JP4787054B2 - 封着パネルおよびプラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents
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Description
各電極の間に電圧を印加すると、放電ガスがプラズマ化して紫外線が放射される。この紫外線が蛍光体に入射して蛍光体が励起され、可視光が放出されるようになっている。
また、パネル封着時に封着材からパネル内部に放出された不純物ガスは、基板表面に形成された被膜に吸着される。これにより、基板表面の2次電子放出係数が低下し、放電電圧が上昇する。なお、基板間に所定時間の電圧印加(初期エージング処理)を行えば、放電により基板表面から不純物ガスが離脱するので、放電電圧は安定する。しかしながら、離脱した不純物ガスが基板間に滞留することで、不純物ガスの離脱速度が低下するため、長時間の初期エージング処理が必要になる。
なお前記封着材は、ガラス材料にバインダーとして樹脂材料を混合させたものであってもよい。
この構成によれば、封着材から放出される不純物ガスおよび封着材を透過して侵入する不純物ガスを吸着材によって吸着することができるので、一対の基板間に封入された放電ガスの純度低下を抑制することが可能になる。また、不純物ガスが基板表面に吸着されるのを防止することが可能になる。したがって、放電電圧の上昇を抑制することができる。加えて、初期エージング処理時間を短縮する、又は初期エージング処理をなくすことができる。
また、封着パネルの内部で発生した紫外線が封着材に入射するのを防止することができる。これにより、封着材からの不純物ガスの放出を抑制することが可能になり、放電電圧の上昇を抑制することができる。また、紫外線遮蔽壁によって塞き止めた不純物ガスを、吸着材によって確実に吸着することができる。
この構成によれば、不純物ガスを確実に吸着することができる。
また前記複数周の吸着材のうち一部の前記吸着材が、前記前面基板と前記背面基板のうち一方に装着され、前記複数周の吸着材のうち残部の前記吸着材が、前記前面基板と前記背面基板のうち他方に装着されていてもよい。
この構成によれば、不純物ガスの侵入経路が長くなるとともに、その侵入経路に沿って吸着材が配置されるので、不純物ガスの吸着効率を向上させることができる。
この構成によれば、封着パネルの内部で発生した紫外線が封着材に入射するのを防止す
ることができる。これにより、封着材からの不純物ガスの放出を抑制することが可能にな
り、放電電圧の上昇を抑制することができる。
前記前面基板と前記背面基板のうち他方に当接していてもよい。
この構成によれば、封着材から放出される不純物ガスおよび封着材を透過して侵入する
不純物ガスを、紫外線遮蔽壁によって塞き止めることが可能になり、放電ガスの純度低下
を抑制することができる。
また前記封着パネルは、プラズマディスプレイパネルであり、前記紫外線遮蔽壁は、前記プラズマディスプレイパネルの画素間に配設された隔壁と同じ材料で構成されていることが望ましい。
この構成によれば、紫外線遮蔽壁を隔壁と同時形成することが可能になり、製造工程が簡略化されて、製造コストを低減することができる。
また放電ガス中において、該放電ガスが、表示部内に設けられた放電室に含まれるように、前記前面基板と前記背面基板とを、貼り合わせることが望ましい。
プラズマディスプレイパネルの隔壁は、隣接する画素間の誤放電を防止するものであり、一対の基板の間隔と同じ高さに形成される。この隔壁と紫外線遮蔽壁とを同時形成することにより、紫外線遮蔽壁を一対の基板の間隔と同じ高さに形成することが可能になる。これにより、プラズマディスプレイパネルの内部で発生した紫外線が封着材に入射するのを確実に防止することができる。これにより、封着材からの不純物ガスの放出を抑制することが可能になり、放電電圧の上昇を抑制することができる。
(プラズマディスプレイパネル)
図1は、3電極AC型プラズマディスプレイパネルの分解斜視図である。このプラズマディスプレイパネル(以下「PDP」という。)100は、対向配置された背面基板1および前面基板2と、両基板1,2の間に形成された複数の放電室16とを備えている。
そして、アドレス電極11と走査電極12aとの間に直流電圧を印加して対向放電を発生させ、さらに走査電極12aと維持電極12bとの間に交流電圧を印加して面放電を発生させる。すると、放電室16内に封入された放電ガスがプラズマ化して、真空紫外線が放射される。この紫外線によって蛍光体17が励起され、可視光が前面基板2から放出されるようになっている。
図2は、プラズマディスプレイパネルの周縁部における断面図である。背面基板1の周縁部には、額縁状に突起21が形成されている。その突起21の先端面と前面基板2との間に、樹脂材料を含む封着材20が配置されて、両基板1,2が封着されている。この封着材20として、具体的にはエポキシ樹脂やアクリル樹脂など、熱硬化性樹脂または紫外線硬化性樹脂が採用されている。このように樹脂材料を含む封着材20を採用すれば、低融点ガラスからなる従来の封着材を採用した場合に比べて、封着時の加熱条件および冷却条件が緩和される。したがって、パネル製造時間を大幅に短縮することができる。なお、低融点ガラスにバインダーとして樹脂を混合させた封着材を採用してもよい。
ところで、両基板1,2の封着時には、樹脂材料を含む封着材20から不純物ガスが放出される。例えば、エポキシ樹脂またはアクリル樹脂からなる封着材20からは、H2OおよびCO2のほか、COやH2、CH系ガス等が放出される。また低融点ガラスにアクリル樹脂を混合させた封着材では、低融点ガラスからCO2やO2ガス等が放出され、アクリル樹脂からH2OやCO2、COガス等が放出される。また、封着後の封着材20を透過して、H2O等の不純物ガスがPDPの外部から内部に侵入するおそれがある。
なおゲッター22は、図2に示すように封着材20の内側における背面基板1の表面に配置されていてもよいし、前面基板2の表面に配置されていてもよい。またゲッター22の厚さは、図2に示すように両基板1,2の間隔より薄くてもよいし、両基板1,2の間隔と同等でもよい。
図2に戻り、上述したゲッター22の内周に沿って連続的に、紫外線遮蔽壁24が設けられている。紫外線遮蔽壁24は、表示部の外周を、全周にわたって連続的に囲むように形成されている。紫外線遮蔽壁の外周は、吸着材22上の空隙を介して、封着材20に囲まれている。この紫外線遮蔽壁24は、放電室16で発生した紫外線が封着材20に入射するのを防止するものであり、PbO・B2O3・SiO2等の紫外線吸収材料によって幅1mm程度に形成されている。紫外線遮蔽壁24は、図2に示すように背面基板1に立設されていてもよく、前面基板2に立設されていてもよい。
ところで、PDPの隔壁15は、隣接する放電室16の間の誤放電を防止するものであり、背面基板1と前面基板2との間隔と同じ高さに形成されている。この隔壁15と紫外線遮蔽壁24を同時形成することにより、紫外線遮蔽壁24を両基板1,2の間隔と同じ高さに形成することが可能になる。これにより、放電室16で発生した紫外線が封着材20に入射するのを確実に防止することができる。
次に、本実施形態に係るプラズマディスプレイパネルの製造方法につき、図2および図5を用いて説明する。図5は、本実施形態に係るプラズマディスプレイパネルの製造方法のフローチャートである。
まず、図2に示す前面基板2の内面に、表示電極12および誘電体層13を形成する(ステップ32)。また、背面基板1の内面に、アドレス電極11および誘電体層19を形成する(ステップ42)。
次に、隣接する隔壁の内側に蛍光体17を塗布する。
まず、背面基板1を真空中で加熱して、樹脂材料を含む封着材20からの脱ガス処理および排気処理を行う(ステップ48)。この加熱により、封着材20からの脱ガス処理とともに、ゲッター22の活性化処理を行うことも可能である。また、前面基板2を真空中で加熱して、誘電体層13等からの脱ガス処理を行う(ステップ34)。次に前面基板2の内面に、EB蒸着法等により保護膜14を形成する(ステップ36)。
本願の発明者は、上述した本実施形態に係るPDPおよび従来技術に係るPDPにつき、吸湿試験を行って放電電圧の変動を測定した。本実施形態に係るPDPは、図2に示すようにゲッター22および紫外線遮蔽壁24を備えたものである。具体的には、ゲッター22として、SrOをN2ガス中で焼成したシート状のものを採用した。また、紫外線遮蔽壁24の構成材料として隔壁15と同じPbO・B2O3・SiO2を採用し、紫外線遮蔽壁24を隔壁15と同時形成した。なお封着材20には紫外線硬化性樹脂を採用した。また保護膜14として、SrO・20mol%CaOからなる厚さ8000オングストロームの被膜を、EB蒸着法によって形成した。また放電ガスとして、Ne・4%Xeガスを、400Torrで封入した。
これに対して、従来技術に係るPDPは、本実施形態に係るPDPからゲッター22および紫外線遮蔽壁24を除いたものである。
図6はPDPの吸湿試験結果を示すグラフであり、図6(a)は本実施形態に係るPDPの場合であり、図6(b)は従来技術に係るPDPの場合である。なお以下のグラフでは、2次元マトリックスで300個のセルからなるPDPにおいて、全部のセルを放電開始させるのに必要な駆動電圧が最終セル点灯電圧である。また、全部のセルを点灯させた状態から駆動電圧を徐々に下げた場合に、最初のセルが消灯する電圧が第1セル消灯電圧である。
これに対して、図6(a)に示す本実施形態に係るPDPの場合は、放置時間が増加しても電圧変動は5V以内であり、実用上問題のない結果が得られた。これは、封着材を透過してPDPの内部に侵入した水分がゲッターによって吸着され、放電ガスの純度低下が抑制されたからであると考えられる。
エージング試験は、室温で湿度50%の雰囲気においてPDPに長時間電圧を印加することによって行い、エージング時間と放電維持電圧との関係を調査した。
図7(b)に示す従来技術に係るPDPの場合は、エージング時間の増加とともに放電維持電圧が上昇し、2000時間のエージング後には最終セル点灯電圧が約30V増加した。これは、PDPの放電によって発生した紫外線が長時間にわたって封着材に入射し、封着材に含まれる樹脂材料が分解され、CH系の不純物ガスがPDP内部に放出されて、放電ガスの純度が低下したからであると考えられる。
また、不純物ガスをゲッターによって吸着することができるので、吸湿性を有する保護膜によって不純物ガスが吸着されるのを防止することができる。これにより、基板表面の2次電子放出係数の低下を抑制することが可能になり、放電電圧の上昇を抑制することができる。さらに、基板間に所定時間の電圧印加(初期エージング処理)を行って保護膜から離脱させた不純物ガスを、基板間に滞留させることなく、ゲッターによって吸着することができる。これにより、不純物ガスの離脱を速やかに完了させることが可能になり、初期エージング処理時間を短縮することができる。
Claims (10)
- 表示電極を片面の中央域に備えた前面基板と、表示部を片面の中央域に備えた背面基板とが、前記表示電極と前記表示部とを対向させるように、重ねられてなり、
前記背面基板内において、
前記表示部の外周を囲む紫外線遮蔽壁と、
前記紫外線遮蔽壁の外周を囲む吸着材と、
前記吸着材の外周を囲む封着材と、が配置され、
前記紫外線遮蔽壁は、全周にわたって連続的に形成されていることを特徴とする封着パネル。 - 前記封着材は、ガラス材料にバインダーとして樹脂材料を混合させたものであることを特徴とする請求項1に記載の封着パネル。
- 前記吸着材が、同心状に複数周設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の封着パネル。
- 前記複数周の吸着材のうち一部の前記吸着材が、前記前面基板と前記背面基板のうち一方に装着され、
前記複数周の吸着材のうち残部の前記吸着材が、前記前面基板と前記背面基板のうち他方に装着されていることを特徴とする請求項3に記載の封着パネル。 - 前記紫外線遮蔽壁は、前記封着パネルの内部で発生した紫外線が前記封着材に入射するのを遮蔽することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の封着パネル。
- 前記前面基板と前記背面基板のうち一方に立設された前記紫外線遮蔽壁の先端が、前記前面基板と前記背面基板のうち他方に当接していることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の封着パネル。
- 前記前面基板と前記背面基板とは、
放電ガスが、表示部内に設けられた放電室に含まれた状態で、貼り合わされていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の封着パネル。 - 前記封着パネルは、プラズマディスプレイパネルであり、
前記紫外線遮蔽壁は、前記プラズマディスプレイパネルの画素間に配設された隔壁と同じ材料で構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の封着パネル。 - 表示電極を片面の中央域に備えた前面基板と、表示部を片面の中央域に備えた背面基板とが、前記表示電極と前記表示部とを対向させるように重ねられてなり、
前記背面基板内において、
前記表示部の外周を囲む紫外線遮蔽壁と、
前記紫外線遮蔽壁の外周を囲む吸着材と、
前記吸着材の外周を囲む封着材と、が配置され、
前記紫外線遮蔽壁が、全周にわたって連続的に形成された、プラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
前記背面基板を製造する工程は、
前記表示部を構成する隔壁と前記紫外線遮蔽壁とを同時形成することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。 - 放電ガス中において、該放電ガスが、表示部内に設けられた放電室に含まれるように、
前記前面基板と前記背面基板とを、貼り合わせることを特徴とする請求項9に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
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