<第1の実施の形態>
以下、遊技機の一種であるパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)の第1の施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はパチンコ機10の正面図、図2はパチンコ機10の主要な構成を展開して示す斜視図である。なお、図2では便宜上パチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
図1に示すように、パチンコ機10は、当該パチンコ機10の外殻を形成する外枠11と、この外枠11に取り付けられた遊技機主部12とを有している。
外枠11は木製の板材を四辺に連結し構成されるものであって矩形枠状をなしている。パチンコ機10は、外枠11を島設備に取り付け固定することにより、遊技場の島設備に設置される。なお、パチンコ機10において外枠11は必須の構成ではなく、遊技場の島設備に外枠11が備え付けられた構成としてもよい。
この外枠11によって遊技機主部12が開閉可能な状態で支持されている。具体的には、図1に示すように、外枠11における上枠部と左枠部との連結部分に上側支持用金具17が固定されており、さらに外枠11における下枠部と左枠部との連結部分に下側支持用金具18が設けられている。これら上側支持用金具17及び下側支持用金具18により支持機構が構成され、当該支持機構により外枠11に対して遊技機主部12がパチンコ機10の正面視で左側を回動基端側、右側を回動先端側としてパチンコ機10の前方へ回動可能とされている。
図2に示すように、遊技機主部12は、ベース体としての内枠13と、その内枠13の前方に配置される前扉枠14と、内枠13の後方に配置される裏パックユニット15(図3参照)とを備えている。なお、遊技機主部12のうち内枠13が外枠11に対して回動可能に支持されている。
前扉枠14は、パチンコ機10の正面視で左側を回動基端側、右側を回動先端側として前方へ回動可能となるようにして内枠13に取り付けられており、裏パックユニット15は、パチンコ機10の正面視で左側を回動基端側、右側を回動先端側として後方へ回動可能となるようにして内枠13に取り付けられている。
ここで、前扉枠14について説明する。なお、以下の説明では、図1及び図2を参照するとともに、前扉枠14の背面の構成については図3を参照する。図3は前扉枠14の背面図である。
図2に示すように、前扉枠14は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす合成樹脂製の枠体20を主体に構成されており、内枠13における前面側のほぼ全域を覆っている。枠体20の中央部分には後述する遊技領域PEのほぼ全域を前方から視認することができるようにした略楕円状の窓部21が形成されており、その窓部21はガラスユニット30によって同前扉枠14の背面側から覆われている(図3参照)。
図3に示すように、枠体20には窓部21を囲むようにしてガラスユニット設置部22が形成されている。詳しくは、ガラスユニット設置部22は、枠体20の背面側に配されているとともにパチンコ機10の前方に向けて凹んでおり、その底部に上記窓部21が形成されている。ガラスユニット30は、ガラスユニット設置部22に嵌まることで上下方向及び左右方向への変位が規制されている。
ガラスユニット30は、透明性を有するガラスパネル31,32と、それらガラスパネル31,32を保持するガラスホルダ33とを備えている。ガラスホルダ33は、窓部21に沿って形成された環状の枠部を有しており、同枠部によって囲まれた領域にガラスパネル31,32が収容され、それらガラスパネル31,32によって遊技領域PEがパチンコ機10の正面側から2重に覆われる構成となっている。
枠部には、ガラスパネル31,32を収容している側とは反対側に突出するようにして枠体20に対する取付部が複数形成されている。これら取付部は枠体20の背面に対向する板状をなしており、枠体20には、それら取付部を同枠体20との間に挟んで挟持するレバー部材23が設けられている。レバー部材23は、取付部を挟持する挟持位置と挟持しない解除位置とに回動可能な状態で取り付けられている。レバー部材23において取付部と対向している部分には同取付部側に突出する凸部が形成されており、同凸部が取付部に形成された凹部に嵌まることにより、上記挟持位置から解除位置への移動が規制された状態、すなわち挟持位置にて保持された状態となっている。
再び図1を参照して説明すれば、窓部21の周囲には各種ランプ等の発光手段が設けられている。例えば、窓部21の周縁に沿ってLED等の発光手段を内蔵した環状電飾部24が設けられている。環状電飾部24では、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて点灯や点滅が行われる。また、環状電飾部24の中央であってパチンコ機10の最上部には所定のエラー時に点灯するエラー表示ランプ部25が設けられ、窓部21の左右両側には賞球払出中に点灯する賞球ランプ部26が設けられている。また、中央のエラー表示ランプ部25に近接した位置には、遊技状態に応じた効果音などが出力されるスピーカ部27が設けられている。
前扉枠14における窓部21の下方には、手前側へ膨出した上側膨出部28と下側膨出部29とが上下に並設されている。上側膨出部28内側には上方に開口した上皿28aが設けられており、下側膨出部29内側には同じく上方に開口した下皿29aが設けられている。上皿28aは、後述する払出装置より払い出された遊技球を一旦貯留し、一列に整列させながら後述する遊技球発射機構側へ導く機能を有している。また、下皿29aは、上皿28a内にて余剰となった遊技球を貯留する機能を有している。
下側膨出部29並びとなる位置には、手前側へ突出するようにして遊技球発射ハンドル41が設けられている。遊技球発射ハンドル41が操作されることにより、後述する遊技球発射機構から遊技球が発射される。
前扉枠14の背面には、図2及び図3に示すように、通路形成ユニット50が取り付けられている。通路形成ユニット50は、合成樹脂により成形されており、上皿28aに通じる前扉側上皿通路51と、下皿29aに通じる前扉側下皿通路52とが形成されてなる。通路形成ユニット50において、その上側隅部には後方に突出し上方に開放された受口部53が形成されており、当該受口部53を仕切壁54によって左右に仕切ることで前扉側上皿通路51と前扉側下皿通路52の入口部分とが形成されている。前扉側上皿通路51及び前扉側下皿通路52は上流側が後述する遊技球分配部に通じており、前扉側上皿通路51に入った遊技球は上皿28aに導かれ、前扉側下皿通路52に入った遊技球は下皿29aに導かれる。
次に、図4に基づき内枠13について詳細に説明する。図4は内枠13の正面図である。なお、図4においては、図2と同様にパチンコ機10の遊技領域内の構成を省略している。
内枠13は、外形が外枠11とほぼ同一形状をなす樹脂ベース70を主体に構成されている。樹脂ベース70の前面における回動基端側(図4の左側)には、その上端部及び下端部に支持金具71,72が取り付けられている。また、前扉枠14の背面における回動基端側(図3の右側)には、それら支持金具71,72に対応させて突起軸61,62が設けられている。図示は省略するが、支持金具71,72には軸孔が形成されており、それら軸孔に前扉枠14の突起軸61,62が挿入されることにより、内枠13に対して前扉枠14が回動可能に支持されている。つまり、これら支持金具71,72及び突起軸61,62は内枠13に対する組付機構を構成している。
内枠13の前面には施錠装置75が設けられている。施錠装置75は、前扉枠14に向けて延びる複数の前扉用鉤部材76を有している。これら前扉用鉤部材76に対応させて、前扉枠14の背面には内枠13側に延びる鉤受け部材63が複数設けられている。前扉用鉤部材76が鉤受け部材63に引っ掛かることにより前扉枠14が閉じた状態で施錠される。また、施錠装置75は、内枠13の後方へ延びる内枠用鉤部材77を有している。これら内枠用鉤部材77が外枠11の鉤受け部材19に引っ掛かることにより遊技機主部12が外枠11に対して閉じた状態で施錠される。
樹脂ベース70の右下隅部には、施錠装置の解錠操作を行うためのシリンダ錠78が設置されている。シリンダ錠78は施錠装置に一体化されており、その先端部分(鍵穴部分)が上記前扉枠14に設けられた孔部を通じてパチンコ機10の前方に露出している。シリンダ錠78の鍵穴に差し込んだキーを右に回すことで内枠13に対する前扉枠14の施錠が解除され、同キーを左に回すことで外枠11に対する内枠13の施錠が解除される。
樹脂ベース70前面の略中央部分には、遊技盤80を収容する遊技盤収容部73が形成されている。遊技盤収容部73は、パチンコ機10の後方に凹み、遊技盤80を収容する収容空間を区画しており、樹脂ベース70に取り付けられた遊技盤80がその収容空間に嵌まった状態となっている。本実施の形態においては特に、遊技盤80が樹脂ベース70に対して着脱可能に取り付けられており、メンテナンス作業等の容易化が図られている。
遊技盤80は、木製の合板と同合板における前側の板面を覆うシート材とを有してなり、その前面が遊技盤収容部73の開放部分を通じて樹脂ベース70の正面側に露出している。この露出している部位、すなわち遊技盤80の前面には、遊技球が流下する遊技領域PEが形成されている。既に説明したように遊技領域PEはガラスパネル32によって覆われている。ガラスパネル32は、遊技盤80の前面との隙間が遊技球の直径よりも僅かに大きくなるように、すなわち遊技領域PEを流下する遊技球が同遊技領域PEの同一箇所にて前後に並ばないように配置されている。これにより、遊技領域PEでの球詰まりを抑制している。なお、遊技盤80は木製に限定されるものではなく、合成樹脂材料を用いて形成することも可能である。
以下、図5に基づき遊技盤80(特に遊技領域PEに配された各種構成)について説明する。図5は遊技盤80の正面図である。
遊技盤80には、ルータ加工が施されることによって自身の厚さ方向(前後方向)に貫通する大小複数の開口が形成されている。各開口には、一般入賞口81、可変入賞装置82、作動口83a,83b、スルーゲート84及び可変表示ユニット85等がそれぞれ設けられている。一般入賞口81、可変入賞装置82及び作動口83a,83bに遊技球が入ると、それら遊技球が後述する検知スイッチにより検知され、その検知結果に基づいて所定数の賞球の払い出しが実行される。その他に、遊技盤80の最下部にはアウト口86が設けられており、各種入賞口等に入らなかった遊技球はアウト口86を通って遊技領域PEから排出される。
また、遊技盤80には、遊技球の流下経路を適宜分散,調整等するために多数の釘87が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)が配設されている。これら釘87や風車等の各種構成によって、遊技球の流下経路が分化され、上述した一般入賞口81等への入賞が適度な確率で発生するように調整されている。
可変入賞装置82は、通常は遊技球が入賞できない又は入賞しにくい閉状態になっており、大当たりの際に遊技球が入賞しやすい所定の開放状態に切り換えられるようになっている。可変入賞装置82の開放態様としては、所定時間(例えば30秒間)の経過又は所定個数(例えば10個)の入賞を1ラウンドとして、同可変入賞装置82の開放が複数ラウンド(例えば15ラウンド)を上限として繰り返されるように設定されている。
可変表示ユニット85は遊技盤80の中央上寄りに配置されており、その下方に作動口83a,83bが配置されている。より詳しくは、作動口83a,83bは、作動口83aを上側、作動口83bを下側として上下に並設されている。可変表示ユニット85及び作動口83a,83bは、遊技性を司る部位であり遊技者の注意が集まりやすい。それら可変表示ユニット85及び作動口83a,83bを遊技機中央において上下に並べて配置することで両者間での視線の移動量を抑え、遊技者の目に生じる負担の低減に貢献している。
可変表示ユニット85は、作動口83a,83bへの入賞をトリガとして図柄を可変表示する図柄表示装置94を備えている。図柄表示装置94は、液晶ディスプレイ(表示画面94a)を備えた液晶表示装置として構成されており、後述する表示制御装置によりその表示内容が制御されている。具体的には、表示画面94aにおいては、上段,中段及び下段に並べて図柄が表示され、これらの図柄が左右方向にスクロールされるようにして変動表示される。そして、大当たり発生時には、予め設定されている有効ライン上に所定の組合せの図柄が停止表示され、特別遊技状態へと移行される。なお、表示画面94aにおける表示態様を以下のように変更してもよい。すなわち、左,中及び右に並べて図柄を表示し、それら図柄を上下スクロールさせるようにして変動表示させてもよい。
また、可変表示ユニット85は、図柄表示装置94を囲むようにして形成されたセンターフレーム95を備えている。センターフレーム95の上部には、第1特定ランプ部96及び第2特定ランプ部97が設けられている。また、センターフレーム95の上部及び下部にはそれぞれ保留ランプ部98,99が設けられている。下側の保留ランプ部98は、図柄表示装置94及び第1特定ランプ部96に対応しており、遊技球が作動口83を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部98の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。上側の保留ランプ部99は、第2特定ランプ部97に対応しており、遊技球がスルーゲート84を通過した回数は最大4回まで保留され保留ランプ部99の点灯によってその保留個数が表示されるようになっている。
再び図4を用いて説明すれば、樹脂ベース70における遊技盤収容部73(遊技盤80)の下方には、遊技球発射ハンドル41の操作に基づいて遊技領域PEへ遊技球を発射する遊技球発射機構110が設けられている。遊技球発射機構110は、所定の発射待機位置に配置された遊技球を打ち出すソレノイド111と、同ソレノイド111によって打ち出された遊技球の発射方向を規定する発射レール112と、上記発射待機位置に遊技球を供給する球送装置113と、それら各種構成111〜113が装着されているベースプレート114とを主要な構成として備えており、同ベースプレート114が樹脂ベース70に対してネジ止めされることで内枠13に対して一体化されている。
発射レール112は、遊技盤80側に向けて上り傾斜となるように、斜めに傾いた状態でベースプレート114に固定されている。発射レール112の下流側の端部(すなわち下端部)寄りとなる位置には、球送装置113から供給された遊技球を上述した発射待機位置に留める球ストッパ115が配されている。球ストッパ115よりも更に下流側となる位置に、上記ソレノイド111が配置されている。
ソレノイド111は、後述する電源・発射制御装置に対して電気的に接続されている。その電源・発射制御装置からの電気的な信号の出力に基づいてソレノイド111の出力軸が伸縮方向に往復動することにより、発射待機位置に置かれた遊技球が遊技盤80側、詳しくは遊技盤80に装着された誘導レール100に向けて打ち出される。
誘導レール100は、遊技領域区画部材108と共に遊技領域PEを同遊技領域PEの外形が略円形状となるように区画形成している。また、誘導レール100は、遊技球の直径よりも若干大きな隙間を隔てて対峙するように配置された内レール101及び外レール102からなり、それら両レール101,102によって一条の誘導通路103が区画形成されている。誘導通路103は、発射レール112の先端側(斜め下方)に開放された入口部分104と、遊技領域PEの上部に位置する出口部分105とを有している。ソレノイド111の動作に基づいて発射された遊技球は、発射レール112→誘導レール100(入口部分104→出口部分105)の順に移動することにより遊技領域PEに導かれる。なお、遊技盤80において出口部分105の先側、詳しくは内レール101の先端付近には、遊技領域PEに到達した遊技球の同誘導通路103内への逆戻りを防止する逆戻り防止部材106が取り付けられており、先んじて遊技領域PEに至った遊技球によって後続する遊技球の打ち出しが妨げられることを抑制している。
誘導レール100を構成している各レール101,102は、遊技領域PEの略中央部分を中心とする円弧状をなしている。このため、誘導通路103を通過する遊技球は、自身に発生する遠心力により外レール102に沿って、すなわち外レール102に接触したまま移動(摺動又は転動)しやすくなっている。
同図4に示すように、誘導レール100及び発射レール112は、同誘導レール100の入口部分104と発射レール112の先端部分とが遊技盤80の下端縁を挟んで斜めに対峙するように配置されている。つまり、それら両レール100,112は、同誘導レール100の入口部分104と発射レール112の先端部分とが遊技盤80の下端縁近傍にて左右にずれるようにして配置されている。これにより両レール100,112を遊技盤80の下端縁に近づけつつ、誘導レール100の入口部分104と発射レール112との間には所定間隔の隙間を形成している。
このようにして形成された隙間よりも下側にはファール球通路55が配設されている。ファール球通路55は前扉枠14の通路形成ユニット50に一体成形されている。仮に遊技球発射機構110から発射された遊技球が遊技領域PEまで至らずファール球として誘導通路103内を逆戻りする場合には、それらファール球が上記隙間を介してファール球通路55内に入ることとなる。ファール球通路55は前扉側下皿通路52に通じており、ファール球通路55に入った遊技球は図1に示した下皿29aに排出される。これにより、ファール球と次に発射される遊技球との干渉が抑制される。
また、樹脂ベース70には、遊技盤収容部73からの遊技盤80の取り外しを不可とするロック状態と、同遊技盤80の取り外しを許容するアンロック状態とに切替可能なロック装置79が複数設けられている。ロック装置79はロック状態にて遊技盤80の前面に当接する当接部を有しており、同当接部が遊技盤80の前面に当接することによって遊技盤80の前扉枠14側への変位が抑えられることとなる。なお、ロック装置79による遊技盤の保持強度は、ガラスユニット30を枠体20に固定するレバー部材23の保持強度よりも高くなるように設定されている。
樹脂ベース70において発射レール112の左方(詳しくは前扉枠14を支持している側)には、樹脂ベース70を前後方向に貫通する貫通孔に通路形成部材121が配設されている。通路形成部材121は、樹脂ベース70に対してネジ止めされており、本体側上皿通路122と本体側下皿通路123とを有している。それら本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123の上流側は、後述する遊技球分配部に通じている。また、通路形成部材121の下方には前扉枠14に取り付けられた通路形成ユニット50の受口部53が入り込んでおり、本体側上皿通路122の下方には前扉側上皿通路51が配置され、本体側下皿通路123の下方には前扉側上皿通路51が配置されている(図3参照)。
樹脂ベース70において通路形成部材121の下方には、本体側上皿通路122及び本体側下皿通路123からの遊技球の流出を規制するシャッタ124が設けられている。シャッタ124は、両通路の出口部分を狭め遊技球の流出を阻止する阻止位置と、遊技球の流出を許容する許容位置との両位置に切り替え可能な状態で樹脂ベース70によって支持されている。また、樹脂ベース70にはシャッタ124を阻止位置に向けて付勢する付勢部材が取り付けられており、前扉枠14を内枠13に対して開いた状態では付勢部材の付勢力によってシャッタ124が阻止位置に留まる構成となっている。これにより、本体側上皿通路122又は本体側下皿通路123に遊技球が貯留されている状態で前扉枠14を開放した場合に、その貯留球がこぼれ落ちてしまうといった不都合が回避されている。これに対し、前扉枠14を閉じた状態では、前扉枠14の通路形成ユニット50に設けられた受口部53により上記付勢力に抗してシャッタ124が許容位置に押し戻される。この状態では、本体側上皿通路122及び前扉側上皿通路51と、本体側下皿通路123及び前扉側下皿通路52とがそれぞれ連通し、遊技球の移動が許容されることとなる。
次に、図6に基づき内枠13(樹脂ベース70及び遊技盤80)の背面構成について説明する。図6は内枠13の背面図である。
樹脂ベース70の背面における回動基端側(図6の右側)には、軸受け金具131が取り付けられている。軸受け金具131には、上下に離間させて軸受け部132,133が形成されており、これら軸受け部132,133により内枠13に対して裏パックユニット15が回動可能に取り付けられている。
樹脂ベース70における遊技盤収容部73の底部分(後述する対向板部251)には樹脂ベース70の厚さ方向に貫通し同樹脂ベース70の背面側に開放された中央開口74が形成されており、その中央開口74が遊技盤収容部73に収容された遊技盤80によって内枠13の正面側から覆われている。遊技盤80の背面には制御装置等の各種構成が搭載されており、それら各種構成は中央開口74を通じて内枠13の背側に露出した状態となっている。ここで、図7に基づき遊技盤80の背面の構成について詳細に説明する。図7は遊技盤80を後方から見た斜視図である。
遊技盤80の背面には、可変表示ユニット85を遊技盤80に対して搭載する合成樹脂製の台座部材141が固定されている。台座部材141は、遊技盤80側に開放された略箱状をなしており遊技盤80の背面のほぼ全域を覆っている。台座部材141の一部は樹脂ベース70の中央開口74を通じて同樹脂ベース70の背面側に突出しており、その突出した部分に対して上述した図柄表示装置94と、その図柄表示装置94を駆動するための表示制御装置とが取り付けられている。これら図柄表示装置94及び表示制御装置は前後方向(樹脂ベース70の厚さ方向)に図柄表示装置が前側且つ表示制御装置が後側となるように重ねて配置されている。さらに、遊技盤80には、表示制御装置の後方に位置するようにして音声ランプ制御装置ユニット142が搭載されている。音声ランプ制御装置ユニット142は、音声ランプ制御装置143と、取付台144とを具備する構成となっており、取付台144上に音声ランプ制御装置143が装着されている。
音声ランプ制御装置143は、後述する主制御装置からの指示に従い音声やランプ表示、及び表示制御装置の制御を司る音声ランプ制御基板を具備しており、音声ランプ制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス145に収容されて構成されている。
音声ランプ制御装置ユニット142の下方には、台座部材141を後方から覆うようにして主制御装置ユニット160が設けられている。主制御装置ユニット160は、遊技盤80の背面に固定された合成樹脂製の取付台161と、その取付台161に搭載された主制御装置162とを有している。主制御装置162は、遊技の主たる制御を司る機能(主制御回路)と、電源を監視する機能(停電監視回路)とを有する主制御基板を具備しており、当該主制御基板が透明樹脂材料等よりなる基板ボックス163に収容されて構成されている。
基板ボックス163は、略直方体形状のボックスベース(表ケース体)とこのボックスベースの開口部を覆うボックスカバー(裏ケース体)とを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としてのボックス封印部164によって開封不能に連結され、これにより基板ボックス163が封印されている。ボックス封印部164は、基板ボックス163の短辺部に複数設けられ、そのうち少なくとも1つが用いられて封印処理が行われる。
ボックス封印部164はボックスベースとボックスカバーとを開封不能に結合する構成であれば任意の構成が適用できるが、ボックス封印部164を構成する係止孔部に係止ピンを挿入することでボックスベースとボックスカバーとが開封不能に結合されるようになっている。ボックス封印部164による封印処理は、その封印後の不正な開封を防止し、また万一不正開封が行われてもそのような事態を早期に且つ容易に発見可能とするものであって、一旦開封した後でも再度封印処理を行うこと自体は可能である。すなわち、複数のボックス封印部164のうち、少なくとも1つの係止孔部に係止ピンを挿入することにより封印処理が行われる。そして、収容した主制御基板の不具合発生の際や主制御基板の検査の際など基板ボックス163を開封する場合には、係止ピンが挿入されたボックス封印部と基板ボックス163本体との連結部分を切断する。これにより、基板ボックス163のボックスベースとボックスカバーとが分離され、内部の主制御基板を取り出すことができる。その後、再度封印処理する場合は他の係止孔部に係止ピンを挿入する。基板ボックス163の開封を行った旨の履歴を当該基板ボックス163に残しておけば、基板ボックス163を見ることで不正な開封が行われた旨が容易に発見できる。
基板ボックス163と取付台161とは台座封印部165によって開封不能に連結されている。詳しくは、台座封印部165は、ボックス封印部164と同様に係止孔部及び係止ピンを有しており、係止孔部に対して係止ピンが挿入されることで基板ボックス163と取付台161とが分離不能に結合されるようになっている。これにより、基板ボックス163の不正な取り外しが行われた場合に、その事実を把握しやすくなっている。
台座部材141において遊技盤80の背面と対向している部分には、前記一般入賞口81,可変入賞装置82,上作動口83a,下作動口83bの遊技盤開口部に対応し且つ下流側で1カ所に集合する回収通路が形成されている。これにより、一般入賞口81等に入賞した遊技球は何れも回収通路を介して遊技盤80の下方に集合する構成となっている。つまり、台座部材141には各種入賞口に入賞した遊技球を回収する機能が付与されている。
遊技盤80の下方には後述する排出通路が配されており、回収通路によって遊技盤80の下方に集合した遊技球は排出通路内に導出される。なお、アウト口86についても同様に排出通路に通じており、何れの入賞口にも入賞しなかった遊技球はアウト口86を介して排出通路内に導出される。
また、上記回収通路には、遊技盤80表側の一般入賞口81に入賞した遊技球を検知する入賞口スイッチと、可変入賞装置82に入賞した遊技球を検知するカウントスイッチと、作動口83a,83bに入った遊技球を検知する作動口スイッチとが装着されており、それら各種スイッチによって入賞検知機構が構成されている。更に、台座部材141において可変表示ユニット85の左右両側には、スルーゲート84を通過する遊技球を検知するゲートスイッチが設けられている。これら各種スイッチは主制御装置162に対して電気的に接続されており、各スイッチによる検知情報が同主制御装置162に出力される構成となっている。
<遊技盤80の取付構造>
ここで、図4,図8及び図9に基づき遊技盤80の取付構造について説明する。図8は内枠13から遊技盤80を取り外した状態を示す斜視図、図9は図4のA−A線部分断面図である。
遊技盤80は、既に説明したように内枠13の遊技盤収容部73に対して同内枠13の正面側から嵌まっている(図4参照)。図8に示すように、遊技盤収容部73は、遊技盤80の背面に対向する平板状の対向板部251と、同対向板部251から起立し遊技盤80の周縁に沿って延びる周壁部261とによって構成されている。対向板部251は、その略中央に上述した中央開口74が形成されており、内枠13の正面視において略矩形枠状をなしている。周壁部261は、遊技盤80における上下左右の各端面に対して個々に対向する上側壁部262,下側壁部263,左側壁部264,右側壁部265が連なってなり、全体として遊技盤80を囲む環状をなしている。なお、周壁部261は中央開口74を囲むようにして形成されているとも言える。
内枠13の左側壁部264、すなわち前扉枠14を支持している側の壁部264には、遊技盤80の前方への変位を抑える複数のストッパ部271が設けられている。各ストッパ部271は、左側壁部264の内壁面から遊技盤収容部73側へ張り出しており、遊技盤80に対してパチンコ機10の前方から当接している。また、各ストッパ部271は、遊技盤収容部73内に収められており、前扉枠14側への突出が抑えられている。
それらストッパ部271は、遊技盤80の上端寄り及び下端寄りとなる位置に配置されており、遊技盤80の変位をバランスよく抑えることが可能となっている。ストッパ部271の配置に関して補足すれば、上端寄りのストッパ部271Uは、上記誘導レール100において遊技盤80の回動基端側に凸となっている部分よりも上側に配置されており、下端寄りのストッパ部271Lは同凸となっている部分よりも下側に配置されている。これにより、ストッパ部271及び誘導レール100を遊技盤80の前面側にて好適に共存させ、ストッパ部271の採用に起因した遊技領域PEの圧迫を抑制している。
内枠13には、左側壁部264の先端縁に沿うようにして金属製のプレート部材281が配設されている。プレート部材281は、内枠13の上側枠部13a及び下側枠部13bの両枠部に跨って延びる長尺状をなしており、同プレート部材281の両端部分が内枠13の左側枠部13cに対して固定(ネジ止め)されているとともに、同プレート部材281の中間部分が上述したストッパ部271に対して固定(ネジ止め)されている。これにより、内枠13において外枠11や前扉枠14に連結されている部分を補強し、更にはストッパ部271の変形を抑制している。
以上詳述したストッパ部271と対向板部251とによって、遊技盤80の一側部を挿入可能な挿入部290が構成されている(図9参照)。挿入部290は、前扉枠14の回動基端側に位置し、内枠13において同前扉枠14を支持している側とは反対側からの遊技盤80の挿入を許容すべく同内枠13の回動先端側(右側壁部265側)に開放されている。特にストッパ部271と対向板部251(詳しくは後述するリブを除いた部分)との隙間寸法は、遊技盤80の厚さ寸法よりも大きく設定されている。これにより、遊技盤80を挿入部290に対して斜め前方から挿入可能とするとともに、同挿入部290に挿入された遊技盤80を当該挿入部290を中心として回動可能としている。また、挿入部290の挿入口を斜め前方に向けることにより、遊技盤挿入時に遊技盤80が前扉枠14の後方への張出部分や内枠13の右側枠部13d(図8参照)等に干渉することを抑制している。
なお、ストッパ部271の先端部において遊技盤80と対向している部位には面取りが施されており、挿入部290の入口部分が拡張されている。これにより、上記隙間寸法を大きくし、遊技盤80を斜めに挿入する際のストッパ部271と遊技盤80との引っ掛かりを抑制している。
挿入部290(ストッパ部271群)の下方、詳しくは内枠13において左側壁部264と下側壁部263とが交わる位置には(図8参照)、挿入部290に挿入された遊技盤80を仮置き可能な仮置き部125が設けられている。仮置き部125は、上記通路形成部材121に形成され、挿入部290側(上方)を向く面状をなしている。なお、仮置き部125は、必ずしも通路形成部材121に形成する必要はなく、樹脂ベース70に形成することも可能である。
仮置き部125は、遊技盤収容部73の下側壁部263よりも上側に位置しているとともに、遊技盤80の下端部に対して対向している。一方、遊技盤80における回動基端側の下隅部にはこの仮置き部125に対応した切欠き部88が形成されている(図5参照)。遊技盤80を挿入部290に挿入し回動させる場合には、この仮置き部125に対して遊技盤80の切欠き部88が仮置き(一時的に載置)されることで同遊技盤80の重量の少なくとも一部が内枠13の樹脂ベース70によって支えられることとなる。これにより、遊技盤80を装着する際の作業負担を減らし、遊技盤80の回動操作の容易化を図っている。
また、仮置き部125は、挿入部290よりも同挿入部290の開放先側に延びている。これにより、挿入部290に挿入する前に遊技盤80を仮置き可能となっており、更なる作業の容易化に貢献している。
遊技盤80を着脱する際には、内枠13の正面側から作業が行われる。この際、言うまでも無く前扉枠14が開放された状態で作業が行われる。ここで、開放された前扉枠14と遊技盤80及び挿入部290との位置関係について図10に基づき説明を補足する。図10は、開放された前扉枠14と遊技盤80及び挿入部290との位置関係を示す概略図である。
図10に示すように、前扉枠14は内枠13に設けられた上記支持金具71,72によって回動可能に軸支されており、この軸支された部分(回動中心軸線CL)を中心として開閉される構成となっている。支持金具72には前扉枠14の最大開放位置を規定する規定部72aが形成されている。前扉枠14が開放され、規定部72aに対して当たった場合には、それ以上の開放が不可となる。本実施の形態においては、前扉枠14の最大開放量が凡そ100°に設定されている。これは、パチンコ機10がホール等の島設備に設置された状態にて前扉枠14が開放された場合に、隣接して設けられた他の遊技機等に対して同前扉枠14が干渉しないように、また隣接する遊技機での遊技を妨げないようにするための工夫である。なお、前扉枠14の最大開放量は100°に限定されるものではない。少なくとも遊技盤80の着脱が許容される範囲であれば任意に設定してよい。
前扉枠14の回動中心軸線CLは同前扉枠14の前面寄りに位置しており、前扉枠14を閉じた状態にて内枠13の内側に当該前扉枠14の回動基端部分が嵌まり込む構成となっている。これにより、前扉枠14と内枠13との境界部位(特に前扉枠14の回動基端側の境界部位)を介して不正具が挿入されるといった不都合を生じにくくし、防犯機能の強化を図っている。
この回動中心軸線CLの後方に上記挿入部290が配置されている。前扉枠14は所定の厚さを有しているため、上述の如く最大開放位置まで開放された場合であってもその背面の一部が挿入部290よりも右側(前扉枠14を支持している側とは反対側)に張り出した状態となる。挿入部290は、その張出部分よりも奥まった位置に存在しているものの、遊技盤80を出し入れする際に当該遊技盤80の通過する軌道PLと前扉枠14との干渉が回避されるようにしてその挿入口の向きが定められている。これにより、遊技盤80を装着する際の前扉枠14の張り出し部分と遊技盤80との干渉が抑えられている。
<裏パックユニット15>
次に、図11〜図13に基づき裏パックユニット15について説明する。図11はパチンコ機10の背面図、図12は裏パックユニット15の正面図、図13は裏パックユニット15を主要な構成毎に分解して示す分解斜視図である。
図11に示すように、裏パックユニット15は、内枠13を背面側から覆う裏パック301と、裏パック301に搭載され、遊技状況等に応じて遊技球を払い出す払出機構部302と、同じく裏パック301に搭載され、複数の制御装置が一体化された制御装置集合ユニット304とを備えている。
裏パック301は、図12及び図13に示すように、骨格をなすベース部311と、ベース部311からパチンコ機10後方に膨出して設けられた保護カバー部312とを有している。ベース部311は中央に開口が形成された略矩形枠状をなしており、その開口の一部がベース部311とは別体で構成された保護カバー部312によって覆われている。
ここで、ベース部311に対する保護カバー部312の取付構造について説明する。
ベース部311の左側枠部311a(図12における右側の枠部)における上記開口側の縁部には、鉛直方向に延びる軸部が複数形成されている。これら軸部に保護カバー部312に形成された軸受け部が嵌まることで、保護カバー部312が遊技機後方へ回動可能となっている。そして、保護カバー部312の回動先端部が締結具(例えばネジ)を用いてベース部311に固定されることで、それらベース部311及び保護カバー部312が一体化されている。
なお、保護カバー部312の取付構造については任意であり、当該保護カバー部312を回動可能とする必要は必ずしも無い。例えば、ベース部311及び保護カバー部312を一体成形し、上記軸部、軸受け部、締結具を省略することも可能であり、更には保護カバー部312をベース部311と一体成形することも可能である。
ベース部311の左側枠部311a(図12における右側の枠部)における上記開口とは反対側の縁部には、鉛直方向に延びる上下一対の軸金具313,314が固定されている。これら軸金具313,314に対応させて、樹脂ベース70の背面には軸受け金具131が固定されている(図6参照)。軸受け金具131は内枠13の回動基端部に沿って上下に延びており、当該軸受け金具131の上部には軸金具313に対応する軸受け部133が、下部には軸金具314に対応する軸受け部133がそれぞれ形成されている。軸金具313,314が軸受け部132,133によって支持されることで、裏パックユニット15が、内枠13に対して開閉可能(詳しくは回動可能)に取り付けられた状態となっている。
また、裏パック301のベース部311には、裏パックユニット15用の固定レバー318(図12参照)が複数取り付けられており、これら固定レバー318によって裏パックユニット15が閉じた状態で固定されている。
これら固定レバー318については、ベース部311において内枠13と対向している側に設けられており、パチンコ機10の正面側からのアクセスが許容されている一方、パチンコ機10の背面側からのアクセスが不可となっている。このため、裏パックユニット15を開放する際には、先ず前扉枠14を開放し、遊技盤80を内枠13から取り外すことで、固定レバー318へのアクセス経路を確保する必要がある。これにより、上記正規の手順を踏むことなく裏パックユニット15を不正に開放させるといった行為が難しくなっている。つまり、前扉枠14の開放や遊技盤80の取り外し等の目立ちやすい作業を行うことなく、周囲の目を盗んで裏パックユニット15のみを開放させることが困難となっている。かかる構成によれば、例えば裏パックユニット15によって覆われた各種構成の不正な入替作業等を難しくし、パチンコ機10の防犯機能の向上を実現することができる。
保護カバー部312において音声ランプ制御装置143の音量調整用の操作部と対峙している部分には、当該音量調整用の操作部を遊技機後方に露出させる開口部(図示略)が形成されており、この開口部を通じて音量調整が可能となっている。音量調整作業を行う際には遊技機主部12を開放させれば足りるため、上述した裏パックユニット15の開放手順の複雑化による作業性の低下を回避し、防犯機能の向上と作業性の担保とを両立することが可能となっている。
再び図12を参照して説明すれば、ベース部311の上側枠部311cにおいて軸金具313の上方となる位置、すなわち左側枠部311aと上側枠部311cとが繋がっている部分(左上隅部)には、外部端子板319が設けられている。より具体的には、図13に示すように、ベース部311の左上隅部には、当該ベース部311において樹脂ベース70の背面に当接している部分よりも後方にオフセットされるようにして外部端子板設置部315が形成されている。外部端子板設置部315を後方へオフセットさせることにより、ベース部311(遊技盤80)の背面と外部端子板設置部315との隙間を担保している。この隙間については、後述する配線の配設領域となっている。
外部端子板319は、左右に延びる長板状をなしており、一方の板面がコネクタ319a及び外部出力端子319bが搭載された搭載面319cとなっており、他方の板面が半田面となっている。そして、外部端子板319は、搭載面319cが遊技機後方を向くようにして外部端子板設置部315に固定されている。
ベース部311の外部端子板設置部315には、前後に貫通する開口部が形成されており、この開口部を通じて外部端子板319の半田面が遊技機前方に露出している。そして、この露出している部分には、遊技機主部12に搭載された制御装置(例えば主制御装置162)と外部端子板319とを電気的に接続するためのコネクタ319dが設けられている。つまり、半田面において外部出力端子319bを固定するための半田部分を回避した部分に、コネクタ319d(後述する図16参照)が取り付けられている。コネクタ319dを遊技機主部12と対向する側に露出させておくことで、遊技機主部12と裏パックユニット15との間に配線を配設することが可能となっている。
特に、コネクタ319dについては、その端子が後方を向くようにして固定されており、当該コネクタ319dに接続された配線については、遊技機主部12側(遊技機前方)へ張り出すこととなるが、上述したように、遊技機主部12(詳しくは遊技盤80)の背面と外部端子板設置部315との隙間を担保していることで、配線の配設領域を確保することが可能となっている。
外部端子板設置部315については、搭載面319c(詳しくはコネクタ319a及び外部出力端子319b)が保護カバー部312よりも後方へ突出しないように構成されている。これにより、例えば裏パックユニット15を床等に置いた場合であっても、床面と外部端子板319とが当たることを抑制することが可能となっており、外部端子板319の保護を図っている。
なお、図13等に示すように、本実施の形態に示す外部端子板319については、外部端子板319用のカバー部材によって後方への脱落が規制されているが、これに限定されるものではなく、当該カバー部材を非搭載とすることも可能である。
コネクタ319a,319dには後述する裏パック基板から延びる配線H1,H3が接続されており、外部出力端子319bには遊技ホールの島設備から延びる配線H2が接続されている。これにより、大当たり回数や遊技球の払出数等の遊技にかかる各種情報が裏パック基板325→配線H1→外部端子板319→配線H2を通じて遊技ホール側の管理制御装置(ホールコンピュータHC)に出力される構成となっている。
外部端子板319を裏パックユニット15の回動基端部に配設することにより、配線H1〜H3に遊技機主部12や裏パックユニット15の開放を考慮した余裕代を付与する上で、当該余裕代が無駄に大きくなることを抑制することが可能となっている。これにより、配線H1,H2に生じる弛みを小さくし、配線H1〜H3の引っ掛かり等の発生を抑えることができる。
既に説明したように保護カバー部312はベース部311の中央開口の少なくとも一部を覆うようにして配置されている。保護カバー部312は中央開口の周縁に沿って形成された起立壁部と、それら起立壁部の先端部分に連なるとともに内枠13の背面と対向する対向板部と、を有してなる。より具体的には、保護カバー部312は、上側枠部311c及び左右の枠部311a,311bに連なっており、左右側面及び上面が閉鎖され且つ下面のみが開放されている。
保護カバー部312は、遊技盤80に搭載された可変表示ユニット85(音声ランプ制御装置143)の全部及び主制御装置ユニット160の一部を遊技機後方から囲むのに十分な大きさを有している。このように、保護カバー部312によって可変表示ユニット85等を囲むことで、遊技ホールの島設備や払出機構部302(詳しくは後述するタンク350等)から零れ落ちた遊技球がそれら可変表示ユニット85等に衝突することを回避し、可変表示ユニット85等の保護を図っている。
なお、ベース部311及び保護カバー部312は、透明性を有する合成樹脂材料(詳しくはポリカーボネート樹脂)を用いて形成されている。これにより、裏パック301を内枠13に取り付けた状態(閉じた状態)であっても、遊技盤80の背面側に位置する各種構成(例えば主制御装置ユニット160等)の目視による確認が許容されている。
ベース部311には、保護カバー部312を迂回するようにして上記払出機構部302が配設されている。より具体的には、保護カバー部312の上方(上側枠部311c)及び左方(左側枠部311a)が払出機構部302の設置領域となっている。
払出機構部302は、タンクユニット321と、タンクユニット321に連結されたケースレールユニット322とを備えている。タンクユニット321には、裏パック301の最上部に位置するとともに上方に開放されたタンク350と、タンク350に連結されたタンクレール360とが設けられており、当該タンク350に対して遊技ホールの島設備から補給された遊技球は、タンクレール360を経由してケースレールユニット322に流入することとなる。
ケースレールユニット322は裏パック301の回動基端部(左側枠部311a)に取り付けられている。ケースレールユニット322は鉛直方向に延びる略直方体状をなすケースレール324を有しており、ケースレール324の上端部には遊技球の流入口が、下端部には遊技球の流出口が、それぞれ形成されている。
ケースレール324の中間位置には、裏パック基板325と、遊技球の払い出しを行う払出装置326とが取り付けられている。裏パック基板325には、主制御装置162、制御装置集合ユニット304(詳しくは後述する払出制御装置や電源・発射制御装置)と払出装置326や外部端子板319とを電気的に接続するための中継基板としての機能が付与されている。払出装置326は、払出制御装置からの制御信号が裏パック基板325を経由して入力されることで動作し、必要個数の遊技球の払出を適宜行う構成となっている。
ケースレールユニット322よりも下流側には、ケースレールユニット322を通過した遊技球を内枠13に導く裏パック側通路部、同裏パック側通路部を通過した遊技球を前扉枠14に導く本体側通路部、当該本体側通路部を通過した遊技球を上皿28a及び下皿29aに導く前面側通路部が設けられている。つまり、タンクユニット321と、上皿28a及び下皿29aの球受け皿との間には、ケースレールユニット322,裏パック側払出通路部、内枠側払出通路部及び上記前扉側通路51,52からなる誘導通路部が設けられており、タンクユニット321に貯留されている遊技球は当該誘導通路部を通じて上皿28a又は下皿29aに払い出される。
このように、裏パックユニット15の回動基端部に沿って遊技球が流下する又は列を形成する構成とすることにより、裏パックユニット15用の保持機構(軸金具313,314や軸受け金具131)に生じる負荷を軽減し、裏パックユニット15の保持姿勢の安定化を図っている。
ベース部311において保護カバー部312よりも下側となる部位、すなわち下側枠部311dには、制御装置集合ユニット304を設置する制御装置設置部316が設けられている。制御装置集合ユニット304は、その制御装置設置部316に対してパチンコ機10の後方から設置された状態でベース部311に固定されることで、裏パック301に対して一体化されている。
なお、裏パック301と制御装置集合ユニット304とを内枠13に対して個別に取り付ける構成としてもよい。また、このような変更を行う場合には、併せて制御装置集合ユニット304と裏パック301とを内枠13に対して個別に開閉可能な構成とすることも可能である。
制御装置集合ユニット304は、横長形状をなす払出制御装置331と電源・発射制御装置332とが、前者が後側、後者が前側となるように前後に重ねた状態で一体化されてなる。
払出制御装置331は、基板ボックス333内に払出装置326を制御する払出制御基板が収容されてなる。なお、払出制御装置331から払出装置326への払出指令の信号は上述した裏パック基板325により中継される。また、払出制御装置331には状態復帰スイッチ334が設けられている。例えば、払出装置326における球詰まり等、払出エラーの発生時において状態復帰スイッチ334が押されると、球詰まりの解消が図られるようになっている。
電源・発射制御装置332は、基板ボックス335内に電源・発射制御基板が収容されてなり、当該基板により、各種制御装置等で要する所定の電源が生成されて出力され、さらに遊技者による遊技球発射ハンドル41の操作に伴う遊技球の打ち出しの制御が行われる。また、電源・発射制御装置332には電源スイッチ336が設けられており、当該電源スイッチ336を操作することで電源のON/OFFの切り替えを行うことができる。
本パチンコ機10は各種データの記憶保持機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。したがって、例えば遊技ホールの営業終了の場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されることとなる。上記主制御装置162において保護カバー部312により覆われていない部分、すなわち後方に露出している部分には、RAM消去スイッチ166が設けられている(図11参照)。RAM消去スイッチ166を押しながら電源スイッチ336をONに切り替えることで、RAMデータが初期化されるようになっている。
ベース部311の下側枠部311dにおいて上記制御装置設置部316と反対側、すなわち内枠13と対向する側には、排出通路盤305が固定されている。排出通路盤305において制御装置集合ユニット304と対向する面には、後方に開放された排出通路339が形成されており、当該排出通路339の開放部が制御装置集合ユニット304によって塞がれている。排出通路339は遊技ホールの島設備等へ遊技球を排出するように形成されており、上述した各種入賞口等から排出通路341に導出された遊技球は当該排出通路341を通ることでパチンコ機10外部に排出される。
<タンクユニット321>
ここで、図14及び図15に基づきタンクユニット321及びそれに関連する構成について詳細に説明する。図14はタンクユニット321の平面図、図15はタンクユニット321を主要な構成毎に分解して示す分解斜視図である。なお、図14においては便宜上、裏パック201を2点鎖線で示している。
図14に示すように、タンクユニット321は、遊技球を貯留する機能及び貯留した遊技球をケースレールユニット322(詳しくは払出装置326)へ案内する機能が付与されたユニット本体340と、ユニット本体340に取り付けられた球止め部材400及び球均し部材420とによって構成されている。以下、先ずユニット本体340について説明し、その後ユニット本体340と球止め部材400及び球均し部材420との関係について説明する。
ユニット本体340は、上方に開放された略箱状のタンク350と、タンク350に連なるタンクレール360とを有し、それら両構成が透明を有する樹脂材料を用いて一体成形されてなる。
なお、払出機構部302におけるタンクや通路部材類はいずれも導電性を有する合成樹脂材料、例えば導電性ポリカーボネート樹脂にて成形され、その一部にてアースされている。これにより、遊技球の帯電によるノイズの発生が抑制されるようになっている。
図15に示すように、タンク350は横長状をなしており、その底部351には当該底部351の前側部分351aが後側部分351bよりも低位となるように高低差が設けられている。前側部分351aについては、裏パック301の回動基端側から回動先端側に下り傾斜しており、後側部分351bについては裏パック301の回動先端側から回動基端側へ下り傾斜している。
遊技ホールの島設備から延びる遊技球補給用通路の出口部分が、前側部分351aの最上流部分に位置するようにして配置されることにより、タンク350に供給された遊技球が前側部分351a→後側部分351bへと移動することとなる。このように、遊技球の流下方向を反転させることにより、タンクレール360へと流入する遊技球の球圧を軽減したり、供給された遊技球がその勢いを保ったままタンクレール360に流入することを抑制したりすることができる。
図12及び図14に示すように、タンク350は裏パック301の上部に外部端子板319と横並びとなるように配置されている。具体的には、外部端子板319に対して裏パック301の回動先端側となる位置に配置されている。
タンクレール360は、タンク350から裏パック301の回動基端側へ延びており、保護カバー部312の上端部に沿うようにして形成されている。タンクレール360には、左右に延びる平板状をなし板面(遊技球の転動面)が上方を向く底板部361と、底板部361の前後の縁部から上方に起立する前側壁部362及び後側壁部363とを有し、全体として上方に開口した樋状をなしている。
図14に示すように、タンクレール360には、案内通路を前後に仕切る仕切壁366が設けられている。仕切壁366は、タンクレール360の底板部361から起立するとともに、タンクレール360を形成する前側壁部362及び後側壁部363の中間に位置している。つまり、タンクレール360の通路部分は仕切壁366によって同タンクレール360の幅方向(前後方向)に2分されている。仕切壁366により仕切られた2条の球通路は遊技球の直径よりも僅かに幅広となっており、同仕切壁366によってタンクレール360に流入した遊技球が二手に分流されるようになっている。これにより、遊技球を各1列ずつに案内する案内通路(2条の球通路)が構成されている。
なお、底板部361からの仕切壁366の起立量は、少なくとも遊技球の直径寸法よりも大きく設定されており、同仕切壁366を跨いで遊技球が移動することを抑制している。
底板部361は、裏パックユニット15の回動先端側から回動基端側に緩やかに下っている。このため、タンクレール360に流入した遊技球は、底板部361の傾斜に沿って裏パックユニット15の回動基端側へ移動することとなる。
なお、各球通路の底面(底板部361)において遊技球と接触する部位を除いた領域、すなわち同球通路の幅方向における中央部位を除いた領域に、複数の開口部を形成し、同開口部を通じた塵埃の落下を許容することで、タンクレール360内に塵埃が溜まることを抑制してもよい。
タンクレール360は、タンク350に連なっている上流通路部360Uと、ケースレールユニット322に連なっている下流通路部360Dと、それら上流通路部360U及び下流通路部360Dを繋ぐ中間通路部360Mとによって構成されている。
ここで、図12、図14及び図16を参照して、タンクレール360とタンク350及び外部端子板319との関係について補足説明する。図16は図14のB−B線部分断面図である。
図14に示すように、タンクレール360の上流通路部360Uについては、少なくともその一部がタンク350の周壁部352によって囲まれた領域に入りこむようにして形成されており、底板部361及び後側壁部363において上流通路部360Uを構成している部分がタンク350の底部351及び周壁部352と連なっている。
上流通路部360Uについてもタンク350と同様に外部端子板319の側方に位置している。一方、下流通路部360Dについては、図16に示すように、外部端子板319の後方に位置しており、当該下流通路部360Dの一部が外部端子板319と前後に重なっている。中間通路部360Mについては、前後にずらして設けられた上流通路部360Uと下流通路部360Dとを繋ぐべく斜め後方へ傾いている。つまり、タンクレール360については、上流通路部360Uと中間通路部360Mとの連結部分、下流通路部360Dと中間通路部360Mとの連結部分の両部分にて折れ曲っており、下流通路部360Dが外部端子板319の後方を横切るようにして同外部端子板319を迂回している。これにより、上下方向におけるタンクユニット321及び外部端子板319の占有領域の拡がりを抑えつつ、外部端子板319よりも僅かに回動中心寄りに配置されたケースレールユニット322と、外部端子板319の側方に配置されたタンク350とを繋ぐことが可能となっている。
タンクレール360については、上流通路部360U及び中間通路部360Mの連結部分と、中間通路部360M及び下流通路部360Dの連結部分とが折れ曲っている。このようにしてタンクレール360に折れ曲り部を設けることで、タンクレール360に沿って移動する遊技球の減勢や、タンクレール360内に形成される遊技球列を通じて伝播する球圧の軽減が実現されることとなる。故に、上述した占有領域の減縮に起因して、払出機構部302(特に払出装置326)の耐久性が低下するといった不都合が生じることを回避できる。
なお、上流通路部360Uに対する下流通路部360Dのオフセット量は、少なくとも遊技球の直径寸法よりも大きくなっている。
因みに、上述した仕切壁366については、上流通路部360Uには設けられておらず、中間通路部360Mの途中位置から下流通路部360Dの最下流位置の範囲に設けられている。このため、中間通路部360Mの途中位置から遊技球が前後2列になるように整列することとなる。
ここで、タンクレール360(詳しくは下流通路部360D)と外部端子板319との位置関係について補足説明する。
下流通路部360Dの後方へのオフセット量については、裏パックユニット15の厚さが大きくならない程度、具体的には下流通路部360Dが保護カバー部312よりも後方へ突出しない程度に抑えられている。より詳しくは、上記オフセット量については、下流通路部360Dの後端部と保護カバー部312の後端部との前後位置がほぼ同じになるように設定されている。これにより、裏パックユニット15の厚みの増大を抑えつつ、下流通路部360Dと外部端子板319との前後での離間量を大きくしている。
既に説明したように、外部端子板319には、遊技機後方から配線H1,H2が接続される構成となっている。ここで、上述の如く離間量を大きくすることで、外部端子板319の後方に配線着脱用の作業スペースを確保している。また、オフセット量が大きくなることで、上述した減圧/減勢機能が強化されている。
以下、図17を参照して、本実施の形態に示すパチンコ機10のタンク、タンクレール、外部端子板の位置関係と、従来のパチンコ機におけるタンク、タンクレール、外部端子板の位置関係について比較する。図17(a)は従来のパチンコ機におけるタンク、タンクレール、外部端子板の位置関係を示す概略図、図17(b)群は本実施の形態に示すパチンコ機のタンク、タンクレール、外部端子板の位置関係を示す概略図、図17(1)群は遊技機後方から見た概略図、図17(2)群は遊技機上方から見た概略図である。
図17(1)群に示すように、本実施の形態に示すパチンコ機10においては従来のパチンコ機10Xと比較して、タンクレール360の位置をタンク350と横並びとなるようにして上方にずらすことで、上下方向におけるタンクユニット321の占有領域を減縮している。かかる配置の変更に併せて、保護カバー部312が外部端子板319の配置領域を侵食しない程度に上方に拡張されている。これにより、保護カバー部312によって囲まれる領域が拡張され、遊技盤80及びそれに付随する構成(例えば可変表示ユニット85等)の大型化に貢献している。
近年では、遊技機の興趣向上等を目的として、遊技領域PEの拡張や可動役物等の採用が促進される傾向にある。このような遊技機の仕様変更を考慮した場合、裏パックユニット15の存在によって当該変更が難しくなることは好ましくない。そこで、本実施の形態に示すようにタンク350及びタンクレール360の配置を工夫すれば、裏パックユニット15によって遊技機の興趣向上が妨げられることを抑制することができる。
特に、本実施の形態に示すパチンコ機10においては、図17(2)群に示すように、外部端子板319を後方に迂回するようにタンクレール360を迂回させている。ここで、もともと、後方に張り出している保護カバー部312の張り出しの範囲を超えないようにして、迂回ルートを決定しているため、遊技盤80及びそれに付随する構成(例えば可変表示ユニット85等)の大型化の実現により、裏パックユニット15(ひいてはパチンコ機10)の厚さが嵩むことを回避することができる。
更には、タンク350X及びタンクレール360Xを上下に並べて配置する場合には、遊技球を上下に折り返すようにして移動させることで、減圧/減勢機能を発揮させることができる。一方、本実施の形態に示すようにタンク350及びタンクレール360を左右に並べて配置した場合には、そのような上下での折り返しが困難になり、減圧/減勢機能が低下すると懸念される。この点、図17(1)に示すように、外部端子板319を迂回させるようにしてタンクレール360を折り曲げることで、減圧/減勢機能を発揮させることができ、遊技盤80及びそれに付随する構成(例えば可変表示ユニット85等)の大型化の実現に起因して、遊技球の案内機能が損なわれることを回避することができる。
以上詳述したタンクレール360の最下流部(下流通路部360D)には、当該タンクレール360からの遊技球の流出を阻止する阻止状態と、遊技球の流出を許容する許容状態に切替可能な上記球止め部材400が設けられている。
<球止め部材400について>
次に、図14〜図16及び図18を参照して、球止め部材400について説明する。図18は、図14のC−C線部分断面図である。
図15に示すように、球止め部材400は、底板部361に対して仕切壁366を挟んで上方から対向するベース部311を有している。ベース部311は、タンクレール360の両壁部362,363によって挟まれた領域に配されており(図14参照)、それら両壁部362,363に沿ってタンクレール360の上流側から下流側に延びる長板状をなしている。
球止め部材400は、タンクレール360の両壁部362,363によって回動可能に保持されている。具体的には、図14に示すように、ベース部311において各壁部362,363と対峙している端部(詳しくはベース部311における各長辺部の中間となる部位)には各壁部362,363側に突出する一対の第1突起405が設けられている。それら第1突起405は、下流通路部360Dの通路方向と直交する方向(前後方向)に延びる略円柱状をなしている。以下便宜上、前側の第1突起405を「前側第1突起405F」と称し、後側の第1突起405を「後側第1突起405R」と称する。
前側壁部362において前側第1突起405Fと対向している部位には、同前側第1突起405Fが挿通される挿通孔371が形成されている。一方、後側壁部363において後側第1突起405Rと対向している部位には、同前側壁部362の厚さ方向に凹む凹部372が形成されている。凹部372の底部には、後側第1突起405Rが挿通される挿通孔373が形成されている。両挿通孔371,373は丸孔状をなしており、それら挿通孔371,373に各第1突起405F,405Rが嵌まることで、同第1突起405F,405Rを中心とした球止め部材400の回動が許容されている。このようにタンクレール360に球止め部材400が取り付けられて両者が一体化されることで、タンクユニット321が構成されている。
ベース部311において第1突起405よりも上流側となる部位、詳しくはベース部311の上流側の端部と第1突起405との中間位置には、第2突起406が形成されている。第2突起406は、第1突起405と同様に、球止め部材400の長辺部から各壁部362,363に向けて突出しており、僅かに先細りした略円柱状をなしている。以下便宜上、前側の第2突起406を「前側第2突起406F」と称し、後側の第2突起406を「後側第2突起406R」と称する。
前側壁部362において前側第2突起406Fと対向している部位には、同前側第2突起406Fが挿通される挿通孔375が形成されている。一方、後側壁部363において後側第2突起406Rと対向している部位には、同後側壁部363の厚さ方向に凹む凹部376が形成されている。凹部376の底部には、後側第2突起406Rが挿通される挿通孔377が形成されている。それら各挿通孔375,377に各第2突起406F,406Rが嵌まることで、球止め部材400の回動が抑えられた状態となっている。
このように球止め部材400の回動が抑えられた状態では、ベース部311において第1突起405よりも上流側となる部位(以下便宜上、上流側対向部402と称する)が仕切壁366の先端に当接しているとともに、同ベース部311において第1突起405よりも下流側となる部位(以下便宜上、下流側対向部403と称する)が仕切壁366の先端に対して所定の隙間を隔てて対峙している。つまり、上流側対向部402が同仕切壁366に近づく側への球止め部材400の回動は、上記第2突起406及び挿通孔375,377のみならず仕切壁366によって抑えられている。
図18に示すように、ベース部311の下流側対向部403には、底板部361側に凸となる爪部407が各球通路に1対1で対応させて設けられている。より詳しくは、爪部407は、ベース部311の下流側の端部に配されているとともに、上述の如く球止め部材400の回動が抑えられた状態では球通路における遊技球の流下領域の外に位置している。このように、爪部407が遊技球の流出を妨げない位置に存在することでタンクレール360からの遊技球の流出が許容された状態(すなわち上記許容状態)となり、更には第2突起406及び挿通孔375,377によって球止め部材400の回動が抑えられることにより同球止め部材400が許容状態に維持されている。
また、球止め部材400の上流側対向部402は、下流側ほどタンクレール360内の球通路高さ制限が強くなるように下流通路部360Dの底板部361に対して斜めに傾斜している。更には、上流側対向部402は、その中間部分よりも上流側となる部分では下流側となる部分と比較して傾斜角度が大きくなるように折れ曲っている。
上流側対向部402は、その上流側の端部においては底板部361との隙間が遊技球の直径の2倍よりも大きく設定されているとともに、同隙間が下流側に向けて徐々に減縮され、第1突起405寄りの最も隙間が小さくなる部位では同隙間が遊技球の直径の2倍よりも小さく、詳しくは遊技球の直径よりも僅かに大きく設定されている。これにより、タンクレール360内を流れる各遊技球は最終的には通路高さ方向での積み重なりが抑えられた状態で第1突起405よりも下流側に流下する。つまり、ベース部311には遊技球の積み重なりを抑える整流機能が付与されている。
なお、ベース部401の上流側対向部402については、必ずしも平板状をなしている必要はなく、例えばタンクレール360の上流側に向けて凸となる曲板状をなす構成、すなわち弓なりに反っている構成とすることも可能である。
ここで、球止め部材400の取付構造について補足説明する。第1突起405F,405Rと挿通孔371,373との掛かり代は、各壁部362,363を同壁部362,363の根元部分を基端として撓ませることで、各第1突起405F,405Rを挿通孔371,373から引き抜き可能となるように設定されている。つまり、工具等を使用することなく、球止め部材400をタンクレール360に対して容易に着脱可能となっている。このように球止め部材400を着脱可能とすることにより、球通路の清掃等の各種メンテナンス作業の容易化を図っている。
なお、図14の部分拡大図に示すように、前側第1突起405Fの長さ寸法は、凹部372の深さ寸法よりも小さく設定されている。これにより、球止め部材400が裏返された状態で取り付けられることを不可とし、誤組付防止に貢献している。また、凹部372は、後側壁部363の先端側(上方)に開放されており、球止め部材400を着脱する際の前側第1突起405Fと前側壁部362とのつかえを抑制している。
第2突起406F,406Rと挿通孔375,377との掛かり代についても同様に、各壁部362,363を撓ませることで、各第2突起406F,406Rを挿通孔375,377から引き抜き可能となるように設定されている。つまり、それら第2突起406F,406R及び挿通孔375,377によって球止め部材400が仮止めされており、工具等を使用することなく同仮止めを容易に解除することが可能となっている。特に、第2突起406F,406Rと挿通孔375,377との掛かり代は、第1突起405F,405Rと挿通孔371,373との掛かり代よりも小さく設定されている。これにより、上記仮止めを解除する際に各壁部362,363が撓んだ場合であっても、第1突起405F,405Rと挿通孔371,373との引っ掛かりは担保され、球止め部材400の脱落が回避されやすくなっている。
なお、球止め部材400を遊技球の流出を許容する位置に仮止めする機能に着目すれば、第2突起406F,406R及び挿通孔375,377によって仮止め手段が構成されているといえる。また、第1突起405F,405Rと挿通孔371,373とによって球止め部材400が着脱可能に取り付けられている点に着目すれば、これら第1突起405F,405R及び挿通孔371,373によって仮止め手段が構成されているともいえる。
既に説明したように、球止め部材400については、その大部分が案内通路内に収容されており、案内通路からの突出が抑えられているため、指等で球止め部材400を操作しようとしても指を引っ掛けたり掴んだりできる部位が限られている。そこで、本実施の形態においては、球止め部材400において当該球止め部材400の回動中心から最も離れた部分(ベース部401における上流側の端部)に、案内通路外へ突出する突出部408を形成している。
図15に示すように、突出部408は、各壁部362,363の上端部に跨るようにして形成され、それら壁部362,363を挟んで底板部361と対向する平板部408aと、その平板部408aの前後の端部から下方に延び、タンクレール360の各壁部362,363に案内通路の外側から対向する一対のフランジ部408bとを有してなり、許容状態においては平板部408aが壁部362,363に上方から当接する構成となっている。
球止め部材400の操作時には突出部408に指を引っ掛けたり同突出部408を掴んだりでき、球止め部材400を許容状態から阻止状態に切り替える際に球止め部材400の操作が困難になることが回避されている。
図12に示すように、突出部408は、外部端子板319に対して裏パックユニット15の回動先端側となる位置に配されており、前後方向における外部端子板319との重なりが回避されている。上記コネクタ319a及び外部出力端子319bについては後方を向いており、同コネクタ319a及び外部出力端子319bに接続された配線H1,H2は、外部端子板319から後方に延びている。このため、突出部408に上記配線H1,H2が掛かることが回避され、それら配線H1,H2によって操作が妨げられることを抑制可能となっている。
突出部408には、上述した操作部としての機能の他に上記球均し部材420を取り付けるための取付部としての機能が付与されている。この操作部408に球均し部材420が取り付けられることで球止め部材400と球均し部材420とが一体化されており、球止め部材400が操作された場合には、当該球止め部材400に追従して球均し部材420が移動する構成となっている。
<球均し部材420>
以下、図18を参照して、この球均し部材420及びそれに付随する構成について説明する。
球均し部材420は、タンクレール360(詳しくは下流通路部360D)を移動する遊技球に下流側から当接することにより遊技球の団塊を均す当接部421と、その当接部421から上方に延びる取付用のアーム部422とを有している。アーム部422には、下流通路部360Dの幅方向(前後方向)に貫通する貫通孔が形成されている。この貫通孔に上記突出部408のフランジ部408bに固定された軸ピン411が挿通されることで、球均し部材420が同球止め部材400によって軸支された状態となっている。
タンクレール360の両壁部362,363には、上記軸ピン411に対応する切欠き部381,382が形成されており、平板部408aが壁部362,363に当接している状態(上記許容状態)においては軸ピン411が切欠き部381,382に収容され、軸ピン411が切欠き部381,382によって下側から支えられている。これにより、軸ピン411が下方へ引っ張られるような応力が生じた場合には、当該応力が壁部362,363に分散され、軸ピン411やその取付部分の変形を抑制している。
当接部421は、下流通路部360Dの上流側及び下流側に軸ピン411を中心として揺動可能となっている。当接部421の揺動を許容することで、当接部421と底板部361との間に遊技球が噛み込む等して球詰まりが発生することを抑制している。
当接部421は合成樹脂製の外郭に錘が内蔵されてなり、当該当接部421に回動方向への応力が加わっていない状態では自重によって下限位置に留まりやすくなっている。また、当接部421が揺動した場合には、自重によって揺動前の位置へと付勢される構成となっている。以下の説明では、球均し部材420が外力の影響が無い状態にて自重により停留する位置を「待機位置」と称する。
当接部421は軸ピン411の軸方向(下流通路部360Dの幅方向)と同じ方向に延びる円柱状をなしており、その全長が案内通路の通路幅とほぼ同じになるように形成されている。当接部421の外径やアーム部422の長さは、球止め部材400が許容状態となっており且つ当接部421が待機位置にある状態にて、当接部421と底板部361との距離寸法が遊技球の直径寸法よりも僅かに大きくなるように設定されている。これにより、底板部361と当接部421との間を複数の遊技球が縦に並んだ状態で通過することを回避している。
球止め部材400には、球均し部材420の回動範囲(当接部421の揺動範囲)を規定するストッパが設けられている。ストッパは、上流側への回動を阻止する上流側ストッパ部412と、下流側への回動を阻止する上記上流側対向部402とによって構成されており、球均し部材420が必要以上に回動することを阻止している。なお、上流側対向部402にストッパ機能が付与されている点に着目すれば、当該上流側対向部402を「下流側ストッパ部402」と称することも可能である。
上流側ストッパ部412によって規定された最大回動位置へ球均し部材420が回動した場合には、当接部421と底板部361との距離が遊技球の直径の2倍を越えない範囲で増大する。一方、下流側ストッパ部402によって規定された最大回動位置へ球均し部材420が到達した場合には、同じく当接部421と底板部361との距離が遊技球の直径の2倍を越えない範囲で大きくなるものの、少なくとも上流側への最大回動位置に到達した場合よりも、上記距離が大きくなるように設定されている。つまり、下流側ストッパ部402によって規定された回動量(待機位置からの回動量)は、上流側ストッパ部412によって規定された回動量(待機位置からの回動量)よりも大きくなっている。
これら各ストッパ部によって規定された回動範囲内では、上流側対向部402の一部及び突出部408を除くベース部401のほぼ全体が壁部362,363によって挟まれた領域(案内通路)から突出することがなく、球止め部材400とタンクレール360の壁部362,363との間に配線H1,H2が挟み込まれるといった不都合を生じにくくなっている。
また、上流側対向部402において切替操作によって突出し得る部分には、上記配線H1,H2のはさみ込みを規制する規制部415が設けられている。規制部415は、ベース部401の前側の端部から下方に延び、前側壁部362に対して遊技機前方から重なっている。そして、その重なり代は、阻止状態となった場合でも重なりが維持されるように設定されており、上流側対向部402と前側壁部362との間に生じる隙間を覆う構成となっている。これにより、球止め部材400の切替操作によって配線H1,H2に断線等の不都合が生じることを好適に回避することが可能となっている。
<球止め部材400の切替操作>
以下、図19に基づき球止め部材400の切替操作及び当該切替操作に基づく球均し部材420の動きについて説明する。図19(a)は許容状態を示す概略図、図19(b)は阻止状態を示す概略である。
<許容状態から阻止状態への切り替え>
先ず球止め部材400を阻止状態から許容状態に切り替える場合について説明する。図19(a)に示すように球止め部材400が許容状態である場合には、タンク350→タンクレール360→ケースレールユニット322に連なる遊技球列が形成される。それら待機中の遊技球は、例えば上記払出装置326の払出動作に応じて下流側へ移動する。
タンクレール360の案内通路は球止め部材400によって覆われている部分を除き上方に開放されている。このため、タンク350からタンクレール360に流入した遊技球は、球止め部材400までの上方に開放されている区間においては案内通路の高さ方向に積み上がりやすくなっている。
このように高さ方向に積み上がった遊技球は、球均し部材420と底板部361との間を通過することで、縦1列に抑えられている。つまり、遊技球は縦1列に整流された状態にてケースレールユニット322へ流入する。
本実施の形態においては、球均し部材420が回動可能(当接部421が揺動可能)となっている。縦に積み上がった遊技球が当接部421を上流側から押すことにより、球均し部材420が下流側に回動し、当接部421が下流側へ移動しつつ底板部361から遠ざかるようにして浮き上がることとなる。これにより、当接部421と底板部361との隙間が拡がり球詰まりの発生が回避される。
また、許容状態においては、球止め部材400が第2突起406及び挿通孔375,377によって仮止めされている。このため、仮にベース部311が遊技球によって押されることによって、球止め部材400が所定方向(パチンコ機10の背面視において時計回り)に回動することが抑制されている。これにより、球均し部材420を通過した遊技球が上下に積み上がることを球止め部材400(ベース部401)によって抑えることができる。つまり、ベース部401に整流機能を発揮させつつ、それに起因して許容状態が解除されるといった不都合を生じにくくしている。
このようにタンクレール360からの遊技球の流出が許容された状態から同タンクレール360からの遊技球の流出を阻止する状態への切り替えを行う場合、球止め部材400の突出部408を指等で摘んで所定方向(パチンコ機10の背面視において時計回り)に回動させる。このような回動操作が行われることで、第2突起406F,406Rによって挿通孔375,377が押され、同第2突起406F,406Rの傾斜に沿ってタンクレール360の壁部362,363が互いに離れる側に撓む。これにより、第2突起406F,406Rが挿通孔375,377から離脱し、前側第2突起406Fが前側壁部362の内壁面に当接するとともに後側第2突起406Rが凹部376の底面に当接した状態となる。これにより、球止め部材400の仮止めが解除される。なお、このように仮止めが解除された状態では各壁部362,363が撓んだままとなっており、同壁部362,363が互いに近づく側へ付勢されている。
仮止めが解除された後、球止め部材400が更に回動されると、上流側対向部402が底板部361から遠ざかる側に移動する。これにより、上流側対向部402による遊技球の積み上がり規制が緩和される。このような上流側対向部402の移動に併せて下流側対向部403が底板部361に近づく側へ移動することで、第1突起405よりも下流側での天井が下がるとともに、爪部407が遊技球の流下領域へ向けて移動する。なお、このように球止め部材400の回動が継続されている間は、第2突起406が壁部362,363上を摺動し、各壁部362,363が付勢されたまま維持されることとなる。
球止め部材400の回動操作量が所定量(本実施の形態においては約10°)に達すると、図19(b)に示すように、爪部407が流下領域内に到達し、当該爪部407によってタンクレール360の出口部分が遊技球の流出を不可となるように狭められた状態となる。言い換えれば、爪部407がタンクレール360の最下流に位置する遊技球に対して下流側から当接可能な状態となる。これと同時又は僅かに先行して、前側第2突起406Fが前側壁部362の上方へ移動するとともに、後側第2突起406Rが凹部376の上方へ移動する。これにより、各壁部362,363が上記付勢力によって撓み変形する前の位置に復帰し、前側第2突起406Fが前側壁部362の上端縁、後側第2突起406Rが後側壁部363の上端縁にそれぞれ載った状態となる。
このように阻止状態に切り替えがなされた後は、第2突起406F,406Rが各壁部362,363の上端縁に上方から当接した状態となる。これら第2突起406及び壁部362,363により、球止め部材400の所定方向への回動は許容されつつ、所定方向とは反対の方向への回動が抑えられることとなる。このように所定方向への回動を許容しつつ所定方向とは反対側への回動を抑えた状態で仮止めすることで、以下の効果を享受することができる。
例えばタンクユニット321から連なる遊技球の球圧が大きくなった場合、爪部407が遊技球によって押されて底板部361から遠ざかる側に変位することが想定される。この点、本実施の形態によれば、上流側対向部402に加わる球圧を利用して、爪部407を底板部361側に付勢することができる。これにより、球圧が増大した場合であっても、それに起因した遊技球の流出阻止機能の低下を好適に抑制することができる。
より詳しくは、阻止状態においては、下流側対向部403が底板部361と略平行となり、それら両者間の隙間寸法が遊技球の直径寸法よりも僅かに大きい程度に抑えられる。この際、上流側対向部402と底板部361との隙間寸法は、少なくとも下流側対向部403と底板部との隙間よりも大きく且つ上流側に徐々に大きくなる。このため、下流側対向部403に加わる球圧は、上流側対向部402に加わる球圧よりも小さく抑えられやすくなっている。故に、球止め部材400を所定方向へ回動させるように作用する付勢力と同球止め部材400を所定方向とは反対の方向へ回動させるように作用する付勢力とを比較すると前者が大きくなりやすく、上述した流出阻止機能を発揮させやすくなっている。
ここで、流出阻止に関する構成について補足する。球止め部材400における第1突起405からベース部311の上流側の端部までの長さ寸法は、同球止め部材400における第1突起405から同ベース部311の下流側の端部までの長さ寸法よりも長く設定されている。言い換えれば、タンクレール360の通路方向における上流側対向部402の長さ寸法は、同方向における下流側対向部403の長さ寸法よりも大きく設定されている。これにより、上流側対向部402に加わる球圧を下流側対向部403に加わる球圧よりも大きくすることが容易となり、上記流出阻止機能の向上が期待できる。
特に、下流側対向部403が底板部361と平行である(すなわち上流側を向く成分を有さない)のに対して上流側対向部402はタンクレール360の上流側を向く成分を有している。このため、タンクレール360に待機している遊技球は上流側対向部402に当たりやすくなっており、上流側対向部402に加わる球圧を下流側対向部403に加わる球圧よりも大きくすることが容易となっている。故に、遊技球の球圧を利用して球止め部材400を阻止状態に維持しやすくなっており、球圧の増大による流出阻止機能の低下を好適に抑制することができる。
以上詳述したように、球止め部材400を阻止状態に切り替えることで、タンクレール360よりも下流側に位置する各種構成(例えばケースレールユニット322や払出装置326)への遊技球の流入を回避し、それら各種構成のメンテナンス作業の容易化に貢献できる。
<球均し部材420の動き>
次に、球止め部材400を阻止状態に切り替えた際の球均し部材420及び遊技球の動きについて説明する。
球止め部材400を阻止状態に切り替えた際には、突出部408が底板部361から遠ざかる側へ移動するのに併せて、球均し部材420が底板部361から遠ざかる側へ移動する。つまり、球均し部材420は、球止め部材400(詳しくは突出部408)と一体となって移動する。
球止め部材400が回動することにより、ベース部401の上流側対向部402と底板部361との隙間が拡がり、それまで遊技球の流入が不可となっていた領域への遊技球の流入が許容されることとなる。そして、当該領域の直上流に位置する球均し部材420が同領域への遊技球の流入を妨げない位置へと移動することで、それまで球止め部材400によって堰き止められていた遊技球が、上流側(例えばタンク350)に存在する遊技球等に押されて又は自重によって当該領域へと流入する。これにより、球止め部材400の上流側対向部402と底板部361との間には遊技球が上下に積み重なり、それまで1列に整列していた遊技球の流れが乱れることとなる。
特に、ケースレールユニット322のメンテナンスを行う際には、遊技機主部12や裏パックユニット15が回動容易となるように移動規制が解除された状態となっていると想定される。このため、ホール管理者等の作業者が遊技機主部12や裏パックユニット15に当たって振動等がタンクユニット321に伝わることで遊技球の位置の変化が生じやすくなる。これにより、例えば上方に積み上がった遊技球が下位に位置する2つの遊技球に跨る等して下流側への移動が妨げられている場合であっても、上記振動等によって、遊技球同士の位置関係が変化して、上記領域への流入が促進されることとなる。
このようにして、遊技球の流れを乱すことにより、遊技球の円滑な流れを妨げたり、ひいては球詰まりを意図的に生じやすくさせたりすることができる。詳細については後述するが、上記乱れの発生はケースレールユニット322(特に払出装置326)の保護を図る上で好ましい。
ここで、球均し部材420が球止め部材400と共に移動しない構成と比較する。球止め部材400が回動して上流側対向部402と底板部361との隙間が拡がった場合には、本実施の形態と同様に、それまで遊技球の流入が不可となっていた領域への遊技球の流入が許容されることとなる。しかしながら、球均し部材420がその場に留まり続けることで、当接部421と底板部361との間を通過した遊技球は1列に整流され、上記両域への遊技球の流入が実現されにくくなる。つまり、いくら遊技球が流入可能となる領域を大きくして当該領域に多量の遊技球を招き入れることで遊技球の流れを乱そうとしても、同領域へ遊技球が流入するきっかけに乏しく、実質的にそのような流れの変化が生じにくい。故に、本実施の形態に示す保護効果と同様の効果を到底期待できない。
<阻止状態から許容状態への切り替え>
次に、図19及び図20を参照して、球止め部材400を阻止状態から許容状態に切り替える場合について説明する。図20は遊技球の流れを示す概略図であり、球止め部材400を許容状態に切り替える際には、図19(b)→図20(a)→図20(b)→図19(a)の順に遊技球が移動することとなる。
図19(b)に示すように球止め部材400が阻止状態となっている場合、球止め部材400を上記所定方向とは反対の方向へ(パチンコ機10の背面視にて反時計回りに)回動させることで許容状態への切替えを行うことができる。この際、球止め部材400の回動に基づき、タンクレール360の両壁部362,363が第2突起406F,406Rの傾斜に沿って互いに離れる側に押される。両壁部362,363が撓み変形することで、第2突起406F,406Rと各壁部362,363の上端縁との引っ掛かりが解除され、前側第2突起406Fが前側壁部362の内壁面に当接し、後側第2突起406Rが凹部376の底面に当接した状態となる。これに伴って、下流側対向部403の爪部407が底板部361から遠ざかる側に移動する。
球止め部材400によってタンクレール360の高さ制限を行う構成においては、通路高さの変化が大きい部分すなわち上流側対向部402と底板部361とによって挟まれた領域にて遊技球の塊が生じやすい。球止め部材400が更に回動されると、上流側対向部402が底板部361に対して近づく側に移動し、当該上流側対向部402と底板部361との間に積み上がっている遊技球が底板部361側へ押される。これにより、遊技球の塊が崩されることとなる。特に、上流側対向部402はタンクレール360の上流側にて高位となるように傾斜している。このため、上流側対向部402によって押された遊技球は底板部361に近づく際に下流側ではなく上流側に移動しやすくなる。このように、許容状態への切替時に、遊技球を上流側へ押し戻すことで、上流側対向部402によって遊技球を底板部361側へ押さえつつそれに起因して爪部407に加わる圧力が増大することを抑制できる。これにより、爪部407や下流側対向部403等に変形が生じることを抑制し、流出阻止機能の低下を抑えることができる。
球止め部材400の回動操作量が所定量(本実施の形態においては10°)に達すると図19(b)→図20(a)に示すように、爪部407が流下領域内から離れて、タンクレール360からの遊技球の流出が許容される。そして、第2突起406F,406Rが挿通孔375,377に到り、各壁部362,363が元の状態に復帰することで、それら第2突起406F,406Rが挿通孔375,377に嵌まった状態となる。これら第2突起406及び挿通孔375,377によって所定方向及び同所定方向とは反対方向への球止め部材400の回動が抑えられる。つまり、球止め部材400が仮止めされ、許容状態に維持されることとなる。ここで、図20(a)→図20(b)に示すように、許容状態への切替時に、遊技球を上流側へ押し戻すことで、タンクレール360から遊技球が勢いよく流出することを抑制し、同タンクレール360よりも下流側に配置された各種構成(例えば払出装置326)の保護に貢献できる。
また、許容状態から阻止状態への切り替え時に遊技球の流れに乱れを生じさせて球噛みの発生を促すことにより、遊技球の流出が許容されたタイミングにて一気に多量の遊技球が流れることを抑制できる。つまり、遊技球の流下が開始されるタイミングのずれを大きくすることで、遊技球から払出装置326等へ伝わる衝撃が過度に大きくなることを抑制し、上記保護機能の向上に貢献することができる。
なお、このように許容状態に切り替えられた場合、球止め部材400の上流側対向部402が仕切壁366に対して当接することとなる。つまり、球止め部材400が上記所定量を超えて回動されることを同仕切壁366によって制限することができる。上述の如く、上流側対向部402によって遊技球を押す構成においては、同上流側対向部402が勢いに任せて押し込まれる等することで、第2突起406等の変形が発生し得る。これは、球止め部材400の正常な動作を妨げる要因となり得るため好ましくない。この点、仕切壁366によってそのような過剰な押し込みを回避することで、上記不都合の発生を好適に抑制でき、実用上好ましい構成を実現できる。
以上詳述した許容状態への切替操作により、以下の効果を奏する。球通路において通路の大きさが変化している部分においては遊技球の塊が形成されやすいと想定される。このような塊りが形成されている部分では各遊技球の流れが乱れる等して遊技球同士が噛み込んだような状態となり、球詰まりが生じやすい。特に、球止め部材400が阻止状態から許容状態に切り替えられた場合にそのような球詰まりが残存すると、許容状態であるにも関わらず遊技球が流れないといった不都合が生じ得る。本実施の形態においては、このような球詰まりを誘発させることで上記保護機能を発揮させているが、上述したように球詰まりが残存することは好ましくない。この点、球止め部材400を許容状態に切り替える場合に、そのような球詰まりが発生しやすいと想定される位置で遊技球を押すことにより、球詰まりが解消されないままになることを抑制している。
上記球詰まりに関しては遊技球同士の位置関係に起因しており、その位置関係は微妙なバランスの上に成り立っていることが多い。故に、可動部が遊技球に当たる等して上記バランスが崩れることにより、球詰まりの解消を促すことができる。ここで、球詰まりが発生している部分を指等で押したり、タンクレール360(パチンコ機10)を揺すったりして外力を加えることで、球詰まりを解消することも可能であるが、このような予備的作業が必要となれば切替作業が煩雑になると考えられる。この点、上記球止め部材400においては、阻止状態から許容状態への切り替えに伴って遊技球に外力を加えることができ、上述した予備的作業が必要になる機会を減らすことができる。これにより、作業が煩雑になることを回避し、作業性の向上を実現することができる。
次に、球止め部材400を許容状態に切り替えた際の球均し部材420及び遊技球の動きについて説明する。
球止め部材400を許容状態に切り替えた際には、球止め部材400(詳しくは突出部408)の底板部361に近づく側への動きに伴せて球均し部材420が底板部361に近づく側へ移動する。つまり、球均し部材420は、球止め部材400(詳しくは突出部408)と一体となって移動する。
球均し部材420は突出部408とともに底板部361へ向けて降下することで、図20(a),(b)に示すように、案内通路に溜った遊技球群の上に載った状態となる。突出部408が降下を継続すると、球均し部材420が遊技球群を上方から押すこととなり、遊技球の塊が崩れることとなる。ここで、仮に球均し部材420の降下によって当接部421が遊技球群に無理に割り込もうとすることで、球詰まりが生じたり、球均し部材420が支えて球止め部材400の操作が妨げられたりすると懸念される。この点、本実施の形態においては、遊技球からの反力が大きい場合には、球均し部材420が回動することで当接部421が上流側又は下流側に逃げることとなる。これにより、球均し部材420がつかえて球止め部材400の操作が難しくなるといった不都合を生じにくくすることができる。
特に、球均し部材420については、当接部421が上流側に逃げるよりも下流側に逃げたほうがその後の遊技球の流れに支障をきたしにくい。そこで、本実施の形態においては、球均し部材420の降下時に当接部421を下流側へ逃がす工夫が施されている。以下、図21を参照して、当該工夫にかかる構成について説明する。図21(a)は球均し部材420の降下の様子を示す概略図である。
既に説明したように、球均し部材420は球止め部材400に取り付けられており、この球止め部材400(詳しくは突出部408)の動きに追従して上昇/降下する構成となっている。球止め部材400については、下流側の端部にて回動可能に軸支されており、その回動先端部に球止め部材400が配設されている。このため、球均し部材420は、球止め部材400が回動した際には、鉛直方向に移動するのではなく、球止め部材400の回動中心を中心とした仮想円FCに沿って移動することとなる。
球止め部材400を阻止状態から許容状態に切り替える際には、球均し部材420が仮想円FCに沿って移動することにより、底板部361に向けて降下しつつ案内通路の上流側へと移動することとなる。このような上流側へ向けた動きを与えることにより、案内通路に停留している遊技球群に対して案内通路の下流側から当たりやすくなっており、遊技球群に当たった後は、当接部421の上流側への移動が妨げられる一方で突出部408については、上流側へ向けた移動を継続する。これにより、球均し部材420(当接部421)が下流側へ逃げやすくなっている。
また、球止め部材400については、球均し部材420に吊り下げられており、案内通路に沿った揺動が許容されている。球止め部材400が回動した際には、球均し部材420(当接部421)の自重によって、当接部421が下限位置に留まるようにして姿勢が変わることとなる。これにより、例えば球均し部材420が回動不能(揺動不能)となるようにして取り付けられている構成(図20(b)参照)と比較して、球止め部材400を阻止状態から許容状態に切り替える際の上流側へ向けた当接部421の移動量を大きくすることが可能となっている。故に、球均し部材420(当接部421)を下流側へ逃がす機能を発揮させやすくなっている。
再び図19を参照して説明すれば、上述した突出部408については、タンクレール360の各壁部362,363によって底板部361に近づく側(下方)への変位が規制されているものの、底板部361から遠ざかる側(上方)への変位は規制されていない。そして、突出部408は球止め部材の回動先端部(自由端)に設けられており、球止め部材400を許容状態に維持するための仮止め箇所から離れている。
球止め部材400を阻止状態から許容状態に切り替える際には、ベース部401の上流側対向部402を底板部361側へ押すことにより、切替時の操作力を遊技球に伝えやすくすることができる。この場合、仮に球均し部材420が遊技球群に当たって切替操作を妨げる力が大きくなったとしても、球止め部材400のベース部401が上記仮止め箇所、指によって押されている部分、上流側対向部402における折曲部等を中心として撓み変形等することで、球均し部材420の支えが球止め部材400の切替操作を不可とする要因になることを回避することが可能となっている。
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
払出機構部302のタンクレール360に球止め部材400を設けた。ケースレールユニット322のメンテナンスを行う場合には、球止め部材400によって同ケースレールユニット322への遊技球の流入を阻止した後にケースレールユニット322に貯留されている遊技球を排出することで、待機中の遊技球によってメンテナンス作業が妨げられることを抑制できる。すなわち、メンテナンス作業の容易化に貢献できる。また、メンテナンス等を終えた後は、球止め部材400を許容状態に切り替えることで、払出装置326へ向けての遊技球の流下が許容される。
本実施の形態においては、球止め部材400を許容状態から阻止状態に切り替えることで球止め部材400のベース部401(詳しくは上流側対向部402)とタンクレール360の底板部361との隙間が大きくなり、それまで遊技球の流入が規制されていた領域への遊技球の流入が許容されることとなる。すなわち、遊技球の待機領域が実質的に拡張される。
阻止状態への切替時に遊技球を上記拡張領域へ流入させることで遊技球の流れに乱れを生じさせることができる。具体的には、球止め部材400の上流側に設けられた球均し部材420によって上下に複数の遊技球が積み重なることが規制された状態から、同球均し部材420が球止め部材400と共に移動することで、積み重なり規制が弱まる。これより、それまで規則正しく並んでいた遊技球の位置関係が変化し、上述した乱れが発生する。
上流側対向部402と底板部361との間に存在する遊技球が互いに噛み込んだような状態となり(例えば遊技球の塊りが発生し)、同タンクレール360内にて遊技球の詰まりが生じる。このため、球止め部材400を阻止状態から許容状態に切り替える場合には、球止め部材400と底板部361との間に存在する遊技球が一気にタンクレール360から流出しにくくなり、一部の遊技球については球詰まりが解消されるまでタンクレール360からの流出が妨げられることとなる。
ケースレールユニット322に配設された払出装置326については、多量の遊技球が勢いよく衝突することで、払出機能に支障をきたすおそれがある。この点、本実施の形態に示したように、多量の遊技球が一気にケースレールユニット322へと流入することを回避することで、払出装置326等に遊技球が衝突して大きな衝撃が生じることを抑制し、払出装置326を保護することが可能となる。
このように、阻止状態への切替時に積極的に球詰まりを生じさせる構成においては、上記保護機能の向上を図ることができる反面、仮にこのような球詰まりが球止め部材400が許容状態へ切り替えられた後にも継続されると、タンクレール360内にて遊技球の流れが滞ったままとなり、遊技球がケースレールユニット322側へ流下しないといった不都合が生じ得る。このような不都合は、パチンコ機10(例えば裏パックユニット15)を揺すったり、球詰まりが生じている部分を指等で押したりすることで解消できるが、同不都合の解消にこのような予備的作業が必要となることは好ましくない。
この点、上記実施の形態によれば、球止め部材400を許容状態に切り替えた場合に、同球止め部材400の上流側対向部402がタンクレール360に滞留している遊技球に対して近づく側に移動し、当該上流側対向部402によって遊技球を押すことが可能となる。このように上流側対向部402によって遊技球を押すことで、上述した球詰まりの解消に貢献できる。つまり、上記予備的作業への依存を抑え、切替作業の円滑化を図ることができる。
また、許容状態への切り替えがなされた場合に上流側対向部402によってタンクレール360の通路領域を狭める構成とすることで、上記球詰まり解消機能を好適に発揮させることができる。具体的には、上述した遊技球が噛み込んだような状態を遊技球の塊りのうちどの箇所を押すことで好適に解消できるかは、その時々によって相違すると想定され、同箇所を完全に予測することは困難である。そこで、本特徴に示すように上流側対向部402が底板部361と対抗する板状をなし、通路領域を狭める構成とすれば、押すべき箇所のばらつきを好適に許容することができる。これにより、実用上好ましい構成を実現できる。
遊技球を球止め部材400の爪部407によりタンクレール360の出口部分にて堰き止める場合、同爪部407が通路領域へ突出することによって当該爪部407により遊技球が上流側に押され得る。仮にこのように遊技球の押し戻しが発生する場合には、上流側に連なる遊技球の球圧に逆らって出口部分に位置する遊技球を上流側移動させる必要が生じ得る。これは切替作業を困難にする要因となり得る。この点、上記実施の形態における球止め部材400においては、阻止状態への切り替えに基づいて上流側対向部402が底板部361から遠ざかる側に移動することで、遊技球の逃げ場を作ることができる。すなわち、上記逃げ場への遊技球の移動を許容することにより、阻止状態への切り替えに伴って遊技球が上流側に押された場合に発生する抵抗の軽減に貢献できる。故に、阻止状態への切替操作の円滑化に貢献できる。
また、球止め部材400を回動式とすることにより、以下の効果を享受できる。すなわち、ベース部311を上流側対向部402と爪部407との間にて回動可能に支持することにより、構成の複雑化を抑えつつ、すなわち複雑なリンク構造の採用を回避しつつ、それら両者を連動させることができる。つまり、球止め部材400をシーソーのように動かすことで、上流側対向部402及び爪部407に対して底板部361に対して逆の動きを与えることが可能となる。これにより、簡素な構成により、球止め部材400に対して球詰まり解消機能と球止め機能を付与することができ、実用上好ましい構成を実現できる。
上流側対向部402が遊技球によって押された場合、同上流側対向部402に加わる球圧が爪部407を底板部361側に近づけるように作用することとなる。これにより、爪部407の底板部361からの離れを抑え、阻止状態の維持に貢献できる。また、上流側からの球圧が大きくなった場合には、遊技球の流下経路のばらつきも大きくなり得るが、このように球圧が大きくなれば、その分、爪部407を押し下げる力も強まる。故に、球圧の増加によりタンクレール360の出口部分に位置する遊技球が爪部407をすり抜けて脱落するといった不都合、すなわち阻止状態が解除されるといった不都合を生じにくくすることができる。
特に、下流側対向部403と底板部361との隙間は、遊技球の通過が許容されるとともに、それら下流側対向部403と底板部361との間での遊技球の積み上がりが制限されるように設定され、上流側対向部402と底板部361との隙間は、下流側対向部403と底板部361との隙間よりも大きくなるようにタンクレール360の上流側に向けて拡大されている。このため、上流側対向部402に加わる球圧を、下流側対向部403に加わる球圧よりも大きくすることが容易となり、上記維持機能を好適なものとすることができる。
また、ベース部311の回動中心軸線から上流側対向部402の上端までの距離寸法は、同回動中心軸線から爪部407までの距離寸法よりも大きく設定されているため、上流側対向部402に加わる球圧を、下流側対向部403に加わる球圧よりも大きくすることが容易となり、上記維持機能を好適なものとすることができる。
上流側対向部402の下面は、タンクレール360の上流側に向けて凸となる曲面状をなしているため、許容状態への切替操作に基づいて、遊技球をタンクレール360の上流側に押し戻すことが容易となる。故に、爪部407に加わる球圧(遊技球列の球圧)を弱めつつ、許容状態への切り替えを行うことができる。特に、上流側に連なる遊技球からの球圧により、出口部分に待機していた遊技球が下流側に押され、勢いよく流れることを抑制できる。これにより、流下し始めた遊技球がケースレールユニット322の払出装置326等に衝突した際の衝撃力を小さくし、同払出装置326の保護に貢献できる。
球止め部材400の回動中心軸線からベース部311の上端までの距離を同回動中心軸線から爪部407までの距離よりも大きく設定することで、上流側対向部402の移動ストロークを大きくすることができ、同上流側対向部402によって遊技球を押す際の操作性向上に貢献することができる。更には、ベース部311の上端を押し引きすることにより、爪部407を通路領域内(例えば遊技球列)に対して割り込ませる際の抵抗の軽減を期待することができる。
球止め部材400が阻止状態に切り替えられている場合に、タンクレール360に待機している遊技球によって上流側対向部402が押されると、その球圧を阻止状態の維持に好適に活用することができる。故に、上流側対向部402に当接している遊技球を介して伝わる球圧が増大した場合に、タンクレール360の出口部分に待機している遊技球が爪部407を押しのけて下流側へ移動するといった不都合、すなわち遊技球の零れを好適に抑制することができる。
また、本実施の形態においては、タンク350とタンクレール360とを横並びとなるように設け、タンクレール360が外部端子板319の前方を通過する構成とすることにより、保護カバー部312を上方に拡大することが可能となっている。これにより、保護カバー部312によって保護されている対象(例えば遊技盤80に搭載された可変表示ユニット85)を大型化することができる。これにより、パチンコ機10の興趣向上に貢献している。
外部端子板319については、遊技ホールの島設備やパチンコ機10の制御装置等から配線H1,H2が接続される構成となっている。外部端子板319の後方には、これら配線H1,H2の接続作業を行うための作業用スペースの確保が必要となる。
本実施の形態においては、タンクレール360を後方に折り曲げることで、作業用スペースを確保している。タンクレール360については、タンク350とケースレールユニット322(特に払出装置326)との間に配置されており、タンク350からの流出した遊技球が勢いよくケースレールユニット322に流入することを抑制したり、タンク350からの球圧がケースレールユニット322に伝わりにくくしたりするための減勢・減圧機能が期待される。この点、外部端子板319を迂回するようにしてタンクレール360を折り曲げることにより、上記減勢・減圧機能を好適に発揮させることが可能となっている。
タンクレール360において外部端子板319の後方に位置する下流通路部360Dについては、保護カバー部312よりも後方へ払い出さない範囲で最大となるようにオフセットされている。これにより、上記減勢・減圧機能の強化を図りつつ、それに起因したパチンコ機10(詳しくは裏パックユニット15)の厚さの増大を抑えることが可能となっている。
特に、外部端子板319の前面にコネクタ319dが設けられている構成においては、コネクタ319d及びそれに接続された配線H3の露出を抑え、防犯機能の向上を図ることができる。かかる構成においては、外部端子板319と内枠13(詳しくは遊技盤80の背面)との間に、配線H3を通過させるための領域を確保する必要がある。外部端子板319を前寄りに配置することで配線用の領域を確保することは、結果として遊技盤80にかかる構成の配置への制約を強めることとなり、上述した遊技機の興趣向上を図る上で好ましくない。この点、本実施の形態によれば、配線H3の配設領域を担保しつつ、上記各種効果を享受することができる。
なお、本実施の形態においては、裏パックユニット15を開放するためには、前扉枠14等の開放が必要であり、コネクタ319dやそれに接続された配線H3への不正なアクセスを好適に抑制することができる。
また、球止め部材400の操作部として機能する突出部408については、外部端子板319と前後に重ならない位置に配されている。これにより、外部端子板319に接続された配線H1,H2によって、球止め部材400の操作が妨げられやすくなることを回避することが可能となっている。
上流側対向部402をその途中位置にて折り曲げる構成とし、突出部408側が高位となるように構成することで、配線H1,H2が上流側対向部402を乗り越えて突出部408側へ移動することを回避することができる。
<第2の実施の形態>
上記第1の実施の形態においては、球均し部材を球止め部材に取り付けることにより、球止め部材の動きに併せて球均し部材を移動させる構成としたが、本実施の形態においては、これら球止め部材と球均し部材との関係が異なっている。以下、図22に基づいて、本実施の形態における球止め部材と球均し部材との関係について説明する。図22は、第2の実施の形態における球止め部材と球均し部材との関係を示す概略図である。なお、これら両部材及びそれに関連する構成以外の各種構成については、上記第1の実施の形態と同様であるため説明を援用する。
本実施の形態においては、球均し部材420Xが球止め部材400Xに代えてタンクレール360Xに取り付けられている。具体的には、タンクレール360Xを構成している前側壁部362X及び後側壁部363Xには、それら両壁部362X,363Xに掛け渡すようにして軸ピン411Xが配設されている。この軸ピン411Xが球均し部材420Xのアーム部422Xに形成された貫通孔に対して挿通された状態で壁部362X,363Xに固定されることにより、球均し部材420Xがタンクレール360Xに一体化されている。
これにより、球均し部材420Xは軸ピン411Xを中心として回動可能となっており、球均し部材420Xが回動することで当該球均し部材420Xの当接部421Xが案内通路の上流側及び下流側に揺動する。なお、本実施の形態においては、球均し部材420Xの取付対象がタンクレール360Xに変更されているため、球止め部材400Xが操作された場合であっても、上記第1の実施の形態に示したように球均し部材420Xが球止め部材400Xに追従して上下方向に移動することはない。また、球止め部材400においては、第1の実施の形態に示した突出部408を不具備となっている。
タンクレール360Xには、球均し部材420Xの上流側への回動限界位置を規定する上流側ストッパ部412Xと、下流側への回動限界位置を規定する下流側ストッパ部413Xとを有している。各ストッパ部412X,413Xは両壁部362X,363Xに跨るようにして形成されており、球均し部材420Xの回動角度が所定の角度となった場合に、アーム部422Xに当接することで、同球均し部材420Xの回動を阻止する構成となっている。
ここで、本実施の形態においては、球止め部材400Xが操作された場合に当該球止め部材400Xに連動して球均し部材420Xを動作させる連動機構が採用されていることを特徴の1つとしている。以下、図22及び図23を参照してこの連動機構について説明する。図23はタンクユニット321Xを遊技機前方から見た概略図である。
<連動機構>
図23に示すように、球止め部材400Xには、球均し部材420Xを操作する操作部409Xが形成されている。操作部409Xは案内通路外に配されており、前側壁部362Xに沿うようにして球均し部材420X側(上流側)へ延びている。
球均し部材420Xには、操作部409Xの上流側の端部(以下、先端部409aXと称する)に対向するようにして受け部425Xが形成されている。に示すように、受け部425Xは、下流側を向く面状をなしている。球止め部材400Xの切替操作が行われる際に、操作部409Xの先端部409aXが受け部425Xに当たることで、球均し部材420Xが上流側に回動(当接部421Xが上流側に揺動)することとなる。
受け部425Xは、一連となるように形成された上側受け部427X及び下側受け部426Xによって構成されている。下側受け部426Xは鉛直方向に延びており、上側受け部427Xは下側受け部426Xに対して下流側に凸となるように突出している。
下側受け部426Xについては特に、球止め部材400Xの切替操作に伴って先端部409aXが通過する軌道と重なるように形成されている。より詳しくは、上側受け部427Xは、上記軌道との重なりが底板部361Xから遠ざかるに連れて(上方にて)徐々に大きくなるように構成されている。一方、下側受け部426Xについては、先端部409aXとの間に所定の隙間が確保されるようにして形成されている。これにより、許容状態における球止め部材400Xの下流側への回動(当接部421Xの下流側への揺動)が操作部409Xによって妨げられることが回避されている。つまり、上記所定の隙間については、球均し部材420Xが下流側ストッパ部413Xに当接する位置へ到達した場合であっても、操作部409Xと受け部425Xとの間に隙間が残るように設定されている。
<連動態様>
ここで、図24を参照して、球止め部材400Xの切替操作に基づく球均し部材420Xの動作について説明する。図24は、球止め部材400X及び球均し部材420Xの動作態様を示す概略図である。
先ず球止め部材400Xを許容状態から阻止状態に切り替える場合について説明する。
図24(a)に示すように球止め部材400Xが許容状態である場合には、タンク350→タンクレール360X→ケースレールユニット322に連なる遊技球列が形成される。それら待機中の遊技球は、例えば上記払出装置326の払出動作に応じて下流側へ移動する。
タンクレール360Xの案内通路は球止め部材400Xによって覆われている部分を除き上方に開放されている。このため、タンク350からタンクレール360Xに流入した遊技球は、球止め部材400Xまでの上方に開放されている区間においては案内通路の高さ方向に積み上がりやすくなっている。
このように高さ方向に積み上がった遊技球は、球均し部材420Xと底板部361Xとの間を通過することで、縦1列に抑えられている。つまり、遊技球は縦1列に整流された状態にてケースレールユニット322へ流入する。
本実施の形態においては、球均し部材420Xが回動可能(当接部421が揺動可能)となっている。縦に積み上がった遊技球が当接部421Xを上流側から押すことにより、球均し部材420Xが下流側に回動し、当接部421Xが下流側へ移動しつつ底板部361Xから遠ざかるようにして浮き上がることとなる。これにより、当接部421Xと底板部361Xとの隙間が拡がり球詰まりの発生が回避される。
球均し部材420Xについては、その上流側では遊技球が縦に積みあがっているため、上述した待機位置に留まることはほとんど無く、多くの場合には当接部421Xが遊技球によって上流側から押されることで少なからず下流側に振れた状態に維持される。
このようにタンクレール360Xからの遊技球の流出が許容された状態から同タンクレール360Xからの遊技球の流出を阻止する状態への切り替えを行う場合、球止め部材400X(ベース部401X)の上流側の端部を指等で摘んで所定方向(パチンコ機10の背面視において時計回り)に回動させる(図24(a)→図24(b)参照)。
図24(b)→図24(c)に示すように、球止め部材400Xの回動操作量が所定量(本実施の形態においては約10°)に達すると、ベース部401Xの下流側の端部に形成された爪部407Xが流下領域内に到達し、当該爪部407Xによってタンクレール360の出口部分が遊技球の流出を不可となるように狭められた状態となる。言い換えれば、爪部407Xがタンクレール360Xの最下流に位置する遊技球に対して下流側から当接可能な状態となる。
本実施の形態においては、爪部407Xが流下領域内へ到達するのに併せて、球均し部材420Xが上流側へ回動する。具体的には、球止め部材400Xの操作部409X(詳しくは先端部409aX)によって球均し部材420の上側受け部426が押されることとなる。操作部409Xについても球止め部材400の回動中心部を中心として、回動するが、かかる操作部409Xの動きに併せて受け部426が上流側へ移動することとなる。この結果、球均し部材420Xが上流側へ回動し、当接部421Xに上流側から当接している遊技球が、上流側へ押し戻されることとなる。
上述したように、爪部407Xを流下領域へと侵入させる構成においては、遊技球の位置によっては爪部407Xによって停留中の遊技球が上流側へ押される可能性がある。このような遊技球の動きが許容されないと、阻止状態への切替えが上手く完了しないままとなり、タンクレール360Xから遊技球が流出するといった不都合が生じ得る。特に、球止め部材400Xの上流に球均し部材420を配置している構成においては、球均し部材420X(当接部421X)と爪部407Xとの間に遊技球が詰まる等して、阻止状態への切替えが難しくなる可能性が高まる。
この点、本実施の形態においては、上述したように球均し部材420Xを爪部407Xの動きに併せて、上流側へ逃がす構成とすることで、球均し部材420X(当接部421X)と爪部407Xとの間に遊技球が詰まるといった不都合を生じにくくしている。
球止め部材400Xが阻止状態に切り替わることで、球均し部材420Xは上流側へ振れた状態のままとなり、待機位置よりも下流側への回動が規制されることとなる。このようにして、球均し部材420Xの下流側への回動を規制することにより、球均し部材420Xに遊技球を受け止めて球止め部材400Xの爪部407Xへ加わる球圧を軽減する機能を好適に発揮させることができる。なお、阻止状態においては、遊技球の流れが妨げられており、整流機能を担保する必要は無い。
このように阻止状態に切り替えがなされた後は、第2突起406FX,406RXが各壁部362X,363Xの上端縁に上方から当接した状態となる。これら第2突起406X及び壁部362X,363Xにより、球止め部材400Xの所定方向への回動は許容される一方で、所定方向とは反対の方向への回動が抑えられることとなる。このように所定方向への回動を許容しつつ所定方向とは反対側への回動を抑えた状態で仮止めすることで、球止め部材400Xが阻止状態に維持されることとなる。
本実施の形態においては、球止め部材400Xを所定方向とは反対の方向へ回動させることで、同球止め部材400Xを阻止状態から許容状態に切り替えることができる。図24(c)→図24(b)→図24(a)に示すように球止め部材400Xを許容状態に切り替えた際には、爪部407Xの上昇に併せて操作部409Xが降下する。これにより、操作部409Xの先端部409aXが上側受け部427Xに当たり、同先端部409aXによって上側受け部427Xが下方に押されることで、球均し部材420Xが軸ピン411Xを中心として回動する。これにより、当接部421Xが上流側へと移動することとなる。
このように、球止め部材400Xの阻止状態から許容状態への切り替えに連動させて球均し部材420Xを動作させることで、球均し部材420Xに当接している遊技球の位置を変化させることができる。これにより、仮に球均し部材420Xに当接している遊技球を含んだ複数の遊技球に球噛みが発生している場合であっても、遊技球同士の位置関係が変化する等して、球噛みの解消が促されることとなる。
特に、図24(b)→図24(a)に示すように、球均し部材420Xはある程度上流側へ振れた後は、自重等によって反対側へと移動することとなる。これにより、遊技球を上流側へ押すことで新たな球噛みが発生したとしても、それら噛み込んでいる遊技球の位置関係を変化させることで、当該新たな球噛みの解消を促すことが可能となっている。
以上詳述したように、球止め部材400Xを阻止状態から許容状態に切り替える際に、球均し部材420Xが連動する構成を採用したとしても、許容状態となった後も、案内通路内にて球詰まりが残ったままとなる可能性を完全に払拭することは困難であり、本実施の形態においては、このような球詰まりを簡単に解消するための構成が採用されている。以下、再び図22を参照して球詰まりの解消にかかる構成について説明する。
<球詰まりの解消にかかる構成>
球止め部材400Xのベース部401Xにおける上流側の端部には、案内通路から突出する突出部408Xが形成されている。突出部408Xは、球均し部材420Xのアーム部422X(詳しくはその上端部423X)に遊技機上方から対峙している。突出部408Xにおいて上端部423X側を向いている下面、より詳しくは球均し部材420Xの回動中心部よりも下流側となる位置部位には上端部423X側へ凸となる突起418Xが形成されている。
上端部423Xについては、案内通路の下流側から上流側へと下るように傾斜した平面状をなしており、突起418Xは上端部423Xに対して隙間を隔てて対峙している。この隙間については、球均し部材420Xが上記ストッパ部412X,413Xによって規定された範囲内で回動した場合の干渉が回避されるように、且つ当該範囲内にて突起418Xと上端部423Xとの上下の重なりが担保されるように設定されている。
上記第1の実施の形態においては、球止め部材400が許容状態となっている場合には、球止め部材400Xのベース部401とタンクレール360の仕切壁366とが当接することで、上流側対向部402がタンクレール360の底板部361へ近づく側へ変位しないように規制する構成とした。これに対して、本実施の形態においては、ベース部401X(詳しくは上流側対向部402X)と仕切壁366Xとの間に隙間を設け、突出部408Xを含んだ上流側対向部402Xの一部が、底板部361Xに近づく側へ変位可能となるように構成されている。上流側対向部402Xにおいて、第2突起406Xよりも上流側となる部分を底板部361X側へ押すことにより、上流側対向部402Xが撓み変形し、突出部408Xが降下することとなる。
ここで、上流側対向部402Xにおいて上方へ向けて折れ曲っている部分は、タンクレール360Xの壁部362X,363Xに当接している。これら壁部362X,363Xにおいて、上流側対向部402Xに当接している部分(縁部)は、下流側へ向けて下り傾斜しているため、上記撓み変形が生じた場合の変位方向がこれら壁部362X,363Xによって規定される。つまり、突出部408Xについては、真下に降下するのではなく、下流側への変位を伴いながら降下することとなる。
以下、図25及び図26を参照し、阻止状態から許容状態への切替時等に球詰まりが発生した場合に、当該球詰まりを解消するための操作及びそれによる遊技球の動きについて説明する。図25及び図26は、球詰まりを解消するための操作及びそれによる遊技球の動きを示す概略図である。
タンクレール360Xにおける球詰まりは大別して、球均し部材420Xの当接部421Xとタンクレール360Xの底板部361Xとの間に遊技球が噛み込むことで発生するものと、球止め部材400Xのベース部401Xと底板部361Xとの間に遊技球が噛み込むことで発生するものとがある。
先ず、図25を参照してこれら2つの態様のうち前者について説明する。図25(a)に示すように、球均し部材420Xの当接部421Xと底板部361Xとの間に遊技球が噛み込んでいる場合には、図25(a)→図25(b)に示すように球止め部材400Xの上流側対向部402X(詳しくは第2突起406Xよりも上流側となる部分)を底板部361X側へと押す。
これにより、球止め部材400Xの突出部408Xが降下して、突起418Xが球均し部材420Xのアーム部422X(詳しくはその上端部423X)に当たる。作業者によって更に押し込まれると、突起418Xによって上端部423Xが押されることで、軸ピン411Xを中心として、球均し部材420Xが回動する(遊技機後方から見て時計回りに回動する)。これにより、当接部421Xが上流側へと移動することとなる。
当接部421Xが上流側へ移動すると、それまで当接部421Xに当接していた遊技球が上流側へ押され、遊技球同士の位置関係に変化が生じる。既に説明したように、球噛みを発生させる遊技球同士の位置関係については、同位置関係の微妙な変化によって解消されやすい。本実施の形態に示す球均し部材420Xについては、底板部361Xから球1個分以上離れているため、縦に積み重なった複数の遊技球のうち上側の遊技球にのみ当接している。このため、当接部421Xの位置を変化させることで一部の遊技球の位置を変化させることができ、図25(c)に示すように球詰まりが解消されることとなる。
次に、図26を参照して、球止め部材400Xの上流側対向部402Xと底板部361Xとの間に球詰まりが発生している場合について説明する。
図26(a)に示すように、遊技球が上流側対向部402Xと底板部361Xとの間に、噛み込んでいる場合には、図26(a)→図26(b)に示すように球止め部材400Xの上流側対向部402X(詳しくは第2突起406Xよりも上流側となる部分)を底板部361X側へと押す。
これにより、上流側対向部402Xが第2突起406Xを基端として撓み変形し、当該上流側対向部402Xと底板部361Xとの間に挟まっている遊技球が上流側に押されることとなる。これにより、縦に積み重なった遊技球の位置関係が変化して、球詰まりが解消されることとなる(図26(b)参照)。
この際、上流側の遊技球からの球圧等によって、上流側対向部402Xに押された遊技球の上流側への移動が妨げられることは、上記位置関係の変化を生じにくくする要因となるため好ましくない。
この点、本実施の形態においては、図26(b)に示すように、上流側対向部402Xを押すことで球均し部材420Xが回動し、当接部421Xに当接している遊技球が上流側へ押されることとなる。これにより、上述した抵抗を小さくし、更には、上流側への移動を許容するスペースを捻出することができる。故に、球詰まりを好適に解消することができる。
以上詳述したように、球詰まりが発生した場合には、上流側対向部402Xを押すことで、当該球詰まりを解消することができるため、球詰まりの発生箇所を特定する必要が無い。故に、球詰まりの解消作業が煩雑になることを抑制することができる。
なお、上述した実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
(1)上記各実施の形態では、球止め部材400により「案内通路」としてのタンクレール360を流下する遊技球の移動を阻止する構成とした。これを変更し、球止め部材によってケースレール324を流下する遊技球の移動を阻止する構成とすることも可能である。
(2)上記各実施の形態では、球止め部材400を回動式としたが、タンクレール360からの遊技球の流出を阻止する阻止状態と流出を許容する許容状態とに切替可能であれば足り、詳細な仕様については任意である。例えば、球止め部材400を回動式ではなくスライド式とすることも可能である。
但し、例えば球止め部材400を上下にスライド移動させる構成とした場合には、球均し部材420と移動方向を逆にする必要があり、このような動きを実現するための構成を追加する必要が生じ得る。これは、タンクユニット321にかかる構成を複雑化させる要因となるため好ましくない。故に、望ましくは上記実施の形態に示したように球止め部材400を回動式とするとよい。
(3)上記各実施の形態では、球止め部材400が「可動部」としての上流側対向部402と「突出部」としての爪部407とを併せ有する構成とした。すなわち、「可動部」及び「突出部」を一体的に設けたが、これら「可動部」及び「突出部」を別体で設けることも可能である。例えば、「可動部」と「突出部」とをリンク構造等を用いて連結し、それら両者を連動させる構成としてもよい。
(4)上記各実施の形態では、「可動部」が板状をなす構成としたが、「可動部」は少なくとも遊技球を押すことが可能であればよく、例えば同「可動部」が突起状をなす構成とすることも可能である。
(5)上記実施の形態では、阻止状態への切り替えに伴って、「可動部」としての上流側対向部402が徐々にタンクレール360の底板部361側に移動する構成としたが、阻止状態への切り替えが完了したことを契機とし、「可動部」が底板部361側に移動する構成としてもよい。
(6)上記実施の形態では、「案内通路」としてのタンクレール360が上方に開放された溝状をなす構成としたが、これを変更し、案内通路が筒状をなす構成とすることも可能である。この場合、例えば案内通路が上下に延びる構成とするが容易となり、案内通路の取り回し自由度が向上される。
(7)上記各実施の形態では、「案内通路」としてのタンクレール360が2条の球通路を有する構成としたが、これに限定されるものではない、例えば1条の球通路を有する構成としてもよいし、3条以上の球通路を有する構成としてもよい。
(8)上記各実施の形態では、上流側対向部402の下面が平面状をなす構成としたが、これを変更し、タンクレール360の上流側に凸となる曲面状をなす構成としてもよい。これにより、許容状態への切り替え時には停留中の遊技球を上流側へと押しやすくなる。
(9)上記各実施の形態では、タンクレール360の通路方向における上流側対向部402の長さ寸法を下流側対向部403の長さ寸法よりも大きく設定したが、これを逆にすることも可能であるし、両寸法を同一とすることも可能である。但し、このような変更を行った場合、球止め部材400を阻止状態にて維持する機能が低下すると懸念される。故に、望ましくは上記実施の形態に示したようにタンクレール360の通路方向における上流側対向部402の長さ寸法を下流側対向部403の長さ寸法よりも大きく設定するとよい。
(10)上記第1の実施の形態では、球止め部材400における上流側の端部(突出部408)に球均し部材420を取り付けたが、球均し部材420の取付位置については少なくとも上流側対向部よりも上流側に位置していればよく、その詳細な配置については任意である。
(11)上記第2の実施の形態では、球止め部材400Xを阻止状態に切り替えた状態においては、球止め部材400Xの下流側への揺動が規制される構成としたが、これに限定されるものではない。球止め部材400Xを阻止状態に切り替えた後であっても、下流側への揺動を許容する構成とすることも可能である。
但し、阻止状態となった場合には、球止め部材400Xの爪部407Xに加わる球圧が大きくなることで爪部407Xが変形する等して阻止機能が損なわれる可能性がある。このような事情に鑑みれば、阻止状態においては、球均し部材420Xを上流側への回動位置から下流側へと回動しないように規制することにより、球止め部材400Xに加わる球圧の一部を球均し部材420Xにより受ける構成とすることで、球止め部材400Xの保護を図ることが好ましい。
(12)上記第2の実施の形態では、球止め部材400Xを許容状態に切り替える際に、当該球止め部材400Xに連動して球均し部材420Xが上流側に振れる構成としたが、球均し部材420Xの連動態様については、これに限定されるものではない。例えば、球均し部材420Xが下流側に振れる構成や振動する構成等を採用してもよい。
(13)上記第2の実施の形態では、球止め部材400Xが操作された際に操作力を、球均し部材420Xを連動させるための動力として利用したが、少なくとも球止め部材400と球均し部材420Xとが連動する構成となっているればよく、以下の構成を採用することも可能である。すなわち、球止め部材の動きを検知する検知センサと、球均し部材を動作させるモータ等の駆動部と、検知センサからの検知情報に基づいて駆動部を駆動制御する制御装置とを備え、球止め部材が操作された場合に、それに併せて球均し部材を動作させる構成とすることも可能である。
(14)上記各実施の形態では、タンクレール360の下流通路部360Dが裏パック301の保護カバー部312よりも後方へ突出しないように、それら下流通路部360Dの後端部と保護カバー部312の背面との前後位置を揃える構成とした。これを変更し、下流通路部360Dの後端部が保護カバー部312の背面よりも前方又は後方に位置するように構成してもよい。
但し、パチンコ機10の厚さの増大を抑えつつ、配線H1,H2用の作業領域の確保及びタンクレール360における減圧/減勢機能を享受するには、上記実施の形態に示したように、下流通路部360Dの後端部と保護カバー部312の背面との前後位置を揃える構成とすることが好ましい。
(15)上記各実施の形態では、外部端子板319の前面に主制御装置162から延びる配線H3を接続したが、これに限定されるものではない。例えば、配線H1,H2と同様に配線H3が外部端子板319の後面(搭載面319c)に接続する構成とすることも可能である。
但し、配線H3については、他の配線と比べて不正行為の対象となる可能性が高い。故に、上記変形例を採用した場合には、防犯機能が低下しやすくなる。故に、好ましくは外部端子板319と内枠13(遊技盤80)との間に配線の配置スペースを確保して、配線H3を外部端子板319に遊技機前方から接続する構成として、防犯機能の低下を抑えるとよい。
(16)上記実施の形態とは異なる他のタイプのパチンコ機等、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の遊技機にも、本発明を適用できる。
また、弾球式でない遊技機、例えば、複数種の図柄が周方向に付された複数のリールを備え、メダルの投入及びスタートレバーの操作によりリールの回転を開始し、ストップスイッチが操作されるか所定時間が経過することでリールが停止した後に、表示窓から視認できる有効ライン上に特定図柄又は特定図柄の組み合わせが成立していた場合にはメダルの払い出し等といった特典を遊技者に付与するスロットマシンにも本発明を適用できる。
更に、外枠に開閉可能に支持された遊技機本体に貯留部及び取込装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技球が取込装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機にも本発明を適用できる。
<上記実施の形態から抽出される発明群について>
以下、上述した実施の形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
<特徴A群>
特徴A1.遊技球を案内する案内通路(タンクレール360)と、
前記案内通路における特定位置(タンクレール360の最下流位置)よりも下流側への遊技球の移動を阻止する阻止状態、及び前記特定位置よりも下流側への遊技球の移動を許容する許容状態に切替可能な球止め部材(球止め部材400)と、
前記案内通路を移動する遊技球に当接することにより、遊技球の団塊を均す球均し部材(球均し部材420)と
を備え、
前記球止め部材には、前記阻止状態から前記許容状態への切り替えにより前記特定位置よりも上流側に滞留している遊技球に近づく側へ移動し、前記許容状態から前記阻止状態への切り替えにより同遊技球から遠ざかる側へ移動する可動部(上流側対向部402)が設けられており、
前記球均し部材は、前記可動部よりも上流側に位置するようにして前記球止め部材に取り付けられており、前記許容状態から前記阻止状態への切り替えが行われた場合には、前記可動部に追従するようにして移動することにより、前記案内通路において当該球均し部材により遊技球の流入が妨げられていた領域への遊技球の流入を許容することを特徴とする遊技機。
特徴A1によれば、球止め部材を阻止状態に切り替えることにより、特定位置よりも下流側への遊技球の移動が阻止される。これにより、球止め部材よりも下流側に配された各種構成(例えばケースレールユニット322の払出装置326等)から遊技球を取り除いた際に同構成へ新たに遊技球が流入することを回避し、メンテナンス等の容易化に貢献できる。メンテナンス等を終えた後は、球止め部材を許容状態に切り替えることにより、遊技球の流下が許容される。
上述した球止め部材を有する構成においては、阻止状態から許容状態への切り替えを行った際に、それまで堰き止められていた遊技球が一気に流れることにより、以下の不都合が生じ得る。すなわち、球止め部材よりも下流側に配された上記各種構成に、多量の遊技球が一気に到達し、その到達時に同各種構成に生じる衝撃が大きくなると想定される。これは、それら各種構成の変形や破損等を招来し、同構成の機能担保の妨げとなり得るため好ましくない。
ここで、本特徴においては、許容状態から阻止状態に切り替えることで球均し部材が球止め部材の可動部とともに移動し、それまで遊技球の流入が抑えられていた領域への遊技球の流入が許容されることとなる。つまり、許容状態においては球均し部材によって案内通路内の遊技球が整流されていたのに対して、阻止状態に切り替えた場合には遊技球の並びに乱れを生じさせることができる。特に、球止め部材と一緒に球均し部材が移動することで、そのような乱れが生じやすくなっている。このようにして遊技球の並びを積極的に乱すことにより、球圧等を遊技球の円滑な流れを妨げるように作用させることが可能となる(例えば意図的に球詰まりを発生させることが可能となる)。これにより、単に阻止状態を解除したとしても、堰き止められていた遊技球が一気に流れ出すことを抑制できる。
球止め部材を阻止状態から許容状態に切り替えることにより、遊技球の団塊が可動部及び球均し部材によって押される。このような可動部及び球均し部材の移動に応じて同団塊が徐々に崩れ、上述した球詰まり等が解消されることとなる。これにより、遊技球が流れ始め、最終的に球均し部材が元の位置へ復帰することにより、遊技球の円滑な流れが担保されることとなる。このように遊技球の流れ始めるタイミングにズレを生じさせて、上記下流側の各種構成に一気に多量の遊技球が流れ込むことを回避することにより、同構成を好適に保護することが可能となる。
特徴A2.遊技球を案内する案内通路(タンクレール360)と、
前記案内通路における特定位置(タンクレール360の最下流位置)よりも下流側への遊技球の移動を阻止する阻止状態、及び前記特定位置よりも下流側への遊技球の移動を許容する許容状態に切替可能な球止め部材(球止め部材400)と、
案内通路を移動する遊技球に当接することにより、遊技球の団塊を均す球均し部材(球均し部材420)と
を備え、
前記案内通路は、上方に開放された溝状をなしており、
前記球止め部材は、前記案内通路における前記特定位置よりも上流側となる位置に、遊技球の通過が可能となる遊技球の通過領域を隔てて当該案内通路の底部(底板部361)に対向するように形成された可動部(上流側対向部402)を有し、当該可動部が、前記阻止状態から前記許容状態への切り替えにより前記通過領域を狭めるように移動し、前記許容状態から前記阻止状態への切り替えにより当該通過領域を拡げるように移動するように構成されており、
前記球均し部材は、前記球止め部材に取り付けられており、前記許容状態及び前記阻止状態の切替が行われた場合には、前記可動部に追従するようにして移動することにより、前記案内通路において当該球均し部材により遊技球の流入が妨げられていた領域への遊技球の流入を許容することを特徴とする遊技機。
特徴A2によれば、特徴A1に示した効果と同様の効果に加え、以下の効果が期待できる。
上述した遊技球が噛み込んだ状態を複数の遊技球により構成された塊りのうちどの箇所を押すことで好適に解消できるかはその時々によって相違すると想定され、同箇所を完全に予測することは困難である。そこで、本特徴に示すように可動部が特定位置よりも上流側の通過領域を狭める構成とすれば、押すべき箇所の多様さを好適に許容することができる。これにより、実用上好ましい構成を実現できる。
特徴A3.前記球均し部材は、前記底部と当該球均し部材との間を遊技球が通過可能となるように当該底部から離して設けられ、前記阻止状態への切替時に前記可動部に追従するようにして移動することにより、当該球均し部材と前記底部との隙間が大きくなるように構成されており、
前記可動部及び前記球均し部材は、前記隙間において前記阻止状態への切り替えに伴う当該球均し部材の移動により拡張された領域の直下流側に、当該阻止状態への切り替えに伴う前記可動部の移動により前記妨げられていた領域が位置するようにして配置されていることを特徴とする特徴A2に記載の遊技機。
例えば、案内通路が垂直に延びる構成においては、上記通過領域を拡張すれば遊技球が自重によって当該隙間に入り込みやすい。このため、上述した保護機能等を好適に発揮させることができる。一方、案内通路が垂直でない構成においては、遊技球が自重によって底部付近に留まりやすくなるため、拡張された領域へ遊技球を流入させるには後続の遊技球の球圧等を上手く利用する必要がある。
この点、本特徴によれば、球均し部材の移動により拡張された領域の直下流側に、可動部の移動により拡張される領域が位置する構成となっている。このため、球均し部材にかかる拡張領域を通過した遊技球が可動部にかかる拡張領域へ流入しやすくなり、拡張された領域へ遊技球が上手く流入せずに上記効果を発揮させにくくなるといった不都合を生じにくくすることができる。
特徴A4.前記球止め部材は、
前記可動部を有し、前記案内通路に沿って延びる長板状のベース部(ベース部401)と、
前記ベース部において前記可動部よりも下流側となる部分に設けられ、前記阻止状態に切り替えられた場合に前記特定位置に位置する遊技球に対して前記案内通路の下流側から当接することで当該特定位置よりも下流側への遊技球の移動を妨げるストッパ部(爪部407)と
を有し、
前記ベース部は、前記可動部及び前記ストッパ部の間にて回動可能に支持されており、
前記ベース部の回動に基づいて前記ストッパ部が前記底部に近づく側に移動するとともに前記可動部が前記底部から遠ざかる側に移動することにより、前記球止め部材が前記阻止状態へ切り替えられ、前記阻止状態への切替時とは反対側への前記ベース部の回動に基づいて前記ストッパ部が前記底部から遠ざかる側に移動するとともに前記可動部が前記底部に近づく側に移動することにより、前記球止め部材が前記許容状態へ切り替えられる構成となっており、
前記可動部と前記底部との間に位置する遊技球は、前記許容状態への切替時の前記可動部の移動に伴って上流側に押される構成となっており、
前記球均し部材は、前記ベース部における前記可動部側の端部に配されており、前記許容状態への切替時には当該ベース部の回動に伴って前記案内通路の下流側から上流側へ移動することを特徴とする特徴A2又は特徴A3に記載の遊技機。
特徴A2等に示した構成を実現するには、本特徴に示すように球止め部材(ベース部)を回動可能とすることが好ましい。ベース部を可動部及びストッパ部の間にて回動可能に支持することにより、構成の複雑化を抑えつつ、すなわち複雑なリンク構造の採用を回避しつつ、可動部及びストッパ部を連動させることができる。つまり、球止め部材をシーソーのように動かすことで、可動部及びストッパ部を底部に対して逆の動きをさせることが可能となる。これにより、簡素な構成により、球止め部材に対して球詰まり解消機能と球止め機能を付与することができ、実用上好ましい構成を実現できる。
球止め部材を阻止状態から許容状態に切り替える場合には、堰き止められていた遊技球が可動部によって上流側に押されることにより、ストッパ部に加わる球圧が大きくなることを抑えつつ、遊技球の団塊を崩すことが可能となる。ここで、球均し部材については、回動式の球止め部材に取り付けられており、球止め部材の回動に伴って下流側から上流側に移動する。このため、可動部によって上流側に押された遊技球が球均し部材と可動部との間に噛み込む等して、球止め部材の切替操作が妨げられるといった不都合を生じにくくすることが可能となっている。
なお、球止め部材の回動中心部から可動部までの距離と、球均し部材まで距離とが相違しており、後者の変化率を前者よりも大きくすることができる。これにより、遊技球と可動部との接触タイミングを遊技球と球均し部材との接触タイミングよりも早めることが容易となっており、このようなタイミングの差により、上記球噛みの発生の抑制に貢献している。
特徴A5.前記球均し部材は、前記案内通路に沿うようにして揺動可能となるようにして軸支され、同球均し部材の自重によって下限位置に留まるように付勢されていることを特徴とする特徴A4に記載の遊技機。
特徴A5によれば、球均し部材において遊技球と当接する部位(下端部)の下流側から上流側への変位量を大きくすることができる。これにより、特徴A4に示した効果を一層好適に発揮させることができる。
また、球均し部材が揺動可能に軸支されているため、許容状態へ切り替える過程で球均し部材が遊技球群に接触した場合に、無理に遊技球群に割り込むのではなく、遊技球群の上に載った状態とすることができる。このため、可動部によって遊技球が上流側へ押された場合であっても、そのような遊技球の動きが球均し部材によって妨げられることを好適に回避することができる。
特徴A6.前記球均し部材は、前記球止め部材の回動中心部から前記ストッパ部までの距離よりも、当該回動中心部から前記突出部までの距離のほうが大きくなるようにして配置されていることを特徴とする特徴A4又は特徴A5に記載の遊技機。
特徴A6によれば、許容状態に切り替える際の球均し部材の上流側への変位量を大きくすることができる。これにより、特徴A5に示す効果を発揮させやすくなる。
また、阻止状態への切替時の球均し部材の移動量を大きくすることができ、可動部の移動に伴って拡張される遊技球の呼び込み用のスペースへの遊技球の流入を容易化することができる。
特徴A7.前記球均し部材は、前記案内通路に沿うようにして揺動可能となるようにして軸支され、同球均し部材の自重によって下限位置に留まるように付勢された状態となっており、
前記球均し部材の上流側への移動を阻止する上流側阻止部(上流側ストッパ部412)と、
前記球均し部材の下流側への移動を阻止する下流側阻止部(下流側ストッパ部402)と
を備え、
前記上流側阻止部によって規定された上流側への最大移動量は、前記下流側阻止部によって規定された下流側への最大移動量よりも小さく設定されていることを特徴とする特徴A2乃至特徴A4のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴A7に示すように球均し部材を揺動可能な構成とした場合には、球均し機能を発揮させる際に球詰まり等の発生を好適に抑制することができる。しかしながら、特徴A1等に示したように球均し部材が移動する構成においては、球均し部材が上流側に振れた場合には下流側に振れた場合と比較して球詰まりが発生しやすくなると懸念される。そこで、球均し部材の移動範囲を下流側に大きく、上流側に小さくしておくことで、球均し部材の揺動に起因した球詰まりの発生を抑制することが可能となる。
特に、特徴A4との組合せにおいては、遊技球に対して下流側から当たりやすいので上流側に振れることを好適に抑制できる。
特徴A8.遊技球を案内する案内通路(タンクレール360)と、
前記案内通路における特定位置(タンクレール360の最下流位置)よりも下流側への遊技球の移動を阻止する阻止状態、及び前記特定位置よりも下流側への遊技球の移動を許容する許容状態に切替可能な球止め部材(球止め部材400)と、
案内通路を移動する遊技球に当接することにより、遊技球の団塊を均す球均し部材(球均し部材420)と
を備え、
前記案内通路は、上方に開放された溝状をなしており、
前記球止め部材は、前記案内通路における前記特定位置よりも上流側となる位置にて当該案内通路の底部(底板部361)に隙間を隔てて対向するように形成された可動部(上流側対向部402)を有し、当該可動部が、前記許容状態への切り替えにより前記底部と当該可動部との間の領域を狭めるように移動し、前記阻止状態への切り替えにより当該領域を拡げるように移動するように構成されており、
前記球均し部材は、前記案内通路に沿うようにして揺動可能となるようにして前記球止め部材に軸支されており、前記許容状態及び前記阻止状態の切替が行われた場合には、前記可動部に追従するようにして移動する構成となっていることを特徴とする遊技機。
特徴A8によれば、許容状態に切り替えた際には、遊技球群に上方から当たることで球均し部材が軸支部分を中心として回動する。これにより、球均し部材が無理に遊技球群に割り込むことを回避できる。可動部によって押された遊技球が上流側へ移動する場合には、その移動が球均し部材によって妨げられることを回避することができ、切替操作がやりにくくなるといった不都合を生じにくくすることができる。
支えることが回避される。
上記特徴A群は以下の課題に対して適用すると効果的である。
パチンコ機等の遊技機には、遊技領域が形成された遊技盤を枠体に搭載してなる遊技機本体と、遊技機本体の前面側に取り付けられた前扉枠とを備えているものがある。前扉枠には遊技球発射ハンドルが設けられており、この遊技球発射ハンドルが操作されると遊技球が遊技領域に向けて発射される。遊技領域には、入賞口及び入賞装置等の入賞に関する構成や、遊技領域に至った遊技球がそれら入賞口等に適度な確率で入賞するように遊技球の流下経路をばらつかせる釘等の各種構成が配設されている。
また、遊技機本体には、島設備から供給された遊技球を貯留する球タンクと、その球タンクに貯留されている遊技球を払い出す払出装置とが設けられており、例えば遊技球が入賞口や入賞装置などに入賞した場合には予め設定された個数の遊技球が前扉枠の球受け皿に払い出されることとなる。
払出装置は、払出した遊技球を検出する検出スイッチ等の各種構成を有している。例えば、払出装置の清掃や検出スイッチの動作チェック等のメンテナンスを行うことにより、払出機能を好適に維持することができる。このようなメンテナンス作業を行う際に、球タンクと払出装置との間の案内通路にて遊技球を堰き止めるとともに、それよりも下流側の遊技球を排出することにより、同作業を容易に行うことができるように便宜を図った遊技機が提案されている(例えば特開平09−070476号公報参照)。このような遊技機においては、案内通路に球止め部材等を配置し、この球止め部材を操作することで遊技球の流下を阻止する阻止状態と遊技球の流下を許容する許容状態とに切り替えができるように構成されているものが一般的である。
しかしながら、球止め部材によって遊技球の流下を阻止する構成においては、球止めを解除することで、球タンクに蓄えられている遊技球が一気に払出装置等に流入し得る。この場合、多量の遊技球が一気に流れ込むことで、払出装置に生じる衝撃(負荷)が大きくなると想定される。これは、払出装置の機能を担保する上で好ましくない。
なお、以上の問題は、パチンコ機に限って発生するものではなく、遊技球を貯留する球タンクに連なる案内通路及び球止め部材を有する他のタイプの遊技機においても同様に発生し得る。
<特徴B群>
特徴B1.遊技球を案内する案内通路(タンクレール360)と、
前記案内通路における特定位置(タンクレール360の最下流位置)よりも下流側への遊技球の移動を阻止する阻止状態、及び前記特定位置よりも下流側への遊技球の移動を許容する許容状態に切替可能な球止め部材(球止め部材400)と、
前記案内通路に動作可能となるようにして設けられ、案内通路を移動する遊技球に当接することにより、遊技球の団塊を均す球均し部材(球均し部材420)と
を備え、
前記球止め部材は、前記阻止状態から前記許容状態への切り替えにより前記特定位置よりも上流側に滞留している遊技球に近づくようにして移動する可動部(上流側対向部402)を有し、
前記阻止状態から前記許容状態への切替が行われた場合に、当該切り替えに併せて前記球均し部材を動作させる駆動機構(球止め部材400の操作部409、球均し部材420の受け部425)を備えていることを特徴とする遊技機。
特徴B1に示すような球止め部材を備えた遊技機においては、球止め部材を阻止状態に切り替えた際に案内通路内にて滞留中の遊技球の並びが乱れる等して球詰まりが発生する可能性がある。このような事象が発生した場合には、単に阻止状態を解除しただけでは球詰まりが解消されないままとなり、球詰まりを解消するための別途作業(例えば遊技機を揺すったり、案内通路を叩いたり、遊技球を指で押したりする作業)が必要になる。このような別途作業が必要になることは、作業性の低下を招く要因になるため好ましくない。
本特徴においては、球止め部材を許容状態へ切り替えることにより、当該球止め部材を構成する可動部が特定位置よりも上流側に滞留している遊技球に近づく側に移動する構成となっている。上記球詰まりに関しては遊技球同士の位置関係に起因しており、その位置関係は微妙なバランスの上に成り立っていることが多い。故に、可動部が遊技球に当たる等して上記バランスが崩れることにより、球詰まりの解消を促すことができる。
但し、可動部によって遊技球を押す構成においては、押された遊技球が球均し部材に支える等して、当該遊技球や可動部の動きが妨げられることが懸念される。このような、遊技球の支えについても、上述の如く微妙なバランスの上に成り立つことが多い。そこで、阻止状態から許容状態への切り替えが行われた場合に、当該切り替えに併せて球均し部材を動作させる構成とすれば、球均し部材に動きを与えることで遊技球の支えを生じにくくし、遊技球や可動部の動きが妨げられるといった不都合の発生を抑えることができる。これにより、許容状態への切り替えを行う際の作業性を向上することができる。
特徴B2.前記駆動機構は、前記阻止状態から前記許容状態への切り替えに連動するようにして前記球均し部材を動作させるものであることを特徴とする特徴B1に記載の遊技機。
特徴B1に示したように、許容状態への切り替え操作を行うことで、新たな球詰まりが生じる可能性を考慮した場合、球止め部材の動きと連動して、球均し部材を動作させることで、そのような不都合の発生を一層好適に抑制できる。既に説明したように、球詰まりについては、複数の遊技球の位置関係が微妙なバランスの上に成り立っている場合に発生しやすい。このような不都合が生じる可能性が比較的高い位置(例えば球止め部材及び球均し部材の間となる領域等)の上流側及び下流側で遊技球群に動きを与えることで、上記バランスを崩しやすくなるからである。
特徴B3.前記駆動機構は、前記球止め部材を前記許容状態に切り替える場合に、少なくとも前記特定位置よりも下流側への遊技球の移動が当該球止め部材によって阻止されている間は前記球均し部材の動きが継続されるようにして、同球均し部材を動作させることを特徴とする特徴B1に記載の遊技機。
特徴B2に示したように球止め部材(可動部)の動きに連動させて球均し部材を動作させる構成においては、特定位置よりも下流側への遊技球の移動が阻止されている間は、球均し部材の動きが継続されることにより、特徴B2に示した効果を好適に発揮させることができる。
特徴B4.前記可動部は、前記許容状態への切り替えにより、遊技球を上流側へ押す構成となっており、
前記球均し部材は、遊技球に当接可能な当接部(当接部421)を有し、当該当接部が前記案内通路を移動する遊技球に当接することにより遊技球の団塊を均すものであり、
前記駆動機構は、前記阻止状態から前記許容状態への切替が行われた場合に、前記可動部に連動して前記当接部が上流側へ移動するように前記球均し部材を動作させることを特徴とする特徴B1乃至特徴B3のいずれか1つに記載の遊技機。
許容状態への切り替えにより遊技球が上流側へ押す構成とすることで、遊技球の流れを阻止したまま上記球詰まり解消機能を発揮させることができる。しかしながら、かかる構成においては、球止め部材(可動部)によって遊技球を上流側に押すことで、可動部よりも上流側に配された球均し部材と可動部との間に遊技球が支える等して、可動部の動きが妨げられたり、新たな球詰まりが発生したりすると懸念される。
そこで、球受け部材の当接部を球止め部材の動きに併せて上流側へ移動させる構成とすれば、当接部が球止め部材によって押された遊技球ともども上流側へ移動することで、上述した不都合の発生を好適に抑えることができる。
特徴B5.前記球均し部材は、前記当接部が前記案内通路に沿うようにして上流側及び下流側に揺動可能となるようにして軸支され、同球均し部材の自重によって下限位置に留まるように付勢された状態となっており、
前記駆動機構は、前記許容状態への切り替え完了後は、前記球止め部材の揺動を妨げない構成となっていることを特徴とする特徴B4に記載の遊技機。
本特徴においては許容状態へ切り替える際に当接部を強制的に移動させる構成を採用したとしても、一旦許容状態に切り替わった後は球均し部材(当接部)が自重によって下限位置に復帰することとなる。これにより、許容状態においては、当接部が上流側から押されることで当接部が無理に抵抗することなく下流側へ変位する。これにより、遊技球が支えるといった不都合を生じにくくし、球均し機能を好適に発揮させることが可能となる。
特徴B6.前記球均し部材は、前記当接部が前記案内通路に沿うようにして上流側及び下流側に揺動可能となるようにして軸支され、同球均し部材の自重によって下限位置に留まるように付勢された状態となっており、
前記駆動機構は、前記球止め部材が前記阻止状態となっている場合に、前記当接部の下流側への変位を阻止する手段を有していることを特徴とする特徴B4又は特徴B5に記載の遊技機。
特徴B6によれば、規制部材が揺動可能になっていることで、規制機能を発揮させつつ、それによる球噛みの発生を抑えることができる。阻止状態となっている場合には、球均し部材の下流側への変位を阻止することにより、球止め部材によって遊技球群の一部を受けることができ、球止め部材に加わる球圧の軽減に貢献することができる。
特徴B7.前記案内通路は、上方に開放された溝状をなしており、
前記球止め部材は、前記案内通路の底部に対向し、同案内通路に沿って延びる長板状のベース部(ベース部401)を有し、
前記ベース部は、その長手方向における中間部分にて回動可能に支持されており、回動中心部よりも上流側となる部分が可動部となっており、
前記案内通路には、前記可動部が前記案内通路の底部へ向けて回動することを規制する規制部が回動中心部から離して設けられており、
前記球止め部材は、前記規制部によって規制された状態であっても当該規制部を基端として前記底部側へ変形可能となるように形成されており、
前記球均し部材は、前記球止め部材の変形に追従して、少なくとも前記当接部が変位するように構成されていることを特徴とする特徴B4乃至特徴B6のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴B7によれば、ベース部(可動部)と底部との間に存在する遊技球をベース部によって押すことで、遊技球の位置関係を変化させることができる。この際、球均し部材の当接部が球止め部材の変形に追従して変位することで、通路内の遊技球が押されることとなり、球均し部材の周辺にて遊技球の位置関係を変化させることができる。既に説明したように、上記球詰まりに関しては遊技球同士の位置関係に起因しており、その位置関係は微妙なバランスの上に成り立っていることが多い。故に、上記バランスを崩すことにより、球詰まりの解消を促すことができる。
なお、例えば前記ベース部における上流側の端部を、前記規制部を基端とした撓み変形が許容された自由端とし、その自由端に前記球均し部材の受け部に当接可能な押圧部を形成し、前記可動部が作業者によって下方へ押圧された押圧状態では前記押圧部によって受け部が押圧されることで、前記球止め部材の変形に追従して少なくとも前記当接部が変位する構成とすればよい。
特徴B8.前記球均し部材は、前記球止め部材よりも上流側に配置され、前記球止め部材の変形に追従して少なくとも前記当接部が前記案内通路の上流側へ変位するように構成されていることを特徴とする特徴B7に記載の遊技機。
特徴B8によれば、遊技球が整流された状態で球止め部材へと案内されるため、阻止状態への切り替えを円滑に行うことが可能となる。ここで、特徴B4に示したように、許容状態から阻止状態への切替時に可動部と底部との間に存在する遊技球を上流側へ押す構成においては、上流側からの球圧によって可動部に押された遊技球が移動しにくくなったり、球均し部材と可動部とのあいだに遊技球が支える等して遊技球の移動が妨げられたりすると想定される。これは、許容状態への切り替えを困難にする要因となるため好ましくない。この点、本特徴においては、当接部が球止め部材に連動して上流側へ変位する。このため、当接部によって押された遊技球が上流側へ移動することで、可動部によって上流側へ押された遊技球の逃げ場を確保したり、上流側からの球圧を軽減したりすることができる。これにより、許容状態への切り替えが妨げられるといった不都合を生じにくくすることができる。
上記特徴B群は以下の課題に対して適用すると効果的である。
パチンコ機等の遊技機には、遊技領域が形成された遊技盤を枠体に搭載してなる遊技機本体と、遊技機本体の前面側に取り付けられた前扉枠とを備えているものがある。前扉枠には遊技球発射ハンドルが設けられており、この遊技球発射ハンドルが操作されると遊技球が遊技領域に向けて発射される。遊技領域には、入賞口及び入賞装置等の入賞に関する構成や、遊技領域に至った遊技球がそれら入賞口等に適度な確率で入賞するように遊技球の流下経路をばらつかせる釘等の各種構成が配設されている。
また、遊技機本体には、島設備から供給された遊技球を貯留する球タンクと、その球タンクに貯留されている遊技球を払い出す払出装置とが設けられており、例えば遊技球が入賞口や入賞装置などに入賞した場合には予め設定された個数の遊技球が前扉枠の球受け皿に払い出されることとなる。
払出装置は、払出した遊技球を検出する検出スイッチ等の各種構成を有している。例えば、払出装置の清掃や検出スイッチの動作チェック等のメンテナンスを行うことにより、払出機能を好適に維持することができる。このようなメンテナンス作業を行う際に、球タンクと払出装置との間の案内通路にて遊技球を堰き止めるとともに、それよりも下流側の遊技球を排出することにより、同作業を容易に行うことができるように便宜を図った遊技機が提案されている(例えば特開平09−070476号公報参照)。このような遊技機においては、案内通路に球止め部材を配置し、この球止め部材を操作することで遊技球の流下を阻止する阻止状態と遊技球の流下を許容する許容状態とに切り替えができるように構成されているものが一般的である。また、案内通路に球均し部材を配することで、遊技球の流下量を制限するといった工夫が施されているものもある。この種の遊技機においては、遊技球の流れを整えておくことにより、上記球止め機能が発揮させやすくするといっう効果も期待できる。
しかしながら、球止め部材によって遊技球の流下を阻止する構成においては、球タンクから連なる遊技球の球圧等により、球止め部材よりも上流側にて遊技球の流動性が低下する可能性がある。また、上記球均し部材を有する構成においては、球均し部材の存在が球詰まりを招来する要因になり得る。仮に、遊技球が詰まってしまった場合には、球止めを解除した後も遊技球がうまく流れず、案内通路内での遊技球の流下が滞るといった不都合が生じ得る。確かに、指等で球が詰まっている部分を押したり、案内通路を揺すったりすれば、上記不都合は解消されるかもしれないが、これは作業の円滑化を阻害する要因となり得るため好ましくない。また、仮に球詰まりを見落とした場合には、遊技に支障をきたすことも考えられるため、作業者の確認作業にのみ依存することも好ましくない。
なお、以上の問題は、パチンコ機に限って発生するものではなく、遊技球の案内通路及び球止め部材を有する他のタイプの遊技機においても同様に発生し得る。
<特徴C群>
特徴C1.遊技機背面に設けられ、遊技球を貯留する球タンク(タンク350)と、
遊技機背面において前記球タンクと横並びとなる位置に、板面が遊技機後方を向くようにして配置され、遊技機後方から配線(配線H)が接続される基板(外部端子板319)と、
前記球タンクから排出された遊技球を案内する案内通路(タンクレール360)と
を備え、
前記案内通路は、一部が前記基板と遊技機の前後方向にて重なるようにして設けらた横通路部(下流通路部360D)を有し、
前記横通路部には前記基板を後方に迂回するようにして曲る曲り部(各通路部360U,360M,360Dの境界部分)が形成され、当該横通路部は、前記案内通路と前記基板との間に当該基板と前記配線との接続作業を実施するための作業スペースとして機能する隙間部が確保されるように構成されていることを特徴とする遊技機。
特徴C1によれば、案内通路と基板とを前後に重なる位置へ配置することで、案内通路及び基板を上下に並設する場合と比較して上下方向での占有領域の拡がりを抑えることができる。これにより、周辺構成の配置自由度を向上できる。しかしながら、案内通路と基板とを単に前後に重なるようにして配置しただけでは、配線の接続作業がやりづらくなる。本特徴においては、案内通路と基板との間に配線の連結作業用の作業スペースとして機能する隙間部が形成されるため、案内通路を基板の後方を通過させることで接続作業がやりづらくなることを抑制することができる。
基板を迂回し、更には作業用の隙間部が確保されるようにして、案内通路を形成した場合には、通路方向の変化が大きくなり、案内通路にて列を形成した遊技球群の球圧を小さくすることができる。つまり、案内通路により減圧機能が発揮されることとなる。このようにして減圧を行うことにより、例えば球タンクに減圧機能を付与する必要が無くなる。これにより球タンクの小型化に貢献することができる。故に、球タンク、案内通路、基板の占有領域が上下方向に大きくなることを抑制し、上述した配置自由度の向上に貢献することができる。
特徴C2.前面に遊技領域(遊技領域PE)が形成された遊技盤(遊技盤80)と、
当該遊技盤が搭載されてなる枠体(内枠13)と、
前記枠体により回動可能に支持された開閉体(裏パックユニット15)と
を備え、
前記開閉体は、
後方に膨出し、前記遊技盤を後方から覆うカバー部(保護カバー部312)と、
前記カバー部よりも上側であって前記開閉体の回動基端寄りとなる位置に、板面が遊技機後方を向くようにして配置され、遊技機後方から配線(配線H)が接続される基板(外部端子板319)と、
前記基板に対して前記開閉体の回動先端側となる位置に設けられているとともに上方に開放され、遊技球を貯留する球タンク(タンク350)と、
前記基板の下方であって、前記カバー部の側方に設けられ、遊技球を払い出す払出機構部(払出装置326等)と、
前記カバー部の上側の端部及び回動基端側の端部に沿うようにして設けられ、前記球タンクから排出された遊技球を前記払出機構部へ案内する案内通路(タンクレール360)と
を有し、
前記案内通路は、一部が前記基板と前後に重なるようにして設けらた横通路部(下流通路部360D)を有し、
前記横通路部には前記基板を後方に迂回するようにして曲る曲り部(各通路部360U,360M,360Dの境界部分)が形成され、当該横通路部は、前記案内通路と前記基板との間に当該基板と前記配線との連結作業を実施するための作業スペースとして機能する隙間部が形成されるように構成されていることを特徴とする遊技機。
特徴C2によれば、開閉体の回動基端側に重量が嵩みやすい払出機構部を配置することにより、開閉体の姿勢や払出機構部の位置を安定させることができる。また、配線の接続先(基板)を回動基端側に配することにより、配線に生じる弛み等を小さくすることが可能となり、配線が引っ掛かる等して断線が生じるといった不都合を生じにくくすることができる。
このような構成においては、案内通路の配設経路に関する制約が強くなり、例えば案内通路と基板との位置関係については工夫の余地がある。本特徴においては、案内通路(横通路部)をその一部が基板を後方に迂回するようにして配設することにより、以下の効果が期待できる。例えば案内通路(横通路部)と基板とを上下に並設する構成と比較して、それら横通路部及び基板の上下方向での占有領域を小さくし、カバー部の上方への拡張を実現することができる。これにより、例えば遊技盤の大型化に貢献できる。
また、案内通路に後方へ迂回させるようにして曲り部を形成することにより、球圧の軽減機能を付与することができる。これにより、球タンクに同様の減圧機能を付与する必要が無くなり、同球タンクの薄型化を実現できる。これは、大型の遊技盤に対応する上で好ましい構成である。
案内通路を基板の後方を配置した場合には、配線の接続作業がやりにくくなると懸念されるが、案内通路と基板との間に配線の接続作業を実施するための作業スペースが確保されることで、このような不都合を生じにくくしている。特に、このようなスペースの確保により、案内通路が後方へ大きく迂回することとなる。これにより上記減圧機能が一層強化され、球タンクの薄型化を促進できる。
特徴C3.前記基板において前記枠体側を向いている側の板面と前記枠体又は前記遊技盤との間には、前記枠体からの配線(配線H3)が配設される配設空間が形成されていることを特徴とする特徴C2に記載の遊技機。
特徴C3に示すように、基板と枠体又は遊技盤との間には、配線空間が形成されている。このように、基板の前方に配線空間を形成する構成においては、案内通路(詳しくは横通路)との間に作業スペースを確保すべく基板を枠体側に寄せて配置することが困難である。この種の遊技機に、特徴C2に示した案内通路を適用することにより、上記減圧機能を発揮させつつ、配線空間及び作業空間を確保することが可能となる。
特徴C4.前記案内通路において、前記基板と対峙している部分には、当該案内通路における特定位置(タンクレール360の最下流位置)よりも下流側への遊技球の移動を阻止する阻止状態、及び前記特定位置よりも下流側への遊技球の移動を許容する許容状態に切替可能な球止め部材(球止め部材400)が設けられていることを特徴とする特徴C1乃至特徴C3のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴C4によれば、球止め部材を阻止状態に切り替えることで、遊技球の流れを止めることができ、例えば払出機構部等のメンテナンスを容易に行うことが可能となる。
特徴C5.前記案内通路は、上方に開放された溝状をなしており、
前記球止め部材は、前記案内通路の底部に対向する板状のベース部(ベース部401)を有し、
前記ベース部において前記案内通路における前記基板と前後に重なっている部分に対応している部分は、前記許容状態及び前記阻止状態の少なくとも何れかにて前記案内通路内に収容されるように構成されていることを特徴とする特徴C4に記載の遊技機。
特徴C4によれば、球止め部材を許容状態又は阻止状態とすることでベース部において案内通路における基板と前後に重なっている部分に対応している部分が案内通路内に収容される。これにより、ベース部が上述した配線の接続作業の邪魔になることを回避することができる。
特徴C6.前記案内通路は、上方に開放された溝状をなしており、
前記球止め部材において前記案内通路における前記基板と前後に重なっている部分に対応している部分は、前記阻止状態及び前記許容状態の何れであっても、前記案内通路を構成する壁面部(前側壁部362及び後側壁部363)との前後方向での重なりが維持されるように構成されていることを特徴とする特徴C4に記載の遊技機。
特徴C6によれば、球止め部材と案内通路(壁面部)との間に配線が入り込む等して、球止め部材の切り替え作業時に断線等の不都合を生じることを抑制することができる。
特徴C7.前記球止め部材は、前記案内通路に沿って延びており、当該球止め部材の途中位置にて回動可能に支持されており、当該支持されている部分を中心として回動することにより前記阻止状態と前記許容状態とに切り替わる構成となっており、
前記球止め部材における一方の端部は、前記阻止状態及び前記許容状態の両状態にて前記基板との前後での重なりが回避される位置に存在しており、
当該端部には、前記切り替えを行う際の操作部としての機能が付与されていることを特徴とする特徴C4乃至特徴C6のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴C7によれば、球止め部材については、少なくとも操作部としての機能が付与されている部分が基板との重なりを回避することができる位置に存在しているため、切り替え操作が配線によって妨げられることを回避することができる。これにより、切り替え操作を行う際に、配線を取り外すといった予備的な作業を行う必要が無くなり、作業性の悪化を回避することができる。
特に、特徴C3等との組合せにおいては、配線が球止め部材に載った状態となる可能性があるが、配線が載ったままの状態にて操作が可能となることで、作業性の担保に貢献することができる。
特徴C8.前記球止め部材には、前記操作部としての機能が付与された端部側は当該球止め部材における他の部位よりも上位となるように構成されており、当該端部と他の部位とを繋ぐようにして傾斜部が形成されていることを特徴とする特徴C7に記載の遊技機。
特徴C8によれば、傾斜部によって、配線が操作部としての端部側へとずれることを回避することができる。これにより、配線が操作部に掛かることを抑制できる。
特徴C9.前記球止め部材における前記操作部としての機能が付与された端部は、前記基板における前記配線の接続箇所(外部出力端子319b)よりも上側に位置するように形成されていることを特徴とする特徴C7又は特徴C8に記載の遊技機。
特徴C9によれば、基板に接続された配線によって球止め部材の操作が妨げられるといった不都合を生じにくくすることができる。
特徴C10.前記球止め部材における上流側の端部が前記操作部としての機能が付与された端部となっており、
前記案内通路を形成する壁面部の上端縁は、下流側に向けて下り傾斜となっていることを特徴とする特徴C7乃至特徴C9のいずれか1つに記載の遊技機。
特徴C10によれば、案内通路の壁面部(上端部)上に載った配線が、上流側へずれることを抑制することができる。これにより、球止め部材を操作する際に同配線が操作の邪魔になることを抑えることができる。
上記特徴C群は以下の課題に対して適用すると効果的である。
パチンコ機等の遊技機には、絵柄表示装置や各種制御装置等の主要な構成が搭載された遊技機本体と、遊技機本体における上記主要な構成等を遊技機背面側から覆う背面カバーとを備えているものがある。背面カバーを採用することで、制御装置等に遊技球が衝突する等の不都合を生じにくくし、同構成の保護が図られている(例えば特開2008−079787号公報参照)。
背面カバーを有するタイプの遊技機には、背面カバーに球タンク、案内通路、払出機構部、更にはホールコンピュータに各種情報を送信するための基板(外部端子板)等の構成が搭載され、これら各種構成によって背面ユニットが構成されていることが多い。背面カバーについては、遊技機本体を開放等することにより作業者が容易にアクセスすることができる部分であり、メンテナンス等の際にアクセスする必要が生じ得る構成を遊技機背面側へ露出させておくことで、作業性の向上が図られている。
ここで、それら各種構成の位置関係には、案内通路における遊技球の案内機能を担保しつつ、基板への配線の接続作業を容易なものとする上で、未だ改善の余地がある。
以下に、以上の各特徴を適用し得る遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル41)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110のソレノイド111)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路(誘導レール100)と、遊技領域内に配置された各遊技部品(釘87等)とを備え、それら各遊技部品のうち所定の通過部(作動口83等)を遊技球が通過した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにした遊技機。
球使用回胴式遊技機:複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄列を最終停止表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段の操作に起因して図柄の変動が開始され、停止用操作手段の操作に起因して又は所定時間経過することにより図柄の変動が停止され、その停止時の最終停止図柄が特定図柄であることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)を発生させるようにし、さらに、球受皿を設けてその球受皿から遊技球を取り込む投入処理を行う投入装置と、前記球受皿に遊技球の払出を行う払出装置とを備え、投入装置により遊技球が投入されることにより前記始動用操作手段の操作が有効となるように構成した遊技機。