JP4782355B2 - ニトリル基含有共役ジエンゴム及びその製造方法 - Google Patents
ニトリル基含有共役ジエンゴム及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4782355B2 JP4782355B2 JP2002311095A JP2002311095A JP4782355B2 JP 4782355 B2 JP4782355 B2 JP 4782355B2 JP 2002311095 A JP2002311095 A JP 2002311095A JP 2002311095 A JP2002311095 A JP 2002311095A JP 4782355 B2 JP4782355 B2 JP 4782355B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- conjugated diene
- nitrile group
- diene rubber
- crumb
- water
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐溶剤性に優れたニトリル基含有共役ジエンゴム及びその製造方法、前記ゴムの架橋成形物に関し、さらに詳しくは、有機溶剤と接触させて使用する用途に好適なニトリル基含有共役ジエンゴム及びその製造方法、前記ゴムの架橋成形物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ニトリル基含有共役ジエンゴムは、耐溶剤性に優れていることから、溶剤が用いられている分野において広く使用されている。ニトリル基含有共役ジエンゴムの中でも、アクリロニトリルとブタジエンとの共重合体であるアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)は、耐油性及び耐溶剤性に優れているので、これらの特徴を生かして非常に広範囲に使用されている。NBRは、アクリロニトリル単量体単位量(AN量)が増加すると耐油性及び耐溶剤性が一層向上するため、AN量の多いNBR、例えばAN量が43%以上のいわゆる極高ニトリルは、燃料、油及び溶剤に対して最も高度の耐久性が要求される場合に使用され、例えば、過酷な環境下で使用される自動車燃料ホース等に利用されている。
【0003】
しかし、上記の極高ニトリルであっても、例えばスプレー缶の噴射部と本体との間のシール材(パッキン)等に使用された場合に、噴射剤として利用されるジメチルエーテル(DME)のような溶剤に接した環境下で亀裂が生じるという問題があった。また、架橋成形物として金属部品と接触させて使用する場合に、接触する金属を腐食させたり、水を吸収して膨潤したりする場合があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐溶剤性に優れ、圧縮や引張りなどの応力を受けた状態で溶剤と長期に接触しても亀裂が生じず、さらに耐水性に優れ金属を腐食させにくいニトリル基含有共役ジエンゴム及びその製造方法、前記ゴムの架橋成形物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上述した課題を解決すべく鋭意検討したところ、アクリロニトリル単量体単位量が特定範囲にあり、且つ、塩素含有量が特定範囲にあるニトリル基含有共役ジエンゴムを用いることにより前記課題を達成できることを見出した。また、このようなニトリル基含有共役ジエンゴムは、特定の凝固、回収方法により得られることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0006】
かくして本発明によれば、以下の1〜4の発明が提供される。
1. α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位43〜60重量%及び共役ジエン単量体単位57〜40重量%から成る乳化重合ニトリル基含有共役ジエンゴムであって、塩素含有量が50ppm以上250ppm以下であることを特徴とするニトリル基含有共役ジエンゴム。
2. 上記1記載のニトリル基含有共役ジエンゴムを架橋して成る架橋成形物。
3. シール材である上記2記載の架橋成形物。
4. α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位43〜60重量%及び共役ジエン単量体単位57〜40重量%から成る乳化重合ニトリル基含有共役ジエンゴムのエマルションを、凝固剤として金属塩化物を含む水溶液と混合させて前記共役ジエンゴムのクラムの水分散液を得、該水分散液から前記金属塩化物を含む水を分離除去して前記クラムを回収するニトリル基含有共役ジエンゴムの製造方法において、
回収されたクラムと水とを撹拌混合し、得られた混合物から前記水を分離除去する工程、
を2回以上実施して、塩素含有量が50ppm以上250ppm以下のクラムを回収することを特徴とするニトリル基含有共役ジエンゴムの製造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のニトリル基含有共重合ゴムは、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位43〜60重量%及び共役ジエン単量体単位57〜40重量%から成り、塩素含有量が50ppm以上250ppm以下であることを特徴とする。
【0008】
ニトリル基含有共重合ゴムの塩素含有量は、50〜250ppmである。ニトリル基含有共重合ゴムの塩素含有量が多すぎると、有機溶剤と接触した場合に亀裂が発生し、接触する金属を腐食させるおそれもあり、さらには水分により膨張等して耐水性も低下する。
ニトリル基含有共重合ゴム中の塩素含有量を上記範囲とすることにより、このゴムをシール材(パッキン)等の用途に使用する場合に、有機溶剤による亀裂の発生がなく、組み合わせて使用する金属材の腐食が低減される。更に、耐水性も向上される。本発明のニトリル基含有共重合ゴムは、塩素を全く含有しない場合には、架橋後のゴムの引張応力が実用レベルではあるが若干低下したり、加硫速度が低下したりする場合がある。したがって、本発明のニトリル基含有共重合ゴムは、本発明の範囲にて50ppm以上は塩素を含有するのが望ましい。
【0009】
上記ニトリル基含有共重合ゴムは、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位が43〜60重量%、及びα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と共重合可能な共役ジエン単量体単位が57〜40重量%である。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量が少なすぎると耐油性に劣り、逆に多すぎると耐寒性に劣る傾向がある。
このようなニトリル基含有共重合ゴムは、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と共役ジエン単量体とを共重合させて得られる。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体の例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等を挙げることができ、中でも、アクリロニトリルが好ましい。
【0010】
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と共重合させる共役ジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等を挙げることができ、中でも、1,3−ブタジエンが好ましい。
【0011】
本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムは、上述した単量体単位に加えて、上述した単量体と共重合可能なその他の単量体の単位を含んでいてもよい。その他の単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のような芳香族ビニル化合物;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、フマル酸、無水フマル酸等のようなα,β−不飽和カルボン酸及びその無水物;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等のようなα,β−不飽和カルボン酸のアルキルエステル;マレイン酸モノ(ジ)エチル、マレイン酸モノ(ジ)ブチル、フマル酸モノ(ジ)エチル、フマル酸モノ(ジ)−2−エチルヘキシル、イタコン酸−n−ブチル等のようなα,β−不飽和ジカルボン酸のモノ(ジ)エステル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル等のようなα,β−不飽和カルボン酸のアルコキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等のようなα,β−不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル;等を挙げることができ、これらに限定しない。上記これらの単量体単位の、ニトリル基含有共役ジエンゴム中の含有量は、10重量%以下であるのが好ましい。
【0012】
本発明のニトリル基含有共重合ゴムは、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体、共役ジエン単量体及び必要に応じて用いられる前記単量体と共重合可能な上記単量体を公知の乳化重合法により乳化重合し、以下の方法により製造することができる。
すなわち、上記方法で乳化重合させて得られるニトリル基含有共役ジエンゴムのエマルションを、凝固剤を含む水溶液と混合させて前記共役ジエンゴムのクラムの水分散液を得、該水分散液から凝固剤を含む水を分離除去して前記クラムを回収する。次いで、回収されたクラムと、凝固剤を含有しない水を混合し、得られた混合物から前記水を分離除去することによりクラムを水洗浄する。
【0013】
上記エマルションが未反応の単量体を含む場合には、前記エマルションを減圧下で水蒸気蒸留等して未反応の単量体を除去するのが好ましい。次いで、エマルションを、凝固剤を含む水溶液と混合することにより、ニトリル基含有共役ジエンゴムのクラムを生成させ、該クラムの水分散体を得る。エマルションと凝固剤を含む水溶液との混合は撹拌混合によるのが好ましい。
共役ジエンゴムのクラムを生成させる際に、後に凝固剤を除去するのを容易にするために、撹拌時の水の温度や攪拌速度を調整することによって、クラムの粒径が2〜10mm程度になるようにするのが好ましい。このために、撹拌時の水の温度を40〜70℃に調整し、攪拌速度を、撹拌翼の先端速度で10〜30m/sに調整するのが好ましい。更に、攪拌に輻流型タービン攪拌翼を使用することは、凝固剤の使用量を低減することができることから、より好ましい。これらの好適な方法を採用して、共役ジエンゴム中に残留する塩素系凝固剤を著しく低減させることにより、該ゴム中の塩素含有量を50ppm以上250ppm以下とすることができる。
【0014】
上記方法により撹拌した後に、攪拌を停止し、得られたクラムの水分散液から、凝固剤を含む水を分離除去する。凝固水を含む水は、前記水分散液を濾過等することによりクラムから分離除去できる。具体的には、水分散液を金属網に通過させて濾過し、該網にクラムを捕捉する。
凝固剤を含む水(セラム水)が除去されたクラムは、凝固剤を含まない水と混合し、この混合物を再び濾過や遠心分離して水を除去することにより該クラムが洗浄されて、クラム中の残留凝固剤量が減少する。
【0015】
上記方法において使用する凝固剤は、ゴムの凝固剤として一般的に用いられているものであれば限定はないが、本発明方法においては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムなどの金属塩化物を用いるのが好ましい。これらの凝固剤を用いると、得られるニトリル基含有共役ジエンゴムの機械的強度に優れる。
凝固剤の水溶液中の濃度は、0.20〜0.75重量%、好ましくは0.30〜0.50重量%である。
上記の金属塩化物を凝固剤に用いて本発明の塩素含有量500ppm以下のニトリル基含有共重合ゴムを製造する場合には、上記のクラムの洗浄を2回以上実施する。すなわち、
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位43〜60重量%及び共役ジエン単量体単位57〜40重量%から成るニトリル基含有共役ジエンゴムのエマルションを、凝固剤として金属塩化物を含む水溶液と混合させて前記共役ジエンゴムのクラムの水分散液を得、該水分散液から前記金属塩化物を含む水を分離除去して前記クラムを回収するニトリル基含有共役ジエンゴムの製造方法において、
回収されたクラムと水とを混合し、得られた混合物から前記水を分離除去する工程、
を2回以上実施して、塩素含有量が50ppm以上250ppm以下のクラムを回収する。
金属塩化物を凝固剤に用い、上記洗程(クラムの洗浄工程)を2回以上実施することにより、本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムの耐溶剤亀裂性及び機械的強度が最も向上する。
【0016】
このようにして得られた本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムは、ゴム分野において一般的に使用される補強性充填剤、老化防止剤、可塑剤等の配合剤を配合することができる。これらの配合剤はゴムの配合剤として一般的に用いられているものを使用することができ、その配合量も一般的な量であればよい。
また、本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムは、ゴムの架橋剤として一般的に用いられている架橋剤を通常の量配合し、架橋形成して架橋成形物とすることにより、各種ゴム部品として用いることができる。
【0017】
本発明のニトリル基含有共役ジエンゴム架橋成形物は、ゴム中の残留塩素濃度が低いことにより、耐溶剤亀裂性に優れ、成形装置や組み合わせて使用する金属材の腐食が低減される。更に、耐水性も向上する。このため、印刷用、紡績用、製紙用、染色用や製鉄用ロール;オイルシール、オーリング、ダイヤフラム、ガスケット、パッキンなどのシール材;自動車オイルホース、燃料ホース等のホース材;などにおいて広く使用することができる。
これらの中でも、特に、スプレー缶のパッキンやガスケットなどのシール材として用いた場合に、噴射剤であるジメチルエーテルと長期に接触しても亀裂が生じないので、好適である。
【0018】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的な説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されない。以下において、部及び%は特に断りがない限り重量による。
実施例及び比較例において、ゴム中の残留塩素濃度、耐溶剤亀裂性、金属腐食性、耐水性、引張応力は、下記のようにして測定した。
【0019】
塩素含有量
ゴムの試料約20〜30gをロールで伸ばしてシートにし、シートを2×10mm程度に裁断し、約0.5gを200mmビーカーに入れる。これに、メチルエチルケトン70mlを加え、攪拌して前記シートを完全に溶解させる。シートが溶解した後に、イソプロピルアルコール30mlを加え、更に、メチルエチルケトンを加えて全量を150mlにする。この溶液に、2%硫酸溶液1mlを駒込ピペットで加える。これに、N/200硝酸銀溶液を滴下して電位差滴定で塩素含有量を求める。
使用する滴定装置は、平沼製COMITE−101又は相当品で、銀支持電極AG−68/銀比較電極AM−44である。
【0020】
耐溶剤亀裂性
加硫ゴムのシートを長さ100mm×幅10mm×厚さ2〜3mmの寸法に裁断し、これをタンザク状に打ち抜いて試料を作成する。試料に、屈曲亀裂試験の亀裂切り込み刃で試料を貫通させて2mmの亀裂を切り込む。亀裂の入ったタンザク状シートを、40℃でホルダーにセットし、ノギスを使用して100%伸張させる。これを速やかにトルエン/イソオクタン混合比=6/4のFuel−Dが入ったビーカー中に浸漬する。試料をビーカー中のFuel−D中に浸漬した時から、亀裂が成長して試料が破断するまでの時間を測定する。この時間が長い程、耐溶剤亀裂性が良好になる。
【0021】
金属腐食性
ゴム組成物を160℃×20分プレス加硫して試験片を作製し、JIS B2401腐食及び粘り付き試験に従って金属腐食性を測定する。
耐水性
ゴム組成物を160℃×20分プレス加硫して試験片を作製し、JIS K6258に従って浸せき試験を実施し、体積変化率により耐水性を測定する(単位は%)。体積変化率が小さい程、耐水性に優れる。
引張応力
ゴム組成物を160℃×20分プレス加硫して試験片を作製し、JIS K6301に従って引張応力を測定する(単位はkgf/cm2)。値が大きい程、機械的特性に優れる。
【0022】
参考例2
ニトリル基含有共役ジエンゴムの調製
反応容器に、水200部、アクリロニトリル65部及び1,3−ブタジエン35部を仕込み、乳化剤としてオレイン酸カリウム2.5部、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン0.5部を用い、更に重合開始剤として過硫酸カリウム0.3部を仕込み、十分に脱気した後に、温度30℃で乳化共重合を開始させた。重合体転化率が70%に達した時点で反応容器にヒドロキシルアミン硫酸塩0.3部を重合停止剤として加えて重合を停止させた。次いで、反応容器の内容物を加熱して温度60℃にし、減圧下で水蒸気蒸留によって未反応の単量体を回収し、老化防止剤(アルキル化フェノール)1.5部を加え、生成したラテックスを、凝固剤として塩化カルシウムを含む水溶液(濃度0.4%、温度50℃)に注いで重合体クラムを凝固させた。前記ラテックスと凝固剤水溶液との混合比率は、混合物中のゴム成分の濃度が10%となるように調整した。
次いで、重合体クラムの水分散液を、金属網を用いてろ過してセラム水を除いて重合体クラムを回収した。回収された重合体クラムに蒸留水を加えて十分に撹拌して水洗した後、重合体クラムの水分散液を金網でろ過してセラム水を除いて重合体クラムを回収した。さらに、前記の回収された重合体クラムに再び蒸留水を加えて十分に撹拌して水洗した後、重合体クラムの水分散液を金網でろ過してセラム水を除いて重合体クラムを回収し、50℃で減圧乾燥させてニトリル基含有共役ジエンゴム65部を得た。
【0023】
このようにして得られたニトリル基含有共役ジエンゴムについて、塩素含有量を上記した通りの測定法に従って求めた。結果を下記の表1に挙げる。
【0024】
ゴム組成物の調製
次に、ニトリル基含有共役ジエンゴムに、下記の配合剤を下記の配合処方に従って配合し混練して得たゴム組成物の架橋物について、耐溶剤亀裂性、耐金属腐食性、耐水性及び引張応力を求めた。結果を下記の表1に挙げる。
配合処方
ニトリル基含有共役ジエンゴム 100部
亜鉛華 5部
ステアリン酸 1部
硫黄 0.5部
SRF Black 60部
ジオクチルフタレート 5部
テトラメチルチウラムジスルフィド 1.5部
N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド 1.5部
【0025】
実施例1
参考例2において、凝固時を輻流型タービン攪拌翼を用いて攪拌速度を20m/sで行った他は、参考例2と同じ手順に従って、ニトリル基含有共役ジエンゴムを調製した。凝固重合体クラムの粒径は、6mmであった。このようにして得られたニトリル基含有共役ジエンゴムについて塩素含有量を求めた。
【0026】
また、参考例2と同じ手順に従って、ゴム組成物を作製し、これの架橋物について、耐溶剤亀裂性、耐金属腐食性、耐水性及び引張応力を上記した通りの測定法に従って求めた。これらの結果を下記の表1に挙げる。
【0027】
参考例1
凝固剤として塩化カルシウムに代えて亜硫酸アルミニウムを使用し、その水溶液濃度を0.3%としたこと、及び、重合体クラムに蒸留水を加えて洗浄する操作を1回のみ実施したこと以外は、実施例1と同様にニトリル基含有共役ジエンゴムを調製した。このようにして得られたニトリル基含有共役ジエンゴムについて、塩素含有量を求めた。
【0028】
また、実施例1と同じ手順に従って、ゴム組成物を作製し、これの架橋物について、耐溶剤亀裂性、耐金属腐食性、耐水性及び引張応力を上記した通りの測定法に従って求めた。これらの結果を下記の表1に挙げる。
【0029】
比較例1
実施例1において、水洗工程を1度しか実施しなかった他は、実施例1と同じ手順に従って、ニトリル基含有共役ジエンゴムを調製した。このようにして得られたニトリル基含有共役ジエンゴムについて塩素含有量を求めた。
【0030】
また、実施例1と同じ手順に従って、ゴム組成物を作製し、これの架橋物について、耐溶剤亀裂性、耐金属腐食性、耐水性及び引張応力を上記した通りの測定法に従って求めた。これらの結果を下記の表1に挙げる。
【0031】
【表1】
【0032】
表1に示す結果から、塩素含有量が750ppmであるニトリル基含有共役ジエンゴムの架橋物は、耐溶剤亀裂性及び耐水性に劣り、金属腐食性がある(比較例1)。これに対し塩素含有量が250ppm以下のニトリル基含有共役ジエンゴムの架橋物は、耐溶剤亀裂性、耐水性に優れ、引張応力が十分大きく、金属腐食性がない。また、その中でも、塩素含有量が50ppm以上であるもの(実施例1)は、さらに引張応力が優れる。
【0033】
【発明の効果】
本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムは、残留塩素濃度が低く、架橋物を溶剤に接した環境下で使用しても、架橋物に亀裂が生じない。更に、本発明のニトリル基含有共役ジエンゴムは、架橋物の耐金属腐食性、耐水性及び引張応力等の特性も向上する。
Claims (4)
- α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位43〜60重量%及び共役ジエン単量体単位57〜40重量%から成る乳化重合ニトリル基含有共役ジエンゴムであって、塩素含有量が50ppm以上250ppm以下であることを特徴とするニトリル基含有共役ジエンゴム。
- 請求項1記載のニトリル基含有共役ジエンゴムを架橋して成る架橋成形物。
- シール材である請求項2記載の架橋成形物。
- α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位43〜60重量%及び共役ジエン単量体単位57〜40重量%から成る乳化重合ニトリル基含有共役ジエンゴムのエマルションを、凝固剤として金属塩化物を含む水溶液と混合させて前記共役ジエンゴムのクラムの水分散液を得、該水分散液から前記金属塩化物を含む水を分離除去して前記クラムを回収するニトリル基含有共役ジエンゴムの製造方法において、
回収されたクラムと水とを撹拌混合し、得られた混合物から前記水を分離除去する工程、
を2回以上実施して、塩素含有量が50ppm以上250ppm以下のクラムを回収することを特徴とするニトリル基含有共役ジエンゴムの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002311095A JP4782355B2 (ja) | 2002-10-25 | 2002-10-25 | ニトリル基含有共役ジエンゴム及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002311095A JP4782355B2 (ja) | 2002-10-25 | 2002-10-25 | ニトリル基含有共役ジエンゴム及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004143323A JP2004143323A (ja) | 2004-05-20 |
JP4782355B2 true JP4782355B2 (ja) | 2011-09-28 |
Family
ID=32456423
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002311095A Expired - Lifetime JP4782355B2 (ja) | 2002-10-25 | 2002-10-25 | ニトリル基含有共役ジエンゴム及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4782355B2 (ja) |
Families Citing this family (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4929618B2 (ja) * | 2005-05-26 | 2012-05-09 | 日本ゼオン株式会社 | ゴム状重合体の製造方法 |
EP2238176B1 (de) * | 2008-01-29 | 2014-08-20 | LANXESS Deutschland GmbH | Optional alkylthio-endgruppen enthaltende optional hydrierte nitrilkautschuke |
IT1397345B1 (it) * | 2008-09-09 | 2013-01-10 | Polimeri Europa Spa | Processo per la eliminazione di mercaptani residui da gomme nitriliche |
CN114080403A (zh) * | 2019-07-19 | 2022-02-22 | 日本瑞翁株式会社 | 加工性、耐水性优异的丙烯酸橡胶胶包 |
WO2021014789A1 (ja) * | 2019-07-19 | 2021-01-28 | 日本ゼオン株式会社 | 耐水性に優れるアクリルゴムシート |
EP4001318A4 (en) * | 2019-07-19 | 2023-08-30 | Zeon Corporation | ACRYLIC RUBBER WITH EXCELLENT WATER RESISTANCE |
JP7424381B2 (ja) | 2019-07-19 | 2024-01-30 | 日本ゼオン株式会社 | 耐水性に優れるアクリルゴム |
JP2021105128A (ja) * | 2019-12-26 | 2021-07-26 | 日本ゼオン株式会社 | 耐熱性と耐水性と加工性に優れるアクリルゴム |
JPWO2021246517A1 (ja) * | 2020-06-05 | 2021-12-09 | ||
JPWO2021261214A1 (ja) * | 2020-06-23 | 2021-12-30 | ||
KR20230027037A (ko) * | 2020-06-23 | 2023-02-27 | 니폰 제온 가부시키가이샤 | 사출 성형성과 밴버리 가공성이 우수한 아크릴 고무 |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3023973B2 (ja) * | 1990-08-27 | 2000-03-21 | 日本ゼオン株式会社 | 重合体水性分散液の凝固方法及び装置 |
JP3603350B2 (ja) * | 1994-09-30 | 2004-12-22 | 日本ゼオン株式会社 | 不飽和ニトリル−共役ジエン共重合体、その製造方法および加硫性ゴム組成物 |
US5708132A (en) * | 1996-08-01 | 1998-01-13 | The Goodyear Tire & Rubber Company | Method for the production of nitrile rubber |
JP2001081143A (ja) * | 1999-09-17 | 2001-03-27 | Nippon Zeon Co Ltd | 共役ジエン単量体と極性ビニル単量体との交互共重合体および交互共重合体の製造方法 |
DE10224886A1 (de) * | 2002-06-05 | 2003-12-18 | Bayer Ag | Verfahren zur Herstellung von Emulsionspolymeren mit hoher Reinheit |
-
2002
- 2002-10-25 JP JP2002311095A patent/JP4782355B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004143323A (ja) | 2004-05-20 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5165885B2 (ja) | 水素化ニトリルゴムに基づく加硫可能なミクロゲル含有組成物 | |
US9388302B2 (en) | Latex for dip molding, composition for dip molding, preparation method of dip molded product, and dip molded product prepared thereby | |
CA2685279C (en) | Nitrile rubbers with a calcium and chloride content | |
KR101233846B1 (ko) | 알킬티오 말단기를 임의로 함유하고 임의로 수소화된 니트릴 고무 | |
TW201833145A (zh) | 丙烯酸橡膠之製造方法、丙烯酸橡膠組成物之製造方法及橡膠交聯物之製造方法 | |
JP4782355B2 (ja) | ニトリル基含有共役ジエンゴム及びその製造方法 | |
JP7025548B2 (ja) | カルボン酸変性ニトリル系共重合体ラテックス組成物、その製造方法、これを含むディップ成形用のラテックス組成物およびこれから成形された成形品 | |
JPS6033135B2 (ja) | 耐油性ゴム組成物 | |
CA2687487A1 (en) | Nitrile rubbers | |
JP6833675B2 (ja) | ゴム用組成物及びその用途 | |
CA2687565A1 (en) | Nitrile rubbers | |
JP2004521154A (ja) | 新規硬化系を有するポリマー | |
JP2014074112A (ja) | 酸化亜鉛を含まない又は酸化亜鉛含有量を低減したエラストマー成形物及びエラストマー製品 | |
JP4221877B2 (ja) | ニトリル系ゴム組成物、架橋性ニトリル系ゴム組成物および架橋物 | |
JP3391116B2 (ja) | ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム、その製造方法および加硫性ゴム組成物 | |
JP4124002B2 (ja) | 架橋性ニトリル共重合ゴム組成物及び架橋成形体 | |
KR101265401B1 (ko) | 알킬티오 말단기를 임의로 함유하고 임의로 수소화된 니트릴 고무 | |
JP4390384B2 (ja) | カルボキシル基含有ゴムの製造方法 | |
JP7057921B2 (ja) | 触媒成分の分離方法 | |
JP4132498B2 (ja) | アクリル系ゴムの製造方法 | |
JPH04161441A (ja) | ゴム組成物 | |
JP2024042443A (ja) | (メタ)アクリル系重合体、(メタ)アクリル系重合体含有組成物及び(メタ)アクリル系重合体架橋物 | |
CA1061048A (en) | High green strength synthetic rubbers containing halo-acetyl compounds | |
KR20210110581A (ko) | 카르복실기 함유 니트릴 고무 | |
JP2004149616A (ja) | ポリマーアロイ及びその成形物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050818 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20070720 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20070720 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20071003 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20071211 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20080204 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080204 |
|
RD03 | Notification of appointment of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423 Effective date: 20080204 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20080624 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080821 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20080905 |
|
A912 | Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912 Effective date: 20081003 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110707 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140715 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 4782355 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D04 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |