JP3696739B2 - ポリブチレンナフタレートの製造方法 - Google Patents

ポリブチレンナフタレートの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱安定性等の物性に優れたポリブチレンナフタレートの製造方法に関するものである。詳しくは、特定の重合触媒の組合せでかつ比較的低い温度条件で溶融重合を行うことよりなる熱安定性等に優れたポリブチレンナフタレートの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリブチレンナフタレート(以下、PBNと称することもある)は結晶化速度が高く、成形性に優れているため、エンジニアリングプラスチックとして有用で大きな市場を形成している。
【0003】
しかしながら、PBNはその分子構造上、熱安定性が必ずしも十分でなく、特に重合触媒のチタン化合物が存在すると、分解反応が促進され、末端COOH基の濃度が増大し、耐加水分解性が悪化し、また、着色等の色調も悪くなるという問題があった。
更に、PBNは熱安定性に劣るため、溶融成形時の熱に基因して成形後の製品の末端COOH基の増加が大きく、そのため、製品の耐加水分解性が一層劣るようになるという問題があり、加えて成形後の分子量の低下も激しいので力学特性が更に悪化するという問題もあった。
【0004】
ポリブチレンテレフタレート(PBT)については、耐加水分解性や熱安定性、更には色調を改良するために、次亜燐酸塩等を用いる方法が提案されている(特公昭57−85818号公報、特開平5−230201号公報)。これらの方法によると、耐加水分解性、熱安定性、色調をある程度改良できるとしても、溶融重合における反応速度の低下を招き、生産性をダウンさせるという問題があった。
又、特公昭56−39340号公報においては、重合温度260℃で、チタン化合物に0.1〜5倍のマグネシウムの弱酸塩化合物を併用して重合する方法が記載されているが、重合温度が260℃と高いために末端COOH基が増大して製品の耐加水分解性が悪化したり、末端ビニル基が増大することによって、固相重合性が低下し、そのため高分子量の重合体が製造できない難点があった。特公昭57−147516号公報においては、重合温度270℃においてチタン化合物にアルカリ性金属化合物を一緒に用いて重合する方法が記載されているが、得られるポリマーの耐加水分解性、熱安定性、色調等の点で必ずしも十分満足できるものではなかった。
【0005】
先に、本発明者等は、PBTについて、重合触媒としてTi化合物とMg化合物の組合せの触媒系を提案し(特開平8−20638号公報)、またポリヘキサメチレンテレフタレート(PHT)に関してもTi化合物とMg化合物の組合せの触媒系を提案している(特開平7−216066号公報)。他方、特公昭53−25695号公報、特公昭53−25696号公報では、ポリエチレンテレフタレート(PET)に関し、Mg化合物とTi化合物の組合せからなる触媒が示されているものの、その具体的実施例では、Mn化合物、Mg化合物及びTi化合物の3元系の触媒が使用されているに過ぎない。これらの特許は、いずれもPBT、PHT、PETに関するものであり、これらとは重合反応性が異なるPBNについては何等言及されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、溶融重合における反応速度が高く、生成したPBNはその末端ビニル基の濃度が低く、そのため得られたPBNの固相重合性も高く、かつ末端COOH基の濃度が低く、耐加水分解性や熱安定性が良好で、優れた色調のPBNを製造する方法を提供することにあり、特に成形に際して溶融状態においた時に、熱安定性が良いために、成形後の末端COOH基の増大が小さく、また分子量の低下度も小さいPBNを製造するための方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の問題を解決するためになされたものであり、そのの要旨は、1,4−ブタンジオールを主成分とするグリコール成分と、2,6−ナフタレンジカルボン酸を主成分とする二官能性カルボン酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルを主成分とする二官能性カルボン酸の低級アルキルエステル成分とを反応させポリブチレンナフタレートを製造するに際し、重合触媒として、[A]チタン化合物及び[B]該チタン化合物のチタンに対しマグネシウムとして0.5〜3モル倍のマグネシウム化合物を存在させ、かつ温度260℃未満で溶融重合を行うことを特徴とするポリブチレンナフタレートの製造方法に存する。
【0008】
本発明方法の好ましい態様は、上記方法において該チタン化合物がテトラアルキルチタネートであること、及び該マグネシウム化合物が酢酸マグネシウム、水酸化マグネシウム又はマグネシウムアルコキサイドの少なくとも一種であることに存する。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明において用いられるグリコール成分としては、1,4−ブタンジオールを主たる対象とするが、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、へキサメチレングリコール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリ(オキシ)エチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリメチレングリコール等のアルキレングリコールの1種、または2種以上を混合してもよく、目的により任意に選ぶことができる。さらに少量のグリセリンのような多価アルコール成分を用いてもよい。また少量のエポキシ化合物を用いてもよい。
【0010】
本発明において用いられる二官能性カルボン酸成分としては、2,6−ナフタレンジカルボン酸を主成分とするが、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸等の芳香族のジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、シュウ酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸等が挙げられ、これらの1種または2種以上を混合してもよく、目的により任意に選ぶことができる。
二官能性カルボン酸の低級アルキルエステルとしては、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルを主成分とするが、テレフタル酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸の低級アルキルエステル、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸の低級アルキルエステル、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、シュウ酸等の脂肪族ジカルボン酸の低級アルキルエステル等が挙げられ、これらの1種または2種以上を混合してもよく、目的により任意に選ぶことができる。
又、少量のトリメリツト酸のような三官能性以上のカルボン酸成分を用いてもよく、無水トリメリツト酸のような酸無水物を少量使用してもよい。また、乳酸、グリコール酸のようなヒドロキシカルボン酸又はそのアルキルエステル等を少量使用しても良い。
【0011】
低級アルキルエステル成分としては、メチルエステルを主成分とするが、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル等の1種、または2種以上を混合してもよく、目的により任意に選ぶことができる。
本発明のPBNは、通常75モル%以上の1,4−ブチレンナフタレート結合を有しているものであり、好ましくは85モル%以上の1,4−ブチレンナフタレート結合を有しているものであり、より好ましくは、90モル%以上の1,4−ブチレンナフタレート結合を有しているものである。
【0012】
本発明において重合触媒成分として用いられるチタン化合物は、テトラアルキルチタネートが好ましく、具体的には、テトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラーn−ブチルチタネート、テトラ−t一ブチルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラベンジルチタネート、あるいはこれらの混合チタネートである。これらのうち特にテトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートが好ましく、テトラ−n−ブチルチタネートが最も好ましい。又、これらのチタン化合物の2種以上を併用して用いてもよい。
チタン化合物の添加量はチタン量として生成PBNに対して10−200ppm、好ましくは15−150ppm、より好ましくは20〜130ppmである。
【0013】
本発明の重合触媒において用いられるマグネシウム化合物としては、酢酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マグネシウムメトキシド、マグネシウムエトキシド等のマグネシウムアルコキサイド(アルコキシマグネシウム)、燐酸水素マグネシウム等が挙げられ、好ましくは酢酸マグネシウム、水酸化マグネシウム又はマグネシウムアルコキサイドであり、特に重合速度や1,4−ブタンジオールヘの溶解性(異物生成)等の点で酢酸マグネシウムが最も好ましい。
【0014】
チタン化合物に添加するマグネシウムの量は、金属の原子比、即ち、Mg/Tiの比で表して0.5〜3.0である。Mg/Ti<0.5の場合には、重合速度の向上が十分でなく、生成PBNの末端COOH基の濃度が高く、かつ色調が悪化するので好ましくない。Mg/Ti>3.0の場合には、重合速度が同一金属量見合いで低下すると共に、生成PBNの耐加水分解性や色調も悪化するので好ましくない。Mg/Ti比はより好ましくは0.7〜2.5、最も好ましくは0.85〜2.0である。この場合、色調はTiのみの場合よりも向上する。
【0015】
本発明においては、1,4−ブタンジオール成分を主成分とするアルキレングリコール(アルカンジオール)成分と2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル成分を主成分とする二官能性カルボン酸の低級アルキルエステル成分とのエステル交換反応工程、または、1,4−ブタンジオール成分を主成分とするアルキレングリコール成分と2,6−ナフタレンジカルボン酸成分を主成分とする二官能性カルボン酸とのエステル化反応工程と、それに続く重縮合反応工程とを経由してPBNの製造を行うが、これらの反応条件は重合触媒及び溶融重合時の温度を除いて、特に限定されるものでなく、公知の反応条件がそのまま適用される。
【0016】
例えば、エステル交換反応時のアルキレングリコール成分/二官能性カルボン酸の低級アルキルエステル成分のモル比は2.0以下、好ましくはl.0〜1.6とし、エステル交換反応として180〜260℃、好ましくは190〜255℃で、2〜4時間行われる。また、直接エステル化の場合は、アルキレングリコール成分/二官能性カルボン酸成分のモル比は2.5以下、好ましくはl.6〜2.2とし、エステル化応として180〜260℃、好ましくは190〜255℃で、2〜4時間行われる。
次いで重縮合反応を行うが、その条件は通常、3Torr以下の減圧下、260℃未満温度、好ましくは220〜260℃未満、更に好ましくは230〜260℃未満の温度である。また、重合時間は2〜6時間である。
重合度が増大する重合後期においては、攪拌によるシェア発熱が伴うこともあるので設定温度に注意して内温を260℃未満に制御することが好ましい。
【0017】
チタン化合物の添加時期はエステル交換の開始時、エステル交換中、エステル交換後、重縮合時等ありうるが、エステル交換開始時と重縮合反応前に分割して添加するのが好ましい。
マグネシウム化合物の添加時期もエステル交換の開始時、エステル交換中、エステル交換後、重縮合時等ありうるが、エステル交換終了時、重合開始前に添加するのが重合活性及ぴ色調等の点で好ましい。
【0018】
例えば、アルキレングリコールと2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルを主成分とする二官能性カルボン酸の低級アルキルエステル成分とのエステル交換反応の場合においては、エステル交換触媒としてチタン化合物を使用することが好ましい。
即ち、エステル交換法の場合は、エステル交換触媒として、チタン化合物を使用し、エステル交換後、重合反応以前にマグネシウム化合物添加と更にチタン化合物を追加添加するのが好ましい。
2,6−ナフタレンジカルボン酸を主成分とする二官能性カルボン酸とアルキレングリコールとのエステル化反応の場合には、重縮合反応時にチタン化合物とマグネシウム化合物を添加するのがよい。この場合、エステル化時、又は重合時にスズ化合物や亜鉛化合物等を添加してもよい。
【0019】
本発明においては、溶融重合における反応温度(内温)は260℃未満で行うことが必要で、特に溶融重合終了時(末期)の内温を260℃未満で行うことが重要である。260℃以上になると生成ポリマーの末端ビニル基が大幅に上昇し、溶融重合後に、更に重合度を高めたり、低ガス化や、低オリゴマー化のために固相重合を行う場合、固相重合速度が低く、生産性が低下してしまう。また、末端COOH基も増大し、却って重合速度が低下したり、耐加水分解性が悪化する。重合温度は257℃以下がより好ましく、更に好ましくは255℃以下である。この場合、溶融重合速度が高いために増し仕込みを行うことが可能となり、生産性の向上にも寄与することができる。
【0020】
上述したように、本発明はPBNの製造において、重合触媒としてチタン化合物とマグネシウム化合物とを用い、チタン化合物におけるチタンの量に対するマグネシウム化合物におけるマグネシウムの量を特定の割合にして、チタン化合物の使用量を低減し、同時に溶融重合における反応温度を比較的低く、即ち260℃未満にすることにより、重合速度を低下させることなしに得られるポリマーの末端カルボキシル基やビニル基の増大化を防ぎ、耐加水分解性、耐熱性および色調に優れたポリエステルが得られることを見出したことに基づくものである。
【0021】
本発明方法によれば、重合活性が高く、固有粘度や固相重合性が改善された高分子のPBNを製造することができる。その理由としては、マグネシウム化合物の添加によりマグネシウム化合物とチタン化合物との相互作用が生じ、チタン触媒の配位・結合構造が変化し、反応中、反応原料の分子がTi原子と相互作用できるような主反応の特定活性サイトを生じやすくする特定の構造が形成され、また、同相互作用によりチタン触媒の酸塩基性が変化することが考えられる。このことは、X線吸収端微細構造解析(XAFS:X-ray Absorption fine structure)のX線近吸収端構造(XANES:X-ray Absorption Near-Edge Structure)の測定結果から推定される。
【0022】
PBNのXANESスペクトルにおいて、Tiの1sから3d軌道への遷移過程に帰属されるプリエッジピーク(4.965〜4.972keV付近の主ピーク)の強度は、Ti単独の触媒系よりも、Ti化合物にマグネシウム化合物を添加した触媒からのものの方が大きい。
これは、Ti元素近傍の配位・結合原子の点対称なオクタヘドラル構造が歪んでいる証拠であり、Tiへの配位数の減少が推定され、反応原料の分子がTi原子と相互作用できるような活性サイトが出来ていると推定されるのである。チタンの酸塩基性についてもXANESの結果より推定されている。
【0023】
さらにまた、本発明においては不要な副生物の生成を抑えることができる。不要な副生物及び副反応としては、末端ヒドロキシブチル基の種々の分解反応によるテトラヒドロフランなどの発生やそれに伴うPBNの末端COOH基の生成や末端ビニル基の生成、およびエステル基の分解反応によるカルボキシル基の生成や分子量の低下等がある。チタン触媒系へのマグネシウム化合物の添加によりマグネシウム化合物とチタン化合物との相互作用により、チタン触媒の特定サイトの酸性質が抑制され、不要な副反応及びそれに伴う副生物が抑制された良好な重合活性を有し、その結果として生成したポリマーは固相重合性、耐加水分解性、熱安定性、色調等が良好であり、しかも溶融成形後の製品においても耐加水分解性及び熱安定性に優れているのである。
本発明によるPBNの色調は、L値は85以上が好ましく、85未満であれば、色調が暗く好ましくない。b≦1.0が好ましく、更に好ましくはb≦0.0である。
【0024】
本発明方法で生成されるPBNでは、固有粘度IVは機械的強度の点から通常IV≧0.5であり、成形性も考慮すると0.6≦IV≦2.0が好ましく、より好ましくは0.7≦IV≦l.6である。本発明のPBNにおいては、末端COOH基数は平均して45eq/トン以下、好ましくは、40eq/トン以下、更に好ましくは、35eq/トン以下、最も好ましくは、30eq/トン以下である。末端COOH基数が少なくなると共に、耐加水分解性、熱安定性が向上するし、また固相重合性も向上する。
【0025】
生成PBNの末端ビニル基は、通常10eq/トン未満である。未端ビニル基が10eq/トン未満であれば、熱安定性にすぐれ、耐加水分解性、及ぴ固相重合性に優れる。好ましくは、末端ビニル基は8eq/トン以下、さらに好ましくは、末端ビニル基は6eq/トン以下、最も好ましくは4eq/トン以下である。末端ビニル基が10eq/トン以上であれば、熱安定性に劣り、耐加水分解性に劣り、固相重合性が低い。
【0026】
更に、本発明PBNは熱安定性に優れているために、溶融成形時にも熱による分子量の低下や末端COOH基の増大度合いが低く、その結果、製品の力学特性や耐加水分解性の低下を招く度合が少ない。
例えば、本発明PBNを270℃で1時間溶融処理した場合、溶融処理後のIVを処理前のIVに対する割合で表すIV保持率は70%以上である。また、処理後の末端COOH基の増大は70eq/トン以下であり、好ましくは60eq/トン以下、更に好ましくは50eq/トン以下である。IV保持率が70%未満であれば、製品の力学特性が低下し、末端COOH基の増加が70eq/トンを超えると耐加水分解性が低下していずれも好ましくない。
耐加水分解性に係わるプレッシャークッカーテスト後のIV保持率は、80%以上が好ましく、83%以上がより好ましく、84%以上が最も好ましい。80%未満であれば、耐加水分解性が悪く好ましくない。
【0027】
本発明方法によると重合速度が従来法に比べて大幅に向上するので、仕込量を増量したりして更に生産性を向上することができる。一方仕込量を下げることも可能となり、その結果、更にPBNの末端COOH基の濃度を下げることも可能になり、加えて色調もよくなる。また、この末端ビニル基の少ないPBNを更に固相重合する場合には、その固相重合速度が速く、良好な固相重合を行うことができる。
【0028】
その他、PBNの特性が損なわれない範囲において各種の添加剤、例えば熱安定剤、酸化防止剤、結晶核剤、難燃剤、帯電防止剤、離型剤、紫外線吸収剤等を添加してもよい。上記の重縮合で得たPBNを引き続き常法に従って固相重合することもできる。固相重合の条件は、通常、減圧下180〜240℃の温度で3〜25時間程度である。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」とあるものは、「重量部」を表す。
本発明のPBNにおける末端ビニル基、固有粘度lV、末端カルボキシル基、色調、耐加水分解性、溶融重合性、固相重合性及び熱安定性は以下の方法に基づき実施した。
【0030】
(1) 末端ビニル基は、PBNをへキサフルオロイソプロパノール/重水素化クロロホルム=3/7(vo1比)に溶解し、40OMHz H−NMRで測定した値であり、1×106g(トン)当たりのビニル基当量である。
(2) 固有粘度IVは、PBNをフェノール/テトラクロロエタン(1:1重量比)中、30℃で測定した溶液粘度から求めたものである。
【0031】
(3) 末端カルボキシル基[COOH]は、PBNをベンジルアルコールに溶解し0.1N NaOHにて滴定した値であり、1×106g当たりのカルボキシル基当量である。
(4) 耐加水分解性は、平山製作所製プレッシャークッカーテスト機を用いて120℃、加湿下(ゲージ圧:1.1kg/cm2)でペレットを96時間処理(PCT処理)し、処理前後のIVを測定し、IV保持率[(処理後のIV)/(処理前のIV)×100]にて評価を行った。
【0032】
(5)色調は円柱状ペレットサンプルを用いて日本電色工業(株)製測色色差計でL値、a値、b値を測定した。
(6) 溶融重合性は、溶融重合後のIVを溶融重合時間(Hr)で割った値IV/Hrで示した。
【0033】
(7) 固相重合性は、230℃、減圧下(1Torr以下)、4時間の固相重合後のIVを測定し、[(固相重合後のIV)−(溶融重合後のIV)]を固相重合時間(4時間)で割った固相重合速度として△IV/Hrで示した。
【0034】
(8) 熱安定性の評価は、枝付き試験管にPBNを入れ、N2下270℃で1時間処理(溶融熱安定性試験)後のIV及び末端COOH基を測定し、処理前PBNのIV及び末端COOH基と対比した。即ち、
IVの保持率[(処理後のIV)/(処理前のIV)×100]と末端COOH基数の差ΔCOOH[(処理前の末端COOH基数)−(処理後の末端COOH基)]により評価した。
【0035】
実施例1
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルl98.8部、1,4−ブタンジオール88.0部にテトラブチルチタネート0.0156部(10ppmTi/ポリマー)を加え、190℃から255℃まで2時間30分かけて昇温し、エステル交換反応を行った。エステル交換反応終了時に、酢酸マグネシウム・四水塩0.0968部(50ppmMg/ポリマー;モル比(Mg/Ti)=1.0)を1,4−ブタンジオールに溶解して添加し、引き続きテトラブチルチタネート0.1405部(90ppmTi/ポリマー)を添加し、重縮合反応を開始した。
【0036】
重縮合反応は常圧から1Torrまで85分かけて徐々に減圧し、同時に所定の重合温度255℃まで昇温し、以降所定重合温度、1Torrで継続し、所定の撹拌トルクに到達した時点で反応を終了しPBNを取り出した。その際の重合時間、得られたPBNの固有粘度,色調,溶融重合性、末端基(カルボキシル基、ビニル基)、耐加水分解性及び溶融熱安定性を測定し、その結果を表−1に示した。また、得られたPBNを230℃、1Torr以下で4時間固相重合を行い、得られたポリマーのIVを測定し、固相重合性の評価を行いその結果を表ー1に示した。
【0037】
実施例2
実施例1において酢酸マグネシウム・四水塩の添加を0.0678部(35ppmMg/ポリマー)に変更(Mg/Ti=0.7 モル比)した以外は実施例1と同様にして反応を行いPBNを得た。
実施例3
実施例1において酢酸マグネシウム・四水塩の添加を0.242部(125ppmMg/ポリマー)に変更(Mg/Ti=2.5 モル比)した以外は実施例1と同様にして反応を行いPBNを得た。
【0038】
実施例4
実施例1において酢酸マグネシウム・四水塩の代わりに水酸化マグネシウムを0.0264部(50ppmMg/ポリマー)(Mg/Ti=1.0 モル比)添加した以外は実施例1と同様にして反応を行いPBNを得た。
【0039】
比較例1
実施例1において酢酸マグネシウム・四水塩を添加しない以外は実施例lと同様の反応を行ないPBNポリマーを得た。
【0040】
比較例2
実施例1において酢酸マグネシウム・四水塩の添加を0.4840部(250ppmMg/ポリマー)に変更(Mg/Ti=5.0 モル比)した以外は実施例1と同様にして反応を行いPBNを得た。
【0041】
比較例3
実施例1において酢酸マグネシウム・四水塩の添加を0.0194部(10ppmMg/ポリマー)に変更(Mg/Ti=0.2 モル比)した以外は実施例1と同様にして反応を行いPBNを得た。
比較例4
実施例1において重合温度(内温)を260℃に上げて重合した以外は実施例1と同様にして反応を行いPBNを得た。
実施例2〜4及び比較例1〜4で得られたPBNポリマーにつき実施例1におけるのと同様にして各物性の測定を行い、それぞれの結果を表−1に示した。
【0042】
【表1】
Figure 0003696739
【0043】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、重合速度が大きい、即ち溶融重合性及び固相重合性のいずれも高いため、重合時間の短縮や増し仕込みが可能となり、生産性を著しく向上することができる。又、本発明方法で得られるPBNは末端COOH基や末端ビニル基が少ないために、熱安定性、耐加水分解性及び色調に優れるという特徴を有する。

Claims (3)

  1. 1,4−ブタンジオールを主成分とするグリコール成分と、2,6−ナフタレンジカルボン酸を主成分とする二官能性カルボン酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルを主成分とする二官能性カルボン酸の低級アルキルエステル成分とを反応させポリブチレンナフタレートを製造するに際し、重合触媒として、[A]チタン化合物及び[B]該チタン化合物のチタンに対しマグネシウムとして0.5〜3モル倍のマグネシウム化合物を存在させ、かつ温度260℃未満で溶融重合を行うことを特徴とするポリブチレンナフタレートの製造方法。
  2. 該チタン化合物がテトラアルキルチタネートであることを特徴とする請求項1記載のポリブチレンナフタレートの製造方法。
  3. 該マグネシウム化合物が酢酸マグネシウム、水酸化マグネシウム又はマグネシウムアルコキサイドの少なくとも一種であることを特徴とする請求項1又は2記載のポリブチレンナフタレートの製造方法。
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