JP4792781B2 - 薄膜トランジスタの製造方法 - Google Patents
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Description
これらの電子機器には従来と同様に電子回路が設けられており、この電子回路はトランジスタで形成されている。
現在のシリコン等の無機半導体材料を使用したトランジスタの製造には、高温のプロセスが必要である。
この方法として、有機トランジスタ、特に印刷法を用いて形成した有機トランジスタが、安価にフレキシブル基材上に形成する製造方法として知られている(例えば、非特許文献1参照)。
すなわち、印刷法を用いることにより、低温でのトランジスタ形成が可能であるため、フレキシブル基材として樹脂フィルムを使用でき、半導体が有機物であり、これを溶媒に溶解した溶液を印刷インキと同様に印刷することができ、高価な装置を用いる必要がなくなる。
また、無機物の場合でもプラスチックフィルムが耐えられる低温で製膜できる半導体材料が知られている(非特許文献2参照)。
「カギは有機トランジスタ 新材料で1MHz超へ」、日経エレクトロニクス、2004年2月16日号、p93-p113 Nature、vol.432 488ページ 、2004年
すなわち、上記製造方法を含め一般的には、印刷により電極を作製する場合、電気材料の溶液の溶媒を揮発させるため、印刷した直後に熱を印加する工程が不可欠となっている。
ここで、熱を印加することにより、フレキシブル基材である樹脂フィルムの寸法を変動させる要因となり、ゲート電極材料を印刷後に、直ちに加熱してゲート電極を形成し、その後にソース及びドレイン電極材料を印刷すると、ゲート電極と、ソース及びドレイン電極との相対的な位置関係を精度良く合わせることができなくなる。
しかしながら、上述した製造方法は、位置あわせのずれを許容するように設計されるため、各電極自体の寸法が大きくならざるを得ず、トランジスタの高精細化が行えなくなり、かつ、各電極間の容量が増加することで、トランジスタの特性が低下するという問題がある。
この製造方法に用いられる上記電極材料の溶液または分散体は、導電性ペーストとして知られている材料であり、金属粉などの導電性フィラーを樹脂及び溶媒と練り合わせてインキ状にされた材料である。
従来例に記述したように、一般的には上記溶媒を、熱を印加させて乾燥することが行われており、この熱による寸法変動により、ゲート電極と、絶縁性のフィルムを介し、このゲート電極に対向するソース及びドレイン電極との位置合わせの精度が低下し、トランジスタの電気特性を低下させている。
このため、本発明の実施形態においては、導電性ペーストにおける溶媒を除去するため、熱で加熱して揮発させるのではなく、真空乾燥を行うことで溶媒を揮発させている。
したがって、本発明においては、真空乾燥させて導電性ペーストの溶媒を揮発させるため、フィルムの寸法変動が少なく、以降の電極の位置合わせが容易である。
これらの導電性ペーストは、その用途により、特に薄膜トランジスタの形成において、積層される材料の溶媒に対する溶解性に応じて適当なものを選択できる。
そして、本発明の実施形態においては、ゲート電極と、ソース電極及びドレイン電極とのいずれか一方の電極が印刷されて真空乾燥された後、他方の電極を位置合わせして印刷する。
このため、この後に印刷される他方の電極の導電性ペーストにおける溶媒を乾燥させる際、熱を印加させることができるため、熱硬化型ペーストも用いることができる。
上述したように、あらかじめゲート絶縁膜として形成されたフィルムに対し、印刷法により電極を形成して有機トランジスタを製造する場合、この印刷法により印刷して、電極のパターン形状に加工される材料、すなわち有機溶媒を含む材料を用いる対象としては、ゲート電極、ソース・ドレイン電極、そして半導体の三つの各層である。
ここで、一般に有機半導体材料の溶媒に対する溶解度が低いため、その溶液のほとんどは有機溶媒であり、ソース・ドレイン電極が乾燥型の導電性ペーストにより形成されていると、有機半導体材料の溶液中の有機溶媒により、印刷されたソース・ドレイン電極のパターンが膨潤して、電極としての形状が破壊される。
このため、ソース・ドレイン電極を形成した後に、有機半導体層を形成する製造工程においては、先に形成されたソース・ドレイン電極が、滴下される溶液に含まれる有機溶媒に耐性を有することが必要であり、このソース・ドレイン電極の材料としては熱硬化型の導電ペーストを使用する必要がある。
なお、実施形態において用いる有機半導体は芳香族化合物であり、一方、導電性ペーストの溶媒は脂肪族化合物が主であり、その含有量も少ない。
このため、有機半導体は、導電性ペーストの溶媒に対してほとんど溶解せず、有機半導体層の形成の後に、導電性ペーストを印刷して、ソース・ドレイン電極を有機半導体層上に加工形成しても、有機半導体層が溶解してパターンが破壊される問題は起こらない。
また、有機半導体溶液の乾燥も電極と同様に真空乾燥を用いることができる。
ゲート電極と、ソース・ドレイン電極各々は、ゲート絶縁膜のフィルムの異なった面に対向して形成されるため、一方の面に対して先に印刷した電極材料(溶液)を真空乾燥して、その後他方の面に、上記一方の面に形成した電極に対向する電極の電極材料を印刷するようにすればよい。
そして、ボトムコンタクト構造においては、ソース・ドレイン電極の上に半導体層が形成されるため、上述したように、ソース・ドレイン電極の電極材料として、熱硬化性の導電性ペーストが要求される。
一方、トップコンタクト構造においては、半導体層の上にソース・ドレイン電極が形成されるため、ソース・ドレイン電極材料として、乾燥型の導電性ペーストまたは熱硬化型の導電性のペーストのいずれをも用いることができる。
したがって、上記トップコンタクト構造であれば、全ての層の形成に熱を印加する必要が無く、真空乾燥による溶媒の揮発を行うことで、トランジスタを作製可能である。
また、ボトムコンタクト構造であれば、ゲート絶縁膜となるフィルムの表裏の面に、それぞれ電極を印刷した後、先に作製する面の電極を乾燥型の導電性ペーストにより形成して乾燥させた後、他方の面に乾燥型または熱硬化型の導電性ペーストを用いて、乾燥又は加熱によりトランジスタを作製できる。
しかしながら、ボトムコンタクト構造のように、ゲート電極とソース・ドレイン電極とのパターン形成に対し、連続して行われる一連の工程において、先に形成する電極に対して、乾燥型の導電ペーストを用いた真空乾燥による電極のパターン形成を行うため、先に形成した電極に対して位置合わせを行い、他の電極を形成する次工程まで、熱を印加することがないため、この熱によるフィルム(樹脂フィルム基材)の寸法変動が起こらず、トランジスタの電気特性の低下が問題とならない。
また、前記樹脂フィルム基材は、膜厚が0.1μm〜2μmの範囲内であることが望ましく、2μmを超えると、トランジスタのゲート絶縁膜として使用した際、高い電圧を印加しなければ動作し難くなり、トランジスタに対しての使用が困難となる。
また、熱硬化性ペーストは、導電材料と、樹脂(例えば、ポリオール)と、架橋剤(例えば、イソシアネート)と、溶媒(グリコールエーテル)とを所定の比率にて混ぜたものであり、加熱されることにより、溶媒が揮発されて樹脂が架橋剤により硬化し、導電材料を固定する。
さらに、他の熱硬化性ペーストとしては、導電材料と、樹脂(例えば、フェノール樹脂)と、溶媒(グリコールエーテル)とを所定の比率にて混ぜたものであり、加熱されることにより、溶媒が揮発されてフェノールが熱により硬化し、導電材料を固定する。
さらに、半導体層としては、ポリチオフェン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリチエニレンビニレン誘導体、ポリアリルアミン等の既知の有機半導体や、InGaZnO系、InGaO系、ZnGaO系、InZnO系、ZnO、SnO2等の酸化物半導体が使用可能である。
これらの半導体材料は溶媒に可溶な場合は溶媒に溶解して、インクジェット、スタンプ法等の印刷方法で製膜できる。また、溶媒に溶解しない場合でも、スパッタやレーザアブレーション、有機金属化学気相成長等の低温での製膜が可能な真空プロセスで製膜できる。
また、ゲート電極、ソース・ドレイン電極及び有機半導体層の各パターンを印刷法を用いて形成する際、印刷法として、公知の印刷法である凸版印刷、凹版(グラビア)印刷、平板印刷及びスクリーン印刷のような有版印刷、またはインクジェット印刷、静電印刷のような無版印刷を用いることができる。
ゲート電極やソース・ドレイン電極の形成にはスクリーン印刷が適しており、一方、有機半導体層の形成にはインクジェット印刷が最良である。
以下、本発明の第1の実施形態による薄膜トランジスタの製造方法を図面を参照して説明する。図1は同実施形態の製造過程の各段階におけるトランジスタ構造の断面を示す概念図である。
この図において、粘着フィルム(型番:TP300、日東電工製)10に、ゲート絶縁膜として、厚さ1.2ミクロンのPEN(ポリエチレンナフタレート)フィルム20(型番:Q70、帝人デュポン製)をラミネートして(貼り合わせて)固定した(図1(a))。
なお、この粘着フィルム10は、粘着剤(粘着層10a)の厚さを印刷されたゲート電極30の厚さ10μmに対し、30μmと十分厚くしたため、粘着剤がゲート酸化膜30の凹凸を吸収し、ゲート電極30の凹凸の影響による、PENフィルム20の変形は無視できる。
そして、上記有機トランジスタの電気特性を測定すると、図2に示すトランジスタ(薄膜トランジスタ)の電圧-電流特性が得られ、本実施形態による製造方法により、良好な特性を有するトランジスタが製造されることが判る。
図2には、有機トランジスタの電圧-電流特性を示し、横軸がドレイン電圧Vd[V]、縦軸がドレイン電流Id[A]であり、各曲線がゲート電圧Vg[V]を印可した場合に対応している。
次に、本発明の第2の実施形態による薄膜トランジスタの製造方法を図面を参照して説明する。図3は同実施形態の製造過程の各段階におけるトランジスタ構造の断面を示す概念図である。
この図において、粘着フィルム(型番:TP300、日東電工製)10に厚さ1.2ミクロンのPENフィルム20(帝人デュポン製)をラミネートして固定した(図3(a))。
なお、この粘着フィルム10は、粘着剤10aの厚さを、印刷されたゲート電極30の厚さ10μmに対し、30μmと厚くしたため、第1の実施形態において述べたように、ゲート電極30による凹凸の影響による、PENフィルム20の変形は無視できる。
そして、上記薄膜トランジスタの電気特性を測定すると、第1の実施形態の製造方法により形成された薄膜トランジスタと同様に、図2に示すトランジスタの電圧-電流特性が得られ、本実施形態による製造方法により、良好な特性を有するトランジスタが製造されることが判る。
以下、本発明の第1の実施形態による薄膜トランジスタの製造方法を図面を参照して説明する。図1は同実施形態の製造過程の各段階におけるトランジスタ構造の断面を示す概念図である。
この図において、粘着フィルム(型番:TP300、日東電工製)10に、ゲート絶縁膜として、厚さ1.2ミクロンのPEN(ポリエチレンナフタレート)フィルム20(型番:Q70、帝人デュポン製)をラミネートして(貼り合わせて)固定した(図1(a))。
なお、この粘着フィルム10は、粘着剤(粘着層10a)の厚さを印刷されたゲート電極30の厚さ10μmに対し、30μmと十分厚くしたため、粘着剤がゲート酸化膜30の凹凸を吸収し、ゲート電極30の凹凸の影響による、PENフィルム20の変形は無視できる。
そして、上記薄膜トランジスタの電気特性を測定すると、図2に示すトランジスタ(薄膜トランジスタ)の電圧-電流特性が得られ、本実施形態による製造方法により、良好な特性を有するトランジスタが製造されることが判る。
図2には、薄膜トランジスタの電圧-電流特性を示し、横軸がドレイン電圧Vd[V]、縦軸がドレイン電流Id[A]であり、各曲線がゲート電圧Vg[V]を印可した場合に対応している。
10a…粘着剤
20…PENフィルム
30…ゲート電極
40…ソース・ドレイン電極
50…半導体層
Claims (5)
- ゲート絶縁膜としてのフィルムのいずれかの面にゲート電極、それと異なる面にソース・ドレイン電極を、導電性材料が有機溶媒により溶解された溶液または分散体を印刷することにより形成する薄膜トランジスタの製造方法であって、
前記フィルムの一方の面に、いずれか一方の電極のパターン形状を前記溶液または分散体により印刷する工程と、
先に印刷された前記電極のパターン形状の溶液または分散体を真空乾燥し、有機溶媒を揮発させて電極を形成する工程と
を有することを特徴とする薄膜トランジスタの製造方法。 - 前記フィルムの他方の面に対し、導電性材料が有機溶媒により溶解された溶液または分散体を、他方の電極のパターン形状に印刷する工程と、
前記印刷された他方の電極のパターン形状の溶液を加熱し、有機溶媒を揮発させてソース及びドレイン電極を形成する工程と
を有することを特徴とする請求項1記載の薄膜トランジスタの製造方法。 - 前記フィルムの一方の面に形成された電極に対向させ、他方の面に他方の電極を形成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の薄膜トランジスタの製造方法。
- 前記フィルムのいずれかの面に形成された前記ゲート電極に対向させ、他方の面に有機半導体材料の溶液を有機半導体層パターンとして塗布する工程と、
前記有機半導体材料の溶液を乾燥させ、有機溶媒を揮発させて有機半導体層を形成する工程と
を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の薄膜トランジスタの製造方法。 - 前記フィルムのいずれかの面に形成された前記ゲート電極に対向させ、他方の面に酸化物半導体材料により酸化物半導体層を堆積させ、酸化物半導体パターンを形成する工程
を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の薄膜トランジスタの製造方法。
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