JP4829841B2 - 遊技機島設備 - Google Patents

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Description

本発明は、遊技機島設備に関する。
遊技球を用いて遊技をおこなうパチンコ機やパロット機は、これに遊技球を供給する球貸機(いわゆる「サンド」)や、揚送研磨装置、各種電気配線などとともに、長尺の構造体からなる遊技機島設備(以下「島設備」と略記する場合がある。)に長手方向の側方から嵌め込んで設置される。遊技機および球貸機(以下あわせて「遊技機器」という場合がある。)は、島設備の長手方向に下り傾斜した転動面を備える補給樋の側方に、交互に横並びに配置されるが、遊技機に設けられたハンドル(発射装置)を遊技者が右手で操作して遊技をしなければならない関係から、球貸機は左手で操作できるよう遊技機に向かって左側に設置されることが一般的である。
したがって、遊技機および球貸機は、補給樋の左岸(下り方向に対する左側方)においてはその上流側から順に遊技機、球貸機、遊技機、球貸機・・・と繰り返し交互に配置される。一方、補給樋の右岸(下り方向に対する右側方)においてはその上流側から順に球貸機、遊技機、球貸機、遊技機・・・と左岸とは逆順にて繰り返し交互に配置されることとなる。
遊技球は、島設備の上部に架設された補給樋の転動面上を長手方向に流下しながら、その側方に所定間隔ごとに開口形成されたシュートを通じて遊技機や球貸機に分配供給される。球貸機を介して遊技機に供給された遊技球は、シュートから遊技機に送られて賞球として貯留された遊技球とともに遊技に供されると、遊技機の背面側に設けられた計数装置を経由したのち、アウト球回収樋(溝樋)にむけて排出される。アウト球回収樋は島設備の長手方向に沿ってその内部下方に設けられ、最下端には下部タンクが設置されている。アウト球回収樋を通じて下部タンクに回収された遊技球は、揚送研磨装置にて清掃研磨されながら島設備の上部に設置された上部タンクに送られる。上部タンクは補給樋の上流側端部に向けて開口しており、遊技球は所定の流量にて補給樋に供給される。
このように遊技機器と島設備との間で循環する遊技球は、転動面上での滞留時間が長くなると徐々に塵や埃が付着して汚れていく。遊技球に汚れが付着すると、遊技者に不快感を与えるのみならず、遊技機器の内部に当該汚れが持ち込まれて汚損や誤作動を生じる原因となる。
したがって従来の島設備にあっては、転動面上で滞留している遊技球を強制的に補給樋からアウト球回収樋に向けて排出するための排出機構を補給樋の下流端側に設け、当該下流端に滞留した遊技球を定期的に強制排出している(下記特許文献1,2を参照)。
特許文献1には、転動面の下流端に設けられた玉抜きストッパーを開放することで、転動面上に貯留されたパチンコ玉を玉抜き通路に排出することのできる島設備が記載されている。かかる島設備において、玉抜きストッパーは転動面上に設けられ、玉抜き通路の始端は転動面に向けて開口形成されている。
特許文献2には、補給樋の幅方向にスライド可能なシャッター手段で仕切られた下流側に、透孔およびこれと連通した玉戻し経路が設けられた島設備が記載されている。かかる島設備において、透孔は幅方向の中央に設けられ、また透孔に至る遊技球の流路には転動面がそのまま用いられている。また同文献には、転動面の左岸手前側にあたる側方に玉抜きチューブが設けられた島設備の従来例も記載されている。
特開2006−000351号公報 特開平9−173608号公報
近時、遊技店における遊技者の足元スペース拡大の要請から、補給樋や島設備は幅方向(短手方向)に縮小化される傾向にあり(例えば特開2003−135825号公報を参照)、上記従来の島設備にあっては、補給樋の下流端に設けられた球抜き通路(玉抜き通路、玉戻し経路)と球貸機との干渉が問題となる。
すなわち球貸機は、その幅寸法を極力小さくして、島設備に対する遊技機の設置台数を多く確保することが求められるため、凡そ遊技機の最大奥行寸法と同程度に所要の奥行寸法を有するものである。そして、その背面には種々の配線が接続され、島設備に設けられた電子機器類や遊技機と球貸機との間で情報交換が可能なように構成されている。
したがって補給樋が幅狭となることにより、島設備の左岸においては、島設備の側方から嵌め込まれる球貸機の背面またはそこに接続された種々の配線が球抜き通路と干渉するおそれを生じることになる。仮にこれらが直接干渉しなかったとしても、球貸機背面における配線接続作業をおこなう場合には、球抜き通路が近接した位置に存することとなり、その作業性を低下させるおそれを生じることになる。
なお、球貸機や遊技機との干渉を避けるべく球抜き通路をこれらの更に下流側にずらして設けた場合には、球貸機や遊技機を設置することのできないデッドスペースが島設備の下流端に生じることとなり、遊技機の設置効率の面で問題がある。
また、補給樋の幅寸法が縮小されることで、その下流端に滞留する遊技球の数密度が上昇することから、強制排出される遊技球を従来以上に効率的に球抜き通路に導入する必要がある。
これに対し従来の島設備においては、球抜き通路の始端が転動面の中央や左岸手前側に単純に開口形成されるにとどまることから、補給樋の下流端近傍での遊技球の転動性が十分でなく、上部タンクより転動面に間断なく供給される遊技球が効率的に強制排出されないという問題があった。
本発明はこれら2つの問題をともに解決することを目的としてなされたものであり、すなわち島設備に対する遊技機の設置効率を低下させることなく、また遊技機や球貸機と干渉することなく、補給樋の下流端に滞留した遊技球を効率的に強制排出することのできる遊技球排出装置を備える島設備を提供することを目的とする。本発明のその他の目的については以下の説明より明らかとなろう。
本発明にかかる島設備に備えられる遊技球排出装置は、球抜き通路の形成位置を補給樋の短手方向の右岸側に寄せることで球貸機の背面との干渉を避けるとともに、球抜き通路に遊技球を導くための排出面に短手方向の左岸側から右岸側に向かう下り傾斜を与えることで補給樋の下流端近傍における遊技球の滞留を防止するという技術思想に基づいてなされたものである。
すなわち本発明は、
(1)長手方向に下り傾斜した転動面上を流下する遊技球を、前記転動面の側方に交互に横並びに設置される(a)前記遊技球を用いて遊技がおこなわれる複数台の遊技機、または(b)前記長手方向の上流側に隣接する遊技機に遊技球を供給する前記複数台の球貸機、に対して分配供給する補給樋を有する遊技機島設備において、
(i)転動面の下流端から遊技球を取り込むための、幅方向に開口した取込口と、(ii)補給樋の左岸側から右岸側に向かって短手方向に下り傾斜した、前記取り込まれた遊技球を転動させる排出面と、(iii)補給樋の右岸側であって、補給樋のもっとも下流側に設置された前記球貸機の背面位置に、始端が開口形成された、前記取り込まれた遊技球を排出するための球抜き通路と、(iv)前記取り込まれる遊技球の流路を開放または閉止可能な球止金具と、を備え、前記遊技機または球貸機に分配供給されずに補給樋の下流端に至った遊技球を排出する遊技球排出装置を、さらに有し、
補給樋は、転動面を有する底板と、該底板を載置する設置枠とを備えて、底板と設置枠とをボルトで固定しており、
底板は、上面を転動面とするとともに下面側に設置枠に載置される搭載面を有し且つ、該搭載面に、補給樋と設置枠とを固定するボルトの頭を挿通するボルト挿通溝を形成しており、
遊技球排出装置は、取込口と排出面を形成され且つ球止金具を開閉自在に取り付けられて取込口を開閉自在とされる本体と、該本体から補給樋に向かって突出形成されるとともに補給樋にボルトで固定される差込片を備えており、
差込片を固定するボルトは、該ボルトの頭を前記ボルト挿通溝に挿通される、ことを特徴とする遊技機島設備;
(2)排出面は、転動面の下り勾配よりも大きく下り傾斜して形成されており、
球止金具は、該球止金具の開閉に応じて上げ下ろしされて取込口を開口閉止する開閉面を備えるとともに、該開閉面の下縁に鋸歯状の球止歯を設けており、
球抜き通路は、該球抜き通路の下端に、所定の方向に撓ませた可撓性の樹脂チューブを装着している、上記(1)に記載の遊技機島設備;
(3)底板は、搭載面の下方に、底板の幅方向外側に向かって横溝を形成しており、
差込片は、該差込片の幅方向の端部を横溝に挿通されており、且つ、差込片の幅方向の両端部を斜め下方に曲げられて板バネ部を形成している、上記(1)または(2)に記載の遊技機島設備;
を要旨とする。
本発明の遊技球排出装置を備える遊技機島設備によれば、球抜き通路の始端開口を補給樋の短手方向の右岸側に寄せて設けたことにより、左岸最下流位置に設けられる球貸機と、右岸最下流位置に設けられる遊技機のいずれとも球抜き通路が干渉することがない。
したがって球抜き通路を、最下流位置に設置された遊技機器の幅内に少なくとも一部が重なるようにして設けることができるため、遊技機器のさらに下流側にこれを完全に突出して設ける必要がなく、島設備に対する遊技機器の設置効率を低下させることがない。
また補給樋の転動面の下流端から球抜き通路まで遊技球を導く排出面に対して左岸側から右岸側に向かう下り傾斜を設けることにより、遊技球に対して補給樋の短手方向に向かう加速度を与えることができる。これにより、球抜き通路に向かう遊技球の速度を十分に得て排出面上での遊技球の滞留を防ぎ、遊技球の効率的な強制排出が可能となる。
これに対し従来の島設備においては、球抜き通路の始端が転動面の幅中心または左岸手前側に開口形成されていたため、遊技球が補給樋の短手方向に転動する加速度が与えられず、補給樋の幅中央近傍や左岸側を転動流下してきた遊技球のみが遅滞なく球抜き通路に導入されるにとどまり、補給樋の下流端では遊技球が滞留して迅速な強制排出ができないという相違がある。
また本発明においては、転動面から排出面に取り込まれる遊技球の流路を開閉可能な球止金具を設けることで、所望のタイミングで遊技球の流路を開放して遊技球の強制排出を行い、それ以外の場合は流路を閉止しておくことが可能である。
また本発明のより具体的な態様として、取込口の下縁と排出面との間に下り段差を設けてもよい。これにより、段差を落下する際に遊技球が重力で加速され、排出面上での転動性がさらに良好となる。またかかる段差で仕切られることにより、長手方向に転動する転動面上の遊技球と、短手方向に転動する排出面上の遊技球とが互いに交じり合うことがなく、転動面の下流端近傍や排出面上で遊技球が滞留することが防がれる。
図1は本発明にかかる遊技球排出装置10の一実施形態と、これを備える遊技機島設備(島設備)50の一例を示す部分側面模式図である。同図は島設備50の左岸を示すものである。同図右方は図示を省略している。
図2は、遊技球排出装置10近傍に関する図1の拡大図である。
図3(a)は、本実施形態の遊技球排出装置10の球止金具20を開放した状態を示す上方斜視図、同図(b)は同じく下方斜視図である。図4(a)は、本実施形態の遊技球排出装置10の球止金具20を閉止した状態を示す上方斜視図、同図(b)は同じく下方斜視図である。
図5(a)は、本実施形態の遊技球排出装置10を島設備50の上流側から見た正面図、同図(b)は補給樋60を長手方向に垂直に切った垂直断面図(横断面図)、同図(c)は遊技球排出装置10を補給樋60に対して装着した状態を示す正面図である。ただし同図(a)および(c)において球止金具20は図示を省略している。
図1に示すように、本実施形態の島設備50は図の左右方向を長手方向とし、所定の下り勾配をもって当該方向に伸びる補給樋60が上部に架設されている。多数の遊技球が内部に蓄えられた上部タンク70が補給樋60の上流端に設けられ、遊技球が所定の流量で補給樋60に供給される。
補給樋60は大別して、長手方向に下り傾斜した転動面61を上面として備える底板62と、底板62に沿ってその幅方向両側に立設された側面板63と、転動面61が所望の下り勾配θとなるよう底板62を載置固定する設置枠64とからなる。
側面板63には、遊技機100の台間ピッチごとに開口が設けられ、当該開口から遊技球を取り込むシュート67が取り付けられる。
転動面61の下り勾配θは、通常3〜5°程度とされる。勾配θが過小であると遊技球の転動性が十分に得られずその供給効率が低下して、遊技機100で大当りが発生して大量の賞球を要する場合などに迅速に所要の遊技球を供給することができなくなる。また勾配θが過大であると補給樋60の最大高さがきわめて高くなり、島設備50のメンテナンス性が悪くなるとともに遊技者に圧迫感を与えることとなる。
補給樋60の側方には、各複数台の遊技機100と球貸機110とが交互に横並びに設置され、上記複数個のシュート67から供給管68を通じてそれぞれに遊技球が分配供給される。球貸機110は、図示のように遊技機100の遊技盤面102に向かって左側に設置され、一般に右手で遊技機100を遊技操作する遊技者が、左手で球貸機110を操作することができる。したがって補給樋60の左岸の最下流位置には球貸機110aが設置され、その上流側に隣接して、対になる遊技機100aが設置される。また島設備50の長手方向に沿って横並びに設置される遊技機100の設置台数が極力多く確保されるよう、図示のように球貸機110は遊技機100よりも幅狭に構成されている。
なお、図1に示される島設備50の裏側にあたる右岸(図示せず)の最下流位置には遊技機100が設置され、その遊技盤面に向かって左隣に隣接して、これと対になる球貸機110が設置されることとなる。
本発明の島設備50に設置される遊技機100としてはパチンコ機が代表的に例示される。本実施形態においてもこれを用いるものとする。図6は本実施形態の島設備50に遊技機100として設置されるパチンコ機200の三面図であり、同図(a)はその平面図、同図(b)は遊技盤面204に向かった正面図、同図(c)は背面図である。遊技者が操作するハンドル205はパチンコ機200の正面に向かって右側に設けられている。
一般的なパチンコ機200は、機体の外郭をなす外枠201と、各種の遊技用構成部材210を取り付ける中枠202とが開閉および着脱自在に組み付けられて構成される。遊技用構成部材210としては、機体背面側に設けられる制御基板類211やその保護カバー、図柄変動ゲームなどを可変表示するセンター役物の背面を保護する裏カバー部材212、配線類を接続する外部接続端子板213、賞球を貯留する貯留球排出経路部214、遊技球の入賞に応じて賞球を払い出す賞球払出装置215、賞球の払い出し数やタイミングを制御する払出制御装置216、パチンコ機に電源を供給する電源コード217などが挙げられる。したがって中枠202の背面に突出する最大奥行寸法は、これらの遊技用構成部材210がセットされる関係から外枠201に比してより大きなものとなる。
パチンコ機200で遊技に供された遊技球はパチンコ機200の背面から排出され、島設備50の内側下部において長手方向に伸びるアウト球回収樋71に送られる。アウト球回収樋71は、島本体75に固定された腰板74によって遊技者から掩蔽されている。またアウト球回収樋71の勾配方向は補給樋60とは逆であり、すなわち補給樋60の上流側に向かう下り傾斜をもっている。アウト球回収樋71の下流端には下部タンク72が設けられ、アウト球回収樋71を通じて回収された遊技球を一旦貯留する。貯留された遊技球は揚送研磨装置73によって上部タンク70に揚送されつつ、その内部に設けられた研磨布などによって清掃研磨される。上部タンク70に揚送された遊技球は補給樋60に供給されて再度の遊技に供される。
島設備50には、一本の補給樋60の幅方向両側にパチンコ機200や球貸機110を横並びに設置する場合と、補給樋60の右岸または左岸のいずれか一方のみにパチンコ機200や球貸機110を設置する場合とがある。本発明は上記いずれの場合にも対応可能であるが、本実施形態では前者の態様について説明する。後者については後述する。
<遊技球排出装置について>
上部タンク70から補給樋60に供給された遊技球のうち、最下流位置のシュート67を空過したものは、遊技機器に分配供給されることなく補給樋60の下流端近傍に滞留する。上述のようにかかる滞留した遊技球に塵や埃が付着することを防ぐため、本発明の遊技球排出装置10を用いてこれを補給樋60から強制排出する。強制排出された遊技球は揚送研磨装置73に送られて清掃研磨され、再度上部タンク70を経由して補給樋60に供給される。
遊技球排出装置10からの遊技球の強制排出先は、一般にはアウト球回収樋71であるが、図示しない他の回収経路に遊技球を排出してこれを揚送研磨装置73に送ってもよく、または遊技球を貯留タンク等に一旦排出した上でこれをアウト球回収樋71や上記他の回収経路に送ってもよい。
本実施形態の遊技球排出装置10は大別して、全体に箱形をなす本体12と、本体12から下方に突出して設けられた球抜き通路14と、遊技球排出装置10を補給樋60に装着するための差込片19とからなる。
箱形の本体12は、側面の少なくとも一方向が遊技球の取り込みのために開閉可能に構成されている。本実施形態においては、図3(a)に示すように、下向きコ字状に曲げ形成された球止金具20の立面である開閉面28を引き上げることによって、差込片19が突出形成された本体12の右手前側の側面(開口面)が上面とともに開いて取込口23が開口する。球止金具20は、開口面と対向する背面16に対してヒンジ17によって開閉自在に取り付けられている。
本体12の開口面には立片18がその幅方向に亘って設けられている。立片18の上辺22と差込片19とは平行である。差込片19には接合片34が曲げ形成されて立設されており、接合片34を立片18に対してスポット溶接などにより接合することで差込片19が本体12と一体化されている。差込片19の幅方向の両端は斜め下方に曲げられて板バネ部35が形成されている。また差込片19には、前方に開口したU字の切欠36が幅方向の対称位置に二箇所設けられている。差込片19は後述のように補給樋60に対して遊技球排出装置10を装着するために用いられる。
遊技球排出装置10の材料は特に限定されるものではなく、入手性や強度、加工性などの観点から冷間圧延鋼板(SPCC)などの金属材料が用いられる。本体12、球止金具20、差込片19はそれぞれ板材を曲げ形成してなり、球抜き通路14は金属製の円筒を本体12の底面32に溶接することで形成されている。上面が開口した本体12は、一部が排出面30として斜め上方に折り曲げられた底面32の周囲四面(立片18、側面21,21aおよび背面16)を上方に折り曲げ、立片18および背面16を一部延伸して形成した接合片37を側面21,21aにスポット溶接するなどして箱形をなしている。
本体12の幅寸法は補給樋60の転動面61の短手方向の寸法と同等またはこれよりも大きく形成されている。立片18の上辺22と、転動面61の下流端とを面一にあわせ、球止金具20の開閉面28を引き上げて遊技球の流路を開放することにより、上辺22を下縁とする取込口23が開口する。これにより、転動面61の下流端に滞留する遊技球を、側面21をガイドとして本体12に取り込むことができる。なお遊技球排出装置10を補給樋60に取り付けるに際しては、上記のように立片18の上辺22を転動面61と面一の高さとするほか、遊技球が本体12からこぼれ落ちることのない限り、これを転動面61よりも低位置としてもよい。
一方、図4(a)に示すように球止金具20の開閉面28を下ろすことで取込口23が閉止され、転動面からの遊技球の取り込みが停止される。取込口23を閉止する開閉面28の下縁には鋸歯状の球止歯24が設けられており、転動面上を密集して流れる遊技球群の中に開閉面28を突き立てて流路を閉止する操作が容易におこなわれる。球止歯24の鋸歯の幅および深さは、遊技球を通過させない程度に小さく形成されている。
球止金具20の上面25にはタップ孔26が穿設されている。タップ孔26にはノブなどの図示しない把持部材を装着してもよい。また上面25の幅方向両端には延伸部27が形成され、閉止状態(図4)においてはこれが側面21にあたることで球止金具20の閉止位置が決まる。
本体12の内部には、幅方向に下り傾斜した排出面30が設けられ、排出面30を下った低位置には球抜き通路14の始端14aが開口形成されている。これにより、取込口23を通じて本体12に取り込まれた遊技球は排出面上を幅方向に向かって転動し、重力による加速度を受けながら始端14aに導入されて球抜き通路14より効率的に排出される。
排出面30は、補給樋60の左岸側から右岸側、すなわち遊技球の取込方向に対して幅方向の左側から右側に向かって角度φ(図5(a)を参照)で下り傾斜している。そしてかかる下り傾斜の先に球抜き通路14の始端14aが開口形成されている。始端14aの中心位置は、底面32の面内であって、取込方向に対して本体12の幅方向の右側である。
かかる構成とすることにより、補給樋60の両岸に遊技機器が横並びに設置された島設備50に対して本発明の遊技球排出装置10を取り付けた場合に、球抜き通路14が、補給樋60の短手方向の中央よりも右岸側に寄ることとなる。したがって球抜き通路14は、左岸の最下流位置に設置された比較的奥行寸法の大きな球貸機110aの背面と、右岸の最下流位置に設置された比較的奥行寸法の小さな遊技機(パチンコ機)の外枠背面とに対して、ともに干渉しない。すなわち、補給樋60の下流端近傍で背中合わせに設置された左岸側の球貸機110aの背面と、右岸側のパチンコ機の外枠背面との間に挟まれる位置、すなわち補給樋60のもっとも下流側に設置された球貸機110aの背面位置に球抜き通路14を設けることにより、島設備50にデッドスペースを設けることなく遊技球の強制排出が可能となる。
上述のように遊技機100としてパチンコ機200を用いる場合、その中枠202からは遊技用構成部材210が背面側に突出して取り付けられることから、中枠202の最大奥行寸法は外枠201よりも大きく、球貸機110の該寸法と同程度となる。したがって補給樋60の右岸側に寄せられた球抜き通路14が右岸側最下流位置のパチンコ機200の遊技用構成部材210と干渉または至近に近接しないよう、球抜き通路14は右岸側の該パチンコ機200の外枠201の背面と、左岸側の球貸機110の背面とに挟まれた領域に設け、右岸側の該パチンコ機200の備える遊技用構成部材210よりも下流側に設けることが好ましい。特に下記のように可撓性の樹脂チューブ40を球抜き通路14の下端から垂下する場合には、多量の遊技球が内部を落下することに伴って樹脂チューブ40が揺動しうることから、当該遊技用構成部材210と樹脂チューブ40とが干渉してパチンコ機200の故障を招くおそれがある。
したがってかかる場合、より具体的な球抜き通路14の位置としては、右岸側最下流位置に設置されるパチンコ機200の下流側における外枠背面幅W1(図6(a),(c)を参照)内か、または中枠202の背面に重なる場合については、外枠201の最大奥行寸法を越えて背面側に突出する遊技用構成部材210のうちもっとも下流側にあるもの(本実施形態では貯留球排出経路部214がこれに相当する)が設けられていない中枠側縁幅W2内(同図を参照)とするとよい。
本実施形態では、箱形の本体12の底面32のうち、幅方向の左岸側が上方に折り曲げられて排出面30が形成され、始端14aは差込片19と平行な平面部33に開口形成されている。このほか本発明においては、底面32の全体を左岸側から右岸側に向かって下り傾斜させ、傾斜面に始端14aを開口形成してもよい。また始端14aの開口は、底面32の面内のみならず、背面16や、右岸側の側面21aに一部かかってもよい。
排出面30の下り傾斜角度φは、転動面61の下り勾配θよりも大きくすることが好ましい。上述のように転動面61の下り勾配θは島設備50全体の高さ寸法の制約などにより上限が規定されるが、遊技球排出装置10の排出面30についてはかかる制約がなく、転動面61よりも急傾斜とすることができる。これにより排出面30上における遊技球の転動性を十分に高め、本体12内で遊技球が滞留することを防ぐことができる。
立片18の上辺22と排出面30との間には、高さH(図3各図を参照)の下り段差が設けられている。これにより、上辺22と転動面61とを面一の高さとした場合も、遊技球は転動面61の下流端から排出面30に落下して本体12に取り込まれることとなる。したがって本体12に取り込まれた遊技球が転動面61に逆流することがなく、また排出面30上を短手方向(幅方向)に転動する遊技球が、転動面61上を長手方向に転動流下する遊技球の流れを阻害することがない。
球抜き通路14は、遊技球排出装置10の本体12に取り込まれた遊技球をアウト球回収樋71などに向けて排出するための流路を具体的に構成するものであり、その形状や材質は特に限定されるものではない。本実施形態においては、図3,4各図に示すように上端が始端14aと連通し、下端が下向きに開口した円管によって構成されている。したがって排出面30や平面部33を転動して、または取込口23から直接落下して始端14aに至った遊技球は、球抜き通路14から落下して排出される。
球抜き通路14には、下端をアウト球回収樋71に沿って撓ませた可撓性の樹脂チューブ40(図1,2を参照)を装着して、始端14aからアウト球回収樋71に落下した遊技球の衝撃を低減するとよい。樹脂チューブ40の上端はクランプ41によって着脱可能に球抜き通路14に装着されている。樹脂チューブ40の内壁面には螺旋状の凸条を形成し、遊技球を当該螺旋に沿って緩やかに落下させている。
<遊技球排出装置の取付方法について>
図5各図を用いて、本実施形態の遊技球排出装置10を補給樋60の下流端に取り付ける態様を説明する。図5(a)は球止金具20を図示省略した遊技球排出装置10の正面図であり、本体12より紙面手前側に向かって差込片19が突出形成されている。
図5(b)に横断面図を示す補給樋60は上方開口したコ字状断面をなし、転動面61を上面とする底板62と、その両幅に沿って立設される側面板63とが分離構成されている。底板62はアルミニウム合金などの金属材料からなり、側面板63はABSなどの樹脂材料からなる。
転動面61は幅中央が膨出し、両端に向かって下る上に凸形状をなし、側面板63に装着されるシュート67(図1,2を参照)への遊技球の導入を効率化している。底板62の両側には側面板63を嵌合装着するための取付溝80が設けられている。
底板62は下面側に凹部82が座ぐり形成され、その薄肉部には、転動面の結露を防止するヒータを装着するためのガイド83が設けられている。また厚肉部には、設置枠64に載置される搭載面85がフラットに形成され、搭載面85にはボルト挿通溝84が上下方向に設けられている。また搭載面85の下方には、底板62の幅方向の外側に向かって横溝81が設けられている。
ボルト挿通溝84には、底板62を設置枠64に固定するためのボルトの頭と、遊技球排出装置10の差込片19を底板62に固定するためのボルトの頭がともに挿入される。換言すると、底板62を設置枠64に固定するためのボルト挿通溝84を利用して差込片19を底板62にボルト固定しており、補給樋60の下流端には遊技球排出装置10を装着するための特別な加工は不要である。したがって、補給樋60を長手方向に複数本に分割構成としてその連結本数を任意で変更する場合にも、いずれの補給樋60に対しても遊技球排出装置10を装着することができる。
図5(c)に示すように、遊技球排出装置10の差込片19を底板62の下流端より横溝81に挿通し、差込片19の上面を搭載面85に当接させた状態で、ボルト挿通溝84と切欠36とを一致させてボルト90を下向きに通し、これをナットで締結することにより、遊技球排出装置10を補給樋60に対して着脱可能に装着することができる。
接合片34は凹部82よりも幅狭に形成されており、これが底面32の下流端と接触することはない。したがって底面32の下流端は遊技球排出装置10の立片18と当接し、転動面61の下流端と立片18の上辺22とは隙間なく面一に並び、転動面61から遊技球排出装置10に取り込まれる遊技球の転動性が阻害されることがない。
遊技球排出装置10と補給樋60との取り付けを着脱可能とすることにより、遊技球の強制排出が不要の場合は本発明の遊技球排出装置10に替えて、補給樋60の下流端には固定式の球止部材を取り付けることも可能である。
搭載面85に挿入された差込片19の両端には板バネ部35が曲げ形成されている。したがって差込片19と底面32の幅寸法の加工公差により差込片19が横溝81の幅寸法を超えた場合にも、板バネ部35が撓むことで差込片19を横溝81に装着可能である。
補給樋60の左岸または右岸のみに遊技機器が横並びに設置された島設備50に対しても本発明の遊技球排出装置10を用いることができる。特に球貸機110が最下流位置に配置される左岸側のみに遊技機器が設置される島設備50については、奥行寸法の大きな球貸機110と干渉せず、またはその背面側への配線接続作業を阻害しないよう球抜き通路14を奥行側(右岸側)に寄せることが好ましく、本実施形態の遊技球排出装置10をそのまま使用することができる。遊技機100(パチンコ機200)が最下流位置に配置される右岸側のみに遊技機器が設置される島設備50についても、パチンコ機200の外枠背面幅W1内または中枠側縁幅W2内(図6を参照)は奥行寸法が小さいゆえ、これらの背面と球抜き通路14とを干渉または至近に近接させることなく本実施形態の遊技球排出装置10をそのまま使用することができる。
本発明にかかる遊技球排出装置10の一実施形態と、これを備える遊技機島設備(島設備)50の一例を示す部分側面模式図である。 遊技球排出装置10近傍に関する図1の拡大図である。 (a)は本実施形態の遊技球排出装置10の球止金具20を開放した状態を示す上方斜視図、(b)は下方斜視図である。 (a)は本実施形態の遊技球排出装置10の球止金具20を閉止した状態を示す上方斜視図、同図(b)は下方斜視図である。 (a)は本実施形態の遊技球排出装置10を島設備50の上流側から見た正面図、(b)は補給樋60を長手方向に垂直に切った垂直断面図(横断面図)、(c)は遊技球排出装置10を補給樋60に対して装着した状態を示す正面図である。 パチンコ機200の三面図であり(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は背面図である。
符号の説明
10 遊技球排出装置
12 本体
14 球抜き通路
14a 始端
19 差込片
20 球止金具
23 取込口
24 球止歯
28 開閉面
30 排出面
32 底面
40 樹脂チューブ
50 遊技機島設備
60 補給樋
61 転動面
71 アウト球回収樋
100 遊技機
110 球貸機
200 パチンコ機
201 外枠
202 中枠
210 遊技用構成部材
W1 外枠背面幅
W2 中枠側縁幅

Claims (3)

  1. 長手方向に下り傾斜した転動面上を流下する遊技球を、前記転動面の側方に交互に横並びに設置される(a)前記遊技球を用いて遊技がおこなわれる複数台の遊技機、または(b)前記長手方向の上流側に隣接する遊技機に遊技球を供給する前記複数台の球貸機、に対して分配供給する補給樋を有する遊技機島設備において、
    (i)転動面の下流端から遊技球を取り込むための、幅方向に開口した取込口と、(ii)補給樋の左岸側から右岸側に向かって短手方向に下り傾斜した、前記取り込まれた遊技球を転動させる排出面と、(iii)補給樋の右岸側であって、補給樋のもっとも下流側に設置された前記球貸機の背面位置に、始端が開口形成された、前記取り込まれた遊技球を排出するための球抜き通路と、(iv)前記取り込まれる遊技球の流路を開放または閉止可能な球止金具と、を備え、前記遊技機または球貸機に分配供給されずに補給樋の下流端に至った遊技球を排出する遊技球排出装置を、さらに有し、
    補給樋は、転動面を有する底板と、該底板を載置する設置枠とを備えて、底板と設置枠とをボルトで固定しており、
    底板は、上面を転動面とするとともに下面側に設置枠に載置される搭載面を有し且つ、該搭載面に、補給樋と設置枠とを固定するボルトの頭を挿通するボルト挿通溝を形成しており、
    遊技球排出装置は、取込口と排出面を形成され且つ球止金具を開閉自在に取り付けられて取込口を開閉自在とされる本体と、該本体から補給樋に向かって突出形成されるとともに補給樋にボルトで固定される差込片を備えており、
    差込片を固定するボルトは、該ボルトの頭を前記ボルト挿通溝に挿通される、ことを特徴とする遊技機島設備。
  2. 排出面は、転動面の下り勾配よりも大きく下り傾斜して形成されており、
    球止金具は、該球止金具の開閉に応じて上げ下ろしされて取込口を開口閉止する開閉面を備えるとともに、該開閉面の下縁に鋸歯状の球止歯を設けており、
    球抜き通路は、該球抜き通路の下端に、所定の方向に撓ませた可撓性の樹脂チューブを装着している、請求項1に記載の遊技機島設備。
  3. 底板は、搭載面の下方に、底板の幅方向外側に向かって横溝を形成しており、
    差込片は、該差込片の幅方向の端部を横溝に挿通されており、且つ、差込片の幅方向の両端部を斜め下方に曲げられて板バネ部を形成している、請求項1または2に記載の遊技機島設備。
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