以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、管理対象物として地下埋設物のような設備を例とし、当該設備の情報管理システム構成について説明する。
図1に示すように本発明の無線チップ701はアンテナと共振容量を有する共振回路702、電源回路703、クロック発生回路704、復調回路705、制御回路706、ライトワンスメモリ等のメモリ素子が設けられるメモリ回路707、変調回路709、A/D変換回路708、CPU713、RF回路716を有する。
RF回路716は、共振回路702を有し、共振回路702は電源回路703、クロック発生回路704、復調回路705、変調回路709と接続され、信号や電力のやり取りを行う。電源回路703、クロック発生回路704、復調回路705からの信号は、制御回路706に入力され、制御回路706に設けられたCPU713を動作させることができる。また変調回路709は、制御回路706から受け取った信号を共振回路702に出力する(信号は共振回路702に入力される)。
制御回路706とメモリ回路707は、双方に信号のやり取りを行う。またA/D変換回路708からの信号が制御回路706へ入力され、アナログ信号とデジタル信号の変換を行うことができる。
無線チップ701は上記構成に制限されず、輻輳制御回路等を有することもある。不揮発性メモリとして電極間に絶縁物を有するライトワンスメモリ以外にも、書き換え不可能な不揮発性メモリとして、マスクROM(Read Only Memory)が挙げられる。書き換え不可能な不揮発性メモリは、固有情報の改ざんを防止することができる。
一方で、書き換え可能な不揮発性メモリを有していてもよい。書き換え可能な不揮発性メモリとして、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、強誘電体メモリ、等が挙げられる。このような無線チップ701は、埋設時またはその前工程で埋設物に取り付けることができる。
無線チップ701が有するメモリ回路707には埋設時またはその前工程で、埋設日時、位置情報、所有者など埋設物に応じた固有情報を記憶させることができる。
RF回路716はリーダライタ715との間で電波の送受信をする機能を有し、さらに無線チップ701の供給電力を生成することができる。
CPU713はRF回路716から送られる情報を基にメモリ回路707にアクセスする。さらにCPU713は暗号機能を有しており、RF回路716から送られて来る情報に暗号を作成する鍵情報が入っていないとメモリ回路707の情報をリーダライタ715に送信しない様な構成とすることができる。
リーダライタ715は、携帯電話情報通信網等を用いた無線通信ができ情報処理装置(サーバ)714に接続出来るようになっている。
情報処理装置714は、周辺地図情報、埋設時の写真、作業業者ごとの資料など、埋設物に関する、無線チップ701に記憶出来ない大容量な情報を記憶することができる。勿論、無線チップ701にこれらの情報を記憶させてもよい。
リーダライタ715を用いて情報処理装置(サーバ)714と情報の送受信をし、リーダライタ715の表示部に表示することにより、必要な情報をその場ですぐに得ることができる。
本実施の形態では地下埋設物を取り上げているが、地下設備に限らず地上設備の送電線、配管などにも本設備情報管理システムを適用することが出来る。
次に、無線チップ701と、リーダライタ715とのやり取りについて説明する。また本発明の無線チップのような半導体素子を用いた装置を半導体装置と呼ぶこともできる。また本発明のリーダライタは、携帯型、又は固定型のものを適用することができる。
図1に示すリーダライタ715は、リーダライタのアンテナ710、情報処理装置(コンピュータ)712を有する。情報処理装置712は、リーダライタ715を制御することができる。また無線チップ701は、共振回路702で、リーダライタ715のアンテナ710より発せられる電波を受信すると、電源回路703で電源電位が生成される。また、復調回路705にて受信した電波から情報を復調する。リーダライタ715への情報の送信は、変調回路709によって行われる。このようにしてリーダライタ715と無線チップ701は無線通信で情報の送受信を行うことができる。なお、情報処理装置712は、記憶装置を有していてもよい。
リーダライタのアンテナ710は通信回線711を介して情報処理装置712と接続され、当該情報処理装置712の制御のもとに無線チップ701との情報の送受信を行うことができる。なお、リーダライタのアンテナ710と情報処理装置712との通信回線711として、赤外線通信等の無線通信回線を用い、これによって情報のやり取りを行ってもよい。
共振回路702は、リーダライタ715のアンテナ710より発せられる電波を受信し、アンテナ両端に交流信号を発生する機能を有する。発生した交流信号は、無線チップ701の電力になるほか、リーダライタ715のアンテナ710から送信される命令等の情報を含んでいる。電源回路703は、共振回路702に発生した交流信号をダイオードで整流し、容量を用いて平滑化することで、電源電位を生成し、各回路へ供給する機能を有する。クロック発生回路704は、共振回路702に発生した交流信号を基に、様々な周波数のクロック信号を生成する機能を有する。復調回路705は、共振回路702に発生した交流信号に含まれる情報を復調する機能を有する。
制御回路706は、復調した信号から命令を抽出し、メモリ回路707、およびA/D変換回路708を制御することで、命令に従った一連の動作を実行する機能を有する。また制御回路706は、復調した信号に誤りが無いかをチェックする機能を有してもよい。また、制御回路706は、メモリ回路707へ書き込み命令を送り、レジスタなどに格納した情報をメモリ回路707の記憶領域に格納する機能を有する。勿論、レジスタを介さずに行うこともできる。同様に制御回路706は、メモリ回路707へ読み出し命令を送り、データを読み出すことができる。そして制御回路706内の符号化回路によって符号化した信号を生成し、変調回路709へ出力する。
メモリ回路707には、ライトワンスメモリを設けることができる。ライトワンスメモリは、追記型であり、書き換え不可能な不揮発性メモリである。またメモリ回路707には、書き換え可能な不揮発性メモリが設けられていてもよい。このようなメモリ回路707によって、無線チップ701固有の情報を保持することができる。
変調回路709は、符号化信号を基に搬送波を変調する機能を有する。
本実施の形態では、無線チップ701がリーダライタ715のアンテナ710から電力供給を受ける例を示したが、本発明はこの形態に限定されない。例えば無線チップ701は、内部に電池等を有して電力供給を行うことができ、リーダライタ715のアンテナ710とは無線で情報の送受信のみを行うことも可能である。
次に、CPU713によって生成される暗号信号、および鍵情報について説明する。図15(A)には、リーダライタ11を用いて、複数の無線チップから特定の無線チップ10を探すための鍵情報の流れを示す。まず、リーダライタ11が有する鍵情報(Key(A))を無線通信によって、無線チップ10のみに送信する。これは無線チップを埋没させる前に行うと、誤りが少なく好ましい。勿論、埋没させた後であっても、無線チップの位置を把握している段階で、鍵情報(Key(A))を無線チップ10に送信してもよい。すると、鍵情報(Key(A))によって、無線チップ10が有する情報(DATA(a1))を、暗号化された情報(DATA(a2))に変換することができる。すなわち暗号化処理する事ができる。
そして点検時、リーダライタ11から鍵情報(Key(A))が送信されると、当該鍵情報(Key(A))にのみ反応する無線チップ10から情報(DATA(a2))を得ることができる。情報(DATA(a2))を受信したリーダライタ11は、鍵情報(Key(A))を有しているため、暗号化される前の情報(DATA(a1))に解読することができる。そして情報(DATA(a1))に関して、表示部に表示することができる。表示部はリーダライタ11に設けられているとよい。
このようにして、特定のエリアに、目視することができないように埋没された複数の無線チップから、特定の無線チップを探すことができる。また各無線チップを特定するため、リーダライタ11には各無線チップに対応する鍵情報を有する必要がある。
図15(B)には、図15(A)と異なり、公開鍵情報(Open Key(A))を送信する。そのため、リーダライタ21は秘密鍵情報(Secret Key(A))を有する。公開鍵情報(Open Key(A))を受信した無線チップ20は、無線チップ20が有する情報(DATA(a1))を、暗号化された情報(DATA(a2))に変換することができる。
そして点検時、リーダライタ21から公開鍵情報(Open Key(A))が送信されると、当該公開鍵情報(Open Key(A))にのみ反応する無線チップ20から(DATA(a2))を得ることができる。情報(DATA(a2))を受信したリーダライタ21は、公開鍵情報(Open Key(A))に関連づけられた秘密鍵情報(Secret Key(A))を有しているため、暗号化される前の情報(DATA(a1))に解読することができる。そして情報(DATA(a1))に関して、表示部に表示することができる。表示部はリーダライタ21に設けられているとよい。
このように公開鍵情報(Open Key(A))と、秘密鍵情報(Secret Key(A))とを分けることによって、情報の改ざんや盗難を防止することができる。すなわち、図15(B)に示した方法では、公開鍵情報(Open Key(A))が盗難されても、秘密鍵情報(Secret Key(A))を有するため、情報の改ざんを防止することができる。
次に、このような無線チップを、ある設備に取り付けた場合の設備情報管理システムについて説明する。
本発明の無線チップは、無線通信によりリーダライタとのやり取りを行うことが可能である。そのため、無線チップを設備に埋没させたり、地中の設備に搭載させたりすることができる。このように目視で位置を把握できない無線チップを、埋没された無線チップと呼ぶ。本発明は埋没された無線チップにおいても、特定の無線チップを探すことができる。
このような無線チップの取り付けは、設備完成前に行えばよい。取り付けられた無線チップには、設備に関する初期情報(第一の情報という)、例えば、材料、耐久予想データ、完成年月日、管理者等を無線チップに記憶させる。取り付ける前に初期情報を無線チップに記憶させても、取り付けた後に記憶させてもよい。本発明の無線チップは無線通信機能を有しているため、取り付けた後であっても、初期情報を無線チップに記憶させることができる。
所定の時間経過後、設備の保守、管理、把握等のため、点検を実行する。その際、点検作業者はリーダライタを携帯し、設備に取り付けられた無線チップを検索する。取り付けられた無線チップの位置は、設計図等で概ね把握することが可能であり、さらに、リーダライタと無線チップとの通信距離を制御することによって、無線チップの正確な位置がわからずとも、情報のやり取りを行うことができる。このとき、複数の無線チップの中から特定の無線チップのみと情報のやり取りを行うことができるように、リーダライタや無線チップを制御する。
無線チップと通信する際、無線チップのCPUによって暗号鍵が設定されていると、リーダライタが特定の鍵情報をのせた信号を発すれば、安全な無線通信ができる。このような形態では、設計図等で無線チップの位置を把握しておく必要が無く、無線チップの管理を簡便なものにすることができる。
さらにリーダライタで、無線チップと通信する場合、当該リーダライタの情報処理装置によって、周辺地図情報、埋没時の写真、作業者ごとの資料等の情報(第二の情報という)を記録させることができるため、無線チップと当該情報とのやり取りを行うことができる。
また無線チップに記憶されている情報を受け取ったリーダライタは、表示部でその情報を確認することもできる。すなわち、リーダライタは表示部を備えているとよい。そしてリーダライタの表示部に表示されている情報をもとに、作業をすることができるため、作業の簡便化、携帯する資料の削減を図ることができる。
このような本発明では境界杭や表示杭の代わりに埋設物自体個々に無線チップを取り付ける事により、無線チップのメモリ回路に、埋めた日時、位置情報、所有者などの情報を書き込む事が可能であり保守、点検、追加工事において従来の様な各担当者が立ち会う事や、むやみやたらに掘り起こす必要が無くなり、コスト削減、時間短縮につながる。
また、本発明により杭を設置する事がなくなり、地上を平坦化でき、土地の有効利用が可能である。
さらに、無線チップにCPUを搭載することにより、暗号化技術を搭載し、通信の許可を得た端末だけが通信でき、不特定多数の機器によるアクセスを防ぎ、位置情報などの漏洩や保存情報の消去、書き換え等を防ぐ事が出来る。
さらに、杭では表示しきれない情報を、リーダライタが携帯電話情報通信網等を用いて情報処理装置に接続出来る機能を持たせる事で、リーダライタの表示部に現場の工事写真や各作業資料等、無線チップに記憶出来ない大容量な情報を得る事が可能である。
本発明は膨大な埋設物関連情報を現場で簡単に、早く、確実に得ることができる設備情報管理システムを提供する。さらに、各作業者の立ち会いがなくとも保守、点検、追加工事ができ、時間、人件費の削減につながる。
このような本発明の設備情報管理システムに対して、特許文献1に示される、地表面に上部を露出させた状態で地面に埋設する標識では、標識が無数に設置されてしまう事が考えられる。例えば、車道や歩道の形成、建築物や公共施設などの建造において、これらの施工形態の制限、施工場所の制限、施工期間の長期化、地表面に標識を露出させるために費用がかさむ、などの問題が出てしまう。しかし本発明は、設備自体に無線チップを付ける事により、地表面が平面化でき地表面の有効活用が可能である。例えば車道、歩道、建築物、公共施設など、これらの施工形態の制限、施工場所の制限などが特許文献1にくらべ格段に低減出来る。
また、特許文献2に示される方法では、無線端末部とメモリチップ部が情報を送受信する際、メモリチップ部の動作電源をどこから得るのか記載されておらず、メモリチップ動作の問題点があった。さらに、無線端末部とメモリチップ部を通信させる際、無線携帯端末を所望の対象物に向け、所望の対象物にセットされたメモリチップから各種情報を読み取ることによって、その対象物に関する各種情報を取得するため、対象物内もしくは地中などにメモリチップが設置されている場合、メモリチップを探し出すことはできない。しかし本発明では、RF回路部でリーダライタから送信される情報がのった電波を利用して無線チップの動作電力としている。さらに本発明では無線チップ個々に対してリーダライタが暗号鍵を持つので、特許文献2では区別出来ない設置物中、地中などでも個々の無線チップの位置が無線チップに記憶されている位置情報を得ることにより確認できる。
また、特許文献3では特許文献1と同様、本体を地表面の上部に露出させた状態で地面に埋設する方法をとっており、施工形態の制限、施工場所の制限、施工期間の長期化、地表面に標識を露出させるために費用がかさむ、などの問題が出てしまう。さらにGPSで位置情報を得るため、特殊装置が必要となり施工費の増大につながる。しかし本発明は、設備自体に無線チップを付ける事により、地表面が平面化でき地表面の有効活用が可能である。例えば車道、歩道、建築物、公共施設など、これらの施工形態の制限、施工場所の制限などが特許文献3にくらべ格段に回避出来る。さらに本発明では設備環境が整っている携帯電話情報通信網などを使用し情報処理装置から必要な施工情報を得るので、特許文献3に比べ大幅なコスト削減が出来る。
(実施の形態2)
本実施の形態では、無線チップ701が有するメモリ回路707、及びその動作方法について説明する。
図2に示すように、メモリ回路707はメモリ素子が形成されたメモリセルアレイ756及び駆動回路を有する。駆動回路は、カラムデコーダ751、ローデコーダ752、読み出し回路754、書き込み回路755、セレクタ753を有する。
メモリセルアレイ756は、ビット線Bm(m=1からx)、ワード線Wn(n=1からy)を有し、また、ビット線とワード線とそれぞれの交点にメモリセル757を有する。なお、メモリセル757はトランジスタが接続されたアクティブ型であっても、パッシブ素子だけで構成されるパッシブ型であってもよい。またビット線Bmはセレクタ753により制御され、ワード線Wnはローデコーダ752により制御される。
カラムデコーダ751は、任意のビット線を指定するアドレス信号を受けて、セレクタ753に信号を与える。セレクタ753は、カラムデコーダ751の信号を受けて指定のビット線を選択する。ローデコーダ752は、任意のワード線を指定するアドレス信号を受けて、指定のワード線を選択する。上記動作によりアドレス信号に対応する一つのメモリセル757が選択される。読み出し回路754は選択されたメモリセルが有する情報を読み出して出力する。書き込み回路755は書き込みに必要な電圧を生成し、選択されたメモリセルに電圧を印加することで、情報の書き込みを行う。
次に、メモリセル757の回路構成を説明する。本実施の形態では、下部電極、上部電極を有し、当該一対の電極間にメモリ材料層が介在したメモリ素子783を有するメモリセルについて説明する。
図3(A)に示すメモリセル757は、トランジスタ781とメモリ素子783とを有するアクティブ型のメモリセルである。トランジスタ781は、薄膜トランジスタを適用することができる。トランジスタ781が有するゲート電極は、ワード線Wyに接続される。また当該トランジスタ781が有するソース電極及びドレイン電極の一方は、ビット線Bxに接続され、他方はメモリ素子783と接続される。メモリ素子783の下部電極は、トランジスタ781のソース電極及びドレイン電極の一方と電気的に接続している。またメモリ素子783の上部電極(782に相当)は、共通電極として、各メモリ素子で共有することができる。
また図3(B)に示すように、メモリ素子783がダイオード784に接続された構成を用いてもよい。ダイオード784は、トランジスタのソース電極及びドレイン電極の一方と、ゲート電極とが接続された所謂ダイオード接続構造を採用することができる。またダイオード784として、メモリ材料層と下部電極とのコンタクトによるショットキーダイオードを用いたり、メモリ材料の積層によって形成されるダイオードなどを用いたりすることもできる。
メモリ材料層としては、電気的作用、光学的作用又は熱的作用等により、その性質や状態が変化する材料を用いることができる。例えば、ジュール熱による溶融や、絶縁破壊等により、その性質や状態が変化し、下部電極と、上部電極とが短絡することができる材料を用いればよい。そのためメモリ材料層の厚さは、5nmから100nm、好ましくは10nmから60nmとするとよい。このようなメモリ材料層は、無機材料又は有機材料を用いることができ、蒸着法、スピンコーティング法、液滴吐出法等により形成することができる。
無機材料としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素等がある。このような無機材料であっても、その膜厚を制御することによって、絶縁破壊を生じさせ、下部電極と上部電極とを短絡させることができる。
有機材料としては、例えば、4、4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:α−NPD)や4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:TPD)や4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニルアミノ)トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン(略称:MTDATA)や4,4’−ビス(N−(4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)などの芳香族アミン系(即ち、ベンゼン環−窒素の結合を有する)の化合物、ポリビニルカルバゾール(略称:PVK)やフタロシアニン(略称:H2Pc)、銅フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)等のフタロシアニン化合物等を用いることができる。これら材料は、正孔輸送性の高い物質である。
また、他にも有機材料として、例えばトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)等キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる材料や、ビス[2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体などの材料も用いることができる。これら材料は、電子輸送性が高い物質である。
さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)等の化合物等を用いることができる。
またメモリ材料層は単層構造であっても、積層構造であってもよい。積層構造の場合、上記材料から選び、積層構造することができる。また上記有機材料と、発光材料とを積層してもよい。発光材料として、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−[2−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−4H−ピラン(略称:DCJT)、4−ジシアノメチレン−2−t−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン、ペリフランテン、2,5−ジシアノ−1,4−ビス(10−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)ベンゼン、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、クマリン6、クマリン545T、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、9,9’−ビアントリル、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)や9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2,5,8,11−テトラ(tert−ブチル)ペリレン(略称:TBP)等がある。
また、上記発光材料を分散してなる層を用いてもよい。発光材料分散してなる層において、母体となる材料としては、9,10−ジ(2−ナフチル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)等のアントラセン誘導体、4,4’−ジ(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)等のカルバゾール誘導体、ビス[2−(2’−ヒドロキシフェニル)ピリジナト]亜鉛(略称:Znpp2)、ビス[2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:ZnBOX)などの金属錯体等を用いることができる。また、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、9,10−ジ(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(4−フェニルフェノラト)アルミニウム(略称:BAlq)等を用いることができる。
このような有機材料は、熱的作用等によりその性質を変化させるため、ガラス転移温度(Tg)が50℃から300℃、好ましくは80℃から120℃であるとよい。
また、有機材料や発光材料に金属酸化物を混在させた材料を用いてもよい。なお金属酸化物を混在させた材料とは、上記有機材料又は発光材料と、金属酸化物とが混合した状態、又は積層された状態を含む。具体的には複数の蒸着源を用いた共蒸着法により形成された状態を指す。このような材料を有機無機複合材料と呼ぶことができる。
例えば正孔輸送性の高い物質と、金属酸化物を混在させる場合、当該金属酸化物にはバナジウム酸化物、モリブデン酸化物、ニオブ酸化物、レニウム酸化物、タングステン酸化物、ルテニウム酸化物、チタン酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物を用いると好ましい。
また電子輸送性の高い物質と、金属酸化物を混在させる場合、当該金属酸化物にはリチウム酸化物、カルシウム酸化物、ナトリウム酸化物、カリウム酸化物、マグネシウム酸化物を用いると好ましい。
メモリ材料層には、電気的作用、光学的作用又は熱的作用により、その性質が変化する材料を用いればよいため、例えば光を吸収することによって酸を発生する化合物(光酸発生剤)をドープした共役高分子を用いることもできる。共役高分子として、ポリアセチレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類、ポリフェニレンエチニレン類等を用いることができる。また、光酸発生剤としては、アリールスルホニウム塩、アリールヨードニウム塩、o−ニトロベンジルトシレート、アリールスルホン酸p−ニトロベンジルエステル、スルホニルアセトフェノン類、Fe−アレン錯体PF6塩等を用いることができる。
次に、図3(A)に示したようなアクティブ型のメモリセル757に情報の書き込みを行うときの動作について説明する。なお本実施の形態では、初期状態のメモリ素子が格納する値を「0」、電気的作用等によって特性を変化させたメモリ素子が格納する値を「1」とする。また、初期状態のメモリ素子は抵抗値が高く、変化後のメモリ素子は抵抗値が低い。
書き込みを行う場合、カラムデコーダ751、ローデコーダ752、セレクタ753により、m列目のビット線Bmと、n行目のワード線Wnが選択され、m列目n行目のメモリセル757に含まれるトランジスタ781がオンとなる。
続いて、書き込み回路755により、m列目のビット線Bmに、所定の電圧が所定の期間印加される。この印加電圧および印加時間は、メモリ素子783が初期状態から抵抗値の低い状態へと変化するような条件を用いる。m列目のビット線Bmに印加された電圧は、メモリ素子783の下部電極に伝達され、上部電極との間には電位差が生じる。すると、メモリ素子783に電流が流れ、メモリ材料層の状態に変化が生じ、メモリ素子特性が変化する。そして、メモリ素子783が格納する値を「0」から「1」へ変化させる。
このような書き込み動作は、制御回路706に従って行われる。
次に、情報の読み出しを行う動作について説明する。図4に示すように読み出し回路754は、抵抗素子790とセンスアンプ791を有する。情報の読み出しは、下部電極と上部電極の間に電圧を印加して、メモリ素子が、初期の状態か変化後の低い状態であるかを判定することで行う。具体的には、抵抗分割方式によって、情報の読み出しを行うことができる。
例えば、メモリセルアレイ756が含む複数のメモリ素子783から、m列目n行目のメモリ素子783の情報の読み出しを行う場合について説明する。まずカラムデコーダ751、ローデコーダ752、セレクタ753により、m列目のビット線Bmと、n行目のワード線Wnが選択される。すると、m列目n行目に配置されたメモリセル757が有するトランジスタ781がオン状態になり、メモリ素子783と、抵抗素子790とが直列に接続された状態となる。その結果、メモリ素子783の電流特性に応じて図4に示したP点の電位が決まる。
メモリ素子が初期状態である場合のP点の電位をV1、メモリ素子が変化後の低抵抗状態である場合のP点の電位をV2とし、V1>Vref>V2となる参照電位Vrefを用いることで、メモリ素子に格納されている情報を読み出すことができる。具体的には、メモリ素子が初期状態である場合、センスアンプ791の出力電位はLoとなり、メモリ素子が低抵抗状態である場合、センスアンプ791の出力電位はHiとなる。
上記の方法によると、メモリ素子783の抵抗値の相違と抵抗分割を利用して、電圧値で読み取っている。しかしながら、メモリ素子783が有する情報を、電流値により読み取ってもよい。なお本発明の読み出し回路754は、上記構成に限定されず、メモリ素子が有する情報を読み出すことができればどのような構成を有していてもよい。
このような構成を有するメモリ素子は、「0」から「1」の状態へ変化し、「0」から「1」の状態への変化は不可逆的である。
このようなメモリ素子783へ無線チップの識別番号を書き込むことができる。そして書き込まれた情報は、リーダライタに設けられたセンサー、つまりアンテナからの無線通信によって読み出すことができる。
なお、本実施の形態は実施の形態1と自由に組み合わせて実施することができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、メモリ回路707の断面図について説明する。
図5(A)は、絶縁基板510上にメモリセル部501と駆動回路部502とが一体形成されたメモリ素子の断面図を示す。絶縁基板510には、ガラス基板、石英基板、珪素からなる基板、金属基板、プラスチック基板等を用いることができる。プラスチック基板を用いると、薄型、軽量な無線チップを提供することができる。またガラス基板等に対して、研磨を行うことによって、無線チップの薄型化、軽量化を図ることができる。
絶縁基板510上には下地膜511が設けられている。駆動回路部502では下地膜511を介して薄膜トランジスタ520、521が設けられ、メモリセル部501には下地膜511を介して薄膜トランジスタ621が設けられている。各薄膜トランジスタには、島状にパターニングされた半導体層512、ゲート絶縁層を介して設けられたゲート電極514、ゲート電極側面に設けられた絶縁物(所謂サイドウォール)513等が設けられている。半導体層512は、膜厚が0.2μm以下、代表的には40nmから170nm、好ましくは50nmから150nmとなるように形成する。さらに、絶縁物513、及び半導体層512を覆う絶縁層516、半導体層512に形成された不純物領域に接続する電極515を有する。なお電極515は不純物領域と接続するため、ゲート絶縁層及び絶縁層516にコンタクトホールを形成し、当該コンタクトホールに導電層を形成し、当該導電層をパターニングして形成することができる。
半導体層には非晶質シリコン、多結晶シリコン等を用いることができる。多結晶シリコンを用いる場合、まず非晶質シリコンを形成し、熱処理、又はレーザ照射を行って多結晶シリコンとすることができる。このとき、ニッケルを代表とする金属元素を用いて熱処理、又はレーザ照射を行うことにより、結晶化温度を低減することができる。レーザ照射には、連続発振、又はパルス発振のレーザ照射装置を用いることができる。また、熱処理を伴った結晶化法と、連続発振レーザ若しくは10MHz以上の周波数で発振するレーザビームを照射する結晶化法とを組み合わせても良い。連続発振レーザ又は10MHz以上の周波数で発振するレーザビームを照射することで、結晶化された半導体層の表面を平坦なものとすることができる。それにより、ゲート絶縁層を薄膜化することも可能であり、また、ゲート絶縁層の耐圧を向上させることに寄与することができる。
また、半導体層に対し、連続発振レーザ若しくは10MHz以上の周波数で発振するレーザビームを照射しながら一方向に走査して結晶化させて得られた半導体層は、そのビームの走査方向に結晶が成長する特性がある。その走査方向をチャネル長方向(チャネル形成領域が形成されたときにキャリアが流れる方向)に合わせてトランジスタを配置し、以下に示すゲート絶縁層を組み合わせることで、特性ばらつきが小さく、しかも電界効果移動度が高い薄膜トランジスタ(TFT)を得ることができる。
本発明における無線チップを構成する薄膜トランジスタにおいて、ゲート絶縁層等を代表とする絶縁層は、高密度プラズマ処理を用いて、被形成面の表面を酸化又は窒化することによって作製することができる。高密度プラズマ処理とは、プラズマ密度が1×1011cm−3以上、好ましくは1×1011cm−3以上9×1015cm−3以下であり、マイクロ波(例えば周波数2.45GHz)といった高周波を用いたプラズマ処理である。このような条件でプラズマを発生させると、電子温度が0.2eVから2eVとなる。このように低電子温度が特徴である高密度プラズマは、活性種の運動エネルギーが低いため、プラズマダメージが少なく欠陥が少ない膜を形成することができる。このようなプラズマ処理を可能とする成膜室に、被形成体、ゲート絶縁層を形成する場合であればパターニングされた半導体層が形成された基板を配置する。そして、プラズマ発生用の電極、所謂アンテナと被形成体との距離を20mm以上80mm以下、好ましくは20mm以上60mm以下として成膜処理を行う。このような高密度プラズマ処理により、低温プロセス(基板温度400℃以下)の実現が可能となる。そのため、耐熱性の低いプラスチックを基板上に成膜することができる。
このような絶縁層の成膜雰囲気は窒素雰囲気、又は酸素雰囲気とすることができる。窒素雰囲気とは、代表的には、窒素と希ガスとの混合雰囲気、又は窒素と水素と希ガスとの混合雰囲気である。窒素と水素を有するガスには、アンモニアを挙げることができる。希ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンの少なくとも1つを用いることができる。また酸素雰囲気とは、代表的には、酸素と希ガスとの混合雰囲気、酸素と水素と希ガスとの混合雰囲気、又は一酸化二窒素と希ガスとの混合雰囲気である。また水素と希ガスとの混合雰囲気を用いてもよい。
この高密度プラズマで生成された酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)や窒素ラジカル(NHラジカルを含む場合もある)によって、被形成面の表面を酸化又は窒化することができる。
このような高密度プラズマを用いた処理により、1〜20nm、代表的には5〜10nmの絶縁層を形成することができる。この場合の反応は固相反応であるため、当該絶縁層と半導体層との界面準位密度はきわめて低くすることができる。このような、高密度プラズマ処理は、被形成面、例えば半導体層であれば結晶性シリコン、又は多結晶シリコンを直接酸化、若しくは窒化するため、形成される絶縁層の厚さは、ばらつきをきわめて小さくすることができる。加えて、結晶性シリコンの場合、結晶粒界でも酸化が強くされることがないため、非常に好ましい状態となる。すなわち、ここで示す高密度プラズマ処理で半導体層の表面を固相酸化することにより、結晶粒界において異常な酸化反応をさせることなく、均一性が良く、界面準位密度が低い絶縁層を形成することができる。
このように形成された絶縁層は、他の被膜に与えるダメージが少なく、緻密なものとなる。また高密度プラズマ処理により形成された絶縁層は、当該絶縁層と接触する界面状態を改善することができる。例えば高密度プラズマ処理を用いてゲート絶縁層を形成すると、半導体層との界面状態を改善することができる。その結果、薄膜トランジスタの電気特性を向上させることができる。
絶縁層の作製に高密度プラズマ処理を用いる場合を説明したが、半導体層に高密度プラズマ処理を施してもよい。高密度プラズマ処理によって、半導体層表面の改質を行うことができる。その結果、界面状態を改善でき、ひいては薄膜トランジスタの電気特性を向上させることができる。
本発明においてゲート絶縁層等の絶縁層としては、高密度プラズマ処理によって形成される絶縁層のみを用いても良いし、それにプラズマや熱反応を利用したCVD法で、酸化シリコン、酸窒化シリコン、窒化シリコンなどの絶縁層を堆積し、積層させても良い。いずれにしても、高密度プラズマで形成した絶縁層をゲート絶縁層の一部又は全部に含んで形成されるトランジスタは、特性のばらつきを小さくすることができる。
また平坦性を高めるため、絶縁層517、518が設けられているとよい。このとき絶縁層517は有機材料から形成し、絶縁層518は無機材料から形成するとよい。絶縁層517、518が設けられている場合、電極515は、これら絶縁層517、518にコンタクトホールを介して不純物領域と接続するように形成することができる。
さらに絶縁層525が設けられ、電極515と接続するように下部電極527を形成する。下部電極527の端部を覆い、下部電極527が露出するように開口部が設けられた絶縁層528を形成する。開口部内に、メモリ材料層529を形成し、上部電極530を形成する。このようにして、下部電極527、メモリ材料層529、上部電極530を有するメモリ素子622が形成される。メモリ材料層529は、有機材料又は無機材料から形成することができる。下部電極527又は上部電極530は、導電性材料から形成することができる。例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)もしくはシリコン(Si)等の元素からなる膜又はこれらの元素を用いた合金膜等から形成することができる。またインジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物、2%以上20%以下の酸化亜鉛を含む酸化インジウム等の透光性材料を用いることができる。
さらに平坦性を高め、不純物元素の侵入を防止するため、絶縁層531を形成するとよい。
本実施の形態で説明した絶縁層には、無機材料又は有機材料を用いることができる。無機材料としては、酸化珪素、窒化珪素を用いることができる。有機材料としてはポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン、シロキサン、ポリシラザン等を用いることができる。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。ポリシラザンは、珪素(Si)と窒素(N)の結合を有するポリマー材料を出発原料として形成される。
図5(B)は、図5(A)と異なり、電極515のコンタクトホール551内にメモリ材料層を形成したメモリ素子の断面図を示す。図5(A)と同様に、下部電極として電極515を用い、電極515上にメモリ材料層529、上部電極530を形成し、メモリ素子622を形成することができる。その後、絶縁層531を形成する。その他の構成は図5(A)と同様であるため、説明を省略する。
このようにコンタクトホール551にメモリ素子を形成すると、メモリ装置の小型化を図ることができる。またメモリ用の電極が不要となるため製造工程を削減し、低コスト化されたメモリ装置を提供することができる。
このように本発明の管理システムに適用することができるメモリ装置は絶縁基板上に作製され、駆動回路を一体形成することができるため、製造コストを低くすることができる。
なお、本実施の形態は実施の形態1および実施の形態2と自由に組み合わせて実施することができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、無線チップが有する回路の一部の薄膜トランジスタのレイアウトについて説明する。
上記実施の形態で示した半導体層512に相当する半導体層は、絶縁表面を有する基板の全面若しくは一部(トランジスタの半導体領域として確定されるよりも広い面積を有する領域)に、下地膜等を介して形成される。そして、フォトリソグラフィー技術によって、半導体層上にマスクパターンを形成する。そのマスクパターンを利用して半導体層をエッチング処理することにより、薄膜トランジスタのソース領域、ドレイン領域及びチャネル形成領域を含む特定形状を有する島状の半導体パターンを形成することができる。そのパターン形成された半導体層の形状は、薄膜トランジスタの特性に基づき、要求される回路特性やレイアウトの適切さを考慮して決められる。
本発明の薄膜トランジスタにおいて、半導体層を形成するためのフォトマスクは、所定のパターンを備えている。このフォトマスクのパターンは角部(直角の部分)を有さず、丸みを帯びている。具体的には、通常の角部を有するパターンにおける角部(直角三角形)が削除された形状である。削除された角部(直角三角形)は、直角を挟む二辺がそれぞれ10μm以下の大きさを有するものである。このマスクパターンの形状は、図6に示すように半導体層512のパターン形状として転写することができる。また半導体層への転写のとき、半導体層の角部は、フォトマスクパターンの角部よりさらに丸みを帯びるように転写されることがある。すなわち、半導体層のパターンの角部には、フォトマスクのパターンよりもさらにパターン形状をなめらかにした丸みが設けられてもよい。なお図6において、後に形成されるゲート電極や配線を点線で示す。また、本実施の形態においては、削除する角部の例として、直角を有する角部(直角三角形)を挙げているがこれに限られない。尖った形状の角部であれば、どのような角部を削除しても良い。鋭角であっても良いし、鈍角であっても良い。これらの場合には、削除したい角部を挟む二辺の条件が上記の条件であれば良い。以下の説明においても同様である。
次に、角部に丸みが設けられるようにパターニングされた半導体層上には、ゲート絶縁層が形成される。そして、上記実施の形態で示したように、半導体層と一部が重なるようにゲート電極514が形成され、同時にゲート配線が形成される。ゲート電極又はゲート配線は、金属層や半導体層を成膜し、フォトリソグラフィー技術によって形成することができる。
このゲート電極又はゲート配線を形成するためのフォトマスクは、所定のパターンを備えている。このフォトマスクのパターンは、角部(直角の部分)を有さず、丸みを帯びている。具体的には、角部を有するパターンにおける角部(直角三角形)が削除された形状である。削除された角部(直角三角形)は、直角を挟む二辺がそれぞれ10μm以下、または、配線の線幅の1/2以下かつ線幅の1/5以上の大きさを有するものである。削除したい角部の形状が直角(直角三角形)でない場合には、削除したい角部を挟む二辺の条件が上記の条件であれば良い。このマスクパターンの形状は、図7に示すように、ゲート電極又はゲート配線のパターン形状として転写することができる。またゲート電極又はゲート配線への転写のときに、ゲート電極又はゲート配線の角部がさらに丸みを帯びるように転写されることがある。すなわちゲート電極又はゲート配線の角部には、フォトマスクのパターンよりもさらにパターン形状をなめらかにした丸みが設けられていてもよい。このようなフォトマスクを用いて形成されたゲート電極又はゲート配線の角部には、丸みをおびさせることができる。なお図7において、後に形成される配線を点線で示す。
このようなゲート電極又はゲート配線は、レイアウトの制約上、矩形に折れ曲がる。そのため、ゲート電極又はゲート配線の丸みを帯びた角部には凸部(外側の辺)と凹部(内側の辺)が設けられる。この丸みを帯びた凸部とすることにより、プラズマによるドライエッチの際、異常放電による微粉の発生を抑えることができる。また、丸みを帯びない角部の場合には、微粉が発生した場合には角部に集まるため、洗い流すのが難しく、歩留まりを低下させてしまうが、丸みを帯びた凹部とすることにより、たとえ微粉が発生したとしても、容易に洗い流すことができる。その結果、歩留まり向上が甚だしく期待できるという効果を有する。
次に、ゲート電極又はゲート配線上には、上記実施の形態で示したように絶縁層516、517、518に相当する絶縁層等を形成する。勿論、本発明において絶縁層は単層であっても構わない。
そして絶縁層の所定の位置に開口を形成し、当該開口に電極515に相当する配線を形成する。この開口は、下層に位置する半導体層又はゲート配線層と、配線層との間の電気的な接続をとるために設けられる。配線は、フォトリソグラフィー技術によるマスクパターンの形成と、マスクパターンを用いたエッチング加工により、所定のパターンに形成される。
配線によって、ある特定の素子間を連結することができる。この配線は、特定の素子と素子の間を直線で結ぶのではなく、レイアウトの制約上、矩形に折れ曲がる(以下、屈曲部という)。また配線は、開口部やその他の領域において配線幅が変化することがある。例えば開口部では、開口が配線幅と同等若しくは大きい場合には、その部分で配線幅が広がるように変化する。また、回路のレイアウト上、容量部の一方の電極を兼ねるために、配線幅を大きくとることがある。
この場合、フォトマスクのパターンの屈曲部において、角部を削除する。削除される角部(直角三角形)は、直角を挟む二辺がそれぞれ10μm以下、または、配線の線幅の1/2以下かつ線幅の1/5以上の大きさを有するものである。削除する角部の形状が直角(直角三角形)でない場合には、削除したい角部を挟む二辺の条件が上記の条件であれば良い。そして、図8に示すように、電極(配線)515のパターンにも同様な丸みを帯びさせる。配線の角部は、線幅の1/2以下かつ1/5以上で削除され、屈曲部に丸みをおびさせることができる。このような丸みを帯びた配線とすることにより、その屈曲部における凸部ではプラズマによるドライエッチの際、異常放電による微粉の発生を抑え、凹部では、洗浄のときに、たとえ発生した微粉があっても、容易に洗い流すことができる。結果として歩留まり向上が甚だしく期待できるという効果を有する。配線の角部が丸みを帯びることにより、電荷の流れが滞ることなく、電気的にスムーズな伝導が期待されるため、角部に電界が集中してショートを引き起こすといった問題を低減することもできる。
図8に示したレイアウトを有する回路において、屈曲部や配線幅が変化する部位の角部をなめらかにして、丸みを付けることにより、プラズマによるドライエッチの際、異常放電による微粉の発生を抑え、洗浄のときに、たとえ微粉が発生したとしても、容易に洗い流すことができる。結果として歩留まり向上が甚だしく期待できるという効果を有する。すなわち、製造工程における塵や微粉の問題を解消することができる。また、配線の角部が丸みを帯びた構成をとることにより、電荷の流れが滞ることなく、電気的にスムーズな伝導が期待される。特に多数の平行配線が設けられる駆動回路部等の配線において、ゴミを洗い流すことを可能とすることは、きわめて好都合である。
なお本実施の形態では、半導体層、ゲート配線、配線の3つのレイアウトにおいて、角部又は屈曲部に丸みを帯びる形態を説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、いずれか一の層において、角部又は屈曲部に丸みを帯びさせ、製造工程における塵や微粉等の問題を解消することができればよい。
次に、無線チップの回路に用いられるトランジスタ、容量素子、抵抗素子について説明する。まずこれらの断面構造について、図13を用いて説明する。図13は、nチャネル型TFT201、nチャネル型TFT202、容量素子204、抵抗素子205、pチャネル型TFT203が示されている。各トランジスタは半導体層305、絶縁層308、ゲート電極309等により形成することができる。ゲート電極309は、第1導電層303と第2導電層302の積層構造で形成されている。また、図14(A)〜(E)は、図13で示すトランジスタ、容量素子、抵抗素子に対応する上面図であり、合わせて参照することができる。
図13において、nチャネル型TFT201の半導体層305には、チャネル長方向(キャリアの流れる方向)において、配線304とコンタクトを形成するソース及びドレイン領域である不純物領域306の不純物濃度よりも、低濃度にドープされた不純物領域307が形成されている。この、低濃度にドープされた不純物領域は、低濃度ドレイン(LDD)とも呼ばれ、nチャネル型TFT201においてはゲート電極の両側に形成されている。不純物領域306と不純物領域307には、nチャネル型TFT201を構成する場合、n型を付与する不純物としてリンなどが添加されている。LDDはホットエレクトロン劣化や短チャネル効果を抑制する手段として形成される。
図14(A)で示すように、nチャネル型TFT201のゲート電極309において、第1導電層303は、第2導電層302の両側に広がって形成されている。この場合において、第1導電層303の膜厚は、第2導電層の膜厚よりも小さくなるように形成されている。第1導電層303は、10〜100kVの電界で加速されたイオン種を通過させることが可能な厚さに形成されている。不純物領域307はゲート電極309の第1導電層303と重なるように形成されている。すなわち、ゲート電極309とオーバーラップするLDD領域を形成している。この構造は、第2導電層302をマスクとして、第1導電層303を通して一導電型の不純物を添加することにより、自己整合的に形成される。すなわち、ゲート電極とオーバーラップするLDDを自己整合的に形成している。
両側にLDD有するトランジスタは、図1における電源回路703の整流用のTFTや、論理回路に用いられるトランスミッションゲート(アナログスイッチとも呼ぶ)を構成するトランジスタに適用される。これらのTFTは、ソース電極又はドレイン電極に正負両方の電圧が印加されるため、ゲート電極の両側にLDDを設けることが好ましい。
図13において、nチャネル型TFT202の半導体層305には、ゲート電極の片側に、不純物領域306の不純物濃度よりも低濃度にドープされた不純物領域307が形成されている。図14(B)で示すように、nチャネル型TFT202のゲート電極309において、第1導電層303は、第2導電層302の片側に広がって形成されている。この場合も同様に、第2導電層302をマスクとして、第1導電層303を通して一導電型の不純物を添加することにより、自己整合的にLDDを形成することができる。
片側にLDDを有するトランジスタは、ソース電極及びドレイン電極間に正電圧のみ、もしくは負電圧のみが印加されるトランジスタに適用すればよい。具体的には、インバータ回路、NAND回路、NOR回路、ラッチ回路といった論理ゲートを構成するトランジスタや、センスアンプ、定電圧発生回路、VCOといったアナログ回路を構成するトランジスタに適用すればよい。
図13において、容量素子204は、第1導電層303と半導体層305とで絶縁層308を挟んで形成されている。容量素子204を形成する半導体層305は、不純物領域310と不純物領域311を備えている。不純物領域311は、半導体層305において第1導電層303と重なる位置に形成される。また、不純物領域310は配線304とコンタクトを形成する。不純物領域311は、第1導電層303を通して一導電型の不純物を添加することができるので、不純物領域310と不純物領域311に含まれる不純物濃度は異ならせることができる。また、同じ不純物濃度としても良い。いずれにしても、容量素子204において、半導体層305は電極として機能させるので、一導電型の不純物を添加して低抵抗化しておくことが好ましい。また、第1導電層303は、図14(C)に示すように、第2導電層302を補助的な電極として利用することにより、電極として十分に機能させることができる。このように、第1導電層303と第2導電層302を組み合わせた複合的な電極構造とすることにより、容量素子204を自己整合的に形成することができる。
容量素子は、図1において、電源回路703が有する保持容量、あるいは共振回路702が有する共振容量として用いられる。特に、共振容量は、容量素子の2端子間に正負両方の電圧が印加されるため、2端子間の電圧の正負によらず容量として機能することが必要である。
図13において、抵抗素子205は、第1導電層303によって形成されている。第1導電層303は30〜150nm程度の厚さに形成されるので、その幅や長さ、厚さ、材料等を適宜設定して抵抗素子を構成することができる。
抵抗素子は、図1において変調回路709が有する抵抗負荷として用いられる。また、VCO(Voltage Controlled Oscillator:電圧制御発振器)などで電流を制御する場合の負荷としても用いられる場合がある。抵抗素子は、高濃度に不純物元素を含む半導体層や、金属層によって構成すればよい。抵抗値が膜厚、膜質、不純物濃度、活性化率などに依存する半導体層に対して、金属層は、膜厚、膜質で抵抗値が決定するため、ばらつきが小さく好ましい。
図13において、pチャネル型TFT203は、半導体層305に不純物領域312を備えている。この不純物領域312は、配線304とコンタクトを形成するソース及びドレイン領域を形成する。ゲート電極309は第1導電層303と第2導電層302が重畳した構成となっている。pチャネル型TFT203はLDDを設けないシングルドレイン構造のトランジスタである。pチャネル型TFT203を形成する場合、不純物領域312にはp型を付与する不純物として硼素などが添加される。一方、不純物領域312にリンを添加すればシングルドレイン構造のnチャネル型トランジスタとすることもできる。
半導体層305及び絶縁層308の一方若しくは双方に対しては、上記実施の形態で示したメモリ素子と同様に、高密度プラズマ処理工程を適用することができる。
図13及び図14を参照して説明したように、膜厚の異なる導電層を組み合わせることにより、さまざまな構成の素子を形成することができる。第1導電層のみが形成される領域と、第1導電層と第2導電層が積層されている領域は、回折格子パターン或いは半透膜からなる光強度低減機能を有する補助パターンを設置したフォトマスクまたはレチクルを用いて形成することができる。すなわち、フォトリソグラフィー工程において、フォトレジストを露光する際に、フォトマスクの透過光量を調節して、現像されるレジストマスクの厚さを異ならせる。この場合、フォトマスクまたはレチクルに解像度限界以下のスリットを設けて上記複雑な形状を有するレジストを形成してもよい。また、現像後に約200℃のベークを行ってフォトレジスト材料で形成されるマスクパターンを変形させてもよい。
また、回折格子パターン或いは半透膜からなる光強度低減機能を有する補助パターンを設置したフォトマスクまたはレチクルを用いることにより、第1導電層のみが形成される領域と、第1導電層と第2導電層が積層されている領域を連続して形成することができる。図14(A)に示すように、第1導電層のみが形成される領域を半導体層上に選択的に形成することができる。このような領域は、半導体層上において有効であるが、それ以外の領域(ゲート電極と連続する配線領域)では必要がない。このフォトマスク若しくはレチクルを用いることにより、配線部分には、第1導電層のみの領域を作らないで済むので、配線密度を実質的に高めることができる。
図13及び図14の場合には、第1導電層はタングステン(W)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)またはモリブデン(Mo)などの高融点金属、又は高融点金属を主成分とする合金もしくは化合物を30〜50nmの厚さで形成する。また、第2導電層はタングステン(W)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)またはモリブデン(Mo)などの高融点金属、又は高融点金属を主成分とする合金もしくは化合物で300〜600nmの厚さに形成する。例えば、第1導電層と第2導電層をそれぞれ異なる導電材料を用い、後に行うエッチング工程でエッチングレートの差が生じるようにする。一例として、第1導電層としてTaNを用い、第2導電層としてタングステン膜を用いることができる。なお、これに限られず、その他の材料(例えば、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、ニオブ(Nb)、ネオジム(Nd)から選ばれた元素、又は前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料等)を用いても良い。
また第1導電層と、第2導電層との積層構造を用いてゲート配線を形成する場合、それらの両端を揃えるようにパターニングしてもよい。その結果、微細なゲート配線を形成することができる。
本実施の形態では、回折格子パターン或いは半透膜からなる光強度低減機能を有する補助パターンを設置したフォトマスクまたはレチクルを用いて、電極構造の異なるトランジスタ、容量素子、抵抗素子を、同じパターニング工程によって作り分けることができることを示している。これにより、回路の特性に応じて、形態の異なる素子を、工程を増やすことなく作り込み、集積化することができる。もちろん、上記の方法に限られず、成膜とエッチングを交互に繰り返す方法で導電層を所望の形状に形成してもよい。
なお、本実施の形態は実施の形態1乃至実施の形態3と自由に組み合わせて実施することができる。