JP4782659B2 - 遊技球の排出樋 - Google Patents
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Description
(1)一台または複数台を単位とする遊技機が前記単位ごとに互いに屈曲して横並びに設置される遊技島に設けられ、前記遊技機に沿って長手方向に屈曲した上方開口型の樋形状をなし、各遊技機から排出された遊技球を回収するための排出樋であって、
長手方向に所定の勾配を有し、遊技球を転動させる排出転動面と、
前記長手方向に沿って排出転動面の両側に対向して立設された側壁と、
遊技機から排出された遊技球を受けるとともに該遊技球を排出転動面の幅方向内側に向かって案内する下り傾斜面状に形成された案内部と、を備え、かつ、
屈曲した前記側壁の内面のうち少なくとも外側のコーナー部には、転動する遊技球と該側壁との衝突を防止する湾曲形状の平滑板が設けられていることを特徴とする排出樋;
(2)前記排出転動面と側壁と案内部とをそれぞれ備える複数本の排出樋部材を、前記長手方向に互いに屈曲させて連結してなる上記(1)に記載の排出樋;
(3)排出樋部材は、基板および前記側壁が形成された樋形状の木製のフレームと、前記基板の上に全面接着された樹脂シートとからなる上記(2)に記載の排出樋;
(4)前記フレームの備える側壁は、上面が斜めに形成されて前記案内部を構成している上記(3)に記載の排出樋;
(5)前記基板と樹脂シートとの間には、繊維交絡体または多孔質材料からなるメッシュ層が介装されている上記(3)または(4)に記載の排出樋;
(6)平滑板は長手方向に複数枚に分割され、かつ隣り合う平滑板の端部同士が、上流側に位置する平滑板の端部を上にして互いに重ね合わされて構成されていることを特徴とする上記(1)から(5)のいずれかに記載の排出樋;
(7)平滑板の前記端部同士は、屈曲した側壁の内面のうち前記コーナー部を除く直線部において互いに重ね合わされていることを特徴とする上記(6)に記載の排出樋;
(8)排出転動面の前記勾配が3%以下である上記(1)から(7)のいずれかに記載の排出樋;
(9)排出転動面は、回収された遊技球を遊技島の上方に移送する揚送装置と接続される最下流位置における幅が、その他の位置における幅よりも大きいことを特徴とする上記(1)から(8)のいずれかに記載の排出樋;
を要旨とする。
(10)前記基板と樹脂シートとは水性接着剤により接着されている上記(3)または(4)に記載の排出樋;
によっても上記本発明の目的を達成することができる。
また特に本発明の排出樋を、L字状の屈曲形状や、円弧状またはS字状などの湾曲形状の長手方向をもつ多様な形状のR島に設けた場合も、多数の遊技機から排出された多量の遊技球を球詰まりすることなく好適に回収することができる。
なお、遊技島10に設置される遊技機は、遊技媒体を用いて遊技者が遊技を行う機器であって、特に遊技媒体として球体(遊技球)を用いるものを対象とする。具体的にはパチンコ機や、パチンコ球を用いたスロットマシン(所謂、パロット)、アレンジボールなどが例示される。以下、遊技機としてパチンコ機を、遊技媒体としてパチンコ球を例にとり本発明を説明する。
排出樋13を備える遊技島10の基本構成についてまず以下に略示する。
パチンコ機100で遊技に供されたパチンコ球は、パチンコ機100の背面側にそれぞれ設けられたアウトタンク92で計数され、その背面や底面などから排出管91を介して遊技島10の内部に排出される。遊技島10は、下面に相当するベース板117および該ベース板117から立設された腰板118により箱型キャビネット状をなし、パチンコ機100等やパチンコ球貯留箱(通称、ドル箱)を載置する膳板116が、遊技者にむけて腰板118より突出して設けられている。箱型キャビネット状の遊技島10には、上方開口した排出樋13がベース板117上に載置されている。排出樋13の底面にあたる排出転動面14は長手方向に下り勾配ξが設けられ、排出管91から排出されたパチンコ球を受け入れると、これを自重転動により遊技島10の略中央に設けられた下部タンク114に移送する。
下部タンク114に貯留されたパチンコ球は、必要に応じて研磨または清掃され、揚送装置115によって上部の球タンク110に搬送されると、今度は補給樋20を通じてパチンコ機100や球貸機(以下、「パチンコ機等」または「パチンコ機100等」という場合がある。)に分配供給される。
なお、補給樋20の供給転動面24に埃やゴミが付着するのを防ぐため、別体で形成した蓋を任意で設けてもよく、また補給樋20の汚染や、転動するパチンコ球への外部からのアクセスを防止するため、幕板(図示せず)によりこれを外側から被覆することが一般的である。
本実施の形態にかかる遊技島10は、パチンコ機100等が互いに屈曲して並設されるR島であり、排出樋13および補給樋20は遊技島10の長手方向の屈曲形状にあわせてそれぞれ排出転動面14および供給転動面24が湾曲または屈曲形状をなしている。これにより排出樋13は、互いに背中合わせかつ円弧上に配設された複数台のパチンコ機100よりそれぞれアウトタンク92および排出管91を介して排出されたパチンコ球を受け入れ、これを下流側(図2(a)では紙面手前側)に転動させて回収することができる。
また補給樋20についても、これに沿って両側に設けられる上記複数台のパチンコ機100等に対してパチンコ球を分配供給することができる。
図2各図に示す本実施の形態にかかる排出樋13は、対向する一対の側壁61と、下り勾配ξをなす排出転動面14を上面にもつ基板65とからなるフレーム15が、平面視形状が多角形状となるよう屈曲形成されている。またフレーム15は後述のように長手方向に分割形成され、互いに長手方向に屈曲して接合されている。
また本発明にかかる排出樋13は、屈曲形状の側壁61の内面のうち、少なくとも外R側のコーナー部66に湾曲形状の平滑板63が設けられている。平滑板63は、排出転動面14上を転動するパチンコ球が当該コーナー部66と衝突して長手方向の速度成分が低下するのを防止するための板状の部材であり、湾曲形状に曲げ成型が容易であって表面の平滑性と強度が高いことからステンレス(SUS)などの金属材料からなる。
なお、隣り合う平滑板63の端部同士を重ね合わせた重畳部64は、屈曲したコーナー部66ではなく、側壁61の直線部68に設けるとよい。側壁61の直線部68では、パチンコ球が側壁61とほぼ平行に転動するため、重畳部64に生じる平滑板63の板厚分の段差がパチンコ球の転動性に与える影響をさらに小さなものとすることができるためである。
排出樋13は平面視形状が長手方向に屈曲形状をなし、多角形状の排出転動面14と、その幅方向の両側に立設された側壁61と、側壁61のコーナー部66の内側に立設される湾曲形状の平滑板63とを備え、これらが加工精度や可搬性に優れるよう長手方向に複数に分割され、互いに位置決めされて連結されることにより構成されている。
側壁61は、下り勾配ξを備える基板65と接合されてフレーム15を構成し、互いに長手方向に連結されて遊技島10の内部下方に設置される。隣り合う上流側のフレーム15の下流端(同図の紙面手前側)と、下流側のフレーム15の上流端(同図の紙面奥行側)の高さが一致するよう、フレーム15はベース板117(図1を参照)に下り階段状に設けられた設置台(図示せず)の上に載置される。これにより、排出樋13は排出転動面14が段差なく滑らかに接合される。
基板65は、例えば図4(a),(b)に示すように、厚さ方向に勾配ξを有する長方形の板材70を、屈曲角ψにてV字状にカットして得ることができる。板材70には加工性やコストメリットが高く、かつ温度変化や経時変化による寸法安定性に優れる木板を用いるとよい。同図(a)に示す基板65はパチンコ球の下り方向が右に屈曲し、同図(b)に示す基板65は同じく左に屈曲している。またそれぞれの基板65は、長手方向の端部のうち、屈曲内側のコーナー近傍が角度2*ψにて斜めに切り落とされている。したがって、同図(a)に示す前者については、隣り合う二枚の基板65の短辺同士を接合して互いに長手方向に連結することにより、基板65は全体に右曲がり、すなわち時計回りの屈曲形状を為し、コーナー部66(図2(a)を参照)の屈曲角がψとなる。他方、同図(b)に示す後者については、同様に二枚の基板65同士を長手方向に連結することにより、基板65は屈曲角ψで全体に左曲がり、すなわち反時計回りの屈曲形状を為す。なお、図3各図に示す基板65は図4(b)に相当する。
本実施の形態にかかる排出樋13は、基板65の上面に、繊維交絡体または多孔質材料からなるメッシュ層72と、樹脂シート71とがこの順に積層され、パチンコ球の排出転動面14が形成される。メッシュ層72と樹脂シート71は均一な厚さの薄層であり、排出転動面14の長手方向の勾配ξは基板65の長手方向の勾配によって規定される。
樹脂シート71の裏面にはサンディングまたはアニール処理を施し、後述するメッシュ層72や、基板65表面との接着接合性を高めている。
樹脂シート71と基板65との間には、基板65と樹脂シート71との間に空気層を形成するためナイロンなどの繊維交絡体や樹脂発泡体などの多孔質材料からなるメッシュ層72を任意で介装する。空気層を形成することで樹脂シート71の放熱性が向上するため、上記のようにパチンコ球が同じ位置に繰り返し衝突した場合でも、樹脂シート71が過熱されて熱膨張変形することを防いでいる。またメッシュ層72によってかかる空気層を形成することで、樹脂シート71に空気バネの効果を与え、パチンコ球の落下衝撃を吸収して跳ね上がりを抑制し、消音性を高めている。メッシュ層72の平均開口径は特に限定されるものではないが、2乃至20mmとするとよい。平均開口径は、メッシュ層72の単位面積を、目視される空孔の数で除した平均開口面積を円形近似した場合の直径として求めることができる。またメッシュ層72の厚さは、上記効果を十分に得る観点から、0.1乃至1mmとするとよい。
メッシュ層72の平均開口径が過大である場合、樹脂シート71が基板65に直接接触して上記空気層の効果が失われたり、樹脂シート71の表面にメッシュ層72の開口形状に応じた凹凸が生じたりする虞がある。逆に平均開口径が過小である場合、後述する水性接着剤によりメッシュ層72の開口が充填されてしまい上記空気層の効果を十分に得ることができない。
このため、メッシュ層72には上記好適な厚さおよび開口径を与え、樹脂シート71の裏面に塗布した水性接着剤が、メッシュ層72の開口内部に空気層を残した状態で基板65と接合されるとよい。
本発明にかかる遊技島10は、配設された複数台のパチンコ機100等に均一かつ安定的にパチンコ球を供給するための補給樋20を有している。補給樋20は上述のように、長手方向に下り勾配θを有する供給転動面24を備え、遊技島10がR島の場合はその全体形状に応じて湾曲または屈曲形状をなしている。以下、遊技島10がR島の場合を例にとり、本発明に用いることのできる補給樋20を説明する。
ここで傾斜角φ1,φ2の作用を以下に説明しておく。
内R側の屈曲部を転動流下するパチンコ球80には、屈曲形状の内側から外側に向かって遠心力が作用するため、仮に供給転動面24が水平面に対して幅方向にフラットに形成された場合は開口部27aへのパチンコ球の導入が妨げられることとなる。これに対し本発明の補給樋20によれば、内R側については屈曲形状の外側から内側にかけて、すなわち幅方向の中央部から側面22aにむかって供給転動面24に傾斜角φ1が与えられているため、パチンコ球80には開口部27aに導入される向きに重力加速度成分が与えられ、上記の遠心力の作用が相殺されるためパチンコ球80の補給効率を十分に維持することができる。
樋部材30はパチンコ球80がその上を滑らかに転動する流路を構成する部材であり、少なくとも供給転動面24には高い平面度、平滑性および耐久性が求められる。樋部材30の材質は特に限定されるものではないが、供給転動面24については良好な転動性と耐摩耗性を与えるためステンレス(SUS)などの金属材料から作製するとよい。一方、側面22については、供給転動面24と一体に作製するほか、後述するように樹脂材料からなる板状に別体として成型し、供給転動面24を備えた底面部材と分離可能に組み合わせてもよい(図7を参照)。樋部材30の平面視形状は、長方形状、円弧状、くの字状、S字状、またはこれらの組み合わせなどを自在に採ることができる。またそれぞれの場合、長手方向に隣り合う他の樋部材30と連続的に繋ぎ合わせることで補給樋20の全体形状が所望の湾曲または屈曲形状となるよう、必要に応じて長手方向の端部を斜めにカットして角度付けをするとよい。また補給樋20が直線部と屈曲部とを交互に有する屈曲形状の場合、供給転動面24が平面視長方形に形成された樋部材30を直線部とし、内側の経路長を外側の経路長よりも短くした三角形または台形の供給転動面24を備える他の樋部材30を屈曲部として、それぞれ用いてもよい。なお図2,5に示すように、本実施の形態にかかる補給樋20においては、長手方向に連結される複数本の樋部材30を共通部品とするため、補給樋20の屈曲角度に合わせて長手方向の端部を斜め加工し、パチンコ機100の台間ピッチに相当する長さ寸法をもつ長方形状の供給転動面24をもつ樋部材30を用いている。
ただし本発明においてはこのほか、幅方向の中央部が上に突出して山型に湾曲した供給転動面24を備える樋部材30を長手方向にのみ互いに連結して補給樋20を構成する態様としてもよい
載置枠40は、樋部材30を載置することにより供給転動面24に傾斜角φを精度よく与えるための載置面41を備える部材であり、その平面視形状は樋部材30の形状に応じて長方形状、円弧状、くの字状、S字状、またはこれらの組み合わせなどを基本とする。
図7は、長手方向の屈曲した遊技島10の内R側と外R側にともにパチンコ球80を供給することのできる本実施の形態にかかる載置枠40の斜視図である。載置枠40は図中に矢印にて示す長手方向に複数本が互いに連設されて樋部材30とともに補給樋20を構成する。同図に示す載置枠40は、長手方向の端部の少なくとも片側について、図に二点鎖線にて示す内R側のコーナー部が斜めにカットされた略長方形状をなし、同一の平面視形状をもつ他の載置枠40と互いに連設することで全体として屈曲形状をなすよう形成されている。
載置枠40は、パチンコ球80とは直接接触することがなく部材の損耗の虞はないため、圧縮強度、加工性およびコストの観点から木材を切削加工して得ることが好適である。
パチンコ球80の数密度が高くなってその転動性が低下する虞のある下流側においては、転動速度の低下に伴ってパチンコ球80に作用する遠心力が弱まることで、特に外R側では側面22への押圧力が減少するとともにシュート111への導入効率も低下するため、パチンコ機100等への供給不足が生じる可能性があるところ、補給樋20の下流側において載置面41の傾斜角φを急峻にすることで、上流と下流とで供給効率を均等化することができる。
載置枠40に載置されて樋部材30が長手方向に連結されることで、各樋部材30の供給転動面24もまた補給樋20の長手方向にわたり連結されて湾曲または屈曲形状をなし、パチンコ球80の転動経路が形成される。このとき、供給転動面24同士の連結部は滑らかに接合される場合のほか、補給樋20の下流側に向う下り段差が設けられていてもよい。
すなわち、樋部材30を長手方向に連結する際に、隣り合う供給転動面24同士が下り階段状に下るよう高さ方向に不連続とすることにより、当該下り段差を通過するたびにパチンコ球80には瞬間的な重力加速が作用し、その都度転動性を増すことができる。また仮に供給転動面同士を滑らかに連結することを試みた場合、加工および組立の公差により、または長期間の使用や温度変化により、下流側に位置する供給転動面24の上流側の端部が浮き上がって突出した場合はパチンコ球80の転動を阻害する抵抗となってしまう虞がある。したがって供給転動面24を不連続としつつもパチンコ球80の転動を阻害せぬよう、下り階段状に供給転動面24を徐々に下げてゆくとよい。また供給転動面24の当該下り段差の高さを0.1mmから2mmとすることによりパチンコ球80の跳ね上がりを排除しつつ上記効果を十分に享受することができる。
このほか、樋部材30の底面31から供給転動面24までの厚さを同様に補給樋20の上流側から下流側にかけて徐々に薄型化してゆく方法や、後述する基台50の厚さを同様に徐々に薄型化してゆく方法などを採ることもでき、またこれらを組み合わせてもよい。基台50を徐々に薄型化する場合には、(1)1本の樋部材30の長手方向の両端部に基台50をそれぞれ配置し、樋部材30同士の繋ぎ目においては、隣り合う下流側の基台50の厚さを薄くしてゆく、(2)樋部材30の長手方向中央部に基台50を設ける、または(3)本実施の形態のように樋部材30同士の繋ぎ目を1つの基台50で保持する場合は、基台50の上面51のうち当該繋ぎ目に位置する部分に段差を設ける、などの方法を採ることができる。
載置枠40は、図5に示すように基台50を介して遊技島10の桁11に設置されることが好ましい。桁11は、遊技島10の長手方向にパチンコ機100の一台ごと、または複数台ごとに架設され、その上に設けられる基台50や載置枠40、樋部材30、および転動するパチンコ球の荷重を腰板118またはベース板117(図1を参照)に伝達する部材である。桁11の上面の高さは、球タンク110の設けられる上流側から、末端のパチンコ機100の設けられる下流側にかけて、補給樋20の長手方向に沿って下り勾配θ(図1を参照)にしたがって低くなる。
また桁11に載置される基台50は、パチンコ機100に正対する方向から見た側面視形状を楔形とし、その上面51と水平面の為す角が補給樋20の長手方向の勾配θとなっている。基台50を木材の切削加工によって作製することにより、その厚さおよび上面51の下り勾配θを工場レベルでの高い精度とすることができ、したがって桁11ごとに搭載される複数の基台50の上面51を補給樋20の長手方向に結ぶことにより、供給転動面24に与えるべき下り勾配θが形成される。
これにより、桁11の水平面精度と、基台50の上面51の勾配の精度と、載置枠40の載置面41の幅方向の傾斜角の精度と、樋部材30の底面31に対する供給転動面24の平面精度とを、それぞれ独立して高精度化することで、組み上げられた補給樋20の供給転動面24に所望の勾配θおよび傾斜角φを高い精度レベルかつ容易で低コストの加工によって与えることができる。
また供給転動面24の勾配θまたは傾斜角φのいずれかを変更したい場合には基台50または載置枠40のいずれか一方を交換すれば足り、容易なレイアウト変更や調整が可能である。
補給樋20は、先端側の端部が終端壁35により流路が閉止されている。図8は、終端壁35が立設形成された供給転動面24の最下流位置に設けられる終端ガイド部材33と、これを備える補給樋20の上方斜視図である。終端ガイド部材33は、供給転動面24を転動流下して最下流位置に達したパチンコ球80を、開口部27を通じてシュート111に効率的に導出するための部材である。形状や配置位置は特に限定されるものではないが、同図に示すように補給樋20の最下流位置に設けられた開口部27の下流端と、供給転動面24の幅方向中央部のやや上流側位置とを斜めに結ぶ壁状に終端ガイド部材33を設けるとよい。これにより、供給転動面24の幅方向の中央部側を転動流下してきたパチンコ球80についても、供給転動面24の長手方向に対して小さな(鋭角の)屈曲角をもって最下流位置の開口部27に滑らかに案内されるため、当該開口部27の近傍でパチンコ球80の転動性が大きく損なわれることがない。
これにより、最下流位置の開口部27には、転動流下してきたパチンコ球80が効率的に導入されるため、終端壁35に到達した大量のパチンコ球80がブリッジを形成して補給樋20内で球詰まりを生じることが無い。すなわち終端ガイド部材33を供給転動面24上に設けることにより、補給樋20の最下流位置の開口部27に対し、転動速度の低下したパチンコ球80を適度な数密度で供給することができる。
また図示のように側面22a,22bを底板21a,21bに対してそれぞれ着脱可能に設けることにより、側面22a,22bの汚損時には当該側面のみを取り外すことができ、また遊技島10に設置するパチンコ機100等のレイアウトを変更した場合についても、開口部27およびシュート111(図5を参照)の形成位置を変更した他の側面と交換することで、供給転動面24を含む補給樋20の全体を交換せずともこれに好適に対応可能である。
また本実施の形態にかかる側面22および分離壁32(32a,32b)の長手方向には、補給樋20の内側に向かって筋状に突出する突起部221が複数段にわたって設けられている。図9(b)に示すように、最下段の突起部221aが底板21aと当接することで、側面取付溝222と嵌合する側面22aを支持している。二段目の突起部221bは、同図に示す縦断面においてパチンコ球80と点接触することで、側面22とパチンコ球80との間の摩擦を低下させている。すなわち側面22aに突起部が予め設けられていない場合は、補給樋20が繰り返しの使用に供されると、パチンコ球80との接触による損耗により側面22aの内側には凹面(凹溝)が形成され、以後、側面22aとパチンコ球80とが面接触をすることになり、両者間の動摩擦力が上昇してパチンコ球80の流動性が低下する虞があるところ、突起部221bを側面22aから突出させておくことで、これが残存する限り側面22aとパチンコ球80とは上記点接触の状態を維持可能となる。側面22bや分離壁32にも突起部を設けることにより、上記効果を得ることができる。
[1]一台または複数台を単位とする遊技機が前記単位ごとに互いに屈曲して横並びに設置される遊技島に設けられて前記遊技機にそれぞれ遊技球を供給する補給樋であって、
前記遊技機に向かう下り傾斜が幅方向に形成された載置面を備える複数の載置枠が、互いに長手方向に連設されるとともに長手方向に勾配をもって前記遊技島に設けられ、かつ、遊技球を転動させる供給転動面を備える複数の樋部材が前記載置面にそれぞれ載置されて連結され、前記供給転動面の平面視形状が湾曲または屈曲形状をなすことを特徴とする補給樋;
[2]前記載置枠は、幅方向の両側にそれぞれ向かう下り傾斜が形成された二つの載置面が設けられている上記[1]に記載の補給樋;
[3]前記二つの載置面のうち、前記湾曲または屈曲形状の内側の載置面の下り傾斜が、外側の載置面の下り傾斜よりも急峻である上記[2]に記載の補給樋;
[4]連設された複数の載置枠のうち、もっとも下流側に設けられた載置枠の備える前記載置面の下り傾斜が、もっとも上流側に設けられた載置枠の備える前記載置面の下り傾斜よりも急峻である上記[1]から[3]のいずれかに記載の補給樋;
[5]樋部材が、前記供給転動面と、これに平行な底面と、遊技球を遊技機に向けて供給するための開口部が形成された側面と、を有する上記[1]から[4]のいずれかに記載の補給樋;
[6]供給転動面は、前記側面の近傍に、該側面に向かう下り斜面が設けられている上記[5]に記載の補給樋;
[7]連結された樋部材のうち、もっとも下流側に設けられた樋部材の備える供給転動面上には、転動する遊技球を開口部に向かって誘導する終端ガイド部材が設けられている上記[5]または[6]に記載の補給樋;
[8]載置枠に前記長手方向の勾配を与える基台を有する上記[1]から[7]のいずれかに記載の補給樋;
[9]樋部材が連結されてなる供給転動面の当該連結部には、下流側に向かう下り段差が設けられている上記[1]から[8]のいずれかに記載の補給樋;
[10]載置枠は長手方向の中心線形状が直線状であり、かつ互いに長手方向に屈曲して連設されることを特徴とする上記[1]から[9]のいずれかに記載の補給樋;
[11]長手方向の上流側に設けられる載置枠は、下流側に設けられる載置枠よりも肉厚に形成されていることを特徴とする上記[1]から[10]のいずれかに記載の補給樋;
を要旨とするものということができる。
[12]上記請求項1から9のいずれかに記載の排出樋と、上記[1]から[11]のいずれかに記載の補給樋とをともに備える遊技島;
を要旨とするものということができる。
11 桁
13 排出樋
14 排出転動面
15 フレーム
16 幅広部
20 補給樋
24 供給転動面
30 樋部材
40 載置枠
41 載置面
50 基台
61 側壁
62 案内部
63 平滑板
65 基板
66 コーナー部
67 端面
68 直線部
71 樹脂シート
72 メッシュ層
91 排出管
100 パチンコ機
θ 勾配
ξ 勾配
ψ 屈曲角
Claims (9)
- 一台または複数台を単位とする遊技機が前記単位ごとに互いに屈曲して横並びに設置される遊技島に設けられ、前記遊技機に沿って長手方向に屈曲した上方開口型の樋形状をなし、各遊技機から排出された遊技球を回収するための排出樋であって、
長手方向に所定の勾配を有し、遊技球を転動させる排出転動面と、
前記長手方向に沿って排出転動面の両側に対向して立設された側壁と、
遊技機から排出された遊技球を受けるとともに該遊技球を排出転動面の幅方向内側に向かって案内する下り傾斜面状に形成された案内部と、を備え、かつ、
屈曲した前記側壁の内面のうち少なくとも外側のコーナー部には、転動する遊技球と該側壁との衝突を防止する湾曲形状の平滑板が設けられていることを特徴とする排出樋。 - 前記排出転動面と側壁と案内部とをそれぞれ備える複数本の排出樋部材を、前記長手方向に互いに屈曲させて連結してなる請求項1に記載の排出樋。
- 排出樋部材は、基板および前記側壁が形成された樋形状の木製のフレームと、前記基板の上に全面接着された樹脂シートとからなる請求項2に記載の排出樋。
- 前記フレームの備える側壁は、上面が斜めに形成されて前記案内部を構成している請求項3に記載の排出樋。
- 前記基板と樹脂シートとの間には、繊維交絡体または多孔質材料からなるメッシュ層が介装されている請求項3または4に記載の排出樋。
- 平滑板は長手方向に複数枚に分割され、かつ隣り合う平滑板の端部同士が、上流側に位置する平滑板の端部を上にして互いに重ね合わされて構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の排出樋。
- 平滑板の前記端部同士は、屈曲した側壁の内面のうち前記コーナー部を除く直線部において互いに重ね合わされていることを特徴とする請求項6に記載の排出樋。
- 排出転動面の前記勾配が3%以下である請求項1から7のいずれかに記載の排出樋。
- 排出転動面は、回収された遊技球を遊技島の上方に移送する揚送装置と接続される最下流位置における幅が、その他の位置における幅よりも大きいことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の排出樋。
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