JP4793213B2 - 流体圧式サスペンション装置 - Google Patents

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Description

本発明は、被輸送車に搭載される流体圧式サスペンション装置に関するものである。
特許文献1には、被輸送車が輸送される場合に、その被輸送車の流体圧式サスペンション装置に含まれる車高調整装置の減衰特性を大きくすることが記載されている。この特許文献1に記載の流体圧式サスペンション装置には、(i)(a)車輪側部材と車体側部材との間に設けられ、ハウジングの内側がピストンにより2つの室に仕切られた液圧シリンダと、(b)車体側部材の車輪側部材に対する上下方向の相対移動に伴って作動させられるポンプとを含み、そのポンプから吐出された作動液が前記2つの室の一方に供給されることにより車高が調整される車高調整装置と、(ii)前記一方の室とアキュムレータとの間に設けられた可変絞りとが含まれる。そして、車両が停止状態にある場合には、この可変絞りによって液圧シリンダの一方の室とアキュムレータとの間の流路面積が小さくされる。それによって、輸送中の振動に伴う被輸送車の周期的な車高の上下方向の変化を抑制することができる。
特許文献2には、車高調整スイッチの操作により車高調整が行われる車高調整装置を備えた流体圧式サスペンション装置において、流体の温度が高くなった場合に、そのことを報知することが記載されている。流体の温度が高くなると、車高が高くなり、車高調整が必要となるため、そのことが報知され、車高調整スイッチの操作が促されるのである。
特開平8−132840号公報 特開2001−287530号公報
被輸送車は、固縛部材によって輸送台に固縛された状態で輸送されるのが普通であるが、この場合に、輸送中の温度低下、気体漏れ等に起因して固縛部材が緩んだり、輸送中の振動に起因して温度が上昇し、流体漏れが生じたりする。本発明は、これらの問題を抑制するために為されたものである。
課題を解決するための手段および効果
請求項1に記載の流体圧式サスペンション装置は、(i)その流体圧式サスペンション装
置を含む車両が被輸送車として輸送台に固縛部材によって上下方向の成分を含む方向に固縛された状態にあることを検出する輸送準備検出装置と、(ii)その輸送準備検出装置によって前記固縛状態にあることが検出された場合に、当該流体圧式サスペンション装置における流体圧と、車高の変化量に対する流体圧の変化量であるばね定数との少なくとも一方を、前記固縛状態が検出される前より大きくする固縛検出時サスペンション制御部とを含むものとされる。
請求項9に記載の流体圧式サスペンション装置は、(i)その流体圧式サスペンション装
置を含む車両が被輸送車として輸送台に固縛部材によって上下方向の成分を含む方向に固縛された状態にあることを検出する輸送準備検出装置と、(ii)その輸送準備検出装置によって前記固縛状態にあることが検出された場合に、流体の温度が外気温度より低い場合には、当該流体圧式サスペンション装置における流体圧と、車高の変化量に対する流体圧の変化量であるばね定数との少なくとも一方を、前記固縛状態が検出される前より小さくする固縛検出時サスペンション制御部とを含むものとされる。
本流体圧式サスペンション装置において、輸送準備検出装置によって、被輸送車が固縛部材によって固縛された状態にあることが検出された場合に、流体圧とばね定数との少なくとも一方が制御される。
例えば、被輸送車の車体が、車両輸送車の輸送台に上下方向成分を含む方向に延びた固縛部材で固縛された場合において、ばね定数(流体圧の変化量/車高の変化量)が大きくされると、流体圧の変化量が同じ場合における車高の変化量を小さくすることができ、輸送中に、温度低下や気体漏れに起因して流体圧が低下しても、車高が低下し難くすることができ、固縛部材が緩み難くすることができる。
また、ばね定数が大きくされることにより、輸送中の振動に起因する被輸送車の車高の変化量を抑制することが可能となる。特に、車輪側部材と車体側部材との間に、エアばねとショックアブソーバとが並列に設けられる場合において、車高の周期的な変化の振幅が小さくされるため、ショックアブソーバの作動液の温度上昇を抑制し、液漏れが生じ難くすることができる。
さらに、固縛状態において、流体圧が高くされれば、固縛部材の張力を大きくすることができる。その結果、輸送中に、流体圧が低下しても、固縛部材が緩まないようにしたり、たとえ、緩んでも、緩み量を小さくしたりすることができる。
また、車輪側部材と車体側部材との間にエアばねが設けられる場合において、エア圧が高くされれば、ばね定数を大きくすることができる。
輸送準備検出装置は、例えば、作業者によって操作可能な操作型固縛スイッチとしたり、車体に設けられた固縛部材の係合部に設けられ、係合部に固縛部材が掛けられて、張力が加えられたことを検出する力検出型固縛スイッチとしたりすること等ができる。操作型固縛スイッチである場合には、作業標準等により、被輸送車を固縛部材によって固縛した後に、操作するように指示される。
固縛部材は、例えば、ロープ、ケーブル、ワイヤ等とすることができる。また、固縛部材は、上下方向の成分を有する方向に延びるものであり、車高の変化の影響を受けるものである。上下方向と平行な方向に延びるものであっても、上下方向に対して傾斜した方向に延びるものであってもよく、上下方向と直交する方向に延びるものでなければよい。
なお、流体圧の制御とばね定数の制御とは、明確に区別できるものではなく、流体圧が制御されることによりばね定数も変化することが多い。また、ばね定数が制御されることにより、流体圧が変化することが多い。
また、被輸送車は、車両運搬車によって運搬される場合や、輸送船で輸送される場合等がある。
請求項2に記載の流体圧式サスペンション装置は、(a)車体側部材と車輪側部材との間に設けられた液圧シリンダと、(b)前記車高の変化に伴って、前記液圧シリンダとの間で作動液の授受を行う複数のアキュムレータと、(c)それら複数のアキュムレータのうちの1つ以上と前記液圧シリンダとの間に設けられ、それら1つ以上のアキュムレータと液圧シリンダとの間の作動液の流れを、許容する状態と阻止する状態とに切換え可能な流通状態切換機構とを含み、前記固縛検出時サスペンション制御部が、その流通状態切換機構を制御することにより、前記ばね定数を設定値以上とするばね定数制御部を含むものとされる。
車体側部材と車輪側部材との間の上下方向の相対変位、すなわち、車高の変化に伴って、液圧シリンダと複数のアキュムレータのうちの1つ以上との間で作動液の授受が行われる。アキュムレータは、仕切り部材で仕切られた2つの容積室を有するものであり、2つの容積室の一方(作動液収容室)に液圧シリンダが接続され、他方(気体室)に気体が封入される。仕切り部材は、ブラダとしたり、ベローズとしたり、ピストンとしたりすることができる。
アキュムレータにおいて、作動液収容室の液圧により仕切り部材に加えられる力(液圧作用力)と気体室の気体によって仕切り部材に加えられる力(弾性力)とは、常に釣り合っている。車高の変化により、作動液収容室に作動液が供給されると、作動液収容室の容積が大きくなる。気体室の容積が小さくなるため、圧力が高くなって、液圧作用力が大きくなる(液圧シリンダの液圧が高くなる)。作動液収容室の容積が小さくなると、圧力が低くなって、液圧シリンダの液圧が低くなる。このように、アキュムレータの弾性力は、液圧シリンダの液圧に応じた大きさとなり、作動液収容室の容量の変化に応じて変化し、その変化量は、車高の変化量に応じた大きさとなる。このことから、アキュムレータは、ばねとしての機能を果たし、それのばね定数が流体圧式サスペンション装置のばね定数に対応する。
アキュムレータのばね定数は、流通状態切換機構を制御することにより制御される。ばね定数は、液圧シリンダに接続されるアキュムレータの個数が少ない場合は多い場合より大きくなる。また、液圧シリンダに接続されるアキュムレータが、ばね定数が大きいものである場合は小さいものである場合より、ばね定数が大きくなる。例えば、ガス室に封入されたガス圧が高い場合は低い場合より、図10に示すように、容積変化量が同じ場合の圧力変化量が大きくなるため、ばね定数が大きくなるのである。このことから、固縛状態にあることが検出された場合に、液圧シリンダに接続されるアキュムレータの個数を少なくしたり、ばね定数が大きいものが接続されるようにしたりすれば、流体圧式サスペンション装置のばね定数を大きくすることができる。
アキュムレータにおいて、図10に示すように、ガスの温度が低くなると、容積が一定である場合のガス圧が低下するため、液圧シリンダの液圧が低下する。また、ガスが漏れると、ガス圧が低下し、液圧シリンダの液圧が低下する。
一方、流体圧式サスペンションに、液圧シリンダと並列にサスペンションスプリングが設けられる場合には、車輪に加えられる荷重W(車体重量に応じた大きさ)、アキュムレータによって加えられる弾性力Fa、サスペンションスプリングの弾性力Fsとした場合、被輸送車の定常状態において(Fa0、Fs0:符号0を付す)、概略的には、式
W=Fa0+Fs0
が成立する。この式から、車輪に加えられる荷重が一定である場合、図11に示すように、車高が低い場合はアキュムレータの弾性力Faが小さくなり、スプリングの弾性力Fsが大きくなるが、車高が高い場合は、アキュムレータにより液圧シリンダに加えられる弾性力Faが大きくなり、スプリングの弾性力Fsが小さくなることがわかる。
被輸送車が輸送される場合には、通常、車高が定常状態における高さ(標準高さ)より低くされた状態で固縛部材によって固縛される。スプリングの弾性力Fsおよびアキュムレータにより液圧シリンダに加えられる弾性力Faにより、固縛部材には張力Frが加えられる。この張力は、被輸送車を停止状態に保つのに必要な力(必要固縛張力)以上とされることが望ましい。この固縛状態においては、概略的には、式
W+Fr=Fa+Fs
が成立する。すなわち、車両の定常状態における場合と比較すると、固縛部材の張力Frの分だけ、弾性力Fa、Fsが弾性力Fa0、Fs0より大きくなるが、スプリングの弾性力は、車高によって一義的に決まるため、固縛部材の張力Frは、アキュムレータの弾性力Faによって制御することができる。
この状態から、温度低下等に起因して、液圧シリンダの液圧が低下すると、アキュムレータによって加えられる弾性力Faが小さくなり、それに伴って、固縛部材の張力Frが小さくなるのであるが、さらに、弾性力Faが小さくなると、図11に示すように、車高が低くなり、固縛部材が緩む。この場合に、ばね定数が大きい場合は小さい場合より、弾性力Faの減少量に対する車高の変化量が小さくなるため、固縛部材の張力Frの緩み量を小さくすることが可能となる。なお、図11には、車高の低下量を非常に大きく描いたが、実際に、温度変化に起因する液圧の低下量は小さく、車高の変化量はわずかである。
また、ばね定数が大きくされれば、輸送中の振動に起因する被輸送車の車高の振動の振幅を小さくすることも可能である。
ばね定数の設定値は、これらを考慮して決まる大きさとされるのであり、例えば、輸送中に液圧が低下しても、固縛部材の緩む量が許容範囲内となり、かつ、車高の変化の振幅が許容範囲内となる大きさとすることができる。
請求項3に記載の流体圧式サスペンション装置は、出力部の流体圧を制御可能な流体圧制御機構を含み、前記固縛検出時サスペンション制御部が、その流体圧制御機構を制御することにより、前記出力部の流体圧を制御する流体圧制御部を含むものとされ、請求項4に記載の流体圧式サスペンション装置は、出力部の流体圧を制御可能な流体圧制御機構を含み、前記固縛検出時サスペンション制御部が、その流体圧制御機構を制御することにより前記出力部の流体圧を、前記輸送準備検出装置によって前記固縛状態にあることが検出された場合における前記流体の温度と環境温度との少なくとも一方で決まる設定変化圧以上変化させる固縛検出時状況対応制御部を含むものとされる。
請求項5に記載の流体圧式サスペンション装置においては、(a)車体側部材と車輪側部材との間に設けられた液圧シリンダと、(b)前記車高の変化に伴って、前記液圧シリンダとの間で作動液の授受を行う1つ以上のアキュムレータとが含まれ、前記流体圧制御機構が、少なくとも、作動液を加圧して前記液圧シリンダに供給可能なポンプ装置を備え、そのポンプ装置から供給された作動液を利用して前記液圧シリンダにおける液圧を制御可能な液圧制御機構を含むものとされる。
被輸送車が、上下方向の成分を有する向きの固縛部材によって固縛された状態で、液圧シリンダ(出力部の一態様である)に作動液が供給されると、液圧が高くなり、アキュムレータの弾性力Faが大きくなり、固縛部材に加えられる張力Frが大きくなる。
したがって、固縛状態が検出された場合に、液圧シリンダの液圧を予め高くしておけば、その後、輸送中の温度低下や気体漏れに起因して液圧が低下しても、固縛部材が緩み難くすることができる。固縛部材が全く緩まないようにしたり、緩んでも、その緩み量を小さくすることができるのである。
液圧シリンダの液圧は設定液圧以上となるように制御されるが、設定液圧は、固縛部材に加えられる張力が設定張力以上となる大きさとすることができ、設定張力は、輸送中に、液圧が低下しても、必要固縛張力を確保し得る大きさとすることができる。
また、固縛検出時の作動液の温度が低い場合は高い場合より、液圧増加量を大きくすることができる。作動液の温度が低い場合は高い場合より、液圧が低く、車高が低くなることが多い。そのため、固縛部材の長さが予め決まっている場合に、液圧増加量を大きくすれば、その固縛部材に加えられる張力を良好に設定張力まで大きくすることができる。また、温度が高い場合には温度が低い場合より液圧増加量が小さくされるため、温度が高い場合も低い場合も液圧増加量が同じとされる場合に比較して、固縛部材に加えられる張力が必要以上に大きくなることを回避することができ、固縛部材の耐久性を向上させることができる。作動液の温度は、直接検出されるようにしたり、間接的に検出されるようにしたりすることができる。作動液の温度は、外気温度と同じであるとみなされるようにしたり、外気温度、車室内の温度等に基づいて推定されるようにしたりすることができる。
さらに、輸送前(固縛検出時)の作動液の温度が外気温度より高い場合には、輸送中に、外気温度まで低くなると考えられる。そのため、固縛状態が検出された場合の作動液の温度から外気温度を引いた値(差)が大きい場合は小さい場合より、液圧シリンダの液圧の低下量が大きくなると推定される。それに対して、作動液の温度から外気温度を引いた値が大きい場合は小さい場合より、液圧シリンダの液圧の増加量を大きくしておけば、輸送中に液圧低下が生じても、固縛部材が緩み難くすることができる。なお、固縛状態検出時の作動液の温度が予めわかれば、外気温度が低い場合は高い場合より液圧の増加量が大きくされるようにすることができる。
逆に、輸送前の作動液の温度が外気温度より低い場合には、輸送中に、外気温度まで高くなると考えられる。輸送中に、液圧シリンダの液圧が高くなると(車高は、固縛部材で決まる高さより高くなることがないため)、固縛部材に加えられる張力が過大となるおそれがある。それに対して、外気温度の方が高い場合には、固縛検出時に、液圧シリンダの液圧増加量が減少させられるようにしたり、液圧が保持されるように(増加させられないように)したり、減少させられるようにしたりすれば、輸送中に固縛部材に過大な力が加えられることを回避することができる。例えば、輸送前の作動液の温度より外気温度の方が、予め定められた設定値以上大きい場合には、液圧シリンダの液圧が減少させられるようにすることができる。
なお、アキュムレータが気体封入式のものである場合には、液圧シリンダの液圧を高くすれば、アキュムレータのばね定数を大きくすることができる。アキュムレータにおいて、作動液収容室の液圧が高くなれば、気体室の圧力が高くなるため、前述のように、ばね定数が大きくなるのである。そこで、固縛状態が検出された場合に、液圧シリンダの液圧を高くして、ばね定数を大きくすれば、車高の変化を抑制することも可能となる。
請求項6に記載の流体圧式サスペンション装置は、(a)車体側部材と車輪側部材との間に、互いに並列に設けられたショックアブソーバおよびエアチャンバと、(b)エアを加圧して前記エアチャンバに供給可能なポンプ装置と、(c)少なくとも、そのポンプ装置から供給されたエアを利用して、前記エアチャンバにおけるエア圧を制御可能なエア圧制御機構とを含み、前記サスペンション制御部が、前記エア圧制御機構を制御することによって前記エアチャンバにおけるエア圧を制御して、前記ばね定数を設定値以上とするエア圧依拠ばね定数制御部を含むものとされる。
固縛部材によって車体が上下方向の成分を含む方向に固縛されている状態において、エアチャンバ(出力部の一態様である)の容積はほぼ一定であるため、エアを供給することによってエア圧が高くなる。また、エア圧が高い場合は低い場合より、ばね定数が大きくなるため、エア圧を制御すれば、ばね定数を制御することが可能となる。
エアチャンバとショックアブソーバとが、車体側部材と車輪側部材との間に並列に設けられる場合に、エアチャンバのエア圧が低く、ばね定数が小さいと、輸送中の振動に伴って車高が周期的に変化する場合の振幅が大きくなる。その結果、ショックアブソーバにおいて作動液の温度が高くなり、液漏れが生じるおそれがある。それに対して、エアチャンバのエア圧を高くしてばね定数を大きくすれば、振幅を小さくすることができ、ショックアブソーバにおいて作動液の温度が高くなることを抑制し、液漏れが生じ難くすることができる。
また、上述のように、エアの温度が低い場合は高い場合より、ばね定数が小さくなる。そこで、エアの温度が低い場合は高い場合よりエア圧の増加量を大きくすれば、エアの温度が低くても、ばね定数を良好に設定値以上とすることができる。また、エアの温度が高い場合に、ばね定数が必要以上に大きくなることを回避することができる。
さらに、輸送中、エアの温度は外気温度まで変化する。そのため、固縛検出時のエアの温度が外気温度より高い場合において、それらの差が大きい場合は小さい場合より、エア圧の増加量を大きくすることができる。また、固縛検出時のエアの温度が外気温度より低い場合には、エア圧の増加量を小さくしたり、エア圧を保持したり、それらの差が大きい場合はエア圧を予め減少させたりすること等ができる。
請求項7に記載の流体圧式サスペンション装置は、さらに、(a)当該流体圧式サスペンション装置の減衰特性を制御可能な減衰特性制御機構と、(b)その減衰特性制御機構を制御することにより、前記減衰特性を、車高の変化速度が同じ場合に発生する減衰力が、前記輸送準備検出装置によって前記固縛状態が検出された場合に検出される前より大きくなる特性とする減衰特性制御部とを含むものとされる。
さらに、流体圧式サスペンション装置の減衰特性が、減衰力が大きくなる特性とされれば、その分、車高が変化し難くすることができる。
請求項8に記載の流体圧式サスペンション装置においては、さらに、前記被輸送車が前記固縛状態にあり、かつ、前記固縛部材による固縛を解除する予定であることが検出された場合に、前記流体圧と前記ばね定数との少なくとも一方を小さくする固縛解除時サスペンション制御部を含むものとされる。
固縛部材による固縛を解除する前に、ばね定数や流体圧が小さくされれば、固縛部材を緩め易くし、外し易くすることができる。固縛部材による固縛を解除する予定であることは、例えば、作業者によるスイッチ操作によって検出することができる。流体圧やばね定数は、固縛状態が検出される以前の大きさに戻すこともできる。固縛検出時サスペンション制御部によって制御された流体圧とばね定数との少なくとも一方が、固縛状態が検出される以前の大きさに戻されるようにすることが可能なのである。
以下、本発明の一実施例である流体圧式サスペンション装置としての油空圧式サスペンション装置について図面に基づいて詳細に説明する。
本実施例においては、図1,2に示すように、本油空圧サスペンション装置が搭載された車両である被運搬車(被輸送車)Aが車両運搬車Bで運搬される場合について説明する。
被運搬車Aは、車両運搬車Bの荷台Cに載せられる。そして、被運搬車Aの車体Dに設けられたフックEと、車両運搬車Bの荷台Cに設けられたフックFとの間に固縛部材としてのロープGが、ほぼ上下方向に伸びた姿勢で掛け渡されて、被運搬車Aが車両運搬車Bの荷台Cに固縛される。
被運搬車Aに搭載された油空圧式サスペンション装置は車高調整装置を含む。図3に示すように、前後左右の各輪4FL、FR、RL、RRの各々において、車輪4を保持する車輪保持装置6FL、FR、RL、RRと車体8との間に、それぞれ、懸架シリンダ10FL、FR、RL、RRがサスペンションスプリング21とともに設けられる。懸架シリンダ10FL、FR、RL、RRは流体としての作動液により作動させられる。以下、車輪位置で区別する必要がある場合には、車輪位置を表す符号FL、FR、RL、RRあるいはL、Rを付して使用し、区別する必要がない場合に符号を付さないで使用する。
懸架シリンダ10FL、FR、RL、RRは、互いに構造が同じものであり、それぞれ、ハウジング11と、ハウジング11の内部に相対移動可能に嵌合されたピストン12と、ピストンロッド14とを含み、ピストンロッド14が車体8に、ハウジング11が車輪保持装置6に、それぞれ上下方向に相対移動不能に固縛される。ピストン12には、そのピストン12により仕切られた2つの液室16,18を連通させる連通路20が設けられ、連通路20には固定絞りが設けられる。固定絞りにより、ピストン12のハウジング11に対する相対移動速度(絞りを流れる作動液の流速)に応じた減衰力が発生させられる。懸架シリンダ10はショックアブソーバとして機能する。
図3に示すように、ピストンロッド14は、サスペンションスプリング21を保持するスプリングリテーナ22にゴム等の弾性部材を介して取り付けられ、スプリングリテーナ22が車体8に上下方向に相対移動不能に取り付けられる。また、スプリングリテーナ22には、バウンド側ストッパ24が取り付けられる。バウンド側ストッパ24にシリンダ本体11の外側上端面26が当接することによってバウンド側の移動限度が規定される。
それに対して、ピストン12のピストンロッド14が設けられた側にはリバウンド側ストッパ28が設けられる。リバウンド側ストッパ28に本体11の内側上端面30が当接することにより、リバウンド側の移動限度が規定される。
懸架シリンダ10FL、FR、RL、RRの液室16には、それぞれ、個別通路32FL、FR、RL、RRが接続される。
個別通路32FL、FR、RL、RRの各々には、懸架シリンダ10FL、FR、RL、RRの各々に対応して、互いに並列に2つのアキュムレータ34FL、FR、RL、RR、アキュムレータ36FL、FR、RL、RRが接続される。また、懸架シリンダ10FL、FR、RL、RRとアキュムレータ36FL、FR、RL、RRとの間には、それぞればね定数切換弁38FL、FR、RL、RRが設けられる。
アキュムレータ34、36は、いずれもばね(ガスばね)としての機能を有するものであり、例えば、ハウジングとそのハウジングの内側を仕切る仕切部材とを含み、その仕切部材の一方の容積変化室に個別通路32が連通させられて作動液収容室とされ、他方の容積変化室に気体が収容されて気体室とされる。仕切り部材は、ブラダとしたりベローズとしたりすることができる。
アキュムレータ34,36において、作動液収容室の液圧により仕切り部材に加えられる液圧作用力と気体室の圧力により仕切り部材に加えられる弾性力とは常に釣り合っている。弾性力は、作動液収容室の容積の変化に伴って変化し、その変化量は、作動液の容積の変化量に応じた大きさとなる。アキュムレータ34,36は油空圧式サスペンション装置におけるガスばねとしての機能を有するものであり、アキュムレータ34,36のばね定数は、油空圧式サスペンション装置のばね定数に対応する。
アキュムレータ34,36の各々において、図10に示すように、ガス室に収容された気体の圧力、容積をPgas、Vgasとし、気体の温度をTgasとすると、式
Pgas・Vgas=K・Tgas
が成立する。気体室の圧力Pgas、容積Vgasは、温度Tgasが一定であれば、圧力Pgasと容積Vgasとの積は一定となる関係を保って(Pgas・Vgas:一定)変化する。
また、図10に示すように、圧力が高い場合は低い場合より容積変化量が同じ場合の圧力の変化量が大きいため、気体室に封入される圧力が高い場合は低い場合より、ばね定数が大きくなる。本実施例においては、アキュムレータ34の気体室に封入された気体の圧力がアキュムレータ36の気体室に封入された気体の圧力より高いため、アキュムレータ34のばね定数がアキュムレータ36のばね定数より大きいものとされる。以下、アキュムレータ34を高圧アキュムレータと称し、アキュムレータ36を低圧アキュムレータと称する。ばね定数切換弁38は、常開の電磁開閉弁であり、本実施例において、ばね定数切換機構が構成される。
個別通路32FL、FR、RL、RRには、それぞれ、可変絞り40FL、FR、RL、RRが設けられる。前述のように、車輪保持装置6の車体8に対する相対的な上下動により液室16において作動液が流入・流出させられるが、この場合に、可変絞り40によって個別通路32の流路面積が制御されることにより、懸架シリンダ10において発生させられる減衰力が制御されるのであり、減衰特性が制御される。
個別通路32FL、FR、RL、RRには作動液給排装置70が接続される。
作動液給排装置70は、高圧源72と、低圧源としてのリザーバ74とを備えた液圧源76、車高制御弁装置80等を含む。
高圧源72は、ポンプ81とポンプモータ82とを備えたポンプ装置84、蓄圧用アキュムレータ86等を含む。ポンプ装置84,蓄圧用アキュムレータ86等は作動液給排通路(制御通路)88に設けられる。ポンプ81によってリザーバ74の作動液が汲み上げられて吐出され、蓄圧用アキュムレータ86において加圧した状態で蓄えられる。
蓄圧用アキュムレータ86は常閉の電磁開閉弁である蓄圧制御弁90を介して作動液給排通路88に接続される。蓄圧制御弁90は、蓄圧用アキュムレータ86における作動液の流入・流出を許容する開状態と蓄圧用アキュムレータ86における作動液の流入・流出を阻止する閉状態とに切り換え可能なものである。
作動液給排通路88には圧力検出装置としての液圧センサ92が設けられ、作動液給排通路88のポンプ81の吐出側には、ポンプ81への逆流を防止する逆止弁94,消音用アキュムレータ96が設けられる。
また、ポンプ81の高圧側(逆止弁94より懸架シリンダ側)と低圧側とを接続する流出通路104が設けられ、流出通路104に流出制御弁106が設けられる。流出制御弁106は、ポンプ吐出液圧をパイロット圧とするメカ式の開閉弁である。ポンプ81の非作動時には連通状態にあるが、ポンプ81の作動により吐出液圧が高くなると遮断状態とされる。ポンプ81はギアポンプである。
液圧センサ92は、本来、作動液給排装置70が作動液供給装置(高圧源)として機能する場合に、それの液圧を検出するために設けられたものである。具体的には、ポンプ81の作動状態において(流出制御弁106が閉状態にある場合に)、ポンプ81の吐出圧を検出したり、アキュムレータ86に蓄えられた作動液の液圧を検出したりする。また、作動液給排通路88の液圧と懸架シリンダ10の液圧とが同じ場合の懸架シリンダ10の液圧を検出することもある。それに対して、ポンプ81が非作動状態にある場合(流出制御弁106が開状態にある場合)には、作動液給排通路88はリザーバ74に連通させられるため、液圧センサ92による検出圧力値はリザーバ圧力(大気圧)となる。作動液給排装置70は低圧源として機能するのであり、液圧センサ92によって、低圧源として機能する場合の圧力が検出される。
車高制御弁装置80は、個別通路32FL、FR、RL、RRに設けられた個別制御弁としての車高制御弁110FL、FR、RL、RRを含む。また、個別通路32FL、FRを接続する前輪側左右連通路111に左右連通弁112が設けられ、個別通路32RL、RRを接続する後輪側左右連通路113に左右連通弁114が設けられる。
これら車高制御弁110FL、FR、RL、RR、左右連通弁112,114は、常閉の電磁開閉弁であり、左右連通弁112,114の閉状態において車高制御弁110FL、FR、RL、RRを個別に制御することにより、各車輪4FL、FR、RL、RRの各々において、車輪保持装置6FL、FR、RL、RRとそれに対応する車体8の部分(懸架シリンダ10FL、FR、RL、RRに対応する部分)との間の距離である車高が独立に制御可能とされる。
本サスペンション装置は、コンピュータを主体とするサスペンションECU200によって制御される。サスペンションECU200は、実行部204,記憶部206,入出力部208等を含み、入出力部208には、ばね定数切換弁38、可変絞り40のコイル、作動液給排装置70(蓄圧用制御弁90,車高制御弁110,左右連通弁112、114のコイル、ポンプモータ82等)が図示しない駆動回路を介して接続されるとともに、液圧センサ92,前後左右の各輪毎に設けられ、車高をそれぞれ検出する車高センサ220,車高調整モード選択スイッチ224,車高調整指示スイッチ226,イグニッションスイッチ228,走行状態検出装置230,固縛スイッチ232,温度センサ234等がそれぞれ接続される。記憶部206には、図4のフローチャートで表されるばね定数制御プログラム、車高調整プログラム等の複数のプログラムやテーブル等が記憶される。
車高センサ220は、前後左右の各輪4FL、FR、RL、RR毎に設けられ、各車輪4FL、FR、RL、RRについて、それぞれ、車体8と車輪4との間の上下方向の相対位置関係である車高を検出する。
車高調整モード選択スイッチ224は、運転者によって操作されるものであり、スイッチ224の操作により、自動モードとマニュアルモードとのいずれか一方が選択される。
車高調整指示スイッチ226は、車高を高くする場合、車高を低くする場合等に操作されるスイッチで、運転者のマニュアル操作によって切り換えられる。
走行状態検出装置230は、車両の走行状態を検出するものであり、例えば、旋回走行中であるか、直進走行中であるかが検出される。走行状態検出装置230は、例えば、ヨーレイトセンサを含むものとしたり、舵角センサ、走行速度センサを含むものとしたり、横Gセンサを含むものとしたりすること等ができる。
固縛スイッチ232は、人によって操作可能なものであり、被運搬車Aを車両運搬車Bの荷台Cに載せて、ロープGで固縛した後にON操作が行われ(OFF状態からON状態に切り換えられ)、車両運搬車Bで目的地まで運搬された後、ロープGを外す前にOFF操作が行われ(ON状態からOFF状態に切り換えられ)るようにされている。
温度センサ234は、作動液の温度を検出するものである。作動液の温度を直接検出するものとしたり、外気温度等の環境温度を検出するものとしたりすることができる。なお、作動液の温度は、アキュムレータ34,36における気体の温度と同じであるとみなすことができる。
以上のように構成された油空圧式サスペンション装置における作動について説明する。
ばね定数切換弁38の制御によりばね定数が切り換えられる。
ばね定数切換弁38が開状態とされた場合には、液室16に2つのアキュムレータ34,36が連通させられて、ばね定数が小さい状態とされ、ばね定数切換弁38が閉状態とされた場合には、液室16から低圧アキュムレータ36が遮断されて高圧アキュムレータ34が連通させられるため、ばね定数が大きい状態とされる。本実施例においては、走行状態検出装置230によって旋回中であることが検出された場合、後述するように、固縛スイッチ232のON操作が検出された場合等に、ばね定数切換弁38が閉状態とされる。
懸架シリンダ10の各々において、減衰特性が可変絞り40の制御により制御される。
可変絞り40により個別通路32の流路面積が小さくされた場合(絞りが大きい場合)には、サスペンションの減衰特性がハード(車輪4と車体8との上下方向の相対移動速度が同じ場合に発生する減衰力が大きい状態)となり、流路面積が大きくされた場合(絞りが小さい場合)にはソフト(相対移動速度が同じ場合の減衰力が小さい状態)となる。
4つの車輪4FL,FR,RL,RRに対応する車高が作動液給排装置70の制御により制御される。
車高調整は、車高調整モード選択スイッチ224によって自動モードが選択された場合において、予め定められた条件が満たされた場合(車高調整要求が満たされた場合)に行われたり、マニュアルモードが選択された場合において、車高調整指示スイッチ226の指示があった場合(車高調整要求が満たされた場合)に、その指示に応じて行われたりする。
例えば、左右前輪4FL、4FRについて車高を高くする場合には、ポンプ81が作動させられ、車高制御弁110FL、110FRが開状態とされる。ポンプ81の作動により流出制御弁106が閉状態とされるため、ポンプ81から吐出された作動液が懸架シリンダ10FL、10FRに供給され、車高が高くなる。左前輪4FL、右前輪4FRの各々の車高の平均値が目標値に達すると、車高制御弁110FL、110FRが閉状態とされ、ポンプ81の作動が停止させられる。また、ロープGによって、車体Dと荷台Cとが固縛された状態、すなわち、車高が一定に保たれた状態で、懸架シリンダ10FL,10FRに作動液が供給されると、懸架シリンダ10FL,FRの液圧が高くなる。また、懸架シリンダ10FL,10FRに作動液が供給されると(ばね定数切換弁38FL,FRの開状態において)アキュムレータ34FL,FR、36FL,FRにも作動液が供給される。アキュムレータ34FL,FR、36FL,FRにおいて、気体室の圧力が大きくなり、ばね定数が大きくなる。
車高を低くする場合は、車高制御弁110FL、110FRが開状態とされる。ポンプ81は停止状態にあるため、流出制御弁106は開状態にある。懸架シリンダ10FL、10FRからリザーバ74に作動液が流出させられる。左前輪4FL、右前輪4FRの各々の車高の平均値が目標値に達すると、車高制御弁110FL、110FRが閉状態とされる。
左右後輪4RL、RRについて車高調整が行われる場合についても同様である。
被運搬車Aが車両運搬車Bによって運搬される場合には、液圧サスペンション装置におけるばね定数が大きくされる。
被運搬車Aは、概して上下方向に延びたロープGで荷台Cに固定されるのであるが、車両運搬車Bによって運搬される場合には、温度が低くなることに起因して懸架シリンダ10の液圧が低くなったり、アキュムレータ34,36における気体漏れに起因して液圧が低くなったりすることがある。アキュムレータ34,36において、気体の温度Tgasが低くなると、図10に示すように、容積Vgasが一定である場合には、圧力PgasがΔPdownだけ低くなる。気体の圧力PgasがΔPdown低くなると、懸架シリンダ10の液圧もΔPdown低くなるのである。また、アキュムレータ34,36において気体漏れが生じ(気体室から気体が漏れ)ても、液圧が低くなる。
車輪4に加えられる荷重W(ばね上重量に応じた大きさ)、アキュムレータ34,36によって加えられる弾性力Fa、サスペンションスプリング21の弾性力Fsとした場合、被輸送車Aの定常状態(人、荷物が積載されておらず、かつ、標準車高である状態)において(Fa0,Fs0:符号0を付す)、概略的には、式
W=Fa0+Fs0
が成立する。この式から、車輪4に加えられる荷重が一定である場合には、図11に示すように、アキュムレータ34,36の弾性力Faが小さくなると、車高が低くなり、スプリング21の弾性力Fsが大きくなることがわかる。
一方、被運搬車Aが輸送される場合には、車高が標準車高(ノーマル車高と称することもある)より低くされた状態でロープGによって固縛される。サスペンションスプリング21の弾性力Fsおよびアキュムレータ34,36により懸架シリンダ10に加えられる弾性力Faにより、ロープGに張力Frが加えられるのであり、この張力が、被運搬車Aを停止状態に保つのに必要な力(必要固縛張力)以上となるように、固縛されるのである。この固縛状態においては、概略的には、式
W+Fr=Fa+Fs
が成立する。すなわち、車両の定常状態における場合と比較すると、ロープGの張力Frの分だけ、弾性力Fa、Fsが弾性力Fa0、Fs0より大きくなるが、サスペンションスプリング21の弾性力は、車高によって一義的に決まるため、ロープGの張力Frは、アキュムレータ34,35の弾性力Faの変化に伴って変化させられる。
この固縛状態から、懸架シリンダ10の液圧が低下すると、アキュムレータ34,36の弾性力Faが小さくなり、それに伴って、ロープGの張力Frが小さくなるのであるが、さらに、弾性力Faが小さくなると、図11に示すように、車高が低くなり、ロープGが緩む。
そこで、本実施例においては、固縛スイッチ232がOFF状態からON状態に切り換えられると、ばね定数切換弁38が開状態から閉状態に切り換えられて、高ばね状態とされる。液圧サスペンション装置におけるばね定数が大きくされて、車高の低下量が小さくされるのであり、ロープGが緩み難くされる。また、ばね定数が大きくされれば、輸送中の振動に起因する被運搬車Aの車高の振動の振幅を小さくすることも可能である。
図4のフローチャートで表されるばね定数制御プログラムは、予め定められた設定時間毎に実行される。ステップ1(以下、S1と略称する。他のステップについても同様とする)において、固縛スイッチ232がON状態にあるか否かが判定され、ON状態にある場合には、S2において、ばね定数切換弁38(38FL、FR、RL、RRすべて)が閉状態とされ、高ばね状態とされる。本実施例において、高ばね状態におけるばね定数は設定値以上の大きさであり、運搬中に温度が低下して、液圧が低下してもロープGの緩み量が許容範囲内となる大きさである。
それに対して、固縛スイッチ232がOFF状態にある場合には、S3において、ばね定数切換弁38が閉状態にあるか否かが判定され、S4において、固縛スイッチ232が、今回、ON状態からOFF状態に切り換えられたか否かが判定される。今回、OFF状態に切り換えられた場合には、S5において、ばね定数切換弁38が開状態とされて、低ばね状態とされる。
図5に、ばね定数が大きい場合(アキュムレータ34)と小さい場合(アキュムレータ34,36)とのそれぞれにおける、車高と懸架シリンダ10の液圧との関係を示す。ばね定数が大きい場合における液圧変化を実線で示し、ノーマル車高時のばね定数を破線で示す。ばね定数が小さい場合における液圧変化を一点鎖線で示し、ノーマル車高時のばね定数を二点鎖線で示す。温度低下、気体漏れに起因する液圧低下量ΔPdownがほぼ同じである場合には、ばね定数が大きい場合は小さい場合より、車高の低下量が小さくなるため(ΔHk1<ΔHk2)、ロープGの緩みを小さくすることができる。
また、ばね定数が大きくされるため、車両運搬車Bにおける振動(外力)による被運搬車Aの周期的な車高の変化を抑制することも可能である。
さらに、運搬終了後、ロープGが作業者によって外される前に、ばね定数が小さくされるため、ロープGを外す場合の作業を容易にすることができる。
本実施例においては、ばね定数切換弁38等により流通状態切換機構が構成され、サスペンションECU200の図4のフローチャートで表されるばね定数制御プログラムのS1,2を記憶する部分、実行する部分等により流通制御部が構成される。これら流通制御部、ばね定数切換弁38等により固縛検出時サスペンション制御部が構成される。また、ばね定数切換弁38,流通制御部のうちの、S3〜5を記憶する部分、実行する部分等により固縛解除時サスペンション制御部が構成される。
なお、上記実施例においては、ばね定数切換弁38を閉状態に切り換えることにより、ばね定数が大きくされて、ロープGが緩み難くされたが、懸架シリンダ10の液圧を高くすることによって、ロープGが緩み難くされるようにすることができる。
固縛状態において(車高がほぼ一定に保たれた状態において)、懸架シリンダ10に作動液が供給されると、液圧が増加し、ロープGの張力が増加する。このように、輸送開始時に、ロープGの張力を予め大きくしておけば、その後、液圧が低下して張力が小さくなっても、ロープGが緩まないようにしたり、たとえ、緩んでも、緩み量を小さくしたりすることができる。
本実施例においては、固縛状態において、懸架シリンダ10の液圧が設定圧Pss以上となるように、制御されるのであるが、この設定圧Pssは、ロープGの張力が設定張力以上となって、温度低下に起因して液圧が低くなっても、ロープGの張力が必要固縛張力以上に保たれる大きさとされる。懸架シリンダ10の液圧は、前後左右の車輪4FL、FR、RL、RRについて、同時に制御されるようにしても、左右前輪4FL、FR、左右後輪4RL、RRについてそれぞれ制御されるようにしても、1輪ずつ制御されるようにしてもよい。
図6のフローチャートで表される固縛時液圧制御プログラムは、予め定められた設定時間毎に実行される。S11,12において、固縛スイッチ232のON操作が行われたか否かが判定される。すなわち、今回、ON状態にあり、前回OFF状態にあったか否かが判定されるのであり、S11,12の判定がYESである場合には、ON操作(OFF状態からON状態に切り換えられた)が行われたとすることができる。その場合には、S13〜18において、システム液圧が設定圧Pssとなるまで増加させられる。
ポンプモータ81が作動させられ、車高制御弁110が開状態に切り換えられ、液圧センサ92によって液圧が検出される。車高制御弁110が開状態にあり、液圧センサ92による検出液圧を液圧シリンダ10の液圧(システム圧)と同じであるとみなすことができる。液圧センサ92による検出液圧が設定圧Pssとなるまで、ポンプモータ81から作動液が供給されるのであるが、検出液圧が設定圧Pssに達すると、車高制御弁110が閉状態に切り換えられ、ポンプモータ81が停止させられる。ロープGに加えられる張力が設定張力とされるのである。
S1、19において、固縛スイッチ232のOFF操作が行われたか否かが判定される。すなわち、今回、固縛スイッチ232がOFF状態にあり、前回、ON状態にあったか否かが判定されるのであり、S1の判定がNOで、S19の判定がYESである場合には、OFF操作が行われたとすることができる。その場合には、S20〜23において、液圧シリンダ10の液圧が通常(固縛検出時)の高さ(標準液圧)P0に戻される。通常の高さP0は、液圧制御開始前の大きさP0であり、標準車高で、車体D(ばね上質量:人、荷物が積載されていない状態)を保ち得る高さである。
車高制御弁110が開状態に切り換えられ、懸架シリンダ10の作動液がリザーバ74に流出させられる。懸架シリンダ10の液圧が標準液圧P0まで低下すると車高制御弁110が閉状態に切り換えられる。
このように、固縛状態が検出された場合に、ロープGに加えられる張力を設定張力以上にしておけば、その後、温度低下等に起因して、液圧が低下してロープGに加えられる張力が小さくなっても、必要固縛張力を確保することができ、ロープGが緩まないようにすることができる。また、仮に、液圧の低下に起因して車高が低くなっても、車高の低下量を小さくすることができ、緩み量を抑制することができる。
また、懸架シリンダ10の液圧が高くされれば、アキュムレータ34,36の気体の圧力が高くなるため、ばね定数が実質的に大きくなる。そのため、車両運搬車Bの振動に起因する被運搬車Aの車高の変化を小さくすることができる。
さらに、ロープGを外す前に張力が小さくされるため、ロープGを外す作業を容易にすることができる。
本実施例においては、作動液給排装置70等により流体圧制御機構としての液圧制御機構が構成され、サスペンションECU200の図6のフローチャートで表される液圧制御プログラムのS11〜18を記憶する部分、実行する部分等により流体圧制御部としての液圧制御部が構成される。また、S19〜23を記憶する部分、実行する部分等により固縛解除時サスペンション制御部が構成される。
さらに、S19〜23において、ロープGを外す前に、液圧を、増加以前の大きさまで低くすることは不可欠ではなく、その時点より、低くすれば、低くしない場合に比較して、ロープGを外し易くすることができる。
また、作動液の温度に基づいて液圧の増加量(温度依拠増加量)を決定し、懸架シリンダ10の液圧を温度依拠増加量だけ増加させることができる。
作動液の温度(アキュムレータの気体の温度)が低い場合は高い場合より、懸架シリンダ10の液圧が低くなるため、ロープGの長さが決まっている場合には、ロープGの張力が小さくなることが多い。それに対して、温度が低い場合に高い場合より液圧増加量が大きくされれば、温度が低い場合であっても、ロープGの張力を設定張力まで増加させることができる。また、温度が高い場合も低い場合も増加量が同じとされている場合に比較して、温度が高い場合に、必要以上にロープGの張力を大きくすることがなくなり、ロープGの耐久性を向上させることができる。
この場合の温度と液圧増加量との関係は、図7のマップで表されるように予めテーブル化されて、記憶されている。
図8のフローチャートで表される固縛時状況対応液圧制御プログラムが予め定められた設定時間毎に実行される。固縛検出時状況対応液圧制御プログラムと図6のフローチャートで表される液圧制御プログラムとで、同じ内容のステップは、同じステップ番号を付して説明を省略する。
固縛時状況対応液圧制御プログラムにおいては、固縛スイッチ232のON操作が検出された場合に、S31において、温度センサ234により温度が検出され、S32において、図7のマップで表されるテーブルから温度依拠増加量ΔPが求められる。その後、増圧制御が行われるのであるが、S15において、液圧センサ92によって最初に検出された液圧(S33の判定がYES)が、S34において、初期値P0として記憶されて、実際の液圧増加量が、その後に液圧センサ92によって検出された液圧Pから初期値P0を引いた値とされる(P−P0)。そして、S35において、実際の液圧増加量が、S32において決定された温度依拠増加量ΔP以上になったか否かが判定される。実際の液圧増加量が温度依拠増加量より小さい間は、車高制御弁110が開状態に保たれるが、温度依拠増加量以上になると、S17,18において、車高制御弁110が閉状態とされて、ポンプモータ81が停止させられる。
また、S19〜23において、固縛スイッチ232のOFF操作が行われた場合には、液圧が初期圧P0まで小さくされて、ロープGの張力が小さくされる。
このように、液圧増加量を、気体の温度に基づいて決め、それに基づいてシステム液圧が制御されるようにすることができる。
本実施例においては、サスペンションECU200の固縛検出時状況対応液圧制御プログラムのS11〜16,17,18,31から35を記憶する部分、実行する部分等により固縛時状況対応制御部が構成される。
なお、外気温度を検出する外気温度センサを設け、外気温度に基づいて作動液の温度(気体の温度に対応)が推定されるようにすることができる。被運搬車Aが長時間屋外にあった場合には、作動液や気体の温度は外気温度と同じであるとみなすことができるのである。
また、外気温度に基づいて運搬中の液圧の低下量を推定し、それに基づいて、増加量を取得することができる。例えば、固縛検出時に、気体(作動液)の温度Tgasが外気温度Toutより高い場合には、運搬中に、温度が低下し、液圧が低下する。この場合に、予想される温度低下ΔT(Tgas−Tout)が大きい場合は小さい場合より、固縛検出時の液圧増圧量を大きくすることができる。温度の低下量が大きい場合は小さい場合より、運搬中の液圧低下量が大きく、ロープGが緩みやすいからである。本実施例においては、運搬中に温度が低下しても、ロープGの緩みを回避することが可能となる。また、温度低下が小さいと推定される場合に、ロープGの張力を必要以上に大きくすることがなくなるという利点もある。
それに対して、固縛検出時に、気体の温度Tgasが外気温度Toutより低い場合には、運搬中に、温度が上昇し、液圧が高くなると考えられる。この場合には、ロープGが緩む可能性は低いため、液圧増加量を小さくしたり、液圧が保持されるようにすることができる。また、予想される温度上昇(Tout−Tgas)が大きい場合等には、液圧を減少させることもできる。運搬中に、作動液の温度が高くなり、液圧が過大になると、液漏れ等を生じるおそれがあるからである。
本実施例において、固縛検出時(運搬前、運搬準備完了時)の気体(作動液)の温度と外気温度とは、それぞれ、別の温度センサによって検出されるようにしても、外気温度に基づいて気体(作動液)の温度が推定されるようにして、検出値と推定値とから、外気温度と作動液の温度とを取得することもできる。被運搬車Aが屋内にある場合等には、作動液の温度は、予め定められた設定温度であると推定されるようにしてもよい。
さらに、固縛状態が検出された場合には、油空圧式サスペンション装置における減衰特性をハードな特性とすることもできる。本実施例においては、固縛スイッチ232のON操作が検出された場合に、可変絞り40の制御により流路面積が小さくされる。可変絞り40は、通常は、流路面積が大きい状態とされ、減衰特性がソフトな特性とされているが、運搬中には、ハードな特性とするのである。
図9のフローチャートは、予め定められた設定時間毎に実行される。S51、52において、今回、固縛スイッチ232のON操作が行われたか否かが判定され、ON操作が検出された場合には、可変絞り40の制御により、懸架シリンダ10とアキュムレータ34,36との間の流路面積が小さくされる。流路面積は、予め定められた大きさまで(所望の減衰特性が得られる大きさまで)小さくしたり、温度等に基づいて決まる大きさとしたりすること等ができる。それによって、発生させられる減衰力が大きくなり、車高変化が生じ難くすることができる。
それに対して、固縛スイッチ232のOFF操作が検出された場合にはS54の判定がYESとなり、S55において、流路面積が大きくされ、ソフトな特性に戻される。
このように、本実施例においては、運搬中に、減衰特性がハードな特性とされるため、運搬中に車両運搬車Bの振動(外力)が被運搬車Aに加えられても車高の変化を抑制することができる。
本実施例においては、可変絞り40等により減衰特性制御機構が構成され、サスペンションECU200の図9のフローチャートで表される減衰特性制御プログラムを記憶する部分、実行する部分等により、減衰特性制御部が構成される。
以上のように、油空圧式サスペンション装置におけるばね定数の制御、液圧制御、減衰特性の制御についてそれぞれ説明したが、これら3つの制御のうちの2つあるいは3つの制御が実行されるようにすることができる。2つ以上の制御が実行されれば、より一層、ロープGを緩み難くすることができる。
次に、本発明の別の一実施例である油空圧式サスペンション装置について説明する。
図12において、符号300FL、FR、RL、RRは、車両に設けられた左右前後の車輪の各々に対応して、車輪側部材6FL、FR、RL、RRと車体側部材8との間に設けられたエアばねを示す。
各車輪に対応して、エアばね300FL、FR、RL、RRと並列に減衰装置としてのショックアブソーバ310FL、FR、RL、RRが設けられる。ショックアブソーバ310FL、FR、RL、RRは、それぞれ、シリンダ本体338が車輪側部材6に連結され、シリンダ本体338に摺動可能に設けられたピストン339のピストンロッド340が車体側部材8に連結される。本実施例においては、エアばね300FL、FR、RL、RRとショックアブソーバ310FL、FR、RL、RRとが同軸状に設けられる。
エアばね300FL、FR、RL、RRは、それぞれ、車体側部材8に固定されたエアチャンバ350と、ショックアブソーバ310FL、FR、RL、RRのシリンダ本体338と上下方向に相対移動不能に設けられたエアピストン352と、エアピストン352とチャンバ350とに固定されたダイヤフラム354とを含み、これらによって流体圧室356が形成される。
車輪側部材6と車体側部材8との間の上下方向の相対移動に伴ってエアピストン352がエアチャンバ350に対して相対移動させられる。
また、流体圧室356に存在する流体の量が多い場合は少ない場合により、流体圧、温度等が同じ場合に、流体圧室356の容積が大きくなり、その車輪について、車体側部材8と車輪側部材6との間の距離が大きくなり、車高が高くなる。エアばね300FL、FR、RL、RRにおいては、流体圧室356の容積が横方向に増加することが抑制されているため(ローリングガイドに沿って変形させられるため)、エアを供給することにより、ショックアブソーバ310FL、FR、RL、RRが伸長させられ、車輪側部材6FL、FR、RL、RRと車体側部材8との間の距離が大きくなるのである。
ショックアブソーバ310FL、FR、RL、RRの各々は、減衰特性が調整可能なものであり、減衰特性の制御により車輪側部材6FL、FR、RL、RRと車体側部材8との相対移動速度が同じである場合の減衰力を制御することができる。減衰力の制御についてはよく知られているため説明を省略するが、減衰特性制御用モータ360の制御により、ショックアブソーバのピストン339に設けられた連通路の流路面積が制御され(バルブが制御され)、減衰特性が制御される。流路面積が大きい場合は小さい場合より、減衰特性がソフトとなる。ピストン339の両側の上室と下室との間の作動液が流れ易くなり、移動速度が同じである場合の減衰力が小さくなる。
エアばね300FL、FR、RL、RRの流体圧室536は、それぞれ、個別通路370FL、FR、RL、RRおよび共通通路378を介してエア源装置380に接続される。
エア源装置380は、エア供給装置382と流出バルブとしての排気バルブ384とを含む。
エア供給装置382は、コンプレッサ390,高圧タンク392等を含む。コンプレッサ390は、ポンプ400,ポンプモータ402,吐出弁404および吸入弁406等を含む。ポンプモータ402によりポンプ400が作動させられる。フィルタ408,吸入弁406を経て大気からエアを吸入し、加圧して、吐出弁404を介して吐出する。本実施例においては、高圧タンク392にコンプレッサ390から吐出されたエアが蓄えられる。高圧タンク392に蓄えられたエアの圧力が設定範囲内にあるようにポンプモータ402が制御される。高圧タンク392のエア圧は、システム圧センサ410によって検出される。
高圧タンク392と共通通路378との間には、高圧タンクバルブ412が設けられる。高圧タンクバルブ412はソレノイドへの供給電流の制御により開閉可能な常閉弁である。
共通通路378には、ドライヤ420および流通制限装置422等が設けられる。流通制限装置422は、互いに並列に設けられた絞り426とリリーフ弁428とを含む。リリーフ弁428は、エアばね側からコンプレッサ側へのエアの流れを阻止するが、コンプレッサ側の圧力がエアばね側より設定圧以上高くなるとコンプレッサ側からエアばね側へのエアの流れを許容する。また、絞り426により、共通通路378におけるエアの流れが抑制される。
排気バルブ384は、共通通路378のドライヤ420とコンプレッサ390との間に設けられる。エアばね300FL、FR、RL、RRの流体圧室356から流出させられたエアは、排気バルブ384を経て大気に放出される。流体圧室356から流出させられたエアは絞り426,排気バルブ384を経て大気に放出されるようにされており、流体圧室356の圧力の急激な低下が抑制される。排気バルブ384は、ソレノイドへの供給電流の制御により開閉させられる常閉弁である。
個別通路370FL、FR、RL、RRには、それぞれ、車高制御弁430FL、FR、RL、RRが設けられる。車高制御弁430FL、FR、RL、RRはソレノイドへの供給電流の制御により開閉させられる常閉弁であり、車高制御弁430FL、FR、RL、RRの開閉制御により、エアばね300FL、FR、RL、RRの各流体圧室356におけるエアの流入・流出が個別に制御可能とされる。
以上のように、共通通路378には、コンプレッサ390,排気バルブ384,ドライヤ420,流通制限装置422,高圧タンク392が直列に設けられ、エア源装置380の高圧タンク側に流体圧室356が接続される。そして、エア源装置380の高圧タンク側とエアばね300FL、FR、RL、RR(車高制御弁430FL、FR、RL、RR)との間にシステム圧センサ410が設けられるが、車高制御弁430FL、FR、RL、RRのいずれかが開状態にある場合には、その開状態にある流体圧室56の流体圧を検出する。
サスペンションECU500は、実行部502,記憶部504,入出力部506等を含むコンピュータを主体とするものである。入出力部506には、システム圧センサ410,車高センサ510〜516、車高調整モード選択スイッチ224,車高調整指示スイッチ226,イグニッションスイッチ228,走行状態検出装置230,固縛スイッチ232,温度センサ234等が接続されるとともに、高圧タンクバルブ412,排気バルブ384,車高制御弁430FL、FR、RL、RRの各ソレノイド、ポンプモータ402,減衰特性制御モータ360FL、FR、RL、RR等が図示しない駆動回路を介して接続される。記憶部504には、図13のフローチャートで表されるエア圧制御プログラム、図15のフローチャートで表される減衰特性制御プログラム等が格納される。
図13のフローチャートで表されるエア圧制御プログラムは、図6のフローチャートで表される液圧制御プログラムに対応するプログラムであり、制御対象が、エア圧と液圧とで異なる。同様の内容のステップは同じステップ番号を付して説明を省略する。
エアチャンバ350内の流体圧室356において、エア圧Pと容積Vとの間には、図10に示す関係が成立する。そのため、エア圧Pが高い場合は低い場合よりばね定数が大きくなる。したがって、ばね定数が設定値以上となるように、エア圧の設定圧Psaが設定され、実際のエア圧が設定圧Psaとなるように流体圧室356へエアが供給される。ロープGによって固縛された状態においては、流体圧室356の容積はほぼ一定であるため、エアが供給されることにより、エア圧が高くなる。
図6のフローチャートで表される液圧制御プログラムにおける場合と同様に、固縛スイッチ232のON操作が検出された場合には、ポンプモータ402が作動させられ、車高制御弁430が開状態に切り換えられる。S101において、エア圧が検出され、S102において、実際のエア圧が、設定圧Psa以上になったか否かが判定される。実際のエア圧が設定圧Psa以上となると、車高調整弁430が閉状態とされて、ポンプモータ402が停止させられる。
また、固縛スイッチ232のOFF操作が検出された場合には、エア圧が固縛スイッチ232のON操作が検出される以前の大きさに戻されるが、その場合において、S103において排気バルブ384が開状態とされて、S20において、車高制御弁430が開状態とされる。流体圧室356のエアは、排気バルブ384を経て大気に放出される。S104において検出されたエア圧が元の大きさP0aに戻されると、S105の判定がYESとなり、S23,106において、車高制御弁430が閉状態とされて、排気バルブ384が閉状態とされる。
このように、流体圧室356のエア圧が大きくされると、図14に示すように、ばね定数が大きくされる。その結果、ショックアブソーバ330において、被運搬車Aに加えられる外力が同じ大きさである場合のピストンの移動量が抑制されるため、作動液の温度の増加を抑制し、液漏れ等を抑制することができる。
本実施例においては、エア源装置380,車高制御弁430等によりエア圧制御機構が構成され、サスペンションECU500の図13のフローチャートで表されるエア圧制御プログラムのS11〜18,101,102を記憶する部分、実行する部分等により、エア圧制御部が構成される。
なお、エア圧は、温度に基づいて決まる増加量だけ増加させられるようにすることもできる。エア圧は、温度が高い場合は低い場合より、高くなり、ばね定数が大きくなるため、そのことを考慮して、流体圧室356の増加量を決めるのである。
図15のフローチャートで表される減衰特性制御プログラムは、図9のフローチャートで表される減衰特性制御プログラムに対応するプログラムであり、制御対象が、上記実施例においては、可変絞り40のソレノイドであったのに対して、本実施例においては、減衰特性制御モータ360である点が異なる。固縛スイッチ232のON操作が検出されると、S111において、減衰特性制御モータ360の制御により、ピストンに設けられた流路面積が小さくされ、減衰特性が大きくされる。流路面積(減衰特性)が段階的に変化させられるようになっている場合には、予め定められた段数の特性に設定される。固縛スイッチ232のOFF操作が検出されると、S112において、減衰特性が通常の段数に戻される。ソフトな特性とされるのである。
減衰特性が大きくされれば、被運搬車Aの振動を抑制することができる。
また、エアばね300におけるエア圧の制御とショックアブソーバ310における減衰特性の制御との両方が実行されるようにすることができ、そのようにすることによって、より一層、ショックアブソーバ310における作動液の温度の上昇を抑制することができ、液漏れをより一層抑制することができる。
その他、本発明は、船、鉄道を走る列車で運搬される被運搬車の油空圧式サスペンション装置に適用することも可能である等前述に記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
本発明の一実施例である油空圧式サスペンション装置が搭載された車両が車両運搬車によって運搬される状態を示す図である。 上記車両運搬車の荷台を示す図である。 上記油空圧式サスペンション装置全体を示す図である。 上記油空圧式サスペンション装置のサスペンションECUの記憶部に記憶されたばね定数制御プログラムを表すフローチャートである。 上記ばね定数制御プログラムが実行された場合の液圧と車高との関係を示す図である。 上記サスペンションECUの記憶部に記憶された液圧制御プログラムを表すフローチャートである。 上記サスペンションECUの記憶部に記憶された固縛検出時状況対応液圧制御プログラムを表すフローチャートである。 上記サスペンションECUの記憶部に記憶された温度対応増加量決定テーブルを表すマップである。 上記サスペンションECUの記憶部に記憶された減衰特性制御プログラムを表すフローチャートである。 上記油空圧式サスペンション装置のアキュムレータにおける気体の圧力と容積との関係を示す図である。 上記油空圧式サスペンション装置における液圧と車高との関係と示す図である。 本発明の別の一実施例である油空圧式サスペンション(エアサスペンション)装置全体を示す図である。 上記エアサスペンション装置のサスペンションECUの記憶部に記憶されたエア圧制御プログラムを表すフローチャートである。 上記エア圧制御プログラムが実行された場合のエア圧と車高との関係を示す図である。 上記サスペンションECUの記憶部に記憶された減衰特性制御プログラムを表すフローチャートである。
符号の説明
10:懸架シリンダ 34,36:アキュムレータ 38:ばね定数切換弁 40;可変絞り 70:作動液給排装置 110:車高制御弁 200:サスペンションECU 232:固縛スイッチ 234:温度センサ 300:エアばね 310:ショックアブソーバ 356:エアチャンバ 360:減衰特性制御モータ 380:エア源装置 430:車高制御弁 500:サスペンションECU

Claims (9)

  1. 車両の流体圧式サスペンション装置であって、
    その流体圧式サスペンション装置を含む車両が被輸送車として輸送台に固縛部材によって上下方向の成分を含む方向に固縛された状態にあることを検出する輸送準備検出装置と、
    その輸送準備検出装置によって前記固縛状態にあることが検出された場合に、当該流体圧式サスペンション装置における流体圧と、車高の変化量に対する流体圧の変化量であるばね定数との少なくとも一方を、前記固縛状態が検出される前より大きくする固縛検出時サスペンション制御部と
    を含むことを特徴とする流体圧式サスペンション装置。
  2. 当該流体圧式サスペンション装置が、(a)車体側部材と車輪側部材との間に設けられた
    液圧シリンダと、(b)前記車高の変化に伴って、前記液圧シリンダとの間で作動液の授受
    を行う複数のアキュムレータと、(c)それら複数のアキュムレータのうちの1つ以上と前
    記液圧シリンダとの間に設けられ、それら1つ以上のアキュムレータと液圧シリンダとの間の作動液の流れを許容する状態と阻止する状態とに切換え可能な流通状態切換機構とを含み、前記固縛検出時サスペンション制御部が、その流通状態切換機構を制御することにより、前記ばね定数を設定値以上とするばね定数制御部を含む請求項1に記載の流体圧式サスペンション装置。
  3. 当該流体圧式サスペンション装置が、出力部の流体圧を制御可能な流体圧制御機構を含み、前記固縛検出時サスペンション制御部が、その流体圧制御機構を制御することにより前記出力部の流体圧を制御して設定圧以上とする流体圧制御部を含む請求項1または2に記載の流体圧式サスペンション装置。
  4. 当該流体圧式サスペンション装置が、出力部の流体圧を制御可能な流体圧制御機構を含み、前記固縛検出時サスペンション制御部が、その流体圧制御機構を制御することにより前記流体圧を、前記輸送準備検出装置によって前記固縛状態にあることが検出された場合における流体の温度と環境温度との少なくとも一方で決まる設定変化圧以上変化させる固縛検出時状況対応制御部を含む請求項1ないし3のいずれか1つに記載の流体圧式サスペンション装置。
  5. 当該流体圧式サスペンション装置が、(a)車体側部材と車輪側部材との間に設けられた
    液圧シリンダと、(b)前記車高の変化に伴って、前記液圧シリンダとの間で作動液の授受
    を行う1つ以上のアキュムレータとを含み、前記流体圧制御機構が、作動液を加圧して前記液圧シリンダに供給可能なポンプ装置を備え、少なくとも、そのポンプ装置から供給された作動液を利用して前記液圧シリンダにおける液圧を制御可能な液圧制御機構を含む請求項3または4に記載の流体圧式サスペンション装置。
  6. 当該流体圧式サスペンション装置が、(a)車体側部材と車輪側部材との間に互いに並列
    に設けられたショックアブソーバおよびエアチャンバと、(b)エアを加圧して前記エアチ
    ャンバに供給可能なポンプ装置と、(c)少なくとも、そのポンプ装置から供給されたエア
    を利用して、前記エアチャンバにおけるエア圧を制御可能なエア圧制御機構とを含み、前記固縛検出時サスペンション制御部が、前記エア圧制御機構を制御することによって前記エアチャンバにおけるエア圧を制御して、前記ばね定数を設定値以上とするエア圧依拠ばね定数制御部を含む請求項1に記載の流体圧式サスペンション装置。
  7. 当該流体圧式サスペンション装置が、さらに、(a)当該流体圧式サスペンション装置の
    減衰特性を制御可能な減衰特性制御機構と、(b)その減衰特性制御機構を制御することに
    より、前記減衰特性を、車高の変化速度が同じ場合に発生する減衰力が、前記輸送準備検
    出装置によって前記固縛状態が検出された場合に検出される前より大きくなる特性とする減衰特性制御部とを含む請求項1ないし6のいずれか1つに記載の流体圧式サスペンション装置。
  8. 当該流体圧式サスペンション装置が、さらに、前記被輸送車が前記固縛状態にあり、かつ、前記固縛部材による固縛を解除する予定であることが検出された場合に、前記流体圧と前記ばね定数との少なくとも一方を小さくする固縛解除時サスペンション制御部を含む請求項1ないし7のいずれか1つに記載の流体圧式サスペンション装置。
  9. 車両の流体圧式サスペンション装置であって、
    その流体圧式サスペンション装置を含む車両が被輸送車として輸送台に固縛部材によって上下方向の成分を含む方向に固縛された状態にあることを検出する輸送準備検出装置と、
    その輸送準備検出装置によって前記固縛状態にあることが検出された場合に、流体の温度が外気温度より低い場合には、当該流体圧式サスペンション装置における流体圧と、車高の変化量に対する流体圧の変化量であるばね定数との少なくとも一方を、前記固縛状態が検出される前より小さくする固縛検出時サスペンション制御部と
    を含むことを特徴とする流体圧式サスペンション装置。
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