JP2004149616A - ポリマーアロイ及びその成形物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ニトリル基含有共重合ゴム(A)40〜90重量部、及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を50重量%以上含有するアクリル樹脂(B)10〜60重量部から成り、前記(A)と(B)との合計が100重量部であるポリマーアロイであって、(A)及び(B)の少なくとも一方が、アルキル硫酸エステル塩又はアルキルベンゼンスルホン酸塩を含むエマルションを凝固して得られるものであるポリマーアロイ。該ポリマーアロイを架橋成形して成る成形物。該ポリマーアロイの架橋物は、耐油性及び耐オゾン性に優れ、かつガソリンと長期に接触させたときにもガソリン中の沈殿物生成量が少なく、燃料ホース用材料として使用するのに好適である。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐油性及び耐オゾン性に優れ、燃料ホース用材料として好適なポリマーアロイ及びその成形物に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクリロニトリル−ブタジエンゴム等のニトリル基含有共重合ゴムは、耐油性、耐溶剤性に優れているので、これらの特徴を生かして非常に広範囲に使用されている。ニトリル基含有共重合ゴムは、例えば過酷な環境に曝露される自動車の燃料ホース用等に多く利用されている。
【0003】
自動車の燃料ホースが置かれる過酷な環境下では、オゾン量が通常の大気中のオゾン量に比べて非常に高い。よって、ニトリル基含有共重合ゴムの耐オゾン性を向上させるために、従来はニトリル基含有共重合ゴムにオゾン劣化防止剤が添加されてきた。しかし、オゾン劣化防止剤の作用機構は、それ自体がオゾンラジカルを捕捉して該ラジカルがゴムを劣化させるのを防止するというものであるため、ニトリル基含有共重合ゴムが長期間オゾンと接触するうちに消費される。そのため、ニトリル基含有共重合ゴムを用いたゴム部品の耐オゾン性を長期間維持させるのは困難であった。
【0004】
そこで、ニトリル基含有共重合ゴムを用いたゴム部品の耐オゾン性を長期間維持させるために、ニトリル基含有共重合ゴムに塩化ビニル樹脂をブレンドさせたポリマーアロイが提案されている(特許文献1参照)。このポリマーアロイは、耐オゾン性に優れ、耐燃料油性も併せ持つことから、燃料ホースを中心に自動車部品として広く使用されている。
【0005】
【特許文献1】
米国特許第2,330,353号明細書
【0006】
さらに、近年、耐油性に優れたゴムと、耐オゾン性に優れた樹脂とを組み合わせて使用することによって、耐油性及び耐オゾン性に優れたゴム組成物を提供することが提案されており、例えば、α,β―不飽和ニトリル・共役ジエンゴムなどのニトリル基含有共重合ゴムと、(メタ)アクリル酸メチルを構成成分とするビニル樹脂とをブレンドして耐油性及び耐オゾン性に優れたゴム組成物が得られることが記載されている(特許文献2)。
しかしながら、ここで具体的に用いられているゴム組成物は、脂肪酸塩などの一般的な乳化剤を用いた乳化重合で得られたニトリルゴムと、アクリル酸メチルにアクリル酸などの架橋性モノマーを共重合させた架橋性ビニル樹脂とをブレンドしたものであり、混練時のスコーチの影響で両者が十分混ざり合わずに耐オゾン性が低下したり、これを架橋成形して燃料ホースとして使用すると、燃料ガソリン中に抽出された成分が該ガソリン中で析出沈殿したりするという問題があった。
【0007】
【特許文献2】
特開2001−226527号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記事情に鑑み、耐油性及び耐オゾン性に優れ、且つ、燃料ガソリンと長期に接触させてもガソリン中に沈殿物を生成させない、燃料ホース用材料として好適なポリマーアロイ及びその成形物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上述した課題を解決すべく鋭意検討したところ、ニトリル基含有共重合ゴムと、アクリル酸エステル単量体単位を特定量以上含有するアクリル樹脂とから成るポリマーアロイであって、前記2成分の少なくとも一方に、特定の化合物を含んだエマルションを凝固して得られるものを用いることによって、本発明の目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
かくして本発明によれば、以下の1〜5の発明が提供される。
1. ニトリル基含有共重合ゴム(A)40〜90重量部、及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を50重量%以上含有するアクリル樹脂(B)10〜60重量部から成り、前記(A)と(B)との合計が100重量部であるポリマーアロイであって、(A)及び(B)の少なくとも一方が、アルキル硫酸エステル塩又はアルキルベンゼンスルホン酸塩を含むエマルションを凝固して得られるものであるポリマーアロイ。
2. ニトリル基含有共重合ゴム(A)が、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位30〜80重量%及び共役ジエン単量体単位70〜20重量%を含有して成り、その重量平均分子量が50,000〜3,000,000である上記1に記載のポリマーアロイ。
3. アクリル樹脂(B)が、メタクリル酸メチル単量体単位を73重量%以上含有し、その重量平均分子量が50,000〜4,000,000である上記1又は2記載のポリマーアロイ。
4. アクリル樹脂(B)が、架橋性官能基を有しないものである上記1〜3いずれかに記載のポリマーアロイ。
5. 上記1〜4いずれかに記載のポリマーアロイに、さらに架橋剤を含有してなる架橋性ポリマーアロイ。
6. 上記5記載の架橋性ポリマーアロイを架橋成形して成る成形物。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明のポリマーアロイは、ニトリル基含有共重合ゴム(A)40〜90重量部、及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を50重量%以上含有するアクリル樹脂(B)10〜60重量部から成り、前記(A)と(B)との合計が100重量部であり、(A)及び(B)の少なくとも一方が、アルキル硫酸エステル塩又はアルキルベンゼンスルホン酸塩を含むエマルションを凝固して得られるものであることを特徴とするものである。
【0012】
ニトリル基含有共重合ゴム(A)およびアクリル樹脂(B)の合計量100重量部に対するニトリル基含有共重合ゴム(A)の含有量は、40〜90重量部であり、60〜80重量部であるのが好ましい。また、ニトリル基含有共重合ゴム(A)及びアクリル樹脂(B)の総量に対するアクリル樹脂(B)の含有量は、10〜60重量部であり、20〜40重量部であるのが好ましい。
【0013】
本発明で使用するニトリル基含有共重合ゴム(A)は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位と、これと共重合可能な単量体単位とから成り、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を、好ましくは30〜80重量%、より好ましくは35〜60重量%含有する。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量が少なすぎると耐燃料油性に劣り、逆に多すぎると耐寒性に劣る傾向がある。
上記ニトリル基含有共重合ゴム(A)は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と、これと共重合可能な単量体とを共重合させ、必要に応じて主鎖の炭素−炭素不飽和結合を水素化して得ることができる。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等を挙げることができる。中でも、アクリロニトリルが好ましい。
【0014】
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体と共重合可能な単量体の例としては、共役ジエン単量体、非共役ジエン単量体、α−オレフィン、芳香族ビニル単量体、フッ素含有ビニル系単量体、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸又はその無水物、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体、共重合性の老化防止剤等を挙げることができる。これらの中でも、本発明に用いるニトリル基含有共重合ゴム(A)は、共役ジエン単量体を共重合成分として含有するのが好ましい。ニトリル基含有共重合ゴム(A)中のこれら単量体の含有量は、単量体単位量で、好ましくは70〜20重量%、より好ましくは40〜65重量%である。
共役ジエン単量体の例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等を挙げることができる。中でも、1,3−ブタジエンが好ましい。
非共役ジエン単量体は、炭素数が5〜12のものが好ましく、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン等を例示することができる。α−オレフィンの例としては、炭素数が2〜12のものが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等を挙げることができる。
芳香族ビニル単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジン等を挙げることができる。フッ素含有ビニル系単量体の例としては、フルオロエチルビニルエーテル、フルオロプロピルビニルエーテル、o−トリフルオロメチルスチレン、ペンタフルオロ安息香酸ビニル、ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン等を挙げることができる。
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸等を挙げることができる。α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸の例としては、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等を挙げることができる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸の無水物の例としては、無水イタコン酸、無水マレイン酸等を挙げることができる。
【0015】
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル単量体の例としては、下記を挙げることができる:メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ドデシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等の、炭素数1〜18のアルキル基を有する(メタ)アクリレート;メトキシメチルアクリレート、メトキシエチルメタクリレート等の、炭素数2〜12のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリレート;α−シアノエチルアクリレート、β−シアノエチルアクリレート、シアノブチルメタクリレート等の、炭素数2〜12のシアノアルキル基を有する(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の、炭素数1〜12のヒドロキシアルキル基を有する(メタ)アクリレート;マレイン酸モノエチル、イタコン酸モノn−ブチル等のα,β−エチレン性ジカルボン酸モノアルキルエステル;マレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル等のα,β−エチレン性ジカルボン酸ジアルキルエステル;ジメチルアミノメチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート等のアミノ基含有α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル;トリフルオロエチルアクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート等のフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレート;フルオロベンジルアクリレート、フルオロベンジルメタクリレート等のフッ素置換ベンジル(メタ)アクリレート。
【0016】
共重合性の老化防止剤の例としては、N−(4−アニリノフェニル)アクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)シンナムアミド、N−(4−アニリノフェニル)クロトンアミド、N−フェニル−4−(3−ビニルベンジルオキシ)アニリン、N−フェニル−4−(4−ビニルベンジルオキシ)アニリン等を挙げることができる。
【0017】
本発明で使用するニトリル基含有共重合ゴム(A)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)で測定した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が、好ましくは50,000〜3,000,000であり、より好ましくは70,000〜2,000,000であり、さらに好ましくは100,000〜1,500,000である。
【0018】
本発明で使用するニトリル基含有共重合ゴム(A)のムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、10〜300であるのが好ましく、20〜250であるのが一層好ましく、30〜200であるのが特に好ましい。ムーニー粘度が小さすぎると架橋物の機械的物性が劣る場合があり、逆に大きすぎると加工性に劣る場合がある。
【0019】
本発明で使用するアクリル樹脂(B)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を50重量%以上、好ましくは73重量%以上含有する樹脂である。
【0020】
上記アクリル樹脂(B)は、(メタ)アクリル酸エステル単量体を重合して、又は(メタ)アクリル酸エステル単量体とこれと共重合可能な単量体とを共重合して得られる。
(メタ)アクリル酸エステル単量体の例としては、(メタ)アクリル酸と、炭素数1〜12のアルコールとのエステルが挙げられ、具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル等を挙げることができる。
【0021】
(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な単量体は、特に限定されないが、重合後に炭素−炭素不飽和結合が残らない単量体が好ましく、また、架橋性官能基を有しない単量体が好ましい。このような単量体の例としては、芳香族ビニル単量体、ビニルエステル単量体、ビニルエーテル単量体等を挙げることができる。芳香族ビニル単量体の例としては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等を挙げることができる。ビニルエステル単量体の例としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等を挙げることができる。ビニルエーテル単量体としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等を挙げることができる。
【0022】
さらに、本発明に用いるアクリル樹脂(B)は、特にα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位量が35重量%を超えるニトリル基含有共重合ゴム(A)とブレンドする場合には、該アクリル樹脂(B)もα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を含有するのが好ましい。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体としては、上述したニトリル基含有共重合ゴム(A)における場合と同様のものが挙げられる。中でも、(メタ)アクリロニトリルが好ましい。
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量は、アクリル樹脂(B)の総量に対して、好ましくは1〜27重量%であり、より好ましくは1.5〜20重量%である。アクリル樹脂(B)がα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を含有することで、ニトリル基含有共重合ゴム(A)とアクリル樹脂(B)とが相互に十分に分散し、ポリマーアロイの耐オゾン性を向上させることができる。しかし、アクリル樹脂(B)中のα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体の含有量が、多すぎると逆にポリマーアロイの耐オゾン性が低下する傾向にある。
【0023】
本発明で使用するアクリル樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(GPC)におけるポリスチレン換算値で、好ましくは50,000〜4,000,000であり、より好ましくは100,000〜2,000,000であり、より好ましくは200,000〜1,000,000である。アクリル樹脂(B)の重量平均分子量が小さすぎると、耐オゾン性が低下する場合がある。また、重量平均分子量が高すぎると、成型加工性に劣る場合がある。
【0024】
本発明で使用するアクリル樹脂(B)は、そのガラス転移温度及び溶融温度のいずれもが250℃以下のものが好ましく、ガラス転移温度と溶融温度のいずれか温度が高い方が100〜230℃であるのが好ましい。アクリル樹脂によっては、ガラス転移温度はあるが、溶融温度がない場合があり、その場合はガラス転移温度が上記範囲にあることが好ましい。この温度が低すぎても高すぎても耐オゾン性に劣る場合がある。
【0025】
本発明においては、前述したニトリル基含有共重合ゴム(A)及びアクリル樹脂(B)の少なくとも一方が、好ましくは両方が、アルキル硫酸エステル塩又はアルキルベンゼンスルホン酸塩を含むエマルションを凝固して得られるものである。
前記エマルションは、前記ゴム(A)又は樹脂(B)を含み、且つ、アルキル硫酸エステル塩又はアルキルベンゼンスルホン酸塩を含んでいればよい。ゴム(A)及び樹脂(B)のエマルションは、乳化重合で得られたものであっても、溶液重合で得られた重合体を転相法によりエマルションにしたものであってもよく、アルキル硫酸エステル塩及びアルキルベンゼンスルホン酸塩は、ゴム(A)又は樹脂(B)のエマルションを調製してから添加してもよいが、本発明においては、乳化重合で得られたゴム(A)又は樹脂(B)のエマルションを用いるのが好ましく、アルキル硫酸エステル塩又はアルキルベンゼンスルホン酸塩を乳化重合時に乳化剤として使用したものがより好ましい。
【0026】
乳化重合は、公知の方法によればよく、まず、水性媒体(通常、水)に前述した単量体に、公知の重合開始剤、分子量調整剤等を加えて重合(共重合)させる。乳化重合後は、得られたエマルションと、凝固剤を含む水とを混合し、重合体をクラムとして凝固させるのが一般的である。
【0027】
本発明において使用するアルキル硫酸エステル塩は、一般式:(ROSO3)nM、で表されるものである。式中、nは1又は2、Rはアルキル基であり、Mはアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属、NH4又はアミンであり、アルカリ金属が好ましく、Li、K及びNaがより好ましい。アルキル基は、炭素数7〜11であるのが好ましく、炭素数10であるのが最も好ましい。
【0028】
本発明において使用するアルキル硫酸エステル塩の例として、ヘプチル硫酸エステルのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩及びアミン塩;オクチル硫酸エステルのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩及びアミン塩;デシル硫酸エステルのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩及びアミン塩;等を挙げることができる。本発明においては、オクチル硫酸エステルのナトリウム塩(オクチル硫酸ナトリウム)を使用するのが好ましい。
【0029】
本発明において使用するアルキルベンゼンスルホン酸塩は、下記一般式(1)で表されるものである。
【0030】
【化1】
【0031】
(式中、nは1又は2であり、Rはアルキル基であり、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、NH4又はアミンであり、アルカリ金属が好ましく、Li、K及びNaがより好ましい。アルキル基は、炭素数7〜14であるのが好ましく、炭素数12であるのが最も好ましい。)
【0032】
本発明において使用するアルキルベンゼンスルホン酸塩の例として、ヘプチルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩及びアミン塩;オクチルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩及びアミン塩;、デシルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩及びアミン塩;ドデシルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩及びアミン塩;デシルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩及びアミン塩;等を挙げることができる。本発明においては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを使用するのが好ましい。
【0033】
本発明において、アルキル硫酸エステル塩又はアルキルベンゼンスルホン酸塩は、ニトリル基含有共重合ゴム(A)又は/及びアクリル樹脂(B)のエマルション中に、ゴム又は樹脂100重量部に対して、通常0.1〜5重量部の範囲で使用し、0.5〜2重量部の範囲で含まれているのが好ましい。
【0034】
本発明において用いるアクリル樹脂(B)の平均粒径は、特に限定されないが、好ましくは10μm以下、より好ましくは2μm以下である。平均粒径が大きすぎると、架橋物の耐オゾン性が低下する傾向がある。アクリル樹脂(B)の平均粒径は、重合条件によって制御することが可能である。好ましくは乳化重合により上記粒径のアクリル樹脂(B)を得ることができる。
【0035】
本発明に係るポリマーアロイには、ニトリル基含有共重合ゴム(A)及びアクリル樹脂(B)以外に、本発明の効果、目的を阻害しない範囲で、その他のゴムや樹脂を含有させてもよい。これらのゴムあるいは樹脂の含有量は、通常、ニトリル基含有共重合ゴム(A)とアクリル樹脂(B)との合計量100重量部に対し、通常20重量部以下であり、15重量部以下であるのが好ましい。これらのゴム等の含有量が多すぎると、ポリマーアロイの耐油性及び耐オゾン性が低下し、ガソリンと長期接触させたときに沈殿物量が生成する場合がある。
【0036】
本発明に係るポリマーアロイには、一般的なゴムに使用される配合剤、例えば、カーボンブラック、シリカ等の補強剤;炭酸カルシウム、クレー、タルク、ケイ酸カルシウム等の充填剤;フタル酸ジオクチル、アジピン酸エステルなどの可塑剤;ステアリン酸などの加工助剤;老化防止剤等を含有させてもよい。
【0037】
本発明に係るポリマーアロイは、上記のニトリル基含有共重合ゴム(A)及びアクリル樹脂(B)と、上記の配合剤とをブレンドすることにより得ることができる。
上記各成分の配合方法としては、ニトリル基含有共重合ゴム(A)及びアクリル樹脂(B)をエマルションから回収して乾燥し、例えばロールやバンバリー等の混合機を用い、加熱下で混合するドライブレンド法;ニトリル基含有共重合ゴム(A)とアクリル樹脂(B)をエマルション同士で混合して凝固させるラテックス共沈法などの方法が挙げられる。ラテックス共沈法の場合には、混合凝固後に、ロールやバンバリー等の混合機でさらに混練を行ってもよい。本発明においては、ニトリル基含有共重合ゴム(A)中にアクリル樹脂(B)が細かく分散するほど耐オゾン性が向上するため、ロールやバンバリー等の混合機で混練するのが好ましい。
【0038】
本発明においては、上記ポリマーアロイにさらに架橋剤を配合して、架橋性のポリマーアロイとすることができる。架橋剤としては、硫黄系架橋剤、有機過酸化物、ポリアミン系架橋剤等を挙げることができる。
硫黄系架橋剤としては、粉末硫黄、沈降硫黄等の硫黄;4,4’−ジチオモルホリンやテトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、高分子多硫化物等の有機硫黄化合物;等を挙げることができる。
【0039】
有機過酸化物の例としては、ジアルキルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類等を挙げることができる。
【0040】
ポリアミン系架橋剤は、2つ以上のアミノ基を有する化合物であって、脂肪族炭化水素や芳香族炭化水素の複数の水素がアミノ基又はヒドラジド構造、すなわち−CONHNH2で表される構造に置換されたものである。ポリアミン系架橋剤としては、脂肪族多価アミン類、芳香族多価アミン類、ヒドラジド構造を2つ以上有する化合物等を挙げることができる。
【0041】
架橋剤の配合量は、架橋剤の種類により異なるが、ニトリル基含有共重合ゴム(A)100重量部に対して、0.1〜10重量部であり、0.3〜7重量部であるのが好ましく、0.5〜5重量部であるのが特に好ましい。架橋剤の使用量が少なすぎると圧縮永久歪みが大きくなり、多すぎると耐屈曲疲労性に劣る。
【0042】
硫黄系架橋剤を用いる場合は、通常、架橋促進剤を併用する。架橋促進剤としては、亜鉛華、スルフェンアミド系架橋促進剤、グアニジン系架橋促進剤、チアゾール系架橋促進剤、チウラム系架橋促進剤、ジチオ酸塩系架橋促進剤等を挙げることができる。架橋促進剤の使用量は特に限定されず、架橋物の用途、要求性能、硫黄架橋剤の種類、架橋促進剤の種類などに応じて決めればよい。
【0043】
有機過酸化物を用いる場合は、通常、架橋助剤を併用する。架橋助剤としては、トリアリルシアヌレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミドなどが挙げられる。これらは、クレー、炭酸カルシウム、シリカなどに分散させ、ポリマーアロイの加工性を改良したものを使用してもよい。架橋助剤の使用量は特に限定されず、架橋物の用途、要求性能、架橋剤の種類、架橋助剤の種類などに応じて決めればよい。
【0044】
架橋性ポリマーアロイの調製方法は、特に限定されず、架橋剤をゴムに配合する場合と同様な公知の方法で行えばよい。但し、架橋剤の配合は、混合時に架橋が進行しないように、剪断発熱の起き難い方法で行うのが好ましい。例えば、架橋剤を配合しないでバンバリー混合した後、架橋剤を配合してロールで最終混合するのが好ましい。
【0045】
本発明においては、上記架橋性のポリマーアロイを、該ポリマーアロイに含まれる架橋剤の架橋開始温度以上に加熱することにより架橋物とすることができる。架橋温度は、アクリル樹脂(B)の特性に応じて架橋温度を決めればよいが、一般の架橋剤においては、100〜200℃であるのが好ましく、130〜190℃であるのが一層好ましく、140〜180℃であるのが特に好ましい。温度が低すぎると架橋時間が長くなりすぎたり、架橋密度が低くなるおそれがある。温度が高すぎると成形不良を生じるおそれがある。
また、架橋時間は、架橋方法、架橋温度、形状等により異なるが、1分以上、5時間以下の範囲が架橋密度と生産効率の面から好ましい。また、成形物の形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても、内部まで十分に架橋していない場合があるので、二次架橋を行ってもよい。
架橋するための加熱方法としては、プレス加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる方法から適宜選択すればよい。
【0046】
本発明のポリマーアロイは、ガソリン透過量が小さく、脆化温度が低く、耐油性及び耐オゾン性に優れ、しかもガソリンと接触させたときの該ガソリン中の沈殿物生成量が少ない。そのため、上記方法により架橋して成形した架橋成形物を、ホース、ベルト、シール及びロールなどの工業部品の材料として好適に用いられる。具体的には、燃料ホース、エアインテークホース、エアダクトホース、タイミングベルト、パッキン、オイルシール、OAロール、自動車内装部材等の材料として好適である。中でも、ガソリンに接するシール、パッキン類、単層又は複層のホース等の材料として特に好適である。
【0047】
【実施例】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。以下において特に断らない限り、部及び%は重量基準である。
【0048】
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で標準ポリスチレン換算値として測定する。
アクリル樹脂の粒子径は、光散乱法粒度分析計(モデルN4、コールター社製)を用いて測定する。
ガラス移転温度(Tg)は、示差走査熱量法(DSC法)により測定する。
【0049】
実施例1
ニトリル基含有共重合ゴム(a1)の調製
下記の重合処方により、耐圧容器中、5℃で重合転化率84%まで反応を行い、アクリロニトリルーブタジエンゴム(NBR)のエマルションを得た。系のpHは重合前にあらかじめ10.5に調整した。
【0050】
生成したエマルションを、塩化カルシウム(凝固剤)の水溶液に注いで重合体クラムの水分散液を得た。前記重合体クラムの水分散液を金網でろ過して凝固剤を含む水(セラム水)を除いて重合体クラムを回収した。回収された重合体クラムに水を加えて十分撹拌して水洗した後、重合体クラムの水分散液を金網でろ過してセラム水を除いて重合体クラムを回収した。回収された重合体クラムを50℃で減圧乾燥してニトリル基含有共重合ゴム(a1)を得た。得られたニトリル基含有共重合ゴム(a1)、すなわちアクリロニトリル−ブタジエンゴムの重量平均分子量は400,000であった。
【0051】
アクリル樹脂(b1)の調製
反応容器に、イオン交換水150部、オクチル硫酸ナトリウム 2.0部、過硫酸アンモニウム(重合開始剤)0.3部、メタクリル酸メチル100部を入れ、攪拌しながら、温度80℃で12時間反応させて重合を停止した。得られた重合反応液(エマルション)の一部をサンプリングして、固形分量を測定した結果、重合転化率は98.3%であり、固形分濃度は約39%であった。このエマルションをメタノールと混合してアクリル樹脂(b1)の水分散液を得た。この水分散液を金網でろ過してアクリル樹脂b1の粒子を回収し、さらに水と混合し、次いでろ過して回収する洗浄を2回行って、乾燥し、アクリル樹脂(b1)の粒子を得た。
得られたアクリル樹脂(アクリル樹脂(b1))は、平均粒子径約0.2μmの粒子状であり、重量平均分子量が約1,250,000、Tgが105℃であった。
【0052】
ポリマーアロイ(c1)の調製
次に、このようして得られたニトリル基含有共重合ゴム(a1)70部と、アクリル樹脂(b1)の粒子30部とをB型バンバリー(キャビティ内温度50℃)に投入し、十分に混練してポリマーアロイ(c1)を作製した。
【0053】
得られたポリマーアロイに、カーボンブラック(充填剤:旭#50、旭カーボン社製)60部、フタル酸ジオクチル(可塑剤A)5部、アジピン酸エステル(可塑剤B:アデカサイザーRS−107、旭電化社製)15部、ステアリン酸(加工助剤)1部、酸化亜鉛(架橋助剤:亜鉛華#1)5部、硫黄(架橋剤:325メッシュ通過品)0.5部、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(架橋促進剤)1.5部及びテトラメチルチウラムジスルフィド(架橋促進剤)1.5部を添加し、十分に混練して架橋性のポリマーアロイを得た。この架橋性のポリマーアロイを、160℃、20分の条件でプレス架橋して、試験用の厚さ2mmの架橋シートを作製した。この架橋シートを用いて、以下の方法により、ガソリン沈殿量及び耐オゾン性を評価した。
【0054】
(ガソリン沈殿量)
燃料油C(イソオクタンとトルエンとを容積比1:1で混合したもの:Fuel−C)40ml、架橋シートを細断したもの20g及び亜鉛片を試験管に入れ、アルミ皿で蓋をした。この試験管を50℃の恒温槽に入れて120時間保持して浸漬した後に恒温槽より取り出し、Fuel−Cを100mlのビーカーに抜き出した。細断シートが残っている試験管は、40mlの新しいFuel−Cで洗い、この洗浄に用いたFuel−Cも前記の100mlビーカーに抜き出し、浸漬試験に用いたFuel−Cと混合した。次いで、風乾によりビーカー内のFuel−Cを濃縮した。架橋シートからの抽出分を含む濃縮液を、新しいFuel−C10mmlに再溶解し試験管に入れた。この試験管を−15℃の恒温槽に入れて4時間保持した後に恒温槽より取り出し、1500rpmで15分間遠心分離を行い、得られた沈殿物量を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0055】
(耐オゾン性)
JIS−K6259に規定する方法により、40℃、オゾン濃度50pphm、50%伸長で、24時間、48時間、72時間、144時間後の状態を評価した。後述するクラックの発生が少ないほど、耐オゾン性に優れる。評価結果は次の略号で表1に示す。NC:クラックの発生が認められない。A2,B2:アルファベットはクラック数を表し、Aに比べてBが大きく、Bに比べてCが大きい。数字が大きいほどクラックの大きさが大きい。Cut:クラックが大きくなり、試験用架橋シートが切断された。
【0056】
実施例2
ニトリル基含有共重合ゴム(a2)の調製
実施例1において、ニトリル基含有共重合ゴム(a1)を調製する際に、乳化剤としてオクチル硫酸ナトリウム 2.0部に代えてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.5部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、ニトリル基含有共重合ゴム(a2)を調製した。得られたニトリル基含有共重合ゴム(a2)は、重量平均分子量が380,000であった。
【0057】
アクリル樹脂(b2)の調製
また、実施例1において、アクリル樹脂(b1)を調製する際に、乳化剤としてオクチル硫酸ナトリウム に代えてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、平均粒子径約0.12μm、重量平均分子量1,200,000、Tg105℃のアクリル樹脂(b2)を得た。
【0058】
ポリマーアロイ(c2)の調製
このようして得られた、ニトリル基含有共重合ゴム(a2)70部と、アクリル樹脂(b2)の粒子30部とを用い、実施例1と同様にして、ポリマーアロイ(c2)を製造し、さらに試験用の厚さ2mmの架橋シートを作製し、ガソリン沈殿量及び耐オゾン性を評価した。得られた結果を表1に示した。
【0059】
実施例3
ニトリル基含有共重合ゴム(a3)の調製
ニトリル基含有共重合ゴム(a1)を調製する際に、アクリロニトリルの使用量を33部から40部に変え、ブタジエンの使用量を67部から60部に変え、かつオクチル硫酸ナトリウム の使用量を2.0部から3.0部に代えた外は、実施例1と同様にして、ニトリル基含有共重合ゴム成分(a3)を調製した。得られたニトリル基含有共役ジエンゴム(a3)であるアクリロニトリル−ブタジエンゴムは、重量平均分子量が580,000であった。
【0060】
アクリル樹脂(b3)の調製
アクリル樹脂(b1)を調製する際に、メタクリル酸メチル100部に代えてメタクリル酸メチル90部及びアクリロニトリル10部を使用し、乳化剤としてオクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.0部に代えてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを1.5部使用した外は、実施例1と同様にして、アクリロニトリル単量体単位量が10%、平均粒子径約0.11μm、重量平均分子量1,320,000、Tg104℃のアクリル樹脂(b3)を得た。
【0061】
ポリマーアロイ(c3)の調製
このようして得られた、ニトリル基含有共重合ゴム(a3)70部と、アクリル樹脂(b2)の粒子30部とを用い、実施例1と同様にして、ポリマーアロイ(c3)を製造し、さらに試験用の厚さ2mmの架橋シートを作製し、ガソリン沈殿量及び耐オゾン性を評価した。得られた結果を表1に示した。
【0062】
比較例1
ニトリル基含有共重合ゴム(a4)の調製
乳化剤としてオクチル硫酸ナトリウム に代えてオレイン酸カリウムを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、ニトリル基含有共重合ゴム成分(a4)を調製した。得られたニトリル基含有共重合ゴム(a4)は、重量平均分子量が480,000であった。
【0063】
アクリル樹脂(b4)の調製
乳化剤としてオクチル硫酸ナトリウム に代えてロジン酸カリウムを使用したこと以外は、実施例1と同様にして、平均粒子径約0.25μm、重量平均分子量1,350,000、Tg104 ℃のアクリル樹脂(b4)を得た。
【0064】
ポリマーアロイ(c4)の調製
このようして得られた、ニトリル基含有共重合ゴム(a4)70部と、アクリル樹脂(b4)の粒子30部とを用い、実施例1と同様にして、ポリマーアロイ(c4)を製造し、さらに試験用の厚さ2mmの架橋シートを作製し、ガソリン沈殿量及び耐オゾン性を評価した。得られた結果を表1に示した。
【0065】
比較例2
実施例1と同様にして、ニトリル基含有共重合ゴム成分(a5)を調製した。得られたニトリル基含有共重合ゴム(a5)は、重量平均分子量が400,000であった。
このようして得られた、ニトリル基含有共重合ゴム(a5)100部のみを用い、試験用の厚さ2mmの架橋シートを作製し、ガソリン沈殿量及び耐オゾン性を評価した。得られた結果を表1に示した。
【0066】
【表1】
【0067】
以上、表1からわかる通り、オレイン酸カリウムを含むエマルションを凝固して得られるアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)と、ロジン酸カリウム含むエマルションを凝固して得られるアクリル樹脂とから成るポリマーアロイの架橋成形物は、耐オゾン性に優れているが、ガソリン沈殿量が多い(比較例1)。また、アクリル樹脂をブレンドしていないニトリル基含有共重合ゴムのみの架橋物は、耐オゾン性に劣る(比較例2)。
これに対し、アルキル硫酸エステル塩又はアルキルベンゼンスルホン酸を含むエマルションを凝固して得られる、(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を50重量%以上含有するアクリル樹脂及びNBRから成る本発明のポリマーアロイの架橋成形物は、ガソリン沈殿量が少なくかつ耐オゾン性にも優れている(実施例1〜3)。
【0068】
【発明の効果】
本発明のポリマーアロイの架橋物は、耐油性及び耐オゾン性に優れ、かつガソリンと長期に接触させたときにも該ガソリン中の沈殿物生成量が少なく、燃料ホース用材料として使用するのに好適である。
Claims (6)
- ニトリル基含有共重合ゴム(A)40〜90重量部、及び(メタ)アクリル酸エステル単量体単位を50重量%以上含有するアクリル樹脂(B)10〜60重量部から成り、前記(A)と(B)との合計が100重量部であるポリマーアロイであって、(A)及び(B)の少なくとも一方が、アルキル硫酸エステル塩又はアルキルベンゼンスルホン酸塩を含むエマルションを凝固して得られるものであるポリマーアロイ。
- ニトリル基含有共重合ゴム(A)が、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位30〜80重量%及び共役ジエン単量体単位70〜20重量%を含有して成り、その重量平均分子量が50,000〜3,000,000である請求項1に記載のポリマーアロイ。
- アクリル樹脂(B)が、メタクリル酸メチル単量体単位を73重量%以上含有し、その重量平均分子量が50,000〜4,000,000である請求項1又は2記載のポリマーアロイ。
- アクリル樹脂(B)が、架橋性官能基を有しないものである請求項1〜3いずれかに記載のポリマーアロイ。
- 請求項1〜4いずれかに記載のポリマーアロイに、さらに架橋剤を含有してなる架橋性ポリマーアロイ。
- 請求項5記載の架橋性ポリマーアロイを架橋成形して成る成形物。
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- 2002-10-29 JP JP2002314417A patent/JP2004149616A/ja active Pending
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