JP4787117B2 - 水上乗り物 - Google Patents
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Description
この傾き運動は、支持杆17にピン19を中心として、揺動自在に支持された揺動杆18の操作杆16の運動方向とは逆向きの第2段目の運動に変換され、揺動杆18の上部の運動を、揺動杆18の上部に長孔20を介して係合したピン54により船外機50に伝達し、船外機50を操作杆16とは、逆方向にステアリングシャフト53を中心として回動させ、操舵を行う。
上記した従来技術では、変換機構30の船外機50側と艇体60側の操舵可能連結は、支軸12に対して直立保持される揺動杆18と船外機50のピン54との連結は、揺動杆18に設けた長孔20でなされている。
本発明は、主に以上の問題点を解決すべくなされたものである。
次に、駆動部を前後方向且つ下方に開放した係合溝とし、従動部を係合溝に係合するスティック状係合部とし、係合溝に係合部を前後方向、且つ下方から係脱可能としたので、艇体側の駆動部の前後開放、下方開放にの係合溝に、推進装置側のスティック状係合部を係合し、駆動部と従動部とを連結するようにしたので、艇体の傾きによる転舵駆動作動を、駆動部の左右揺動として推進装置の係合部に確実に伝達し、且つチルト操作時における推進装置側の係合部の離脱は、係合溝が前後方向とともに下方に開放しているので、円滑、容易、確実になされる。
さらに、チルトアップから推進可能状態への復帰も、推進装置を下げることで、従動部側の係合部が駆動部側の係合溝に前方から係合することでなされ、復帰操作も容易であり、さらに、係合溝とスティック状係合部の構造なので、構造が簡素で、部品点数も少なく、組立、製造が簡易で、コスト的も極めて有利である。
図1は、艇体に推進装置を揺動転舵機構を介して装着した状態の水上乗り物を示す全体の外観側面図である。
水上乗り物としては実施例では一人乗りのサーフボードを示している。
艇体1の上面1d上には、艇体1上に乗った操縦者Mが把持するハンドル部3、艇体上の左右に配置され、前後方向に延びる横枠部4を有する支持枠2を有し、横枠部4の前端部、前後方向中間部、及び後部の下方に垂下設置された吸盤5…(…は複数を表す。以下同じ)で艇体上面1dに支持枠2は固定されている。
支持枠2の左右の横枠部4の後端部には、屈曲部4aを介して上方に略L形に起立する起立部4bを設け、起立部4bには基板7を架設、固着する。支持枠2は、例えばパイプ材で構成されている。
基板7は、図3、図4、図6などで明らかなように、左右に長い矩形厚手の板状体であり、左右の起立部4b、4b間に架設されており、図1、図3に示す4cは、左右の横枠部4,4の後半部〜後部に架設したクロス部材である。
これらの図面を参照しつつ説明する。
船外機10は小排気量の小型のものを示し、図2に示すように上部にエンジン11を収容した上部のエンジンカバー19、下部のアンダーカバー20、下方に延出されたエクステンションケース21、その下方のギヤケース22を備える。
支持外筒部26に後述するベース部材25は取付、支持されており、また、支持外筒部26の上部相当部に、スターンブラケット24をチルト動自在に支持したブラケット23が取付、支持されており、船外機10は、支持外筒部26に抱持されて回転自在である。
クランクシャフト12の上端部のフライホイール12aの上には、リコイルスタータ機構13が付設され、エンジンカバー19の一部の上方に露出した始動ロープ13aを引張してエンジンを始動し、クランクシャフト12の下端部にはクラッチ機構14を介して駆動軸15の上端部を連結されている。
ギヤケース22内において前後方向を向いて配置された水平な被動軸17、ギヤ伝達機構16を介してエンジン出力は伝達される。この被動軸17の後端部は、ギヤケース22の後部から後方に突出し、後端部にプロペラ18が固着され、エンジン11の動力でプロペラ18を駆動する。
スターンブラケット24は、前後方向に延びる上部の横部24aの前端部が、チルト軸124により、支持ブラケット23の前部23a(図3参照)に、これを左右から挟むように、回動可能に連結されている。
支持板8は基板7よりも厚手の矩形板状部材で構成されており、実施例では左右の下方位置にフロート(補助浮体)9,9を備え、フロート9,9は後述する船外機10の姿勢を鉛直に保持する作用を行う。フロート9,9は、図3に示すように下部が前後に広がった前後の支持枠部9a,9aの下端部間に前後向きに支持されており、支持枠部9a,9aは、前後に幅狭のL形上部9b,9bで、支持板8の左右両側部8aの前後面に取り付け、支持されて、中間部には前後方向にクロス部材9cが夫々架設されている。
一方、支持板8の中央部には、支持孔35を板厚方向に貫通するように設け、該支持孔35にメタルブッシュ37を介して支軸32の後部32bを回転自在に挿通し、支軸32周には位置決め鍔部36を突設して位置決めを行う。
以上により、船外機10の艇体1に対する揺動支持機構30を構成する。
このように、支持板8に取付支持された船外機10は、支軸32を中心として基板7、即ち、艇体1に対して回動自在に支持されることとなる。
艇体側の基板7の後面の左右方向中央部で、その下部には、下方に垂下突出するように変換機構40(揺動転舵機構)の第1操作子を構成する駆動部41(駆動アーム部)を固定、設置する。
駆動部41は、側面視が略Z形で、上部41aを基板7の中央部下部にボルト43,43で固着し、後方に段状に突出し、且つ基板7の下縁7aの下方に垂下した板状の本体部41bの左右方向中央部には、下方に少し拡開する形状の略逆V形の係合溝42が形成されている。
従って、艇体1側の駆動部41の係合溝42は、船外機10側の係合部45をチルト運動方向、即ち、前後方向には出入りが自在であり、従って、係合部45はこの方向では係脱自在である。
一方、船外機10のチルト運動方向とは異なる方向、即ち、転舵(操舵)方向では、艇体1の傾きによる転舵駆動力を伝達する構造である。
従動部44は、図7に示したように幅広の基部44aの後部に弧状で二股状の取付部44b,44bを備え、この部分をギヤケース22の上部22aの前半部外周に溶接等して固着し、前方に突出するように設ける。
この状態を図2、図5、図6、図7で示した。
図8は、艇体が水平な状態を示す図であり、図9は、艇体を左に傾動させ、左に転舵する状態を示す図(図では、前後が逆なので左右が逆に表れる)であり、図10は、艇体を右に傾動させ、右に転舵する状態を示す図(同様に、図では前後が逆なので左右が逆に表れる)である。
操縦者は艇体1の上で重心移動させることで、艇体1は左右に傾動する。この際、船外機10は、左右のフロート9,9の作用で鉛直に保持される。
艇体1の右方向への傾きで、これと一体化している基板7は同方向に傾き、基板7の中央部下部に垂下設置した駆動部41は、艇体の傾き方向とは反対側に、偏寄するように一体的に傾き運動する。
係合部45の係合溝42に対する係合は、係合部45が先端部45aが半球状の丸棒部材であり、係合溝42は下開きの逆V形であり、左右の内側面42b,42bが断面弧状なので、駆動部41の傾き運動に際し、係合溝42内で係合部45は円滑に摺接しつつ摺動し、駆動部41が運動した方向に従動部44を運動させる。
この結果、艇体1が傾斜した方向に船外機10は揺動し、艇体を傾けた方向に転舵されることとなる。
図6の中立位置Aから図の左側に駆動部41が傾動することで、従動部44の係合部45が係合溝42内で図の左方に摺動して移動している状態が示され、転舵位置Bとなる。 従動部42の係合部45は船外機10側に配設されており、前記したように水平状態に保持されているので、水平なラインLに沿って同一平面内で図の左方に移動する。
従って、船外機10の推進力で推進しつつ、艇体1の重心移動で、艇体が傾斜する方向に船外機の転舵を行うことができる。
船外機10をチルト軸124を中心として矢印(イ)方向である上方へ揺動可能な状態である。
ところで、前記したブラケット25はゴム等の弾性体からなり、エクステンションケース21の最大幅位置の外側面を挟んで前後にわたっており、最大幅位置を乗り越えることで開放され、船外機10をチルト軸124を中心として矢印(イ)方向である上方へ揺動可能な状態に構成されている。
このチルト作動により、船外機10のギヤケース22の上部に、一体に連結されている従動部44のスティック状(棒状)係合部45は、固定の艇体1側に設けた駆動部42の前後に開放され、且つ下方に開放された係合溝42から、下方に弧状の軌跡を描きつつ後方に抜け出し、係合溝42から離脱する。
この状態を図12で示し、係合部45は船外機10と一体に後方且つ上方に傾動し、駆動部41の係合溝42から離脱した状態となる。図2ではチルト作動の途中を鎖線110で示した。
この際、船外機10側の係合部45は、艇体1側の固定、静止状態にある駆動部41の係合溝42に対峙し、図2の鎖線110の状態から駆動部41の前後方向且つ下方に開放する係合溝42に前方且つ下方から入り込み、図1、図2、図5、図8、図11に示すように、船外機10が直立状態となり、艇体1側の駆動部41に対し、船外機10側の従動部44と連結状態となる。
図示では小型水上乗り物としてサーフボードの例を示したが、サーフボードやボート以外の浮体や小型ボート等に実施可能である。
また艇体への着脱自在な装着機構として吸盤を用いたが、艇体への着脱自在な装着機構はこれに限られない。
水上乗り物の形態によっては、吸盤以外の装着機構を採用することもあり、例えばセールやマスト部が着脱自在のウインドサーフィンボードにおいては、既設の雌雄の装着機構を利用し、相手側の装着具を利用することも可能であり、装着機構は上記した吸盤に限られない。
また実施の形態では推進部(推進装置)として船外機を用いたが、船外機に代えウオータジェットポンプとすることも可能である。
Claims (1)
- 水上乗り物の艇体と、水上乗り物の側に設けられ、水上乗り物の前後方向を向いて設けられた支軸を中心に揺動自在に連結された推進装置と、艇体の傾き運動を、推進装置の操舵運動に変換して伝達する変換機構とを備える水上乗り物において、
前記変換機構は、前記支軸を中心とした艇体の傾き運動を推進装置に伝達するための艇体側に設けられた駆動部と、推進装置側に設けられ、前記駆動部と係合する従動部とからなり、
前記艇体側の駆動部と、推進装置側の従動部との連結を、推進装置のチルト運動方向とは異なる方向で連結し、推進装置のチルト運動方向では開放するようにし、
前記駆動部は前後方向且つ下方に開放した係合溝を備え、前記従動部は、該係合溝に係合するスティック状係合部を備え、係合溝に係合部を前後方向、且つ下方から係脱可能とした、
ことを特徴とする水上乗り物。
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