JP4793327B2 - 巻線装置および巻線方法 - Google Patents
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例えば、特許第3786931号公報(特許文献1)で絶縁ボヒンが提供されている。該絶縁ボビン1は、図13に示すように、ヨーク部2から突出する互いに平行面とした断面矩形状のティース部3と該ティース部3端部からヨーク部2内面に沿って突出している延出部4とを備え、該ティース部3に平角線5を層状に整列巻きしていき、コイル6の最外層の平角線5ではヨーク部2から延出部4に向かって層数を減らして平角線5をティース部3に階段状に巻き付けている。
コイルの占積率を向上させるために、コイル最外層を連続した傾斜面とする必要がある場合は、巻芯の外周面をコイル最外層の傾斜面と同角度で傾斜させてテーパ状にする対策が講じられている。
また、下層の線材で形成する断面三角形状の溝に上層の線材を嵌合して積層していく断面六角形あるいは断面扁平六角形の線材の場合でも、巻芯の外周面の傾斜角度が10度以上となると、線材嵌合溝との接触面積が小さくなり、巻き滑りが生じやすくなる。
ロータの外周に配置されるステータは、巻き線のしやすさ等の理由から、リング状のステータを所定角度に分割した分割ステータとされ、該分割ステータを環状に配置して締結して構成される場合が多い。よって、分割ステータの場合、線材が巻き付けられる巻芯は分割ステータのコアとなり、コイルの最外層は傾斜面とする必要がある。該コアは、ティース部の外周面で、外周側のバックヨーク部と内周側の鍔部とからなる軸線方向両側の両側壁に囲まれた環状凹部(スロット部)に線材が整列巻きされることになるが、コイルの占積率を向上させるために、コアのティース部をバックヨーク部から鍔部にかけてテーパ状にするのが好ましい。
巻芯に線材を巻き付けてコイルを形成する巻線装置であって、
前記巻芯を着脱自在に固定する巻芯取付部材と、
前記巻芯取付部材を巻芯中心の回りに回転させる回転手段と、
前記巻芯取付部材を巻芯の軸線方向と直交方向に揺動させ、前記線材の張力方向と前記巻芯の巻付面との角度を調整する揺動手段と、
前記線材を前記巻芯へと供給する線材供給手段とを備え、
前記巻芯取付部材は前記巻芯の軸線方向の一端側の両側面を着脱自在に狭持するセットブロックからなり、
前記揺動手段は前記セットブロックから突出した連結片と連結する連結部材を本体ケース内に備えたセットホルダからなり、前記連結部材を揺動駆動手段で揺動させ、かつ、前記セットホルダの本体ケースは前記回転手段に連結し、該セットホルダを介して前記セットブロックを回転させていることを特徴とする巻線装置を提供している。
前記揺動手段は、前記セットブロックから突出した連結片と連結する連結部材を本体ケース内に備えたセットホルダからなり、前記連結部材を揺動駆動手段で揺動させ、かつ、 前記セットホルダの本体ケースは前記回転手段に連結し、該セットホルダを介して前記セットブロックを回転させている。
前記した本発明の巻線装置を用い、巻芯を回転させながら線材を巻き付けてコイルを形成する巻線方法であって、
前記巻芯を巻芯取付部材で保持し、前記巻芯取付部材で保持した巻芯を回転手段で回転させ、前記線材を前記巻芯の外周面である巻付面に軸方向に巻き付けていき、前記巻芯取付部材で巻芯を軸直交方向に揺動させて、前記線材の張力方向と前記巻芯の巻付面との角度を調整していることを特徴とする巻線方法を提供している。
また、断面六角形等の異形電線を整列巻きする際には、巻き滑りなく線材を巻き付けることができるため、線材を隙間がなく巻き付けることができ、コイルの占積率を向上させることができる。
前記線材の張力方向と前記巻付面における線材の巻付方向とがなす角度が90度未満となる範囲では、前記巻芯取付部材を軸直交方向に揺動させ、前記角度を90度以上に調整しているのが好ましい。
線材を断面正六角形、断面扁平六角形の場合は、下層の線材間で形成される断面三角形状の溝に上層の線材を嵌合させることで、線材を整列巻きしていく。
前記線材を巻芯の一端側から他端側に向けて前記線材を前記傾斜面を滑り落ちる軸線方向に巻き付けていく往路と、前記他端側から一端側へと巻き付けていく復路とを往復させて層状に巻き付けており、前記往路において前記揺動手段により巻芯を揺動させて前記角度を90度以上とする一方、前記復路では巻芯位置を原状位置に戻しているのが好ましい。
前記揺動は回転時に同時に行い、あるいは、
回転を停止して揺動させ、所定角度だけ揺動後に揺動を停止し、再回転しているのが好ましい。
線材を複数本同時に巻き付けると、線材をコイルに巻き付ける時間を短縮することができるため、作業工数を低減することができる。
線材を複数設ける場合は前記プーリも複数設けるのが好ましい。複数のプーリを個別に軸直角方向に移動可能とし、かつ、軸線方向のプーリ間のピッチも調整可能とすると、巻芯へ供給する複数の線材を個別に巻付位置を制御することができる。
また、本発明は、前記巻線装置を用いて、前記線材を巻芯に巻き付けている前記巻線方法を提供している。
本発明の分割ステータの製造方法により、モータの分割ステータのコアに線材を巻き付けてコイルを形成すると、線材を巻き滑りなく正確に整列巻きすることができ、コイルの占有率を高めることができ、モータ特性を向上させることができると共に、絶縁信頼性の高いモータを作製することができる。
図1乃至図12に本発明の巻線装置の実施形態を示す。
本実施形態の巻線装置は、図1に示すモータの分割ステータ50のステータコア51(以下、コア51と略称する)を軸直交方向Xに揺動させながら、線材60を巻き付けてコイル52を形成している。即ち、分割ステータコアを巻芯とし、該巻芯は軸線方向が傾斜したテーパ状となっている。
前記コア51は、断面矩形状のティース部51aと、該ティース部51aの軸線方向の両端にバックヨーク部51bと鍔部51cが突設し、ティース部51aの外周面とバックヨーク部51bと鍔部51cに囲まれた環状凹部がコイル形成用のスロット部55となり、該スロット部53の表面を絶縁樹脂カバー53で被覆している。
前記ティース部51aの両側面は、バックヨーク部51bから鍔部51cにかけて傾斜する傾斜面51e、51fとしており、分割数が18の場合、傾斜角度を片側10度としている。
なお、線材60の形状は特に限定されないが、整列巻時に上下層間での隙間を発生させない断面矩形の異形状が好ましい。
前記線材61、62は整列巻きしており、ティース部51aの上面をトラバース面51dとして、該トラバース面51dで線材60を隣の列へと移行させている。該トラバース面51dは傾斜面としていない。なお、矩形状のティース部51aの一隅部でトラバースさせてもよい。
前記コイル52を備えた分割ステータ50を円環状に順次配置して締結して一体化している。
コア51を揺動させていない図2に示す状態では、コア51の中心軸線L1は、回転手段Aの回転中心L2と同一線上としている。
前記本体ケース21aは、上下両側端から矩形状の突出片21m、21gを突出させ、該突出片21m、21gに挟まれた空間S1に後述するセットブロック20の本体部20gを配置していると共に、本体ケース21a側の空間S2には後述する連結片20dを配置している。
図6(A)に示すように、円弧状凹部20cにセットホルダ21の摺接穴21h、21iに挿通させているガイドピンP1を嵌合させていると共に、前記矩形状凹部20eに左右方向に延在する可動アーム21eを挿通させ、セットホルダ21と揺動可能に嵌合している。
セットブロック20の中央には上下に貫通する貫通孔20fを設け、セットホルダ21の突出片21m、21gの貫通孔21p、21rに挿通しているガイドピンP2を前記貫通孔20fに挿通させ、該ガイドピンP2を揺動支点としてセットホルダ21に対してセットブロック20を揺動させている。
前記ローレットノブ21dを回転させてネジN1を軸直交方向XのX2方向に移動させると、ローレットノブ21dの矩形溝21fに嵌合している可動アーム21eもローレットノブ21dと共にX2方向に移動する。
可動アーム21eがX2方向に移動すると、可動アーム21eの貫通孔21kに挿通しているガイドピンP1がX2方向に移動し、ガイドピンP1が突出片21m、21gの摺接穴21h、21iを摺接しながら移動する。
このように、ガイドピンP1がX2方向に移動すると、該ガイドピンP1に揺動可能に嵌合しているセットブロック20から突出した連結片20dがセットブロック20と共にX1方向に揺動し、コア51もX1方向に揺動する。
前記第1、第2プーリ31、32へ供給する線材61、62は、図8の概略正面図に示すように、ボビン68より繰り出す線材61、62をバックテンション装置65、66を通して張力を調整して第1、第2プーリ31、32へと供給している。
なお、コア51の揺動は、コア51の回転と同時に行ってもよい。
このように、往路Y1と復路Y2を繰り返して層状とし、図11に示すように、最上層まで線材61、62を巻き付けてコイル52を形成する。
このように、巻線装置では、コア51のティース部51aの角度や線材60の延在方向に応じて、線材60の張力方向D1と巻付面における線材60の巻付方向D2とがなす角度を調整することができため、様々な巻芯へ応用することができる。
本発明は前記実施形態は限定されず、本発明の特許請求の範囲内の種々の形態が含まれるものである。
21 セットホルダ
51 コア
51a ティース部
52 コイル
60(61、62) 線材
A 回転手段
B 揺動手段
C 線材供給手段
D1 線材の張力方向
D2 線材の巻付方向
Claims (7)
- 巻芯に線材を巻き付けてコイルを形成する巻線装置であって、
前記巻芯を着脱自在に固定する巻芯取付部材と、
前記巻芯取付部材を巻芯中心の回りに回転させる回転手段と、
前記巻芯取付部材を巻芯の軸線方向と直交方向に揺動させ、前記線材の張力方向と前記巻芯の巻付面との角度を調整する揺動手段と、
前記線材を前記巻芯へと供給する線材供給手段とを備え、
前記巻芯取付部材は前記巻芯の軸線方向の一端側の両側面を着脱自在に狭持するセットブロックからなり、
前記揺動手段は前記セットブロックから突出した連結片と連結する連結部材を本体ケース内に備えたセットホルダからなり、前記連結部材を揺動駆動手段で揺動させ、かつ、前記セットホルダの本体ケースは前記回転手段に連結し、該セットホルダを介して前記セットブロックを回転させていることを特徴とする巻線装置。 - 請求項1に記載の巻線装置を用いて、巻芯を回転させながら線材を巻き付けてコイルを形成する巻線方法であって、
前記巻芯を巻芯取付部材で保持し、前記巻芯取付部材で保持した巻芯を回転手段で回転させ、前記線材を前記巻芯の外周面である巻付面に巻芯の軸線方向に巻き付けていき、前記巻芯取付部材で巻芯を軸直交方向に揺動させて、前記線材の張力方向と前記巻芯の巻付面との角度を調整していることを特徴とする巻線方法。 - 前記線材は断面円形、断面正六角形、断面扁平六角形または断面矩形の多角形状とし、前記巻芯の巻付面は軸線方向の一端から他方に向けて傾斜する傾斜面とし、
前記線材の張力方向と前記巻付面における線材の巻付方向とがなす角度が90度未満となる範囲では、前記巻芯取付部材を軸直交方向に揺動させ、前記角度を90度以上に調整している請求項2に記載の巻線方法。 - 前記巻芯は断面矩形状で、前記傾斜面の傾斜角度を10度以上として該傾斜面により一端側から他端側に向けて該巻芯の断面積を次第に縮小させており、
前記線材を巻芯の一端側から他端側に向けて前記線材を前記傾斜面を滑り落ちる軸線方向に巻き付けていく往路と、前記他端側から一端側へと巻き付けていく復路とを往復させて層状に巻き付け、前記往路において前記揺動手段により巻芯を揺動させて前記角度を90度以上とする一方、前記復路では巻芯位置を原状位置に戻している請求項3に記載の巻線方法。 - 前記巻芯の揺動は、該巻芯に対して巻き付ける線材の巻列を移動させる時点で行い、
前記揺動は回転時に同時に行い、あるいは、
回転を停止して揺動させ、所定角度だけ揺動後に揺動を停止し、再回転している請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の巻線方法。 - 前記巻芯への線材の巻き付けは、1本または複数本の線材を同時に巻き付けている請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の巻線方法。
- 前記巻芯は、ステータを構成する分割ステータのコアからなり、請求項2乃至請求項6のいずれか1項に記載の巻線方法を用いて、前記回転手段で前記コアを回転させて、該コアのティース部に前記線材を巻き付けてコイルを形成している分割ステータの製造方法。
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