次に、本発明に係る遊技球回収装置の最良の実施形態を、添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は、遊技店における島設備の概略を示すもので、複数のパチンコ遊技機を横方向(図1においては紙面に直交する方向)に列設した遊技機列を背中合わせに2列設け、各遊技機に対応させて遊技球回収装置1を設けてある。なお、以下の説明においては、便宜上、遊技者に対面する向き(遊技機2の前側)を前方向として、前後左右の基準とする。
遊技球回収装置1は、遊技機2A,2Bから排出された遊技球(遊技を終えたアウト球等)を受け入れて、遊技球回収樋3へ導出するものであり、遊技機2A,2Bの背面側(島の内方に臨む側)から排出される遊技球を受け入れる球受けボックス10と、球受けボックス10を前後方向(遊技機の前後に対応する縦方向)へ移動可能に支持すると共に、球受けボックス10よりも後方且つ下方に遊技球検出器としてのセンサユニット30を保持する球受けボックス支持体20と、球受けボックス支持体20を支持する支持ピラー40と、遊技機2A,2Bが設置される設置台4に固定され、球受けボックス支持体20を支持する支持ピラー40を左右方向(遊技機の列設方向であり、遊技球回収樋3の配設された横方向)へスライド可能に支持する固定ベース50と、を備える。
固定ベース50は、例えば、遊技機裏面側の略中央位置で、且つ、後縁部が設置台4の島内端縁(回収樋3の開口縁)に沿った状態で、ビス止め等により固定する。そして、固定ベース50の上面側と、支持ピラー40の下部には、左右方向へ移動可能な嵌合構造を設けてあり、遊技機2A,2Bにおける遊技球の排出位置に応じて、支持ピラー40を横方向に移動させれば、球受けボックス10および球受けボックス支持体20の左右方向の位置を適宜に調整できる。
なお、固定ベース50と支持ピラー40に設ける左右方向へ移動可能な嵌合構造は特に限定されるものではないが、例えば、固定ベース50の上面に、左右方向の一直線上に凹部と凸部が交互に連続する波状レール部を設け、支持ピラー40の下部であって上記波状レール部に対向する位置には、この波状レール部の凹部と嵌合し得る嵌合凸部が前後方向へ揺動可能なように弾性支持する波状レール嵌合部を設け、固定ベース50に対して支持ピラー40を左右方向へ移動する際には、波状レール嵌合部に少なくとも1つ以上設けた嵌合凸部が、波状レール部の凸部を一つ一つ乗り越えながら次々と波状レールの凹部と嵌合してゆく構造とすることで、クリック感を伴うスライド移動を実現できる。
上記のようにして、設置台4へ固定ベース50を固定した遊技球回収装置1においては、球受けボックス支持体20の後方側に保持したセンサユニット30が概ね遊技球回収樋3の開口上方に位置することで、センサユニット30の球出口31より排出された遊技球は設置台4に当たることなく、そのまま遊技球回収樋3の底部へ落下してゆく。なお、遊技球検出器として機能するセンサユニット30は、所定数(例えば、4個)の遊技球が通過することで遊技球検出信号を出力するものでも良いし、遊技球を1個検出する毎に遊技球検出信号を出力するものでも構わない。
ここで、遊技機2Aのように遊技球の排出位置が比較的後方位置であれば、球受けボックス10が球受けボックス支持体20に対して標準状態(例えば、図2を参照)に支持されたままで、遊技機2Aから排出された遊技球を上面開放状の球受け空部11の略中央で受け入れることが出来る。しかしながら、遊技機2Bのように遊技球の排出位置が比較的前方位置である場合に、標準状態の球受けボックス10で排出球を受けると、球受け空部11の前方寄りに偏ってしまう。そこで、球受けボックス10を球受けボックス支持体20に対して前方へ移動させた調整状態(例えば、図3を参照)に変換すれば、遊技機2Bから排出された遊技球を球受け空部11の略中央で受け入れるように調整できる。
さらに、本実施形態に係る遊技球回収装置1においては、球受けボックス支持体20の下面側に適宜離隔させて前後方向に設けた一対の係止ガイド溝20a,20aに対して、支持ピラー40の上部に設けた複数の抜け止め係止片40aの上端係止部を各々係止することにより、球受けボックス支持体20が支持ピラー40から上方へ外れることの無いよう抜け止めし、前後方向へ所定量移動する毎にクリック感を伴うスライド移動構造を球受けボックス支持体20下面と支持ピラー40上部に設けた(図4を参照)。これにより、球受けボックス支持体20に対する球受けボックス10の前後移動による位置調整に加えて、支持ピラー40に対する球受けボックス支持体20の前後移動による位置調整が可能となり、球受けボックス10の前後方向への位置調整を高い自由度で行うことができる。
なお、球受けボックス支持体20と支持ピラー40に設ける前後方向へのスライド移動構造は特に限定されるものではないが、例えば、球受けボックス支持体20の下面に、前後方向の一直線上に凹部と凸部が交互に連続する波状レール部を設け、支持ピラー40の上部であって上記波状レール部に対向する位置には、この波状レール部の凹部と嵌合し得る嵌合凸部が左右方向へ揺動可能なように弾性支持する波状レール嵌合部を設け、支持ピラー40に対して球受けボックス支持体20を前後方向へ移動する際には、波状レール嵌合部に少なくとも1つ以上設けた嵌合凸部が、波状レール部の凸部を一つ一つ乗り越えながら次々と波状レールの凹部と嵌合してゆく構造とすることで、クリック感を伴うスライド移動を実現できる。また、支持ピラー40に対する球受けボックス支持体20の前後移動可能範囲において、抜け止め係止片40aが障害とならないように、係止ガイド溝20a,20aの開設範囲を設定してある。
また、支持ピラー40は、上部ピラー41と下部ピラー42の分割構造とし、上部ピラー41に対する下部ピラー42の下方延出量を変えることで、支持ピラー40を上下方向に伸縮させることができる。この支持ピラー40の伸縮機能により、遊技機2の背面側における球排出位置の高低に応じて、球受けボックス10の高さ調整を適宜に行うことができる。
次に、前述した球受けボックス支持体20に対して球受けボックス10を前後方向へ移動可能にするための構造を図5に基づいて説明する。
球受けボックス10の下面左側より右側にかけて、前後方向の第1リブ121,第2リブ122,第3リブ123,第4リブ124,第5リブ125,第6リブ126,第7リブ127を形成し、第1リブ121の下部左側方には略水平の第1抜け止め片121aを、第7リブ127の下部左側方には第2抜け止め片127aを、第1リブ121と第2リブ122との間には下方に突出する係合突起131aが上下に揺動し得る有弾性の第1係合部131を、第5リブ125と第6リブ126との間には下方に突出する係合突起132aが上下に揺動し得る有弾性の第2係合部132を、第3リブ123と第4リブ124との間には下方に突出する係止突起133aが上下に揺動し得る有弾性の係止部133を、第2リブ122と第3リブ123の間には下方に延出して側方へ屈曲する断面略L字状の抜け止め部材134を各々設ける。
一方、球受けボックス支持体20の上面側には、上記第1抜け止め片121aが上方へ移動して抜けないように規制する断面略L字状の第1規制部材21aと、上記第2抜け止め片127aが上方へ移動して抜けないように規制する断面略L字状の第2規制部材21bと、上記抜け止め部材134を上方から受け入れ得る幅の抜け止め部材挿通孔21c1および該抜け止め部材挿通孔21c1の後方側に設けられ抜け止め部材134が上方へ移動して抜けないようにする抜け止め部材受け部21c2を設ける。また、上記第1係合部131に対応する位置には第1係合受け部221を、上記第2係合部132に対応する位置には第2係合受け部222を、上記係止部133に対応する位置には係止受け部223を設ける。これら第1,第2係合受け部221,222および係止受け部223は、何れもの上方に突出した高台状の平坦な上面を有し、第1係合受け部221の上面には後方より前方に向って第1係合孔221a,第2係合孔221b,第3係合孔221cを、第2係合受け部222の上面には後方より前方に向って第1係合孔222a,第2係合孔222b,第3係合孔222cを、係止受け部223の上面には前後方向に長い係止孔223aを各々設けてある。
上記のように構成した球受けボックス支持体20へ球受けボックス10を取り付けるとき、球受けボックス10下面の抜け止め部材134が球受けボックス支持体20の抜け止め部材挿通孔21c1へ入るように上方から落とし込むと、球受けボックス10の第1,第2抜け止め片121a,127aは球受けボックス支持体20の第1,第2規制部材21a,21bの前側に位置するので、そのまま球受けボックス10を後方へ移動させると、略L字状に屈曲する抜け止め部材134は抜け止め部材受け部21c2の下方へ導入されて上方に抜けなくなり、また、球受けボックス10の第1,第2抜け止め片121a,127aは球受けボックス支持体20の第1,第2規制部材21a,21bによって上方に抜けなくなる。
球受けボックス10を球受けボックス支持体20の後方へ移動させるとき、第1係合部131の係合突起131aが第1係合受け部221の上面へ、第2係合部132の係合突起132aが第2係合受け部222の上面へ、係止部133の係止突起133aが係止受け部223の上面へ各々乗り上げ、更に後方へ移動させると、第1係合部131の係合突起131aが第1係合受け部221の第3係合孔221cに、第2係合部132の係合突起132aが第2係合受け部221の第3係合孔222cに、係止部133の係止突起133aが係止受け部223の係止孔223aに嵌まり込む。
ここで、第1係合部131の係合突起131aおよび第2係合部132の係合突起132aは、前後両方向に傾斜する三角形であり、係止部133の係止突起133aは後方に傾斜するが前方側は垂直な略直角三角形である。これにより、球受けボックス10を球受けボックス支持体20へ取り付けるために後方へ移動させるとき、第1,第2係合部131,132の各係合突起131a,132aおよび係止部133の係止突起133aが障害となることはないが、一旦、係止部133の係止突起133aが係止受け部223の係止孔223aに嵌まった後は、係止受け部223における係止孔223aの前側端縁に係止部133の係止突起133aが押し当たり、それよりも前側へ球受けボックス10が移動することを規制する。
更に球受けボックス10を後方へ移動させてゆくと、第1,第2係合部131,132の各係合突起131a,132aが第1,第2係合受け部221,222の第2係合孔221b,222bに嵌まり込み、安定した状態となる。更に球受けボックス10を後方へ移動させてゆくと、第1,第2係合部131,132の各係合突起131a,132aが第1,第2係合受け部221,222の第1係合孔221a,222aに嵌まり込み、安定した状態になると共に、第1係合受け部221の前方端221dが球受けボックス10の前壁部10aの下部後面側に設けた第1当接部10a1に、第2係合受け部222の前方端222dが球受けボックス10の前壁部10aの下部後面側に設けた第2当接部10a2に各々当接して、それよりも後方へ球受けボックス10が移動することはない。
なお、球受けボックス10の前後移動を円滑に行えるように、球受けボックス支持体20における第1係合受け部221の右側面を周接面221eとして球受けボックス10の第2リブ122の左側面下部を摺接させ、球受けボックス支持体20における第2係合受け部222の左側面を周接面222eとして球受けボックス10の第5リブ125の右側面下部を摺接させた。これにより、球受けボックス10の第2リブ122と第5リブ125がそれぞれ球受けボックス支持体20の周接面221eと周接面222eに沿ってスムーズに前後動するので、少ない摺動抵抗で球受けボックス10を前後に移動させることができる。
上記のように球受けボックス10を球受けボックス保持体20に取り付けた遊技球回収装置1において、例えば、球受けボックス支持体20における第1,第2係合受け部221,222の最も後方位置にある第1係合孔221a,222aに、球受けボックス10における第1,第2係合部131,132の各係合突起131a,132aが嵌入した状態を標準状態とし、クリック感がするまで球受けボックス10を前方へ押してゆくと、球受けボックス10における第1,第2係合部131,132の各係合突起131a,132aが球受けボックス支持体20における第1,第2係合受け部221,222の第2係合孔221b,222bに嵌入した第1調整状態(球受けボックス10を少し前方へ移動させて球受け位置を調整した状態)となり、更に、クリック感がするまで球受けボックス10を前方へ押してゆくと、球受けボックス10における第1,第2係合部131,132の各係合突起131a,132aが球受けボックス支持体20における第1,第2係合受け部221,222の第3係合孔221c,222cに嵌入した第2調整状態(球受けボックス10を最も前方へ移動させて球受け位置を調整した状態)となる。
このように、本実施形態の遊技球回収装置1においては、球受けボックス支持体20に対して球受けボックス10を2段階で前後方向にスライド移動させ、安定した標準状態の他にも、第1,第2調整位置に保持することができる。無論、3種類以上の調整位置に保持可能な構造としても良いし、無段階で球受けボックス10を移動させ、別途設けたストッパ機構によって球受けボックス支持体20へ固定するようにしても構わない。
なお、遊技球回収装置1が第2調整状態にあるとき、球受けボックス10における係止部133の係止突起133aを上方へ押し上げて、球受けボックス支持体20における係止受け部233の係止孔233aから外すと、球受けボックス10を更に後方へ移動させることができ、球受けボックス支持体20から取り外すことができる。このように、簡単な操作で球受けボックス10を球受けボックス支持体20から着脱できる構成とすれば、球受けボックス支持体20と球受けボックス10を分離させて、別々に清掃することができるので、清掃作業の効率が良い。
上述した球受けボックス10は、前壁部10aと後壁部10bと第1側壁部10c(例えば、右側の壁部)と第2側壁部10d(例えば、左側の壁部)に囲まれた領域内の底壁部10eの上方空間が球受け空部11として機能し、球受け空部11に受け入れた遊技球は、底壁部10eの上面に設けた有弾性パネル等よりなる緩衝材14上に落ち、緩やかに傾斜する底壁部10eの下流側(例えば、第1側壁部10dに向う左側)に段差部10fを介して設けた流路部材15へ向けて遊技球を誘導する。
上記流路部材15の上面は、前方から後方に向って下り傾斜する平板状の球流下面となり、その左側(球受け空部11と連通しない側)に位置する第2側壁部10dと右側(球受け空部11と連通する側)に位置する段差部10fによって遊技球の通過可能な球流路16が形成される。すなわち、この球流路16は、球受け空部11より流入した遊技球を下流である後向きに流下させ、球受けボックス支持体20の球誘導路23(例えば、上流側で前後方向の流路である流入部231、これに連なり流下方向を右側方へ曲げつつ球の流れを整える整流部232、これに連なり最下流端がセンサユニット30の球流入口に至る下流側の流出部233より構成)へ導くのである。また、球誘導路23は、球受けボックス10よりも後方且つ下方に位置するように球受けボックス支持体20に保持されたセンサユニット30へ、球受けボックス10の球流路16より受け入れた遊技球を効率良く導く流路構造である。
なお、球受けボックス10における後壁部10bと第2側壁部10dの一部を切り欠いて球導出開口10gを設けたので(例えば、図5を参照)、流路部材15の左側に第2側壁部10dが位置しない領域が生ずることとなるが、球受けボックス10が球受けボックス支持体20に支持されているときには、球受けボックス支持体20の上流外側壁20bが第2側壁部10dの外側に位置するので、この上流外側壁20bが球流路16の外側壁として機能し、流路部材15の流下端15aまで遊技球の流下が妨げられることはない。よって、球受けボックス10の球受け空部11から受け入れた遊技球は、流路部材15上を下流(後方)へ流下し、流下端15a(球出口)を抜けて、球受けボックス支持体20の球誘導路23へ導かれるのである。
また、球受け空部11より受け入れた遊技球を球流路16へ導入するに際して、例えば、球流路16の上流側(前側)のみに遊技球が導入されるように導入口を形成し、流路部材15上に導入された遊技球が下流(後方)に向けて勢い良く流下するようにして、流路部材15の流下端15aから球誘導路23へ至るまでに球止まりなどが生じないように構成しても良いが、本実施形態の遊技球回収装置1においては、球流路16から球誘導路23を経る標準流路における、球受け空部11からの遊技球が普通に流下してくる通常流入部の下流近傍であり、具体的には、球受けボックス10の球流路16の下流近傍に、球受けボックス10の球受け空部11から流路部材15へ遊技球が流下できないほど溢れたときに、流路部材15よりも下流となる球受けボックス支持体20の球誘導路23や整流構造部24に向けて遊技球を流下させることが可能な溢れ球流下許容開口部17を、球流路16から球誘導路23を経る標準流路の近傍に設け、遊技機の球抜き操作などで短時間に大量の遊技球が排出された場合には、大量の遊技球を速やかに球受けボックス10から球受けボックス支持体20へ導入し、迅速な遊技球の処理が行えるようにした。
但し、球受けボックス10に受け入れた遊技球が球誘導路23の整流部232によって整流されることなく流出部233へ直接流入してしまうと、センサユニット30への円滑な球の流れを阻害してしまうことになるので、底壁部10eの後方側適所で上方に突出する球流下規制部18を設け、溢れ球流下許容開口部17から流下する遊技球は整流部232もしくは整流構造部24へ至るように流下を規制し、また、整流構造部24の機能(後に詳述)によって、遊技球が球誘導路23の整流部232を経ることなく流出部233へ至って球詰まり等の不具合が生ずることを防止すると共に、遊技球を効率良く球誘導路23の整流部232へ送り出すことができる。
上記のようにして球受けボックス10から導入された遊技球をセンサユニット30へ誘導する球誘導路23は、主として、流路底部となる底壁部材25と、外側壁となる上流外側壁20b,整流外側壁20c,下流外側壁20dと、内側壁として機能する整流構造部24の側壁部241および側壁部241の下流側に連なる下流内壁20eとからなる。なお、整流構造部24の側壁部241の上流部は、球誘導路23における流入部231の内側壁として機能する前後方向の平坦な側壁であるが、これに連なる下流部は右側に曲がる整流部232の内側壁として機能すると共に、整流外側壁20cの凹凸(例えば、側方に屈曲する部位から下流に向って連続的に設けた第1膨出部20c1,第2膨出部20c2,第3膨出部20c3)に対応する突出部(例えば、第1膨出部20c1に対応する第1突出部241a、第2膨出部20c2に対応する第2突出部241b、第3膨出部20c3に対応する第3突出部241c)を備える。これにより、整流部232には、第1整流領域232a,第2整流領域232b,第3整流領域232cが形成され、これら第1〜第3整流領域232a〜232cによって遊技球を蛇行流下させると、上に重なって乗り上げている遊技球は秩序正しく一段に整列され、流出部233へ流下して行くのである。
球誘導路23の流入部231及びその上流側における底壁部材25には、球受けボックス10が最も後方に位置する標準状態において(図7(a)を参照)、流路部材15の流下端15aよりも下流側に現れている誘導領域251aと、流路部材15の下方に隠れている誘導調整領域251bとを形成してある。
このように、遊技球回収装置1が標準状態にあるとき、球受けボックス10の球流路16から導入された遊技球は、その流下方向と同じ向きに設定された誘導領域251a上を転動することとなるので、球受けボックス10の球流路16から球受けボックス支持体20の球誘導路23へ導入されたときに停滞して、球詰まりを起こす可能性は殆ど無く、球受けボックス10から球受けボックス支持体20への遊技球導入を円滑に行うことができる。
一方、遊技球回収装置1を調整状態(例えば、球受けボックス10を最も前方へ移動させた第2調整状態で、図7(b)を参照)に変換すると、球受けボックス10における流路部材15の流下端15a(球流路16の球出口)が誘導領域251aよりも前方へ移動してゆくこととなるが、その下方には誘導調整領域251bが現れるので、球受けボックス10の球流路16から導入された遊技球は、その流下方向と同じ向きに設定された調整誘導領域251b上を経て、誘導領域251a上を転動することとなるので、遊技球回収装置1が標準状態にあるときと同様、球受けボックス10から球受けボックス支持体20への遊技球導入を円滑に行うことができる。また、標準状態から調整状態に変換したとき、球受けボックス10の溢れ球流下許容開口部17から球受けボックス支持体20の球誘導路23や整流構造部24に向けて遊技球を流下させる状態も変化しないので、遊技球回収装置1を調整状態に変換して使用しているときに、球受けボックス10の球受け空部11から流路部材15へ遊技球が流下できないほど大量の遊技球を受け入れても、大量の遊技球を速やかに球受けボックス10から球受けボックス支持体20へ導入し、迅速な遊技球の処理が行える。
このように、本実施形態に係る遊技球回収装置1は、球受けボックス支持体20の球誘導路23を、球受けボックス10の球流路16の下方に、当該球流路16の球出口(遊技球の導出位置)の変化領域の全域(標準位置から第1調整状態を経て第2調整状態に至る誘導調整領域251b)に亘って重ねて設けることで、球受けボックス10の前後方向への移動に伴う球流路16における遊技球の導出位置の変位に応じて、球受けボックス支持体20の球誘導路23における遊技球の導入位置を調整することが可能な導入位置調整構造を実現したので、標準状態と調整状態との変換動作によって球誘導路23が途切れることはなく、球受けボックス10からの遊技球を円滑に受け入れてセンサユニット30へ誘導することが出来る。
また、本実施形態に係る遊技球回収装置1においては、遊技機から排出された遊技球を受け入れる球受け空部11を備える球受けボックス10自体の位置を移動させることによって、遊技機からの遊技球排出位置に応じた位置調整を行えるので、球受け空部11の略中央で遊技球を安定して受け入れ得るように球受けボックス10の位置調整を容易に行える。例えば、球受けボックスにおける球受け空部を前後方向へ拡張あるいは縮小するような構成とした場合には、拡張あるいは縮小された底部形状に合わせて緩衝材の形状を調整しないと、遊技機から落下してくる遊技球の円滑な受入が困難になるし、形状変化した球受け空部から遊技球検出器への遊技球誘導ルートの変化も考慮しなければならない。これに対して、本実施形態に係る遊技球回収装置1では、標準状態あるいは調整状態に状態変換を行っても、球受けボックス10の球受け空部11は変化せず、従って、球受け空部11から球流路16への遊技球流入形態は変化しないし、球受けボックス10の球流路16から球受けボックス支持体20の球誘導路23への遊技球導入に際しても、遊技球の流下方向(前後方向)が保持されるので、球受けボックス10から球受けボックス支持体20への球導入を円滑に行うことができる。
さらに、本実施形態に係る遊技球回収装置1においては、球受けボックス10の球流路16および球受けボックス支持体20の球誘導路23の上部は開放状とし、球詰まり等の異常が生じたときには、上方から目視による確認が容易になるようにした。また、球流路16および球誘導路23の上部開口から指や工具を差し入れて、球詰まりを解消することも出来る。更に、球流路16および球誘導路23の上部開口から綿棒のような清掃具を挿入して清掃作業を行うこともできる。なお、球受けボックス支持体20の球誘導路23と外部とを連通させる開口部は、上部に形成せずに、外側面や下面に形成しても良い。斯くする場合は、遊技球の球径よりも短い幅のスリット状開口とすることで、遊技球が流路から脱落して円滑な流下が妨げられるような事態を防止できる。
上記のようにして、球受けボックス10の球流路16より球受けボックス支持体20の球誘導路23へ導入された遊技球は、上流側の流入部231から整流部232を経て流出部233へ至り、この流出部233の流下端がセンサユニット30の球入口に連通しており、球誘導路23から導入された遊技球はセンサユニット30内で検出された後、球出口31より排出され、遊技球回収樋3へ落下してゆく。
なお、普通に稼働している遊技機から排出される遊技球を遊技球回収装置1で受け入れているときであれば、球受けボックス10の球受け空部14に落下した遊技球は球流路16から球受けボックス支持体20の球誘導路23へ整列して流れてくるので、特別な球整流機能は必要ないが、球抜きなどで短時間に大量の遊技球が遊技機より排出されたとき、球流路16および球誘導路23では、球が団子状に折り重なって、球誘導路23の底面である底壁部材25上を流下する遊技球の上段に遊技球が乗り上げた状態で溢れることになり、球詰まり等の不具合が生じる可能性がある。このようなときに、整流構造部24の機能により、球詰まりを生じさせない必要最小限の整流効果を得ることができ、球受けボックス支持体20の球誘導路23によって、更に高い整流効果を得るのである。
整流段部24は、溢れ球流下許容開口部17より流入した遊技球が通過できる緩やかな傾斜面(例えば、球誘導路23における流入部232の上流側に向って約3度の下り傾斜)の凹段部242と、この凹段部242の傾斜上端で略垂直に立ち上がる規制段差部243と、この規制段差部243と共に、遊技球が整流部232(例えば、第2整流領域232b)へ落ちることを阻止するように側壁部241よりも突出した阻止壁244を備える(図8および図9を参照)。
なお、段差部242や阻止壁244の高さは特に限定されるものではなく、球導出開口10gを抜けて凹段部242上に流入した遊技球が容易に乗り越えることのできない高さがあれば十分である。また、阻止壁244の幅は、段差部242および阻止壁244によって球誘導路23への流入を阻止された少なくとも1個の遊技球が凹段部242の傾斜に沿って下降したり他の遊技球に当たって上昇したりする往復運動(以下、振り子運動という)を行うときのガイドとなる適宜な長さを確保しておくことが望ましい。
以下、整流構造部24による整流機能を図10に基づき説明する。
球詰まり解消時や球抜き時には、遊技機から球受けボックス10に対して多量の球が排出されるため、整流構造部24の凹段部242上にも球が流れ込む(図10(a1),(a2)を参照)。しかし、その流量が凹段部242一杯に貯まるほどでなければ、球流路16から球誘導路23を経る標準流路により遊技球が流れて行くので、球止まりや球詰まりが生ずることなく、円滑にセンサユニット40へ誘導できる。
更に多くの遊技球が球受けボックス10の球受け空部14に貯まってくると、整流構造部24の凹段部242一杯に遊技球があふれることとなるが、規制段部243と阻止壁244に阻まれて球誘導路23の整流部232へ流れ込めないように停留される遊技球(以下、これを球Aという)が生じ、球Aの後続の遊技球も同様に堰き止められるので、整流部232を超えて流出部233へ流入してしまうような事はない(図10(b1),(b2)を参照)。
また、球Aと横方向(凹段部242の傾斜方向)に列んで、凹段部242の整流部232側(例えば、第1,第2整流領域232a,232bに臨む位置)に停留している遊技球(以下、球Bという)は、底壁部材25上を流下する遊技球(以下、球Cという)の上に乗り上げている遊技球(以下、球Dという)に阻害されて球誘導路23へ流れ込むことができない。また、球Aと前後方向に列んで、規制段部243に流下を規制されている球(以下、球Eという)は、球Bの前側(球が流入してくる球受け空部14側)に停留している遊技球(以下、球Fという)が凹段部242の傾斜面に沿って球誘導路23側へ移動することを阻む。また、球Fの前側に停留している遊技球(以下、球Gという)には、更に前側に貯まっている遊技球の圧力がかかる。このようにして、整流構造部24の凹段部242上の球Bには、後続の球F,球G等からの圧力が作用し、さらに、これに整流構造部24の凹段部242の傾斜面に沿って球誘導路23における流入部232の上流側に向う力と、底壁部材25上を流下する球Dからの整流部232の下流側に向かって流れる力が加わって、結果、球Bは、整流部232の中流辺りに流入する。
そして、底壁部材25上を流下している球Cが第1〜第3整流領域232a〜232cを経て下流へと移動して行くとき、球Cに乗り上げていた球Dが底壁部材25上を流下するように均されて行き、球Dが均された後にできる空き領域へ球Bが流れ込み、球Bが移動した空き領域に球Fが、球Fが移動した空き領域に球Gが移動してくる(図10(c1),(c2)を参照)。このとき、球Aは、球Bおよび後続の球Fの移動に伴って、その都度、凹段部242の傾斜面に沿って球誘導路23側へ移動しようとするが、後続の球Fおよび球Gによって阻まれ、結果として、球B〜球Gの球面に当接して振り子運動を行い、整流部232へ流れ込む球の流量を適量(図に示す例では、遊技球2個)に制限する。この事前の流量制限が行われることで、整流部232における整流領域(例えば、第1〜第3整流領域232a〜232c)の距離が短くても、適切な整流(1段への球均し)が行われることになる。なお、この球Aの存在がないと、多量の球F,Gが一気に整流部232へ流れ込むことになり、整流部232では整流し切れないばかりか球詰まりも発生する。
上記のようにして、球Aの振り子運動による遊技球の整流が行われ、整流構造部24の凹段部242上に停留していた遊技球が整流部232へ送り出されて行くと、球Aはその役目を終え、凹段部242の傾斜(整流部232の上流側に向う下り傾斜)に沿って自重で流下し、整流部23の流入部231または整流部232の上流適所へ流れ込み、センサユニット40へと誘導されて行く(図10(d1),(d2)を参照)。
すなわち、本実施形態に係る遊技球回収装置1においては、球受け空部11に受け入れられた遊技球をセンサユニット30へ導く標準流路として、球受け空部11の一側(左側)から後方に向う略直線状の流路(球受けボックス10の球流路16および球受けボックス支持体20の球誘導路23の上流部231)から、側方へ折れ曲がる屈曲部(整流部232)を有する流路構造を採用し、球受け空部11へ多量の遊技球を受け入れたときに、標準流路の上流側(球受け空部11からの遊技球が普通に流下してくる通常流入部であり、具体的には、球受けボックス10の球流路16)に受け入れられずに溢れた遊技球が標準流路の所定部位(通常流入部よりも下流側となる部位)へショートカットして流入する溢れ球流下許容開口部17は、球受け空部11の後方一側(左側)より整流構造部24から整流部232へ向けて溢れ球を流入させ得るように、標準流路における通常流入部の下流側近傍に形成し、溢れ球流下許容開口部17から整流部232へ至る部位に設けられる整流構造部24には、標準流路を通る遊技球よりも高い位置で標準流路と隣接し、該隣接する標準流路の部位(整流部232の第1〜第3整流領域232a〜232cを設けた部位)における上流側に向って下り傾斜する棚状の溢れ球受入面として凹段部242と、凹段部242に受け入れられた遊技球が、凹段部242の傾斜上端を超えて移動することがないように規制する規制部として規制段部243と、凹段部242の標準流路側における傾斜上端に設けられ、当該傾斜上端から遊技球が標準流路へ流入することを阻止する阻止部として阻止壁244を設けたので、整流構造部24の凹段部242に受け入れられた遊技球の内、少なくとも規制段部243と阻止壁244とによって標準流路への流入が阻まれている遊技球が凹段部242の傾斜に沿った振り子運動を行うことで、凹段部242から標準流路へ流れ込む球の流量を適量に制限することができ、球詰まりを生じさせない必要最小限の整流効果が得られる。
また、球誘導路23の整流部232には、遊技球が流路側面に沿って蛇行する蛇行流路構造の第1〜第3整流領域232a〜232cを設けたので、更に高い整流効果を得ることができる。なお、本実施形態の遊技球回収装置1においては、整流構造部24によって流下制限された遊技球が流れ込める部位(整流構造部24と隣接する領域)よりも上流側(左側)から蛇行流路構造を設けたが、これよりも下流側に蛇行流路構造を設けても良い。
上述した第1実施形態に係る遊技球回収装置1においては、標準流路を屈曲状の流路とし、この屈曲部に対して整流構造部を設けるものとしたが、標準流路の形状や整流構造部の形成位置等は、これに限定されるものではない。
例えば、図11(a)に示す第2実施形態に係る遊技球回収装置1′においては、底部が後方に下り傾斜する球受け空部61の後方から一側方(右側)へ延びる直線流路構造の標準流路62から遊技球検出器へ向けて遊技球を流下させ、球受け空部61の後方における標準流路延出側(右側)より標準流路62へ向けて溢れ球を流入させ得るように溢れ球流下許容開口部63を形成し、球受け空部61の標準流路延出側後部(溢れ球流下許容開口部63の形成部位)と標準流路64との交接部に整流構造部64を設ける。
整流構造部64は、標準流路62を通る遊技球よりも高い位置で標準流路62と隣接し、標準流路62の上流側(左側)に向って下り傾斜する棚状の溢れ球受入面641と、溢れ球受入面641に受け入れられた遊技球が、溢れ球受入面641の傾斜上端を超えて移動することがないように規制する規制部たる側方規制面642と、溢れ球受入面641の標準流路62側(後側)における傾斜上端(右側端)に設けられ、当該傾斜上端(右側端)から遊技球が標準流路62へ流入することを阻止する阻止部643と、を備える。
上記のように構成した遊技球回収装置1′において、球受け空部61に大量の球が流入し、遊技球が標準流路62を秩序正しく流下できなくなって、多段に積み重なってくると、溢れ球流下許容開口部63から整流構造部64の溢れ球受入面641に乗り上げた遊技球が貯まってくる。しかしながら、少なくとも側方規制面642と阻止部643とによって標準流路62への流入が阻まれている遊技球が溢れ球受入面641の傾斜に沿った振り子運動を行うことで、溢れ球受入面641から標準流路62へ流れ込む球の流量を適量に制限することができ、球詰まりを生じさせない必要最小限の整流効果が得られる。
なお、上記第1実施形態における球誘導路23の整流部232と同様に、遊技球が流路側面に沿って蛇行する蛇行流路構造を設ければ、更に高い整流効果を得ることができる。蛇行流路構造を設けるに際して、整流構造部64によって流下制限された遊技球が流れ込める部位(整流構造部24と隣接する領域)よりも上流側(左側)から蛇行流路構造を設けても良いし、これよりも下流側に蛇行流路構造を設けても良い。
図11(b)に示す第3実施形態に係る遊技球回収装置1″においては、底部が一側方(左側)に下り傾斜する球受け空部71の一側方(左側)から後方へ延びる直線流路構造の標準流路72から遊技球検出器へ向けて遊技球を流下させ、球受け空部71の後方における標準流路延出側(左側)より標準流路72へ向けて溢れ球を流入させ得るように溢れ球流下許容開口部73を形成し、球受け空部71の標準流路延出側後部(溢れ球流下許容開口部73の形成部位)と標準流路74との交接部に整流構造部74を設ける。
整流構造部74は、標準流路72を通る遊技球よりも高い位置で標準流路72と隣接し、標準流路72の上流側(前側)に向って下り傾斜する棚状の溢れ球受入面741と、溢れ球受入面741に受け入れられた遊技球が、溢れ球受入面741の傾斜上端を超えて移動することがないように規制する規制部たる後方規制面742と、溢れ球受入面741の標準流路72側(左側)における傾斜上端(後方端)に設けられ、当該傾斜上端(後方端)から遊技球が標準流路72へ流入することを阻止する阻止部743と、を備える。
上記のように構成した遊技球回収装置1″において、球受け空部71に大量の球が流入し、遊技球が標準流路72を秩序正しく流下できなくなって、多段に積み重なってくると、溢れ球流下許容開口部73から整流構造部74の溢れ球受入面741に乗り上げた遊技球が貯まってくる。しかしながら、少なくとも後方規制面742と阻止部743とによって標準流路72への流入が阻まれている遊技球が溢れ球受入面741の傾斜に沿った振り子運動を行うことで、溢れ球受入面741から標準流路72へ流れ込む球の流量を適量に制限することができ、球詰まりを生じさせない必要最小限の整流効果が得られる。
なお、上記第1実施形態における球誘導路23の整流部232と同様に、遊技球が流路側面に沿って蛇行する蛇行流路構造を設ければ、更に高い整流効果を得ることができる。蛇行流路構造を設けるに際して、整流構造部74によって流下制限された遊技球が流れ込める部位(整流構造部24と隣接する領域)よりも上流側(左側)から蛇行流路構造を設けても良いし、これよりも下流側に蛇行流路構造を設けても良い。
以上、本発明に係る遊技球回収装置の実施形態を添付図面に基づいて説明したが、本発明の包摂範囲は、これらの実施形態に限定されるものではなく、公知既存の手法を適宜転用することで実現しても構わない。