本発明の一実施形態の配線器具は、例えば、壁などの造営材に埋め込み設置される配線器具であって、図1(b)に示すように、造営材への埋め込み設置に用いられる取付枠1と、スイッチ本体3およびハンドル4からなるスイッチ装置2(図1(a)参照)と、コンセント装置5と、プレート枠6と、化粧カバー7と、表示片8とを備えている。
なお、取付枠1を用いて配線器具の埋め込み設置を行うにあたっては、一般的には埋め込みボックス(図示せず)が用いられる。ここで、埋め込みボックスは、造営材に開孔された埋込孔(図示せず)内に設置されるものであって、前面が開口した箱状に形成され、前端部には、取付枠1を取り付けるためのねじ(ボックスねじ)9(図2(a)参照)に対応するねじ孔(図示せず)が設けられている。
取付枠1は、例えば、絶縁性を有する樹脂材料からなる合成樹脂成形品であって、図2(a)に示すように、互いに並行する一対の取付片10,10と一対の取付片10,10の長さ方向(図2(a)における左右方向)における一端部(図2(a)における右端部)同士および他端部(図2(a)における左端部)同士をそれぞれ連続一体に連結する一対の連結片11,11とを有し、取付片10,10および連結片11,11で囲まれた空間部により取付窓12が構成されている。なお、以下の説明では、一対の取付片10を区別するために、必要に応じて、一方の取付片(図2(a)における上側の取付片)10を符号10Aで示し、他方の取付片(図2(a)における下側の取付片)10を符号10Bで示す。
各取付片10の長さ方向中央部には、ボックスねじ9用のねじ挿通孔10aが前後方向(厚み方向)に貫設され、各取付片10のねじ挿通孔10aにおける取付窓12側とは反対側には、プレート枠6の取り付けに用いられるねじ孔10bが前後方向に貫設されている。
一方の取付片10Aは、図2(a)に示すように、他方の取付片10Bに比べて、幅方向(図2(a)における上下方向)の長さが長く(すなわち幅広に)形成されており、取付片10Aの前面側における長さ方向の両側それぞれには、図2(b)および図4(a)に示すように、ハンドル4の操作時に後述するハンドル本体40と接触してハンドル4の操作を妨げることがないようにハンドル本体40との接触を防止する接触防止用凹部10cが形成されている。接触防止用凹部10cを取付片10Aに設けた際には、接触防止用凹部10cの深さだけ取付片10Aの厚みが薄くなるために、取付片10Aにおける長さ方向中央部の強度が低下し、ねじ挿通孔10aに挿通させたボックスねじ9を締め付けた際に、ボックスねじ9の締め付けによって取付枠1が変形してしまうおそれがある。しかしながら、本実施形態では、接触防止用凹部10cは、取付片10Aの長さ方向中央部に近付くにつれて深さが浅くなるように形成されているので、取付片10Aにおける長さ方向中央部の強度が低下することを抑制できるから、ねじ挿通孔10aに挿通させたボックスねじ9を締め付けた際に、ボックスねじ9の締め付けによって取付枠1が変形してしまうことを防止できる。
また、取付片10Aの長さ方向における他端部には、図2(a)および図4(a)に示すように、ハンドル本体40の脱落防止に用いられる係止孔10dが前後方向に貫設されている。ところで、本実施形態では美観を考慮して、接触防止用凹部10cを取付片10Aの長さ方向の両側に設けているが、必ずしも取付片10Aの長さ方向の両側に設ける必要はなく、図4(b)に示すように、係止孔10dが設けられている側とは反対側となる取付片10Aの長さ方向における一端側、すなわちハンドル4が押し操作される側に設けておけばよい。
他方の取付片10Bの長さ方向の両端側それぞれには、化粧カバー7の取り付けに用いられる取付孔(以下、「第1取付孔」と称する)10eが前後方向に貫設されている。
ところで、本実施形態における取付枠1には、図2(a)に示すように、連結片11,11間を一体に連結する長尺状の仕切り片13が設けられている。つまり、本実施形態の取付枠1の取付窓12は、仕切り片13によって、取付片10A、一対の連結片11、および仕切り片13で囲まれた取付窓12の一部からなる第1空間部12aと、取付片10B、一対の連結片11、および仕切り片13で囲まれた取付窓12の他部からなる第2空間部12bとに二分されている。
ここで、第1空間部12aは、スイッチ装置2のスイッチ本体3の取り付けに用いられるものであり、また、第2空間部12bは、スイッチ装置2の他の配線装置(本実施形態では、コンセント装置5)の取り付けに用いられるものである。これら第1空間部12aおよび第2空間部12bの大きさは、例えば、JISなどの所定の規格に基づいて形成された従来の取付枠(本実施形態の取付枠1とは構成が異なる図示しない取付枠)の取付窓(図示せず)から前面を露出させた形で、最大3個まで連設して前記従来の取付枠に取り付けることができるように寸法設定された単位寸法(所謂、1個モジュール寸法)に対応した大きさに形成されている。ただし、第1空間部12aおよび第2空間部12bの大きさは、同一規格の1個モジュール寸法に対応する大きさとしてもよいし、互いに異なる規格の1個モジュール寸法に対応する大きさとしてもよい。また、1個モジュール寸法に限らず、2個モジュール寸法などに変形したり、その他の大きさに変形したりしてもよい。要は、使用するスイッチ装置2や、その他の配線装置の大きさにも基づいて適宜設定すればよい。
加えて、仕切り片13の長さ方向(図2(a)における左右方向)の両端側それぞれには、化粧カバー7の取り付けに用いられる取付孔(以下、「第2取付孔」と称する)13aが前後方向に貫設されている。また、仕切り片13の前面における第1空間部12a側には、その長さ方向の両側それぞれに、図2(a)および図3に示すように、ハンドル4の操作時にハンドル本体40と接触してハンドル4の操作を妨げることがないようにハンドル本体40との接触を防止するための凹部13bが形成されている。この凹部13bは、接触防止用凹部10cと同様に、仕切り片13の長さ方向中央部に近付くにつれて深さが浅くなるように形成されている。
このような仕切り片13の幅方向(図2(a)における上下方向)の大きさ(すなわち、取付枠1の長さ方向におけるスイッチ本体3とコンセント装置5との間隔)は、コンセント装置5にACアダプタやプラグなどを接続した際に、ACアダプタなどがスイッチ装置2と干渉することを避けることが可能な大きさとしている。したがって、ACアダプタや、デジタルカメラ、ビデオカメラのバッテリーの充電器などの大型のプラグでも、スイッチ装置2が邪魔になることなくコンセント装置5に確実に接続できる。なお、仕切り片13を設けたことによって、スイッチ本体3は、取付枠1の長さ方向(図2(a)における上下方向)の中央部ではなく、若干、取付片10Aによった位置に取り付けられることになる。
一対の連結片11において、第1空間部12aに対応する部位には、スイッチ本体3の取り付けに用いられる一対の係合孔(以下、「第1係合孔」と称する)11a(図1(b)参照)が連結片11の長さ方向(図2(a)における上下方向)に離間するように形成されている。また、一対の連結片11において、第2空間部12bに対応する部位には、コンセント装置5の取り付けに用いられる一対の係合孔(以下、「第2係合孔」と称する)11bが連結片11の長さ方向に離間するように形成されている。
プレート枠6は、図7(a)および図8に示すように、取付枠1の取付窓12およびその周部を前方に露出させるとともに、内側にハンドル4が配置される矩形状の窓孔6aを有する縦長の矩形枠状に形成されたものであって、取付枠1の前面側に取り付けられるプレート本体60と、プレート本体60の前面側の全面を覆う形でプレート本体60に取り付けられるプレートカバー61とで構成されている。また、プレート枠6の窓孔6aは、少なくともプレート本体60を取付枠1に取り付けた状態で造営材への取り付けを可能とするために、取付枠1の各取付片10のねじ挿通孔10aを前方に臨ませる大きさに形成されている。
プレート本体60には、取付枠1のねじ孔10bとそれぞれ連通する連通孔(図示せず)が前後方向に貫設されており、この連通孔を挿通させたねじ(図示せず)をねじ孔10bに螺着することで、プレート本体60を取付枠1に取り付けることができるようになっている。また、プレート本体60の前面側には、複数個所に孔部(図示せず)が設けられており、プレートカバー61の後面側に突設した爪部(図示せず)を前記孔部に引っ掛けることで、プレートカバー61をプレート本体60に取り付けることができる。なお、プレート本体60およびプレートカバー61の両方は、絶縁性を有する樹脂材料からなる合成樹脂成形品である。このようなプレート枠6は従来周知のものを採用できるから、詳細な説明は省略する。
化粧カバー7は、例えば、絶縁性を有する樹脂材料からなる合成樹脂成形品であって、その外形寸法が、取付枠1における第2空間部12bの周部の全周を覆うことができる大きさに設定されるとともに、プレート枠6の窓孔6a内に収まる大きさに設定されている。また、化粧カバー7の外形寸法は、取付枠1に取り付けた際に、前後方向において、第1空間部12aとは重ならないように設定されている。化粧カバー7の中央部には、第2空間部12bと連通して、第2空間部12bを利用して取付枠1に取り付けられた配線装置(本実施形態では、コンセント装置5)の前面を露出させる矩形状の開口窓7aが形成されている。
また、化粧カバー7の後面側には、取付片10Bの一対の第1取付孔10eそれぞれに対応する第1取付爪(図示せず)と、仕切り片13の一対の第2取付孔13aそれぞれに対応する第2取付爪7b,7bとが一体に突設されており、第1取付爪を第1取付孔10eに、第2取付爪7bを第2取付孔13aに、それぞれ嵌め込むことによって、図5(a)に示すように、化粧カバー7を取付枠1の前面側に取り付けることができるようになっている。さらに、化粧カバー7の前面側には、ハンドル4の操作時にハンドル本体40と接触してハンドル4の操作を妨げることがないように、逃げ部7cが形成されており、これによって化粧カバー7の前面における長手方向一端側が他端側に比べて後方に位置している。
スイッチ装置2は、図1(b)に示すように、取付枠1の取付窓12から前面を露出させるとともに第1空間部12aを占有した形で取付枠1に取り付けられたスイッチ本体3と、スイッチ本体3の前面側に揺動自在に取り付けられスイッチ本体3の操作に用いられるハンドル4とを備え、ハンドル4の押し操作によってオンオフが切り替えられる所謂ピアノハンドル式のスイッチ装置である。
スイッチ本体3は、例えば、図2(a)に示すように、第1空間部12aに取り付け可能な外径寸法(例えば、前記の1個モジュール寸法)のものである。スイッチ本体3は、内部に、スイッチ機構(図示せず)を備えており、前面側の長手方向一端側(図2(a)における右端側)には、前記スイッチ機構を操作するための押釦ハンドル3aが設けられている。ここで、前記スイッチ機構は、押釦ハンドル3aが押し込まれる度にオンオフが切り換わるように構成されている。
また、スイッチ本体3の前面側の長手方向他端側(図2(a)における左端側)には、スイッチ本体3の短手方向(図2(a)における上下方向)を回転軸方向としてハンドル4を回動自在(揺動自在)に枢着するための一対の軸部3bが前方に突設されている。さらに、スイッチ本体3の前面側における一対の軸部3b間の部位には、前記スイッチ機構のオンオフ状態をLEDなどの光源(図示せず)の点灯状態によって表示するための発光表示部3cが設けられている。加えて、スイッチ本体3の長手方向両側面それぞれには、取付枠1の一対の第1係合孔11aそれぞれと係合する一対の係合爪(以下、「第1係合爪」)3dが突設されており、この第1係合爪3dを取付枠1の第1係合孔11aに係合させることでスイッチ本体3を取付枠1に取り付けることができるようになっている。また、スイッチ本体3の前面側の長手方向一端側には、ハンドル4の揺動範囲を規制するための一対の規制用孔部3eが短手方向に離間して設けられている。一方、スイッチ本体3の後面側には、商用電源等の交流電源や、負荷などを前記スイッチ機構に接続するための速結端子などの端子(図示せず)が設けられている。なお、このようなスイッチ本体3は、従来周知のものを採用できるから詳細な説明は省略する。
ハンドル4は、図6(a),(b)に示すように、第2空間部12bを露出させる形でスイッチ本体3の前面側に取り付けられた前述のハンドル本体40と、取付窓12の全体部を覆う形に形成され、ハンドル本体40および第2空間部12bを覆いハンドル本体40と共動する閉状態とハンドル本体40および第2空間部12bの両方を露出させる開状態とを有するようにハンドル本体40の前面側に開閉自在に取り付けられたハンドルカバー41とを備えている。なお、ハンドル本体40およびハンドルカバー41の両方は、絶縁性を有する樹脂材料からなる合成樹脂成形品である。
ハンドル本体40は、図1(b)に示すように、その外形寸法が、取付片10Aの前面側と、第1空間部12aより露出するスイッチ本体3の前面側とを覆うことができる大きさに設定されるとともに、プレート枠6の窓孔6a内に配置できる大きさに設定されている。
ハンドル本体40の後面側においてスイッチ本体3の軸部3b,3bに対応する部位(図9における左端側の部位)には、板ばね42とともにスイッチ本体3の軸部3b,3bを軸支する軸受部を構成する軸受用突片40aが形成されている。ここで、前記軸受部は、図9に示すように、板ばね42が軸受用突片40aよりも外側(図9における左端側)に位置する形に構成されている。ハンドル本体40の後面側においてスイッチ本体3の一対の規制用孔部3e,3eそれぞれに対応する部位(図9における右端側の部位)には、一対の規制片40b,40bが形成されている。
また、ハンドル本体40の後面側においてスイッチ本体3の押釦ハンドル3aと対向する部位には、押釦ハンドル3aの長手方向中央部に当接する当接片40cが突設されている。さらに、ハンドル本体40の後面側において取付枠1の係止孔10dに対応する部位には、係止片40dが設けられており、係止片40dを係止孔10dに差し入れて係止片40dを係止孔10dの縁部に係止させることによって、ハンドル本体40の脱落が抑制される。加えて、ハンドル本体40においてスイッチ本体3と前後方向で重ならない部位には、ハンドル本体40に板状のマグネット部43を取り付けるための収納凹所40eが設けられている。ここで、マグネット部43の固定は、収納凹所40e近傍に設けた突起部40fを溶融させることなどによって行う。
一方、ハンドル本体40の前面側における短手方向一端側には、長方形状のリブ40gが一体に突設されている。リブ40gの長手方向両側面それぞれには、ハンドルカバー41をハンドル本体40に開閉自在(回動自在)に取り付けるために用いられる軸受孔40hが形成されている。
また、ハンドル本体40においてスイッチ本体3の発光表示部3cと対応する部位には、ハンドル本体40を前後方向に貫通する透孔40iが形成されており、この透孔40iに透孔40i内の空間を満たすようにレンズ45が配置される。このレンズ45は、ハンドル本体40の後面側に形成された嵌合突起40jをレンズ45に形成した嵌合孔部45aに嵌め込むことによってハンドル本体40に取り付けられる。
ハンドルカバー41は、図1(a),(b)に示すように、プレート枠6の窓孔6aの開口サイズよりやや小さいサイズに形成されており、ハンドルカバー41を窓孔6a内に配置した際には、ハンドルカバー41と窓孔6aの内面との間には、ハンドル4の操作を妨げない程度の隙間が生じるようにしている。
ハンドルカバー41にはハンドル本体40のリブ40gが内側に配置される切欠部41aが形成されており、この切欠部41aの長手方向両内側面それぞれには、リブ40gの各軸受部40hそれぞれに軸支される軸部41bが一体に突設されている。
ハンドルカバー41の後面側において、ハンドル本体40の収納凹所40eに対応する部位には、マグネット部43に吸着される磁性材料(鉄など)からなる板状の磁性材料部44を取り付けるための収納凹部41cが形成されている。磁性材料部44は、収納凹部41c内に収納された状態でハンドルカバー41に取り付けられる。ここで、磁性材料部44の固定は、収納凹部41c近傍に設けた突起部41dを溶融させることなどによって行う。なお、ハンドル本体40の前面側には、突起部41dとの干渉を防止するために、円形状の逃げ凹部40kが設けられている。
また、ハンドルカバー41の後面側において、第2空間部12bに対応する部位には、第2空間部12bを利用して取付枠1に取り付けられたコンセント装置5との干渉を防止するための干渉防止用凹部41eが形成されている。さらに、ハンドルカバー41の短手方向一端側(図6(a)における右端側)には、プレート枠6の前面に当接することで、ハンドル4の過剰な押し込みを防止するための長尺状の突片41fが設けられている。
ハンドルカバー41は、ハンドル本体40の軸受部40hそれぞれに軸部41bを軸支させることによって、ハンドルカバー41の後面側がハンドル本体40の前面側に当接することでハンドル本体40および第2空間部12bを覆いハンドル本体40と共動する閉状態と、ハンドル本体40および第2空間部12bの両方を露出させる開状態とを有するようにハンドル本体40の前面側に開閉自在に取り付けられる。そして、閉状態では、ハンドルカバー41に設けられた磁性材料部44が、ハンドル本体40のマグネット部43に吸着されるから、磁力によって、閉状態が保持される。つまり、マグネット部43およびマグネット部43に吸着される磁性材料部44によって、ハンドルカバー41を閉じた状態(閉状態)に保持する保持手段が構成されている。
このような保持手段によれば、スイッチ装置2の操作性の悪化を防止しながらも、ハンドルカバー41の開閉操作を容易に行えるようになる。
なお、本実施形態では、マグネット部43をハンドル本体40に設け、磁性材料部44をハンドルカバー41に設けているが、逆であってもよい。要するに、マグネット部43および磁性材料部44の一方が、前後方向でスイッチ本体3と重ならない形でハンドル本体40に設けられ、他方は、ハンドル本体40に設けられた一方に対応する形でハンドルカバー41に設けられていればよい。
コンセント装置5は、例えば、図2(a)に示すように、第2空間部12bを利用して取付枠1に取り付け可能な外径寸法(例えば、前記の1個モジュール寸法)のものである。コンセント装置5は、JISなどで規定されたプラグ(例えば、A型プラグ)の各栓刃(図示せず)がそれぞれ挿入される一対の栓刃挿入口5a,5aを有する機能面を前面に備えており、コンセント装置5内には、プラグの各栓刃に対応する刃受部(図示せず)が収納されている。一方、コンセント装置5の後面には、商用電源などの電源に電気的に接続される電源線を刃受部に接続するための速結端子などからなる端子部(図示せず)が設けられている。また、コンセント装置5の長手方向両側面それぞれには、取付枠1の一対の第2係合孔11bそれぞれと係合する一対の係合爪(以下、「第2係合爪」)5bが突設されており、この第2係合爪5bを取付枠1の第2係合孔11bに係合させることでコンセント装置5を取付枠1に取り付けることができるようになっている。なお、このようなコンセント装置5は、従来周知のものを採用できるから詳細な説明は省略する。
表示片8は、ハンドル4をスイッチ本体3に取り付ける方法を表示する表示部として用いられるものであって、例えば、図5(a)に示すように、取付枠1の取付片10Aの前面側に貼付されるシールからなる。この表示片8の前面側には、例えば、図5(b)に示すように、ハンドル4をスイッチ本体3に取り付ける方法を示す説明文および図面が記載されている。したがって、ハンドル4がスイッチ本体3から外れてしまった際に、表示片8を見れば、ハンドル4をスイッチ本体3に取り付けることが可能となるから、わざわざ専門家などに依頼したり、付属の取扱説明書などを探してハンドル4のスイッチ本体3への取り付け方法を確認したりする手間を省くことができる。なお、このような説明文および図面は、図5(b)以外では省略している。
なお、本実施形態では、表示片8により表示部を構成しているが、このような表示片8を設ける代わりに、取付枠1などに文字を印刷したり彫り込んだりすることで、表示部を構成するようにしてもよい。また、このような表示部は必ずしも取付枠に設ける必要はなく、通常の使用時においては露出せず、ハンドル4がスイッチ本体3から外れたときに露出するような位置に設けておけばよい。
ところで、本実施形態の配線器具では、取付枠1にプレート枠6を取り付けた際には、図8に示すように、スイッチ本体3とプレート枠6における窓孔6aの内周面との隙間から取付片10Aのねじ挿通孔10aを挿通したボックスねじ9が露出している。また、コンセント装置5とプレート枠6における窓孔6aの内周面との隙間から取付片10Bのねじ挿通孔10aを挿通したボックスねじ9が露出するとともに、コンセント装置5と取付枠1との係合部分を構成する第2係合爪5bが露出している。
ここで、配線器具の使用中にボックスねじ9に触れると、感電してしまうおそれがあり、また、第2係合爪5bに触れると、コンセント装置5が取付枠1から外れてしまうおそれがある。さらに、スイッチ本体3やコンセント装置5とプレート枠6における窓孔6aの内周面との隙間に物が挟まってしまうおそれもある。
そこで、本実施形態における配線器具では、第2係合爪5bを触れられないように隠すために、図7(b)に示すように、化粧カバー7に、第2係合爪5bの前面側の全面を覆う隠蔽部(以下、「第1隠蔽部」と称する)7dを設けている。また、ボックスねじ9を触れられないように隠すために、ハンドル本体40に、取付片10Aのねじ挿通孔10aを挿通したボックスねじ9の前面側の全面を覆う隠蔽部(以下、「第2隠蔽部」と称する)40lを設けるとともに、化粧カバー7に、取付片10Bのねじ挿通孔10aを挿通したボックスねじ9の前面側の全面を覆う隠蔽部(以下、「第3隠蔽部」と称する)7eを設けている。これに対応して、ハンドルカバー41には、第2隠蔽部40l、第3隠蔽部7eそれぞれとの干渉を防止するための逃げ凹所41g,41hを設けている。
このような隠蔽部7d,7e,40lは、スイッチ本体3およびコンセント装置5の少なくとも一方とプレート枠6における窓孔6aの内周面との隙間の少なくとも一部を隠蔽するようなものであればよい。隠蔽部7d,7e,40lと同様な隠蔽部を適宜設けることによって、スイッチ本体3およびコンセント装置5の少なくとも一方とプレート枠6における窓孔の内周面との隙間に、指や物などが挟まったりしてしまうことを抑制できるから、怪我や、配線器具の破損などのトラブルの発生を抑制できる。
本実施形態の配線器具は、上述した取付枠1と、スイッチ装置2と、コンセント装置5と、プレート枠6と、化粧カバー7と、表示片8とを備えており、以下にその組立方法について説明する。
まず、取付枠1に、図2(a),(b)および図3に示すように、スイッチ本体3と、コンセント装置5とを取り付ける。スイッチ本体3の取付枠1への取り付けは、スイッチ本体3の前面側を取付枠1の第1空間部12a内に配置するとともに、スイッチ本体3の第1係合爪3dを取付枠1の第1係合孔11aに係合させることにより行われ、スイッチ本体3は、取付枠1の取付窓12から前面を露出させるとともに第1空間部12aを占有した形で取付枠1に取り付けられる。また、コンセント装置5の取付枠1への取り付けは、コンセント装置5の前面側を取付枠1の第2空間部12b内に配置するとともに、コンセント装置5の第2係合爪5bを取付枠1の第2係合孔11bに係合させることにより行われ、コンセント装置5は、取付枠1の取付窓12から前面を露出させるとともに第2空間部12bを占有した形で取付枠1に取り付けられる。
その後には、取付枠1の前面側に、図5(a)に示すように、化粧カバー7をその第1取付爪を第1取付孔10eに、第2取付爪7bを第2取付孔13aに、それぞれ嵌め込むことによって取り付ける。また、表示片8を取付枠1の取付片10Aの前面側に貼付する。
また、取付枠1の前面側に、図5(b)に示すように、プレート枠6を取り付ける。プレート枠6を取り付けるにあたっては、プレート本体60の連通孔を挿通させたねじを取付枠1のねじ孔10bに螺着してプレート本体60を取付枠1の前面側に取り付けた後に、プレートカバー61の後面側に突設した前記爪部をプレート本体60の前記孔部に引っ掛けることで、プレートカバー61をプレート本体60に取り付ける。
最後に、ハンドル4をスイッチ本体3に取り付けることにより、図1(a)に示すような配線器具が得られる。ハンドル4をスイッチ本体3に取り付けるにあたっては、ハンドル4をプレート枠6内に配置するとともに、ハンドル本体40の軸受部にスイッチ本体3の各軸部3bを軸支させるとともに、ハンドル本体40の係止片40dを取付枠1の係止孔10dに差し入れてから、ハンドル本体40の規制片40bをスイッチ本体3の規制用孔部3eに差し入れる。ここで、プレート枠6の窓孔6の開口サイズは、ハンドルカバー41の外形サイズよりやや大きい程度の大きさに形成されているため、ハンドル4を窓孔6a内に配置した際には、ハンドル4がスイッチ本体3に対する取り付け位置に位置することになる。つまり、プレート枠6における窓孔6aの内周面を、ハンドル4をスイッチ本体3に対する取り付け位置に案内するガイドとして利用できる。
次に、本実施形態の配線器具の動作について説明する。配線器具は、コンセント装置5を使用しない場合には、図7(a)に示すように、ハンドルカバー41を閉めてコンセント装置5を隠した閉状態とされる。この閉状態では、ハンドルカバー41とハンドル本体40が共動するため、ハンドルカバー41の前面を押し操作することで、ハンドル本体40の当接片40cによってスイッチ本体3の押釦ハンドル3aが押し込まれる。したがって、閉状態では、ハンドルカバー41の前面を押し操作することによって、スイッチ装置2のオンオフを切り替えることができる。
コンセント装置5を使用したい場合は、ハンドル4のハンドルカバー41を開いて開状態とすればよい。開状態では、図7(b)に示すように、ハンドル本体41の前面側および第2空間部12bが窓孔6a内に露出するから、第2空間部12bを利用して取付枠1に取り付けられたコンセント装置5が窓孔6a内に露出して、コンセント装置5の使用が可能となる。また、この開状態では、ハンドル本体41の前面を押し操作することによって、スイッチ装置2のオンオフを切り替えることができるので、スイッチ本体3の押釦ハンドル3aを直接的に押し操作しなくて済むから、スイッチ装置2の操作性が悪化することがない。
ところで、図9に示すように、ハンドルカバー41を開いてハンドルカバー41の前面側がプレート枠6の前面側に当接した状態からさらにハンドルカバー41を開こうとした(すなわち、ハンドルカバー41を限界以上に開こうとした)場合には、ハンドルカバー41とプレート枠6との接触部分が支点、当該支点に対してハンドル本体40とは反対側のハンドルカバー41の部位が力点となって、ハンドル本体40に、ハンドルカバー41の軸部41bを軸支する軸受部40h近傍が前方に引き出されるような力が作用する。このような場合、板ばね42が軸受片40aよりも外側に位置しているから、軸部3dによって板ばね42が外側に押圧されて撓み、軸受部からスイッチ本体3の軸部3bが外れることになる。
このように、ハンドル本体40は、ハンドルカバー41を限界以上に開いた際に、スイッチ本体3から外れるようにスイッチ本体3に取り付けられているから、ハンドルカバー41を限界以上に開いてしまっても、ハンドル本体40やスイッチ本体3などが破損してしまうことを防止できる。
一方、コンセント装置5を使用する必要がなくなった場合には、ハンドルカバー41を閉めて閉状態とすればよい。ハンドルカバー41を閉める際には、ハンドルカバー41をハンドル本体40にある程度近づけた段階で、ハンドルカバー41の磁性材料部44がハンドル本体40のマグネット部43に吸着され、その後は、自動的にハンドルカバー41が閉状態まで閉じられる。
以上述べた本実施形態の配線器具によれば、ハンドルカバー41を開いた開状態では、第2空間部12bが露出するから、第2空間部12bを利用して取付枠1に取り付けた配線装置であるコンセント装置5を、ハンドルカバー41を開くだけの簡単な作業で使用することが可能となる。しかも、ハンドルカバー41が取付窓12の全体部を覆う形に形成されているから、従来のようにハンドルの一部が開閉して配線装置が露出する場合に比べれば、ハンドル4に一体感があり、美観を向上できる。加えて、ハンドルカバー41を閉じた閉状態では、ハンドル本体40とハンドルカバー41とが共動するから、スイッチ装置2の操作を容易に行うことができる。また、この状態では、ハンドルカバー41によってコンセント装置5が露出しないように覆われるから、スイッチ装置2を操作する際に誤ってコンセント装置5の充電部に触れて、感電してしまうことなどを防止できる。また、コンセント装置5の極間に埃が溜まったりすることを防止でき、トラッキングによる火災などが発生することを防止できる。
ところで、配線器具はスイッチ装置2とコンセント装置5とを備えるので、例えば配線器具を一般的なスイッチ装置2が設置される高さ位置に設置すれば、コンセント装置5にプラグを接続する際に腰をかがめたりする必要がなくなり、プラグの抜き差しを容易に行うことができる。そのため、常時プラグをコンセントに接続せずに使用時にのみプラグを接続するような機器や、プラグの着脱の多い機器、例えば掃除機や、シェーバー、デジタルカメラ、ビデオカメラなどのバッテリー充電器などを使用する際に非常に便利である。特に、既設のコンセントに前記の機器を接続しようとした場合には、既にコンセントが埋まってしまっている場合が多く、必要なときに使用できないことがあるが、本実施形態の配線器具を用いれば、必要に応じてコンセント装置5を使用できるため、このような問題も解決することができる。
なお、本実施形態では、ハンドルカバー41は、ハンドル本体40の長手方向を回転軸方向としてハンドル本体40の短手方向他端部(図7(b)における左端部)に回動自在に取り付けられているが、この例に限らず、ハンドル本体40の短手方向一端部(図7(b)における右端部)に回動自在に取り付けてもよいし、ハンドル本体40の短手方向を回転軸方向とするようにしてもよい。また、ハンドルカバー41は、スライドにより開閉するように構成されていてもよい。
また、本実施形態では、配線装置としてコンセント装置5を例示しているが、配線装置としては、タイマー装置や、モジュラジャック装置など、状況に応じて好適な装置を用いることが可能である。