JP4787117B2 - 水上乗り物 - Google Patents

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Description

本発明は、サーフボードなどのような艇体に着脱自在に連結した推進装置で推進し、艇体と推進装置とは揺動自在とし、艇体の重心移動などの操縦による艇体の左右への傾きと関連させて推進装置を転舵することができるようにした水上乗り物に関するものである。
サーフボードなどの艇体に支軸を中心として推進装置を揺動自在に装着し、重心移動で艇体を左右に傾き運動させ、艇体の左右の傾きを変換機構を介して推進装置に伝達し、推進装置を左右に動かして操舵する水上乗り物を出願人(発明者等)は提案した(特許文献1参照。)。
特開2005−280627公報
特許文献1においては、艇体60(以下に特許文献1の公報中の符号を示す。以下同じ)に推進装置50(船外機)を前後方向(横向き)の支軸12を中心とした揺動自在に連結し、艇体の左右の傾き運動を、縦向きのステアリングシャフト53を中心として操舵自在に支持された船外機50の操舵作動に変換する変換機構30を備える。
変換機構30は、艇体60側の支軸12の上方に設けた操作杆16と、船外機50側支軸12の上方に設けた支持杆17と、支持杆17にピン19(揺動支軸)で揺動自在に枢支した揺動杆18とを備える。艇体60側の操作杆16は、揺動杆18のピン19よりも下方位置で揺動杆18にピン21で枢着し、揺動杆18の揺動支軸19の上方の部分に長孔20を設け、該長孔20に、船外機50の上部の前面に前後方向(横向き)に突設したピン54を係合して構成されている。
以上においては、重心移動などによる艇体60の左右の傾き運動で、支軸12の上方に設けられた操作杆16は、第1段目として、艇体60の傾き運動側と同じ側に傾く。
この傾き運動は、支持杆17にピン19を中心として、揺動自在に支持された揺動杆18の操作杆16の運動方向とは逆向きの第2段目の運動に変換され、揺動杆18の上部の運動を、揺動杆18の上部に長孔20を介して係合したピン54により船外機50に伝達し、船外機50を操作杆16とは、逆方向にステアリングシャフト53を中心として回動させ、操舵を行う。
以上の従来技術は、艇体60の傾きに応じてその傾き運動の第1段目として取り出すための操作杆16が、中立位置から艇体60の傾く側に偏寄し(操作杆16は艇体側の同じ側に傾く)、この偏寄とは逆側(操作杆の動きとは反対側の動き)に運動を変換して船外機装置50の第2段目以降の運動として伝達する必要がある。この結果、構造の複雑化、その分の部品点数の増加、製造コストが嵩むなどの不利がある。
特に特許文献1の技術は、艇体60の傾きを2段目の揺動で伝達する揺動杆18と、船外機50の係合は、揺動杆18の長孔20と船外機50のピンとの係合であり、揺動杆18と艇体側の操作子16とはピン21で連結されているので、変換機構30は艇体60、船外機50を揺動は可能であるが、連結した状態にある。
とろこで船外機50は、格納や浅瀬航行などの必要性から、艇体60側に対してスターンブラケット52のチルト軸を中心として回動させ、上傾可能な構造を採用している。
上記した従来技術では、変換機構30の船外機50側と艇体60側の操舵可能連結は、支軸12に対して直立保持される揺動杆18と船外機50のピン54との連結は、揺動杆18に設けた長孔20でなされている。
以上においては、船外機50をチルト作動させる場合、チルトアップ方向にオーバーハングが形成されるので、チルト角度が浅く制限されてしまうこと、或いは長孔20とピノ18との係合関係から、船外機50の転舵角度を大きく設定することができなくなる。
本発明は、主に以上の問題点を解決すべくなされたものである。
本発明は、艇体に推進装置(船外機)を変換機構を介して操舵可能に連結した水上乗り物において、艇体に対し、変換機構を介して推進装置を連結しつつ、推進装置のチルト作動を、容易に、円滑に行い得るようにし、且つ簡素な構造で実現し得るようにした水上乗り物を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、水上乗り物の艇体と、水上乗り物の側に設けられ、水上乗り物の前後方向を向いて設けられた支軸を中心に揺動自在に連結された推進装置と、艇体の傾き運動を、推進装置の操舵運動に変換して伝達する変換機構とを備える水上乗り物において、変換機構は、支軸を中心とした艇体の傾き運動を推進装置に伝達するための艇体側に設けられた駆動部と、推進装置側に設けられ、前記駆動部と係合する従動部とからなり、艇体側の駆動部と、推進装置側の従動部との連結を、推進装置のチルト運動方向とは異なる方向で連結し、推進装置のチルトアップ運動方向では開放するようにし、駆動部は前後方向且つ下方に開放した係合溝を備え、従動部は該係合溝に係合するスティック状係合部を備え、係合溝に係合部を前後方向、且つ下方から係脱可能としたことを特徴とする。
請求項1に係る発明では、艇体の傾き運動を推進装置の操舵運動に変換して伝達する変換機構を備える水上乗り物において、変換機構を支軸を中心とした艇体の傾き運動を推進装置に伝達するための艇体側に設けられた駆動部と、推進装置側に設けられ、駆動部と係合する従動部とで構成し、艇体側の駆動部と推進装置側の従動部との連結を、推進装置のチルト運動方向とは異なる方向で連結し、推進装置のチルト運動方向では開放するようにし、駆動部を前後方向且つ下方に開放した係合溝とし、従動部を係合溝に係合するスティック状係合部とし、係合溝に係合部を前後方向、且つ下方から係脱可能としたので、艇体側の駆動部の前後開放、下方開放にの係合溝に、推進装置側のスティック状係合部を係合し、駆動部と従動部とを連結するようにしたので、先ず、重心移動などによる艇体の傾きは、変換機構を介して推進装置の操舵に伝達する駆動部の転舵のための駆動として推進装置の従動部に確実、円滑に伝達され、一方、艇体に対する従動部、即ち推進装置のチルト作動では、艇体側の駆動部から推進装置側の従動部を開放するので、推進装置のチルト作動を、円滑、迅速、容易且つ大きな角度で行うことができ、変換機構を介在させつつ、艇体の傾きによる転舵(操舵)と推進装置のチルト作動の迅速、円滑、容易化とを併立させることができる。
また、以上を艇体側の駆動部と推進装置側の従動部との連結を、推進装置のチルト運動方向とは異なる方向では連結し、推進装置のチルト運動方向では開放するようにしたので、構造も簡素に構成することができ、また、艇体側の駆動部から推進装置側の従動部を開放させるように構成するので、チルト作動後の推進位置への復帰作業も極めて容易化することもできる。
次に、駆動部を前後方向且つ下方に開放した係合溝とし、従動部を係合溝に係合するスティック状係合部とし、係合溝に係合部を前後方向、且つ下方から係脱可能としたので、艇体側の駆動部の前後開放、下方開放にの係合溝に、推進装置側のスティック状係合部を係合し、駆動部と従動部とを連結するようにしたので、艇体の傾きによる転舵駆動作動を、駆動部の左右揺動として推進装置の係合部に確実に伝達し、且つチルト操作時における推進装置側の係合部の離脱は、係合溝が前後方向とともに下方に開放しているので、円滑、容易、確実になされる。
さらに、チルトアップから推進可能状態への復帰も、推進装置を下げることで、従動部側の係合部が駆動部側の係合溝に前方から係合することでなされ、復帰操作も容易であり、さらに、係合溝とスティック状係合部の構造なので、構造が簡素で、部品点数も少なく、組立、製造が簡易で、コスト的も極めて有利である。
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は、艇体に推進装置を揺動転舵機構を介して装着した状態の水上乗り物を示す全体の外観側面図である。
水上乗り物としては実施例では一人乗りのサーフボードを示している。
サーフボードで構成される艇体1は、先部1aが前上がりに傾斜しており、中間部1bが若干上傾し、後部1cが平坦である。
艇体1の上面1d上には、艇体1上に乗った操縦者Mが把持するハンドル部3、艇体上の左右に配置され、前後方向に延びる横枠部4を有する支持枠2を有し、横枠部4の前端部、前後方向中間部、及び後部の下方に垂下設置された吸盤5…(…は複数を表す。以下同じ)で艇体上面1dに支持枠2は固定されている。
支持枠2の横枠部4は、連結部材6…で長さを可調節とし、艇体1の長さに対応してその長さが調節可能である。
支持枠2の左右の横枠部4の後端部には、屈曲部4aを介して上方に略L形に起立する起立部4bを設け、起立部4bには基板7を架設、固着する。支持枠2は、例えばパイプ材で構成されている。
基板7は、図3、図4、図6などで明らかなように、左右に長い矩形厚手の板状体であり、左右の起立部4b、4b間に架設されており、図1、図3に示す4cは、左右の横枠部4,4の後半部〜後部に架設したクロス部材である。
図2は、船外機を含む水上乗り物の後部の拡大側面図であり、図3は、船外機を含む水上乗り物の後部の分解斜視図であり、図4は、更に詳細部分を示す斜視図であり、図5は、船外機の艇体へ取付部分を拡大し、要部を断面とした図である。
これらの図面を参照しつつ説明する。
船外機10は小排気量の小型のものを示し、図2に示すように上部にエンジン11を収容した上部のエンジンカバー19、下部のアンダーカバー20、下方に延出されたエクステンションケース21、その下方のギヤケース22を備える。
エクステンションケース21は、図2では破線で示し、後述するブラケット23を含む外筒部材である縦向きの支持外筒部26に、回転自在(操舵自在)に支持されており、実質的にステアリングシャフトを構成する。
支持外筒部26に後述するベース部材25は取付、支持されており、また、支持外筒部26の上部相当部に、スターンブラケット24をチルト動自在に支持したブラケット23が取付、支持されており、船外機10は、支持外筒部26に抱持されて回転自在である。
エンジン11は、横向きのシリンダ11a、横向きのピストン11b、横向きの燃焼室11c、縦向きのクランクシャフト12を備えるバーチカルエンジンである。実施例では小排気量の1気筒エンジンである。
クランクシャフト12の上端部のフライホイール12aの上には、リコイルスタータ機構13が付設され、エンジンカバー19の一部の上方に露出した始動ロープ13aを引張してエンジンを始動し、クランクシャフト12の下端部にはクラッチ機構14を介して駆動軸15の上端部を連結されている。
駆動軸15は、筒軸状のエクステンションケース21内、ギヤケース22内を縦通し、ギヤケース22内に配設されたギヤ伝達機構16に連結されている。
ギヤケース22内において前後方向を向いて配置された水平な被動軸17、ギヤ伝達機構16を介してエンジン出力は伝達される。この被動軸17の後端部は、ギヤケース22の後部から後方に突出し、後端部にプロペラ18が固着され、エンジン11の動力でプロペラ18を駆動する。
以上の船外機10のエクステンションケース21を内装した支持外筒部26の上部には、この部分を抱持するように支持ブラケット23が連結、固着されており、支持ブラケット23の前端部には、略逆L形のスターンブラケット24を備える。
スターンブラケット24は、前後方向に延びる上部の横部24aの前端部が、チルト軸124により、支持ブラケット23の前部23a(図3参照)に、これを左右から挟むように、回動可能に連結されている。
スターンブラケット24の下方に延出された本体24fの下部には扇状部24bが設けられいる。扇状部24bには、複数の位置決め部24c…が前後方向に設けられ、位置決め部24c…には、ボルト・ナットなどからなる固定具25aを挿入して締着し、固定具25aは下部支持ブラケット25の前端部に取り付けられ、船外機10は、固定具25aを緊緩することで、位置決め部24cの範囲内で後方に傾斜角度が調節可能である。
スターンブラケット24の下部を調節可能に支持する下部支持ブラケット25は、支持外筒部26に臨む本体部25bが二股状で、内面にゴムなどを貼着、設置されており、支持外筒部26の下部周を挟持するように、脱着可能に取付、支持されている。本体部25bの前方に突設された前部25cに、前記した固定具25aが配置されている。
前記した基板7と対向するように後方に離間して支持板8を設け、これを基板7とを後述するように回転自在に連結する。
支持板8は基板7よりも厚手の矩形板状部材で構成されており、実施例では左右の下方位置にフロート(補助浮体)9,9を備え、フロート9,9は後述する船外機10の姿勢を鉛直に保持する作用を行う。フロート9,9は、図3に示すように下部が前後に広がった前後の支持枠部9a,9aの下端部間に前後向きに支持されており、支持枠部9a,9aは、前後に幅狭のL形上部9b,9bで、支持板8の左右両側部8aの前後面に取り付け、支持されて、中間部には前後方向にクロス部材9cが夫々架設されている。
以上の艇体側の基板7の中央部にある程度径が大きい取付孔31を設け、取付孔31に支軸32の前部32aを嵌合して固定する。支軸32は、実施例では中空筒状の筒軸とし、前部周に取付用の鍔部33を備え、該鍔部33を基板7の取付孔31の後面周辺部に当接し、ボルト・ナット34…で固着し、支軸32を基板7に固定する。
一方、支持板8の中央部には、支持孔35を板厚方向に貫通するように設け、該支持孔35にメタルブッシュ37を介して支軸32の後部32bを回転自在に挿通し、支軸32周には位置決め鍔部36を突設して位置決めを行う。
支持板8の後面には凹部8bが設けられており、凹部8bに開口する支軸32の後端部32cに開口部を有する閉栓部材38を止着し、閉栓部材38と鍔部36とで、支軸32に対し支持板8を回転自在に支持する。
以上により、船外機10の艇体1に対する揺動支持機構30を構成する。
ところで、船外機10は、スターンブラケット24の左右に取付座24d,24dを備え、取付座24d,24dを支持板8の後面8cの左右に当接し、取付孔8d,8d,24e,24eを介してボルト39により固定し、支持板8に船外機10を取付、支持する(図4参照)。
このように、支持板8に取付支持された船外機10は、支軸32を中心として基板7、即ち、艇体1に対して回動自在に支持されることとなる。
図6は、図5の6−6線断面図、図7は、図5の7−7線断面図である。
艇体側の基板7の後面の左右方向中央部で、その下部には、下方に垂下突出するように変換機構40(揺動転舵機構)の第1操作子を構成する駆動部41(駆動アーム部)を固定、設置する。
駆動部41は、側面視が略Z形で、上部41aを基板7の中央部下部にボルト43,43で固着し、後方に段状に突出し、且つ基板7の下縁7aの下方に垂下した板状の本体部41bの左右方向中央部には、下方に少し拡開する形状の略逆V形の係合溝42が形成されている。
駆動部41の係合溝42は、図4、図5に示す通り板状の本体部41bの前後方向に開放し、且つ図6でも明らかな通り下方に開放した略逆V形である。
従って、艇体1側の駆動部41の係合溝42は、船外機10側の係合部45をチルト運動方向、即ち、前後方向には出入りが自在であり、従って、係合部45はこの方向では係脱自在である。
一方、船外機10のチルト運動方向とは異なる方向、即ち、転舵(操舵)方向では、艇体1の傾きによる転舵駆動力を伝達する構造である。
ところで、この係合溝42の上端部42aは弧状であり、左右の内縁42b,42bは、下方にゆくに従って順次その間隔を少し拡がり、下端部42c,42cは弧状である。 また係合溝42の内縁42b,42bは、向かい合うよう内側に対称的に山形に突出する弧状の平断面である。
一方、船外機10を回転自在に支持する支持外筒部26下方に位置するギヤケース22の上部には、揺動操舵機構40の第2操作子を構成する従動部44を固着する。
従動部44は、図7に示したように幅広の基部44aの後部に弧状で二股状の取付部44b,44bを備え、この部分をギヤケース22の上部22aの前半部外周に溶接等して固着し、前方に突出するように設ける。
従動部44は、基部44aの先端部に、断面円形のスティック状の係合部45が突設されており、該係合部45を前記した駆動部41の係合溝42に係合する。係合部45の先端部45aは半球状である。
この状態を図2、図5、図6、図7で示した。
図8〜図10は、重心移動などにより、艇体の傾き運動で艇体操舵作動を示す縦断面図で、艇体の中間部を縦断し、前方からみた図であり、図の手前側が進行方向の前方であり、図の奥側が進行方向の後方である。
図8は、艇体が水平な状態を示す図であり、図9は、艇体を左に傾動させ、左に転舵する状態を示す図(図では、前後が逆なので左右が逆に表れる)であり、図10は、艇体を右に傾動させ、右に転舵する状態を示す図(同様に、図では前後が逆なので左右が逆に表れる)である。
図8は、艇体1が水平な直進状態を示す図で、艇体1は水平な状態にあり、船外機10のプロペラ18は真後ろを向き、船外機10の推進力で直進する。図において4dは、左右の横枠部4,4の間に架設されたクロス部材である。
操縦者は艇体1の上で重心移動させることで、艇体1は左右に傾動する。この際、船外機10は、左右のフロート9,9の作用で鉛直に保持される。
図9は、艇体1を図の右側に傾けた状態を示し、艇体1の図の右方向への傾斜で、艇体に一体化した基板7は、支軸32を中心として図の右方向に揺動し、一方、船外機10は水平状態(操舵軸が鉛直)に保持されている。
艇体1の右方向への傾きで、これと一体化している基板7は同方向に傾き、基板7の中央部下部に垂下設置した駆動部41は、艇体の傾き方向とは反対側に、偏寄するように一体的に傾き運動する。
駆動部41の係合溝42には、前記したように船外機10のギヤケース22に、前方に突設した従動部44のスティック状係合部45が図6、図7に示すように係合しており、駆動部41の傾き運動により係合部45は同じ方向、即ち艇体の傾き方向とは反対側に、偏寄するように揺動する。
係合部45の係合溝42に対する係合は、係合部45が先端部45aが半球状の丸棒部材であり、係合溝42は下開きの逆V形であり、左右の内側面42b,42bが断面弧状なので、駆動部41の傾き運動に際し、係合溝42内で係合部45は円滑に摺接しつつ摺動し、駆動部41が運動した方向に従動部44を運動させる。
船外機10は、支持板8に対して、スターンブラケット24を介して縦向きの支持外筒部26に、回転自在(操舵自在)に支持されており、従動部44は、ギヤケース22の上部に一体的に連結されているので、船外機10は従動部44の運動に追従して支持外筒部26に嵌合されている筒軸状のエクステンションケース21を中心と鉛直軸回りに回転する。
この結果、艇体1が傾斜した方向に船外機10は揺動し、艇体を傾けた方向に転舵されることとなる。
図6は、艇体の傾き運動による駆動部41の運動、駆動部41の傾き運動による従動部44の運動を鎖線で示している。
図6の中立位置Aから図の左側に駆動部41が傾動することで、従動部44の係合部45が係合溝42内で図の左方に摺動して移動している状態が示され、転舵位置Bとなる。 従動部42の係合部45は船外機10側に配設されており、前記したように水平状態に保持されているので、水平なラインLに沿って同一平面内で図の左方に移動する。
図10は、艇体1を左側に傾けた状態を示し、艇体1の図の左方向への傾斜で、艇体1側の基板7はこの方向に傾斜し、これに付設した駆動部41は図の右方向に偏寄するように傾く。これにより従動部44の係合部45は係合溝42の右方向への運動で右方向に運動させられ、船外機10はステアリングシャフト(エクステンションケース21)を中心として図の左方向に揺動、操舵され、艇体1を図9とは逆に左方向に転舵させることとなる。
以上のように、艇体1の操縦に際し、操縦者の重心移動で艇体1を左右に傾斜させることで、船外機10(推進装置)を揺動転舵機構40を介して転舵させることができる。
従って、船外機10の推進力で推進しつつ、艇体1の重心移動で、艇体が傾斜する方向に船外機の転舵を行うことができる。
以上において、図1、図2、図5、図8、図11は、何れも船外機10が直立状態であり、船外機10のチルト作動について説明する。
船外機10をチルト軸124を中心として矢印(イ)方向である上方へ揺動可能な状態である。
ところで、前記したブラケット25はゴム等の弾性体からなり、エクステンションケース21の最大幅位置の外側面を挟んで前後にわたっており、最大幅位置を乗り越えることで開放され、船外機10をチルト軸124を中心として矢印(イ)方向である上方へ揺動可能な状態に構成されている。
船外機10は、チルト軸124を中心として上部が前方に下がり、下部が後方に持ち上がるようにチルト作動する。
このチルト作動により、船外機10のギヤケース22の上部に、一体に連結されている従動部44のスティック状(棒状)係合部45は、固定の艇体1側に設けた駆動部42の前後に開放され、且つ下方に開放された係合溝42から、下方に弧状の軌跡を描きつつ後方に抜け出し、係合溝42から離脱する。
船外機10の矢印(イ)方向へのチルト運動時においては、前記した下部支持ブラケット25はスターンブラケット24に連結されているので、スターンブラケット24側に残る。つまりは、下部支持ブラケット25は、二股状本体部25bで支持外筒部26周を挟持しているので、船外機10のチルト作動で支持外筒部26から二股状本体25bが外れ、スターンブラケット24側に残留する。
この状態を図12で示し、係合部45は船外機10と一体に後方且つ上方に傾動し、駆動部41の係合溝42から離脱した状態となる。図2ではチルト作動の途中を鎖線110で示した。
艇体1側の駆動部41に設けた係合溝42は、前記したように前後方向に開放し、且つ下方に開放した略逆V形であり、従って、船外機10側の棒状の係合部45は、円弧状の軌跡を描きつつ、係合溝42の後方、且つ下方に抜け出し、船外機のチルト作動時における係合部45の係合溝42からの離脱(抜け出し)作動を、円滑に、確実に、特別の離脱に関連する作業や操作を要することなく、船外機をチルト運動させるだけで行うことができる。
そして、上記した係合溝42は、前記したように、上端部42aは弧状であり、左右の内縁42b,42bは、下方にゆくに従って順次その間隔を少し拡がり、下端部42c,42cは弧状であり、また、係合溝42の内縁42b,42bは、向かい合うよう内側に対称的に山形に突出する弧状の平断面なので、前記したチルト運動時の係合部45の係合溝42からの離脱が円滑、容易に、確実に行われる。
図12の状態から船外機10を図11の矢印(イ)とは逆方向にチルト軸124を中心としてチルトダウン(下降)させ、船外機10を推進可能な状態となるように直立させる。
この際、船外機10側の係合部45は、艇体1側の固定、静止状態にある駆動部41の係合溝42に対峙し、図2の鎖線110の状態から駆動部41の前後方向且つ下方に開放する係合溝42に前方且つ下方から入り込み、図1、図2、図5、図8、図11に示すように、船外機10が直立状態となり、艇体1側の駆動部41に対し、船外機10側の従動部44と連結状態となる。
直立状態で、推進可能な状態に復帰するに際し、船外機10側の係合部45が丸棒状であり、艇体1側の係合溝42が略逆V形で、係合溝42の内側面42b,42bの断面形状が弧状であり、且つ係合溝42の下端部42c,42cが弧状で凸縁状なので、チルト状態から直立状態に復帰するに際し、係合部45の係合溝42への係合が容易に、円滑に、確実になされる。
以上、図示した実施の形態を説明した。
図示では小型水上乗り物としてサーフボードの例を示したが、サーフボードやボート以外の浮体や小型ボート等に実施可能である。
また艇体への着脱自在な装着機構として吸盤を用いたが、艇体への着脱自在な装着機構はこれに限られない。
水上乗り物の形態によっては、吸盤以外の装着機構を採用することもあり、例えばセールやマスト部が着脱自在のウインドサーフィンボードにおいては、既設の雌雄の装着機構を利用し、相手側の装着具を利用することも可能であり、装着機構は上記した吸盤に限られない。
また実施の形態では推進部(推進装置)として船外機を用いたが、船外機に代えウオータジェットポンプとすることも可能である。
本発明の水上乗り物は、サーフボード、ウインドサーフィンやその他の小型の水上乗り物に好適である。
艇体に推進装置を揺動転舵機構を介して装着した状態の水上乗り物を示す全体の外観側面図である。 船外機を含む水上乗り物の後部の拡大側面図である。 船外機を含む水上乗り物の後部の分解斜視図である。 詳細部分を示す斜視図である。 船外機の艇体へ取付部分を拡大し、要部を断面とした図である。 図5の6−6線断面図である。 図5の7−7線断面図である。 重心移動などによる艇体の傾き運動で艇体操舵作動を示す縦断面図で、艇体の中間部を縦断し、前方からみた図であり、艇体が水平な状態を示す図である。 図8の状態から艇体を左に傾動させ、左に転舵する状態を示す図(図では、前後が逆なので左右が逆に表れる)である。 艇体を右に傾動させ、右に転舵する状態を示す図(同様に、図では前後が逆なので左右が逆に表れる)である。 船外機のチルト運動直前の説明図である。 船外機のチルト状態の説明図である。
符号の説明
1…艇体、 10…推進装置(船外機)、 24…スターブラケット、 124…チルト軸、 32…支軸、 40…変換機構、 41…駆動部、 42…係合溝、 44…従動部、 45…係合部。

Claims (1)

  1. 水上乗り物の艇体と、水上乗り物の側に設けられ、水上乗り物の前後方向を向いて設けられた支軸を中心に揺動自在に連結された推進装置と、艇体の傾き運動を、推進装置の操舵運動に変換して伝達する変換機構とを備える水上乗り物において、
    前記変換機構は、前記支軸を中心とした艇体の傾き運動を推進装置に伝達するための艇体側に設けられた駆動部と、推進装置側に設けられ、前記駆動部と係合する従動部とからなり、
    前記艇体側の駆動部と、推進装置側の従動部との連結を、推進装置のチルト運動方向とは異なる方向で連結し、推進装置のチルト運動方向では開放するようにし、
    前記駆動部は前後方向且つ下方に開放した係合溝を備え、前記従動部は、該係合溝に係合するスティック状係合部を備え、係合溝に係合部を前後方向、且つ下方から係脱可能とした、
    ことを特徴とする水上乗り物。
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