以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、メモリ装置を備えた無線チップが一体となったシートを材料に付着させ、当該材料の管理方法について説明する。
図1(A)には、無線チップ100が隣接するように複数設けられ、一体となったシート101を示す。無線チップ100は、無線通信により電力や信号を受け取ることができる。本発明の無線チップ100は、フレキシブル基板を用いて形成することができ、多面取りを可能とする。そのため、無線チップ毎に切断する多面取り前の状態を、シート101として用いることができる。このような本発明の無線チップは、フレキシブル基板を用いて形成することができるため、シリコンウェハからなるチップと比較して、柔軟性に富む。そのため、このような柔軟性に富む無線チップは、平面以外の表面にも貼り付けることができる。シート101は多くの無線チップ100を有しているが、その数、間隔、大きさ等は限定されない。すなわち、シート101内の無線チップ100の数、間隔、大きさ等は、貼り付ける材料の形状や分断した後の形状に合わせて決定することができる。
図1(B)には、複数の材料として、第1の材料A及び第2の材料Bを示す。第1の材料Aの一面に、無線チップを有するシート101を付着する。同様に、第2の材料Bの一面に、無線チップを有するシート101を付着する。本実施の形態では、各材料の一面のみにシート101を付着しているが、全面に付着してもよい。但し、分断後の材料にシート101の存在しない領域がないように、シート101を付着する。
本発明の無線チップ100は、メモリ装置102を有している。メモリ装置102は、無線通信によりメモリ領域への書き込み、当該メモリ領域からの読み出しを行うことができる。
表1には、メモリ装置102の機能及びその動作条件を示す。
メモリ装置102は、識別情報ID(A)及びID(B)を構成するメモリ領域を有する。識別情報ID(A)、ID(B)は、初期情報に該当し、無線通信を用いずにメモリ装置102へ書き込んでもよい。識別情報ID(A)、(B)は、それぞれ同一シート101内にあるメモリ装置102であることを識別するための、グローバルID(a)(b)と、同一シート101内にある他のメモリ装置と識別するためのローカルID(a)(b)とに分けることができる。グローバルIDとは、固体を識別するためのIDであり、固体に貼られたシート101内の無線チップ100に同一のグローバルIDを付与する。またローカルIDとは、同一の固体に貼られたシート101を構成する無線チップ100個々を識別するためのIDである。
また、識別情報ID(a)の読み出しを制御するためのスイッチアドレス(s)を有する。スイッチアドレス(s)とは、ID(A)を読み出すためのスイッチとして機能・動作する。このようなスイッチアドレス(s)は、メモリ領域に記憶させておき、さらに制御回路によってオンオフが制御される。そのため、スイッチアドレス(s)はライトワンスメモリ(追記型メモリであって、書き込みのみを行うことができ、消去が不可能となる構造を有するメモリ)から構成するとよい。スイッチアドレス(s)は,最初オフとしておく。なお、スイッチアドレス(s)に書き込みを行い、オンとする際には、パスワードを構成した信号を無線チップへ101入力するようにする。このように設定されたログを解除することができる。
一方、識別情報ID(B)は、随時読み出しが可能となるように設定されている。このように識別情報へアクセスする条件を異ならせることによって、偽造防止効果を奏することができる。
なお材料の管理工程等において、各メモリ装置102を識別する必要がなければ、識別情報ID(B)は設ける必要はない。
またメモリ装置102は、さらにライトワンスメモリを有する。ライトワンスメモリは、随時読み出し可能、及び書き込み可能とする。このライトワンスメモリによって、材料に関する情報を書き込み、その後読み出すことができる。そして、読み出された情報を、依頼者等へ提供することができる。
このようなメモリ装置102が一体となったシートを付着した状態で、第1の材料A及び第2の材料Bを分断する。本実施の形態では、2つに分断し、第1の材料からA1及びA2を加工し、第2の材料からB1及びB2を加工する場合を示す。このとき、シート101では無線チップ100まで分断され、破壊された領域107が生じてしまう。しかし、シート101には複数の無線チップ100が形成されているため、一部が破壊されても構わない。破壊されてない無線チップ100を用いて、第1の材料Aと、第2の材料Bとを識別することができるからである。
その後、分断された材料を組み合わせ、加工品を作製する。本実施の形態では、A1とB1とを組み合わせた加工品C1、A2とB2とを組み合わせた加工品C2を作製する。
A1とA2との識別が可能となるのは、メモリ装置内のローカルID(a)(b)の違いによる。またA1とA2とは、同一の材料から加工されたことは、メモリ装置に記憶したグローバルID(a)(b)によって識別できる。同様に、B1とB2との識別もローカルID及びグローバルIDによって行うことができる。その結果、加工品C1(=A1+B1)、C2(=A2+B2)は、それぞれのメモリ装置に記憶されたグローバルIDやローカルIDによって識別することができる。その後さらに、加工品C1、C2の加工に関する情報を、メモリ装置へ書き込むこともできる。その結果、材料以外の情報である加工に関する情報を読み出し、提供することができる。加工に関する情報とは、加工手段や加工寸法等がある。
このように加工された加工品は、メモリ装置102が付着したままの状態のため、当該メモリ装置から情報を読み取ることができる。
このようなメモリ装置102が付着した材料を用いて建築物を組み立てた場合、組み立てた途中においてもメモリ装置102からの情報を得ることができ、材料の不正使用を防止することができる。
このような本発明によって、建築物を構成する材料の品質管理を行うことができ、不正な材料を使用する行為を防止することができる。
また本発明によって、複数の業者を経由して建設される建築方式であっても、業者間での材料管理が簡便なものとなる。
本実施の形態では、無線チップ100を材料表面に付着させる形態を示したが、材料自体に埋め込む形態であってもよい。無線チップ100が埋め込まれた材料を加工した場合であっても、無線通信を用いて、上記のように材料に関する情報や加工情報をメモリ装置102へ書き込むことができる。
なお本実施の形態では、材料として建築用材料を用いる場合を説明したがこれに限定されない。上記のような効果を奏する事業形態であれば、本発明のシステムを適用することができる。例えば、複数の食材からなる調理品や複数のパーツからなる乗用車工場においても、本発明を適用することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、複数のメモリ装置が一体となったシートをある材料に付着させ、当該材料を用いた管理方法について説明する。
図2には、材料として木材を用い、シート101を木材の一部に巻き付け、建築物を組み立てる建築工程を示す。
まず図2(A)に示すように、複数の木材(1)から(n)を用意する。木材(1)から(n)は、互いに異なる木材とすることができ、建築依頼者から選択された木材とすることもできる。これら木材は、多業者から購入してもよく、一業者から購入してもよい。また木材以外であっても、壁材やコンクリート材料であっても、本発明を適用することができる。
そして図2(B)に示すように、複数の木材(1)から(n)の一部に、シート101を巻き付けて付着させる。木材は、縦長方向に切断させることが多いため、当該方向に垂直な方向に沿ってシート101を巻き付ける。本発明はシート101の付着形態には限定されず、当該付着形態はその後の木材等の分断形態によって決定することができる。すなわち、木材を切断したときに、いずれの木材にもシート101が付着された状態となるようにする。
そして、シート101のメモリ装置には、木材に関する初期情報(伐採地、分断形状、建築物内の使用箇所等)が記憶されている。初期情報は、リーダライタ装置を用いて、メモリ装置へ記憶することができる。このような初期情報は、表1に示した追記型メモリ構造を有する領域に書き込むことができる。
次に図2(C)に示すように、各木材を所定の形状に分断し、建築用材料とする。建築用材料に分断した後であっても、材料にはメモリ装置が貼り付いているため、その情報を読み出したり、新たな情報を書き込むことができる。新たな情報とは、分断時期や分断業者名等に関する分断情報である。本実施の形態では、柱に使用する建築用材料として、長方形に分断する形態を示すが、柱以外であっても壁や屋根となる材料に本発明を適用することができる。
そして図2(D)に示すように、これら材料を用いて建築物を完成させる。このように建築物を構成する各材料はメモリ装置を有することができ、当該材料に関する情報を完成後、つまり竣工時に得ることができる。そして、違法な材料、違法な使用、例えば指定した材料より安価な材料を使用している等を発見することができる。
勿論、加工途中であっても、メモリ装置からの情報を得ることができ、また書き込むことができる。書き込む情報は、加工時期や加工業者等に関する加工情報がある。このように加工途中に定期的なメモリ装置からの加工情報を得ることによって、早期に違法な材料、違法な使用等を発見することができる。
図3には、図2に示した情報のやり取りを、フローチャートを用いて説明し、合わせて無線チップが有するメモリ装置102の状態を示す。
まずシート101を木材に貼り付けるステップ(S01)がある。そして、シート101が有する無線チップ100内のメモリに初期情報が書き込まれるステップ(S02)がある。ここで全てのチップのメモリに初期情報を書き込む。その後の分断工程で、任意のチップが破壊される可能性があるからである。これらステップS01、S02はどちらを先に行ってもよい。
ステップS01、S02は同一業者内で行うことができるが、別の業者間で行ってもよい。例えば第1の業者によって初期情報をシート101に書き込み、これが納品される第2の業者によって木材にシートを貼り付けてもよい。このような場合、第1の業者と第2の業者とではその旨の契約を締結しておく。
次いで、材料を分断するステップ(S03)がある。そして、シート101が有するチップのいずれかが破壊されてしまう恐れがある。しかし、本発明はシート101に複数の無線チップ100が設けられ、全てのチップが有するメモリに初期情報が書き込まれているため、いずれのチップが破壊されても構わない。そして、破壊されていない全ての無線チップ100内のメモリに、分断情報を書き込むステップ(S04)がある。これらステップS03、S04はどちらを先に行ってもよい。
ステップS03、S04は同一業者内で行うことができるが、別の業者間で行ってもよい。このような形態は、ステップS01、S02間の形態を参照することができる。またステップS01、S02を行う業者と、ステップS03、S04を行う業者は同一であっても、別であってもよい。
次いで、建築物を組み立てるステップ(S05)がある。そして、破壊されていない全ての無線チップ100が有するメモリに、加工情報を書き込むステップ(S06)がある。これらステップS05、S06はどちらを先に行ってもよい。
ステップS05、S06は同一業者内で行うことができるが、別の業者間で行ってもよい。このような形態は、ステップS01、S02間の形態を参照することができる。またステップS01、S02を行う業者、及びステップS03、S04を行う業者と、ステップS05、S06を行う業者は同一であっても、別であってもよい。
最後に書き込まれた情報を確認するステップ(S07)がある。リーダライタ装置210を建築物の柱等にかざすことによって、無線通信により建築用材料の初期情報、分断情報、加工情報を得ることができる。得られた情報は、リーダライタ装置210を介して、有線又は無線により情報処理装置211に蓄積することができる。このように情報が蓄積される情報処理装置211はサーバとして機能する。
蓄積された情報は、建築依頼者、材料提供業者、分断業者、加工業者等に提供することができる。そして、違法な材料、違法な使用等を発見することができる。なお上述したように、加工途中でこれら情報を読み出すことも可能である。
図4には、業者(ニ)つまり管理業者と、設計業者と、建築依頼者間との通信システムについて示す。管理業者が有するサーバとして機能する情報処理装置211は、少なくとも演算処理部(CPU)212、情報を送受信する機能を備えた送受信部213、情報が蓄積されるデータベース214、リーダライタ装置との通信を行うためのR/Wインタフェース部215を有する。データベース214には、メモリ領域が設けられている。これら情報処理装置内の機能は、バスによって接続されている。
設計業者が有する情報処理装置221は、少なくとも演算処理部222、情報を送受信する機能を備えた送受信部223、データベース224を有する。データベース224には、メモリ領域が設けられている。さらに情報処理装置221においても、リーダライタ装置との通信を行うためのR/Wインタフェース部を有してもよい。これら情報処理装置内の機能は、バスによって接続されている。
建築依頼者が有する情報処理装置231は、少なくとも演算処理部232、情報を送受信する機能を備えた送受信部233、データベース234を有する。データベース234には、メモリ領域が設けられている。さらに情報処理装置231においても、リーダライタ装置との通信を行うためのR/Wインタフェース部を有してもよい。これら情報処理装置内の機能は、バスによって接続されている。
これら情報処理装置は、通信ネットワークを介して情報のやり取りを行うことができる。通信ネットワークとして、インターネットシステムを利用することができ、その他電話回線、携帯電話などの公衆回線、LAN(ローカルエリアネットワーク)が挙げられる。通信ネットワークを用いた通信手段には、電子メールが挙げられる。
以上、本実施の形態では、材料として建築用材料を用いる場合を説明したがこれに限定されない。上記のような効果を奏する事業形態であれば、本発明のシステムを適用することができる。例えば、複数の食材からなる調理品や複数のパーツからなる乗用車工場においても、本発明を適用することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、各業者間における情報管理の方法及びそのシステムについて説明する。
図5に示すように、複数の業者(イ)から(ニ)によって、1つの建築物が完成する形態がある。例えば業者(イ)は木材を提供する業者、業者(ロ)は木材の分断を行う業者、業者(ハ)は組み立てを行う業者、業者(二)は情報を管理する業者とする。業者(二)は、竣工時にチップからの情報を得ることができる。
業者(イ)が木材を加工する際、シート101を貼り付けるが、この時点では、スイッチメモリアドレス(s)をオフとする。その結果、ID(a)は読み取り不可、ID(b)は読み出し可能な状態となる。
業者(ロ)は、シート101が貼り付けられた木材を受け取り、所定の形状に分断する。ID(b)は読み出し可能となっているので、適式な材料や経路によって納品された木材か否か等は、業者(ロ)によって確認することができる。
このとき業者(ロ)において、シート101が貼られた木材に代えて、別の木材を使用するような不正行為を行うと、別の木材にはシート101がない。そのため業者(ニ)によって、不正行為を発見することができる。また業者(ニ)でなくとも、業者(ハ)によって当該不正行為を発見することができる。不正行為は、シート101にリーダライタ装置をかざすことによって、メモリ内の情報を得、整合性をとることによって発見することができる。
業者(ハ)は、納品された木材等を組み合わせて建築物を完成させる。ID(b)は読み出し可能となっているため、適式な経路によって納品された木材か否かは、業者(ハ)によって確認することができる。
このとき業者(ハ)において、シート101が貼られた木材に代えて、別の材料を使用するような不正行為を行うと、別の材料にはシート101がない。そのため業者(ニ)によって、不正行為を発見することができる。
また業者(ニ)は、業者(イ)から(ハ)を管理する立場であり、情報を管理し確認する。そのため業者(ニ)は、ID(a)及びID(b)を使用できる権限を有する。すなわち、点線四角で囲まれた業者(イ)から(ハ)は、ID(b)のみ使用できる。このような権限の付与は、スイッチメモリアドレス(s)によって制御することができる。その結果、業者(ニ)の情報確認における信憑性を向上させることができる。
また業者(イ)から(ハ)によって得られた情報を合わせて流通情報と呼ぶ。このような流通情報は、サーバに保存して管理することができる。このサーバへのアクセス権は、業者(ニ)のみが有する。このサーバへのアクセス権は、ID(a)の情報に基づき、管理することができる。図5において、ID(a)の情報の流れを二重点線で示す。一方、業者(イ)から(ハ)はサーバに保存された流通情報を読み出すことのみが可能となる。
建築依頼者は、サーバにアクセスすることができる。そのようにID(a)の情報を決定する。そのため業者(ニ)によって得られた情報がサーバに蓄積されると、建築依頼者は得られた情報を逐次確認することができる。図5において、情報に関する流れを一重点線で示す。
設計業者は、設計に関する情報をサーバに保存する。その結果、業者(ニ)がサーバにアクセスすることによって、設計に関する情報を読み出すことができる。そのようにID(a)の情報を決定する。図5において、設計に関する情報の流れを点線で示す。
このような本発明のシステムによって、建築物を構成する材料の品質管理を行うことができ、不正な材料を使用する行為を防止することができる。特に、完成後のみではなく建築途中であっても、サーバを介して建築依頼者が状況を確認することができる。そのため、建築途中であっても不正行為を発見及び早期解決ができ、不正行為防止につながる。
また本発明のシステムによって、複数の業者を経由して建設される建築方式であっても、業者間での材料管理が簡便なものとなる。各業者は、それぞれにサーバからの情報を得る権限が与えられているため、自社で情報を管理、整理する必要がないからである。またサーバ内の情報に基づき情報管理業者によって、予め材料を管理することができるからである。
なお本実施の形態では、材料として木材を用いる場合を説明したがこれに限定されない。上記のような効果を奏する事業形態であれば、本発明のシステムを適用することができる。例えば、複数の食材からなる調理品や複数のパーツからなる乗用車工場等においても、本発明を適用することができる。
(実施の形態4)
上記したチップを有するシートは、加工工程や建築工程において、剥がされたり、張り替えられたりする恐れがある。本実施の形態では、シートの貼り替え等の不正を防止するための構成を説明する。
図6に示すように材料310の表面に、複数の無線チップ100を有するシート101を貼り付けるとき、バリア層305を介して接着することができる。なお無線チップ100の表面には、保護層302が設けられている。バリア層305や保護層302によって、外部からの不純物や水分の侵入、衝撃を防ぐことができる。そのため、バリア層305や保護層302は、窒素を有する無機材料からなる絶縁膜と、有機材料からなる絶縁膜の積層構造とするとよい。勿論、無機材料からなる絶縁膜や有機材料からなる絶縁膜の単層構造であってもよい。
そしてバリア層305の下方には、接着層308が設けられ、接着層308は、粘着性の低い面(低粘着面)306と、その外側、つまり材料310に近い側に粘着性の高い面(高粘着面)307を有している。例えば、高粘着面307には、ポリエチレン系、ポリビニルアセテート(PVA)系、エポキシ系の接着剤又は粘着剤を適用することができる。また例えば低粘着面306には、アクリル系の接着剤又は粘着剤を用いることができる。これら接着剤又は粘着剤から、粘着性を考慮して選択することができる。
図6に示す断面図でみると、低粘着面306と、高粘着面307とは、交互に配置しており、無線チップ100の中心部の下方には高粘着面307が、無線チップ100の両端の下方には低粘着面306が配置する。
このように貼り付けられた無線チップ100は、シート101を剥がそうとすると、粘着強度の違いにより、破壊されてしまう。具体的には、高粘着面307は材料310に貼り付いたままとなり、低粘着面306のみが剥がれようとする。その結果、無線チップ100は低粘着面306と、高粘着面307との境界で分裂し、破壊されうる。
このようにシートを無理矢理剥がすと無線チップ100が破壊されるため、不正にシートを剥がしたり、シートを貼り替えることを防止できる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、無線チップの構成について説明する。また本発明の無線チップのような半導体素子を用いた装置を半導体装置と呼ぶことができる。
図7に示すように本発明の無線チップ701は、集積回路と、これに一体形成されたアンテナを有する。具体的には、アンテナと共振容量からなる共振回路702、電源回路703、クロック発生回路704、復調回路705、制御回路706、ライトワンスメモリが設けられるメモリ装置707、変調回路709を有する。勿論、無線チップ701は上記構成に制限されず、中央処理演算装置(所謂CPU)、輻輳制御回路等を有することもある。またメモリ装置707には、ライトワンスメモリ以外にも、スタティック型メモリ(SRAM)やダイナミック型メモリ(DRAM)、強誘電体メモリ(FeRAM)、EEPROM等のメモリ素子を有していてもよい。
また無線チップ701は、一体形成されたアンテナに代えて、アンテナを接続するための配線を有してもよい。この場合は無線チップを使用する時に、別途作製されたアンテナを当該配線に接続する。
また無線チップ701は、一体形成されたメモリ装置707に代えて、メモリ装置を接続するための配線を有してもよい。この場合は無線チップを使用する時に、別途作製されたメモリ装置707を当該配線に接続する。
本発明の無線チップ701は、共振回路702で、リーダライタ装置710より発せられる電波を受信すると、電源回路703で電源電位が生成される。また、復調回路705にて受信した電波から情報を復調する。情報の送信は、変調回路709によって行われる。このようにして無線チップ701は、リーダライタ装置710と無線通信で情報の送受信を行うことができる。
リーダライタ装置710は通信回線711を介して情報処理装置712と接続され、当該情報処理装置712の制御のもとに無線チップ701との情報の送受信を行うことができる。具体的な情報処理装置712として、コンピュータが挙げられる。通信回線711には有線の形態があるが、赤外線通信等の無線通信によって情報のやり取りを行ってもよい。
共振回路702はリーダライタ装置710より発せられる電波を受信し、アンテナ両端に交流信号を発生することができる。発生した交流信号は、無線チップ701の電力になるほか、リーダライタ装置710から送信される命令等の情報を含むことができる。電源回路703は共振回路702に発生した交流信号をダイオードで整流し、容量を用いて平滑化することで、電源電位を生成し、各回路へ供給する。クロック発生回路704は共振回路702に発生した交流信号を基に、様々な周波数のクロック信号を生成する。復調回路705は共振回路に発生した交流信号に含まれる情報を復調する。
制御回路706は、復調した信号から命令を抽出し、メモリ装置707へ書き込み命令を送ったり、レジスタなどに格納した情報をメモリ装置707の所定の記憶領域に格納することができる。勿論、レジスタを介さずに行っても良い。そして制御回路706内の符号化回路によって符号化した信号を生成し、変調回路709へ出力する。また変調回路709は符号化信号を基に搬送波を変調する機能を有する。
メモリ装置707には、ライトワンスメモリ等が設けられている。また、メモリ装置707は、蓄積された情報を書き込むことができる。また書き込まれた情報を読み出すことができる。
本実施の形態は無線チップ701がリーダライタ装置710から電力供給を受ける例を示したが、本発明はこの形態に限定されない。例えば無線チップ701は、内部に電池等を有して電力供給を行うことができ、リーダライタ装置710とは無線で情報の送受信のみを行うことも可能である。建築物に配置する無線チップ701は、その厚みの制約がさほど無いため、電池等を無線チップ701の内部に有することができる。
なお、本実施の形態は上記実施の形態と自由に組み合わせて実施することができる。
(実施の形態6)
本実施の形態では、無線チップ701が有するメモリ装置707の形態、及びその動作方法について説明する。
図8に示すように、メモリ装置707はメモリ素子が形成されたメモリセルアレイ756及び駆動回路を有する。駆動回路は、カラムデコーダ751、ローデコーダ752、読み出し回路754、書き込み回路755、セレクタ753を有する。
メモリセルアレイ756はビット線Bm(m=1〜x)、ワード線Wn(n=1〜y)、ビット線とワード線とそれぞれの交点にメモリセル757を有する。なお、メモリセル757はトランジスタが接続されたアクティブ型であっても、パッシブ素子だけで構成されるパッシブ型であってもよい。またビット線Bmはセレクタ753により制御され、ワード線Wnはローデコーダ752により制御される。
カラムデコーダ751は、任意のビット線を指定するアドレス信号を受けて、セレクタ753に信号を与える。セレクタ753は、カラムデコーダ751の信号を受けて指定のビット線を選択する。ローデコーダ752は、任意のワード線を指定するアドレス信号を受けて、指定のワード線を選択する。上記動作によりアドレス信号に対応する一つのメモリセル757が選択される。読み出し回路754は選択されたメモリセル757が有する情報を読み出して出力する。書き込み回路755は書き込みに必要な電圧を生成し、選択されたメモリセル757に電圧を印加することで、情報の書き込みを行う。
次に、メモリセル757の回路構成を説明する。本実施の形態では、下部電極、上部電極を有し、当該一対の電極間にメモリ材料層が介在したメモリ素子783を有するメモリセルの回路構成について説明する。
図9(A)に示すメモリセル757は、トランジスタ781とメモリ素子783とを有するアクティブ型のメモリセルである。トランジスタ781は、薄膜トランジスタを適用することができる。トランジスタ781が有するゲート電極は、ワード線Wyに接続される。また当該トランジスタ781が有するソース電極及びドレイン電極の一方は、ビット線Bxに接続され、他方はメモリ素子783と接続される。メモリ素子783の下部電極は、トランジスタ781のソース電極及びドレイン電極の一方と電気的に接続している。またメモリ素子783の上部電極(782に相当)は、共通電極として、各メモリ素子で共有することができる。上部電極782は接地することができる。
また図9(B)に示すように、メモリ素子783がダイオード784に接続された構成を用いてもよい。ダイオード784は、トランジスタのソース電極及びドレイン電極の一方と、ゲート電極とが接続された所謂ダイオード接続構造を採用することができる。またダイオード784として、メモリ材料層と下部電極とのコンタクトによるショットキーダイオードを用いたり、メモリ材料の積層によって形成されるダイオードなどを利用することもできる。
メモリ材料層としては、電気的作用、光学的作用又は熱的作用等により、その性質や状態が変化する材料を用いることができる。例えば、ジュール熱による溶融、絶縁破壊等により、その性質や状態が変化し、下部電極と、上部電極とが短絡することができる材料を用いればよい。そのためメモリ材料層の厚さは、5nmから100nm、好ましくは10nmから60nmとするとよい。このようなメモリ材料層は、無機材料又は有機材料を用いることができ、蒸着法、スピンコーティング法、液滴吐出法等により形成することができる。
無機材料としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素等がある。このような無機材料であっても、その膜厚を制御することによって、絶縁破壊を生じさせ、下部電極と上部電極とを短絡させることができる。
有機材料としては、例えば、4、4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:α−NPD)や4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:TPD)や4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミン(略称:MTDATA)や4,4’−ビス(N−(4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)などの芳香族アミン系(即ち、ベンゼン環−窒素の結合を有する)の化合物、ポリビニルカルバゾール(略称:PVK)やフタロシアニン(略称:H2Pc)、銅フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)等のフタロシアニン化合物等を用いることができる。これら材料は、正孔輸送性の高い物質である。
また、他にも有機材料として、例えばトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)等キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる材料や、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体などの材料も用いることができる。これら材料は、電子輸送性が高い物質である。
さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)等の化合物等を用いることができる。
またメモリ材料層は単層構造であっても、積層構造であってもよい。積層構造の場合、上記材料から選び、積層構造することができる。また上記有機材料と、発光材料とを積層してもよい。発光材料として、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン(略称:DCJT)、4−ジシアノメチレン−2−t−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン、ペリフランテン、2,5−ジシアノ−1,4−ビス(10−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)ベンゼン、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、クマリン6、クマリン545T、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、9,9’−ビアントリル、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)や9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン(略称:TBP)等がある。
また、上記発光材料を分散してなる層を用いてもよい。発光材料分散してなる層において、母体となる材料としては、9,10−ジ(2−ナフチル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)等のアントラセン誘導体、4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)等のカルバゾール誘導体、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ピリジナト]亜鉛(略称:Znpp2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:ZnBOX)などの金属錯体等を用いることができる。また、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)等を用いることができる。
このような有機材料は、熱的作用等によりその性質を変化することを可能とさせるため、ガラス転移温度(Tg)が50℃から300℃、好ましくは80℃から120℃であるとよい。
また、有機材料や発光材料に金属酸化物を混在させた材料を用いてもよい。なお金属酸化物を混在させた材料とは、上記有機材料又は発光材料と、金属酸化物とが混合した状態、又は積層された状態を含む。具体的には複数の蒸着源を用いた共蒸着法により形成された状態を指す。このような有機材料や発光材料に金属酸化物を混在させた材料を、有機無機複合材料と呼ぶことができる。
例えば正孔輸送性の高い物質と、金属酸化物を混在させる場合、当該金属酸化物にはバナジウム酸化物、モリブデン酸化物、ニオブ酸化物、レニウム酸化物、タングステン酸化物、ルテニウム酸化物、チタン酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物を用いると好ましい。
また電子輸送性の高い物質と、金属酸化物を混在させる場合、当該金属酸化物にはリチウム酸化物、カルシウム酸化物、ナトリウム酸化物、カリウム酸化物、マグネシウム酸化物を用いると好ましい。
メモリ材料層には、電気的作用、光学的作用又は熱的作用により、その性質が変化する材料を用いればよいため、例えば光を吸収することによって酸を発生する化合物(光酸発生剤)をドープした共役高分子を用いることもできる。共役高分子として、ポリアセチレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類、ポリフェニレンエチニレン類等を用いることができる。また、光酸発生剤としては、アリールスルホニウム塩、アリールヨードニウム塩、o−ニトロベンジルトシレート、アリールスルホン酸p−ニトロベンジルエステル、スルホニルアセトフェノン類、Fe−アレン錯体PF6塩等を用いることができる。
次に、図9(A)に示したようなアクティブ型のメモリセル757に情報の書き込みを行うときの動作について説明する。なお本実施の形態では、初期状態のメモリ素子が格納する値を「0」、電気的作用等によって特性を変化させたメモリ素子が格納する値を「1」とする。また、初期状態のメモリ素子は抵抗値が高く、変化、つまり上部電極と下部電極が短絡した後のメモリ素子は抵抗値が低いものとなる。
書き込みを行う場合、カラムデコーダ751、ローデコーダ752、セレクタ753により、m列目のビット線Bmと、n行目のワード線Wnが選択され、m列目n行目のメモリセル757に含まれるトランジスタ781がオンとなる。
続いて、書き込み回路755により、m列目のビット線Bmに、所定の電圧が所定の期間印加される。この印加電圧及び印加時間は、メモリ素子783が初期状態から抵抗値の低い短絡状態へと変化するような条件を用いる。m列目のビット線Bmに印加された電圧は、メモリ素子783の下部電極に伝達され、上部電極との間には電位差が生じる。すると、メモリ素子783に電流が流れ、メモリ材料層の状態に変化が生じ、メモリ素子特性が変化する。そして、メモリ素子783が格納する値を「0」から「1」へ変化させる。
このような書き込み動作は、制御回路706に従って行われる。
次に、情報の読み出しを行う動作について説明する。図10に示すように読み出し回路754は、抵抗素子790とセンスアンプ791を有する。情報の読み出しは、下部電極と上部電極の間に電圧を印加して、メモリ素子が、初期の状態か、短絡状態であるかを判定することで行う。具体的には、抵抗分割方式によって、情報の読み出しを行うことができる。
例えば、複数のメモリセル757から、m列目n行目のメモリ素子783の情報の読み出しを行う場合について説明する。
まずカラムデコーダ751、ローデコーダ752、セレクタ753により、m列目のビット線Bmと、n行目のワード線Wnが選択される。このとき、特定のビット線とワード線を選択するといったアドレス信号がカラムデコーダ751に入力される。すると、選択されたm列目n行目に配置されたメモリセル757が有するトランジスタ781はオンとなり、メモリ素子783と、抵抗素子790とが直列に接続された状態となる。その結果、メモリ素子783の電流特性に応じて図10に示したP点の電位が決まる。メモリ素子783の電気特性とは、初期状態と短絡状態で、当該メモリ素子の抵抗値が異なることに起因する。
例えばメモリ素子783が初期状態であるときのP点の電位をV1、メモリ素子783が短絡後の低抵抗状態であるときのP点の電位をV2とし、V1>Vref>V2となる参照電位Vrefを用いることで、メモリ素子に格納されている情報を読み出すことができる。具体的には、メモリ素子783が初期状態である場合、センスアンプ791の出力電位はLoとなり、メモリ素子783が低抵抗状態である場合、センスアンプ791の出力電位はHiとなる。
上記の方法によると、メモリ素子783の抵抗値の相違と抵抗分割を利用して、電圧値で読み取っている。しかしながら、メモリ素子783が有する情報を、電流値により読み取ってもよい。なお本発明の読み出し回路754は、上記構成に限定されず、メモリ素子が有する情報を読み出すことができればどのような構成を有していてもよい。
このような構成を有するメモリ素子は、「0」から「1」の状態へ変化させ、「0」から「1」の状態へ変化は不可逆的であるためライトワンスメモリ、つまり書き換え不可能なメモリ素子となる。
このようなメモリ素子783へ情報を書き込むことができる。そして書き込まれた情報は、無線通信により読み出すことができる。
このように建築物の情報を逐次メモリ装置に保存しておくことができ、蓄積された情報をリーダライタ装置によって読み出すことができる。
なお、本実施の形態は上記実施の形態と自由に組み合わせて実施することができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、メモリ装置707の断面図について説明する。
図11(A)は、絶縁基板323上にメモリセル部301と駆動回路部322とが一体形成されたメモリ装置の断面図を示す。絶縁基板323には、ガラス基板、石英基板、珪素からなる基板、金属基板等を用いることができる。
絶縁基板323上には下地膜311が設けられている。駆動回路部322では下地膜311を介して薄膜トランジスタ320、321が設けられ、メモリセル部301には下地膜311を介して薄膜トランジスタ621が設けられている。各薄膜トランジスタは、島状に加工、つまりパターニングされた半導体膜312、ゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極314、ゲート電極側面に設けられた絶縁物(所謂サイドウォール)313が設けられている。半導体膜312は、膜厚が0.2μm以下、代表的には40nm〜170nm、好ましくは50nm〜150nmとなるように形成する。
さらに各薄膜トランジスタは、サイドウォール313、及び半導体膜312を覆う絶縁膜316、半導体膜312に形成された不純物領域に接続する電極315を有する。なお電極315は不純物領域と接続するため、ゲート絶縁膜及び絶縁膜316にコンタクトホールを形成し、当該コンタクトホールに導電膜を形成し、当該導電膜をパターニングすることによって形成することができる。
なお平坦性を高めるため、層間絶縁膜として機能する絶縁膜317、318が設けられているとよい。このとき絶縁膜317は有機材料から形成し、絶縁膜318は無機材料から形成するとよい。有機材料から形成される絶縁膜317への水分侵入を絶縁膜318が防止してくれるからである。絶縁膜317、318が設けられている場合、電極315は、ゲート絶縁膜及び絶縁膜316に加えて、絶縁膜317、318に設けられたコンタクトホールを介して、不純物領域と接続するように形成することができる。
さらに絶縁膜325が設けられ、電極315と接続するようにメモリ素子の下部電極327を設ける。このとき、電極315上に直接下部電極327を設けてもよいが、本実施の形態では、絶縁膜325を設け、当該絶縁膜325の開口部を介して電極315と、下部電極327を接続させる。絶縁膜325によって、下部電極327の被形成面の平坦性を高めることができ、好ましい。
下部電極327の端部を覆い、下部電極327が露出するように開口部が設けられた絶縁膜328を形成する。
開口部内に、メモリ材料層329を形成し、上部電極330を形成する。このようにして、下部電極327、メモリ材料層329、上部電極330を有するメモリ素子783が形成される。メモリ材料層329は、有機材料又は無機材料から形成することができることは、上記実施の形態のとおりである。下部電極327又は上部電極330は、導電性材料から形成することができる。例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)もしくはシリコン(Si)の元素からなる膜又はこれらの元素を用いた合金膜等から形成することができる。またインジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物、2〜20%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム等の透光性材料を用いることができる。
その後、封止するため絶縁膜331を形成する。絶縁膜331によって、平坦性を高め、不純物元素の侵入を防止するためることもできる。
本実施の形態で説明した全ての絶縁膜には、無機材料又は有機材料を用いることができる。無機材料は、酸化珪素、窒化珪素を用いることができる。有機材料はポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン、シロキサン、ポリシラザンを用いることができる。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。ポリシラザンは、珪素(Si)と窒素(N)の結合を有するポリマー材料を出発原料として形成される。なお平坦性を高めるためには有機材料が好ましく、不純物元素の侵入を防止するためには無機材料が好ましい。
図11(B)は、図11(A)と異なり、電極315のコンタクトホール351内にメモリ材料層を形成したメモリセル部301のみの断面図を示す。図11(A)と同様に、下部電極として電極315を用い、電極315上にメモリ材料層329、上部電極330を形成し、メモリ素子622を形成することができる。図11(B)には、絶縁膜325、328を省略する形態を示し、その他の構成は図11(A)と同様であるため、同じ番号を付し説明を省略する。
図11(B)のようにコンタクトホール351にメモリ素子を形成すると、メモリ装置の小型化を図ることができる。また電極315が下部電極の機能を兼ねるため、メモリ用の電極が不要となる。その結果、製造工程を削減し、低コスト化されたメモリ装置を提供することができる。
このように本発明の建築物用材料管理システムに適用することができるメモリ装置は絶縁基板上に作製され、駆動回路を一体形成することができるため、製造コストを低くすることができる。
なお、本実施の形態は上記実施の形態と自由に組み合わせて実施することができる。