以下、本発明を具現化した第1及び第2の実施形態である多針ミシン1(以下、単に「ミシン1」と言う。)について、図面を参照して順に説明する。尚、参照する図面は、本発明が採用し得る技術的特徴を説明するために用いるものであり、記載している装置の構成等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。なお、図7と、図11と、図13と、図16とでは、フレーム24の内側に配置された針棒31等の部材の図示を省略している。
図1から図3を参照して、第1の実施形態のミシン1の物理的構成について説明する。以下の説明では、図1の左斜め下側をミシン1の前方とし、図1の右斜め上側をミシン1の後方とする。図1の左斜め上側をミシン1の左側とし、図1の右斜め下側をミシン1の右側とする。
図1に示すように、ミシン1のミシン本体20は、支持部2と、脚柱部3と、アーム部4とを備えている。支持部2は、平面視逆U字形に形成され、ミシン1全体を支持する。脚柱部3は、支持部2の後端部から上方へ立設する。アーム部4は、脚柱部3の上端部から正面側に延設されている。アーム部4の先端には、ミシン本体20に対して左右方向(水平方向)に移動可能に針棒ケース21が装着されている。針棒ケース21の詳細については後述する。
アーム部4の前後方向中央部の右側には、操作部6が設けられている。操作部6は、上下方向に伸びる軸(図示せず)を回転軸として、アーム部4に回転可能に軸支されている。操作部6は、液晶ディスプレイ7(以下、「LCD7」と言う。)と、タッチパネル9と、コネクタ8とを備える。LCD7には、例えば、ユーザが指示を入力するための操作画像が表示される。タッチパネル9は、ユーザからの指示を受け付けるために用いられる。LCD7に表示された入力キー等の位置に対応したタッチパネル9の箇所を、指や専用のタッチペンを用いて押圧操作すること(以下、この操作を「パネル操作」と言う。)によって、ユーザは縫製模様や縫製条件等を選択できる。コネクタ8は、メモリカード160(図8参照)と接続可能である。
アーム部4の下方には、脚柱部3の下端部から前方へ伸びる筒状のシリンダベッド10が設けられている。シリンダベッド10の先端部の内部には、下糸(図示せず)が巻回されたボビン(図示せず)を収納する釜(図示せず)が設けられている。また、シリンダベッド10は、釜を回転駆動する釜駆動機構(図示せず)を内部に備えている。シリンダベッド10の先端側の上面には、針板16がある。針板16には、縫針35が通る針穴38が設けられている。針穴38の鉛直上方には、針落ち位置(図示せず)がある。針落ち位置は、刺繍枠39に装着された加工布(図示せず)に縫針35が刺さる位置である
アーム部4の下方には、刺繍枠39を前後左右に移動させる刺繍枠移動機構11が設けられている。刺繍模様が縫製される時には、加工布(図示せず)が装着された刺繍枠39が、刺繍枠移動機構11のキャリッジ(図示せず)にセットされる。ミシン1は、刺繍枠移動機構11のX軸モータ132(図8参照)及びY軸モータ134(図8参照)によって刺繍枠39を前後左右に移動させながら、刺繍模様を縫製する。
アーム部4の上面の背面側には、左右一対の糸駒台12が設けられている。各糸駒台12には、3本の糸立棒14が設けられている。糸立棒14は、糸駒13を軸支する。一対の糸駒台12は、針棒31の数と同じ6個の糸駒13を載置することができる。糸駒台12に軸支された糸駒13から伸びる上糸15は、糸案内17と、糸調子器18と、天秤19とを経由して、針棒31の下端に装着された各縫針35の目孔(図示せず)に供給される。
アーム部4の内部には、主軸モータ(図8参照)によって回転する主軸(図示せず)が前後方向に伸びている。主軸の先端側には、6本の針棒31の1つを上下動させるための針棒駆動機構(図示せず)が設けられている。針棒駆動機構は、主軸の回転運動をクランクレバー(図示せず)のクランク運動に変換し、可動体(図示せず)を上下方向に往復移動させる。可動体は、ミシン1の左右方向中心に位置する針棒31の係合ピン(図示せず)に係合し、針棒31を上下動させる。また、シリンダベッド10の内部の釜駆動機構は、主軸の回転に伴って駆動する。主軸が回転すると、針棒31と、天秤19と、釜とが同期しつつ駆動され、加工布(図示せず)に縫目が形成される。
次に、図2及び図3を参照して、針棒ケース21について説明する。以下の説明では、図2の紙面手前側をミシン1の前方、紙面奥側をミシン1の後方、紙面左側をミシン1の左方、紙面右側をミシン1の右方とする。図3の紙面左側をミシン1の前方、紙面右側をミシン1の後方、紙面奥側をミシン1の左方、紙面手前側をミシン1の右方とする。
図2及び図3に示すように、針棒ケース21は、フレーム24を備える。フレーム24は、針棒ケース21のカバー22の内部に設けられ、正面視矩形状、右側面視L字状の形状を有する。図2に示すように、アーム部4(図1参照)の前端部には、左右方向に長いスライドレール25が固定されている。フレーム24は、自身の上下方向中央よりもやや上側に、スライドレール25に沿ってスライドするガイドブロック(図示せず)を備えている。また、図3に示すように、フレーム24の下部の背面側には、フレーム24の前後方向の移動を規制するための規制部材27が固定されている。アーム部4の先端部の下部には、フレーム24の規制部材27に係合する爪部28と、規制部材27に背面側から当接するローラ29とが設けられている。以上の構成により、フレーム24は、スライドレール25に案内されつつ、ミシン本体20(図1参照)に対して左右方向にスムーズに移動する。
図2に示すように、フレーム24の内側には、6本の針棒31が、左右方向に並設されている。6本の針棒31のそれぞれには、右から順に1番から6番までの針棒番号が付与されている。6本の針棒31の中心軸線101は、それぞれ鉛直方向に伸び、且つ同一平面上にそれぞれ平行に列設されている。すなわち、図4に示すように、平面視にて6本の針棒31の中心軸線101は同一の直線103上にある。針棒31の中心軸線101の間隔Xは、全て等しい。針棒31は、コイルバネ(図示せず)が外装されており、コイルバネの付勢力によって上方へ付勢されている。針棒31は、上下方向中央に針棒抱き32を備え、上下方向中央よりやや下側に押え抱き33を備える。さらに、針棒31の下端には、針抱き36が固定されている。針抱き36は、縫針35を固定する。針抱き36に固定された縫針35の中心軸線は、針棒31の中心軸線101と一致する。したがって、縫針35の中心軸線の間隔は、針棒31の中心軸線101の間隔Xと等しい。一方、押え足37は、押え抱き33から縫針35の下端部(先端部)よりも僅かに下方に伸びるように形成され、針棒31の上下動と連動して、断続的に加工布(図示せず)を下方へ押圧する。
図2及び図3に示すように、フレーム24の右側面下部には、イメージセンサ保持機構51がある。イメージセンサ保持機構51は、カバー23によって、正面と、右側面と、平面とが覆われている。イメージセンサ保持機構51は、フレーム24に対する相対的な位置を変更可能にイメージセンサ52を保持する。イメージセンサ保持機構51の下方には、光学部材保持部80が配置されている。イメージセンサ保持機構51と、光学部材保持部80との詳細については後述する。
図2に示すように、6本の針棒31のうちの最も右側の針棒31である針棒番号1番針棒31の中心軸線と、イメージセンサ52の光軸102との間の距離は、針棒31の間隔Xの整数倍である2Xとなっている。また、図4に示すように、イメージセンサ52の光軸102は、平面視にて6本の針棒31の中心軸線101を通る直線103上にある。針棒ケース21が左右方向に移動することで、6本の針棒31及びイメージセンサ52がミシン本体20に対して左右方向に移動する。
次に、図3及び図4を参照して、針棒ケース21を移動させる針棒ケース移動機構40について説明する。図4の下側をミシン1の前方とし、紙面上側をミシン1の後方とし、紙面左側をミシン1の左方とし、紙面右側をミシン1の右方とする。
図4に示すように、針棒ケース移動機構40は、係合コロ部401と、針棒ケース駆動部402とを備える。係合コロ部401は、フレーム24に取り付けられている。係合コロ部401は、コロ取り付け板41と、係合コロ42と、ナット43と、段付螺子44とを備える。コロ取り付け板41は、左右方向に長い板状形状を有し、図3に示すようにフレーム24の上部後端に取り付けられている。図4に示すように、コロ取り付け板41の背面には、9つの係合コロ42が段付螺子44によって取り付けられている。係合コロ42は、詳しくは図示しないが円筒形状を有し、段付螺子44によって回転可能、且つ係合コロ42の軸方向には移動不能に支持されている。係合コロ42は、後述する螺旋カム48と係合する。段付螺子44は、コロ取り付け板41の螺子孔(図示せず)に螺合して固定される。また、係合コロ42の回転によって段付螺子44が緩まないように、段付螺子44の先端(雄螺子部分の先端)がナット43によって固定されている。係合コロ42の間隔(係合コロ42の中心軸線104の間隔)はすべて、針棒31の間隔と同じXである。9つの係合コロ42の取り付け高さは全て同一である。
針棒ケース駆動部402は、アーム部4(図1参照)の内部であって、コロ取り付け板41の後方となる位置にある。針棒ケース駆動部402は、針棒ケース用モータ45と、ギア部46と、回転軸47と、螺旋カム48とを備える。針棒ケース用モータ45は、パルスモータである。針棒ケース用モータ45は、出力軸(図示せず)の軸方向が左右方向となる向きに固定されている。針棒ケース用モータ45は、ギア部46を介して動力を回転軸47に伝達し、螺旋カム48を所定量回転させる。回転軸47は、針棒ケース用モータ45の出力軸と平行に軸支されている。螺旋カム48は、回転軸47の外周に固定されており、9つの係合コロ42のいずれか1つと常に係合する。螺旋カム48は、位置決め部481を備える。回転軸47の回転が停止されている場合には、9つの係合コロ42のいずれか1つが螺旋カム48の位置決め部481と係合する。9つの係合コロ42のいずれかが位置決め部481と係合している状態では、回転軸47が所定角度回転された場合にも、螺旋カム48に係合された係合コロ42の左右方向の位置は、回転前と同じである。
図4に示すように最も左側に配置された係合コロ42と、螺旋カム48の位置決め部481とが係合している場合、針棒番号6番の針棒31が針穴38(図1参照)の鉛直上方に配置される。また、左から2番目にある係合コロ42が螺旋カム48の位置決め部481と係合している場合、針棒番号5番の針棒31が針穴38の鉛直上方に配置される。以下同様である。右から1番目と、2番目とのいずれかの係合コロ42が螺旋カム48の位置決め部481と係合している場合、イメージセンサ52が、針穴38の鉛直上方に配置される。以下の説明において、左から1番目から6番目までのいずれかに配置された係合コロ42と螺旋カム48の位置決め部481とが係合している場合を、針棒ケース21が縫製位置にあると言う。また、右から1番目と2番目とのいずれかの係合コロ42と螺旋カム48の位置決め部481とが係合している場合を針棒ケース21が撮像位置にあると言う。
次に、図4を参照して、針棒ケース21の移動動作について説明する。針棒ケース21は、針棒ケース移動機構40によって、ミシン本体20に対して左右方向(水平方向)に移動される。針棒ケース移動機構40は、螺旋カム48を1回転させる毎に、針棒ケース21を距離Xだけ左右方向に移動させることができる。針棒ケース21の移動方向は、螺旋カム48の回転方向に応じて決まる。螺旋カム48が右側面視反時計回りに回転された場合には、針棒ケース21は左方に移動する。螺旋カム48が右側面視時計回りに回転された場合には、針棒ケース21は右方に移動する。
図4に示す状態で、螺旋カム48が右側面視反時計回りに回転されると、最も左側の係合コロ42が螺旋カム48に対して左側にスライドし、フレーム24がミシン本体20(図1参照)に対して左方への移動を開始する。次に、最も左側の係合コロ42の螺旋カム48への係合が解除され、左から2番目の係合コロ42が螺旋カム48と係合する。図4に示す状態から螺旋カム48が1回転すると、左から2番目の針棒31(針棒番号5番の針棒31)が、針穴38の鉛直上方に正確に配置される。すなわち、フレーム24は、図4に示す位置から距離Xだけ左方に移動する。一方、螺旋カム48が右側面視時計回りに1回転されると、フレーム24はミシン本体20に対して右方に距離Xだけ移動する。このように、針棒ケース移動機構40は、螺旋カム48を1回転させる毎に、螺旋カム48の回転方向に応じて左方又は右方にフレーム24を距離Xだけ移動させることができる。
針棒ケース21の移動可能範囲は、スライドレール25及び係合コロ42によって規定される。図4では、針棒ケース21の移動可能範囲を、スライドレール25の右端503を基準とした針棒ケース21の右端504の移動可能範囲500によって模式的に示している。移動可能範囲500には、保持範囲501と、切替範囲502とが含まれる。保持範囲501は、針棒ケース21が移動された場合に、針棒ケース21とイメージセンサ52との相対位置が一定に保持される範囲である。切替範囲502は、針棒ケース21が移動された場合に、針棒ケース21とイメージセンサ52との相対位置が変更される範囲である。また図4では、係合コロ42の中心軸線104を結ぶ範囲550を図示している。範囲550は、範囲551と、範囲552とを備える。範囲551は、保持範囲501に対応する範囲であり、左から1番目から8番目までの係合コロ42のいずれかが、螺旋カム48の位置決め部481と係合する位置を含む範囲である。範囲552は、切替範囲502に対応する範囲であり、最も右側の係合コロ42が、螺旋カム48の位置決め部481と係合する位置を含む範囲である。前述の通り、第1の実施形態のミシン1では、回転軸47の回転が停止されている場合には、いずれか1つの係合コロ42が、螺旋カム48の位置決め部481と係合している。換言すれば、針棒ケース21が停止している場合、針棒ケース21は、螺旋カム48の位置決め部481と係合している係合コロ42に応じた9つの位置のいずれかの位置にある。
次に、図2から図7を参照して、イメージセンサ保持機構51について説明する。以下の説明では、図6の紙面左下側をミシン1の前方とし、紙面右上側をミシン1の後方とし、紙面左上側をミシン1の左方とし、紙面右下側をミシン1の右方とする。図7の紙面左側をミシン1の右方とし、紙面右側をミシン1の左方とし、紙面手前側をミシン1の後方とし、紙面奥行き側をミシン1の前方とする。
図2から図5に示すように、イメージセンサ保持機構51は、フレーム24の右側面下部に取り付けられている。イメージセンサ保持機構51は、針棒ケース21に対して左右方向(水平方向)に移動可能にイメージセンサ52を支持する。図5及び図6に示すように、イメージセンサ保持機構51は、イメージセンサ52と、センサホルダ55と、中継基板60と、センサ土台70と、ガイド板90とを備える。以下、イメージセンサ保持機構51が備える構成を詳述する。
イメージセンサ52は、周知のCMOSイメージセンサである。イメージセンサ52は、針棒ケース21が撮像位置に移動された場合に、針穴38の鉛直上方に配置される。図6に示すように、センサホルダ55は、センサ支持部56と、樹脂製のセンサ押え57とを備える。センサ支持部56の左部には、箱状の凹部65がある。凹部65の底面には、円状の開口66がある。センサ支持部56の右部には、螺子113が差し込まれる孔58がある。センサ押え57は、平面視矩形の形状を有する板状の部材であり、下面に凸部54を備える。センサ押え57の右部には、螺子113が差し込まれる孔59がある。イメージセンサ52は、レンズ(図示せず)が開口66側を向くように、センサ支持部56の凹部65に挿入され、センサ支持部56と、センサ押え57とによって挟持される。センサ押え57に設けられた凸部54は、樹脂のバネ性により、イメージセンサ52を上方から軽く押さえて固定する。センサホルダ55は、螺子113によって、センサ土台70の下面に固定される。
中継基板60は、正面視L字の形状を有する基板であり、イメージセンサ52と、ミシン1の制御部140(図8参照)とを電気的に接続する。中継基板60は、イメージセンサ52に電気的に接続されるコネクタ62と、ミシン1の制御部に電気的に接続されるコネクタ61とを備える。中継基板60の右部には、上下方向に2つの螺子孔63が列設されている。
センサ土台70は、中継基板60と、センサホルダ55とを支持する。センサ土台70は、針棒ケース21に対して左右方向に移動可能にガイド板90に支持される。センサ土台70は、基板接続部71と、センサ接続部75と、ガイド板接続部76とを備える。基板接続部71は、正面視矩形の形状を有する。基板接続部71には、上下方向に2つの螺子孔72が列設されている。中継基板60の螺子孔63と、基板接続部71の螺子孔72とを挿通する螺子111によって、中継基板60が基板接続部71に固定される。センサ接続部75は、所定の厚みを有する矩形の板を直角に折り曲げた形状を有し、正面視L字状の形状を有する。センサ接続部75は、基板接続部71の右端部から後方へ垂直に形成された面73と、面73の下端から右方へ垂直に形成された面74とを備える。センサ接続部75の上下方向の長さは、基板接続部71の上下方向の長さより長く、両者の上端の位置は一致している。面74の右部には、螺子孔77がある。センサホルダ55の孔58,59と、センサ接続部75の螺子孔77とを挿通する螺子113によって、センサホルダ55がセンサ土台70の下面に固定される。なお、面73には、図示しない取付部によってカバー23が固定されている。ガイド板接続部76は、センサ接続部75の面73の後端中央部から右方へ垂直に形成されている。ガイド板接続部76の背面には、上下方向に2つのピン78が列設されている。ピン78は、円柱状の形状を有し、後述するガイド板90のガイド孔92に差し込まれ、止め輪99(図7参照)によって背面側を固定される。
ガイド板90は、正面視L字状の形状を有し、左右方向に長い板状のスライド部91と、上下方向に長い板状の支持部94とを備える。スライド部91には、左右方向に長い2つのガイド孔92が左右方向に列設されている。図7に示すように、ガイド孔92には、フレーム24に圧入された位置決めピン95が差し込まれている。ガイド孔92に挿入された位置決めピン95は、背面側を止め輪96で固定されている。これにより、ガイド板90は、フレーム24に対して左右方向(水平方向)にスライド可能にフレーム24に支持される。スライド部91の左端部にはバネ97の一方端が取り付けられている。バネ97の他端はフレーム24に固定されており、ガイド板90は、バネ97によってミシン1の左方に付勢されている。支持部94には、上下方向に長い溝93がある。溝93には、センサ土台70のピン78が差し込まれ、ピン78の先端部は止め輪99によって固定される。支持部94の背面下部には、アーム部4側に向かって突出する凸部98がある。凸部98は、針棒ケース21が接触位置まで移動された場合に、アーム部4の内部に設けられた凸部49(図5参照)と接触する。接触位置は、右から2番目の係合コロ42と螺旋カム48の位置決め部481とが係合する位置である。
次に、図2を参照して、光学部材保持部80について説明する。ミシン1は、ユーザからの指示に応じてイメージセンサ52の光路上に配置される補助光学部材を備える。ここで言う光路は、撮像対象物からイメージセンサ52までの間を通る光の道筋を含む。光学部材保持部80は、支持部81と、フィルタ82と、螺子83とを備える。フィルタ82は、補助光学部材として偏光フィルタを備える。支持部81は、右側面においてフィルタ82を支持し、螺子83が差し込まれる螺子孔(図示せず)を備える。光学部材保持部80は、イメージセンサ保持機構51の下部に、螺子83によってフレーム24の右側面に固定されている。
次に、ミシン1の制御全般を司る電気的構成について図8を参照して説明する。図8に示すように、ミシン1は、縫針駆動部120と、縫製対象駆動部130と、操作部6と、イメージセンサ52と、制御部140とを備える。以下、ミシン1を構成する縫針駆動部120と、縫製対象駆動部130と、操作部6と、制御部140とのそれぞれを詳述する。
縫針駆動部120は、針棒31を上下方向に往復移動させる主軸モータ122と、制御部140からの制御信号に従って主軸モータ122を駆動する駆動回路121とを備えている。また縫針駆動部120は、針棒ケース21を左右方向に移動させる針棒ケース用モータ45と、制御部140からの制御信号に従って針棒ケース用モータ45を駆動する駆動回路123とを備えている。また縫針駆動部120は、縫針35(図2及び図3参照)に供給されている上糸15(図1参照)を切断する切断機構126と、制御部140からの制御信号に従って切断機構126を駆動する駆動回路125とを備えている。
縫製対象駆動部130は、刺繍枠39(図1参照)を左右方向に移動させるX軸モータ132と、制御部140からの制御信号に従ってX軸モータ132を駆動させる駆動回路131とを備えている。また縫製対象駆動部130は、刺繍枠39を前後方向に移動させるY軸モータ134と、制御部140からの制御信号に従ってY軸モータ134を駆動させる駆動回路133とを備えている。
操作部6は、タッチパネル9と、コネクタ8と、駆動回路135と、LCD7とを備えている。駆動回路135は、制御部140からの制御信号に従ってLCD7を駆動する。コネクタ8は、メモリカード160と接続可能である。
制御部140は、CPU141と、ROM142と、RAM143と、EEPROM144と、入出力インターフェイス(I/O)146とを備え、これらはバス145によって相互に接続されている。I/O146には、縫針駆動部120と、縫製対象駆動部130と、操作部6と、イメージセンサ52とがそれぞれ接続されている。以下、制御部140を構成するCPU141と、ROM142と、RAM143と、EEPROM144とについて詳述する。
CPU141は、ミシン1の主制御を司り、読み出し専用の記憶素子である。CPU141は、ROM142のプログラム記憶エリア(図示せず)に記憶された各種プログラムに従って、縫製に関わる各種演算及び処理を実行する。尚、プログラムはフレキシブルディスク等の外部記憶装置に記憶されていてもよい。
ROM142は、図示しないが、プログラム記憶エリアを含む複数の記憶エリアを備える。プログラム記憶エリアには、刺繍プログラムと、撮像プログラムとを含む、ミシン1を動作させるための各種プログラムが記憶されている。刺繍プログラムは、刺繍データに従って、刺繍枠39に装着された加工布(図示せず)に刺繍模様を縫製するためのプログラムである。撮像プログラムは、イメージセンサ52を用いて撮像するためのプログラムである。RAM143は、任意に読み書き可能な記憶素子であり、CPU141が演算処理した演算結果等を収容する記憶エリアが必要に応じて設けられている。EEPROM144には、読み書き可能な記憶素子であり、ミシン1が各種処理を実行するための各種パラメータが記憶されている。
次に、図9を参照して、撮像処理を説明する。撮像処理において、ミシン1は、イメージセンサ52によって生成された画像をLCD7に表示させる。図9に示す撮像処理は、撮像処理を開始する開始指示が入力された場合に開始される。開始指示は、例えば、パネル操作によって入力される。図9に示す撮像処理は、ROM142に記憶された撮像プログラムに従って、図8に示すCPU141が実行する。なお、説明を簡単にするため、第1の実施形態の撮像処理では、撮像処理開始時には、針棒ケース21は縫製位置にあるとする。
まず、第1の実施形態の撮像処理の概要を説明する。第1の実施形態のミシン1は、イメージセンサ52を針穴38(図1参照)の鉛直上方に配置して、画像を取得する。第1の実施形態のミシン1は、イメージセンサ52と、フィルタ82との相対位置が異なる2つの撮像位置(フィルタ使用位置及びフィルタ不使用位置)のいずれかで針落ち位置を撮像する機能を備える。フィルタ使用位置(第1位置)は、イメージセンサ52の光路上にフィルタ82が配置される位置である。フィルタ不使用位置(第2位置)は、イメージセンサ52の光路上からフィルタ82が退避された位置である。ミシン1は、針棒ケース21を移動可能範囲内のいずれかの位置に移動させて、撮像位置をユーザによって選択された位置に設定する。ミシン1は、撮像位置をフィルタ使用位置(第1位置)に設定する場合には、右から2番目の係合コロ42が、螺旋カム48の位置決め部481と係合する位置に針棒ケース21を移動させる。ミシン1は、撮像位置をフィルタ不使用位置(第2位置)に設定する場合には、最も右側の係合コロ42が、螺旋カム48の位置決め部481と係合する位置に針棒ケース21を移動させる。撮像位置は、ユーザによって選択され、移動指示とともにパネル操作によって入力される。移動指示は、イメージセンサ52を撮像位置に移動させる指示である。
図9に示すように、撮像処理ではまず、移動指示が取得されたか否かが判断される(S10)。移動指示があるか否かは、例えば、ユーザがパネル操作によって移動指示を入力したか否かによって判断される。移動指示が取得された場合には(S10:Yes)、S10で取得された移動指示によって指示される撮像位置はフィルタ使用位置(第1位置)であるか否かが判断される(S20)。
フィルタ使用位置であった場合(S20:Yes)、図10に示す、右から2番目の係合コロ42と螺旋カム48の位置決め部481とが係合する位置(以下、単に「図10の位置」と言う。)に針棒ケース21が移動される(S30)。より具体的には、ミシン本体20に対するフレーム24の位置が図10の位置となるように、駆動回路123(図8参照)に制御信号が出力され、針棒ケース用モータ45が駆動される。図10の位置は、前述の接触位置であり、保持範囲501と切替範囲502との境界である。図10の位置では、イメージセンサ52は、針穴38の上部に配置されている。針棒ケース21が図10の位置にある場合、図11に示すように、位置決めピン95は、ガイド板90のガイド孔92の右端にある。針棒ケース21が図10の位置にある場合、イメージセンサ52はフィルタ使用位置にある。フィルタ使用位置では、フィルタ82は、イメージセンサ52の光路上に配置されている。一方、フィルタ不使用位置(第2位置)であった場合には(S20:No)、図12に示す、最も右側の係合コロ42と螺旋カム48の位置決め部481とが係合する位置(以下、単に「図12の位置」と言う。)に針棒ケース21が移動される(S40)。より具体的には、ミシン本体20に対するフレーム24の位置が図12の位置となるように、駆動回路123に制御信号が出力され、針棒ケース用モータ45が駆動される。図12の位置は、切替範囲502内の位置である。図12の位置では、イメージセンサ52は、針穴38の上部に配置されている。図13に示すように、針棒ケース21が図12の位置にある場合、位置決めピン95は、ガイド板90のガイド孔92の左端にある。針棒ケース21が図12の位置にある場合、イメージセンサ52はフィルタ不使用位置にある。フィルタ不使用位置では、フィルタ82は、イメージセンサ52の光路上から退避している。
S40におけるイメージセンサ保持機構51の移動動作について説明する。針棒ケース21が図10の位置(接触位置)まで移動された場合、ガイド板90の凸部98は、アーム部4の内部に設けられた凸部49(図5参照)と接触する。針棒ケース21が切替範囲502内を移動される際に、ガイド板90は凸部49によって針棒ケース21の移動方向への動きを規制されて、針棒ケース21に対して相対的に右方向(水平方向)にスライドする。一方、光学部材保持部80は、フレーム24の右側面に固定されているため、針棒ケース21が切替範囲502内を移動される際にも、針棒ケース21とともに移動する。したがって、針棒ケース21が図12の位置に移動されることによって、移動前に比べフィルタ82と、イメージセンサ52との相対位置が切り替えられる。
S30又はS40に続いて、所定のタイミングでイメージセンサ52によって針落ち位置が撮像され、生成された画像がRAM143に記憶される(S50)。所定のタイミングとしては、例えば、パネル操作により指示が入力されたタイミングが挙げられる。次に、S50で撮像された画像がLCD7に表示される(S60)。S40において、針棒ケース21が図12の位置に移動された場合、例えば、イメージセンサ52によって図14に示す画像が生成され、LCD7に表示される。S30において、針棒ケース21が図10の位置に移動された場合、例えば、イメージセンサ52によって図15に示す画像が生成され、LCD7に表示される。図14と、図15とを比較すると、図15では図14に比べ、針穴38の画像の周囲の反射光が低減されている。S60の次に、撮像処理は終了する。
以上のように、撮像処理が実行される。図1のシリンダベッド10は、本発明のミシンベッドに相当する。イメージセンサ52は、本発明の撮像手段に相当する。フィルタ82は、本発明の補助光学部材に相当する。イメージセンサ52に対してフィルタ82を相対的に移動させて、フィルタ82とイメージセンサ52との相対位置を切り替える針棒ケース移動機構40は、本発明の切替手段に相当する。針棒ケース21にスライド可能に支持されるとともに、イメージセンサ52を支持する、センサ土台70と、ガイド板90とは、本発明の連結部材に相当する。図9のS10において、移動指示を取得するCPU141(図8参照)は、本発明の指示取得手段として機能する。S10において移動指示が取得された場合に、針棒ケース移動機構40を制御して、フィルタ82と、イメージセンサ52との相対位置を切り替えさせるCPU141は、本発明の制御手段として機能する。フィルタ使用位置は、本発明の第1位置に相当する。フィルタ不使用位置は、本発明の第2位置に相当する。
ミシン1では、S10において取得された移動指示に応じて、自動的にイメージセンサ52とフィルタ82との相対位置を切り替えることができる。したがって、ユーザは移動指示を入力することにより、フィルタを使用して撮像された画像を容易に得ることができる。ミシン1は、針棒ケース21の移動と連動させてイメージセンサ52と、フィルタ82との相対位置を、フィルタ使用位置(第1位置)とフィルタ不使用位置(第2位置)とに切り替えることができる。即ち、ミシン1では、イメージセンサ52と、フィルタ82との相対位置を切り替えるための専用の駆動源を必要としない。したがって、ミシン1は、針棒ケース移動機構40とは別に、専用の駆動源を設ける場合に比べ、簡単な構成でイメージセンサ52と、フィルタ82との相対位置を切り替えることができる。例えば、ミシン1が光沢のある加工布を撮像する場合、フィルタ使用位置で撮像された画像は、フィルタ不使用位置で撮像された画像に比べ、加工布によって反射された光が低減される。したがって、フィルタ使用位置で撮像された画像に基づき、ユーザは加工布の表面を的確に把握することができる。
また、第1の実施形態では、イメージセンサ52が針穴38の鉛直上方に配置される位置を撮像位置としている。そして、S50においてイメージセンサ52によって撮像された画像は、図9のS60においてLCD7に表示される。第1の実施形態のイメージセンサ52の撮像位置は、針落ち位置の鉛直上方であるため、針落ち位置の斜め上方から撮像される場合に比べて針落ち位置の撮像画像は殆ど歪みがない。したがって、ユーザは、LCD7に表示される撮像画像に基づき、針落ち位置を容易に認識することができる。さらに、撮像画像の歪みが少ないため、撮像画像内の座標の歪みも少ない。したがって、例えば、撮像画像を処理して画像中の針落ち位置等の所定の位置を決定する場合等、位置を精度よく特定することができる。
ところで、第1の実施形態のミシン1は、補助光学部材としてフィルタ82を1つ備えていた。しかし、第2の実施形態のように、ミシン1は複数の補助光学部材を備えていてもよい。第2の実施形態のミシン1は、複数の補助光学部材を備え、ユーザの指示に従い複数の補助光学部材の中から1つの補助光学部材を選択光学部材として特定し、イメージセンサ52の光路上に選択光学部材を配置させる。以下、第2の実施形態のミシン1について説明する。
第2の実施形態のミシン1の物理的構成は、光学部材保持部80において第1の実施形態のミシン1と異なる。第2の実施形態のミシン1の電気的構成は、第1の実施形態のミシン1と同様である。第1の実施形態のミシン1と同様な構成については説明を省略し、以下、第2の実施形態の光学部材保持部180について説明する。
図16に示すように、第2の実施形態の光学部材保持部180は、支持部181と、フィルタ182と、補助レンズ183と、螺子184とを備える。光学部材保持部180は、螺子184によって、フレーム24に固定されている。光学部材保持部180は、ユーザからの指示に応じてイメージセンサ52の光路上に配置される補助光学部材を備える。フィルタ182は、補助光学部材として偏光フィルタを備える。補助レンズ183は、補助光学部材として魚眼レンズを備える。支持部181は、右側面においてフィルタ182及び補助レンズ183を支持する。支持部181は、螺子184が差し込まれる螺子孔(図示せず)を備える。光学部材保持部180は、イメージセンサ保持機構51の下部に、螺子184によってフレーム24の右側面に固定されている。
次に、第2の実施形態の撮像処理について説明する。第2の実施形態の撮像処理は、図9に示す第1の実施形態の撮像処理と基本的には同様であるので、説明を簡略化する。図9に示す撮像処理は、ROM142に記憶された撮像プログラムに従って、図8に示すCPU141が実行する。第2の実施形態のミシン1は、イメージセンサ52を針穴38(図1参照)の鉛直上方に配置して、画像を取得する。第2の実施形態では、イメージセンサ52と、フィルタ182及び補助レンズ183との相対位置が異なる2つの撮像位置(フィルタ使用位置及び補助レンズ使用位置)のいずれかで撮像された画像を取得する機能を備える。フィルタ使用位置は、第1の実施形態と同様に、イメージセンサ52の光路上にフィルタ182が配置される位置である。補助レンズ使用位置は、イメージセンサ52の光路上に補助レンズ183が配置される位置である。第1の実施形態と同様に、ミシン1は、撮像位置をフィルタ使用位置に設定する場合には、針棒ケース21を図10の位置に移動させる。ミシン1は、撮像位置を補助レンズ使用位置に設定する場合には、針棒ケース21を図12の位置に移動させる。撮像位置は、ユーザが選択した選択光学部材に応じて決定される。選択光学部材は、移動指示とともにパネル操作によって入力される。
第2の実施形態では、図9に示す撮像処理において、S10で取得された移動指示(配置指示)によって指示される撮像位置がフィルタ使用位置である場合には(S20:Yes)、針棒ケース21が図10の位置に移動される(S30)。S30の処理は、選択光学部材として、フィルタ182が選択された場合の処理である。針棒ケース21が図10の位置にある場合、イメージセンサ52はフィルタ使用位置にある。フィルタ使用位置では、フィルタ182は、イメージセンサ52の光路上に配置されている。一方、撮像位置が補助レンズ使用位置である場合には(S20:No)、針棒ケース21が図12の位置に移動される(S40)。S40の処理は、選択光学部材として、補助レンズ183が選択された場合の処理である。針棒ケース21が図12の位置にある場合、イメージセンサ52は補助レンズ使用位置にある。補助レンズ使用位置では、補助レンズ183は、イメージセンサ52の光路上に配置されている。S30又はS40の次に、S50が実行され、S50でそれぞれの位置において撮像された画像がLCD7に表示される(S60)。
以上のように、第2の実施形態の撮像処理が実行される。S10において移動指示(配置指示)が取得された場合に(S10:Yes)、針棒ケース移動機構40を制御して、光学部材保持部180を、イメージセンサ52に対して移動させるCPU141は、本発明の制御手段として機能する。フィルタ使用位置は、フィルタ182に対する本発明の第1位置に相当し、補助レンズ183に対する本発明の第2位置に相当する。補助レンズ使用位置は、フィルタ182に対する本発明の第2位置に相当し、補助レンズ183に対する本発明の第1位置に相当する。
S10で取得された移動指示(配置指示)に応じて、ユーザが選択した選択光学部材をイメージセンサ52の光路上に自動的に配置させることができる。このため、ユーザは移動指示(配置指示)を入力するという容易な操作によって、所望の補助光学部材をイメージセンサ52の光路上に配置させることができる。なお、第2の実施形態のミシン1では、カバー23によって2つの補助光学部材が覆われるように、カバー23の形状を変えてもよい。
なお、本発明のミシンは、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えてもよい。例えば、以下の(A)から(G)までの変形を適宜加えてもよい。
(A)イメージセンサ52の種類は適宜変更してもよい。例えば、イメージセンサ52は、CCDカメラ等、CMOSイメージセンサ以外の撮像素子であってもよい。
(B)イメージセンサ52の配置位置は適宜変更してもよい。例えば、以下の(B−1)から(B−4)のいずれかのようにイメージセンサ52が配置されてもよい。
(B−1)例えば、針棒ケース21の右側でなく、左側にイメージセンサ52が配置されてもよい。また例えば、複数の針棒31に挟まれる位置にイメージセンサ52を配置してもよい。より具体的には、図2に示す針棒ケース21のフレーム24内で、右から3番目の3番針棒と、右から4番目の4番針棒との間にイメージセンサ52が配置されてもよい。この場合、イメージセンサ52と、イメージセンサから最も離れた位置にある針棒31(最も外側の針棒31)との間の距離を短くすることができる。したがって、この場合、イメージセンサ52を撮像位置に移動させる際の、針棒ケース21の移動距離を短縮することができる。
(B−2)上記実施形態では、イメージセンサ52と、イメージセンサ52に隣接する針棒31との距離を、針棒31同士の間隔Xの整数倍としていた。しかし、イメージセンサ52と、隣接する針棒31との距離が間隔Xの整数倍でなくてもよい。また上記実施形態では、針棒ケース21は、螺旋カム48の位置決め部481と係合する係合コロ42に応じて、9つの位置のいずれかの位置で停止するとしていたが、これに限定されない。例えば、針棒ケース21は、針棒ケース21の移動可能範囲内の任意の位置で停止してもよい。
(B−3)上記実施形態では、複数の針棒31及びイメージセンサ52の中心軸線を平面視同一直線上に配置させていた。これにより、ミシン1はイメージセンサ52を針落ち位置の鉛直上方に容易に移動させることができる。しかし、例えば針棒ケースの移動経路が平面視にて円弧状となる多針ミシンであれば、針棒とともにイメージセンサも円弧状の移動経路を移動するように、針棒及びイメージセンサが円弧状に配置されればよい。
(B−4)上記実施形態では、イメージセンサ52の撮像方向を下方としていたが、撮像方向は適宜変更可能である。
(C)ミシン1が備える補助光学部材の種類と、数と、取り付け位置とのそれぞれは適宜変更可能である。例えば、ミシン1は、フィルタと、補助レンズと、プリズムとの少なくともいずれかを補助光学部材として備えていてもよい。フィルタとしては、例えば、カラーフィルタが挙げられる。補助レンズとしては、例えば、魚眼レンズと、広角レンズとが挙げられる。また例えば、光学部材保持部80,180は、取り外し可能であってもよい。また例えば、複数の補助光学部材が同時にイメージセンサ52の光路上に配置されてもよい。
(D)上記実施形態では、図9に示す撮像処理のS40において、ミシン1は、ミシン本体20に対するイメージセンサ52の位置を一定に保ち、且つミシン本体20に対する光学部材保持部80の位置を変更することによって、イメージセンサ52と、フィルタ82との相対位置を切り替えていた。しかし、ミシン1は、他の方法を用いてイメージセンサ52と、フィルタ82との相対位置を切り替えてもよい。例えば、ミシン1は、ミシン本体20に対して、イメージセンサ52の位置を変更することによって、イメージセンサ52と、フィルタ82との相対位置を切り替えてもよい。
(E)上記実施形態のミシン1において実行された撮像処理は適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、説明を簡単にするために、撮像処理開始時のイメージセンサ52の位置は縫製位置とされていたが、任意の位置が撮像処理開始時のイメージセンサ52の位置として設定されてもよい。また例えば、ミシンは、ユーザがミシンに入力した指示に従って、イメージセンサ52の撮像条件を随時切り替えてもよい。具体的には、例えば、図9の撮像処理において、ミシンは、ユーザがミシンに入力した指示に従って、イメージセンサ52の撮像位置を、フィルタ使用位置からフィルタ不使用位置に、又は、フィルタ不使用位置からフィルタ使用位置に切り替えてもよい。例えば、S10の指示の取得方法は適宜変更可能である。より具体的には、ミシンが備える専用のボタンによって指示が入力されてもよい。また例えば、上記実施形態では、図9に示す撮像処理のS60において、イメージセンサ52によって撮像された画像がLCD7に表示されていた。しかし、S50においてイメージセンサ52によって撮像された画像は、他の処理に利用されてもよい。
(F)第1の実施形態では、S20において撮像位置として、フィルタ使用位置及びフィルタ不使用位置のいずれかが 特定された。また第2の実施形態では、S20において撮像位置として、フィルタ使用位置及び補助レンズ使用位置のいずれかが特定された。しかし、撮像位置の内容や数は、ミシンが備える補助光学部材に応じて適宜変更可能である。例えば、撮像位置として、フィルタ使用位置及び補助レンズ使用位置に加え、フィルタ182及び補助レンズ183がイメージセンサ52の光路から退避されたフィルタ・補助レンズ不使用位置を設定してもよい。この場合、例えば、次のような構成により、ミシン1はフィルタ・補助レンズ不使用位置で撮像することができる。針棒ケース移動機構は、図4に示す最も右側の係合コロ42と距離X離れた位置に、10個目の係合コロ42を備える。そして、ユーザによって撮像位置としてフィルタ・補助レンズ不使用位置が選択された場合には、ミシン1は、最も右側の係合コロ42と螺旋カム48の位置決め部481とが係合する位置に針棒ケース21を移動させる。
(G)ミシン1の構成は適宜変更可能である。例えば、ミシン1の針棒の数は複数であればよい。また例えば、針棒ケース移動機構40は、ユーザによって手動で駆動されてもよい。また例えば、ミシン1は、アクチュエータを駆動源として、イメージセンサ52と光学部材保持部80とのいずれかが移動されるように構成されてもよい。センサ土台70と、ガイド板90とを備えるイメージセンサ保持機構51の構造は適宜変更してよい。また例えば、多針ミシン以外のミシンに本発明を適用してもよい。また例えば、針棒ケース21の移動可能範囲500と、保持範囲501と、切替範囲502とのそれぞれは、ミシン1の構成に応じて適宜変更可能である。