ難い。
【0027】
本発明における固相重合反応の時間は5〜200時間が好ましく、10〜120時間がより好ましい。200時間を超えて実施する場合には、ポリマーの着色や副反応に伴う収率の低下等の問題が生じる場合がある。
重縮合反応中の熱劣化を抑えるために、グリコール酸系共重合体製造時の任意の時点に、着色防止剤として、リン酸、リン酸トリフェニル、ピロリン酸、亜リン酸、亜リン酸トリフェニル等のリン化合物、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸塩、亜二チオン酸ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、グアヤク脂、BHT、BHA、dl−αトコフェノール、没食子酸プロピル、亜塩素酸ナトリウム、アスコルビン酸等の還元剤を、得られるグリコール酸系共重合体に対して0.001〜5質量%の範囲で添加して重縮合することが可能である。添加割合が0.001質量%未満では着色抑制の効果は小さく、5質量%を越えると経済的でないうえ、重縮合反応を阻害する場合がある。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
本発明における各特性値は以下の方法により測定する。
(1)重量平均分子量
東ソ(株)製ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析装置8020GPCシステムを用い、以下の条件で求める。
溶媒として80mMのトリフルオロ酢酸ナトリウムを溶解したヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を用い、40℃、1ml/分で、カラムとして、東ソー(株)製:Tskgel(登録商標)G5000HHR+ Tskgel(登録商標)G3000HHRを通し、PMMA標準物質を用いたRI検出による溶出時間から求めた検量線を予め作成し、その溶出時間から重量平均分子量を求める。評価用ポリマー試料溶液として、試料20mgを精秤した後、上記トリフルオロ酢酸ナトリウム含有HFIP3gに溶解し、その後、0.2ミクロンのフィルターにて濾過したものを用いる。
【0029】
(2)重合ポリマーの着色度
上記の方法により重量平均分子量を求める際に、検出器として、波長350nmに設定したUV検出器を接続し、その際、検出される全カウント数をもって評価する。カウント数が50未満の場合、得られたポリマーは、目視で、白色〜淡黄色に相当し、カウント数が50〜100の場合は、目視で、黄色に相当し、更にカウント数が100を超える場合には、得られるポリマーは、目視で、褐色〜黒褐色に相当する値である。
(3)グリコール酸系共重合体中のグリコール酸単位の含有量
試料70mgを精秤し、d化トリフルオロ酢酸1mlに溶解し、基準物質としてTMS(テトラメチルシラン)を用い、1H−NMRにて測定する。
(4)固相重合前プレポリマーの熱的特性
パーキンエルマー社製DSC−7を用い、結晶化処理されたプレポリマーを0℃から10℃/分の昇温速度にて250℃まで昇温させて得られるDSC曲線より、JISK7121(プラスチックの転移温度測定方法)に準じて補外融解開始温度及び融解ピーク温度を求める。
【0030】
【実施例1】
攪拌装置及び窒素導入管を備えた100ml反応容器に、高純度グリコール酸(65質量%水溶液;DuPont(株)製グリピア(登録商標)70)及びL−乳酸(90%水溶液;和光純薬(株)製)をそれぞれ93g及び11gと、トリフルオロメタンスルホン酸ランタンをグリコール酸及び乳酸の合計量1g当たり、0.005mmolを仕込んだ。トリフルオロメタンスルホン酸ランタンを溶解させた後、窒素置換を行い、窒素気流下、常圧、攪拌下にて130℃まで昇温し、脱水濃縮を1時間行った。その後、常圧のまま、温度を180℃に上げ、30分間保持し、濃縮を完結させた。更に、減圧を開始し、27kPaにて20分、次いで、6.7kPaにて20分、更に0.07kPaにて20分保持して反応を継続させた。次いで、温度を200℃に昇温させ、4時間重縮合反応を継続させた。
【0031】
得られたグリコール酸系共重合体中のグリコール酸単位含有量は88mol%、ポリマーの重量平均分子量は33,000、ポリマーの着色度の指標であるUV検出器による全カウント数は16、ポリマーの重合収率は85%であった。
得られたポリマーを窒素雰囲気下にて130℃で24時間熱処理した後、粉砕し、固相重合に供した。固相重合前のプレポリマーの補外融解開始温度は135℃であり、融解ピーク温度は190℃であった。結晶化させたプレポリマー0.5gを、予め、ガラスウールを充填したガラスU字管内に仕込んだ。更に上部にもガラスウールを充填した後、固相重合温度170℃にて、窒素ガス流量として1.5NL/分にて20時間固相重合を行った。
固相重合により得られたポリマーの重量平均分子量は128,000、ポリマーの着色度の指標であるUV検出器による全カウント数は25、ポリマーの重合収率は94%であった。その結果を表1に示す。
【0032】
【比較例1】
トリフルオロメタンスルホン酸ランタンを添加しない以外は実施例1と同様に行った。溶融重縮合により得られたポリマーは、重量平均分子量が8,000、ポリマーの着色度の指標であるUV検出器による全カウント数は5、ポリマーの重合収率は90%であった。固相重合により得られたポリマーは、重量平均分子量29,000、UV検出器による全カウント数は36、ポリマーの重合収率は93%であった。この結果を表1に示す。
【0033】
【実施例2〜8】
トリフルオロメタンスルホン酸ランタンに代えて、それぞれトリフルオロメタンスルホン酸セリウム、トリフルオロメタンスルホン酸プラセオジム、トリフルオロメタンスルホン酸ネオジム、トリフルオロメタンスルホン酸サマリウム、トリフルオロメタンスルホン酸ユウロピウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジスプロシウム、トリフルオロメタンスルホン酸イッテルビウムを使用した以外は実施例1と同様に重合を行った。その結果を表1に示す。
【0034】
【実施例9】
原料として高純度グリコール酸(65質量%水溶液;DuPont(株)製グリピア(登録商標)70)93g、及びL−乳酸(90%水溶液;和光純薬(株)製)10gに加えて、コハク酸1gとエチレングリコール1gを用いた以外は実施例1と同様に重合を行った。
得られたグリコール酸系共重合体中のグリコール酸単位含有量は89mol%であった。溶融重合により得られたポリマーは、重量平均分子量が34,000、ポリマーの着色度の指標であるUV検出器による全カウント数は18であった。また、固相重合により得られたポリマーは、重量平均分子量138,000、UV検出器による全カウント数は29であった。その結果を表1に示す。
【0035】
【比較例2】
実施例1において使用したトリフルオロメタンスルホン酸ランタンに替えて二塩化錫を使用した以外は実施例1と同様に重合を行った。
溶融重縮合により得られたポリマーは、重量平均分子量が17,000、ポリマーの着色度の指標であるUV検出器による全カウント数は134、ポリマーの重合収率は72%であった。固相重合により得られたポリマーは、重量平均分子量53,000、UV検出器による全カウント数は150、ポリマーの重合収率は30%であった。その結果を表1に示す。
この例においては、二塩化錫は重縮合触媒としての性能を示したが、ポリマーの着色が著しく、実用に耐えないものであった。
【0036】
【比較例3】
原料として高純度グリコール酸(65質量%水溶液;DuPont(株)製グリピア(登録商標)70)65g、及びL−乳酸(90%水溶液;和光純薬(株)製)43g用いた以外は実施例1と同様に重合を行った。固相重合においては、ポリマー粒子どうしが融着し、固相重合を継続することが困難であった。そのため溶融重合時間を10時間延長して行った。
【0037】
溶融重合により得られたポリグリコール酸系共重合体中のグリコール酸単位含有量は57mol%であり、重量平均分子量は38,000、ポリマーの着色度の指標であるUV検出器による全カウント数は56であった。このようにポリグリコール酸共重合体中のグリコール酸単位の含有量が本発明の範囲を外れる場合には、固相重合によりさらなる高分子量化を行うことが困難となるばかりか、溶融重合時間を長くして高分子量物を得ようとしても充分に分子量が上がらず、得られるポリマーも着色する。
【0038】
【表1】
Figure 0004794096
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、重縮合反応時に副反応による劣化及び着色が少なく、高分子量で高品質のグリコール酸系共重合体を容易に効率よく製造できる。

Claims (4)

  1. グリコール酸を69mol%以上含む原料を重縮合して、グリコール酸単位を75mol%以上含むグリコール酸系共重合体を製造するに際して、重縮合触媒としてランタノイド元素イオンのトリフルオロメタンスルホン酸塩を用いることを特徴とするグリコール酸系共重合体の製造方法。
  2. ランタノイド元素が、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu及びDyから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のグリコール酸系共重合体の製造方法。
  3. ランタノイド元素が、La又はSmであることを特徴とする請求項1又は2記載のグリコール酸系共重合体の製造方法。
  4. 重縮合の一部において、固相重合前のプレポリマーの補外融解開始温度以上、かつ、融解ピーク温度未満の温度の下で固相重合を行うことを特徴とする請求項1、2又は3記載のグリコール酸系共重合体の製造方法。
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