JP2000159876A - ポリプロピレンテレフタレートの製造方法 - Google Patents

ポリプロピレンテレフタレートの製造方法

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JP2000159876A
JP2000159876A JP10340173A JP34017398A JP2000159876A JP 2000159876 A JP2000159876 A JP 2000159876A JP 10340173 A JP10340173 A JP 10340173A JP 34017398 A JP34017398 A JP 34017398A JP 2000159876 A JP2000159876 A JP 2000159876A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 生成ポリマーの熱安定性、耐加水分解性、色
調が良好で、かつ溶融重合並びに固相重合速度が高いポ
リプロピレンテレフタレートの製造方法を提供する。 【解決手段】1,3−プロパンジオールを主成分とする
グリコール成分とテレフタール酸を主成分とする二官能
性カルボン酸又はジメチルテレフタレートを主成分とす
る二官能性カルボン酸の低級アルキルエステル成分とを
反応させポリプロピレンテレフタレートを製造するに際
し、重合触媒として、[A]チタン化合物及び[B]マ
グネシウム化合物の存在下で重合を行うことを特徴とす
るポリプロピレンテレフタレートの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリプロピレンテ
レフタレートの製造方法に関するものである。詳しく
は、特定の重合触媒の組合せでかつ比較的低い温度条件
で溶融重合を行うことよりなる熱安定性等に優れたポリ
プロピレン(トリメチレン)テレフタレートの製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレン(トリメチレン)テレフ
タレート(以下、PTTと称することもある)は結晶化
速度が高く、成形性に優れる上にTgが室温以上にあ
り、そのため、エンジニアリングプラスチックとしてP
BT(ポリブチレンテレフタレート)以上に有用で大き
な市場が期待されている。
【0003】しかしながら、PTTはその分子構造上、
重合性が高くなく、これまで、チタン化合物単独の重合
触媒が検討されているに過ぎなかった(例えば、特開昭
51−142098号公報、特開昭51−140992
号公報、特開平8−104763号公報等)。また重合
反応の際、副反応が生成し易く、しかも重合速度が遅い
ことによって高分子量の重合体の製造が困難であった。
そのため、ブロー(押出しグレード)成形に適したPT
Tの開発は困難とされてきた。更に、PTTの原料であ
る1,3−プロパンジオールの安価な製造法が開発され
ておらず、そのため、安価なPTTが得られなかったの
が開発上の大きなネックとなっていた。
【0004】近年、安価な1,3−プロパンジオールの
製造法が開発されるにつれて、PTTも安価に製造され
る可能性が高くなってきたが、上述のように、重合活性
が低いという問題があった上に、熱安定性が必ずしも十
分でなく、特に重合触媒のチタン化合物が存在すると、
分解反応が促進され、末端COOH基の濃度が増大し、
耐加水分解性が悪化し、また、着色等の色調も悪くなる
という問題があった(特開昭51−142098号公
報)。また、PTTは熱安定性に劣るため、成形時の熱
に基因して成形後の製品の末端COOH基の増加が大き
く、そのため、製品の耐加水分解性が更に劣るという問
題があり、加えて成形後の分子量の低下も激しく、その
ため力学特性が更に悪化するという問題もあった。
【0005】ポリエステルの耐加水分解性や熱安定性、
更には色調を改良するために、ヒンダードフェノール系
化合物(ホスホン酸のエステル)を重合中に添加する方
法が特開昭51−142098号公報、特開昭51−1
42097号公報に記載されている。これらの方法によ
ると、耐加水分解性、熱安定性、色調をある程度改良で
きるとしても、溶融重合における反応速度の低下を招
き、生産性をダウンさせるという問題があった。また、
得られるポリマーの耐加水分解性、熱安定性、色調等の
点で必ずしも十分満足できるものではなかった。
【0006】先に、本発明者等は、ポリブチレンテレフ
タレート(PBT)について、重合触媒としてTi化合
物とMg化合物の組合せの触媒系を提案し(特開平8−
20638号公報)、またポリヘキサメチレンテレフタ
レート(PHT)に関してもTi化合物とMg化合物の
組合せの触媒系を提案している(特開平7−21606
6号公報)。他方、特公昭53−25695号公報、特
公昭53−25696号公報では、ポリエチレンテレフ
タレート(PET)に関し、Mg化合物とTi化合物の
組合せからなる触媒が示されているものの、その具体的
実施例では、Mn化合物、Mg化合物及びTi化合物の
3元系の触媒が使用されているに過ぎない。これらは、
いずれもPBT、PHT、PETに関するものであり、
これらとは重合反応性が異なるPTTについては何等言
及されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、溶融
重合における反応速度が高く、生成したポリプロピレン
テレフタレートはその末端ビニル基の濃度が低く、その
ため得られたポリプロピレンテレフタレートの固相重合
性も高く、かつ末端COOH基の濃度が低く、耐加水分
解性や熱安定性が良好で、優れた色調のポリプロピレン
テレフタレートを製造する方法を提供することにあり、
特に成形の際の溶融状態においた時に、熱安定性が良い
ために、成形後の末端COOH基の増大が小さく、また
分子量の低下度も小さいポリプロピレンテレフタレート
を製造するための方法を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上述の問題を解
決するためになされたものであり、そのの要旨は、1,
3−プロパンジオールを主成分とするグリコール成分と
テレフタール酸を主成分とする二官能性カルボン酸又は
ジメチルテレフタレートを主成分とする二官能性カルボ
ン酸の低級アルキルエステル成分とを反応させポリプロ
ピレンテレフタレートを製造するに際し、重合触媒とし
て、[A]チタン化合物及び[B]マグネシウム化合物
の存在下で重合を行うことを特徴とするポリプロピレン
テレフタレートの製造方法に存する。
【0009】本発明方法の好ましい態様は、該チタン化
合物のチタンに対しマグネシウムとして0.5〜3モル
倍のマグネシウム化合物の存在下で溶融重合を行うこ
と;溶融重合を温度275℃未満で行うこと;1,3−
プロパンジオールを主成分とするグリコール成分と、ジ
メチルテレフタレートを主成分とする二官能性カルボン
酸の低級アルキルエステル成分とのエステル交換反応に
おいて、エステル交換触媒として、チタン化合物を使用
すること;前記マグネシウム化合物が酢酸マグネシウム
であること及び前記ポリエステルが75モル%以上の
1,3−ポリプロピレン(トリメチレン)テレフタレー
ト結合を有するポリプロピレンテレフタレートの製造方
法に存する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において用いられるグリコール成分としては、
1,3−プロパンジオールを主たる対象とするが、エチ
レングリコール、1,4−ブチレングリコール、ネオペ
ンチルグリコール、へキサメチレングリコール、デカメ
チレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジエ
チレングリコール、トリエチレングリコール、ポリ(オ
キシ)エチレングリコール、ポリテトラメチレングリコ
ール、ポリメチレングリコール等のアルキレングリコー
ルの1種、または2種以上を混合してもよく、目的によ
り任意に選ぶことができる。さらに少量のグリセリンの
ような多価アルコール成分を用いてもよい。また少量の
エポキシ化合物を用いてもよい。
【0011】本発明において用いられる二官能性カルボ
ン酸成分としては、テレフタル酸を主成分とするが、ナ
フタレンジカルボン酸、イソフタル酸、ジフェニルジカ
ルボン酸等の芳香族のジカルボン酸、アジピン酸、セバ
シン酸、コハク酸、シュウ酸等の脂肪族ジカルボン酸、
シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸の
1種、または2種以上を混合してもよく、目的により任
意に選ぶことができる。二官能性カルボン酸の低級アル
キルエステルとしては、ジメチルテレフタレートを主成
分とするが、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、
ジフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸の低級
アルキルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂
環式ジカルボン酸の低級アルキルエステル、アジピン
酸、セバシン酸、コハク酸、シュウ酸等の脂肪族ジカル
ボン酸の低級アルキルエステルが挙げられ、これらの1
種、または2種以上を混合してもよく、目的により任意
に選ぶことができる。又、少量のトリメリツト酸のよう
な三官能性以上のカルボン酸成分を用いてもよい。無水
トリメリツト酸のような酸無水物を少量使用してもよ
い。また、乳酸、グリコール酸のようなヒドロキシカル
ボン酸又はそのアルキルエステル等を少量使用しても良
い。
【0012】低級アルキルエステル成分としては、メチ
ルエステルを主成分とするが、エチルエステル、プロピ
ルエステル、ブチルエステル等の1種、または2種以上
を混合してもよく、目的により任意に選ぶことができ
る。本発明のポリプロピレンテレフタレートは、通常7
5モル%以上の1,3−プロピレンテレフタレート結合
を有しているものであり、好ましくは85モル%以上の
1,3−プロピレンテレフタレ一ト結合を有しているも
のであり、より好ましくは、95モル%以上の1,3−
プロピレンテレフタレート結合を有しているものであ
る。
【0013】本発明において用いられるチタン化合物
は、テトラアルキルチタネートが好ましく、具体的に
は、テトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロ
ピルチタネート、テトラーn−ブチルチタネート、テト
ラ−t一ブチルチタネート、テトラフェニルチタネー
ト、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラベンジル
チタネート、あるいはこれらの混合チタネートである。
これらのうち特にテトラ−n−プロピルチタネート、テ
トライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタ
ネートが好ましく、テトラ−n−ブチルチタネートが最
も好ましい。又、これらのチタン化合物の2種以上を併
用して用いてもよい。
【0014】チタン化合物の添加量はチタン量として生
成ポリプロピレンテレフタレートに対して30〜200
ppm、好ましくは40〜130ppm、より好ましく
は50〜110ppmである。本発明において用いられ
るマグネシウム化合物としては、酢酸マグネシウム、水
酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウ
ム、マグネシウムアルコキサイド、燐酸水素マグネシウ
ム等が挙げられ、好ましくは酢酸マグネシウム又は水酸
化マグネシウムであり、特に重合速度や1,3−プロパ
ンジオールヘの溶解性(異物生成)等の点で酢酸マグネ
シウムが最も好ましい。
【0015】マグネシウムの量は特に制限されないが、
重合活性、熱安定性の点から金属の原子比、即ち、Mg
/Tiの比で表して0.1〜10が好ましく、特に0.
2〜5が好ましく,最も好ましくは0.5〜3.0であ
る。Mg/Ti<0.1の場合には、重合速度の向上は
小さく、末端COOH基の濃度が高くなり、色調が悪化
したり、耐加水分解性が悪化したりするので好ましくな
い。Mg/Ti>10の場合は重合速度が低下し、ま
た、生成ポリプロピレンテレフタレートの耐加水分解性
や色調も悪化するので好ましくない。Mg/Ti比はよ
り好ましくは0.7〜2.5、最も好ましくは0.85
〜2.0である。この場合、色調はTiのみの場合より
も向上する。
【0016】本発明においては、1,3−プロパンジオ
ール成分を主成分とするアルキレングリコール(アルカ
ンジオール)成分とジメチルテレフタレート成分を主成
分とする二官能性カルボン酸の低級アルキルエステル成
分とのエステル交換反応工程、または、1,3−プロパ
ンジオール成分を主成分とするアルキレングリコール成
分とテレフタル酸成分を主成分とする二官能性カルボン
酸とのエステル化反応工程と、それに続く重縮合反応工
程とを経由してポリプロピレンテレフタレートの製造を
行うが、これらの反応条件は重合触媒及び溶融重合時の
温度を除いて、特に限定されるものでなく、公知の反応
条件がそのまま適用される。
【0017】例えば、エステル交換反応時のアルキレン
グリコール成分/二官能性カルボン酸の低級アルキルエ
ステル成分のモル比は2.0以下、好ましくはl.0〜
1.6とし、エステル交換反応として120〜245
℃、好ましくは140〜240℃で、2〜4時間行われ
る。また、直接エステル化の場合は、アルキレングリコ
ール成分/二官能性カルボン酸成分のモル比は2.0以
下、好ましくはl.6〜2.2とし、エステル化応とし
て120〜245℃、好ましくは140〜240℃で、
2〜4時間行われる。次いで重縮合反応を行うが、その
条件は通常、3Torr以下の減圧下、ポリマーの融点
以上の温度、好ましくは210〜275℃未満、更に好
ましくは230〜270℃未満の温度である。また、重
合時間は、2〜5時間である。重合度が増大する重合後
期においては、攪拌によるシェア発熱が伴うこともある
ので設定温度に注意して内温を275℃未満に制御する
ことが好ましい。
【0018】チタン化合物の添加時期はエステル交換の
開始時、エステル交換中、エステル交換後、重縮合時等
ありうるが、エステル交換開始時と重縮合反応前に分割
して添加するのが好ましい。マグネシウム化合物の添加
時期もエステル交換の開始時、エステル交換中、エステ
ル交換後、重縮合時等ありうるが、エステル交換終了
時、重合開始前に添加するのが重合活性及ぴ色調等の点
で好ましい。
【0019】例えば、アルキレングリコールとジメチル
テレフタレートを主成分とする二官能性カルボン酸の低
級アルキルエステル成分とのエステル交換反応の場合に
おいては、エステル交換触媒としてチタン化合物を使用
することが好ましい。即ち、エステル交換法の場合は、
エステル交換触媒として、チタン化合物を使用し、エス
テル交換後、重合反応以前にマグネシウム化合物添加と
更にチタン化合物を追加添加するのが好ましい。テレフ
タル酸を主成分とする二官能性カルボン酸とアルキレン
グリコールとのエステル化反応の場合には、重縮合反応
時にチタン化合物とマグネシウム化合物を添加するのが
よい。この場合、エステル化時、又は重合時にスズ化合
物や亜鉛化合物等を添加してもよい。
【0020】本発明においては、溶融重合における反応
温度(内温)は生成するポリマーが溶融する温度であれ
ば、特に制限されないが、275℃未満で行った場合生
成ポリマーの末端ビニル基、及び末端COOH基の生成
が少なく、特に溶融重合終了時(末期)の内温を275
℃未満で行うことが好ましい。また、溶融重合後に、更
に重合度を高めたり、低ガス化や、低オリゴマー化のた
めに固相重合を行う場合は、275℃未満、好ましくは
245℃以上270℃未満、更に好ましくは250℃以
上265℃未満で重合するのが良い。重合温度が275
℃以上、特に280℃以上になると末端ビニル基、末端
COOH基が増大し、固相重合を行おうとしても、固相
重合速度が低く、生産性が低下してしまうので好ましく
ない。275℃未満の場合、溶融重合速度が高いために
増し仕込みを行うことが可能となり、生産性の向上にも
寄与することができる。
【0021】上述したように、本発明は、ポリプロピレ
ンテレフタレートの製造において、重合触媒としてチタ
ン化合物とマグネシウム化合物とを用い、チタン化合物
におけるチタンの量に対するマグネシウム化合物におけ
るマグネシウムの量を任意の割合にして、チタン化合物
の使用量を低減し、同時に溶融重合における反応温度を
比較的低く、即ち275℃未満にすることにより、重合
速度を低下させることなしに得られるポリマーの末端カ
ルボキシル基やビニル基の増大化を防ぎ、耐加水分解
性、耐熱性および色調に優れたポリプロピレンテレフタ
レートが得られることを見出したことに基づくものであ
る。
【0022】本発明において重合活性が高くなる理由と
して、マグネシウム化合物の添加によりマグネシウム化
合物とチタン化合物との相互作用が生じ、チタン触媒の
配位・結合構造が変化し、反応中、反応原料の分子がT
i原子と相互作用できるような主反応の特定活性サイト
を生じやすくする特定の構造が形成され、また、同相互
作用によりチタン触媒の酸塩基性が変化することが考え
られる。このことは、X線吸収端微細構造解析(XAF
S:X-ray Absorption fine structure)のX線近吸収
端構造(XANES:X-ray Absorption Near-Edge Str
ucture)の測定結果から推定される。PTTのXANE
Sスペクトルにおいて、Tiの1sから3d軌道への遷移
過程に帰属されるプリエッジピーク(4.965〜4.972keV
付近の主ピーク)の強度は、Ti単独の触媒系よりも、
Ti化合物にマグネシウム化合物を添加した触媒からの
ものの方が大きい。これは、Ti元素近傍の配位・結合
原子の点対称なオクタヘドラル構造が歪んでいる証拠で
あり、Tiへの配位数の減少が推定され、反応原料の分
子がTi原子と相互作用できるような活性サイトが出来
ていると推定されるのである。チタンの酸塩基性につい
てもXANESの結果より推定されている。
【0023】本製造方法における不要な副生物、及び副
反応としては、末端ヒドロキシプロピル基の種々の分解
反応によるアリルアルコールなどの発生やそれに伴うP
TTの末端COOH基の生成や末端ビニル基の生成、お
よびエステル基の分解反応によるカルボキシル基の生成
や分子量の低下等がある。チタン触媒系へのマグネシウ
ム化合物の添加によりマグネシウム化合物とチタン化合
物との相互作用により、チタン触媒の特定サイトの酸性
質が抑制され、不要な副反応及びそれに伴う副生物が抑
制された良好な重合活性を有し、その結果として生成し
たポリマーの固相重合性、耐加水分解性、熱安定性、色
調等が良好であり、しかも溶融成形後の製品においても
耐加水分解性及び熱安定性に優れている。本発明による
PTTの色調は、b<0であり、L値>60であり、L
値>65がより好ましい。L≦60では明るくなく好ま
しくない。
【0024】本発明方法で生成されるPTTは、固有粘
度IVは機械的強度の点から通常IV≧0.6であり、
成形性も考慮すると0.7≦IV≦1.6が好ましく、
より好ましくは0.75≦IV≦l.4である。本発明
のPTTにおいては、末端COOH基数は平均して40
eq/トン以下、好ましくは、30eq/トン以下、更
に好ましくは、23eq/トン以下、最も好ましくは、
15eq/トン以下である。末端COOH基数が少なく
なると共に、耐加水分解性、熱安定性が向上するし、ま
た固相重合性も向上する。\
【0025】生成PTTの末端ビニル基は、通常10e
q/トン未満である。未端ビニル基が10eq/トン未
満であれば、熱安定性にすぐれ、耐加水分解性、及ぴ固
相重合性に優れる。好ましくは、末端ビニル基は8eq
/トン以下、さらに好ましくは、末端ビニル基は6eq
/トン以下、最も好ましくは4eq/トン以下である。
末端ビニル基が10eq/トン以上であれば、熱安定性
に劣り、耐加水分解性に劣り、固相重合性が低い。
【0026】更に、本発明PTTは熱安定性に優れてい
るために、成形時にも熱による分子量の低下や末端CO
OH基の増大度合いが低く、その結果、製品の力学特性
や耐加水分解性の低下を招く度合が少ない。例えば、ポ
リマーの熱安定性を、N2下250℃で1時間処理した
後のIV及び末端COOH基数を測定し、処理前のIV
と末端COOH基数と対比しIVの保持率と末端COO
H基の増大数で評価した場合、そのIV保持率は、好ま
しくは40%以上、より好ましくは50%以上である。
更に60%以上がより好ましく、65%以上が最も好ま
しい。IV保持率が40%未満であれば、製品の力学的
特性が低下して好ましくない。末端COOH基数の増大
は、13eq/トン以下が好ましく、10eq/トン以
下がより好ましい。最も好ましくは、7eq/トン以下
である。耐加水分解性に係わるプレッシャークッカーテ
スト後のIV保持率は、50%以上が好ましく、55%
以上がより好ましく、60%以上が更に好ましく、65
%以上が最も好ましい。50%未満であれば、耐加水分
解性が悪く好ましくない。
【0027】本発明の方法によると重合速度が従来法に
比べて大幅に向上するので、仕込量を増量したりして更
に生産性を向上することができる。一方仕込量を下げる
ことも可能となり、その結果、更にポリプロピレンテレ
フタレートの末端COOH基の濃度を下げることも可能
になる。更に色調もよくなる。また、このポリマーを更
に固相重合する場合には、その固相重合速度も速く、良
好な固相重合を行うことができる。
【0028】その他、ポリエステルの特性が損なわれな
い範囲において各種の添加剤、例えば熱安定剤、酸化防
止剤、結晶核剤、難燃剤、帯電防止剤、離型剤、紫外線
吸収剤等を添加してもよい。上記の重縮合で得たポリマ
ーを引き続き常法に従って固相重合することもできる。
固相重合の条件は、通常、減圧下180〜230℃の温
度で3〜30時間程度である。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例
に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」と
あるものは、「重量部」を表す。本発明のPTTにおけ
る末端ビニル基、固有粘度lV、末端カルボキシル基、
色調、耐加水分解性、溶融重合性、固相重合性及び熱安
定性は以下の方法に基づき実施した。
【0030】(1) 末端ビニル基は、PTTをへキサ
フルオロイソプロパノール/重水素化クロロホルム=3
/7(vo1比)に溶解し、40OMHz H−NMR
で測定した値であり、1×106g(トン)当たりのビ
ニル基当量である。 (2) 固有粘度IVは、PTTをフェノール/テトラ
クロロエタン(1:1重量比)中、30℃で測定した溶
液粘度から求めたものである。
【0031】(3) 末端カルボキシル基[COOH]
は、PTTをベンジルアルコールに溶解し0.1N N
aOHにて滴定した値であり、1×106g当たりのカ
ルボキシル基当量である。 (4) 耐加水分解性は、平山製作所製プレッシャーク
ッカーテスト機を用いて120℃飽和水蒸気中でペレッ
トを24時間処理(PCT処理)し、処理前後のIVを
測定し、IV保持率[(処理後のIV)/(処理前のI
V)×100]にて評価を行った。
【0032】(5)色調は円柱状ペレットサンプルを用
いて日本電色工業(株)製測色色差計でL値、a値、b
値を測定した。 (6) 溶融重合性は、溶融重合後のIVを溶融重合時
間(Hr)で割った値IV/Hrで示した。
【0033】(7) 固相重合性は、210℃、0.4
mmHg、8時間の固相重合後のIVを測定し、[(固
相重合後のIV)−(溶融重合後のIV)]を固相重合
時間(8時間)で割った固相重合速度として△IV/H
rで示した。
【0034】(8) 熱安定性の評価は、枝付き試験管
にPTTを入れ、N2下250℃で1時間処理後のIV
及び末端COOH基数を測定し、IVの保持率[(処理
後のIV)/(処理前のIV)×100]及び末端COO
H基数の差にて行った。
【0035】実施例1 ジメチルテレフタレートl4l.2部、1,3−プロパ
ンジオール83.0部にテトラブチルチタネート0.0
247部を加え、150℃から220℃で3時間エステ
ル交換反応を行った。エステル交換反応終了時に、酢酸
マグネシウム・四水塩0.0466部を1,3−プロパ
ンジオールに溶解して添加し、引き続きテトラブチルチ
タネート0.0494部を添加し、重縮合反応にはいっ
た。マグネシウムとチタンの金属としてのモル比、Mg
/Ti比は1.0とした。
【0036】重縮合反応は常圧から1Torrまで85
分かけて徐々に減圧し、同時に所定の重合温度255℃
まで昇温し、以降所定重合温度、1Torrで継続し、
所定の撹拌トルクに到達した時点で反応を終了し、PT
Tポリマーを取り出した。その際の重合時間、得られた
PTTポリマーの固有粘度,色調,末端基(カルボキシ
ル基、OH基、ビニル基)、耐加水分解性を測定した。
また、得られたPTTポリマーを2l0℃、減圧下(1
Torr以下)で8時間固相重合を行い、得られたポリ
マーのIV値を測定し、固相重合速度として△IV/H
rで示した。結果を表−1に示した。
【0037】実施例2 実施例1において所定の重合温度を245℃にした以外
は実施例1と同様にしてPTTポリマーを得た。 実施例3 実施例1において所定の重合温度を265℃にした以外
は実施例1と同様にしてPTTポリマーを得た。
【0038】実施例4 実施例1において所定の触媒金属比Mg/Ti比を6.
0にした以外は実施例1と同様にしてPTTポリマーを
得た。 実施例5 実施例1において所定の触媒金属比Mg/Ti比を0.
2にした以外は実施例1と同様にしてPTTポリマーを
得た。 実施例6 実施例1において所定の重合温度を275℃にした以外
は実施例1と同様にしてPTTポリマーを得た。
【0039】比較例1 実施例1において酢酸マグネシウム・四水塩を添加しな
い以外は実施例lと同様の反応を行ないPTTポリマー
を得た。
【0040】比較例2 実施例1において酢酸マグネシウム・四水塩を酢酸亜鉛
・二水塩0.0479部とし、亜鉛とチタンの金属とし
てのモル比、Zn/Ti比=1.0にした以外は実施例
1と同様にしてPTTポリマーを得た。実施例2〜6及
び比較例1、2で得られたPTTポリマーにつき実施例
1におけるのと同様にして測定を行い、それぞれの結果
を表−1に示した。
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】本発明の方法によれば、重合速度が大き
い、即ち溶融重合性及び固相重合性のいずれも高いた
め、重合時間の短縮や増し仕込みが可能となり、生産性
を著しく向上することができる。又、得られるポリプロ
ピレンテレフタレートは末端COOH基や末端ビニル基
が少ないために、熱安定性、耐加水分解性及び色調に優
れるという特徴を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 濱野 俊之 三重県四目市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社四日市事業所内 Fターム(参考) 4J029 AA03 AB04 AC01 AC02 BA02 BA03 BA04 BA05 BA10 BD07A BF09 BF18 BF25 CA02 CA04 CA06 CB05A CB06A CB10A CC05A CD03 HA01 HB01 HB02 JA091 JA121 JA251 JB131 JB161 JE182 JF131 JF251 KD01 KE05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1,3−プロパンジオールを主成分とす
    るグリコール成分とテレフタール酸を主成分とする二官
    能性カルボン酸又はジメチルテレフタレートを主成分と
    する二官能性カルボン酸の低級アルキルエステル成分と
    を反応させポリプロピレンテレフタレートを製造するに
    際し、重合触媒として、[A]チタン化合物及び[B]
    マグネシウム化合物の存在下で重合を行うことを特徴と
    するポリプロピレンテレフタレートの製造方法。
  2. 【請求項2】 該チタン化合物のチタンに対しマグネシ
    ウムとして0.5〜3モル倍のマグネシウム化合物の存
    在下で溶融重合を行うことを特徴とする請求項1記載の
    ポリプロピレンテレフタレートの製造方法。
  3. 【請求項3】 溶融重合を温度275℃未満で行うこと
    を特徴とする請求項1又は2記載のポリプロピレンテレ
    フタレートの製造方法。
  4. 【請求項4】 1,3−プロパンジオールを主成分とす
    るグリコール成分と、ジメチルテレフタレートを主成分
    とする二官能性カルボン酸の低級アルキルエステル成分
    とのエステル交換反応において、エステル交換触媒とし
    て、チタン化合物を使用することを特徴とする請求項1
    乃至3のいずれか一項記載のポリプロピレンテレフタレ
    ートの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記マグネシウム化合物が酢酸マグネシ
    ウムであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか
    一項記載のポリプロピレンテレフタレートの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記ポリプロピレンテレフタレートが、
    75モル%以上の1,3−ポリプロピレンテレフタレー
    ト結合を有するポリエステルであることを特徴とする請
    求項1乃至5のいずれか一項記載のポリプロピレンテレ
    フタレートの製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002265771A (ja) * 2001-03-15 2002-09-18 Teijin Ltd 熱可塑性樹脂組成物
US6645619B2 (en) 1999-12-15 2003-11-11 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha Modified polytrimethylene terephthalate
JP2004504456A (ja) * 2000-07-20 2004-02-12 シエル・インターナシヨナル・リサーチ・マートスハツペイ・ベー・ヴエー ポリトリメチレンテレフタレートの製造方法
US7335719B2 (en) 2001-07-05 2008-02-26 Teijin Limited Polyester based on poly(trimethylene terephthalate)

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