JP4793439B2 - 内燃機関装置およびその制御方法、ハイブリッド車 - Google Patents

内燃機関装置およびその制御方法、ハイブリッド車 Download PDF

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Description

本発明は、内燃機関装置およびその制御方法、ハイブリッド車に関する。
従来、この種の内燃機関装置としては、排気通路から吸気通路にEGRを還流するものが取り付けられた直接噴射式のエンジンを備え、燃料噴射量とエンジンの回転数とに基づいて基本点火時期を設定し、吸気管圧力と吸入空気量とによって実EGR率を推定し、推定した実EGR率に基づいて点火進角補正を設定し、設定した点火進角補正によって基本点火時期を補正するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、実EGR率に基づく点火進角補正により基本点火時期を補正することにより、過渡時にEGR量が変化する場合にも失火や燃費・排気の悪化を防ぐことができる、としている。
特開平11−201010号公報
上述の内燃機関装置では、実EGR率に基づく点火進角補正により基本点火時期を補正することによって過渡時にEGR量が変化する場合にも失火や燃費・排気の悪化を防ぐことができる、としているが、実EGR率が変化するときには、実EGR率の推定精度が低下しやすいため、実EGR率をそのまま用いて点火時期を補正すると、点火時期が必要以上に早くなってエンジンのノッキングが発生することがある。また、上述の内燃機関装置と同一のハード構成で、実EGR率に代えてEGR率の目標値としての目標EGR率に基づいて点火時期を補正するものもあるが、この場合、目標EGR率が変化するときには、目標EGR率と実EGR率との間に乖離が生じるため、点火時期を適正に補正できずにエンジンのノッキングが発生することがある。
本発明の内燃機関装置およびその制御方法、ハイブリッド車は、排気を吸気に再循環する排気再循環装置による排気の吸気への再循環量と内燃機関の吸入空気量との和に対する再循環量の比率としての再循環率が変化する再循環率変化時に内燃機関のノッキングが発生するのを抑制することを主目的とする。
本発明の内燃機関装置およびその制御方法、ハイブリッド車は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の第1の内燃機関装置は、
点火時期の調整が可能で排気を吸気に再循環する排気再循環装置が取り付けられた内燃機関を備える内燃機関装置であって、
前記排気再循環装置による排気の吸気への再循環量と前記内燃機関の吸入空気量との和に対する該再循環量の比率としての再循環率が変化する再循環率変化時でないときには前記再循環率の目標値としての目標再循環率から得られる第1の補正量により前記内燃機関の点火時期の基本値として定められた基本点火時期を補正して目標点火時期を設定し、前記再循環率変化時には前記再循環率が前記目標再循環率に向けて変化した変化割合によって前記第1の補正量を補正して得られる仮の補正量に比して点火時期が遅くなる第2の補正量により前記基本点火時期を補正して前記目標点火時期を設定し、該設定した目標点火時期での点火を伴って前記内燃機関が運転されるよう該内燃機関を制御する制御手段、
を備えることを特徴とする。
この本発明の第1の内燃機関装置では、排気を吸気に再循環する排気再循環装置による排気の吸気への再循環量と内燃機関の吸入空気量との和に対する再循環量の比率としての再循環率が変化する再循環率変化時でないときには、再循環率の目標値としての目標再循環率から得られる第1の補正量により内燃機関の点火時期の基本値として定められた基本点火時期を補正して目標点火時期を設定し、設定した目標点火時期での点火を伴って内燃機関が運転されるよう内燃機関を制御する。一方、再循環率変化時には、再循環率が目標再循環率に向けて変化した変化割合によって第1の補正量を補正して得られる仮の補正量に比して点火時期が遅くなる第2の補正量により基本点火時期を補正して目標点火時期を設定し、設定した目標点火時期での点火を伴って内燃機関が運転されるよう内燃機関を制御する。これにより、再循環率変化時に内燃機関のノッキングが発生するのを抑制することができる。なお、目標再循環率が値0のときには、第1の補正量は値0であるものとすることもできる。
こうした本発明の第1の内燃機関装置において、前記制御手段は、前記再循環率の増加に伴って点火時期を早くするときには、前記仮の補正量に比して遅れて点火時期が早くなる前記第2の補正量により前記基本点火時期を補正して前記目標点火時期を設定する手段である、ものとすることもできるし、前記再循環率の減少に伴って点火時期を遅くするときには、前記仮の補正量に比して迅速に点火時期が遅くなる前記第2の補正量により前記基本点火時期を補正して前記目標点火時期を設定する手段である、ものとすることもできる。
また、本発明の第1の内燃機関装置において、前記制御手段は、前記再循環率変化時には、前記目標再循環率の変化量に対する前記再循環率の変化量の比率を前記変化割合として、前記目標再循環率の変化前後の前記第1の補正量の差に前記変化割合を乗じたものと前記目標再循環率の変化前の前記第1の補正量との和により前記仮の補正量を設定する手段である、ものとすることもできる。
本発明の第2の内燃機関装置は、
点火時期の調整が可能で排気を吸気に再循環する排気再循環装置が取り付けられた内燃機関を備える内燃機関装置であって、
前記排気再循環装置による排気の吸気への再循環量と前記内燃機関の吸入空気量との和に対する該再循環量の比率としての再循環率が変化する再循環率変化時でないときには前記再循環率から得られる第3の補正量により前記内燃機関の点火時期の基本値として定められた基本点火時期を補正して目標点火時期を設定し、前記再循環率変化時には前記第3の補正量に比して点火時期が遅くなる第4の補正量により前記基本点火時期を補正して前記目標点火時期を設定し、該設定した目標点火時期での点火を伴って前記内燃機関が運転されるよう該内燃機関を制御する制御手段、
を備えることを特徴とする。
この本発明の第2の内燃機関装置では、排気を吸気に再循環する排気再循環装置による排気の吸気への再循環量と内燃機関の吸入空気量との和に対する再循環量の比率としての再循環率が変化する再循環率変化時でないときには、再循環率から得られる第3の補正量により内燃機関の点火時期の基本値として定められた基本点火時期を補正して目標点火時期を設定し、設定した目標点火時期での点火を伴って内燃機関が運転されるよう内燃機関を制御する。一方、再循環率変化時には、第3の補正量に比して点火時期が遅くなる第4の補正量により基本点火時期を補正して目標点火時期を設定し、設定した目標点火時期での点火を伴って内燃機関が運転されるよう内燃機関を制御する。これにより、再循環率変化時に内燃機関のノッキングが発生するのを抑制することができる。
こうした本発明の第2の内燃機関装置において、前記制御手段は、前記再循環率の増加に伴って点火時期を早くするときには、前記第3の補正量に比して遅れて点火時期が早くなる前記第4の補正量により前記基本点火時期を補正して前記目標点火時期を設定する手段である、ものとすることもできるし、前記再循環率の減少に伴って点火時期を遅くするときには、前記第3の補正量に比して迅速に点火時期が遅くなる前記第4の補正量により前記基本点火時期を補正して前記目標点火時期を設定する手段である、ものとすることもできる。
本発明の第1または第2の内燃機関装置において、前記制御手段は、前記吸入空気量が変化する空気量変化時には、前記内燃機関の回転数と前記吸入空気量とから得られる前記基本点火時期に比して点火時期が遅くなるよう前記基本点火時期を再設定する手段である、ものとすることもできる。こうすれば、空気量変化時に内燃機関のノッキングが発生するのを抑制することができる。この態様の本発明の内燃機関装置において、前記制御手段は、前記吸入空気量の減少に伴って点火時期を早くするときには、前記内燃機関の回転数と前記吸入空気量とから得られる前記基本点火時期に比して遅れて点火時期が早くなるよう前記基本点火時期を再設定する手段である、ものとすることもできるし、前記吸入空気量の増加に伴って点火時期を遅くするときには、前記内燃機関の回転数と前記吸入空気量とから得られる前記基本点火時期に比して迅速に点火時期が遅くなるよう前記基本点火時期を再設定する手段である、ものとすることもできる。
本発明のハイブリッド車は、上述のいずれかの態様の本発明の第1または第2の内燃機関装置、即ち、基本的には、点火時期の調整が可能で排気を吸気に再循環する排気再循環装置が取り付けられた内燃機関を備える内燃機関装置であって、前記排気再循環装置による排気の吸気への再循環量と前記内燃機関の吸入空気量との和に対する該再循環量の比率としての再循環率が変化する再循環率変化時でないときには前記再循環率の目標値としての目標再循環率から得られる第1の補正量により前記内燃機関の点火時期の基本値として定められた基本点火時期を補正して目標点火時期を設定し、前記再循環率変化時には前記再循環率が前記目標再循環率に向けて変化した変化割合によって前記第1の補正量を補正して得られる仮の補正量に比して点火時期が遅くなる第2の補正量により前記基本点火時期を補正して前記目標点火時期を設定し、該設定した目標点火時期での点火を伴って前記内燃機関が運転されるよう該内燃機関を制御する制御手段、を備える内燃機関装置や、点火時期の調整が可能で排気を吸気に再循環する排気再循環装置が取り付けられた内燃機関を備える内燃機関装置であって、前記排気再循環装置による排気の吸気への再循環量と前記内燃機関の吸入空気量との和に対する該再循環量の比率としての再循環率が変化する再循環率変化時でないときには前記再循環率から得られる第3の補正量により前記内燃機関の点火時期の基本値として定められた基本点火時期を補正して目標点火時期を設定し、前記再循環率変化時には前記第3の補正量に比して点火時期が遅くなる第4の補正量により前記基本点火時期を補正して前記目標点火時期を設定し、該設定した目標点火時期での点火を伴って前記内燃機関が運転されるよう該内燃機関を制御する制御手段、を備える内燃機関装置と、動力を入出力可能な発電機と、駆動輪に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、を備えることを要旨とする。
この本発明のハイブリッド車では、上述のいずれかの態様の本発明の第1または第2の内燃機関装置を搭載するから、本発明の第1または第2の内燃機関装置が奏する効果、例えば、再循環率変化時に内燃機関のノッキングが発生するのを抑制することができる効果などを奏することができる。
本発明の第1の内燃機関装置の制御方法は、
点火時期の調整が可能で排気を吸気に再循環する排気再循環装置が取り付けられた内燃機関を備える内燃機関装置の制御方法であって、
前記排気再循環装置による排気の吸気への再循環量と前記内燃機関の吸入空気量との和に対する該再循環量の比率としての再循環率が変化する再循環率変化時でないときには前記再循環率の目標値としての目標再循環率から得られる第1の補正量により前記内燃機関の点火時期の基本値として定められた基本点火時期を補正して目標点火時期を設定し、前記再循環率変化時には前記再循環率が前記目標再循環率に向けて変化した変化割合によって前記第1の補正量を補正して得られる仮の補正量に比して点火時期が遅くなる第2の補正量により前記基本点火時期を補正して前記目標点火時期を設定し、該設定した目標点火時期での点火を伴って前記内燃機関が運転されるよう該内燃機関を制御する、
ことを特徴とする。
この本発明の第1の内燃機関装置の制御方法では、排気を吸気に再循環する排気再循環装置による排気の吸気への再循環量と内燃機関の吸入空気量との和に対する再循環量の比率としての再循環率が変化する再循環率変化時でないときには、再循環率の目標値としての目標再循環率から得られる第1の補正量により内燃機関の点火時期の基本値として定められた基本点火時期を補正して目標点火時期を設定し、設定した目標点火時期での点火を伴って内燃機関が運転されるよう内燃機関を制御する。一方、再循環率変化時には、再循環率が目標再循環率に向けて変化した変化割合によって第1の補正量を補正して得られる仮の補正量に比して点火時期が遅くなる第2の補正量により基本点火時期を補正して目標点火時期を設定し、設定した目標点火時期での点火を伴って内燃機関が運転されるよう内燃機関を制御する。これにより、再循環率変化時に内燃機関のノッキングが発生するのを抑制することができる。なお、目標再循環率が値0のときには、第1の補正量は値0であるものとすることもできる。
本発明の第2の内燃機関装置の制御方法は、
点火時期の調整が可能で排気を吸気に再循環する排気再循環装置が取り付けられた内燃機関を備える内燃機関装置の制御方法であって、
前記排気再循環装置による排気の吸気への再循環量と前記内燃機関の吸入空気量との和に対する該再循環量の比率としての再循環率が変化する再循環率変化時でないときには前記再循環率から得られる第3の補正量により前記内燃機関の点火時期の基本値として定められた基本点火時期を補正して目標点火時期を設定し、前記再循環率変化時には前記第3の補正量に比して点火時期が遅くなる第4の補正量により前記基本点火時期を補正して前記目標点火時期を設定し、該設定した目標点火時期での点火を伴って前記内燃機関が運転されるよう該内燃機関を制御する、
ことを特徴とする。
この本発明の第2の内燃機関装置の制御方法では、排気を吸気に再循環する排気再循環装置による排気の吸気への再循環量と内燃機関の吸入空気量との和に対する再循環量の比率としての再循環率が変化する再循環率変化時でないときには、再循環率から得られる第3の補正量により内燃機関の点火時期の基本値として定められた基本点火時期を補正して目標点火時期を設定し、設定した目標点火時期での点火を伴って内燃機関が運転されるよう内燃機関を制御する。一方、再循環率変化時には、第3の補正量に比して点火時期が遅くなる第4の補正量により基本点火時期を補正して目標点火時期を設定し、設定した目標点火時期での点火を伴って内燃機関が運転されるよう内燃機関を制御する。これにより、再循環率変化時に内燃機関のノッキングが発生するのを抑制することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としての内燃機関装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。ここで、実施例の内燃機関装置としては、主として、エンジン22とこのエンジン22をコントロールするエンジン用電子制御ユニット24とが該当する。
エンジン22は、例えばガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力可能な内燃機関として構成されており、図2に示すように、エアクリーナ122により清浄された空気をスロットルバルブ124を介して吸入すると共に燃料噴射弁126からガソリンを噴射して吸入された空気とガソリンとを混合し、この混合気を吸気バルブ128を介して燃焼室に吸入し、点火プラグ130による電気火花によって爆発燃焼させて、そのエネルギにより押し下げられるピストン132の往復運動をクランクシャフト26の回転運動に変換する。エンジン22からの排気は、一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC),窒素酸化物(NOx)の有害成分を浄化する浄化触媒(三元触媒)を有する浄化装置134を介して外気へ排出されると共にEGR(Exhaust Gas Recirculation)システム160を介して吸気側に供給される。EGRシステム160は、浄化装置134の後段に接続されて排気を吸気側のサージタンクに供給するためのEGR管162と、EGR管162に配置されステッピングモータ163により駆動されるEGRバルブ164とを備え、EGRバルブ164の開度の調節により、不燃焼ガスとしての排気を供給量を調節して吸気側に供給する。エンジン22は、こうして空気と排気とガソリンとの混合気を燃焼室に吸引することができるようになっている。以下、エンジン22の排気を吸気側に供給することをEGRといい、吸気側に供給される排気の量をEGR量Veという。
エンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により制御されている。エンジンECU24は、CPU24aを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU24aの他に処理プログラムを記憶するROM24bと、データを一時的に記憶するRAM24cと、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。エンジンECU24には、エンジン22の状態を検出する種々のセンサからの信号、例えば、クランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ140からのクランクポジションやエンジン22の冷却水の温度を検出する水温センサ142からの冷却水温,燃焼室へ吸排気を行なう吸気バルブ128や排気バルブを開閉するカムシャフトの回転位置を検出するカムポジションセンサ144からのカムポジション,スロットルバルブ124のポジションを検出するスロットルバルブポジションセンサ146からのスロットル開度Ta,吸気管に取り付けられたエアフローメータ148からの吸入空気量Qa,同じく吸気管に取り付けられた温度センサ149からの吸気温,吸気管内の圧力を検出する吸気圧センサ158からの吸気圧Pin,浄化装置134に取り付けられた触媒温度センサ134aからの触媒温度Tc,空燃比センサ135aからの空燃比,酸素センサ135bからの酸素信号,シリンダブロックに取り付けられてノッキングの発生に伴って生じる振動を検出するノックセンサ159からのノック信号Ks,EGRバルブ164の開度を検出するEGRバルブ開度センサ165からのEGRバルブ開度EVなどが入力ポートを介して入力されている。また、エンジンECU24からは、エンジン22を駆動するための種々の制御信号、例えば、燃料噴射弁126への駆動信号や、スロットルバルブ124のポジションを調節するスロットルモータ136への駆動信号、イグナイタと一体化されたイグニッションコイル138への制御信号、吸気バルブ128の開閉タイミングを変更可能な可変バルブタイミング機構150への制御信号,EGRバルブ164の開度を調整するステッピングモータ163への駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータを出力する。なお、エンジンECU24は、クランクポジションセンサ140からのクランクポジションに基づいてクランクシャフト26の回転数即ちエンジン22の回転数Neを演算したり、エアフローメータ148からの吸入空気量Qaとエンジン22の回転数Neとに基づいて体積効率(エンジン22の1サイクルあたりの行程容積に対する1サイクルで実際に吸入される空気の容積の比)KLを演算したり、エアフローメータ148からの吸入空気量QaとEGRバルブ開度センサ165からのEGRバルブ開度EVとエンジン22の回転数Neとに基づいてEGR量Veとエンジン22の吸入空気量Qaとの和に対するEGR量Veの比率としてのEGR率Reを演算したり、ノックセンサ159からのノック信号Ksの大きさや波形に基づいてノッキングの発生レベルを示すノック強度Krを演算したりしている。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2も演算している。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)を演算したり、演算した残容量(SOC)と電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算している。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の残容量(SOC)に基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。なお、トルク変換運転モードと充放電運転モードは、いずれもエンジン22の運転を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようエンジン22とモータMG1,MG2とを制御するモードであり、実質的な制御における差異はないため、以下、両者を合わせてエンジン運転モードという。
エンジン運転モードでは、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accと車速センサ88からの車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定し、設定した要求トルクTr*にリングギヤ軸32aの回転数Nr(例えば、モータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比で除して得られる回転数や車速Vに換算係数を乗じて得られる回転数)を乗じて走行に要求される走行用パワーPr*を計算すると共に計算した走行用パワーPr*からバッテリ50の残容量(SOC)に基づいて得られるバッテリ50の充放電要求パワーPb*(バッテリ50から放電するときが正の値)を減じてエンジン22から出力すべきパワーとしての要求パワーPe*を設定し、要求パワーPe*を効率よくエンジン22から出力することができるエンジン22の回転数NeとトルクTeとの関係としての動作ライン(例えば燃費最適動作ライン)を用いてエンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを設定し、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で、エンジン22の回転数Neが目標回転数Ne*となるようにするための回転数フィードバック制御によりモータMG1から出力すべきトルクとしてのトルク指令Tm1*を設定すると共にモータMG1をトルク指令Tm1*で駆動したときに動力分配統合機構30を介してリングギヤ軸32aに作用するトルクを要求トルクTr*から減じてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とについてエンジンECU24に送信し、トルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40に送信する。そして、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とを受信したエンジンECU24は、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とに基づいてEGR率Reの目標値としての目標EGR率Re*を設定し、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とによってエンジン22が運転されるようエンジン22の吸入空気量制御や燃料噴射制御,点火制御などを行なうと共にEGR率Reが目標EGR率Re*となるようEGRシステム160のEGRバルブ164の開度を調整する。また、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
モータ運転モードでは、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定する共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で要求トルクTr*が駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG2のトルク指令Tm2*を設定してモータECU40に送信する。そして、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特にエンジン運転モードで走行する際のエンジン22の点火制御について説明する。図3は、エンジンECU24により実行される点火制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。
図3の点火制御ルーチンが実行されると、エンジンECU24のCPU24aは、まず、エアフローメータ148からの吸入空気量Qaや、エンジン22の回転数Ne,EGR率Re,目標EGR率Re*など制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、エンジン22の回転数Neはクランクポジションセンサ140からの信号に基づいて演算されてRAM24cの所定アドレスに書き込まれたものを読み込むことにより入力するものとした。また、EGR率Reは、エアフローメータ148からの吸入空気量QaとEGRバルブ開度センサ165からのEGRバルブ開度EVとエンジン22の回転数Neとに基づいて演算されてRAM24cの所定アドレスに書き込まれたものを読み込むことにより入力するものとした。さらに、目標EGR率Re*は、目標回転数Ne*と目標トルクTe*とに基づいて設定されてRAM24cの所定アドレスに書き込まれたものを読み込むことにより入力するものとした。なお、エンジンECU24は、点火制御ルーチンと並行して、吸入空気量制御や燃料噴射制御などを行なうと共にEGR率Reが目標EGR率Re*となるようステッピングモータ163を駆動制御してEGRバルブ開度EVを調整する。なお、目標EGR率Re*が値0のときには、EGRバルブ164は閉じられる。以下の説明では、説明の都合上、点火時期に関する値(基本点火時期tfbや基本補正量Δtfb,補正量Δtf,目標点火時期tf*など)については、点火時期が早いほど大きな値となるものとした。
こうしてデータを入力すると、入力したエンジン22の回転数Neと吸入空気量Qaとに基づいて目標点火時期tf*の基本値としての基本点火時期tfbを設定する(ステップS110)。ここで、基本点火時期tfbは、実施例では、エンジン22の回転数Neと吸入空気量Qaと基本点火時期tfbとの関係を予め定めて基本点火時期設定用マップとしてROM24bに記憶しておき、エンジン22の回転数Neと吸入空気量Qaとが与えられると記憶したマップから対応する基本点火時期tfbを導出して設定するものとした。基本点火時期設定用マップの一例を図4に示す。基本点火時期tfbは、図示するように、エンジン22の回転数Neが大きいほど早くなる傾向に且つ吸入空気量Qaが大きいほど遅くなる傾向に設定される。これは、エンジン22の回転数Neが大きいほど点火プラグ30から電気火花を飛ばした後に実際に爆発燃焼が生じるまでのタイムラグの影響が大きくなり、吸入空気量Qaが大きいほどエンジン22のノッキングが生じやすくなるためである。
続いて、目標EGR率Re*からEGR率Reを減じてEGR率差ΔReを計算すると共に(ステップS120)、計算したEGR率差ΔReの絶対値を閾値Rrefと比較する(ステップS130)。ここで、閾値Rrefは、EGR率Reが変化するEGR率変化時であるか否かを判定するために用いられるものであり、EGR率Reの演算精度などを考慮して定められる。
EGR率差ΔReの絶対値が閾値Rref以下のときには、EGR率変化時ではないと判断し、目標EGR率Re*に基づいてエンジン22の点火時期を早くしたり遅くしたりするための補正量Δtfを設定し(ステップS140)、設定した補正量Δtfを基本点火時期tfbに加えて目標点火時期tf*を設定し(ステップS230)、設定した目標点火時期tf*で対象気筒の点火が行なわれるようイグニッションコイル138を駆動制御して(ステップS240)、このルーチンを終了する。ここで、補正量Δtfは、実施例では、EGR率Reと補正量Δtfとの関係を予め実験などにより定めて補正量設定用マップとしてROM24bに記憶しておき、EGR率Reが与えられると記憶したマップから対応する補正量Δtfを導出して設定するものとした。補正量設定用マップの一例を図5に示す。補正量Δtfは、図示するように、目標EGR率Re*が大きいほど点火時期を早くする方向に大きな値となる傾向に設定される。これは、目標EGR率Re*(EGR率Re)が大きいほどエンジン22のノッキングが生じにくくなるためである。
ステップS130でEGR率差ΔReの絶対値が閾値Rrefより大きいときには、前回このルーチンが実行されたときのEGR率差(前回ΔRe)の絶対値を閾値Rrefと比較する(ステップS150)。この処理は、EGR率Reが目標EGR率Re*近傍で略一定の状態から目標EGR率Re*の変化に伴ってEGR率Reが変化し始めるときであるか否かを判定する処理である。前回のEGR率差(前回ΔRe)の絶対値が閾値Rref以下のときには、EGR率Reが変化し始めるときであると判断し、EGR率Reが変化し始める直前のEGR率Reとしての変化直前EGR率Resetに前回のEGR率(前回Re)を設定すると共にEGR率Reが変化し始める直前の補正量としての変化直前補正量Δtfsetに前回の補正量(前回Δtf)を設定する(ステップS160)。なお、いま、EGR率Reが目標EGR率Re*近傍で略一定の状態からEGR率Reが変化し始めるときを考えているから、変化直前EGR率Resetは、EGR率Reが変化し始める直前の目標EGR率Re*にも相当する。そして、次回以降にこのルーチンが実行されたときには、前回のEGR率差(前回ΔRe)は閾値Rrefより大きいから、変化直前EGR率Resetや変化直前補正量Δtfsetの設定は行なわない。
次に、目標EGR率Re*に基づいて補正量Δtfの基本値としての基本補正量Δtfbを設定すると共に(ステップS170)、EGR率Reと目標EGR率Re*と変化直前EGR率Resetとに基づいて、次式(1)により、変化直前EGR率Resetから目標EGR率Re*に向けてEGR率Reがどの程度変化したかを示す変化割合αを計算する(ステップS180)。ここで、基本補正量Δtfbは、図5の縦軸の「補正量Δtf」を「基本補正量Δtfb」に置き換えたものを用いて設定するものとした。また、変化割合αは、EGR率Reが変化直前EGR率Resetに等しいときに値0となり、EGR率Reの変化に伴って値0から値1に向けて近づき、EGR率Reが目標EGR率Re*に等しくなったときに値1となる。
α=(Re-Reset)/(Re*-Reset) (1)
続いて、EGR率差ΔReの値を調べ(ステップS190)、EGR率差ΔReが値0より大きいときには、EGR率Reが増加するEGR率増加時であると判断して変化割合αに基づいて補正係数kを設定し(ステップS200)、EGR率Reが値0より小さいときには、EGR率Reが減少するEGR率減少時であると判断して変化割合αに基づいて補正係数kを設定する(ステップS210)。そして、変化直前補正量Δtfsetと基本補正量Δtfbと変化割合αと補正係数kとに基づいて次式(2)により補正量Δtfを計算し(ステップS220)、計算した補正量Δtfを基本点火時期tfbに加えて目標点火時期tf*を設定し(ステップS230)、設定した目標点火時期tf*で対象気筒の点火が行なわれるようイグニッションコイル138を駆動制御して(ステップS240)、このルーチンを終了する。ここで、EGR率増加時やEGR率減少時の補正係数kは、実施例では、変化割合αと補正係数kとの関係を予め定めてEGR率増加時補正係数設定用マップやEGR率減少時補正係数設定用マップとして記憶しておき、変化割合αが与えられるとそれぞれのマップから対応する補正係数kを導出して設定するものとした。EGR率増加時補正係数設定用マップの一例を図6に示し、EGR率減少時補正係数設定用マップの一例を図7に示す。EGR率増加時の補正係数kは、図6に示すように、変化割合αが値0から値1に変化するのに伴って、値0から値1の範囲で、値1から小さくなってその後に値1に向けて大きくなるものとした。また、EGR率減少時の補正係数kは、図7に示すように、変化割合αが値0から値1に変化するのに伴って、値1以上の範囲で、値1から大きくなってその後に値1に向けて小さくなるものとした。これらのように補正係数kを設定することにより、EGR率増加時とEGR率減少時とのいずれでも、補正量Δtfは、補正係数kを用いずに(補正係数kを値1として)計算する場合(以下、この場合の補正量Δtfを比較例の補正量Δtfexという、次式(3)参照)に比して小さい値となる。したがって、実施例の補正量Δtfを用いて設定される目標点火時期tf*は、比較例の補正量Δtfexを用いて設定される目標点火時期tf*に比して遅い時期となる。即ち、実施例の補正量Δtfを用いて目標点火時期tf*を設定する場合、EGR率Reの増加に伴って点火時期を早くするときには比較例の補正量Δtfexを用いて目標点火時期tf*を設定する場合に比して遅れて点火時期が早くなり、EGR率Reの減少に伴って点火時期を遅くするときには比較例の補正量Δtfexを用いて目標点火時期tf*を設定する場合に比して迅速に点火時期が遅くなる。EGR率増加時やEGR率減少時には、EGRバルブ開度EVが変化することによってEGR率Reを適正に推定することが困難となる(変化割合αの適正な推定が困難となる)場合が生じるが、このように目標点火時期tf*を設定して点火制御を行なうことにより、エンジン22にノッキングが発生するのを抑制することができる。
Δtf=Δtfset+(Δtfb-Δtfset)・α・k (2)
Δtfex=Δtfset+(Δtfb-Δtfset)・α (3)
図8は、目標EGR率Re*の増加に伴ってエンジン22の点火時期を早くする際の目標EGR率Re*と目標点火時期tf*との時間変化の様子を模式的に示す模式図である。図中、実線は前述の式(2)により得られる補正量Δtfを用いて目標点火時期tf*を設定する実施例の時間変化の様子を示し、一点鎖線は前述の式(3)により得られる補正量Δtfexを用いて目標点火時期tf*を設定する比較例の時間変化の様子を示す。目標EGR率Re*が増加したときには、実施例の目標点火時期Tf*は、図示するように、比較例の目標点火時期tf*に比して遅れて早くなる。したがって、比較例に比してエンジン22にノッキングが発生するのを抑制することができる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、エンジン22の回転数Neと吸入空気量Qaとに基づいて基本点火時期tfbを設定し、EGR率Reが増加するときや減少するときには、目標EGR率Re*から得られる基本補正量Δtfbを変化割合αによって補正した補正量(比較例の補正量Δtfex)に比して点火時期を遅くする補正量Δtfにより基本点火時期tfbを補正して目標点火時期tf*を設定すると共に設定した目標点火時期tf*での点火を伴ってエンジン22を運転するから、EGR率Reが増加するときや減少するときにエンジン22のノッキングが発生するのを抑制することができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の回転数Neと吸入空気量Qaとを用いて基本点火時期tfbを設定するものとしたが、吸入空気量Qaに代えて、体積効率KLを用いて基本点火時期tfbを設定するものとしてもよい。この場合、基本点火時期tfbは、エンジン22の回転数Neが大きいほど早くなる傾向に且つ体積効率KLが大きいほど遅くなる傾向に設定すればよい。これは、エンジン22の回転数Neが大きいほど点火プラグ30から電気火花を飛ばした後に実際に爆発燃焼が生じるまでのタイムラグの影響が大きくなり、体積効率KLが大きいほどエンジン22のノッキングが生じやすくなるためである。
実施例のハイブリッド自動車20では、EGR率Reが増加するときには変化割合αに基づいて図6のEGR率増加時補正係数設定用マップを用いて補正係数kを設定し、EGR率Reが減少するときには変化割合αに基づいて図7のEGR率減少時補正係数設定用マップを用いて補正係数kを設定するものとしたが、補正量Δtfが比較例の補正量Δtfexに比して小さくなるよう補正係数kを設定するものであればよく、例えば、EGR率Reが増加するときに、変化割合αが値0から値1に変化するのに伴って補正係数kが値0から値1に変化する傾向の図9に例示する補正係数設定用マップを用いて補正係数kを設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、EGR率Reが変化するときには、変化直前補正量Δtfsetと基本補正量Δtfbと変化割合αと補正係数kとに基づいて上述の式(2)により補正量Δtfを計算するものとしたが、上述の式(3)により計算する比較例の補正量Δtfexに比して点火時期が遅くなるよう補正量Δtfを設定するものであればよく、例えば、比較例の補正量Δtfexから所定値を減じて補正量Δtfを設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、EGR率Reが変化しないときには目標EGR率Re*に基づいて補正量Δtfを設定し、EGR率Reが変化するときには目標EGR率Re*に基づいて基本補正量Δtfbを設定するものとしたが、EGR率Reが変化しないときにはEGR率Reに基づいて補正量Δtfを設定し、EGR率Reが変化するときにはEGR率Reに基づいて基本補正量Δtfbを設定するものとしてもよい。この場合、図10の変形例の点火制御ルーチンに例示するように、EGR率差ΔReの絶対値が閾値Rref以下のときには(ステップS130)、EGR率Reに基づいて図5の補正量設定用マップの横軸の「目標EGR率Re*」を「EGR率Re」に置き換えたものを用いて補正量Δtfを設定すると共に(ステップS140b)、設定した補正量Δtfにより基本点火時期tftmpを補正して設定される目標点火時期tf*を用いて点火制御を行ない(ステップS230,S240)、EGR率差ΔReの絶対値が閾値Rrefより大きいときには、EGR率Reに基づいて図5の補正量設定用マップの横軸の「目標EGR率Re*」を「EGR率Re」に、縦軸の「補正量Δtf」を「基本補正量Δtfb」に置き換えたものを用いて基本補正量Δtfbを設定し(ステップS170b)、EGR率差ΔReと変化割合αとに基づいて補正係数kを設定し(ステップS180〜S210)、変化直前補正量Δtfsetと基本補正量Δtfbと補正係数kとに基づいて次式(4)により補正量Δtfを計算し(ステップS220b)、計算した補正量Δtfにより基本点火時期tftmpを補正して設定される目標点火時期tf*を用いて点火制御を行なう(ステップS230,S240)ものとすればよい。この場合でも、実施例と同様の効果を奏することができる。
Δtf=Δtfset+(Δtfb-Δtfset)・k (4)
実施例のハイブリッド自動車20では、EGR率Reの増減を考慮した点火制御について説明したが、EGR率Reに加えて吸入空気量Qaの増減も考慮して点火制御を行なうものとしてもよい。この場合の点火制御ルーチンの一例の一部を図11に示す。このルーチンは、ステップS100の処理に代えてステップS100bの処理を実行する点と、ステップS110の処理とステップS120の処理との間にステップS300〜S360の処理を追加した点と、を除いて図3の点火制御ルーチンと同一である。したがって、同一の処理については同一のステップ番号を付し、その詳細な説明を省略する。図11の点火制御ルーチンでは、図3の点火制御ルーチンのステップS100の処理と同様に吸入空気量Qaやエンジン22の回転数Ne,EGR率Re,目標EGR率Re*を入力すると共に目標吸入空気量Qa*を入力し(ステップS100b)、入力したエンジン22の回転数Neと吸入空気量Qaとに基づいて図4の基本点火時期設定用マップを用いて基本点火時期tfbを設定する(ステップS110)。ここで、目標吸入空気量Qa*は、エンジン22の目標回転数Ne*と目標トルクTe*とに基づいて設定されたものを読み込むことにより入力するものとした。なお、エンジンECU24は、点火制御ルーチンと並行して、吸入空気量制御ルーチンにより、吸入空気量Qaが目標吸入空気量Qa*となるようスロットルモータ136を駆動制御してスロットル開度Taを調整することにより吸入空気量制御を行なう。
続いて、目標吸入空気量Qa*から吸入空気量Qaを減じて空気量差ΔQaを計算すると共に(ステップS300)、計算した空気量差ΔQaの絶対値を閾値Qrefと比較する(ステップS310)。ここで、閾値Qrefは、吸入空気量Qaが変化する空気量変化時であるか否かを判定するために用いられるものであり、エアフローメータ148による吸入空気量Qaの検出精度などを考慮して定められる。
空気量差ΔQaの絶対値が閾値Qref以下のときには、空気量変化時ではないと判断し、図3の点火制御ルーチンと同様にステップS120以降の処理を実行する。一方、空気量差ΔQaの絶対値が閾値Qrefより大きいときには、前回このルーチンが実行されたときの空気量差ΔQa(前回ΔQa)の絶対値を閾値Qrefと比較する(ステップS320)。この処理は、吸入空気量Qaが目標吸入空気量Qa*近傍で略一定の状態から目標吸入空気量Qa*の変化に伴って吸入空気量Qaが変化し始めるときであるか否かを判定する処理である。前回の吸入空気量(前回Qa)の絶対値が閾値Qref以下のときには、吸入空気量Qaが変化し始めるときであると判断し、吸入空気量Qaが変化し始める直前の吸入空気量Qaとしての変化直前空気量Qasetに前回の吸入空気量(前回Qa)を設定する(ステップS330)。なお、いま、吸入空気量Qaが目標吸入空気量Qa*近傍で略一定の状態から吸入空気量Qaが変化し始めるときを考えているから、変化直前吸入空気量Qasetは、吸入空気量Qaが変化し始める直前の目標吸入空気量Qa*にも相当する。そして、次回以降にこのルーチンが実行されたときには、前回の空気量差(前回ΔQa)は閾値Qrefより大きいから、変化直前空気量Qasetの設定は行なわない。
次に、吸入空気量Qaと目標吸入空気量Qa*と変化直前空気量Qasetとに基づいて、次式(5)により、変化直前空気量Qasetから目標吸入空気量Qa*に向けて吸入空気量Qaがどの程度変化したかを示す変化割合βを計算する(ステップS340)。ここで、変化割合βは、吸入空気量Qaが変化直前空気量Qasetに等しいときに値0となり、吸入空気量Qaの変化に伴って値0から値1に向けて近づき、吸入空気量Qaが目標吸入空気量Qa*に等しくなったときに値1となる。
β=(Qa-Qaset)/(Qa*-Qaset) (5)
続いて、変化割合βに基づいてエンジン22の点火時期を遅くするための補正量Δtf2を設定し(ステップS350)、設定した補正量Δtf2をステップS110で設定した基本点火時期tfbから減じたものを基本点火時期tfbに再設定し(ステップS360)、ステップS120以降の処理を実行する。ここで、補正量Δtf2は、実施例では、変化割合βと補正量Δtf2との関係を予め定めて補正量設定用マップとして記憶しておき、変化割合βが与えられると記憶したマップから対応する補正量Δtf2を導出して設定するものとした。補正量設定用マップの一例を図12に示す。補正量Δtf2は、図示するように、変化割合βが値0から値1に向けて変化するのに伴って、値0から大きくなってその後に値0に向けて小さくなるものとした。このように補正量Δtf2を設定することにより、吸入空気量Qaが変化する空気量変化時には、ステップS110で設定した基本点火時期tfbに比して遅い点火時期を基本点火時期tfbとして再設定することになるから、基本点火時期tfbを再設定しないものに比して遅い点火時期を目標点火時期tf*として設定することになる。即ち、再設定した基本点火時期tfbを用いて目標点火時期tf*を設定する場合、吸入空気量Qaの増加に伴って点火時期を遅くするときには(図4参照)基本点火時期tfbの再設定を行なわない場合に比して迅速に点火時期が遅くなり、吸入空気量Qaの減少に伴って点火時期を早くするときには基本点火時期tfbの再設定を行なわない場合に比して遅れて点火時期が早くなる。空気量変化時には、スロットル開度Taが変化することによって吸入空気量Qaの検出精度が低下しやすく基本点火時期tfbを適正に設定することが困難となりやすいが、このように再設定した基本点火時期tfbを用いて目標点火時期tf*を設定して点火制御を行なうことにより、エンジン22のノッキングの発生を抑制することができる。
この変形例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の回転数Neと吸入空気量Qaとに基づいて基本点火時期tfbを設定し、吸入空気量Qaが変化する空気量変化時には、変化割合βを考慮して設定した補正量Δtf2を基本点火時期tftmpから減じたもの(基本点火時期tftmpよりも補正量Δtf2だけ遅い時期)を基本点火時期tftmpとして再設定して用いて目標点火時期tf*を設定すると共に設定した目標点火時期tf*での点火を伴ってエンジン22を運転するから、吸入空気量Qaが変化するときにエンジン22のノッキングが発生するのを抑制することができる。
この変形例では、吸入空気量Qaが変化する空気量変化時には、吸入空気量Qaが増加するか減少するかに拘わらず図10の補正量設定用マップを用いて補正量Δtf2を設定するものとしたが、吸入空気量Qaが増加するときと減少するときとで同一の変化割合βに対して異なる補正量Δtf2を設定するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を減速ギヤ35により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図13の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図13における車輪64a,64bに接続された車軸)に出力するものとしてもよい。
また、こうしたハイブリッド自動車に適用するものに限定されるものではなく、自動車以外の車両や船舶,航空機などの移動体に搭載される内燃機関装置の形態や建設設備などの移動しない設備に組み込まれた内燃機関装置の形態としても構わない。さらに、こうした内燃機関装置の制御方法の形態としてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、エンジン22の回転数Neと吸入空気量Qaとに基づいて基本点火時期tfbを設定し、EGR率Reが変化するEGR率変化時でないときには、目標EGR率Re*から得られる補正量Δtfにより基本点火時期tfbを補正して目標点火時期tf*を設定すると共に設定した目標点火時期tf*を用いて点火制御を行ない、EGR率変化時には、目標EGR率Re*から得られる基本補正量Δtfbを変化割合αによって補正した補正量(比較例の補正量Δtfex)に比して点火時期を遅くする補正量Δtfにより基本点火時期tfbを補正して目標点火時期tf*を設定すると共に設定した目標点火時期tf*を用いて点火制御を行なう図3の点火制御ルーチンによる点火制御や、吸入空気量制御や燃料噴射制御などを実行するエンジンECU24が「制御手段」に相当する。また、モータMG1が「発電機」に相当し、動力分配統合機構30が「3軸式動力入出力手段」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、バッテリ50が「蓄電手段」に相当する。
変形例では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、エンジン22の回転数Neと吸入空気量Qaとに基づいて基本点火時期tfbを設定し、EGR率Reが変化するEGR率変化時でないときには、EGR率Reから得られる補正量Δtfにより基本点火時期tfbを補正して目標点火時期tf*を設定すると共に設定した目標点火時期tf*を用いて点火制御を行ない、EGR率変化時には、EGR率Reから得られる基本補正量Δtfbに比して点火時期を遅くする補正量Δtfにより基本点火時期tfbを補正して目標点火時期tf*を設定すると共に設定した目標点火時期tf*を用いて点火制御を行なう図10の点火制御ルーチンによる点火制御や、吸入空気量制御や燃料噴射制御などを実行するエンジンECU24が「制御手段」に相当する。また、モータMG1が「発電機」に相当し、動力分配統合機構30が「3軸式動力入出力手段」に相当し、モータMG2が「電動機」に相当し、バッテリ50が「蓄電手段」に相当する。
ここで、「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、水素エンジンなど如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「制御手段」としては、エンジン22の回転数Neと吸入空気量Qaとに基づいて基本点火時期tfbを設定し、EGR率Reが変化するEGR率変化時でないときには目標EGR率Re*から得られる補正量Δtfにより基本点火時期tfbを補正して目標点火時期tf*を設定し、EGR率変化時には目標EGR率Re*から得られる基本補正量Δtfbを変化割合αによって補正した補正量(比較例の補正量Δtfex)に比して点火時期を遅くする補正量Δtfにより基本点火時期tfbを補正して目標点火時期tf*を設定し、設定した目標点火時期tf*での点火を伴ってエンジン22が運転されるようエンジン22を制御するものに限定されるものではなく、排気再循環装置による排気の吸気への再循環量と内燃機関の吸入空気量との和に対する再循環量の比率としての再循環率が変化する再循環率変化時でないときには再循環率の目標値としての目標再循環率から得られる第1の補正量により内燃機関の点火時期の基本値として定められた基本点火時期を補正して目標点火時期を設定し、再循環率変化時には再循環率が目標再循環率に向けて変化した変化割合によって第1の補正量を補正して得られる仮の補正量に比して点火時期が遅くなる第2の補正量により基本点火時期を補正して目標点火時期を設定し、設定した目標点火時期での点火を伴って内燃機関が運転されるよう内燃機関を制御するものであれば如何なるものとしても構わない。また、「制御手段」としては、エンジン22の回転数Neと吸入空気量Qaとに基づいて基本点火時期tfbを設定し、EGR率Reが変化するEGR率変化時でないときにはEGR率Reから得られる補正量Δtfにより基本点火時期tfbを補正して目標点火時期tf*を設定し、EGR率変化時には、EGR率Reから得られる基本補正量Δtfbに比して点火時期を遅くする補正量Δtfにより基本点火時期tfbを補正して目標点火時期tf*を設定し、設定した目標点火時期tf*での点火を伴ってエンジン22が運転されるようエンジン22を制御するものに限定されるものではなく、排気再循環装置による排気の吸気への再循環量と前記機関の吸入空気量との和に対する再循環量の比率としての再循環率が変化する再循環率変化時でないときには再循環率から得られる第3の補正量により内燃機関の点火時期の基本値として定められた基本点火時期を補正して目標点火時期を設定し、再循環率変化時には第3の補正量に比して点火時期が遅くなる第4の補正量により基本点火時期を補正して目標点火時期を設定し、設定した目標点火時期での点火を伴って内燃機関が運転されるよう内燃機関を制御するものであれば如何なるものとしても構わない。「発電機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるものではなく、誘導電動機など、動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの発電機としても構わない。「3軸式動力入出力手段」としては、動力分配統合機構30に限定されるものではなく、ダブルピニオン式の遊星歯車機構を用いるものや複数の遊星歯車機構を組み合わせて4以上の軸に接続されるものやデファレンシャルギヤのように遊星歯車とは異なる作動作用を有するものなど、駆動軸と内燃機関の出力軸と発電機の回転軸との3軸に接続され3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力するものであれば如何なるものとしても構わない。「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、駆動軸に動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「蓄電手段」としては、二次電池としてのバッテリ50に限定されるものではなく、キャパシタなど、発電機や電動機と電力のやりとりが可能なものであれば如何なるものとしても構わない。
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、内燃機関装置やハイブリッド車の製造産業などに利用可能である。
本発明の一実施例としての内燃機関装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 エンジン22の構成の概略を示す構成図である。 エンジンECU24により実行される点火制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 基本点火時期設定用マップの一例を示す説明図である。 補正量設定用マップの一例を示す説明図である。 EGR率増加時補正係数設定用マップの一例を示す説明図である。 EGR率減少時補正係数設定用マップの一例を示す説明図である。 目標EGR率Re*の増加に伴ってエンジン22の点火時期を早くする際の目標EGR率Re*と目標点火時期tf*との時間変化の様子を模式的に示す模式図である。 変形例の補正係数設定用マップの一例を示す説明図である。 変形例の点火制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 変形例の点火制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 変形例の補正量設定用マップの一例を示す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
符号の説明
20,120 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、24a CPU、24b ROM、24c RAM、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、122 エアクリーナ、124 スロットルバルブ、126 燃料噴射弁、128 吸気バルブ、130 点火プラグ、132 ピストン、134 浄化装置、135a 空燃比センサ、135b 酸素センサ、136,スロットルモータ、138 イグニッションコイル、140 クランクポジションセンサ、142 水温センサ、143 圧力センサ、144 カムポジションセンサ、146 スロットルバルブポジションセンサ、148 エアフローメータ、149 温度センサ、150 可変バルブタイミング機構、159 ノックセンサ、160 EGRシステム、162 EGR管、163 ステッピングモータ、164 EGRバルブ、165 EGRバルブ開度センサ、166 温度センサ、MG1,MG2 モータ。

Claims (8)

  1. 点火時期の調整が可能で排気を吸気に再循環する排気再循環装置が取り付けられた内燃機関を備える内燃機関装置であって、
    前記排気再循環装置による排気の吸気への再循環量と前記内燃機関の吸入空気量との和に対する該再循環量の比率としての再循環率が変化する再循環率変化時でないときには前記再循環率の目標値としての目標再循環率から得られる第1の補正量により前記内燃機関の点火時期の基本値として定められた基本点火時期を補正して目標点火時期を設定し、前記再循環率変化時には前記再循環率が前記目標再循環率に向けて変化した変化割合によって前記第1の補正量を補正して得られる仮の補正量に比して点火時期が遅くなる第2の補正量により前記基本点火時期を補正して前記目標点火時期を設定し、該設定した目標点火時期での点火を伴って前記内燃機関が運転されるよう該内燃機関を制御する制御手段、
    を備え
    前記制御手段は、前記再循環率変化時には、前記目標再循環率の変化量に対する前記再循環率の変化量の比率を前記変化割合として、前記目標再循環率の変化前後の前記第1の補正量の差に前記変化割合を乗じたものと前記目標再循環率の変化前の前記第1の補正量との和により前記仮の補正量を設定する手段である、
    内燃機関装置。
  2. 請求項1記載の内燃機関装置であって、
    前記制御手段は、前記再循環率の増加に伴って点火時期を早くするときには、前記仮の補正量に比して遅れて点火時期が早くなる前記第2の補正量により前記基本点火時期を補正して前記目標点火時期を設定する手段である、
    内燃機関装置。
  3. 請求項1または2記載の内燃機関装置であって、
    前記制御手段は、前記再循環率の減少に伴って点火時期を遅くするときには、前記仮の補正量に比して迅速に点火時期が遅くなる前記第2の補正量により前記基本点火時期を補正して前記目標点火時期を設定する手段である、
    内燃機関装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1つの請求項に記載の内燃機関装置であって、
    前記制御手段は、前記吸入空気量が変化する空気量変化時には、前記内燃機関の回転数と前記吸入空気量とから得られる前記基本点火時期に比して点火時期が遅くなるよう前記基本点火時期を再設定する手段である、
    内燃機関装置。
  5. 請求項記載の内燃機関装置であって、
    前記制御手段は、前記吸入空気量の減少に伴って点火時期を早くするときには、前記内燃機関の回転数と前記吸入空気量とから得られる前記基本点火時期に比して遅れて点火時期が早くなるよう前記基本点火時期を再設定する手段である、
    内燃機関装置。
  6. 請求項4または5記載の内燃機関装置であって、
    前記制御手段は、前記吸入空気量の増加に伴って点火時期を遅くするときには、前記内燃機関の回転数と前記吸入空気量とから得られる前記基本点火時期に比して迅速に点火時期が遅くなるよう前記基本点火時期を再設定する手段である、
    内燃機関装置。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1つの請求項に記載の内燃機関装置と、
    動力を入出力可能な発電機と、
    駆動輪に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、
    前記駆動軸に動力を入出力可能な電動機と、
    前記発電機および前記電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、
    を備えるハイブリッド車。
  8. 点火時期の調整が可能で排気を吸気に再循環する排気再循環装置が取り付けられた内燃機関を備える内燃機関装置の制御方法であって、
    前記排気再循環装置による排気の吸気への再循環量と前記内燃機関の吸入空気量との和に対する該再循環量の比率としての再循環率が変化する再循環率変化時でないときには前記再循環率の目標値としての目標再循環率から得られる第1の補正量により前記内燃機関の点火時期の基本値として定められた基本点火時期を補正して目標点火時期を設定し、前記再循環率変化時には前記再循環率が前記目標再循環率に向けて変化した変化割合によって前記第1の補正量を補正して得られる仮の補正量に比して点火時期が遅くなる第2の補正量により前記基本点火時期を補正して前記目標点火時期を設定し、該設定した目標点火時期での点火を伴って前記内燃機関が運転されるよう該内燃機関を制御するステップを含み、
    前記ステップは、前記再循環率変化時には、前記目標再循環率の変化量に対する前記再循環率の変化量の比率を前記変化割合として、前記目標再循環率の変化前後の前記第1の補正量の差に前記変化割合を乗じたものと前記目標再循環率の変化前の前記第1の補正量との和により前記仮の補正量を設定するステップである、
    内燃機関装置の制御方法。
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