JP5213665B2 - プラズマディスプレイパネル及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はプラズマディスプレイパネル等の表示装置の封止技術に関する。
従来より、プラズマディスプレイパネル(PDP)は表示装置として広く用いられている。PDPは、例えば、ガラス基板上に維持電極及び走査電極を形成した前面板と、ガラス基板上にアドレス電極を形成した背面板とが貼り合わされた3電極面放電型が主流となっている。
PDPの製造工程は、パネル工程とモジュール・セット工程の二つに大きく分けられ、さらにパネル工程は前面板工程、背面板工程、及びパネル化工程の三つに分けられる。
前面板工程は、ガラス基板に走査電極と維持電極からなる表示電極、誘電体、MgO等の保護膜を形成して前面板を製造する。背面板工程は、ガラス基板にアドレス電極、誘電体、隔壁(リブ)、蛍光体層の形成、及び前面板と背面板の貼り合せ用の封着材を形成して背面板を製造する。
背面板工程では、蛍光体層を焼成し、その後シール層(封着材、フリット)を形成する。封着材の形成方法は、(1)シール材料のペースト化(2)基板へのシールペースト塗布(3)ペースト乾燥(4)仮焼成、であり、これらの工程を経てパネル化工程へ進む(下記非特許文献1)。
パネル化工程は、前面板と背面板のアライメント(位置合わせ)、シールガラスからなる封着材を加熱溶融する封着、チップ管の取り付け、加熱真空排気によるパネル内の清浄化(涸化、エージング)、放電ガスの充填、チップ管の封止(チップオフ)及びAC電圧を印加して放電特性を安定させるエージング(枯化)を行なう。
真空一貫装置によってPDPを製造すれば、アルカリ土類金属酸化物保護膜を大気にさらすことが無いため、保護膜の特性を損なうことなくPDPを製造可能である(特許文献1)。更に、封着材に樹脂材料を用いれば、パネル封着時の加熱と冷却が不要になるため、パネル製造時間を大幅に短縮することができると同時に、省エネルギー化も可能になる(特許文献2)。
特許第3830288号公報 特開2002−075197号公報 (株)工業調査会 2001年12月25日発行 フラットパネルディスプレイ大辞典 P752−754、P868−870
従来より封着材に樹脂材料が用いられるが、樹脂材料を透過する不純物ガスと、パネル封着時に樹脂材料から放出される不純物ガスにより、パネル内の放電ガスの純度が次第に低下し、放電電圧が上昇するという問題がある。また、パネル内部の放電で発生した紫外線が樹脂材料を分解する問題もある。
樹脂材料を予め脱ガスし、封着時のガス発生量を低減させる試みもなされているが、ガス発生量を低減させると樹脂材料の接着性が低下する傾向がある。ガス発生量を抑え、大型化に伴うガラス基板の撓みに耐えうる接着強度を持つ方法の確立が必要となっている。
また、現在行なわれている低融点ガラスを封着材に使用したプロセスでも、封着時に多量の不純物ガスが放出され、パネル化に際して封止前に長時間清浄化(エージング)をする必要があるとともに、パネル化後もエージングを必要としている。このため、パネルの生産スループットを律速し、多くの電力を必要としている。
上記課題を解決するために、本発明はプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、縁よりも内側の第一の放電領域に第一の電極が形成された第一の基板本体の、前記第一の電極が形成された面上に、前記第一の放電領域と、前記第一の放電領域の外側の第一の封止領域とを覆う無機材料膜を形成し、前記無機材料膜をパターニングし、パターニングされた前記無機材料膜から、前記第一の放電領域上には互いに平行に配置された複数の隔壁を形成し、前記第一の封止領域上には前記第一の放電領域を取り囲むリング状の第一のリブを形成し、前記第一の封止領域上の前記第一のリブよりも外側の位置には、前記第一のリブを取り囲み、前記第一のリブよりも前記無機材料膜の幅が広い第二のリブを形成して第一の基板を製造し、前記隔壁と前記第一、第二のリブを焼成した後、光硬化性の樹脂を含む接着剤を前記第一、第二のリブ上に配置し、第二の基板本体に第二の電極が設けられた第二の基板を、前記第二の電極を前記第一の基板に向けて前記第一、第二のリの前記接着剤と接触させ、紫外線を照射して前記接着剤を硬化して、前記第一、第二のリブの150/130倍以下の高さの第一、第二の接着剤付リブを形成し、前記第一、第二の基板を貼り合せるプラズマディスプレイパネルの製造方法である。
本発明はプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、前記第一、第二の基板の貼り合せは、前記放電ガスを含有する放電ガス雰囲気中で行なうプラズマディスプレイパネルの製造方法である。
本発明はプラズマディスプレイパネルの製造方法であって、前記第一、第二の接着剤付リブの前記接着剤を前記第二の基板本体に密着させ、前記隔壁は、前記第二の電極上に設けられた保護膜に接触させるプラズマディスプレイパネルの製造方法である。
本発明は、第一、第二の基板とを有し、前記第一、第二の基板は第一、第二の基板本体を有し、前記第一、第二の基板本体の縁よりも内側の第一、第二の放電領域に第一、第二の電極が配置され、前記第一、第二の基板は前記第一、第二の電極が対面するように貼り合わされたプラズマディスプレイパネルであって、前記第一の基板の前記第一の放電領域よりも外側の第一の封止領域には、前記第一の放電領域を取り囲む第一のリブと、前記第一のリブを取り囲む第二のリブが配置され、前記第一、第二のリブは同じ無機材料膜で構成され、前記第二のリブのリングを構成する前記無機材料膜の幅は、前記第一のリブよりも広くされ、光硬化性の樹脂を含む接着剤が前記第一、第二のリブ上に配置され、前記第一、第二のリブの150/130倍以下の高さの第一、第二の接着剤付リブが形成されて、前記第一、第二の接着剤付リブの前記接着剤は、前記第二の基板に密着した状態で紫外線が照射されて前記接着剤が硬化されたプラズマディスプレイパネルである。
本発明はプラズマディスプレイパネルであって、前記第一の放電領域には隔壁が配置され、前記隔壁は、前記第一、第二のリブと同じ前記無機材料膜で構成されたプラズマディスプレイパネルである。
本発明はプラズマディスプレイパネルであって、前記第一、第二の接着剤付リブは、前記第二の基板本体に固定され、前記隔壁は、前記第二の電極上に設けられた保護膜に接触されたプラズマディスプレイパネルである。
本発明は上記のように構成されており、第一のリブは第二のリブよりも幅が狭くされているから、第一、第二のリブを第二の基板に固定するのに要する接着剤は、第一のリブの方が少なくてすむ。そのため、第一のリブ上の接着剤から、第一のリブのリング内側の放電空間に放出されるガス量が少ない。
第一のリブの幅は細いため、第一のリブ上の接着剤だけで第一、第二の基板を貼り合せようとすると、PDPの強度が不十分であるが、第一、第二の基板は、第一、第二のリブ上の接着剤で二重に貼り合わされ、しかも、第二のリブは幅が太く、多量の接着剤を配置可能なため、PDPの強度が高くなる。
接着剤から放電空間に放出されるガス量が少ない。しかも、第一、第二のリブは無機材料で構成され、不純物ガスの透過量が接着剤に比べて小さいから、放電空間に侵入する不純物ガス量も少ない。その結果、PDPの動作が劣化せず、寿命も長くなる。隔壁と第一、第二のリブが同じ工程で形成されるから、工程数が少なく、製造に要する時間とコストが短縮される。
図1はPDP(プラズマディスプレイパネル)の一例を示す模式的な斜視図である。PDP1は第一、第二の基板10、20を有しており、第一、第二の基板10、20は、第一、第二の基板本体11、21を有している。
第一、第二の基板本体11、21の縁よりも所定距離内側の第一、第二の放電領域19、29には、第一、第二の電極15、25が配置されている。ここでは、第二の放電領域には、更に第三の電極26を有している。図1では、PDP1の第一、第二の放電領域19、29が位置する部分だけを図示した。
第一の電極15(アドレス電極)は細長であり、一定間隔を空けて平行配置されている。アドレス電極15表面と、アドレス電極15間の隙間には誘電体層14が配置され、アドレス電極15は誘電体層14により保護され、互いに絶縁されている。
他方、第二の電極25(維持電極)と第三の電極26(走査電極)も細長であり、第二の基板本体21の表面に間隔を空けて交互に並べられている。維持、走査電極25、26の数は複数であるが、図1では1本ずつ図示した。維持、走査電極25、26の表面と、維持、走査電極25、26間には誘電体層22が形成され、誘電体層22の表面に保護膜24が形成されている。
第一、第二の基板10、20はアドレス電極15に対し、維持電極25及び走査電極26が直交するよう位置合わせされ、貼り合わされている。
第一の放電領域19には細長の隔壁13が配置されている。隔壁13はアドレス電極15間に、アドレス電極15の長手方向に沿って延設され、先端が第一の基板10表面の他の部分から高く突き出され、第二の基板20表面(保護膜24)に当接され、第一、第二の基板10、20の間の放電空間27は隔壁13によって分割されている。
放電空間27には、Xe、Ne等の放電ガスが封入されている。走査電極26とアドレス電極15を選択して電圧を印加すると、それらの電極15、26が交差する部分(発光セル)で書き込み放電が起こり、壁電荷が蓄積する。
保護膜24はMgO、SrO、CaO等のアルカリ土類金属酸化物からなり、走査電極26と維持電極25との間に交流電圧を印加すると、壁電荷が蓄積された発光セルで、保護膜24から電子が放出されて維持放電が起こり、放電ガスがプラズマ化し、紫外線が発生する。この時、他の空間は紫外線が発生した空間から隔壁13により遮断されているので、紫外線が発生しない。
隣接する隔壁13間には異なる色(赤、緑、青)の蛍光体膜12R、12G、12Bが配置され、蛍光体膜12R、12G、12Bは、紫外線により励起して赤、緑、又は青の可視光を放出する。少なくとも第二の基板20は透明にされ、放出された可視光は第二の基板20を透過してPDP1外部に放出される。
選択した走査電極26と、該走査電極26に隣接する維持電極25の間に、維持放電の時よりも弱い電圧を印加し、維持放電よりも弱い放電(消去放電)を起こすと、壁電荷が中和され、消灯する。
次に、PDP1の製造工程のうち、第一の基板10の製造工程について説明する。図2(a)の符号18は第一の基板本体11の第一の放電領域19外側の、第一の封止領域を示しており、第一の封止領域18は第一の放電領域19を取り囲むリング状になっている。第一の放電領域19に、銀、Cr/Cu/Cr、又はAlからなるアドレス電極15を形成し、更に、誘電体層14を形成する。
ガラス粉体等の無機材料が溶剤に分散された塗工液を、第一の基板本体11の誘電体層14側の面上に塗布した後、塗布層を乾燥させて溶剤を除去し、第一の封止領域18と第一の放電領域19を連続して覆う無機材料膜を形成する。
無機材料膜16の表面に、感光性樹脂を含むドライフィルムを貼付するか、感光性樹脂を含む樹脂液を塗布して感光層を形成し、感光層を露光、現像して、感光層の一部をエッチング除去し、マスク30を形成する(図2(b))。
マスク30は残った感光層からなる第一〜第三の遮蔽部31〜33と、感光層が除去された部分からなる開口34とを有し、開口34の底面には無機材料膜16が露出する。第一の遮蔽部31は細長であり、アドレス電極15間の隙間上に、アドレス電極15に沿って延設され、第二の遮蔽部32は第一の封止領域18に、第一の放電領域19を取り囲むリング状に形成される。
第三の遮蔽部33は第二の遮蔽部32よりも外側で、第二の遮蔽部32を取り囲むリング状にされ、第三の遮蔽部33を構成する感光層の幅(リング内周からリング外周までの距離、幅)は、第二の遮蔽部32よりも広くされている。
第一の基板本体11のマスク30が配置された面上にノズル35を配置し、ノズル35からガラスビーズ、アルミナ粒子、炭酸カルシウム粒子等の微小粒子を、第一の基板本体11に吹き付ける。微粒子の吹き付けにより、無機材料膜16の開口34に露出する部分は研磨除去されるが、第一〜第三の遮蔽部31〜33で覆われた部分は研磨されずに残り、無機材料膜16がパターニングされる。
無機材料膜16が除去され、開口34底面に第一の基板本体11又は誘電体層14が露出したら微粒子の噴出を停止してパターニングを終了し、マスク30を除去する(図2(c))。無機材料膜16のうち、第一の遮蔽部31で覆われた部分で上述した隔壁13が形成され、第二、第三の遮蔽部32、33で覆われた部分でリング状の第一、第二のリブ41、42が形成される。次に、焼成し隔壁13及び第一、第二のリブ41、42をガラス化する。
隔壁13と第一、第二のリブ41、42は、第一〜第三の遮蔽部31〜33と同じ場所に略等しい形状に形成されるから、第一のリブ41は第一の封止領域18に第一の放電領域19を取り囲むリング状にされ、第二のリブ42は第一のリブ41よりも外側で、第一のリブ41を取り囲むリング状にされ、第二のリブ42を構成する無機材料膜16の幅は、第一のリブ41よりも広い。
次に、隔壁13間に、スクリーン印刷法等により蛍光体を塗布、乾燥し、数百℃で焼成し、蛍光体膜12R、12G、12Bを形成する。
次に、第二の基板20の製造と、第一、第二の基板10、20の貼り合せに用いる真空装置5を説明する(図3)。真空装置5は、第一、第二の製造ライン50、60と、搬送室53と、組み立てライン56とを有している。第二の製造ライン60は、仕込室61と、加熱室62と、成膜室63と、バッファー室64とを有しており、各室61〜63は記載された順番に接続されている。
第一の製造ライン50は、仕込室51と、仕込室51に接続された塗布室52とを有し、また、組み立てライン56は、取出室55と、取出室55に接続された封着室54とを有している。バッファー室64と塗布室52と封着室54はそれぞれ搬送室53に接続されており、従って、第一、第二の製造ライン50、60と組み立てライン56は搬送室53にそれぞれ接続されている。各室51〜55、61〜64には真空排気系(不図示)が接続されており、各室51〜55、61〜64内を真空排気して真空雰囲気を形成しておく。
第二の基板本体21の表面にITO、SnO2等を有する透明導電膜をスパッタ法等で形成し、該透明導電膜をパターニングし、第二の放電領域29に維持電極25と走査電極26を形成した後、電極保護と壁電荷形成のために、膜厚20μm〜40μmの誘電体層22を印刷法等によって形成し、焼成する。
第二の製造ライン60の仕込室61を他の室51〜55、62〜64から遮断した状態で、焼成後の第二の基板本体21を仕込室61へ搬入する。仕込室61を外部雰囲気から遮断し、真空排気後加熱室62に接続し、第二の基板本体21を加熱室62に搬入する。加熱室62内の不図示のヒーターに通電して第二の基板本体21を150℃〜350℃に加熱した後、第二の基板本体21を成膜室63に搬入する。
成膜室63内には、アルカリ土類金属酸化物(MgO、SrO、CaO等)の蒸着材料が配置されている。その蒸着材料を電子ビーム照射又は加熱により蒸発させ、膜厚700nm〜1200nmの保護膜24を形成する。保護膜24形成後の第二の基板20をバッファー室64に搬入する。
第一の製造ライン50の仕込室51に第一の基板10を搬入し、仕込室51を真空排気して蛍光体膜12R、12G、12Bを脱ガスする。脱ガス後、第一の基板10を塗布室52に搬入し、隔壁13と第一、第二のリブ41、42が形成された面を上にし、塗布室52内のXYテーブル65上に配置する(図4)。
塗布室52内には、第一、第二の接着剤ディスペンサ71、72と、ゲッタ材ディスペンサ73が配置され、第一、第二の接着剤ディスペンサ71、72は接着剤供給系74に接続され、ゲッタ材ディスペンサ73はゲッタ材供給系75に接続されている。第一、第二の接着剤ディスペンサ71、72のノズルを第一、第二のリブ41、42上に位置させ、かつ、ゲッタ材ディスペンサ73のノズル孔を第一、第二のリブ41、42間の隙間上に位置させる。
第二の接着剤ディスペンサ72の吐出量を、第一の接着剤ディスペンサ71よりも多く設定し、第一、第二の接着剤ディスペンサ71、72から第一、第二のリブ41、42上にペースト状の接着剤76を吐出し、ゲッタ材ディスペンサ73から第一、第二のリブ41、42間にゲッタ材78を吐出する。第二のリブ42は第一のリブ41より幅が広くされているから、多量の接着剤76が吐出されても、接着剤76が第二のリブ42上から零れない。
接着剤76が第一、第二のリブ41、42上から零れず、かつ、ゲッタ材78が第一、第二のリブ41、42の隙間から溢れないよう吐出し、ディスペンサ71〜73を第一の基板10に対して相対的に移動させる。吐出と移動を交互又は同時に行い、接着剤76を第一、第二のリブ41、42上端全周に配置し、ゲッタ材78も第一、第二のリブ41、42間の隙間全周に配置する。
ゲッタ材78と接着剤76を配置後、接着剤76が硬化しない程度に乾燥させて、接着剤76から余分な溶剤を除去する。次いで、搬送室53内の不図示の搬送ロボットにより、第一、第二の基板10、20を封着室54に搬入する。封着室54内には不図示の保持機構が配置されており、保持機構により、第二の基板20を、保護膜24が形成された面を下にして、第一の基板10上に配置する。
第一、第二の基板10、20には不図示のアライメントマークが設けられている。CCDカメラ等の観察手段により、アライメントマークを観察しながら第一、第二の基板10、20を相対的に移動させて位置合わせし、維持及び走査電極25、26を、第一のリブ41のリング内周よりも内側でアドレス電極15と直交させ、第一、第二のリブ41、42を、第二の基板20の第二の放電領域29よりも外側の領域(第二の封止領域)と対面させる。
封着室54には放電ガス供給系59が接続されている。放電ガス供給系59から封着室54内に放電ガスを供給し、大気圧よりも低い圧力(例えば500Torr)の放電雰囲気を形成しておく。
放電雰囲気を維持しながら、第二の基板20を第一の基板10に押し当て、第二の基板20の第二の封止領域28に露出する表面(ここでは第二の基板本体21)を、第一、第二のリブ41、42上の接着剤76に密着させ、第一、第二の基板10、20間の放電空間27を第一のリブ41で取り囲む。この時、放電空間27に封着室54内部と略等しい放電雰囲気が形成される。
接着剤76は光(紫外線)により硬化する紫外線硬化樹脂を含む。第一、第二の基板10、20を押圧しながら、透明な基板(第二の基板20)側から紫外線を照射し、接着剤76を第一、第二のリブ41、42と第二の基板20に密着した状態で硬化させる。
この時、接着剤76中の溶剤や不純物(H2O、H2、O2、CO、CO2、N2、CH系等)のガスが放出されるが、第一のリブ41上の接着剤76は第二のリブ42上の接着剤76に比べて小量だから、放電空間27に放出されるガス量が少ない。
他方、第二のリブ42上には多量の接着剤76があるから、その接着剤76から多量のガスが発生するが、第一のリブ41に阻まれ、しかも、ゲッタ材78に吸収されるから、放電空間27に進入するガス量は非常に少ない。
接着剤76の硬化終了後、PDP1は、封着室54から取出室55を通って外部に取り出される。図5は接着剤76が硬化したPDP1の拡大断面図であり、図6はそのPDP1の平面図である。
接着剤76は第一、第二のリブ41、42と第二の基板20に密着し、第一、第二のリブ41、42は第一の基板10と密着している。従って、放電空間27は密閉され、放電ガスが漏れず、逆に、大気が放電空間27に進入しない。
第二の製造ライン60の成膜工程は、組み立てライン56のパネル化工程に比べてタクトタイムが早いため、第二の製造ライン60よりも組み立てライン56の数を多くすれば、安価にスループットを約2倍にすることができる。
組み立てライン56を複数設ける場合、各組み立てライン56を異なる基板サイズに対応可能にすれば、例えば一の組み立てライン56で42インチパネルの組み立てを行い、他の組み立てライン56で50インチパネルを組み立てを同時に行なうことも可能である。
無機材料膜16の塗工液は特に限定されないが、一般に低融点ガラス粉体等の無機材料を溶剤に分散させた物である。
第一、第二のリブ41、42と隔壁13の形成方法は特に限定されず、感光性有機バインダーを含有する隔壁材ペーストの塗布層を露光現像して形成してもよい。接着剤76は光硬化性に限定されず、熱硬化性樹脂を含有させ、加熱により接着剤76を硬化させてもよい。
ゲッタ材78はH2O等のガス吸収性が高ければ特に限定されず、例えば、Baと、Caと、Srとからなる群より選択される少なくとも1種類の吸収剤である。
PDP1外部に光を放出させるため、通常、維持及び走査電極25、26は透明導電膜で構成するが、電気抵抗低減のために、金属膜からなる補助電極(バス電極)を印刷法又はスパッタ法で形成してもよい。
第一、第二の基板10、20の少なくとも一方に表面から裏面まで貫通する接続孔を設けておき、貼り合せを真空雰囲気又は大気雰囲気で行い、貼り合せ後に接続孔を介して放電ガスを放電空間27に配置してもよい。しかし、放電雰囲気で貼り合せを行なえば、工程数が少なくなり、製造コストと時間を短縮できる。
第一、第二のリブ41、42を形成する前に、第一の基板本体11表面上にゲッタ材78の膜を蒸着法等で成膜してもよい。しかし、その場合は工程数が多くなる上、ゲッタ材78が隔壁13形成時に変質する虞がある。ゲッタ材78は第一、第二のリブ41、42間の隙間の全周に亘って配置する必要がなく、その隙間に、複数のゲッタ材78を離間して配置してもよい。
第一、第二のリブ41、42と隔壁13は高さを同じにしても良いし、変えてもよい。隔壁13を第二の基板20の表面に当接させる場合、第一、第二のリブ41、42の高さは、接着剤76が硬化した時に、隔壁13が第二の基板20に当接可能なように低くする。
<リブの検討>
下記表1の条件で4種類のPDP1を作成した。
Figure 0005213665
上記表1の「樹脂シール」は接着剤76であり、第一のリブ41の幅は2mm、第二のリブ42の幅は4mm、第一、第二のリブ41、42の高さは130μmとした。各接着剤76には紫外線硬化樹脂を含有するものを用いた。
上記表1の条件1、3は第一、第二のリブ41、42が無く、一重又は二重のリング状接着剤76で第一、第二の基板10、20を貼り合せた。条件2は第一のリブ41が無く、第二のリブ42と、その上の接着剤76で第一、第二の基板10、20を貼り合せた場合であり、条件4は第一、第二のリブ41、42と、その上の接着剤76で第一、第二の基板10、20を貼り合せた場合である。尚、条件4の第一、第二のリブ41、42の間にはゲッタ材78を配置した。
2Oの透過量(透湿度)から、条件1〜4の87600時間(10年)後の放電ガス中のH2O濃度を予測した。透湿度の値は紫外線硬化樹脂の代表的な値(12g/m2・24時間)、具体的には、ナガセケムテックス(株)社製 UV RESIN T−470/UR 7134のテクニカルデータの値を換算した。試験条件はJIS Z 0208、温度60℃、湿度90%、試験片厚み0.1mmである。
2O濃度の予測結果を図7〜9に示す。図7〜9の横軸は経過時間を、縦軸は放電空間27のH2O濃度を示す。尚、図8、9の左方縦軸は条件1のH2O濃度を、右方縦軸は条件3、4のH2O濃度をそれぞれ示す。
気体透過量は面積に比例するため、図7に示すように条件1、2を比較すると、条件2は条件1の20/150=1/7.5になり、ガラス等の無機材料は樹脂材料に比べて透湿度が非常に低いことから、無機材料のリブを用いることでH2O透過量が減少する。参考までに、気体透過量と気体透過係数の計算式を下記式(1)、(2)に示す。
式(1)…気体透過量(体積)=(気体透過係数×圧力差×面積×時間)/フィルムの厚さ
式(2)…気体透過係数=(気体透過量×フィルムの厚さ)/(圧力差×面積×時間)、単位:cm3(STP)cm/(cm2・秒・Pa)
次に、条件1、3を比較すると(図8)、接着剤76を二重にするだけでも、87600時間後の放電ガス中のH2O濃度が約1/200に減少する。しかし、図9に示すように、第一、第二のリブ41、42を設ければ、87600時間後の放電ガス中のH2O濃度を、条件1の約1/12000にすることができる。
<加速試験>
図5、6に示す構造のPDP1を作成し、下記に示す評価試験を行なった。PDP1の構造の詳細と、MgO(保護膜)成膜条件、及び評価試験の詳細を下記に示す。
1.パネル構造
誘電体層22……鉛低融点ガラス、膜厚25μm(印刷法により形成)
維持、走査電極25、26……ITO
放電ギャップ……80μm
保護膜……MgO、膜厚800nm
放電ガス……Ne−4%Xe
2.MgO成膜条件
到達圧力……2.0×10-4Pa
基板加熱温度……250℃
成膜中圧力……4.0×10-4Pa
成膜レート……10Å/秒
3.放電電圧安定性評価手順
1)第一、第二の基板10、20の貼り合せ
2)5分間エージングし、初期電圧測定(加速時間0時間)
3)PDP1を温度70℃湿度85%の雰囲気に置き、所定の経過時間毎に放電電圧を測定、電圧測定条件は波形が矩形波、周波数25kHz
評価試験の結果を図10に示す。図10の横軸は経過時間を、縦軸は放電電圧を示し、同図の符号Vf1は第一セル点灯電圧を、符号Vfnは最終セル点灯電圧を、符号Vsmnは第一セル消灯電圧を、符号Vsm1は最終セル消灯電圧を示す。
図10から明らかなように、本願発明は加速時間1500時間を越えても各電圧の値が殆ど変化せず、耐久性が高いことが分かる。
PDPの一例を説明する模式的な斜視図 (a)〜(c):第一の基板の製造工程を示す断面図 真空装置の一例を示す平面図 接着剤とゲッタ材の塗布工程を説明する断面図 PDPの拡大断面図 PDPの平面図 2O濃度と時間の関係を説明するグラフ(一重シール) 2O濃度と時間の関係を説明するグラフ(リブ無し) 2O濃度と時間の関係を説明するグラフ(リブ有り) 加速時間と放電電圧との関係を示すグラフ
符号の説明
1……PDP 10……第一の基板 13……隔壁 15……第一の電極 18……第一の封止領域 19……第一の放電領域 20……第二の基板 25……第二の電極 28……第二の封止領域 29……第二の放電領域 41……第一のリブ 42……第二のリブ 76……接着剤 78……ゲッタ材

Claims (6)

  1. 縁よりも内側の第一の放電領域に第一の電極が形成された第一の基板本体の、前記第一の電極が形成された面上に、前記第一の放電領域と、前記第一の放電領域の外側の第一の封止領域とを覆う無機材料膜を形成し、
    前記無機材料膜をパターニングし、パターニングされた前記無機材料膜から、前記第一の放電領域上には互いに平行に配置された複数の隔壁を形成し、前記第一の封止領域上には前記第一の放電領域を取り囲むリング状の第一のリブを形成し、前記第一の封止領域上の前記第一のリブよりも外側の位置には、前記第一のリブを取り囲み、前記第一のリブよりも前記無機材料膜の幅が広い第二のリブを形成して第一の基板を製造し、
    前記隔壁と前記第一、第二のリブを焼成した後、光硬化性の樹脂を含む接着剤を前記第一、第二のリブ上に配置し、
    第二の基板本体に第二の電極が設けられた第二の基板を、前記第二の電極を前記第一の基板に向けて前記第一、第二のリの前記接着剤と接触させ、紫外線を照射して前記接着剤を硬化して、前記第一、第二のリブの150/130倍以下の高さの第一、第二の接着剤付リブを形成し、前記第一、第二の基板を貼り合せるプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  2. 前記第一、第二の基板の貼り合せは、前記放電ガスを含有する放電ガス雰囲気中で行なう請求項1記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  3. 前記第一、第二の接着剤付リブの前記接着剤を前記第二の基板本体に密着させ、前記隔壁は、前記第二の電極上に設けられた保護膜に接触させる請求項1又は請求項2のいずれか1項記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  4. 第一、第二の基板とを有し、
    前記第一、第二の基板は第一、第二の基板本体を有し、前記第一、第二の基板本体の縁よりも内側の第一、第二の放電領域に第一、第二の電極が配置され、
    前記第一、第二の基板は前記第一、第二の電極が対面するように貼り合わされたプラズマディスプレイパネルであって、
    前記第一の基板の前記第一の放電領域よりも外側の第一の封止領域には、前記第一の放電領域を取り囲む第一のリブと、前記第一のリブを取り囲む第二のリブが配置され、
    前記第一、第二のリブは同じ無機材料膜で構成され、前記第二のリブのリングを構成する前記無機材料膜の幅は、前記第一のリブよりも広くされ、
    光硬化性の樹脂を含む接着剤が前記第一、第二のリブ上に配置され、前記第一、第二のリブの150/130倍以下の高さの第一、第二の接着剤付リブが形成されて、
    前記第一、第二の接着剤付リブの前記接着剤は、前記第二の基板に密着した状態で紫外線が照射されて前記接着剤が硬化されたプラズマディスプレイパネル。
  5. 前記第一の放電領域には隔壁が配置され、
    前記隔壁は、前記第一、第二のリブと同じ前記無機材料膜で構成された請求項4記載のプラズマディスプレイパネル。
  6. 前記第一、第二の接着剤付リブは、前記第二の基板本体に固定され、前記隔壁は、前記第二の電極上に設けられた保護膜に接触された請求項5記載のプラズマディスプレイパネル。
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