JP4786963B2 - アルミニウム電解コンデンサ用電解液 - Google Patents

アルミニウム電解コンデンサ用電解液 Download PDF

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Description

本発明はアルミニウム電解コンデンサ用電解液に関する。さらに詳しくは、実質的にハロゲンを含まないポリビニルアセタール樹脂を添加したアルミニウム電解コンデンサ用電解液に関する。本発明のアルミニウム電解コンデンサ用電解液はアルミニウム電解コンデンサの駆動用として使用されるものであり、本発明の電解液によれば、アルミニウム電解コンデンサにおける電解液の液漏れ、ドライアップ及び腐食を防止することができる。
アルミニウム電解コンデンサ用電解液は、アンモニウム塩やアミン塩などをエチレングリコールに溶解したものが一般的である。しかしながら、電解液は液体であり、液漏れ及びドライアップを発生する恐れがあるので、電解液をゲル化させて液漏れを防止し、安全性及び寿命特性に優れた電解液を得るための技術が種々提唱されている。ドライアップとは、電解コンデンサに用いるセパレータに電解液の含浸が不十分な箇所が出来て乾燥が進むことであり、ドライアップが発生すると、セパレータを構成している繊維が剥離してアルミニウム箔に付着し、電解コンデンサの寿命を短くする一因といわれている。
これまで、電解液にポリアルキレングリコールアクリレートなどの二重結合を含有するマクロモノマーを添加し、これにUVを照射するか又は重合開始剤を添加してマクロモノマーを重合及び架橋させることにより電解液をゲル化する方法がよく知られている。しかしながら、このようなゲル型高分子電解質は、イオン伝導度の点で充分満足できるものではない。さらにこの方法においては、電解液をゲル化させるために、通常の電池製造工程にUV照射や加熱工程という余分な工程を付加する必要がある。また、マクロモノマーは一般にポットライフが短いので、厳重な品質管理も必要であり、マクロモノマーを用いて電解液をゲル化する場合は電解コンデンサの製造工程が繁雑になるという問題がある。
一方、液漏れ及びドライアップを抑制するためにはポリビニルアセタールが有効であり、ポリビニルアセタールに電解液を含浸させたゲル型高分子電解質が知られている。例えば電池用のゲル型高分子電解質(特許文献1及び2)、ポリビニルブチラールと有機溶媒とを用いたイオン導電性固形体組成物(特許文献3及び4)、ポリビニルアセタールと有機溶媒とを含んだ高分子固体電解質(特許文献5)、ポリビニルブチラールと有機溶媒とを含んだ高分子固体電解質(特許文献6)が報告されている。さらに、エチレングリコールを主成分とする溶媒に高級二塩基酸又はそのアンモニウム塩、及びホウ酸又はホウ酸アンモニウムを溶解し、部分アセタール化ポリビニルアルコール又はポリビニルホルマールを溶解させた電解コンデンサ駆動用電解液も知られている(特許文献7)。
米国特許第3985574号明細書 米国特許第3989540号明細書 特開昭57−143355号公報 特開昭57−143356号公報 特開平3−43909号公報 特開平3−43910号公報 特開平9−298131号公報
従来知られているポリビニルアセタール樹脂は、水溶液中のポリビニルアルコールとアルデヒドを酸触媒の存在下で反応させ、生成するポリビニルアセタールの樹脂スラリーをアルカリで中和し、脱水、洗浄した後に乾燥して粉粒状の形態として得る方法が一般的であり、中和に用いる水酸化ナトリウムなどのアルカリ中和剤が酸触媒と反応して金属塩を生成する。したがって、中和金属塩や未反応のアルカリ中和剤、未反応の酸触媒などは、ポリビニルアセタール樹脂の粒子中に取り込まれたり、粒子表面に付着する。かかる成分は水洗を繰り返すことによりある程度除去することができるが、粒子中に取り込まれた成分を除去するのは極めて困難である。
以上述べたように、従来の製法により得られたポリビニルアセタール樹脂には塩酸などの酸触媒に由来するハロゲンが残存しており、このようなポリビニルアセタール樹脂をアルミニウム電解コンデンサに使用すると液漏れやドライアップを抑制する効果がある反面、腐食が発生するという問題点が指摘されている。また、ポリビニルアセタール樹脂における酸成分の残留は脱水などの副反応を助長し、熱安定性などを損なわせる。さらに、ポリビニルアセタール樹脂中に残存するアルカリ金属は、ポリビニルアセタール樹脂の特性、例えば、透明性、電気絶縁性、熱安定性などを損なわせる。
従って、従来の製法で得たポリビニルアセタール樹脂に電解液を含浸させたゲル型高分子電解質においては、含有するハロゲンにより腐食が発生するという問題があり、さらにアルカリ金属を含有する場合は、耐熱性、安定性、安全性の点で劣り、このようなゲル型高分子電解質を用いてアルミ電解コンデンサを作製した場合、熱安定性や寿命特性に劣る。
本発明の目的は、電解液の液漏れ及びドライアップを防止し、耐熱性に優れ、熱安定性が良好で安全性が高く、腐食の発生を抑制できるアルミニウム電解コンデンサ用電解液を提供することである。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、ハロゲン含量を100ppm以下としたポリビニルアセタール樹脂により上記目的を達成することができることを見出し本発明に至った。すなわち本発明は、電解質と有機溶媒からなる電解液において、ハロゲン含量が100ppm以下のポリビニルアセタール樹脂を添加することを特徴とするアルミニウム電解コンデンサ用電解液である。
本発明のアルミニウム電解コンデンサ用電解液は実質的にハロゲン、好ましくはアルカリ金属を含まないポリビニルアセタール樹脂を含有するため、電解液の液漏れ及びドライアップを防止することができ、腐食の発生を抑制することができる。また、耐熱性にも優れ、熱安定性が良好であるため安全性が高い。
樹脂中に含有されるハロゲン元素は脱水反応などを引き起こし、樹脂の熱安定性を損なわせ、また、電子部品用途などでは、ハロゲン元素の含有量を特に低くすることが望まれるので、本発明においてポリビニルアセタール樹脂におけるハロゲン含量は100ppm以下とすることが必要である。ハロゲン含量は好ましくは10ppm以下であり、ハロゲンを含まないポリビニルアセタール樹脂を使用するのがさらに好ましい。
ポリビニルアルコールとカルボニル化合物とを二酸化炭素からなる酸触媒の存在下で反応させることにより製造されるポリビニルアセタール樹脂は実質的にハロゲンを含有しないので、このようにして得られたポリビニルアセタール樹脂を使用するのが好ましい。本発明のアルミニウム電解コンデンサ用電解液は、電解質と有機溶媒からなる電解液にハロゲン含量が100ppm以下のポリビニルアセタール樹脂を添加することにより製造される。
ポリビニルアセタール樹脂の原料となるポリビニルアルコールは特に制限されるものではなく、変性されたポリビニルアルコールを使用することも可能である。通常、平均重合度は、200〜4000、より好適には、1000〜3000、更に好適には、1500〜2500のものが用いられる。ケン化度は80モル%以上のもの、より好適には90モル%以上のもの、更に好適には99モル%以上のものが用いられる。
ポリビニルアルコールは、通常ケン化触媒の残渣であるアルカリ金属塩を含んでおり、ポリビニルアセタール樹脂中に含有されるアルカリ金属元素は電気絶縁性、透明性、熱安定性などを損なわせ、また、電子部品用途などでは、アルカリ金属元素の含有量を低くすることが望まれるので、好ましくはアルカリ金属元素換算で1000ppm以下、さらに好ましくは100ppm以下のアルカリ金属含有量の少ないポリビニルアルコールを使用することが好ましい。アルカリ金属塩の含有量の少ないポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールを水やアルコール溶媒で洗浄することによって容易に得ることができる。
ポリビニルアセタール樹脂中のアルカリ金属元素含有量は1000ppm以下、より好ましくは500ppm以下であることが好ましい。
カルボニル化合物としては、アルデヒド類、ケトン類などを挙げることができるが、なかでもアルデヒド類が好ましい。アルデヒド類としては、広くポリビニルアセタール樹脂の合成に用いられるアルデヒドを用いることができ、特に制限されるものではない。例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、tert−ブチルアルデヒド、アミルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、2−エチルヘキシルアルデヒドなどの脂肪族アルデヒド類、シクロヘキサンカルボアルデヒド、シクロオクタンカルボアルデヒド、ノルボルナンカルボアルデヒド、フルフラールなどの脂環族アルデヒド類、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ハロゲン置換ベンズアルデヒド、フェニル置換アルキルアルデヒドなどの芳香族アルデヒド類などを例示することができる。
これらの中でも、電解液溶媒であるエチレングリコール、N,N−ホルムアミド、γ−ブチロラクトン等の有機極性溶媒への溶解度を考慮すると、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、ブチルアルデヒドが好ましく、とくにアセトアルデヒド、ホルムアルデヒドが好ましい。アルデヒド類は単独で用いてもよく、二種以上併用してもよい。
工業的に入手できるアルデヒド類には、カルボン酸が混入している場合がほとんどである。これは、製造工程中に副生したものであったり、ハンドリング中に空気中で酸化されたりしたものである。このようなカルボン酸は、不純物としてポリビニルアセタール樹脂に混入したり、未反応アルデヒドを回収する際に当該アルデヒドに混入したり、アセタール化反応中にエステル化反応などの副反応を起こしたりするおそれがある。
また、カルボン酸の混入したポリビニルアセタール樹脂を用いてアルミニウム電解コンデンサ用電解液を作製した場合、電極の腐食などの問題が発生することがある。したがって、品質の良好なポリビニルアセタール樹脂を得るためには、アルデヒドの酸価が20KOHmg/g以下であることが好ましく、1KOHmg/g以下であることがより好ましい。
ポリビニルアルコールと反応させるために使用されるカルボニル化合物の量は、目的とするアセタール化度などによって適宜調整される。ポリビニルアルコールの全水酸基がアセタール化される量(すなわち、当該水酸基の半分のモル数)が理論量であるので、当該理論量の0.01〜10倍のモル数のアルデヒドを用いることができる。アルデヒドの使用量の下限値は好適には前記理論量の0.01倍以上であり、より好適には0.1倍以上である。一方、上限値は好適には前記理論量の10倍以下であり、より好適には1.0倍以下である。
ポリビニルアルコールとアルデヒドとは、水又はアルコールを溶媒とする液体中で反応させることが好ましい。通常、ポリビニルアルコールの水又はアルコールの溶液を調製し、二酸化炭素の存在下でアルデヒドと撹拌する。アルデヒドがポリビニルアルコール溶液中に溶解する場合には均一相で反応が進行し、アルデヒドがポリビニルアルコール溶液に溶解しない場合には、懸濁された状態で反応が進行する。反応が進行するに従ってポリビニルアセタール樹脂が析出する場合が多い。
アセタール化反応に用いる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2−ブタノール、アミルアルコール、イソアミルアルコール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールなどのアルコール類を使用することができる。これらのアルコールは二種以上併用してもよいが、二酸化炭素の溶解性及びポリビニルアルコールとカルボニル化合物の反応性を考慮して、少なくとも水を使用することが好ましい。
反応液中のポリビニルアルコールの濃度は特に限定されず、ポリビニルアルコールの溶解度や反応容積効率などを考慮して調整されるが、仕込み時のポリビニルアルコールの含有量が反応液全体の重量に対してあまり少ないと生産性が低下することがあり、またあまり多いと攪拌が困難になることがあるので、0.01〜80重量%で実施するのが好ましい。より好ましくは0.1〜50重量%、さらに好ましくは1〜30重量%、とくに好ましくは5〜10重量%である。
本発明において、必要な二酸化炭素量は反応温度に依存するが、反応中に多くの二酸化炭素を供給することが肝要である。二酸化炭素を存在させる方法は特に限定されないが、密封可能な反応容器において二酸化炭素を溶媒に溶解させることが好ましい。二酸化炭素の溶解度を溶液中の二酸化炭素のモル分率で表した場合、好ましい溶解度は1.0×10−4〜300×10−4の範囲であり、より好ましくは5.0×10−4〜30×10−4の範囲である。
反応は常圧又は加圧下で行われるが、二酸化炭素の溶解度を高めるという観点から、二酸化炭素により加圧しながら、ポリビニルアルコールとカルボニル化合物とを反応させることが好ましい。加圧するときの反応器内の圧力は、あまり低いとアセタール化反応の進行が十分でないことがあり、またあまり高いと設備コストが増加するので0.2〜10MPaで実施するのが好ましい。0.5〜5MPaで実施するのがより好ましく、1.0〜3.0MPaで実施するのがさらに好ましい。なお、ここでいう圧力はアセタール化反応中の最高圧力のことであり、ゲージ圧である。
アセタール化反応の反応温度は特に制限されるものではないが、あまり高すぎる温度下ではアセタール生成効率が低く、またあまり低すぎる温度ではポリビニルアルコールの溶解度及び反応時の運動性が著しく損なわれ、反応の進行が遅くなる傾向にあるため、40℃〜250℃、より好ましくは、60℃〜180℃の範囲で実施される。
ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は、アルミニウムコンデンサ用電解液に用いる有機溶媒の種類によって適宜調整される。アセタール化度(モル%)=(アセタ
ール化された水酸基のモル数)/(原料PVA中の水酸基+残存アセチル基のモル数)×100とした場合、アセタール化度は1モル%以上90モル%以下であることが好ましい。より好適には5モル%以上50モル%以下である。
本発明のアルミニウムコンデンサ用電解液に用いる電解質としては、ホウ酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ブチルオクタン二酸、及びこれらのアンモニウム塩、4級アンモニウム塩又はアミン塩を挙げることができる。
本発明のアルミニウムコンデンサ用電解液に用いる有機溶媒としては、エチレングリコール、N,N−ホルムアミド、γ−ブチロラクトン等の有機極性溶媒又はこれらの溶媒に水を加えたものを挙げることができる。
本発明のアルミニウム電解コンデンサ用電解液は、上記電解質及びポリビニルアセタール樹脂を有機溶媒又は有機溶媒に水を加えたものに溶解させることにより調製される。ポリビニルアセタール樹脂の添加量は、用いるポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度に左右されるが、あまり少ないと電解液が低粘度となるため液漏れする可能性があり、またあまり多いと有機溶媒に溶解させるのに困難を来たすことがあるため、通常電解液全体に対して、0.1〜20重量%、より好ましくは、1〜10重量%で実施される。以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
ポリビニルアセタールの合成:
500ミリリットル(mL)のステンレス製オートクレーブにPVA−117BU(株式会社クラレ製)10g及び水100gを加え、窒素ガス雰囲気下に90℃に加熱して溶解した。アセトアルデヒド1.26g(0.0285モル)を加えた後、二酸化炭素で1MPaに昇圧し、110℃に加熱した。4時間後、90℃まで冷却し、二酸化炭素を放圧した。得られた液を冷却、80℃の熱風乾燥機で水を除去した後、80℃で真空乾燥した。
得られたポリビニルアセタール樹脂をH−NMRにて分析したところ、アセタール化率13.0%であった。ポリビニルアセタール樹脂を酸素フラスコ燃焼法にて処理後、ポリビニルアセタール樹脂中の全塩素含量を陰イオンクロマトにより分析したところ検出限界(10ppm)以下であった。また、ポリビニルアセタール樹脂中のアルカリ金属含量をICP発光分析により測定したところ344ppmであった。
電解液の調製:
実施例1で得たポリビニルアセタール樹脂0.15gにエチレングリコール2.49gを加えて100℃で加熱溶解した後、アジピン酸二アンモニウム0.27g及びイオン交換水0.09gを加え、80℃で加熱溶解させた。得られた電解液のイオン伝導度を交流インピーダンス法により室温(25℃)にて測定したところ2.6mS/cmであった。
耐熱性試験:
実施例1で調製した電解液を耐圧ガラス容器に入れ、100℃で加熱した後、経時的にイオン伝導率を測定した。結果を表1及び図21に示すが、168時間後のイオン伝導率の低下は23%であり、後述する比較例1と較べても実用上問題のないものであった。
比較例1
ポリビニルアセタールの合成:
500mLのステンレス製オートクレーブにPVA−117BU(株式会社クラレ製)10g及び水100gを加え、窒素ガス雰囲気下に90℃に加熱して溶解した。アセトアルデヒド0.819g(0.0186モル)を加えた後、25℃にて20%塩酸を8.5g滴下した。滴下終了後、65℃で4時間攪拌した後室温まで冷却し、メタノールにて再沈することによりポリビニルアセタール樹脂を取り出した。
得られたポリビニルアセタール樹脂に0.5%水酸化ナトリウム水溶液を100mL加えて70℃で1時間攪拌し、ろ過した後、水100mLで5回洗浄した。洗浄したポリビニルアセタール樹脂を乾燥後、H−NMRにて分析したところ、アセタール化率1.%であった。また、ポリビニルアセタール樹脂中の全塩素含量を実施例1と同様にして測定したところ165ppmであり、アルカリ金属含量を実施例1と同様にして測定したところ1050ppmであった。
電解液の調製:
比較例1で得られたポリビニルアセタール樹脂0.15gにエチレングリコール2.49gを加えて100℃で加熱溶解した後、アジピン酸二アンモニウム0.27g及びイオン交換水0.09gを加え、80℃で加熱溶解させた。実施例1と同様にして測定した電解液のイオン伝導率は2.0mS/cmであった。
耐熱性試験
比較例1で調製した電解液を耐圧ガラス容器に入れ、100℃で加熱した後、経時的にイオン伝導率を測定した。結果を表1及び図21に示す。
Figure 0004786963
実施例2
電解液の調製:
実施例1で得たポリビニルアセタール樹脂にエチレングリコールを加えて100℃で加熱溶解した後、アジピン酸二アンモニウム0.27g及びイオン交換水0.09gを加えて80℃で加熱溶解させた。エチレングリコール/アジピン酸二アンモニウム/水=88/9/3の重量比に保ってポリビニルアセタール樹脂の添加率2.5、5、10重量%の異なる電解液を調製した。添加率を上げるに従って電解液の粘度は上昇した。得られた電解液のイオン伝導率を実施例1と同様にして測定した結果を表2及び図2に示した。ポリビニルアセタール樹脂の添加率10%でもイオン伝導率の低下は40%程度であり実用上の問題は認められなかった。
Figure 0004786963
実施例3
ポリビニルアセタールの合成:
500mLのステンレス製オートクレーブにPVA−117BU(株式会社クラレ製)10g及び水100gを加え、窒素ガス雰囲気下に90℃に加熱して溶解した。ホルマリン2.45g(0.0285モル)を加えた後、二酸化炭素で1MPaに昇圧し、110℃に加熱した。4時間後、90℃まで冷却し、二酸化炭素を放圧した。得られた液を冷却、80℃の熱風乾燥機で水を除去した後、80℃で真空乾燥した。
得られたポリビニルアセタール樹脂をH−NMRにて分析したところ、アセタール化率15.0%であった。また、ポリビニルアセタール樹脂中の全塩素含量を実施例1と同様にして測定したところ検出限界(10ppm)以下であった。また、実施例1と同様にして測定したアルカリ金属含量は333ppmであった。
電解液の調製:
実施例3で得られたポリビニルアセタール樹脂0.15gにエチレングリコール2.49gを加えて100℃で加熱溶解した後、アジピン酸二アンモニウム0.27g及びイオン交換水0.09gを加え、80℃で加熱溶解させた。実施例1と同様にして測定した電解液のイオン伝導率は2.2mS/cmであった。
本発明のアルミニウム電解コンデンサ用電解液は、実質的にハロゲン、好ましくはアルカリ金属を含まないポリビニルアセタール樹脂を含有するため、電解液の液漏れ及びドライアップを防止することができ、かつ耐熱性に優れ、安定性が良好で安全性が高く、腐食の発生を抑制することができるので産業上有用である。
イオン伝導率の経時変化を示すグラフである。 ポリビニルアセタール樹脂の添加率とイオン伝導率の関係を示すグラフである。

Claims (6)

  1. 電解質と有機溶媒からなる電解液において、ハロゲン含量が100ppm以下で、かつアセタール化度が5〜50モル%であるポリビニルアセタール樹脂を電解液全体の1〜10重量%添加することを特徴とするアルミニウム電解コンデンサ用電解液。
  2. ポリビニルアセタール樹脂の添加量が電解液全体に対して2.5〜10重量%であることを特徴とする請求項1記載のアルミニウム電解コンデンサ用電解液。
  3. 該ポリビニルアセタール樹脂のアルカリ金属含量が1000ppm以下である請求項1又は2記載のアルミニウム電解コンデンサ用電解液。
  4. 該ポリビニルアセタール樹脂が、ポリビニルアルコールとカルボニル化合物とを二酸化炭素からなる酸触媒の存在下で反応させることにより得られるポリビニルアセタール樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載のアルミニウム電解コンデンサ用電解液。
  5. 該カルボニル化合物がアルデヒド類である請求項記載のアルミニウム電解コンデンサ用電解液。
  6. 該アルデヒド類がアセトアルデヒドまたはホルムアルデヒドである請求項記載のアルミニウム電解コンデンサ用電解液。
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