以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、RFIDチップの構成について説明する。また本発明のRFIDチップのような半導体素子を用いた装置を半導体装置と呼ぶこともできる。
図1に示すように本発明のRFIDチップ101は制御回路102、メモリ回路103、受信回路104、送信回路105、RF回路106を有する。メモリ回路103はRAM(Random Access Memory)110、ROM(Read Only Memory)111から構成される。RAM110はSRAM等で構成されるデータレジスタ120、及びスタンバイレジスタ121を有する。ROM111はライトワンスメモリ等のメモリ素子から構成される動作停止レジスタ122、RFID固有の情報、及び制御回路で用いられるプログラム等を有する。RF回路106は、共振回路113、電源回路114、クロック発生回路115、復調回路116、変調回路117を有する。RFIDチップ101は上記構成に制限されず、輻輳制御回路等を有することもある。なお、共振回路113はアンテナを有している。また、共振回路113にコンデンサを設けて、アンテナとコンデンサにより共振させるようにしてもよい。
本発明のRFIDチップ101は、共振回路113で、RFIDリーダ/ライタ130のアンテナ131より発せられる電波を受信すると、電源回路114で電源電位が生成される。また、復調回路116にて受信した電波から情報を復調する。情報の送信は、変調回路117によって行われる。このようにしてRFIDリーダ/ライタ130と無線通信で情報の送受信を行うことができる。
RFIDリーダ/ライタのアンテナ131は通信回線133を介して情報処理装置132と接続され、当該情報処理装置132の制御のもとにRFIDチップ101との情報の送受信を行うことができる。なお、アンテナ131と情報処理装置132とは赤外線通信等の無線通信によって情報のやり取りを行ってもよい。
共振回路113はRFIDリーダ/ライタのアンテナ131より発せられる電波を受信し、共振回路113のアンテナ両端に交流信号を発生する。発生した交流信号は、RFIDチップ101の電力になるほか、RFIDリーダ/ライタのアンテナ131から送信される命令等の情報を含んでいる。電源回路114は共振回路113に発生した交流信号をダイオードで整流し、容量を用いて平滑化することで、電源電位を生成し、各回路へ供給する。クロック発生回路115は共振回路113に発生した交流信号を基に、様々な周波数のクロック信号を生成する。復調回路116は共振回路に発生した交流信号に含まれる情報を復調する。
受信回路104は、復調回路116によって復調されたデータを受信し、そのデータをデータレジスタ120に書き込む。書き込みが終了した時点でスタンバイレジスタ121に1を書き込む。制御回路102は受信回路104がスタンバイレジスタに1を書き込んだ時点で動作を開始する。制御回路102は、データレジスタから受信したデータから命令を解析し、命令に従った一連の動作を実行する。また、復調した信号に誤りが無いかをチェックする回路を有してもよい。次に、データレジスタ120に書き込み命令を送り、命令に基づいた演算結果のデータをデータレジスタ120に格納した後スタンバイレジスタ121に1を書き込む。制御回路102は、メモリ回路103へ読み出し命令を送り、データを読み出すことができる。送信回路105は、制御回路102がスタンバイレジスタ121に1を書き込んだ時点で、データレジスタからデータを受信し、変調回路117へ出力する。
動作停止レジスタ122には、ライトワンスメモリが設けられている。制御回路102が動作を開始する時、制御回路102は常に動作停止レジスタ122の値をチェックするようになっており、動作停止レジスタ122の値が0の場合は、制御回路102は処理を開始し、動作停止レジスタ122の値が1の場合は、制御回路102は処理を停止する。
データレジスタ120、スタンバイレジスタ121にはSRAM等、書き換え可能なメモリが設けられている。必要に応じて書き換え可能な不揮発性メモリが設けられていてもよい。
本実施の形態はRFIDチップ101がRFIDリーダ/ライタ130のアンテナ131から電力供給を受ける例を示したが、本発明はこの形態に限定されない。例えばRFIDチップ101は、内部に電池等を有して電力供給を行うことができ、RFIDリーダ/ライタ130のアンテナ131とは無線で情報の送受信のみを行うことも可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、RFIDチップ101の通常動作について説明する。
RFIDチップ101はRF回路106で命令を受信し復調して受信回路104に送る。受信回路104は、復調されたデータをメモリ回路103内のデータレジスタ120に書き込み、その後データの書き込みが終了した事を示すためスタンバイレジスタ121に1を書き込む。制御回路102は受信回路104がスタンバイレジスタ121に書き込みが終了した事を確認した時点で、動作停止レジスタ122の値を確認する。
制御回路102は動作停止レジスタ122の値が0であることを確認し、データレジスタ120から読み込み処理を開始する。この時、制御回路102は読み込んだデータから命令を解析し、命令を実行する。そしてその結果をデータレジスタ120に書き込み、すべての値の書き込みが終了した時点でスタンバイレジスタ121に値を書き込む。送信回路105は、制御回路102がスタンバイレジスタ121に値を書き込んだのを確認し、データレジスタからデータを取り込んでRF回路106に送信する。RF回路106は送信回路105から受信したデータを変調しRF回路のアンテナにデータを乗せてRFIDリーダ/ライタに送信する。
(実施の形態3)
例えば商品管理にRFIDが用いられる場合、RFIDチップ101内に保持している情報は、客が商品を購買した時点で必要でなくなる可能性がある。本実施形態では商品が購買されたときに、RFIDリーダ/ライタ130からRFIDチップ101に動作停止命令を送り、それ以後にRFIDリーダ/ライタから何らかの命令を受信しても応答しないようにする動作について説明する。
RFIDチップ101はRF回路106で動作停止命令を受信し復調して受信回路104に送る。受信回路104は、復調されたデータをメモリ回路103内のデータレジスタ120に書き込み、その後データの書き込みが終了した事を示すためスタンバイレジスタ121に1を書き込む。制御回路102は受信回路104がスタンバイレジスタ121に書き込みが終了した事を確認した時点で、動作停止レジスタ122の値を確認する。
制御回路102は動作停止レジスタ122の値が0であることを確認し、データレジスタ120から読み込み処理を開始する。この時、制御回路102は読み込んだデータから動作停止命令であると解析し、メモリ回路内の動作停止レジスタ122に値1を書き込む。これによって、以後RFIDチップ101はRFIDリーダ/ライタ130から命令を受信しても応答しないようになる。本実施の形態では、動作停止レジスタが1ビットである場合について説明したが、動作停止レジスタは1ビットである必要はなく必要に応じてビット数を変化させてもよい。
(実施の形態4)
本実施の形態では、RFIDチップ101内の動作停止レジスタ122の値が1に設定されRFIDリーダ/ライタから命令を受信しても応答しない場合の動作について説明する。
RFIDチップ101はRF回路106で命令を受信し復調して受信回路104に送る。受信回路104は、復調されたデータをメモリ回路103内のデータレジスタ120に書き込み、その後データの書き込みが終了した事を示すためスタンバイレジスタ121に1を書き込む。制御回路102は受信回路104がスタンバイレジスタ121に書き込みが終了した事を確認した時点で、動作停止レジスタ122の値を確認する。
制御回路102は動作停止レジスタ122の値が1であることを確認し、この時点で処理を停止する。
(実施の形態5)
図2は、本実施の形態におけるRFIDチップ101の処理手順を示すフローチャートである。
RFIDチップ101は、ステップST11でRFIDリーダ/ライタ130から命令を受信すると、ステップST12において電源回路114で電源、クロック発生回路115でクロックを発生し、復調回路116で受信した電波から情報をデジタルデータに復調する。
次にステップST13で受信回路104が復調回路116からデータを受信すると、まずステップST14でデータレジスタ120に受信したデータを書き込み、データの書き込みが終了すると、ST15でスタンバイレジスタ121に1を書き込む。
次にステップST16で、制御回路102はスタンバイレジスタ121に値が書き込まれた後、動作停止レジスタ122の値を読み込む。動作停止レジスタの値が1の場合は、その時点で処理を停止し、動作停止レジスタの値が0の場合は、処理を開始する。
次にST17で制御回路102はデータレジスタ120からデータを読み込み、データから命令を解析する。
ステップST18において、命令が動作停止命令の場合(yes)は、ステップST20において制御回路102が動作停止レジスタ122に1を書き込み、RFIDチップ101が以後RFIDリーダ/ライタ130から命令を受信しても応答しないようにして処理を終了する。
ステップST18において命令が動作停止命令でない場合(no)は、制御回路102は命令に従って処理を実行し、ステップST19で処理結果をデータレジスタ120に書き込む。
ステップST21において制御回路102はデータレジスタ120にデータの書き込みが終了した時点でスタンバイレジスタ121に1を書き込み送信回路105に処理が終了したことを知らせる。
ステップST22において送信回路105は制御回路102がスタンバイレジスタ121に値を書き込んだ時点でデータレジスタ120からデータを取り込み変調回路117に送信する。
ステップST23において変調回路117は受信したデータを変調し、共振回路113に変調した信号を送信する。共振回路113は変調されたデータを共振させてアンテナからリーダ/ライタに処理結果を送信する。以上で、RFIDチップ101の一連の処理が終了する。
(実施の形態6)
本実施の形態では、RFIDチップ101が有するROM111、及びその動作方法について説明する。
図1のROM111の構成を、図3のROM707を用いて説明する。ROM707はメモリ素子が形成されたメモリセルアレイ756及び駆動回路を有する。駆動回路は、カラムデコーダ751、ローデコーダ752、読み出し回路754、書き込み回路755、セレクタ753を有する。
メモリセルアレイ756はビット線Bm(m=1からx)、ワード線Wn(n=1からy)、ビット線とワード線とそれぞれの交点にメモリセル757を有する。なお、メモリセル757はトランジスタが接続されたアクティブ型であっても、パッシブ素子だけで構成されるパッシブ型であってもよい。またビット線Bmはセレクタ753により制御され、ワード線Wnはローデコーダ752により制御される。
カラムデコーダ751は、任意のビット線を指定するアドレス信号を受けて、セレクタ753に信号を与える。セレクタ753は、カラムデコーダ751の信号を受けて指定のビット線を選択する。ローデコーダ752は、任意のワード線を指定するアドレス信号を受けて、指定のワード線を選択する。上記動作によりアドレス信号に対応する一つのメモリセル757が選択される。読み出し回路754は選択されたメモリセルが有する情報を読み出して出力する。書き込み回路755は書き込みに必要な電圧を生成し、選択されたメモリセルに電圧を印加することで、情報の書き込みを行う。
次に、メモリセル757の回路構成を説明する。本実施の形態では、下部電極、上部電極を有し、当該一対の電極間にメモリ材料層が介在したメモリ素子783を有するメモリセルについて説明する。
図4(A)に示すメモリセル757は、トランジスタ781とメモリ素子783とを有するアクティブ型のメモリセルである。トランジスタ781は、薄膜トランジスタを適用することができる。トランジスタ781が有するゲート電極は、ワード線Wyに接続される。また当該トランジスタ781が有するソース電極及びドレイン電極の一方は、ビット線Bxに接続され、他方はメモリ素子783と接続される。メモリ素子783の下部電極は、トランジスタ781のソース電極及びドレイン電極の一方と電気的に接続している。またメモリ素子783の上部電極(782に相当)は、共通電極として、各メモリ素子で共有することができる。
また図4(B)に示すように、メモリ素子783がダイオード784に接続された構成を用いてもよい。ダイオード784は、トランジスタのソース電極及びドレイン電極の一方と、ゲート電極とが接続された所謂ダイオード接続構造を採用することができる。またダイオード784として、メモリ材料層と下部電極とのコンタクトによるショットキーダイオードを用いたり、メモリ材料の積層によって形成されるダイオードなどを利用することもできる。
メモリ材料層としては、電気的作用、光学的作用又は熱的作用等により、その性質や状態が変化する材料を用いることができる。例えば、ジュール熱による溶融、絶縁破壊等により、その性質や状態が変化し、下部電極と、上部電極とが短絡することができる材料を用いればよい。そのためメモリ材料層の厚さは、5nmから100nm、好ましくは10nmから60nmとするとよい。このようなメモリ材料層は、無機材料又は有機材料を用いることができ、蒸着法、スピンコーティング法、液滴吐出法等により形成することができる。
無機材料としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素等がある。このような無機材料であっても、その膜厚を制御することによって、絶縁破壊を生じさせ、下部電極と上部電極とを短絡させることができる。
有機材料としては、例えば、4、4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:α−NPD)や4,4’−ビス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(略称:TPD)や4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(略称:TDATA)、4,4’,4’’−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミン(略称:MTDATA)や4,4’−ビス(N−(4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル(略称:DNTPD)などの芳香族アミン系(即ち、ベンゼン環−窒素の結合を有する)の化合物、ポリビニルカルバゾール(略称:PVK)やフタロシアニン(略称:H2Pc)、銅フタロシアニン(略称:CuPc)、バナジルフタロシアニン(略称:VOPc)等のフタロシアニン化合物等を用いることができる。これら材料は、正孔輸送性の高い物質である。
また、他にも有機材料として、例えばトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Almq3)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]−キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq2)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)等キノリン骨格またはベンゾキノリン骨格を有する金属錯体等からなる材料や、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX)2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ)2)などのオキサゾール系、チアゾール系配位子を有する金属錯体などの材料も用いることができる。これら材料は、電子輸送性が高い物質である。
さらに、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(略称:OXD−7)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:TAZ)、3−(4−tert−ブチルフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−ビフェニリル)−1,2,4−トリアゾール(略称:p−EtTAZ)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)、バソキュプロイン(略称:BCP)等の化合物等を用いることができる。
またメモリ材料層は単層構造であっても、積層構造であってもよい。積層構造の場合、上記材料から選び、積層構造することができる。また上記有機材料と、発光材料とを積層してもよい。発光材料として、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン(略称:DCJT)、4−ジシアノメチレン−2−t−ブチル−6−(1,1,7,7−テトラメチルジュロリジル−9−エニル)−4H−ピラン、ペリフランテン、1,4−ビス[2−(10−メトキシ−1,1,7,7−テトラメチルジュロリジン−9−イル)エテニル]−2,5−ジシアノベンゼン、N,N’−ジメチルキナクリドン(略称:DMQd)、クマリン6、クマリン545T、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、9,9’−ビアントリル、9,10−ジフェニルアントラセン(略称:DPA)や9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、2,5,8,11−テトラ−t−ブチルペリレン(略称:TBP)等がある。
また、上記発光材料を分散してなる層を用いてもよい。発光材料分散してなる層において、母体となる材料としては、9,10−ジ(2−ナフチル)−2−tert−ブチルアントラセン(略称:t−BuDNA)等のアントラセン誘導体、4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル(略称:CBP)等のカルバゾール誘導体、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ピリジナト]亜鉛(略称:Znpp2)、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾラト]亜鉛(略称:ZnBOX)などの金属錯体等を用いることができる。また、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq3)、9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセン(略称:DNA)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(略称:BAlq)等を用いることができる。
このような有機材料は、熱的作用等によりその性質を変化させるため、ガラス転移温度(Tg)が50℃から300℃、好ましくは80℃から120℃であるとよい。
また、有機材料や発光材料に金属酸化物を混在させた材料を用いてもよい。なお金属酸化物を混在させた材料とは、上記有機材料又は発光材料と、金属酸化物とが混合した状態、又は積層された状態を含む。具体的には複数の蒸着源を用いた共蒸着法により形成された状態を指す。このような材料を有機無機複合材料と呼ぶことができる。
例えば正孔輸送性の高い物質と、金属酸化物を混在させる場合、当該金属酸化物にはバナジウム酸化物、モリブデン酸化物、ニオブ酸化物、レニウム酸化物、タングステン酸化物、ルテニウム酸化物、チタン酸化物、クロム酸化物、ジルコニウム酸化物、ハフニウム酸化物、タンタル酸化物を用いると好ましい。
また電子輸送性の高い物質と、金属酸化物を混在させる場合、当該金属酸化物にはリチウム酸化物、カルシウム酸化物、ナトリウム酸化物、カリウム酸化物、マグネシウム酸化物を用いると好ましい。
メモリ材料層には、電気的作用、光学的作用又は熱的作用により、その性質が変化する材料を用いればよいため、例えば光を吸収することによって酸を発生する化合物(光酸発生剤)をドープした共役高分子を用いることもできる。共役高分子として、ポリアセチレン類、ポリフェニレンビニレン類、ポリチオフェン類、ポリアニリン類、ポリフェニレンエチニレン類等を用いることができる。また、光酸発生剤としては、アリールスルホニウム塩、アリールヨードニウム塩、o−ニトロベンジルトシレート、アリールスルホン酸p−ニトロベンジルエステル、スルホニルアセトフェノン類、Fe−アレン錯体PF6塩等を用いることができる。
次に、図4(A)に示したようなアクティブ型のメモリセル757に情報の書き込みを行うときの動作について説明する。なお本実施の形態では、初期状態のメモリ素子が格納する値を「0」、電気的作用等によって特性を変化させたメモリ素子が格納する値を「1」とする。また、初期状態のメモリ素子は抵抗値が高く、変化後のメモリ素子は抵抗値が低い。
書き込みを行う場合、カラムデコーダ751、ローデコーダ752、セレクタ753により、m列目のビット線Bmと、n行目のワード線Wnが選択され、m列目n行目のメモリセル757に含まれるトランジスタ781がオンとなる。
続いて、書き込み回路755により、m列目のビット線Bmに、所定の電圧が所定の期間印加される。この印加電圧および印加時間は、メモリ素子783が初期状態から抵抗値の低い状態へと変化するような条件を用いる。m列目のビット線Bmに印加された電圧は、メモリ素子783の下部電極に伝達され、上部電極との間には電位差が生じる。すると、メモリ素子783に電流が流れ、メモリ材料層の状態に変化が生じ、メモリ素子特性が変化する。そして、メモリ素子783が格納する値を「0」から「1」へ変化させる。
このような書き込み動作は、制御回路102に従って行われる。
次に、情報の読み出しを行う動作について説明する。図5に示すように読み出し回路754は、抵抗素子790とセンスアンプ791を有する。情報の読み出しは、下部電極と上部電極の間に電圧を印加して、メモリ素子が、初期の状態か変化後の低い状態であるかを判定することで行う。具体的には、抵抗分割方式によって、情報の読み出しを行うことができる。
例えば、メモリセルアレイ756が含む複数のメモリ素子783から、m列目n行目のメモリ素子783の情報の読み出しを行う場合について説明する。まずカラムデコーダ751、ローデコーダ752、セレクタ753により、m列目のビット線Bmと、n行目のワード線Wnが選択される。すると、m列目n行目に配置されたメモリセル757が有するトランジスタ781がオン状態になり、メモリ素子783と、抵抗素子790とが直列に接続された状態となる。その結果、メモリ素子783の電流特性に応じて図5に示したP点の電位が決まる。
メモリ素子が初期状態である場合のP点の電位をV1、メモリ素子が変化後の低抵抗状態である場合のP点の電位をV2とし、V1>Vref>V2となる参照電位Vrefを用いることで、メモリ素子に格納されている情報を読み出すことができる。具体的には、メモリ素子が初期状態である場合、センスアンプ791の出力電位はLoとなり、メモリ素子が低抵抗状態である場合、センスアンプ791の出力電位はHiとなる。
上記の方法によると、メモリ素子783の抵抗値の相違と抵抗分割を利用して、電圧値で読み取っている。しかしながら、メモリ素子783が有する情報を、電流値により読み取ってもよい。なお本発明の読み出し回路754は、上記構成に限定されず、メモリ素子が有する情報を読み出すことができればどのような構成を有していてもよい。
このような構成を有するメモリ素子は、「0」から「1」の状態へ変化させ、「0」から「1」の状態へ変化は不可逆的であるためライトワンスメモリ素子となる。
このようなメモリ素子783へRFIDチップの識別番号を書き込むことができる。そして書き込まれた情報は、電話端末に設けられたセンサー、つまりアンテナからの無線通信によって読み出すことができる。
なお、本実施の形態は上記実施の形態と自由に組み合わせて実施することができる。
(実施の形態7)
本実施の形態では、メモリ回路103の断面図について説明する。
図6(A)は、絶縁基板310上にメモリセル部301と駆動回路部302とが一体形成されたメモリ素子の断面図を示す。絶縁基板310には、ガラス基板、石英基板、珪素からなる基板、金属基板、プラスチック基板等を用いることができる。
絶縁基板310上には下地膜311が設けられている。駆動回路部302では下地膜311を介して薄膜トランジスタ320、321が設けられ、メモリセル部301には下地膜311を介してトランジスタ781が設けられている。各薄膜トランジスタは、島状に形成された半導体膜312、ゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極314、ゲート電極側面に設けられた絶縁物(所謂サイドウォール)313、ゲート電極314が設けられている。半導体膜312は、膜厚が0.2μm以下、代表的には40nmから170nm、好ましくは50nmから150nmとなるように形成する。さらに、絶縁物313、及び半導体膜312を覆う絶縁膜316、半導体膜312に形成された不純物領域に接続する電極315を有する。なお電極315は不純物領域と接続するため、ゲート絶縁膜及び絶縁膜316にコンタクトホールを形成し、当該コンタクトホールに導電膜を形成し、当該導電膜をパターニングして形成することができる。
半導体膜は非晶質シリコン、多結晶シリコンを用いることができる。多結晶シリコンを用いる場合、まず非晶質シリコンを形成し、熱処理、又はレーザ照射を行って多結晶シリコンとすることができる。このとき、ニッケルを代表とする金属元素を用いて熱処理、又はレーザ照射を行うことにより、結晶化温度を低減することができる。レーザ照射には、連続発振、又はパルス発振のレーザ照射装置を用いることができる。また、熱処理を伴った結晶化法と、連続発振レーザ若しくは10MHz以上の周波数で発振するレーザビームを照射する結晶化法とを組み合わせても良い。連続発振レーザ又は10MHz以上の周波数で発振するレーザビームを照射することで、結晶化された半導体膜の表面を平坦なものとすることができる。それにより、ゲート絶縁膜を薄膜化することも可能であり、また、ゲート絶縁膜の耐圧を向上させることに寄与することができる。
また、半導体膜に対し、連続発振レーザ若しくは10MHz以上の周波数で発振するレーザビームを照射しながら一方向に走査して結晶化させて得られた半導体膜は、そのビームの走査方向に結晶が成長する特性がある。その走査方向をチャネル長方向(チャネル形成領域が形成されたときにキャリアが流れる方向)に合わせてトランジスタを配置し、以下に示すゲート絶縁膜を組み合わせることで、特性ばらつきが小さく、しかも電界効果移動度が高いトランジスタ(TFT)を得ることができる。
本発明における無線チップを構成する薄膜トランジスタにおいて、ゲート絶縁膜等を代表とする絶縁膜は、高密度プラズマ処理を用いて、被形成面の表面を酸化又は窒化することによって作製することができる。高密度プラズマ処理とは、プラズマ密度が1×1011cm−3以上、好ましくは1×1011cm−3から9×1015cm−3以下であり、マイクロ波(例えば周波数2.45GHz)といった高周波を用いたプラズマ処理である。このような条件でプラズマを発生させると、低電子温度が0.2eVから2eVとなる。このように低電子温度が特徴である高密度プラズマは、活性種の運動エネルギーが低いため、プラズマダメージが少なく欠陥が少ない膜を形成することができる。例えば、被処理物上に絶縁膜を形成する場合、このようなプラズマ処理を可能とする成膜室に、被形成物としてパターニングされた半導体膜が形成された基板を配置する。そして、プラズマ発生用の電極、所謂アンテナと被形成体との距離を20mmから80mm、好ましくは20mmから60mmとして成膜処理を行う。このような高密度プラズマ処理は、低温プロセス(基板温度400℃以下)の実現が可能となる。そのため、耐熱性の低いプラスチックを基板として用いることができる。
このような絶縁膜の成膜雰囲気は窒素雰囲気、又は酸素雰囲気とすることができる。窒素雰囲気とは、代表的には、窒素と希ガスとの混合雰囲気、又は窒素と水素と希ガスとの混合雰囲気である。窒素と水素を有するガスには、アンモニアを挙げることができる。
希ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンの少なくとも1つを用いることができる。また酸素雰囲気とは、代表的には、酸素と希ガスとの混合雰囲気、酸素と水素と希ガスとの混合雰囲気、又は一酸化二窒素と希ガスとの混合雰囲気である。希ガスは、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンの少なくとも1つを用いることができる。また水素と希ガスとの混合雰囲気を用いてもよい。
この高密度プラズマで生成された酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)や窒素ラジカル(NHラジカルを含む場合もある)によって、被形成面の表面を酸化又は窒化することができる。
このような高密度プラズマを用いた処理により、1〜20nm、代表的には5〜10nmの絶縁膜を形成することができる。この場合の反応は、固相反応であるため、当該絶縁膜と半導体膜との界面準位密度はきわめて低くすることができる。例えば、半導体膜(結晶性シリコン、又は多結晶シリコン)表面を高密度プラズマ処理によって酸化、若しくは窒化することで半導体膜表面に絶縁膜を形成した場合、半導体膜表面に形成された絶縁膜の厚さのばらつきをきわめて小さくすることができる。加えて、結晶性シリコンの場合、結晶粒界において必要以上に酸化されることがないため、非常に好ましい状態となる。すなわち、ここで示す高密度プラズマ処理で半導体膜の表面を固相酸化することにより、結晶粒界において必要以上に酸化反応をさせることなく、均一性が良く、界面準位密度が低い絶縁膜を形成することができる。
このように形成された絶縁膜は、他の被膜に与えるダメージが少なく、緻密なものとなる。また高密度プラズマ処理により形成された絶縁膜は、当該絶縁膜と接触する界面状態を改善することができる。例えば高密度プラズマ処理を用いてゲート絶縁膜を形成すると、半導体膜との界面状態を改善することができる。その結果、薄膜トランジスタの電気特性を向上させることができる。
絶縁膜の作製に高密度プラズマ処理を用いる場合を説明したが、半導体膜に高密度プラズマ処理を施してもよい。高密度プラズマ処理によって、半導体膜表面の改質を行うことができる。その結果、界面状態を改善でき、強いては薄膜トランジスタの電気特性を向上させることができる。
本発明においてゲート絶縁膜等の絶縁膜は、高密度プラズマ処理によって形成される絶縁膜のみを用いても良いし、それにプラズマや熱反応を利用したCVD法で酸化シリコン、酸窒化シリコン、窒化シリコンなどの絶縁膜を堆積し、積層させても良い。いずれにしても、高密度プラズマで形成した絶縁膜をゲート絶縁膜の一部又は全部に含んで形成されるトランジスタは、特性のばらつきを小さくすることができる。
また平坦性を高めるため、絶縁膜317、318が設けられているとよい。このとき絶縁膜317は有機材料から形成し、絶縁膜318は無機材料から形成するとよい。絶縁膜317、318が設けられている場合、電極315は、これら絶縁膜317、318にコンタクトホールを介して不純物領域と接続するように形成することができる。
さらに絶縁膜325が設けられ、電極315と接続するように下部電極327を形成する。下部電極327の端部を覆い、下部電極327が露出するように開口部が設けられた絶縁膜328を形成する。開口部内に、メモリ材料層329を形成し、上部電極330を形成する。このようにして、下部電極327、メモリ材料層329、上部電極330を有するメモリ素子783が形成される。メモリ材料層329は、有機材料又は無機材料から形成することができる。下部電極327又は上部電極330は、導電性材料から形成することができる。例えば、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)もしくはシリコン(Si)の元素からなる膜又はこれらの元素を用いた合金膜等から形成することができる。またインジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物、2から20wt%の酸化亜鉛を含む酸化インジウム等の透光性材料を用いることができる。
さらに平坦性を高め、不純物元素の侵入を防止するため、絶縁膜331を形成するとよい。
本実施の形態で説明した絶縁膜は、無機材料又は有機材料を用いることができる。無機材料は、酸化珪素、窒化珪素を用いることができる。有機材料はポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジスト又はベンゾシクロブテン、シロキサン、ポリシラザンを用いることができる。なお、シロキサン樹脂とは、Si−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造が構成される。置換基として、少なくとも水素を含む有機基(例えばアルキル基、芳香族炭化水素)が用いられる。置換基として、フルオロ基を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む有機基と、フルオロ基とを用いてもよい。ポリシラザンは、珪素(Si)と窒素(N)の結合を有するポリマー材料を出発原料として形成される。
図6(B)は、図6(A)と異なり、電極315のコンタクトホール351内にメモリ材料層を形成したメモリ素子の断面図を示す。図6(A)と同様に、下部電極として電極315を用い、電極315上にメモリ材料層329、上部電極330を形成し、メモリ素子783を形成することができる。その後、絶縁膜331を形成する。その他の構成は図6(A)と同様であるため、説明を省略する。
このようにコンタクトホール351にメモリ素子を形成すると、メモリ装置の小型化を図ることができる。またメモリ用の電極が不要となるため製造工程を削減し、低コスト化されたメモリ装置を提供することができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、無線チップが有する回路の一部の薄膜トランジスタのレイアウトについて説明する。
上記実施の形態で示した半導体膜312に相当する半導体層は、絶縁表面を有する基板の全面若しくは一部(トランジスタの半導体領域として確定されるよりも広い面積を有する領域)に、下地膜等を介して形成される。そして、フォトリソグラフィー技術によって、半導体層上にマスクパターンを形成する。そのマスクパターンを利用して半導体層をエッチング処理することにより、薄膜トランジスタのソース領域、ドレイン領域及びチャネル形成領域を含む特定形状を有する島状の半導体パターンを形成することができる。そのパターン形成された半導体層の形状は、薄膜トランジスタの特性に基づき、要求される回路特性やレイアウトの適切さを考慮して決められる。
本発明の薄膜トランジスタにおいて、半導体層を形成するためのフォトマスクは、パターンを備えている。このフォトマスクのパターンは角部を有し、(直角三角形)の一辺が10μm以下の大きさに角部を削除し、丸みを帯びている。このマスクパターンの形状は、図7に示すように半導体膜312のパターン形状として転写することができる。また半導体層への転写のとき、半導体膜の角部は、フォトマスクパターンの角部よりさらに丸みを帯びるように転写されることがある。すなわち、半導体膜のパターンの角部には、フォトマスクのパターンよりもさらにパターン形状をなめらかにした丸みが設けられてもよい。なお図7において、後に形成されるゲート電極や配線を点線で示す。
次に、角部に丸みが設けられるように形成された半導体層上には、ゲート絶縁膜が形成される。そして、上記実施の形態で示したように、半導体層と一部が重なるようにゲート電極314、及び同時にゲート配線が形成される。ゲート電極又はゲート配線は、金属層や半導体層を成膜し、フォトリソグラフィー技術によって形成することができる。
このゲート電極又はゲート配線を形成するためのフォトマスクは、パターンを備えている。
このフォトマスクのパターンは、L字に折れ曲がった角部を有し、この角部において一辺が10μm以下、または配線の線幅の1/2以下で、線幅の1/5以上である直角三角形を削除している。即ち、上面からみた角部におけるゲート電極又はゲート配線の外周は曲線を形成するようにする。具体的には、角部の外周縁に丸みを帯びさせるため、角部を挟む互いに垂直な2つの第1直線と、これら2つの第1直線と約45度の角度をなす一つの第2直線と、で形成される直角2等辺三角形の部分に相当する部分を除去する。除去すると新たに2つの鈍角の部分が形成されるが、エッチング条件を適宜設定することにより、各鈍角部分に第1直線と第2直線との両方に接する曲線が形成されるようにゲート電極又はゲート配線をエッチングすることが好ましい。なお、前記直角2等辺三角形の互いに等しい2辺の長さは、配線幅の1/5以上1/2以下とする。またコーナー部の内周についても、コーナー部の外周に沿って内周が丸みを帯びるよう形成する。このマスクパターンの形状は、図8に示すように、ゲート電極又はゲート配線のパターン形状として転写することができる。またゲート電極又はゲート配線への転写のときに、ゲート電極又はゲート配線の角部がさらに丸みを帯びるように転写されることがある。すなわちゲート電極又はゲート配線の角部には、フォトマスクのパターンよりもさらにパターン形状をなめらかにした丸みが設けられていてもよい。このようなフォトマスクを用いて形成されたゲート電極又はゲート配線の角部には、線幅の1/2以下で、1/5以上に角部に丸みをおびさせることができる。なお図8において、後に形成される配線を点線で示す。
このようなゲート電極又はゲート配線は、レイアウトの制約上、矩形に折れ曲がる。そのため、ゲート電極又はゲート配線の丸みを帯びた角部には凸部(外側の辺)と凹部(内側の辺)が設けられる。この丸みを帯びた凸部ではプラズマによるドライエッチングの際、異常放電による微粉の発生を抑えることができる。また、たとえドライエッチングの際に微粉が発生したとしても、丸みを帯びた凹部では洗浄のときに容易に流すことができる。その結果、歩留まり向上が甚だしく期待できるという効果を有する。
次に、ゲート電極又はゲート配線上には、上記実施の形態で示したように絶縁膜316、317、318に相当する絶縁層等を形成する。勿論、本発明において絶縁膜は単層であっても構わない。
そして絶縁層上に、絶縁膜には所定の位置に開口を形成し、当該開口に電極315に相当する配線を形成する。この開口は、下層に位置する半導体層又はゲート配線層と、配線層との間の電気的な接続をとるために設けられる。配線は、フォトリソグラフィー技術によってマスクパターンが形成され、エッチング加工により所定のパターンに形成される。
配線によって、ある特定の素子間を連結することができる。この配線は、特定の素子と素子の間を直線で結ぶのではなく、レイアウトの制約上、矩形に折れ曲がる(以下、屈曲部という)。また配線は、開口部やその他の領域において配線幅が変化することがある。例えば開口部では、開口が配線幅と同等若しくは大きい場合には、その部分で配線幅が広がるように変化する。また、配線は回路のレイアウト上、容量部の一方の電極を兼ねるため、配線幅を大きくとることがある。
この場合において、フォトマスクのパターンの屈曲部において、形成される直角三角形の一辺が10μm以下、または、配線の線幅の1/2以下で、線幅の1/5以上の大きさに角部を削除する。そして、図9に示すように、電極315に相当する配線のパターンにも同様な丸みを帯びさせる。配線の角部は、線幅の1/2以下で、1/5以上に屈曲部に丸みをおびさせることができる。このような丸みを帯びた配線は、その屈曲部における凸部はプラズマによるドライエッチの際、異常放電による微粉の発生を抑えることができる。また、たとえドライエッチングの際に微粉が発生してとしても、凹部は丸みを帯びているため、洗浄のときに容易に洗い流すことができる。その結果、歩留まり向上が甚だしく期待できるという効果を有する。配線の角部が丸みを帯びることにより、電気的にも伝導させることが期待できる。
図9に示したレイアウトを有する回路において、屈曲部や配線幅が変化する部位の角部をなめらかにして、丸みを付けることにより、プラズマによるドライエッチングの際、異常放電による微粉の発生を抑えることができる。また、たとえドライエッチングの際に微粉が発生したとしても、角部に丸みを帯びているために洗浄のときに容易に洗い流すことができる。その結果、歩留まり向上が甚だしく期待できるという効果を有する。すなわち、製造工程における塵や微粉の問題を解消することができる。また、配線の角部が丸みを帯びた構成をとることにより、電気的にも伝導させることが期待できる。特に多数の平行配線が設けられる駆動回路部等の配線において、ゴミを洗い流すことを可能とすることは、きわめて好都合である。
なお本実施の形態では、半導体層、ゲート配線、配線の3つのレイアウトにおいて、角部又は屈曲部に丸みを帯びる形態を説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、いずれか一の層において、角部又は屈曲部に丸みを帯びさせ、製造工程における塵や微粉等の問題を解消することができればよい。
(実施の形態9)
実施の形態1で示したRFIDチップの回路はトランジスタを含んで構成されている。トランジスタは単結晶基板に形成されるMOSトランジスタの他、薄膜トランジスタ(TFT)で構成することもできる。図10はこれらの回路を構成するトランジスタの断面構造を示す図である。図10は、nチャネル型トランジスタ1001、nチャネル型トランジスタ1002、容量素子1004、抵抗素子1005、pチャネル型トランジスタ1003が示されている。各トランジスタは半導体層1015、ゲート絶縁層1018、ゲート電極1019を備えている。ゲート電極1019は、第1導電層1013と第2導電層1012の積層構造で形成されている。また、図11(A)〜(E)は、図10で示すトランジスタ、容量素子、抵抗素子に対応する上面図であり、合わせて参照することができる。
図10において、nチャネル型トランジスタ1001は、チャネル長方向(キャリアの流れる方向)において、チャネル形成領域の両側に低濃度ドレイン(LDD)とも呼ばれ、配線1014とコンタクトを形成するソース及びドレイン領域を形成する不純物領域1016の不純物濃度よりも低濃度にドープされた不純物領域1017が半導体層1015に形成されている。不純物領域1016と不純物領域1017には、nチャネル型トランジスタ1001を構成する場合、n型を付与する不純物としてリンなどが添加されている。LDDはホットエレクトロン劣化や短チャネル効果を抑制する手段として形成される。
図11(A)で示すように、nチャネル型トランジスタ1001のゲート電極1019において、第1導電層1013は、第2導電層1012の両側に広がって形成されている。この場合において、第1導電層1013の膜厚は、第2導電層の膜厚よりも薄く形成されている。第1導電層1013の厚さは、10〜100kVの電界で加速されたイオン種を通過させることが可能な厚さに形成されている。不純物領域1017はゲート電極1019の第1導電層1013と重なるように形成されている。すなわち、ゲート電極1019とオーバーラップするLDD領域を形成している。この構造は、ゲート電極1019において、第2導電層1012をマスクとして、第1導電層1013を通して一導電型の不純物を添加することにより、自己整合的に不純物領域1017を形成している。すなわち、ゲート電極とオーバーラップするLDDを自己整合的に形成している。
チャネル形成領域の両側にLDD有するトランジスタは、図1における電源回路114の整流用のTFTや、論理回路に用いられるトランスミッションゲート(アナログスイッチとも呼ぶ)を構成するトランジスタに適用される。これらのTFTは、ソース電極又はドレイン電極に正負両方の電圧が印加されるため、チャネル形成領域の両側にLDDを設けることが好ましい。
図10において、nチャネル型トランジスタ1002は、チャネル形成領域の片側に不純物領域1016の不純物濃度よりも低濃度にドープされた不純物領域1017が半導体層1015に形成されている。図11(B)で示すように、nチャネル型トランジスタ1002のゲート電極1019において、第1導電層1013は、第2導電層1012の片側に広がって形成されている。この場合も同様に、第2導電層1012をマスクとして、第1導電層1013を通して一導電型の不純物を添加することにより、自己整合的にLDDを形成することができる。
チャネル形成領域の片側にLDDを有するトランジスタは、ソース及びドレイン電極間に正電圧のみ、もしくは負電圧のみが印加されるトランジスタに適用すればよい。具体的には、インバータ回路、NAND回路、NOR回路、ラッチ回路といった論理ゲートを構成するトランジスタや、センスアンプ、定電圧発生回路、VCOといったアナログ回路を構成するトランジスタに適用すればよい。
図10において、容量素子1004は、第1導電層1013と半導体層1015とでゲート絶縁層1018を挟んで形成されている。容量素子1004を形成する半導体層1015には、不純物領域1021と不純物領域1022を備えている。不純物領域1022は、半導体層1015において第1導電層1013と重なる位置に形成される。また、不純物領域1021は配線1014とコンタクトを形成する。不純物領域1022は、第1導電層1013を通して一導電型の不純物を添加することができるので、不純物領域1021と不純物領域1022に含まれる不純物濃度は同じにすることもできるし、異ならせることも可能である。いずれにしても、容量素子1004において、半導体層1015は電極として機能させるので、一導電型の不純物を添加して低抵抗化しておくことが好ましい。また、第1導電層1013は、図11(C)に示すように、第2導電層1012を補助的な電極として利用することにより、電極として十分に機能させることができる。このように、第1導電層1013と第2導電層1012を組み合わせた複合的な電極構造とすることにより、容量素子1004を自己整合的に形成することができる。
容量素子は、図1において、電源回路114が有する保持容量、あるいは共振回路113が有する共振容量として用いられる。特に、共振容量は、容量素子の2端子間に正負両方の電圧が印加されるため、2端子間の電圧の正負によらず容量として機能することが必要である。
図10において、抵抗素子1005は、第1導電層1013によって形成されている。第1導電層1013は30〜150nm程度の厚さに形成されるので、その幅や長さを適宜設定して抵抗素子を構成することができる。
抵抗素子は、図1において変調回路117が有する抵抗負荷として用いられる。また、VCOなどで電流を制御する場合の負荷としても用いられる場合がある。抵抗素子は、高濃度に不純物元素を含む半導体層や、膜厚の薄い金属層によって構成すればよい。抵抗値が膜厚、膜質、不純物濃度、不純物の活性化率などに依存する半導体層に対して、金属層は、膜厚、膜質で抵抗値が決定するため、ばらつきが小さく好ましい。
図10において、pチャネル型トランジスタ1003は、半導体層1015に不純物領域1020を備えている。この不純物領域1020は、配線1014とコンタクトを形成するソース及びドレイン領域を形成する。ゲート電極1019の構成は第1導電層1013と第2導電層1012が重畳した構成となっている。pチャネル型トランジスタ1003はLDDを設けないシングルドレイン構造のトランジスタである。pチャネル型トランジスタ1003を形成する場合、不純物領域1020にはp型を付与する不純物として硼素などが添加される。一方、不純物領域1020にリンを添加すればシングルドレイン構造のnチャネル型トランジスタとすることもできる。
半導体層1015及びゲート絶縁層1018の一方若しくは双方に対してマイクロ波で励起され、電子温度が2eV以下、イオンエネルギーが5eV以下、電子密度が1011〜1013/cm3程度である高密度プラズマ処理によって酸化又は窒化処理しても良い。このとき、基板温度を300〜450℃とし、酸化雰囲気(O2、N2Oなど)又は窒化雰囲気(N2、NH3など)で処理することにより、半導体層1015とゲート絶縁層1018の界面の欠陥準位を低減することができる。ゲート絶縁層1018対してこの処理を行うことにより、この絶縁層の緻密化を図ることができる。すなわち、荷電欠陥の生成を抑えトランジスタのしきい値電圧の変動を抑えることができる。また、トランジスタを3V以下の電圧で駆動させる場合には、このプラズマ処理により酸化若しくは窒化された絶縁層をゲート絶縁層1018として適用することができる。また、トランジスタの駆動電圧が3V以上の場合には、このプラズマ処理で半導体層1015の表面に形成した絶縁層とCVD法(プラズマCVD法若しくは熱CVD法)で堆積した絶縁層とを組み合わせてゲート絶縁層1018を形成することができる。また、同様にこの絶縁層は、容量素子1004の誘電体層としても利用することができる。この場合、このプラズマ処理で形成された絶縁層は、1〜10nmの厚さで形成され、緻密な膜であるので、大きな電荷容量を持つ容量素子を形成することができる。
図10及び図11を参照して説明したように、膜厚の異なる導電層を組み合わせることにより、さまざまな構成の素子を形成することができる。第1導電層のみが形成される領域と、第1導電層と第2導電層が積層されている領域は、回折格子パターン或いは半透膜からなる光強度低減機能を有する補助パターンを設置したフォトマスクまたはレチクルを用いて形成することができる。すなわち、フォトリソグラフィー工程において、フォトレジストを露光する際に、フォトマスクの透過光量を調節して、現像されるレジストマスクの厚さを異ならせる。この場合、フォトマスクまたはレチクルに解像度限界以下のスリットを設けて上記複雑な形状を有するレジストを形成してもよい。また、現像後に約200℃のベークを行ってフォトレジスト材料で形成されるマスクパターンを変形させてもよい。
また、回折格子パターン或いは半透膜からなる光強度低減機能を有する補助パターンを設置したフォトマスクまたはレチクルを用いることにより、第1導電層のみが形成される領域と、第1導電層と第2導電層が積層されている領域を連続して形成することができる。図11(A)に示すように、第1導電層のみが形成される領域を半導体層上に選択的に形成することができる。このような領域は、半導体層上において有効であるが、それ以外の領域(ゲート電極と連続する配線領域)では必要がない。このフォトマスク若しくはレチクルを用いることにより、配線部分は、第1導電層のみの領域を作らないで済むので、配線密度を実質的に高めることができる。
図10及び図11の場合には、第1導電層はタングステン(W)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)またはモリブデン(Mo)などの高融点金属、又は高融点金属を主成分とする合金もしくは化合物を30〜50nmの厚さで形成する。また、第2導電層はタングステン(W)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、窒化タンタル(TaN)またはモリブデン(Mo)などの高融点金属、又は高融点金属を主成分とする合金もしくは化合物で300〜600nmの厚さに形成する。例えば、第1導電層と第2導電層をそれぞれ異なる導電材料を用い、後に行うエッチング工程でエッチングレートの差が生じるようにする。一例として、第1導電層をTaNを用い、第2導電層としてタングステン膜を用いることができる。
本実施の形態では、回折格子パターン或いは半透膜からなる光強度低減機能を有する補助パターンを設置したフォトマスクまたはレチクルを用いて、電極構造の異なるトランジスタ、容量素子、抵抗素子を、同じパターニング工程によって作り分けることができることを示している。これにより、回路の特性に応じて、形態の異なる素子を、工程を増やすことなく作り込み、集積化することができる。
(実施の形態10)
本実施の形態では、本発明の動作停止システムの利用形態について例を挙げて説明する。
本発明の半導体装置は、小型、薄型、軽量であることを特徴としており、上記特徴により、本発明の半導体装置は無線チップとしても利用可能である。そして、本発明の半導体装置は、動作停止システムを有することにより、安全に無線チップとして使用することができる。
例えば、包装用容器類、書籍類、記録媒体、身の回り品、食品類、衣類、保健用品類、生活用品類、薬品類及び電子機器等に設けて使用することができる。これらの例に関して図12を用いて説明する。なお、図12(A)〜(D)において、それぞれ無線チップ1201が設けられている。
包装用容器類とは、お弁当等の包装紙、ペットボトル等を指す(図12(A)参照)。書籍類とは、書物、本等を指す(図12(B)参照)。記録媒体とは、DVDソフト、ビデオテープ等を指す(図12(C)参照)。身の回り品とは、鞄、眼鏡等を指す(図12(D)参照)。食品類とは、食料品、飲料等を指す。衣類とは、衣服、履物等を指す。なお、保健用品類とは、医療器具、健康器具等を指す。生活用品類とは、家具、照明器具等を指す。薬品類とは、医薬品、農薬等を指す。電子機器とは、液晶表示装置、EL表示装置、テレビジョン装置(テレビ受像機、薄型テレビ受像機)、携帯電話等を指す。
また、包装用容器類、書籍類、記録媒体等、身の回り品、食品類、生活用品類、保健用品類、薬品類等、電子機器等に無線チップを設けることにより、検品システムなどの効率化や偽造や盗難の防止を図ることができる。また、薬品類ならば、薬の服用の間違いを防止することができる。無線チップの設け方としては、物品の表面に貼ったり、物品に埋め込んだりして設ける。例えば、本ならば紙に埋め込んだり、有機樹脂からなるパッケージなら当該有機樹脂に埋め込んだりするとよい。また、後に光学的作用を加えて書き込みをする場合には、チップに設けられた記憶素子の部分に光が照射できるように透明な材料で形成しておくことが好ましい。さらに、ユーザーが商品を購入した後のプライバシー等の問題についても、無線チップを停止状態にするシステムを設けておくことによって解決することができる。
無線チップを停止状態にする方法としては、例えば、商品を購入するとき、レジで商品のバーコード部にバーコードリーダをかざした際、無線チップに動作停止命令を書き込む。つまり、無線チップの有する物理的特性が可逆的に変化しないメモリ材料層を物理的変化させ、動作停止命令をデータとして記憶させる。このとき、商品のバーコードの張ってある付近に無線チップを設けてもいいし、無線チップにバーコード機能を持たせてもよい。こうして、無線チップに動作停止命令を書き込むと、再び無線チップを動作させることができなくなるため、商品購入後のプライバシーを守ることができる。
なお、本実施の形態において示した利用形態は例示であってこれに限定されない。また、本実施の形態は、上記実施の形態と自由に組み合わせて行うことができる。