JP4785391B2 - 光学用ポリビニルアルコール系フイルムの保管または輸送方法 - Google Patents

光学用ポリビニルアルコール系フイルムの保管または輸送方法 Download PDF

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Description

本発明は、光学的ムラ等の障害のない光学的外観に優れた偏光フイルムを得るための原反フイルムとして有用なポリビニルアルコール系フイルムの保管または輸送方法に関するものである。
従来より、ポリビニルアルコール系フイルムは、ポリビニルアルコール系樹脂を溶媒に溶解し、脱泡して原液を調製した後、溶液流延法(キャスティング法)により製膜したフイルムを金属加熱ロール等を使用して乾燥することにより製造されている。このようにして得られたポリビニルアルコール系フイルムは形状安定性に優れたフイルムとして多くの用途に利用されており、その有用な用途の一つに光学用フイルム、特に偏光フイルムが挙げられる。
偏光フイルムは、上記ポリビニルアルコール系フイルムを一軸延伸し、染色したフイルムであり、液晶ディスプレーの基本構成要素として用いられている。近年では高品位で高信頼性の要求される機器、特に大画面の液晶ディスプレー等への用途展開が行われ、それに伴う要求物性である大型化、面内均一性等の高品位化への改善が強く求められている。
かかる改善要求を解決するには、ポリビニルアルコール系フイルム自体の物性改善も必要ではあるが、ポリビニルアルコール系フイルムの保管や輸送時の状態によって物性が大きく影響を受けることが多い。
ポリビニルアルコール系フイルムを保管または輸送するには、通常該フイルムを芯管に巻き付けてフイルムロールとなし、該フイルムロールを包装フイルムで包装した状態で取り扱われる(例えば、特許文献1及び2参照。)。
特開2001−315885号公報 特開2001−315886号公報
しかしながら、最近のフイルムロールの幅や巻長の増加、つまり幅1m以上で長さが4000〜5000mもの幅広長尺化の中で、該公報に開示される低湿性の樹脂包装フイルム、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、アルミ蒸着フイルム、クラフト紙で一重あるいは二重包装しても、湿度や熱の影響が完全には阻止できず、高温度や高湿度下に長期間さらされると、フイルムロールの巻ズレ、特に保管や輸送時にロールフイルムが傾斜状態にされた場合に、ロール端部分のフイルムの一部が一方の側に山状態に突出し、当該部分でフイルムに傷が着いたり、ブロッキングしたりしてフイルムの劣化を招く上、偏光フイルムを製造するため該フイルムロールを巻き出しする時に、その生産性を著しく低下させるという点や、長尺化によりポリビニルアルコール系フイルムの巻き外周部と巻き芯部において、染色・延伸して得られる偏光フイルムの光学性能にバラツキが生じるといった点で、当該技術ではまだまだ満足のいくものではなく、より有利な保管、輸送のための改良が求められるところである。
しかるに、本発明者等が上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、フイルム幅より長い芯管にフイルム幅1m以上、フイルム長さ4000m以上の光学用ポリビニルアルコール系フイルムを巻き付けてフイルムロールとなし、該フイルムロールを水蒸気バリヤー性樹脂包装フイルムで包装し、かつその上からアルミニウム素材からなる包装フイルムで包装して、フイルムロールを接地することなく宙に浮いた状態で、保管または輸送を行う場合、上記の問題点が解決できることを見出し、本発明を完成した。
本発明では、フイルム幅より長い芯管にフイルム幅1m以上、フイルム長さ4000m以上の光学用ポリビニルアルコール系フイルムを巻き付けてフイルムロールとなし、該フイルムロールを水蒸気バリヤー性樹脂包装フイルムで包装し、かつその上からアルミニウム素材からなる包装フイルムで包装した包装状態とすることによって、保管または輸送時のフイルムロールの巻ズレ、フイルムの傷付き、ブロッキングによるフイルムの劣化を防止でき、また、偏光フイルムを製造するために該フイルムロールを巻き出しする時の生産性の低下等が解消でき、なおかつ、該フイルムロールの巻き外周部から巻き芯部までより光学性能のバラツキの少ない偏光フイルムを得ることができるのであり、特に偏光フイルムの原反フイルムとして有用なポリビニルアルコール系フイルムを有利に取り扱うことが可能である。
以下、本発明について具体的に説明する。
まず、本発明のフイルムを製造するに当たって使用するポリビニルアルコール系樹脂は、通常、酢酸ビニルを重合したポリ酢酸ビニルをケン化して製造されるが、本発明では必ずしもこれに限定されるものではなく、少量の不飽和カルボン酸(塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、炭素数2〜30のオレフィン類(エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブテン等)、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸塩等、酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有させた変性ポリビニルアルコール系樹脂であっても良い。
また、かかる変性以外にポリビニルアルコール系樹脂にシリル基を含有させたものでも良く、ポリビニルアルコールにシリル化剤を用いて後変性させたり、シリル基含有オレフィン性不飽和単量体と酢酸ビニルを共重合して得られる共重合体をケン化させる等の方法が挙げられる。シリル基含有オレフィン性不飽和単量体としてはビニルシラン、(メタ)アクリルアミド−アルキルシラン等が挙げられる。
ポリビニルアルコール系樹脂における重量平均分子量は特に限定されないが、中でも60000〜300000が好ましく、特には120000〜260000が好ましい。かかる重量平均分子量が60000未満では光学フイルムとして充分な光学性能が得られず、300000を越えると延伸が困難となり工業的な生産が難しく好ましくない。
尚、重量平均分子量は、GPC−LALLS法により測定が行われる。
更に、ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は80モル%以上であることが好ましく、特には85〜100モル%、更には98〜100モル%が好ましい。かかるケン化度が80モル%未満では光学フイルムとして充分な光学性能が得られず好ましくない。
上記ポリビニルアルコール系樹脂には、必要に応じてグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等、一般的に使用される可塑剤の一種又は二種以上をポリビニルアルコール系樹脂に対して30重量%以下、好ましくは3〜25重量%、更に好ましくは5〜20重量%含有させることもできる。該可塑剤が30重量%を越えるとフイルム強度が劣り好ましくない。
また、更に好ましくはフイルムの剥離性を向上させるために、各種剥離剤の一種又は二種以上をポリビニルアルコール系樹脂に対して5重量%以下、好ましくは0.001〜3重量%、更に好ましくは0.001〜2重量%含有させることも可能である。該剥離剤が5重量%を越えるとフイルムの表面の外観不良やフイルム同士のブロッキングが起こり好ましくない。
かくして本発明においては、上記ポリビニルアルコール系樹脂を用いて、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を調製し、該水溶液をT型スリットダイよりドラム型ロールに流延して製膜、乾燥することでポリビニルアルコール系フイルムを製造する。
以下、詳細に説明する。
ポリビニルアルコール系樹脂水溶液の調製に際しては、溶媒として水、ジメチルスルホキシド(DMSO)、N−メチルピロリドン、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコール、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン類及びこれらの混合物を使用する。
ポリビニルアルコール系樹脂水溶液中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は5〜50重量%が実用的である。
次に、該ポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、T型スリットダイよりドラム型ロールに流延して80〜100℃程度の温度で製膜される。
かかるドラム型ロールの材質としては、特に限定されないが、通常ステンレスが好適に用いられ、かかるロール表面は傷付き防止のため、金属メッキが施されていることが好ましい。金属メッキの種類としては、例えばクロムメッキ、ニッケルメッキ、亜鉛メッキなどが好適に用いられ、単独でまたは2種以上の多層の組み合わせで使用することができるが、特に表面平滑化の容易さやその耐久性の点から最表面がクロムメッキされ、表面粗さが3S以下、特に0.5S以下であることが好ましい。ドラム型ロールの加熱手段は、スチーム、熱媒、温水、電気ヒーター等が採用される。また、温風や冷風等を吹き付けたり、装置周辺の空気や蒸気を吸引するための補助装置の設置も可能である。ドラム型ロールの直径は2000mm〜5000mm、幅2m〜5mが好適である。
フイルムの含水率が5〜30重量%に達した時点でロールから剥離する。
かくして流延製膜して得られるフイルムをドラム型ロールから剥離した後、該フイルムを乾燥用金属ロール、好ましくはフイルム表裏面が交互にロールの円周面上に沿って通過する様に複数個の乾燥用金属ロール間を通過させ、乾燥させる。
本発明において、乾燥用金属ロールは複数個、好ましくは3〜30個、特に3〜26個使用するのが有利である。
乾燥用金属ロールの材質は、ドラム型ロールと同様に特に限定されないが、表面平滑化の容易さやその耐久性の点から最表面がクロムメッキされ、表面粗さが3S以下、特に0.5S以下であることが好ましい。ロールの直径は100〜1000mm、幅2〜5mが好適である。
乾燥用金属ロールの温度は60〜100℃が実用的であり、適宜ロール間で温度勾配や回転速度差をつけてもよい。
乾燥用金属ロールの加熱手段も、ドラム型ロールと同様でスチーム、熱媒、温水、電気ヒーター等が採用される。また、温風や冷風等を吹き付けたり、装置周辺の空気や蒸気を吸引するための補助装置の設置も可能である。
フイルムの製造時において、上記のドラム型ロール及び/又は乾燥用金属ロール表面のぬれ張力を25〜50mN/mに調整すると生産性良くフイルムの製造が可能となる。
ぬれ張力はJIS K 6768に準じて測定される。
ぬれ張力を上記範囲にする手段は、特に限定されないが、(A)鏡面仕上げしたクロム表面をもつロールを用い、該表面をpH1〜3の酸水溶液(20℃で測定、以下同様)で処理すればよい。
かかるpH1〜3の酸水溶液としては 酢酸、硫酸、塩酸、硝酸などの水溶液が挙げられ、中でも酢酸、硝酸の水溶液が特に好ましい。pHが上記範囲以外の酸水溶液では、上記範囲のぬれ張力を得ることが難しい。
また、上記(A)の如くロール表面を酸水溶液で処理する以外にぬれ張力の調整法として、(B)ロール表面のぬれ張力が前記範囲となる条件で製膜が行われるように、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液に予め界面活性剤を添加しておき、該水溶液をドラム型ロールに流延して製膜する、及び/又は、得られたフイルムを乾燥用金属ロールで乾燥することもでき、この場合フイルム厚さの均一性及びフイルム外観特性の他、ロングラン製膜性がより向上する点で有用である。
上記界面活性剤の添加量については特に限定されないが、ポリビニルアルコール系樹脂100重量部に対して0.001〜5重量部、特には0.01〜2重量部、更には0.01〜1重量部であることが好ましい。かかる添加量が0.001重量部未満ではぬれ張力の調整が困難となり、5重量部を越えるとフイルムにブロッキングの問題が起こり好ましくない。
界面活性剤としては、脂肪酸石鹸、N−アシルアミノ酸及びその塩、ポリオキシエチレンアルキルエステルカルボン酸塩、アシル化ペプチド等のカルボン酸塩型、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸の塩ホルマリン重縮合物、メラミンスルホン酸の塩ホルマリン縮合物、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、スルホコハク酸アルキル二塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン塩、ジメチル−5−スルホイソフタレートナトリウム塩等のスルホン酸塩型、硫酸化油、高級アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート等の硫酸エステル型塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸塩、アルキルリン酸塩等のリン酸エステル塩型等のアニオン界面活性剤が挙げられる。
又、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルフェノールホルマリン縮合物の酸化エチレン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油および硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル等のエーテルエステル型ノニオン系界面活性剤、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル等のエステル型界面活性剤、高級脂肪酸アルカノールアミド、高級脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の含窒素型ノニオン系界面活性剤も使用可能で、これらは一種又は二種以上混合して用いられる。
本発明の方法を実施するに当たっては、上記に説明した(A)及び(B)両方法を併用して製膜することも勿論可能である。
そして、乾燥した後、未延伸のポリビニルアルコール系フイルムを形成せしめる。必要に応じて乾燥後、熱処理や調湿が行われ、芯管に巻き取ることにより本発明に用いるポリビニルアルコール系フイルムのフイルムロールが得られる。
この時のフイルムの幅は1m以上、好ましくは2m以上、更に2.3m以上、特には3m以上が最も好ましい。1mより幅が狭いと偏光フイルム等の光学フイルムの製造時の一軸延伸でフイルムのネックインの影響がフイルム中央部にまで及び易く、良好な光学フイルムが得難くなる。
また、フイルムの長さは4000m以上であり、更に、本発明の効果が顕著に現れる。長さが1000m未満では得られる偏光フイルムに継ぎ目が多くなりロスが増加する。
フイルムの厚さは30〜100μmが実用的であり、40〜90μmが好ましく、特に50〜80μmが望ましい。フイルム厚さが30μm未満では高い倍率での延伸が困難となる。
フイルムを巻き取る芯管は円筒状のもので、その材質は金属またはプラスチック、紙等任意である。金属としては炭素鋼、高張力鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、ジュラルミン等のアルミニウム合金、銅、黄銅、青銅等がある。これらの芯管には軟質ポリ塩化ビニルや低密度ポリエチレンを積層したり、ニッケル、クロム、亜鉛、錫等のメッキ処理をすることもできる。プラスチック芯管としては硬質ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエステル等が例示される。
芯管の外径は、7.5cm以上が好ましく、特に8.5cm以上が好ましい。芯管の外径が7.5cm未満ではフイルムに皺が発生する恐れがあり好ましくない。
芯管の長さは、フイルムの幅より長くすることが必要で、フイルムロールの端部から1〜50cm突出するようにするのが好ましい。
かかる突出部両端にブラケットを設けたり、突出部両端を架台等に載置したりして、フイルムロールが地面或いは他のフイルムロール等と接触することなく宙に浮いた状態にすることにより、フイルムロールの荷重がロール全体に掛かるのを防止し、フイルム同士のブロッキングや劣化を阻止できる。
芯管の肉厚は1.5〜20mmが好ましく、より好ましくは2〜15mm、特に好ましくは3〜10mmである。
本発明で対象とするポリビニルアルコール系フイルムは、光学用、特に偏光フイルム用の原反フイルムとして有用に用いられるもので、以下に、偏光フイルムの製造方法について説明する。
偏光フイルムの製造方法としては、かかるポリビニルアルコール系フイルムを延伸してヨウ素あるいは二色性染料の溶液に浸漬し染色するか、延伸と染色を同時に行うか、ヨウ素あるいは二色性染料により染色して延伸するかした後、ホウ素化合物処理する方法が挙げられる。又、染色した後ホウ素化合物の溶液中で延伸する方法等もあり、適宜選択して用いることができる。
偏光フイルムに用いられるポリビニルアルコール系フイルムの膜厚としては、30〜100μmが好ましく、更には40〜90μm、特に好ましくは50〜80μmで、膜厚が30μm未満では延伸が難しく、100μmを越えると膜厚精度が低下して好ましくない。
かかるポリビニルアルコール系フイルム(未延伸フイルム)の延伸及び染色、ホウ素化合物処理に際しては、延伸と染色更にホウ素化合物処理は別々に行っても同時に行っても良いが、本発明では染色工程、ホウ素化合物処理工程の少なくとも一方の工程中に一軸延伸を実施することが望ましい。
延伸は一軸方向に3〜10倍、好ましくは3.5〜6倍延伸することが望ましい。この際、前記と直角方向にも若干の延伸(幅方向の収縮を防止する程度あるいはそれ以上の延伸)を行っても差し支えない。延伸時の温度条件は40〜170℃から選ぶのが望ましい。更に、かかる延伸倍率は最終的に上記の範囲に設定されれば良く、延伸操作は一段階のみならず、製造工程の任意の範囲の段階に実施すれば良い。
フイルムへの染色はフイルムにヨウ素或いは二色性染料を含有する液体を接触させることによって行われる。
通常は、ヨウ素−ヨウ化カリウムの水溶液が用いられ、ヨウ素の濃度は0.1〜20g/l、ヨウ化カリウムの濃度は10〜70g/l、ヨウ化カリウム/ヨウ素の重量比は10〜100が適当である。染色時間は30〜500秒程度が実用的である。処理浴の温度は5〜60℃が好ましい。水溶媒以外に水と相溶性のある有機溶媒を少量含有させても差し支えない。
接触手段としては浸漬、塗布、噴霧等の任意の手段が適用できる。
染色処理されたフイルムは次いでホウ素化合物によって処理される。ホウ素化合物としてはホウ酸、ホウ砂が実用的である。ホウ素化合物は水溶液又は水−有機溶媒混合液の形で濃度0.3〜2モル/l程度で用いられ、液中には少量のヨウ化カリウムを共存させるのが実用上望ましい。
処理法は浸漬法が望ましいが勿論塗布法、噴霧法も実施可能である。処理時の温度は40〜70℃程度、処理時間は2〜20分程度が好ましく、又、必要に応じて処理中に延伸操作を行っても良い。
このようにして得られた偏光フイルムは、その片面又は両面に光学的に等方性の高分子フイルム又はシートを保護フイルムとして積層接着して用いることもできる。
かかる保護フイルムとしては、例えば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンエステル、ポリ−4−メチルペンテン、ポリフェニレンオキサイド等のフイルム又はシートが挙げられる。
又、かかる偏光フイルムには、薄膜化を目的として上記保護フイルムの代わりに、その片面又は両面にウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレア樹脂等の硬化性樹脂を塗布し、積層させることもできる。
かかる偏光フイルム(又はその少なくとも片面に保護フイルムあるいは硬化性樹脂を積層したもの)は、その一方の表面に必要に応じて、透明な感圧性接着剤層が通常知られている方法で形成されて、実用に供される場合もある。該感圧性接着剤層としてはアクリル酸エステル、例えばアクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等とα−モノオレフィンカルボン酸、例えばアクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸、クロトン酸等との共重合物(アクリルニトリル、酢酸ビニル、スチロールの如きビニル単量体を添加したものも含む。)を主体とするものが、偏光フイルムの偏光特性を阻害することがないので特に好ましいが、これに限定されることなく、透明性を有する感圧性接着剤であれば使用可能で、例えばポリビニルエーテル系、ゴム系等でもよい。
又、更に偏光板(上記感圧性接着剤が設けられたもの)の片面(上記感圧性接着剤が設けられていない面)に各種機能層を設けることも可能であり、機能層としては、例えばアンチグレア層、ハードコート層、アンチリフレクション層、ハーフリフレクション層、反射層、蓄光層、拡散層、エレクトロルミネッセンス層、視野角拡大層、輝度向上層等が挙げられ、更に、各種2種以上の組み合わせをすることも可能で、例えばアンチグレア層とアンチリフレクション層、蓄光層と反射層、蓄光層とハーフリフレクション層、蓄光層と光拡散層、蓄光層とエレクトロルミネッセンス層、ハーフリフレクション層とエレクトロルミネッセンス層等の組み合わせが挙げられる。但し、これらに限定されることはない。
本発明の方法は、上記の特定の幅及び長さを持つ光学用ポリビニルアルコール系フイルムを、芯管に巻き取ったフイルムロールの保管又は輸送する際の包装形態に特徴を有するもので、以下、その方法について具体的に説明する。
本発明の方法においては、まず、上述のフイルムロールを水蒸気バリヤー性樹脂の包装フイルムで包装するのであるが、かかるフイルムとしては特に限定されないが、透湿度が10g/m2/日(JIS Z 0208に準じて測定)以下のものが使用可能である。具体例としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニリデンコートポリブロピレン、ガラス蒸着ポリエステル、等の単層フイルム、あるいはこれらの積層フイルム、又は割布、紙、不織布との積層フイルム等が挙げられる。積層フイルムとしては、ガラス蒸着ポリエステルとポリエチレンの積層フイルム、ポリ塩化ビニリデンコートポリブロピレンとポリエチレンの積層フイルム等が例示される。
かかるフイルムは、帯電防止処理しておくこともポリビニルアルコール系フイルムを延伸して偏光フイルムを製造する際の切断の原因となる異物の混入を防ぐ点で好ましく、帯電防止剤はフイルム中に練り込まれていても、表面にコーティングされていても良い。練り込みの場合は樹脂に対して0.01〜5重量%程度、表面コーティングの場合は0.01〜1g/m2程度の帯電防止剤が使用される。
帯電防止剤としては、光学性能に悪影響を及ぼさない限り特に制限はなく、例えばアルキルジエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、高級脂肪酸アルカノールアミド、ソルビタン脂肪酸エステル等が使用される。
次に、フイルムロールを水蒸気バリヤー性樹脂の包装フイルムで包装した上から、更にアルミニウム素材からなる包装フイルムを包装するのであるが、かかるフイルムとしては、アルミニウム箔、アルミニウム箔と耐湿性プラスチックフイルムの積層フイルム(例えばアルミニウム箔とポリエチレンフイルムの積層フイルム)、アルミニウム蒸着フイルムと耐湿性プラスチックフイルムの積層フイルム(例えばアルミニウム蒸着ポリエステルフイルムとポリエチレンフイルムの積層フイルム)、アルミナ蒸着フイルムと耐湿性プラスチックフイルムの積層フイルム(例えばアルミナ蒸着ポリエステルフイルムとポリエチレンフイルムの積層フイルム)等が挙げられ、本発明では特に、アルミニウム箔とポリオレフィンフイルムの積層フイルム、アルミニウム蒸着フイルムとポリオレフィンフイルムの積層フイルムが有用で、特には延伸ポリプロピレンフイルム/ポリエチレンフイルム/アルミニウム箔/ポリエチレンフイルムの構成よりなる積層フイルム、延伸ポリプロピレンフイルム/低密度ポリエチレンフイルム/アルミニウム箔の構成よりなる積層フイルム等が有用である。
包装に当たっては内側の包装、外側の包装を順次行い、幅方向に余った部分を芯管に押し込めば良い。
本発明のフイルムロールには、端部の傷付きやゴミ等の異物の付着を防止するため、直接、あるいは包装の後、フイルムロールの両端部に芯管貫通孔をもつ保護パットを装着させることができる。
保護パットの形状は、フイルムロールにあわせて、円盤状のシート、フイルムが実用的である。保護効果を顕著にするため発泡体、織物状、不織布状等の緩衝機能を付加させるのが良い。又、湿度からフイルムロールを守るため乾燥剤を別途封入したり、前記保護パットに積層又は混入したりしておくこともできる。
保護パットの素材はプラスチックが有利であり、その具体例としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。
又、上記乾燥剤入りの保護パッドとしては、塩化カルシウム、シリカゲル、モレキュラーシーブス、糖類、特に浸透圧の高い糖類、吸水性樹脂等の乾燥剤または吸水剤を天然セルロース類、合成セルロース類、ガラスクロス、不織布等の成形可能な材料に分散、含浸、塗布乾燥した吸湿層としたり、これらの吸湿剤または吸水材をこれらの成形可能な材料やポリエステルフイルム、ポリエチレンフイルム、ポリプロピレンフイルム、テフロンフイルム等の熱可塑性樹脂フイルムでサンドイッチ状に挟んだりしたものが挙げられる。
市販されているシート状乾燥剤の例としては、株式会社アイディ製の「アイディシート」や品川化成株式会社製の「アローシート」、「ゼオシート」、ハイシート工業株式会社製の「ハイシートドライ」等がある。
かかる手段によって包装されたフイルムロールは、芯管の両端突出部にブラケット(支持板)を設けたり、該両端突出部を架台に載置したりして支えられ、接地することなく、いわゆる宙に浮いた状態で保管や輸送が行われる。フイルムの幅が比較的小さい場合はブラケットが、フイルムの幅が比較的大きい場合は架台が使用される。
ブラケットはベニヤ板やプラスチック板からなるものであり、その大きさはブラケットの4辺がフイルムロールの直径より大きいものであればよい。
そして、前記フイルムロールの両端の芯管突出部に一対のブラケットを互いに向かい合うように直立して配置、嵌合させフイルムロールに設けられる。嵌合は、ブラケットの中央部に芯管直径よりやや大きめのくりぬき穴を設けたり、芯管が挿入し易いようにブラケットの上部から中心部までU字型にくりぬかれていても良い。
ブラケットで支持されたフイルムロールは段ボール箱等のカートンに収納されて保管や輸送がされるが、収納時の作業を円滑にするため矩形のブラケットを使用するときはその四隅を切り落として置くことが好ましい。
また、上記一対のブラケットがぐらつかないように、両者を結束テープで固定するのが有利であり、そのときテープの移動や弛みが起こらないようにブラケットの側面(厚さ部分)にテープ幅と同程度のテープズレ防止溝を設けて置くのも実用的である。
幅広のフイルムロールの場合には架台が使用される。架台は、両側一対の支持台を連結板で連結されてなるものである。支持台は、基台の両端の支柱間にフレーム部を水平に掛け渡してなり、前記支持台のフレーム部に芯管の突出部が載置される。
二重包装したフイルムロールの保管または輸送にあたっては、極端な高温や低温、低湿度、高湿度条件を避けるのが望ましく、具体的には温度10〜30℃、湿度40〜75%RHであるのが良い。
しかし、本発明の特定の二重包装ではかかる条件を逸脱する苛酷な雰囲気下に長時間さらされてもフイルムロールの巻ずれ等の心配が全くなく、顕著な効果が発揮されるのが大きな特徴である。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。
尚、例中「部」、「%」とあるのは特に断りのない限り重量基準である。
重量平均分子量は以下の通りである。
GPC−LALLS法により以下の条件で測定した。
1)GPC
装置:Waters製244型ゲル浸透クロマトグラフ
カラム:東ソー製TSK−gel−GMPWXL(内径8mm、長さ30cm、2本)
溶媒:0.1M−トリス緩衝液(pH7.9)
流速:0.5ml/min
温度:23℃
試料濃度:0.040%
ろ過:東ソー製0.45μmマイショリディスクW−25−5
注入量:0.2ml
検出感度(示差屈折率検出器):4倍
2)LALLS
装置:Chromatrix製KMX−6型低角度レーザー光散乱光度計
温度:23℃
波長:633nm
第2ビリアル係数×濃度:0mol/g
屈折率濃度変化(dn/dc):0.159ml/g
フィルター:MILLIPORE製0.45μmフィルターHAWP01300
ゲイン:800mV
実施例1
GPC−LALLS法により求められる重量平均分子量130000、ケン化度99.7モル%のポリビニルアルコール系樹脂を用いて、33%濃度のポリビニルアルコール系樹脂水溶液(ポリビニルアルコール系樹脂に対して、可塑剤としてグリセリン10%、ポリオキシエチレンラウリルアミン0.1%を含む)を調製した後、該水溶液をT型スリットダイより下記の如きドラム型ロールで流延製膜し、続いて10個の下記の如き乾燥用金属ロール間をフイルムの表裏面が交互に通過するようにして乾燥を行い、含水率10%の状態で最後のロールから剥離し、更に120℃で3分間熱処理を行い、最後に調湿を行ってアルミニウム製芯管に巻き取ることにより、フイルムロールとして含水率が4%のポリビニルアルコール系フイルムを得た。フイルムの平均厚み75μm、フイルム幅3.0m、巻き取りフイルム長さ4000mであった。なお、巻き取りに用いたアルミニウム製芯管は芯管長3.2mであり、フイルムロールの端部からアルミニウム製芯管が10cm突出するように巻き取った。
[ドラム型ロール]
直径3.0m、ロール幅4.0mのステンレス母材にニッケルメッキ、更にクロムメッキを施し鏡面仕上げした表面粗さ0.3Sのドラム型ロール(ドラム型ロール内の表面にスパイラル状の流路を有するジャケット構造)で、ロールの表面温度は90℃とした。
また、運転開始時にロール表面に、pH1の硝酸水溶液(濃度6%)を総塗布量が460g/m2となるように塗布しロール表面のぬれ張力を32mN/mとした。
[乾燥用金属ロール]
直径0.3m、ロール幅4.0mのステンレス母材にニッケルメッキ、更にクロムメッキを施し鏡面仕上げした表面粗さ0.3Sの10個のロールで、全てのロール表面に、pH1の硝酸水溶液(濃度6%)を総塗布量が460g/m2となるように塗布しロール表面のぬれ張力を32mN/mとした。
該フイルムロールを、内側包装用の水蒸気バリヤー性樹脂フイルムとしてフイルム厚さ30μmの高密度ポリエチレンフイルム(透湿度8g/m2/日)を用いて巻き包装し、幅方向に余った部分を芯管に押し込んだ。続いて、外側包装用のアルミニウム素材としてアルミニウム蒸着ポリエステルフイルム(アルミニウムを500Å蒸着したポリエチレンテレフタレートフイルム、12μm厚)とポリエチレンフイルム(25μm厚)の積層フイルムを用いて二重目の巻き包装をして、幅方向に余った部分を芯管に押し込み包装を完了した。
その後、芯管の突出部を架台に載置しフイルムロールを接地することなく宙に浮いた状態とした。このフイルムロールを温度60℃、湿度90%RHの雰囲気下で30日保管し、フイルムの状態を以下の基準で評価した。
○:巻きずれは全く起きておらず、包装直前と同一であり、フイルムの傷もなかった。
△:巻きずれが少し起きており、フイルムに若干の傷があった。
×:芯管近くのフイルム部分が外側に山状に突出し巻きずれが認められ、フイルムに傷 がついていた。
更に、上記保管後のフイルムロールからポリビニルアルコール系フイルムを巻きだし、該ポリビニルアルコール系フイルムをクロスニコル状態の2枚の偏光板(単体透過率43.5%、偏光度99.9%)の間に45°の角度で挟んだ後に、暗室で表面照度が14000ルックスのライトボックスを用いて、透過モードで観察し、以下の基準で光学的な色ムラ(リターデーション不均一性)を評価した。
A・・・何も見えず均一である
B・・・不連続な濃淡が部分的に確認できる
C・・・不連続な濃淡が全面に確認できる
又、上記保管後のポリビニルアルコール系フイルムを1.25m/分で巻き出し、水洗槽(24℃)で膨潤させた後、ヨウ素槽(20℃、ヨウ素濃度0.15g/l)で1.3倍、ホウ酸槽(50℃、ヨウ素濃度0.0012g/l、ホウ酸濃度47g/l)で1.7倍の一軸延伸を行い、更に巻き取り速度6.5m/分でトータル5.2倍の一軸延伸を行った後、40℃の乾燥機で乾燥して偏光フイルムを得た。延伸は順調であり、ポリビニルアルコール系フイルムロールの巻き芯部まで延伸途中に切断が起こることはなかった。得られた偏光フイルムの両面に、セルローストリアセテートフイルムをポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせて偏光板とした。
上記の工程において、ポリビニルアルコール系フイルムロールの巻き外周部から得られた偏光板とポリビニルアルコール系フイルムロールの巻き芯部から得られた偏光板について、偏光物性(単体透過率および偏光度)を測定装置として日本電色工業社製のΣ90を用いて、幅方向に対してそれぞれ10箇所測定し、その平均値を算出した。次に以下の基準で偏光板の原反ポリビニルアルコール系フイルムの巻き外周部と巻き芯部の光学性能の差について判定した。
○:巻き外周部から得られた偏光板と巻き芯部から得られた偏光板の単体透過率
の平均値の差が0.3%未満、かつ偏光度の平均値の差が0.2%未満
×:巻き外周部から得られた偏光板と巻き芯部から得られた偏光板の単体透過率
の平均値の差が0.3%以上、あるいは偏光度の平均値の差が0.2%以上
また、得られた偏光板をクロスニコル状態の2枚の偏光板(単体透過率43.5%、偏光度99.9%)の間に45°の角度で挟んだ後に、暗室で表面照度14000ルックスのライトボックスを用いて、透過モードで観察し、以下の基準で染色ムラを評価した。
○・・・色ムラなし
×・・・色ムラあり
実施例2
実施例1において、ラウリル硫酸エステルナトリウムを0.1%含有させてなる30%濃度のポリビニルアルコール系樹脂水溶液を使用した以外(但し、ドラム型ロールの酸水溶液による処理なし、ぬれ張力は57mN/m)は同じ実験を行い、含水率3.5%のポリビニルアルコール系フイルムを得た。フイルムの平均厚み75μm、フイルム幅3.0m、巻き取りフイルム長さ8000mであった。
このフイルムロールの両端に直径90cm、厚さ4.0mm及び直径17cmの貫通孔をもつポリスチレン発泡体よりなる保護パットを装着した。
該フイルムロールを内側包装用水蒸気バリヤー性樹脂フイルムとしてフイルム厚さ30μmの高密度ポリエチレンフイルム(透湿度9g/m2/日)を用いて巻き包装し、幅方向に余った部分を芯管に押し込んだ。続いて、外側包装用アルミニウム素材として、厚さ60μmの延伸ポリプロピレンフイルム/ポリエチレンフイルム/アルミニウム箔/ポリエチレンフイルムからなる積層フイルムを用いて二重目の巻き包装をして、幅方向に余った部分を芯管に押し込み包装を完了した。
その後、芯管の突出部を架台に載置しフイルムロールを接地することなく宙に浮いた状態とした。このフイルムロールを実施例1と同様に保管し、フイルムの状態を評価した。
又、上記保管後のポリビニルアルコール系フイルムを実施例1と同様に延伸し、偏光板とした。上記8000mのポリビニルアルコール系フイルムの延伸中に一度切断が起きたが、それ以外は安定して偏光板の製造ができた。得られた偏光板は実施例1と同様の評価を行った。
実施例3
実施例2において、アニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム0.1%を用いた以外は同様の実験を行い、含水率4.0%のポリビニルアルコール系フイルムを得た。フイルムの平均厚み74μm、フイルム幅3.0m、巻き取りフイルム長さ8000mであった。但し、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液の濃度は30%とした。
製膜開始1時間後のドラム型ロール表面のぬれ張力を測定したところ32mN/mであった。
このフイルムロールの両端に直径90cm、厚さ1.0mm及び直径17cmの貫通孔をもつシート状乾燥剤よりなる保護パットを装着し、実施例2と同様に二重包装した。 次に、芯管の突出部を架台に載置しフイルムロールを接地することなく宙に浮いた状態とした。このフイルムロールを実施例1と同様に保管し、フイルムの状態を評価した。
又、上記保管後のポリビニルアルコール系フイルムを実施例1と同様に延伸し偏光板とした。延伸は順調であり、ポリビニルアルコール系フイルム8000mを使用する間に切断は起こらなかった。得られた偏光板は実施例1と同様の評価を行った。
実施例4
GPC−LALLS法により求められる重量平均分子量240000、ケン化度99.7モル%のポリビニルアルコール系樹脂を用いて、アニオン系界面活性剤としてラウリル硫酸エステルナトリウムを0.2%含有させてなる25%濃度のポリビニルアルコール系樹脂水溶液を使用した以外(但し、ドラム型ロールの酸水溶液による処理なし、ぬれ張力は57mN/m)は実施例2と同じ実験を行い、含水率4.0%のポリビニルアルコール系フイルムを得た。フイルムの平均厚み75μm、フイルム幅3.2m、巻き取りフイルム長さ4000m、巻き取りに用いたアルミニウム製芯管は芯管長3.4mであった。但し、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液の濃度は25%とした。
製膜開始1時間後の該ドラム型ロール表面のぬれ張力を測定したところ33mN/mであった。
該フイルムロールを内側包装用水蒸気バリヤー性樹脂フイルムとして、幅4.2m、フイルム厚さ50μmの<帯電防止剤としてアルキルジエタノールアミンを0.2%含有>ポリエチレンフイルム(透湿度10g/m2/日)を用いて巻き包装し、幅方向に余った部分を芯管に押し込んだ。続いて外側包装用アルミニウム素材として、厚さ60μmの延伸ポリプロピレンフイルム/ポリエチレンフイルム/アルミニウム箔/ポリエチレンフイルムからなる積層フイルムを用いて、二重目の巻き包装をして幅方向に余った部分を芯管に押し込み包装を完了した。
その後、芯管の突出部を架台に載置しフイルムロールを接地することなく宙に浮いた状態とした。このフイルムロールを実施例1と同様に保管し、フイルムの状態を評価した。
又、上記保管後のポリビニルアルコール系フイルムを1.25m/分で巻き出し、水洗槽(24℃)で膨潤させた後、ヨウ素槽(20℃、ヨウ素濃度0.13g/l)で1.3倍、ホウ酸槽(50℃、ヨウ素濃度0.0012g/l、ホウ酸濃度47g/l)で1.8倍の一軸延伸を行い、更に巻き取り速度6.25m/分でトータル5.0倍の一軸延伸を行った後、40℃の乾燥機で乾燥して偏光フイルムを得た。延伸は順調であり、ポリビニルアルコール系フイルムロールの巻き芯部まで延伸途中に切断が起こることはなかった。得られた偏光フイルムの両面に、セルローストリアセテートフイルムをポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせて偏光板とした。
得られた偏光板について、実施例1と同様に評価を行った。
実施例5
実施例4において、アニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム0.1%を用いた以外は同様の実験を行い、含水率4.0%のポリビニルアルコール系フイルム(フイルムの平均厚み50μm、フイルム幅3.2m、巻取りフイルム長さ12000m)を得た。
製膜開始1時間後のドラム型ロール表面のぬれ張力を測定したところ32mN/mであった。
該フイルムロールを内側包装用水蒸気バリヤー性樹脂フイルムとして、フイルム厚さ30μmの二軸延伸ポリプロピレンフイルム(透湿度7g/m2/日)を用いて巻き包装し、幅方向に余った部分を芯管に押し込んだ。続いて、外側包装用アルミニウム素材としてフイルム厚さ60μmの延伸ポリプロピレンフイルム/ポリエチレンフイルム/アルミニウム箔/ポリエチレンフイルムからなる積層フイルムを用いて、二重目の巻き包装をして幅方向に余った部分を芯管に押し込み包装を完了した。
その後、芯管の突出部を架台に載置しフイルムロールを接地することなく宙に浮いた状態とした。このフイルムロールを実施例1と同様に保管し、フイルムの状態を評価した。
又、上記保管後のポリビニルアルコール系フイルムを1.25m/分で巻き出し、水洗槽(24℃)で膨潤させた後、ヨウ素槽(20℃、ヨウ素濃度0.14g/l)で1.3倍、ホウ酸槽(50℃、ヨウ素濃度0.0012g/l、ホウ酸濃度47g/l)で2.25倍の一軸延伸を行い、更に巻き取り速度6.75m/分でトータル5.4倍の一軸延伸を行った後、40℃の乾燥機で乾燥して偏光フイルムを得た。ポリビニルアルコール系フイルムロールの巻き芯部まで延伸途中に一度切断が起きたが、それ以外は順調であった。得られた偏光フイルムの両面に、セルローストリアセテートフイルムをポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせて偏光板とした。
得られた偏光板について、実施例1と同様に評価を行った。
実施例6
GPC−LALLS法により求められる重量平均分子量80000、ケン化度99.7モル%のポリビニルアルコール系樹脂を用いて、40%濃度のポリビニルアルコール系樹脂水溶液(ポリビニルアルコール系樹脂に対して、可塑剤としてグリセリン10%、ポリオキシエチレンラウリルアミン0.1%を含む)を調製した後、該水溶液をT型スリットダイより下記の如きドラム型ロールで流延製膜し、続いて10個の下記の如き乾燥用金属ロール間をフイルムの表裏面が交互に通過するようにして乾燥を行い、含水率10%の状態で最後のロールから剥離し、更に120℃で3分間熱処理を行い、最後に調湿を行ってアルミニウム製芯管に巻き取ることにより、フイルムロールとして含水率が4%のポリビニルアルコール系フイルムを得た。フイルムの平均厚み75μm、フイルム幅1.5m、巻き取りフイルム長さ1500mであった。巻き取りには芯管長1.6mのABS樹脂製芯管を用いた。
[ドラム型ロール]
直径3.0m、ロール幅4.0mのステンレス母材にニッケルメッキ、更にクロムメッキを施し鏡面仕上げした表面粗さ0.3Sのドラム型ロール(ドラム型ロール内の表面にスパイラル状の流路を有するジャケット構造)で、ロールの表面温度は90℃とした。
運転開始時にロール表面に、pH1の硝酸水溶液(濃度6%)を総塗布量が460g/m2となるように塗布しロール表面のぬれ張力を32mN/mとした。
[乾燥用金属ロール]
直径0.3m、ロール幅4.0mのステンレス母材にニッケルメッキ、更にクロムメッキを施し鏡面仕上げした表面粗さ0.3Sの10個のロールで、全てのロール表面に、pH3の酢酸水溶液(濃度0.5%)を総塗布量が460g/m2となるように塗布しロール表面のぬれ張力を35mN/mとした。
該フイルムロールを内側包装用水蒸気バリヤー性樹脂フイルムとして、フイルム厚さ30μmの高密度ポリエチレンフイルム(透湿度8g/m2/日)を用いて巻き包装し、幅方向に余った部分を芯管に押し込んだ。続いて、外側包装用アルミニウム素材として、アルミニウム蒸着ポリエステルフイルム(アルミニウムを500Å蒸着したポリエチレンテレフタレートフイルム、12μm厚)とポリエチレンフイルム(25μm厚)の積層フイルムを用いて二重目の巻き包装をして幅方向に余った部分を芯管に押し込み包装を完了した。
その後、ベニヤ板性の矩形ブラケット(50cm×50cm、四隅切り落とし、貫通孔9.3cm)を、芯管の突出部に設けてフイルムロールを支持しフイルムロールを接地することなく宙に浮いた状態とした。このフイルムロールを実施例1と同様に保管し、フイルムの状態を評価した。
又、上記保管後のポリビニルアルコール系フイルムを1.25m/分で巻き出し、水洗槽(24℃)で膨潤させた後、ヨウ素槽(20℃、ヨウ素濃度0.17g/l)で1.7倍、ホウ酸槽(50℃、ヨウ素濃度0.0012g/l、ホウ酸濃度47g/l)で2.0倍の一軸延伸を行い、更に巻き取り速度5.25m/分でトータル4.2倍の一軸延伸を行った後、40℃の乾燥機で乾燥して偏光フイルムを得た。延伸は順調であり、ポリビニルアルコール系フイルムロールの巻き芯部まで延伸途中に切断が起こることはなかった。得られた偏光フイルムの両面に、セルローストリアセテートフイルムをポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合わせて偏光板とした。
得られた偏光板について、実施例1と同様に評価を行った。
比較例1
実施例1において、内側包装用水蒸気バリヤー性樹脂包装フイルム、外側包装用フイルムのいずれもフイルム厚さ30μm、透湿度8g/m2/日の高密度ポリエチレンフイルムを使用した以外は同じ実験を行い、実施例1と同様に保管しフイルムの状態を評価した。続いて、実施例1と同様に偏光フイルムを製造するために延伸を行ったところ、ポリビニルアルコール系フイルム4000m使用する間に5回切断が発生した。
又、実施例1と同様に偏光板を製造し、得られた偏光板については実施例1と同様に評価を行った。
比較例2
実施例1において、内側包装用水蒸気バリヤー性樹脂包装フイルム、外側包装用フイルムのいずれもフイルム厚さ20μm、透湿度7g/m2/日の二軸延伸ポリプロピレンフイルムを使用した以外は同じ実験を行い、実施例1と同様に保管しフイルムの状態を評価した。続いて、実施例1と同様に偏光フイルムを製造するために延伸を行ったところ、ポリビニルアルコール系フイルム4000m使用する間に4回切断が発生した。
又、実施例1と同様に偏光板を製造し、得られた偏光板については実施例1と同様に評価を行った。
比較例3
実施例1において、厚さ60μmの延伸ポリプロピレンフイルム/ポリエチレンフイルム/アルミニウム箔/ポリエチレンフイルムからなる積層フイルムのみを包装フイルムとして使用した以外は同じ実験を行い、実施例1と同様に保管しフイルムの状態を評価した。続いて、実施例1と同様に偏光フイルムを製造するために延伸を行ったところ、ポリビニルアルコール系フイルム4000m使用する間に2回切断が発生した。
又、実施例1と同様に偏光板を製造し、得られた偏光板については実施例1と同様に評価を行った。
比較例4
実施例1において、フイルムロールの幅を80cmとした以外は同様の実験を行い、ポリビニルアルコール系フイルムを得(含水率4.0%のポリビニルアルコール系フイルム、フイルムの平均厚み75μm、巻き取りフイルム長さ4000m)、得られたポリビニルアルコール系フイルムについて、実施例1と同様にして偏光フイルムを製造したところ、延伸は順調であり切断は起きなかった。又、実施例1と同様に偏光板を製造し、得られた偏光板について実施例1と同様に評価を行ったところ、大きな光学斑点が認められた。
比較例5
実施例1において、フイルムロールの長さを800mとした以外は同様の実験を行い、ポリビニルアルコール系フイルムを得た。得られたポリビニルアルコール系フイルムについて、実施例1と同様にして偏光フイルムを製造し、実施例1と同様にそのフイルム物性を測定したところ、物性は十分満足できたが、巻き出し部分と巻芯管部分のロスが多く、工業的な生産としては不経済であった。
実施例及び比較例の評価結果を表1及び2に示す。
Figure 0004785391
Figure 0004785391
※巻き出し部分と巻芯管部分のロスが多く、工業的な生産としては不経済であった
本発明で対象とする光学用ポリビニルアルコール系フイルムから製造される偏光フイルムは、電子卓上計算機、電子時計、ワープロ、パソコン、モニター、液晶テレビ、携帯情報端末機、自動車や機械類の計器類等の液晶表示装置、サングラス、防眩メガネ、立体メガネ、表示素子(CRT、LCD等)用反射低減層、医療機器、建築材料、玩具等に用いられる。


Claims (11)

  1. フイルム幅より長い芯管にフイルム幅1m以上、フイルム長さ4000m以上の光学用ポリビニルアルコール系フイルムを巻き付けてフイルムロールとなし、該フイルムロールを水蒸気バリヤー性樹脂包装フイルムで包装し、かつその上からアルミニウム素材からなる包装フイルムで包装して、フイルムロールを接地することなく宙に浮いた状態で、保管または輸送を行うことを特徴とする光学用ポリビニルアルコール系フイルムの保管または輸送方法。
  2. 水蒸気バリヤー性樹脂包装フイルムが、ポリエチレンフイルムであることを特徴とする請求項1記載の光学用ポリビニルアルコール系フイルムの保管または輸送方法。
  3. ポリエチレンフイルムが、帯電防止処理されていることを特徴とする請求項2記載の光学用ポリビニルアルコール系フイルムの保管または輸送方法。
  4. アルミニウム素材からなる包装フイルムが、ポリオレフィンフイルムとアルミニウム箔との積層フイルムであることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の光学用ポリビニルアルコール系フイルムの保管または輸送方法。
  5. ポリオレフィンフイルムとアルミニウム箔との積層フイルムが、延伸ポリプロピレンフイルム/ポリエチレンフイルム/アルミニウム箔/ポリエチレンフイルムの積層構成よりなることを特徴とする請求項4記載の光学用ポリビニルアルコール系フイルムの保管または輸送方法。
  6. フイルムロールの両端部に直接、またはフイルムロールを前記包装した後の包装材料の上から、芯管貫通孔をもつ保護パットを装着させることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の光学用ポリビニルアルコール系フイルムの保管または輸送方法。
  7. 芯管貫通孔をもつ保護パッドがシート状乾燥剤よりなることを特徴とする請求項6記載の光学用ポリビニルアルコール系フイルムの保管または輸送方法
  8. 前記包装したフイルムロールの両端に、フイルムロールの直径より大きい4辺をもつブラケットを設けて保管または輸送を行うことを特徴とする請求項1〜7いずれか記載の光学用ポリビニルアルコール系フイルムの保管または輸送方法。
  9. ブラケットとして、四隅が切り落とされた矩形板状物を用いることを特徴とする請求項8記載の光学用ポリビニルアルコール系フイルムの保管または輸送方法。
  10. ブラケットの側面に、テープズレ防止溝を設けてなることを特徴とする請求項8または9記載の光学用ポリビニルアルコール系フイルムの保管または輸送方法。
  11. 前記包装したフイルムロールの芯管を架台に載置して保管または輸送を行うことを特徴とする請求項1〜7いずれか記載の光学用ポリビニルアルコール系フイルムの保管または輸送方法。
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