JP2021105128A - 耐熱性と耐水性と加工性に優れるアクリルゴム - Google Patents

耐熱性と耐水性と加工性に優れるアクリルゴム Download PDF

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Abstract

【課題】耐熱性と耐水性と加工性に優れるアクリルゴム及びその製造方法を提供する。【解決手段】アクリル酸エステル由来の結合単位、メタクリル酸エステル由来の結合単位及び/又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル由来の結合単位、反応性基含有単量体由来の結合単位、及び必要に応じてその他の単量体由来の結合単位からなり、灰分量が0.5重量%以下で且つゲル量が50重量%以下であるアクリルゴムは、耐熱性と耐水性と加工性に優れる。【選択図】なし

Description

本発明は、アクリルゴム及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、耐熱性と耐水性と加工性に優れるアクリルゴム、及びその製造方法に関する。
アクリルゴムは、アクリル酸エステルを主成分とする重合体であり、一般に耐熱性、耐油性及び耐オゾン性に優れたゴムとして知られ、自動車関連の分野などで広く用いられている。
かかるアクリルゴムとしては、例えば、特許文献1(特開2017−114958号公報)には、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数2〜3のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位10〜98.9重量%、炭素数4〜8のアルキル基又は炭素数4〜8のアルコキシアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位0〜88.9重量%、エチレン性不飽和ジカルボン酸から誘導される構成単位1〜30重量%を含有することを特徴とするロール加工性に優れるアクリルゴムが開示され、具体的には、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、イタコン酸ジn−ブチル10重量部、フマル酸モノエチルからなる単量体成分、水、乳化剤としてドデシル硫酸ナトリウムを仕込み、次いでナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートとクメンハイドロパーオキサイドを加えて常圧、常温下で乳化重合反応を開始させ、重合転化率が95%に達するまで乳化重合を継続し乳化重合液を得てから塩化カルシウム水溶液で凝固させ、水洗、乾燥してアクリルゴムを製造することが記載されている。しかしながら、本方法で得られるアクリルゴムの耐水性や加工性に劣る問題があった。
また、特許文献2(国際公開第2018/101146号パンフレット)には、炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸エステルに由来する構成単位及び/又は炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を有するアクリル酸エステルに由来する構成単位45〜89.5重量%、炭素数3〜16のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルに由来する構成単位10〜50重量%、カルボキシ機を有する架橋性モノマーに由来する構成単位0.5〜5重量%を含有する耐熱性に優れるアクリル共重合が開示され、具体的には、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、フマル酸モノエチルからなる単量体、水、乳化剤としてのポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルを仕込み、アスコルビン酸ナトリウムと過硫酸カリウムを加えて常圧、常温下で乳化重合反応を開始させ、重合転化率が95%に達するまで反応を継続し、ヒドロキノンを添加して重合を停止した乳化重合液を硫酸ナトリウム水溶液で凝固させ、水洗、乾燥してムーニー粘度38のアクリルゴムを製造することが記載されている。しかしながら、本方法で得られるアクリルゴムの耐水性や加工性に劣る問題があった。
特開2017−114958号公報 国際公開第2018/101146号パンフレット
本発明は、かかる従来技術の実状に鑑みてなされたものであり、耐熱性と耐水性と加工性に優れるアクリルゴム及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究した結果、特定組成の構造単位からなり、ゴムに含まれる灰分量が特定範囲内にありゲル量が特定のアクリルゴムは、耐熱性と耐水性と加工性が格段に優れることを見出した。
本発明者らは、また、特定の単量体成分を乳化重合後に特定接触方法で凝固して得られる含水クラムを洗浄後にスクリュー型押出機で脱水及び乾燥することで容易に耐熱性と耐水性と加工性に優れるアクリルゴムが得られることを見出した。
本発明者らは、これらの知見に基づき本発明を完成させるに至ったものである。
かくして、本発明によれば、アクリル酸エステル由来の結合単位(A)、メタクリル酸エステル由来の結合単位及び/又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル由来の結合単位(B)、反応性基含有単量体由来の結合単位(C)、及び必要に応じてその他の単量体由来の結合単位(D)からなり、灰分量が0.5重量%以下で且つゲル量が50重量%以下であるアクリルゴムが提供される。
本発明のアクリルゴムにおいては、アクリル酸エステル由来の結合単位(A)が50〜98.9重量%、メタクリル酸エステル由来の結合単位及び/又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル由来の結合単位(B)が1〜30重量%、反応性基含有単量体由来の結合単位(C)が0.1〜10重量%、及びその他の単量体由来の結合単位(D)が0〜20重量%の範囲であることが好ましい。
本発明のアクリルゴムにおいては、全灰分中のリン、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム及びイオウの合計量が全灰分量に対する割合で50重量%以上であることが好ましい。
本発明によれば、また、アクリル酸エステル(a)、メタクリル酸エステル及び/又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル(b)、反応性基含有単量体(c)、及び必要に応じて共重合可能なその他の単量体(d)とからなる単量体成分を水と乳化剤とでエマルジョン化した後に重合触媒存在下に乳化重合して乳化重合液を得る乳化重合工程と、得られた乳化重合液を撹拌されている凝固液に添加して含水クラムを生成させる凝固工程と、生成した含水クラムを洗浄する洗浄工程と、洗浄した含水クラムをスクリュー型押出機で脱水及び乾燥する脱水乾燥工程と、を含む上記アクリルゴムの製造方法が提供される。
本発明によれば、耐熱性と耐水性と加工性に優れるアクリルゴム及びその効率的な製造方法が提供される。
本発明のアクリルゴムは、上述の通り、アクリル酸エステル由来の結合単位(A)、メタクリル酸エステル由来の結合単位及び/又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル由来の結合単位(B)、反応性基含有単量体由来の結合単位(C)、及び必要に応じてその他の単量体由来の結合単位(D)からなり、灰分量が0.5重量%以下で且つゲル量が50重量%以下であることを特徴とする。
<単量体成分>
本発明のアクリルゴムを構成する結合単位(A)は、アクリル酸エステル(a)由来の結合単位であり、好適には、アクリル酸アルキルエステル及びアクリル酸アルコキシアルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種のアクリル酸エステル由来の結合単位である。
アクリル酸アルキルエステルとしては、格別な限定はないが、例えば炭素数が1〜12のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルが挙げられ、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル、より好ましくは炭素数2〜6のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルである。
アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシルなどが挙げられ、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチルが好ましく、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチルがより好ましい。
アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、格別な限定はないが、例えば炭素数が2〜12のアルコキシアルキル基を有するアクリル酸アルコキシアルキルエステルなどが挙げられ、好ましくは炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を有するアクリル酸アルコキシアルキルエステル、より好ましくは炭素数2〜6のアルコキシアルキル基を有するアクリル酸アルコキシエステルである。
アクリル酸アルコキシアルキルエステルの具体例としては、アクリル酸メトキシメチル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸メトキシプロピル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸エトキシメチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸プロポキシエチル、アクリル酸ブトキシエチルなどが挙げられる。これらの中でも、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチル、アクリル酸エトキシメチル、アクリル酸メトキシメチルなどが好ましく、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸エトキシエチルがより好ましい。
これらのアクリル酸エステル由来の結合単位(A)は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせることができ、アクリルゴム(重合体)中の結合量は、通常50〜98.9重量%、好ましくは60〜97.5重量%、より好ましくは72〜94重量%の範囲である。アクリルゴム中の結合単位(A)量が、過度に少ないと耐候性、耐熱性、及び耐油性が低下するおそれがあり、また過度に多いと強度特性や耐圧縮永久歪み特性が低下するおそれがあり好ましくない。
本発明のアクリルゴムを構成する結合単位(B)は、メタクリル酸エステル及び/又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル(b)由来の結合単位(すなわち、メタクリル酸エステル由来の結合単位及び/又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル由来の結合単位)からなり、好ましくはメタクリル酸エステル由来の結合単位である。
メタクリル酸エステルとしては、格別な限定はなく、例えば、メタクリル酸アルキルエステル及びメタクリル酸アルキルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種のメタクリル酸エステルが好適な例として挙げられ、特にメタクリル酸アルキルエステルが好ましい。
メタクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、炭素数が1〜14のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルなどが挙げられ、好ましくは炭素数2〜8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル、より好ましくは炭素数2〜6のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルである。
メタクリル酸アルキルエステルの具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸イソトリデシルなどが挙げられ、好ましくはメタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、より好ましくはメタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチルである。
メタクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えば、炭素数が2〜14のアルコキシアルキル基を有するメタクリル酸アルコキシアルキルエステルなどが挙げられ、好ましくは炭素数2〜8のアルコキシアルキル基を有するメタクリル酸アルコキシアルキルエステル、より好ましくは炭素数2〜6のアルコキシアルキル基を有するメタクリル酸アルコキシアルキルエステルである。
メタクリル酸アルコキシアルキルエステルの具体例としては、メタクリル酸メトキシメチル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸メトキシプロピル、メタクリル酸メトキシブチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸プロポキシエチル、メタクリル酸ブトキシエチルなどが挙げられる。これらの中でも、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸エトキシエチルなどが好ましく、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシエチルがより好ましい。
エチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステルとしては、例えば、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、2−ペンテン二酸などのジカルボン酸と炭素数1〜8のアルカノールとのジエステルなどが挙げられる。
エチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステルの具体例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸ジブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジブチル、シトラコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、シトラコン酸ジプロピル、シトラコン酸ジn−ブチル、メサコン酸ジメチル、メサコン酸ジエチル、メサコン酸ジプロピル、メサコン酸ジn−ブチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジn−ブチル、イタコン酸ジシクロヘキシル、2−ペンテン二酸ジメチルなどが挙げられる。これらの中でもフマル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸ジブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジブチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジn−ブチルなどが好ましく、フマル酸ジエチル、フマル酸ジプロピル、フマル酸ジブチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジn−ブチルなどが好ましい。
これらのメタクリル酸エステル由来の結合単位及び/又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル由来の結合単位(B)は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせることができ、アクリルゴム中の結合量は、通常1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%の範囲である。
本発明のアクリルゴムを構成する結合単位(C)は、反応性基含有単量体(c)由来の結合単位からなる。
反応性基含有単量体(c)としては、格別な限定はないが、例えば、カルボキシル基、エポキシ基及びハロゲン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する単量体などが挙げられ、好ましくはカルボキシル基を有する単量体、エポキシ基を有する単量体であり、特に好ましくはカルボキシル基を有する単量体である。
カルボキシル基を有する単量体としては、格別な限定はないが、エチレン性不飽和カルボン酸を好適に用いることができる。エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、エチレン性不飽和モノカルボン酸、エチレン性不飽和ジカルボン酸、エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステルなどが挙げられ、これらの中でもエチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステルが、得られるアクリルゴムの耐圧縮永久歪み特性をより高めることができ好ましい。
エチレン性不飽和モノカルボン酸としては、格別な限定はないが、炭素数3〜12のエチレン性不飽和モノカルボン酸が好ましく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸などを挙げることができる。
エチレン性不飽和ジカルボン酸としては、格別な限定はないが、炭素数4〜12のエチレン性不飽和ジカルボン酸が好ましく、例えば、フマル酸、マレイン酸などのブテンジオン酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸などを挙げることができる。なお、エチレン性不飽和ジカルボン酸には、無水物として存在しているものも含まれる。
エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステルとしては、格別な限定はないが、通常、炭素数4〜12のエチレン性不飽和ジカルボン酸と炭素数1〜12のアルキルモノエステル、好ましくは炭素数4〜6のエチレン性不飽和ジカルボン酸と炭素数2〜8のアルキルモノエステル、より好ましくは炭素数4のブテンジオン酸の炭素数2〜6のアルキルモノエステルである。
エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステルの具体例としては、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノn−ブチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノn−ブチル、フマル酸モノシクロペンチル、フマル酸モノシクロヘキシル、フマル酸モノシクロヘキセニル、マレイン酸モノシクロペンチル、マレイン酸モノシクロヘキシルなどのブテンジオン酸モノアルキルエステル;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノn−ブチル、イタコン酸モノシクロヘキシルなどのイタコン酸モノアルキルエステル;などが挙げられ、好ましくはフマル酸モノn−ブチル、マレイン酸モノn−ブチルで、特に好ましくはフマル酸モノn−ブチルである。
エポキシ基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル;アリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有ビニルエーテル;などが挙げられる。なお、ここでいう「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を総称する語として用いられ、以下においても同様である。
ハロゲン基を有する単量体としては、例えば、ハロゲン含有飽和カルボン酸の不飽和アルコールエステル、(メタ)アクリル酸ハロアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ハロアシロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸(ハロアセチルカルバモイルオキシ)アルキルエステル、ハロゲン含有不飽和エーテル、ハロゲン含有不飽和ケトン、ハロメチル基含有芳香族ビニル化合物、ハロゲン含有不飽和アミド、ハロアセチル基含有不飽和単量体などが挙げられる。
ハロゲン含有飽和カルボン酸の不飽和アルコールエステルとしては、例えば、クロロ酢酸ビニル、2−クロロプロピオン酸ビニル、クロロ酢酸アリルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸ハロアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸1−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸1,2−ジクロロエチル、(メタ)アクリル酸2−クロロプロピル、(メタ)アクリル酸3−クロロプロピル、(メタ)アクリル酸2,3−ジクロロプロピルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸ハロアシロキシアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−(クロロアセトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(クロロアセトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸3−(クロロアセトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸3−(ヒドロキシクロロアセトキシ)プロピルなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸(ハロアセチルカルバモイルオキシ)アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−(クロロアセチルカルバモイルオキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−(クロロアセチルカルバモイルオキシ)プロピルなどが挙げられる。ハロゲン含有不飽和エーテルとしては、例えば、クロロメチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、3−クロロプロピルビニルエーテル、2−クロロエチルアリルエーテル、3−クロロプロピルアリルエーテルなどが挙げられる。ハロゲン含有不飽和ケトンとしては、例えば、2−クロロエチルビニルケトン、3−クロロプロピルビニルケトン、2−クロロエチルアリルケトンなどが挙げられる。ハロメチル基含有芳香族ビニル化合物としては、例えば、p−クロロメチルスチレン、m−クロロメチルスチレン、o−クロロメチルスチレン、p−クロロメチル−α−メチルスチレンなどが挙げられる。ハロゲン含有不飽和アミドとしては、例えば、N−クロロメチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。ハロアセチル基含有不飽和単量体としては、例えば、3−(ヒドロキシクロロアセトキシ)プロピルアリルエーテル、p−ビニルベンジルクロロ酢酸エステルなどが挙げられる。
これらの反応性基含有単量体から形成される反応性基含有単量体由来の結合単位(C)は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせることができ、アクリルゴム中の結合量は、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%、より好ましくは1〜3重量%の範囲である。
本発明のアクリルゴムを構成する結合単位(D)は、必要に応じて共重合されるその他の単量体(d)由来の結合単位である。
その他の単量体(d)としては、上記単量体(a)(b)(c)以外であって且つこれらと共重合可能であれば格別な限定はなく、例えば、芳香族ビニル、エチレン性不飽和ニトリル、アクリルアミド系単量体、その他のオレフィン系単量体などが挙げられる。芳香族ビニルとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられる。エチレン性不飽和ニトリルとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。アクリルアミド系単量体としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミドなどが挙げられる。その他のオレフィン系単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテルなどが挙げられる。
これらのその他の単量体から形成されるその他の単量体由来の結合単位(D)は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせることができ、アクリルゴム中の結合量は、通常0〜20重量%、好ましくは0〜15重量%、より好ましくは0〜10重量%の範囲である。したがって、本発明のアクリルゴムは、その他の単量体由来の結合単位(D)を含まないものや上記範囲内で含むものがあり、前者の場合は、上記のようなその他の単量体(d)は使用されない。
<アクリルゴム>
本発明のアクリルゴムは、上記アクリル酸エステル由来の結合単位(A)、メタクリル酸エステル由来の結合単位及び/又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル由来の結合単位(B)、反応性基含有単量体由来の結合単位(C)、及び必要に応じてその他の単量体由来の結合単位(D)からなり、それぞれの割合は、結合単位(A)が、通常50〜98.9重量%、好ましくは60〜97.5重量%、より好ましくは72〜94重量%の範囲であり、結合単位(B)が、通常1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%であり、結合単位(C)が、通常0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%、より好ましくは1〜3重量%の範囲であり、結合単位(D)が、通常0〜20重量%、好ましくは0〜15重量%、より好ましくは0〜10重量%の範囲である。すなわち、本発明のアクリルゴムは上記各結合単位を上述した特定の重量割合で含み、且つ各結合単位の合計が100重量%になるように含む共重合体であり、アクリルゴム中のそれぞれの単量体結合単位がこの範囲にあるときにアクリルゴムの架橋物としたとき、耐熱性、耐水性、加工性及び耐圧縮永久歪み特性を高度にバランスさせることができ好適である。
本発明のアクリルゴムの反応性基含有量は、格別な限定はなく上記反応性基含有単量体由来の結合単位(C)の割合の中で適宜選択されればよく、反応性基自体の重量割合で、通常0.001〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%、より好ましくは0.05〜1重量%、特に好ましくは0.1〜0.5重量%の範囲にあるときに加工性、強度特性、耐圧縮永久歪み特性、耐油性、耐寒性、及び耐水性などの特性が高度にバランスされるので好適である。
本発明のアクリルゴムの全灰分量は、0.5重量%以下、好ましくは0.4重量%以下、より好ましくは0.3重量%以下、特に好ましくは0.2重量%以下、最も好ましくは0.15重量%以下であり、全灰分量がこの範囲にあるときアクリルゴムとしての耐水性に優れ好適である。
本発明のアクリルゴムの灰分量の下限値は、格別限定されるものではないが、通常0.0001重量%以上、好ましくは0.0005重量%以上、より好ましくは0.001重量%以上、特に好ましくは0.005重量%以上、最も好ましくは0.01重量%以上であるときに、ゴムの金属付着性が低減され作業性に優れるようになり好適である。
したがって、本発明のアクリルゴムの耐水性と金属付着耐性とが高度にバランスされる全灰分量としては、通常0.0001〜0.5重量%、好ましくは、0.0005〜0.4重量%、より好ましくは0.001〜0.3重量%、特に好ましくは0.005〜0.2重量%、最も好ましくは0.01〜0.15重量%の範囲である。
本発明のアクリルゴムにおける灰分中のリン、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム及びイオウの合計量は、格別な限定はないが、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上であるときにアクリルゴムの耐水性が高度に優れるので好適である。
本発明のアクリルゴムにおける灰分中のマグネシウムとリンの合計量は、全灰分中の50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上であるときにアクリルゴムの耐水性が高度に優れるので好適である。アクリルゴムの灰分中のマグネシウムとリンとの比([Mg]/[P])は、格別な限定はないが、重量比で通常0.4〜2.5、好ましくは0.45〜1.2、より好ましくは0.5〜0.7の範囲であるときに、アクリルゴムの耐水性が高度に優れたものとなり好適である。
本発明のアクリルゴムのゲル量は、メチルエチルケトンの不溶解分で、50重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、特に好ましくは10重量%以下、最も好ましくは5重量%以下であるときに、加工性が高度に改善され好適である。
本発明のアクリルゴムの重量平均分子量(Mw)は、格別な限定はないが、GPC−MALSで測定される絶対分子量で、通常100,000〜5,000,000、好ましくは500,000〜4,000,000、より好ましくは700,000〜3,000,000、最も好ましくは1,000,000〜2,500,000の範囲であるときにアクリルゴムの混合時の加工性、強度特性、及び耐圧縮永久歪み特性が高度にバランスされるので好適である。
本発明のアクリルゴムのガラス転移温度(Tg)は、格別な限定は無く、通常20℃以下、好ましくは10℃以下、より好ましくは0℃である。
本発明のアクリルゴムの含水量は、通常1重量%未満、好ましくは0.8重量%以下、より好ましくは0.6重量%以下であるときにスコーチ特性を最適にでき好適である。
本発明のアクリルゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、通常10〜150、好ましくは20〜100、より好ましくは25〜80の範囲である。
<アクリルゴムの製造方法>
上記アクリルゴムの製造方法は、格別限定されるものではないが、例えば、アクリル酸エステル(a)、メタクリル酸エステル及び/又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル(b)、反応性基含有単量体(c)、及び必要に応じて共重合可能なその他の単量体(d)とからなる単量体成分を水と乳化剤とでエマルジョン化した後に重合触媒存在下に乳化重合して乳化重合液を得る乳化重合工程と、
得られた乳化重合液を撹拌されている凝固液に添加して含水クラムを生成させる凝固工程と、
生成した含水クラムを洗浄する洗浄工程と、
洗浄した含水クラムをスクリュー型押出機で脱水及び乾燥する脱水乾燥工程と、
を含む製造方法で容易に製造できる。
以下、上記各工程の実施形態について説明する。
(乳化重合工程)
本発明のアクリルゴムの製造方法における乳化重合工程は、アクリル酸エステル(a)、メタクリル酸エステル及び/又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル(b)、反応性基含有単量体(c)、及び必要に応じて共重合可能なその他の単量体(d)とからなる単量体成分を水と乳化剤とでエマルジョン化した後に重合触媒存在下に乳化重合して乳化重合液を得ることを特徴とする。
アクリルゴムの乳化重合工程で使用される単量体成分は、既に述べた単量体成分の例示及び好ましい範囲と同じである。単量体成分の使用量についても、既に述べたとおりであり、乳化重合工程では、各単量体を本発明のアクリルゴムの上記組成になるように適宜選択すればよい。
乳化重合工程で乳化剤として使用される乳化剤としては、乳化重合反応において通常使われるものであれば格別な限定がなく使用することができるが、リン酸エステル塩を用いた時に製造されるアクリルゴムの耐水性が格段に改善できるので好適である。リン酸エステル塩としては、格別な限定はないが、2価リン酸エステル金属塩が好適であり、特に2価リン酸エステルナトリウム塩が好ましい。
好適な2価リン酸エステル塩の具体的としては、アルキルオキシポリオキシアルキレンリン酸エステル塩、アルキルフェニルオキシポリオキシアルキレンリン酸エステル塩などが挙げられ、これらの中でもこれらの金属塩が好ましく、これらのアルカリ金属塩がより好ましく、これらのナトリウム塩が最も好ましい。
上記アルキルオキシポリオキシアルキレンリン酸エステル塩としては、例えば、アルキルオキシポリオキシエチレンリン酸エステル塩、アルキルオキシポリオキシプロピレンリン酸エステル塩などが挙げられ、これらの中でも、アルキルオキシポリオキシエチレンリン酸エステル塩が好ましい。
アルキルオキシポリオキシエチレンリン酸エステル塩の具体例としては、オクチルオキシジオキシエチレンリン酸エステル、オクチルオキシトリオキシエチレンリン酸エステル、オクチルオキシテトラオキシエチレンリン酸エステル、デシルオキシテトラオキシエチレンリン酸エステル、ドデシルオキシテトラオキシエチレンリン酸エステル、トリデシルオキシテトラオキシエチレンリン酸エステル、テトラデシルオキシテトラオキシエチレンリン酸エステル、ヘキサデシルオキシテトラオキシエチレンリン酸エステル、オクタデシルオキシテトラオキシエチレンリン酸エステル、オクチルオキシペンタオキシエチレンリン酸エステル、デシルオキシペンタオキシエチレンリン酸エステル、ドデシルオキシペンタオキシエチレンリン酸エステル、トリデシルオキシペンタオキシエチレンリン酸エステル、テトラデシルオキシペンタオキシエチレンリン酸エステル、ヘキサデシルオキシペンタオキシエチレンリン酸エステル、オクタデシルオキシペンタオキシエチレンリン酸エステル、オクチルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステル、デシルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステル、ドデシルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステル、トリデシルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステル、テトラデシルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステル、ヘキサデシルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステル、オクタデシルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステル、オクチルオキシオクタオキシエチレンリン酸エステル、デシルオキシオクタオキシエチレンリン酸エステル、ドデシルオキシオクタオキシエチレンリン酸エステル、トリデシルオキシオクタオキシエチレンリン酸エステル、テトラデシルオキシオクタオキシエチレンリン酸エステル、ヘキサデシルオキシオクタオキシエチレンリン酸エステル、オクタデシルオキシオクタオキシエチレンリン酸エステルなどの金属塩が挙げられ、これらの中でも、それらのアルカリ金属塩、とりわけナトリウム塩が好適である。
アルキルオキシポリオキシプロピレンリン酸エステル塩の具体例としては、オクチルオキシジオキシプロピレンリン酸エステル、オクチルオキシトリオキシプロピレンリン酸エステル、オクチルオキシテトラオキシプロピレンリン酸エステル、デシルオキシテトラオキシプロピレンリン酸エステル、ドデシルオキシテトラオキシプロピレンリン酸エステル、トリデシルオキシテトラオキシプロピレンリン酸エステル、テトラデシルオキシテトラオキシプロピレンリン酸エステル、ヘキサデシルオキシテトラオキシプロピレンリン酸エステル、オクタデシルオキシテトラオキシプロピレンリン酸エステル、オクチルオキシペンタオキシプロピレンリン酸エステル、デシルオキシペンタオキシプロピレンリン酸エステル、ドデシルオキシペンタオキシプロピレンリン酸エステル、トリデシルオキシペンタオキシプロピレンリン酸エステル、テトラデシルオキシペンタオキシプロピレンリン酸エステル、ヘキサデシルオキシペンタオキシプロピレンリン酸エステル、オクタデシルオキシペンタオキシプロピレンリン酸エステル、オクチルオキシヘキサオキシプロピレンリン酸エステル、デシルオキシヘキサオキシプロピレンリン酸エステル、ドデシルオキシヘキサオキシプロピレンリン酸エステル、トリデシルオキシヘキサオキシプロピレンリン酸エステル、テトラデシルオキシヘキサオキシプロピレンリン酸エステル、ヘキサデシルオキシヘキサオキシプロピレンリン酸エステル、オクタデシルオキシヘキサオキシプロピレンリン酸エステル、オクチルオキシオクタオキシプロピレンリン酸エステル、デシルオキシオクタオキシプロピレンリン酸エステル、ドデシルオキシオクタオキシプロピレンリン酸エステル、トリデシルオキシオクタオキシエチレンリン酸エステル、テトラデシルオキシオクタオキシプロピレンリン酸エステル、ヘキサデシルオキシオクタオキシプロピレンリン酸エステル、オクタデシルオキシオクタオキシプロピレンリン酸エステル及びそれらの金属塩などが挙げられ、これらの中でも、それらのアルカリ金属塩、特にナトリウム塩が好適である。
アルキルフェニルオキシポリオキシアルキレンリン酸エステル塩の具体例としては、アルキルフェニルオキシポリオキシエチレンリン酸エステル塩、アルキルフェニルオキシポリオキシプロピレンリン酸エステル塩などが挙げられ、これらの中でも、アルキルフェニルオキシポリオキシエチレンリン酸エステル塩が好ましい。
アルキルフェニルオキシポリオキシエチレンリン酸エステル塩の具体例としては、メチルオキシオキシテトラオキシエチレンリン酸エステル、エチルフェニルオキシテトラオキシエチレンリン酸エステル、ブチルフェニルオキシテトラオキシエチレンリン酸エステル、ヘキシルフェニルオキシテトラオキシエチレンリン酸エステル、ノニルフェニルオキシテトラオキシエチレンリン酸エステル、ドデシルフェニルオキシテトラオキシエチレンリン酸エステル、オクタデシルオキシテトラオキシエチレンリン酸エステル、メチルフェニルオキシペンタオキシエチレンリン酸エステル、エチルフェニルオキシペンタオキシエチレンリン酸エステル、ブチルフェニルオキシペンタオキシエチレンリン酸エステル、ヘキシルフェニルオキシペンタオキシエチレンリン酸エステル、ノニルフェニルオキシペンタオキシエチレンリン酸エステル、ドデシルフェニルオキシペンタオキシエチレンリン酸エステル、メチルフェニルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステル、エチルフェニルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステル、ブチルフェニルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステル、ヘキシルフェニルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステル、ノニルフェニルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステル、ドデシルフェニルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステル、メチルフェニルオキシヘキサオキシエチレンリン酸エステル、エチルフェニルオキシオクタオキシエチレンリン酸エステル、ブチルフェニルオキシオクタオキシエチレンリン酸エステル、ヘキシルフェニルオキシオクタオキシエチレンリン酸エステル、ノニルフェニルオキシオクタオキシエチレンリン酸エステル、ドデシルフェニルオキシオクタオキシエチレンリン酸エステルなどの金属塩が挙げられ、これらの中でも、それらのアルカリ金属塩、特にナトリウム塩が好適である。
アルキルフェニルオキシポリオキシプロピレンリン酸エステル塩の具体例としては、メチルフェニルオキシテトラオキシプロピレンリン酸エステル、エチルフェニルオキシテトラオキシプロピレンリン酸エステル、ブチルフェニルオキシテトラオキシプロピレンリン酸エステル、ヘキシルフェニルオキシテトラオキシプロピレンリン酸エステル、ノニルフェニルオキシテトラオキシプロピレンリン酸エステル、ドデシルフェニルオキシテトラオキシプロピレンリン酸エステル、メチルフェニルオキシペンタオキシプロピレンリン酸エステル、エチルフェニルオキシペンタオキシプロピレンリン酸エステル、ブチルフェニルオキシペンタオキシプロピレンリン酸エステル、ヘキシルフェニルオキシペンタオキシプロピレンリン酸エステル、ノニルフェニルオキシペンタオキシプロピレンリン酸エステル、ドデシルフェニルオキシペンタオキシプロピレンリン酸エステル、メチルフェニルオキシヘキサオキシプロピレンリン酸エステル、エチルフェニルオキシヘキサオキシプロピレンリン酸エステル、ブチルフェニルオキシヘキサオキシプロピレンリン酸エステル、ヘキシルフェニルオキシヘキサオキシプロピレンリン酸エステル、ノニルフェニルオキシヘキサオキシプロピレンリン酸エステル、ドデシルフェニルオキシヘキサオキシプロピレンリン酸エステル、メチルフェニルオキシオクタオキシプロピレンリン酸エステル、エチルフェニルオキシオクタオキシプロピレンリン酸エステル、ブチルフェニルオキシオクタオキシプロピレンリン酸エステル、ヘキシルフェニルオキシオクタオキシエチレンリン酸エステル、ノニルフェニルオキシオクタオキシプロピレンリン酸エステル、ドデシルフェニルオキシオクタオキシプロピレンリン酸エステルなどの金属塩が挙げられ、これらの中でも、それらのアルカリ金属塩、特にナトリウム塩が好適である。
2価リン酸エステル塩以外のリン酸系乳化剤としては、ジ(アルキルオキシポリオキシアルキレン)リン酸エステルナトリウム塩などの1価リン酸エステル塩などが挙げられる。
上記リン酸エステル塩以外の乳化剤としては、リン酸エステル塩以外のその他のアニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤などが挙げられる。
リン酸エステル塩以外のその他のアニオン性乳化剤としては、例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノレン酸などの脂肪酸の塩;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸塩;ラウリル硫酸ナトリウムなどの硫酸エステル塩、アルキルスルホコハク酸塩などを挙げることができる。
カチオン性乳化剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアルキルアンモニウムクロライド、ベンジルアンモニウムクロライドなどを挙げることができる。
ノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンステアリン酸エステルなどのポリオキシアルキレン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンドデシルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル;ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルなどを挙げることができ、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテルが好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテルがより好ましい。
これらの乳化剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができ、その使用量は、単量体成分100重量部に対して、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは1〜3重量部の範囲である。
単量体成分と水と乳化剤との混合方法(混合方式)は、常法に従えばよく、例えば、単量体と乳化剤と水とをホモジナイザーやディスクタービンなどの撹拌機を用いて撹拌する方法などが挙げられる。水の使用量は、単量体成分100重量部に対して、通常1〜1,000重量部、好ましくは5〜500重量部、より好ましくは4〜300重量部、特に好ましくは3〜150重量部、最も好ましくは20〜80重量部の範囲である。
使用する重合触媒としては、乳化重合で通常使われるものであれば格別な限定はないが、例えば、ラジカル発生剤と還元剤とからなるレドックス触媒を用いることができる。
ラジカル発生剤としては、例えば、過酸化物、アゾ化合物などが挙げられ、好ましくは過酸化物である。過酸化物としては、無機系過酸化物や有機系過酸化物が用いられる。
無機系過酸化物としては、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、過硫酸アンモニウムなどが挙げられ、これらの中でも、過硫酸カリウム、過酸化水素、過硫酸アンモニウムが好ましく、過硫酸カリウムが特に好ましい。
有機系過酸化物としては、アクリルゴムなどの乳化重合で使用されるものであれば格別な限定はなく、例えば、2,2−ジ(4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、1−ジ−(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ−(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、4,4−ジ−(t−ブチルパーオキシ)吉草酸n−ブチル、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラエチルブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、ジ(2−t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、ジイソブチリルパーオキサイド、ジ(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジコハク酸パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ベンゾイル(3−メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジイソブチリルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカネート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブイチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンなどが挙げられ、これらの中でもジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどが好ましい。
上記アゾ化合物としては、例えば、アゾビスイソプチロニトリル、4,4'−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン、2,2'−アゾビス(プロパン−2−カルボアミジン)、2,2'−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロパンアミド]、2,2'−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}、2,2'−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)及び2,2'−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロパンアミド}などが挙げられる。
これらのラジカル発生剤は、それぞれ単独であるいは2種類以上組み合わせて用いることができ、その使用量は、単量体成分100重量部に対して、通常0.0001〜5重量部、好ましくは0.0005〜1重量部、より好ましくは0.001〜0.5重量部の範囲である。
還元剤としては、乳化重合のレドックス触媒で使用されるものであれば限定なく用いることができるが、本発明においては、特に少なくとも2種の還元剤を用いることが好ましい。少なくとも2種の還元剤としては、例えば、還元状態にある金属イオン化合物とそれ以外の還元剤の組み合わせが好適である。
還元状態にある金属イオン化合物としては、特に限定されないが、例えば、硫酸第一鉄、ヘキサメチレンジアミン四酢酸鉄ナトリウム、ナフテン酸第一銅などが挙げられ、これらの中でも硫酸第一鉄が好ましい。これらの還元状態にある金属イオン化合物は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、単量体成分100重量部に対して、通常0.000001〜0.01重量部、好ましくは0.00001〜0.001重量部、より好ましくは0.00005〜0.0005重量部の範囲である。
それらの還元状態にある金属イオン化合物以外の還元剤としては、特に限定されないが、例えば、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウムなどのアスコルビン酸又はその塩;エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、エリソルビン酸カリウムなどのエリソルビン酸又はその塩;ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウムなどのスルフィン酸塩;亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、アルデヒド亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウムの亜硫酸塩;ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸水素カリウムなどのピロ亜硫酸塩;チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウムなどのチオ硫酸塩;亜燐酸、亜燐酸ナトリウム、亜燐酸カリウム、亜燐酸水素ナトリウム、亜燐酸水素カリウムの亜燐酸又はその塩;ピロ亜燐酸、ピロ亜燐酸ナトリウム、ピロ亜燐酸カリウム、ピロ亜燐酸水素ナトリウム、ピロ亜燐酸水素カリウムなどのピロ亜燐酸又はその塩;ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートなどが挙げられる。これらの中でも、アルコルビン酸又はその塩、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートなどが好ましく、特にアスコルビン酸又はその塩が好ましい。
これらの還元状態にある金属イオン化合物以外の還元剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その使用量は、単量体成分100重量部に対し、通常0.001〜1重量部、好ましくは0.005〜0.5重量部、より好ましくは0.01〜0.1重量部の範囲である。
還元状態にある金属イオン化合物とそれ以外の還元剤との好ましい組み合わせは、硫酸第一鉄とアスコルビン酸若しくはその塩及び/又はナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートの組み合わせであり、より好ましくは硫酸第一鉄とアスコルビン酸塩及び/又はナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートの組み合わせ、最も好ましくは硫酸第一鉄とアルコルビン酸塩の組み合わせである。このときの硫酸第一鉄の使用量は、単量体成分100重量部に対して、通常0.000001〜0.01重量部、好ましくは0.00001〜0.001重量部、より好ましくは0.00005〜0.0005重量部の範囲であり、アスコルビン酸若しくはその塩及び/又はナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートの使用量は、両成分100重量部に対し、通常0.001〜1重量部、好ましくは0.005〜0.5重量部、より好ましくは0.01〜0.1重量部の範囲である。
乳化重合反応における水の使用量は、単量体成分エマルジョン化時に使用した量だけでもよいが、重合に用いる単量体成分100重量部に対して、通常10〜1,000重量部、好ましくは50〜500重量部、より好ましくは80〜400重量部、最も好ましくは100〜300重量部の範囲になるように調整される。
乳化重合反応の方式は、常法に従えばよく、回分式、半回分式、連続式のいずれでもよい。重合温度及び重合時間は、特に限定されず、使用する重合開始剤の種類などから適宜選択できる。重合温度は、通常0〜100℃、好ましくは5〜80℃、より好ましくは10〜50℃の範囲であり、重合時間は通常0.5〜100時間、好ましくは1〜10時間である。
乳化重合反応の重合転化率は、格別限定はないが、通常80重量%以上、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上であり、このときに製造されるアクリルゴムは強度特性に優れ且つ単量体臭も無く好適である。重合停止に当たっては、重合停止剤を使用してもよい。
(凝固工程)
本発明のアクリルゴムの製造方法における凝固工程は、上記の乳化重合工程で得られた乳化重合液を撹拌されている凝固液に添加して含水クラムを生成させる工程である。
凝固工程で使用される乳化重合液の固形分濃度は、格別な限定はないが、通常5〜50重量%、好ましくは10〜45重量%、より好ましくは20〜40重量%の範囲に調整される。
使用される凝固液の凝固剤としては、乳化重合で使用される凝固剤であれば格別な限定はないが、好ましくはアルカリ金属塩、より好ましくはマグネシウム塩を用いた時に製造されるアクリルゴムの耐水性を高度に向上でき好適である。マグネシウム塩としては、格別な限定はないが、例えば、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウムなどの無機マグネシウム塩、ギ酸マグネシウム、酢酸マグネシウムなどの有機マグネシウム塩などが挙げられ、これらの中でも無機マグネシウム塩が好ましく、硫酸マグネシウムが特に好ましい。
これらの凝固剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができ、その使用量は、単量体成分100重量部に対し、通常0.01〜100重量部、好ましくは0.1〜50重量部、より好ましくは1〜30重量部の範囲である。凝固剤がこの範囲にあるときに、アクリルゴムの凝固を充分なものとしながら、アクリルゴムを架橋した場合の耐圧縮永久歪み特性や耐水性を高度に向上させることができるので好適である。
使用する凝固液の凝固剤濃度は、通常0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%、より好ましくは1〜5重量%の範囲であるときに、生成する含水クラムの粒径を均一に且つ特定領域に集束できるので好適である。
使用する凝固液の温度は、格別限定はないが、通常40℃以上、好ましくは40〜90℃、より好ましくは50〜80℃の範囲であるときに均一な含水クラムが生成され好適である。
撹拌されている凝固液の撹拌速度(撹拌数)は、凝固槽内に設けた撹拌装置の毎分当りの回転数(具体的には撹拌翼の回転数)で表されるが、乳化重合液を凝固槽中に添加するときに一定程度激しく撹拌されている方が生成する含水クラム粒径を小さく且つ均一にする上で好適であるため、上記回転数は、通常100rpm以上、好ましくは200〜1,000rpm、より好ましくは300〜900rpm、特に好ましくは350〜850rpm、最も好ましくは400〜800rpmの範囲である。凝固液の撹拌速度(回転数)が過度に低いと、大きいクラム粒径のものと小さいクラム粒径のものが生成してしまい、過度に高いと凝固反応の制御が困難になるため、いずれも好ましくない。
また、撹拌されている凝固液の周速は、上記撹拌装置の撹拌翼の外周の速度で表されるが、既に述べたように、凝固液が一定程度激しく撹拌されている方が生成する含水クラム粒径を小さく且つ均一にできるので好適であり、そのため凝固槽中の凝固液の周速は、少なくとも0.5m/s以上とするのが適当である。この周速が0.5m/s以上、好ましくは1m/s以上、より好ましくは1.5m/s以上、特に好ましくは2m/s以上、とりわけ2.5m/s以上であるときに、洗浄工程や脱水工程での凝固剤及び乳化剤の除去性に優れるクラム形状及びクラム径を有する含水クラムを生成できるので好適である。
撹拌されている凝固液の周速の上限値は、格別な限定はないが、通常30m/s以下、好ましくは25m/s以下、より好ましくは20m/s以下、特に好ましくは15m/s以下であるときに凝固反応の制御が容易となり好適である。
本発明のアクリルゴム製造方法では、凝固反応の上記条件(接触方法、乳化重合液の固形分濃度、凝固液の濃度、温度、回転数、周速など)を適宜選定することで、生成する含水クラムの形状及びクラム径が均一で且つ集約化され、洗浄工程及び脱水工程における含水クラム中の乳化剤や凝固剤の除去効率が格段に向上し、好適である。
このようにアクリルゴム製造時に生成される含水クラムの粒度(サイズ)と粒度分布を特定範囲に調整することによって、洗浄時及び脱水時における含水クラム中の乳化剤及び凝固剤の除去効率を大幅に改善できることは従来全く知られていなかったが、本発明では、上記の新知見を活用して、特に耐水性に優れた高品質なアクリルゴムを初めて製造できるようにしたものである。
(洗浄工程)
本発明のアクリルゴムの製造方法における洗浄工程は、上記凝固工程で生成した含水クラムを洗浄する工程である。
洗浄方法としては、格別限定されるものでなく常法に従えばよく、例えば、生成した含水クラムを多量の水と混合して行うことができる。
洗浄のため加える水の量は、特に限定されないが、乳化重合で仕込んだ単量体成分100重量部に対して、水洗1回当たりの量が、通常50重量部以上、好ましくは50〜15,000重量部、より好ましくは100〜10,000重量部、さらに好ましくは500〜5,000重量部の範囲であるときに、アクリルゴム中の灰分量を効果的に低減することができるので好適である。
使用する水の温度は、格別限定されないが、温水を使われるのが好適で、通常40℃以上、好ましくは40〜100℃、より好ましくは50〜90℃であり、特に60〜80℃のときに洗浄効率を格段に上げることができ最適である。使用する温水の温度を上記した下限以上とすることにより、乳化剤や凝固剤が含水クラムから遊離して洗浄効率がより向上する。
洗浄時間は、格別な限定はないが、通常1〜120分、好ましくは2〜60分、より好ましくは3〜30分の範囲である。
洗浄工程での洗浄(水洗)の回数についても、特に限定されず、通常は1〜10回、好ましくは1〜5回、より好ましくは2〜3回である。なお、最終的に得られるアクリルゴム中の凝固剤の残留量を低減させるという観点からは、水洗回数が多い方が望ましいが、上記のように含水クラムの形状及び含水クラム径を特定範囲にすること、及び/又は洗浄温度を上記の範囲にすることで、水洗回数を格段に低減できる。
(脱水乾燥工程)
本発明のアクリルゴムの製造方法における脱水乾燥工程は、上記洗浄した含水クラムをスクリュー型押出機を用いて脱水と乾燥を行い、脱水スリットを有する脱水バレルと減圧下で乾燥する乾燥バレルと先端部にダイとを備えてなるスクリュー型押出機を用いて連続的に行うことが好ましい。以下にその具体的な実施態様を示すが、これによって本発明の範囲が限定されるものではない。
含水クラムの脱水は、スクリュー型押出機内に設けた、脱水スリットを有する脱水バレルで行われる。脱水スリットの目開きは、使用条件に応じて適宜選択されればよいが、通常0.01〜5mm、好ましくは0.1〜1mm、より好ましくは0.2〜0.6mmの範囲であるときに、含水クラムの損失が少なく且つ含水クラムの脱水が効率的にできるため好適である。
スクリュー型押出機における脱水バレルの数は、格別限定されるものではないが、通常複数個、好ましくは2〜10個、より好ましくは3〜6個であるときに粘着性のアクリルゴムの脱水を効率よく行う上で好適である。
脱水バレルにおける含水クラムからの水の除去は、脱水スリットから液状で除去するもの(排水)、蒸気状で除去するもの(排蒸気)の二通りがあるが、本発明においては、排水は脱水、排蒸気は予備乾燥と定義して区別する。
脱水バレルを複数個備えるスクリュー型押出機を用いて行う場合は、排水(脱水)及び排蒸気(予備乾燥)を組み合わせることで、粘着性アクリルゴムの脱水と含水量低下を効率よく実施できるため特に好適である。脱水バレルを3個以上備えるスクリュー型押出機において、各脱水バレルを排水型脱水バレルにするか排蒸気型脱水バレルにするかの選択は、アクリルゴムの使用目的に応じて適宜行えばよい。通常製造されるゴム中の灰分量を少なくする場合は排水型バレルを多くし、例えば脱水バレルが3個ある場合は排水型バレルを2個、脱水バレルが4個ある場合は排水型バレルを3個などと適宜選択する。
脱水バレルの設定温度は、アクリルゴムの種類、灰分量、含水量、及び操業条件などにより適宜選択されるが、通常60〜150℃、好ましくは70〜140℃、より好ましくは80〜130℃の範囲である。排水状態で脱水する脱水バレルの設定温度は、通常60〜120℃、好ましくは70〜110℃、より好ましくは80〜100℃である。排蒸気状態で予備乾燥を行う脱水バレルの設定温度は、通常100〜150℃、好ましくは105〜140℃、より好ましくは110〜130℃の範囲である。
含水クラムの脱水後の含水量、すなわち排水型バレル通過後の含水量は、格別限定されないが、通常1〜50重量%、好ましくは3〜40重量%、より好ましくは5〜35重量%、最も好ましくは10〜35重量%であるときに、乳化剤と凝固剤の除去を効率よく行うことができ好適である。スクリュー型押出機で乳化剤や凝固剤の除去と含水量の低減を効率的に行う場合の脱水後の含水量は、5〜40重量%、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは15〜35重量%の範囲である。
上記の特定組成で架橋性基を有する粘着性のアクリルゴムの脱水は、遠心分離機などを用いて行うと脱水スリット部にアクリルゴムが付着してしまい殆ど脱水できないが(含水量は約45〜55重量%程度までしか低減しない)、本発明において、脱水スリットを有しスクリューで強制的に絞られる脱水バレルを備えるスクリュー型押出機を用いることにより、それ以下の含水量まで効率的に低減できるため特に好適である。
上記脱水後に排蒸気型脱水バレルで予備乾燥した含水クラムの含水量は、通常1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%である。
上記脱水バレルで脱水・乾燥した含水クラムは、さらに同じスクリュー型押出機内の下流側(押出側)に設けた減圧下の乾燥バレルで乾燥される。
乾燥バレル内部の減圧度は、適宜選択されればよいが、通常1〜50kPa、好ましくは2〜30kPa、より好ましくは3〜20kPaであるときに効率よく含水クラムを乾燥でき好適である。
乾燥バレルの設定温度は、適宜選択されればよいが、通常100〜250℃、好ましくは110〜200℃、より好ましくは120〜180℃の範囲であるときに、アクリルゴムのヤケや変質がなく、効率よく乾燥ができ且つアクリルゴムのゲル量を低減できるので好適である。
スクリュー型押出機における乾燥バレルの数は、格別限定されるものではないが、通常複数個、好ましくは2〜10個、より好ましくは3〜8個である。乾燥バレルが複数個有する場合の減圧度は、全ての乾燥バレルで近似した減圧度にしてもよいし、変えてもよい。乾燥バレルを複数個有する場合の設定温度は、全ての乾燥バレルで近似した温度にしてもよいし変えてもよいが、導入部(脱水バレルに近い方)の温度よりも排出部(ダイに近い方)の温度を高くすると、乾燥効率を上げることができ好適である。
本発明においては、スクリュー型押出機内で実質的に水分を含まない状態までアクリルゴムクラムを乾燥しスクリューで押し出されることによりゲル量を低減しアクリルゴムの加工性を格段に改善できることを見出した。かかる乾燥バレル部での乾燥後のアクリルゴムクラムの含水量は、通常1重量%未満、好ましくは0.8重量%以下、より好ましくは0.6重量%以下である。
上記脱水バレル及び乾燥バレルのスクリュー部で脱水及び乾燥されたアクリルゴムは、スクリュー型押出機の先端部付近に設けられた、スクリューの無い整流のダイ部に送られる。スクリュー部とダイ部の間には、ブレーカープレートや金網を設けてもよいし、設けなくてもよい。
スクリュー型押出機のダイ部から押し出されるアクリルゴムは、ダイのノズル形状により、粒状、ペレット状、柱状、丸棒状、帯状など種々の形状のものとなる。
ダイ部における樹脂圧は、格別限定されないが、通常0.1〜10MPa、好ましくは0.5〜5MPa、より好ましくは1〜3MPaの範囲としたときに、空気の巻き込みが少なく(比重が大きい)且つ生産性にも優れるので好適である。
以上のように本発明のアクリルゴムの製造方法によれば、上述したアクリル酸アルキルエステル由来の結合単位(A)、メタクリル酸アルキルエステル由来の結合単位及び/又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル由来の結合単位(B)、反応性基含有単量体由来の結合単位(C)、及び必要に応じてその他の単量体由来の結合単位(D)からなり、灰分量が0.5重量%以下でゲル量が50重量%以下であるアクリルゴムを、効率的に製造することができる。
<ゴム組成物>
ゴム組成物としては、上記本発明のアクリルゴムを含むゴム成分、充填剤及び架橋剤を含むことにより耐熱性と耐水性が高度にバランスされ好適である。
主たる成分となるゴム成分としては、本発明のアクリルゴム単独で用いてもよく、あるいは必要に応じて、本発明のアクリルゴムとその他のゴム成分とを組み合わせて用いてもよい。ゴム成分中における本発明のアクリルゴムの含有量は、使用目的に応じて選択されればよく、例えば、通常30重量%以上、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上である。
本発明のアクリルゴムと組み合わせるその他のゴム成分としては、格別な限定はなく、例えば、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリシロキサン系エラストマーなどを挙げることができる。
これらのその他のゴム成分は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのその他のゴム成分の形状は、ベール状、シート状、粉体状などいずれであっても構わない。ゴム成分全体におけるその他のゴム成分の含有量は、本発明の効果を損ねない範囲で適宜選択され、例えば、通常70重量%以下、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。
ゴム組成物に含まれる充填剤としては、格別な限定はないが、例えば、補強性充填剤、非補強性充填剤などが挙げられ、好ましくは補強性充填剤である。
補強性充填剤としては、例えば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック及びグラファイトなどのカーボンブラック類;湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカなどのシリカ類;などを挙げることができる。非補強性充填剤としては、石英粉末、ケイソウ土、亜鉛華、塩基性炭酸マグネシウム、活性炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、二酸化チタン、タルク、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどを挙げることができる。
これらの充填剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、本発明の効果を損ねない範囲で適宜選択され、ゴム成分100重量部に対して、通常1〜200重量部、好ましくは10〜150重量部、より好ましくは20〜100重量部の範囲である。
ゴム組成物に含まれる架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、ジアミン化合物などの多価アミン化合物、及びその炭酸塩;硫黄化合物;硫黄供与体;トリアジンチオール化合物;多価エポキシ化合物;有機カルボン酸アンモニウム塩;有機過酸化物;多価カルボン酸;四級オニウム塩;イミダゾール化合物;イソシアヌル酸化合物;有機過酸化物;トリアジン化合物;などの従来公知の架橋剤を用いることができる。これらの中でも、多価アミン化合物、トリアジン化合物が好ましく、多価アミン化合物が特に好ましい。
多価アミン化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、N,N'−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサンジアミンなどの脂肪族多価アミン化合物;4,4'−メチレンジアニリン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、4,4'−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジアニリン、2,2'−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4'−ジアミノベンズアニリド、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、1,3,5−ベンゼントリアミンなどの芳香族多価アミン化合物;などが挙げられる。これらの中でも、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、2,2'−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパンなどが好ましい。これらの多価アミン化合物は、特に、カルボキシル基含有のアクリルゴムと組み合わせて好適に用いられる。
トリアジン化合物としては、例えば、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−アニリノ−4,6−ジチオール−s−トリアジン、1−ジブチルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、2−ジブチルアミノ−4,6−ジチオール−s−トリアジン、1−フェニルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジン、2,4,6−トリメルカプト−1,3,5−トリアジン、1−ヘキシルアミノ−3,5−ジメルカプトトリアジンなどが挙げられる。これらのトリアジン化合物は、特に、ハロゲン基含有のアクリルゴムと組み合わせて好適に用いられる。
これらの架橋剤は、それぞれ単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができ、その配合量は、ゴム成分100重量部に対し、通常0.001〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部である。架橋剤の配合量をこの範囲とすることにより、ゴム弾性を充分なものとしながら、ゴム架橋物としての機械的強度を優れたものとすることができ好適である。
ゴム組成物としては、必要に応じて老化防止剤を配合することができる。老化防止剤の種類は、特に限定されないが、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、スチレン化フェノール、2,2'−メチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)、4,4'−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2'−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−6−メチルフェノール、2,2'−チオビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4'−チオビス−(6−t−ブチル−o−クレゾール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノールなどのその他のフェノール系老化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコール・ジホスファイトなどの亜燐酸エステル系老化防止剤;チオジプロピオン酸ジラウリルなどの硫黄エステル系老化防止剤;フェニル−α−ナフチルアミン、フェニル−β−ナフチルアミン、p−(p−トルエンスルホニルアミド)−ジフェニルアミン、4,4'−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N,N−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物などのアミン系老化防止剤;2−メルカプトベンズイミダゾールなどのイミダゾール系老化防止剤;6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなどのキノリン系老化防止剤;2,5−ジ−(t−アミル)ハイドロキノンなどのハイドロキノン系老化防止剤;などが挙げられる。これらの中でも特にアミン系老化防止剤が好ましい。
これらの老化防止剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができ、その配合量は、ゴム成分100重量部に対して、0.01〜15重量部、好ましくは0.1〜10重量部、より好ましくは1〜5重量部の範囲である。
ゴム組成物は、上記本発明のアクリルゴムを含むゴム成分、充填剤及び架橋剤を必須成分として、及び必要に応じて老化防止剤を含み、さらに、必要に応じて当該技術分野で通常使用される他の添加剤、例えば、架橋助剤、架橋促進剤、架橋遅延剤、シランカップリング剤、可塑剤、加工助剤、滑材、顔料、着色剤、帯電防止剤、発泡剤などを任意に配合できる。これらのその他の配合剤は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、本発明の効果を損ねない範囲で適宜選択される。
ゴム組成物の製造方法としては、本発明のアクリルゴムを含むゴム成分、充填剤、架橋剤及び必要に応じて含有できる老化防止剤やその他の配合剤を混合する方法が挙げられ、混合には、従来のゴム加工分野において利用されている任意の手段、例えば、オープンロール、バンバリーミキサー、各種ニーダー類などを利用することができる。各成分の混合手順は、ゴム加工の分野において行われている通常の手順で行えばよく、例えば、熱で反応や分解しにくい成分を充分に混合した後、熱で反応や分解しやすい成分である架橋剤などを、反応や分解が起こらない温度で短時間に混合することが好ましい。
<ゴム架橋物>
ゴム架橋物としては、上記ゴム組成物を架橋してなるものである。
ゴム架橋物は、上記ゴム組成物を用い、所望の形状に対応した成形機、例えば、押出機、射出成形機、圧縮機又はロールなどにより成形を行い、加熱することにより架橋反応を行い、ゴム架橋物として形状を固定化することにより製造することができる。この場合においては、予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常10〜200℃、好ましくは25〜150℃である。架橋温度は、通常100〜250℃、好ましくは130〜220℃、より好ましくは150〜200℃であり、架橋時間は、通常0.1分〜10時間、好ましくは1分〜5時間である。加熱方法としては、プレス加熱、蒸気加熱、オーブン加熱、及び熱風加熱などのゴムの架橋に用いられる方法を適宜選択すればよい。
ゴム架橋物は、形状、大きさなどによっては、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。二次架橋は、加熱方法、架橋温度、形状などにより異なるが、好ましくは1〜48時間行う。加熱方法、加熱温度は適宜選択すればよい。
本発明のアクリルゴムを使用したゴム架橋物は、引張強度、伸び、硬さなどのゴムとしての基本特性を維持しながら、優れた耐熱性と耐水性を有するものである。
本発明のアクリルゴムを使用したゴム架橋物は、上記特性を活かして、例えば、O−リング、パッキン、ダイアフラム、オイルシール、シャフトシール、ベアリングシール、メカニカルシール、ウエルヘッドシール、電気・電子機器用シール、空気圧縮機器用シールなどのシール材;シリンダブロックとシリンダヘッドとの連結部に装着されるロッカーカバーガスケット、オイルパンとシリンダヘッドあるいはトランスミッションケースとの連結部に装着されるオイルパンガスケット、正極、電解質板及び負極を備えた単位セルを挟み込む一対のハウジング間に装着された燃料電池セパレーター用ガスケット、ハードディスクドライブのトップカバー用ガスケットなどの各種ガスケット;緩衝材、防振材;電線被覆材;工業用ベルト類;チューブ・ホース類;シート類;などとして好適に用いられる。
本発明のアクリルゴムを使用したゴム架橋物は、また、自動車用途に用いられる押し出し成形型品及び型架橋製品として、例えば、燃料ホース、フィラーネックホース、ベントホース、ペーパーホース、オイルホースなどの燃料タンクなどの燃料油系ホース、ターボエアーホース、ミッションコントロールホースなどのエアー系ホース、ラジエターホース、ヒーターホース、ブレーキホース、エアコンホースなどの各種ホース類に好適に用いられる。
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明についてより具体的に説明する。各例中の「部」、「%」及び「比」は、特に断りのない限り、重量基準である。なお、各種の特性(物性を含む)などについては、以下の方法に従って評価した。
[単量体組成]
アクリルゴムにおける単量体組成に関して、アクリルゴム中の各単量体単位の単量体構成はH−NMRで確認し、アクリルゴム中に反応性基の活性が残存していること及びその各反応性基含有量を下記方法で確認した。また、各単量体単位のアクリルゴム中の含有割合は、各単量体の重合反応に用いた使用量及び重合転化率から算出した。具体的には、重合反応は乳化重合反応でその重合転化率は、未反応の単量体がいずれも確認できない略100%であったことから、ゴム中の各単量体単位の含有割合は各単量体の使用量と同一とした。
[反応性基含有量]
アクリルゴム中の反応性基の含有量は、下記方法により測定した。
(1)カルボキシル基量は、ゴム試料(アクリルゴム)をアセトンに溶解し水酸化カリウム溶液で電位差滴定を行うことにより算出した。
(2)塩素量は、ゴム試料を燃焼フラスコ中で完全燃焼させ、発生する塩素を水に吸収させ硝酸銀で滴定することにより算出した。
[灰分量]
ゴム試料中に含まれる灰分量(%)は、JIS K6228 A法に準じて測定した。
[灰分成分量]
ゴム試料の灰分中の各成分量(ppm)は、上記の灰分量測定の際に採取した灰分をΦ20mmの滴定濾紙に圧着し、ZSX Primus(Rigaku社製)を用いてXRF測定した。
[ゲル量]
ゴム試料のゲル量(%)は、メチルエチルケトンに対する不溶解分の量であり、以下の方法により求めた。
ゴム試料0.2g程度を秤量(Xg)し、100mlメチルエチルケトンに浸漬させて室温で24時間放置後、80メッシュ金網を用いてメチルエチルケトンに対する不溶解分を濾別した濾液、すなわち、メチルエチルケトンに溶解するゴム成分のみが溶解した濾液を蒸発乾燥固化させた乾燥固形分(Yg)を秤量し、下式により算出した。
ゲル量(%)=100×(X−Y)/X
[分子量]
ゴム試料の重量平均分子量(Mw)は、溶媒としてジメチルホルムアミドに塩化リチウムが0.05mol/L、37%濃塩酸が0.01%の濃度でそれぞれ添加された溶液を用いたGPC−MALS法により測定される絶対分子量及び絶対分子量分布である。具体的には、GPC(Gel Permeation Chromatography)装置に多角度レーザ光散乱光度計(MALS)及び示差屈折率計(RI)を組み入れ、GPC装置でサイズ分別された分子鎖溶液の光散乱強度及び屈折率差を、溶出時間を追って測定することにより、溶質の分子量とその含有率を順次計算し求めた。GPC装置による測定条件及び測定方法は、以下のとおりである。
カラム:TSKgel α−M 2本(φ7.8mm×30cm、東ソー社製)
温度:カラム 40℃
流速:0.8ml/mm
試料調整:試料10mgに溶媒5mlを加え、室温で緩やかに撹拌した(溶解を視認)。その後0.5μmフィルターを用いてろ過を行った。
注入量:0.200ml
[ガラス転移温度(Tg)]
ゴム試料のガラス転移温度(Tg)は、示差走査型熱量計(DSC、製品名「X−DSC7000」、日立ハイテクサイエンス社製)を用いて測定した。
[含水量]
ゴム試料の含水量(%)は、JIS K6238−1:オーブンA(揮発分測定)法に準じて測定した。
[ムーニー粘度]
ゴム試料のムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、JIS K6300の未架橋ゴム物理試験法に従って測定した。
[耐水性評価]
ゴム試料の耐水性は、JIS K6258に準拠してゴム試料の架橋物を温度85℃の蒸留水中に100時間浸漬させて浸漬試験を行い、浸漬前後の体積変化率を下記の式に従って算出し、比較例1を100とする指数で評価した(指数が小さいほど耐水性に優れる)。
浸漬前後の体積変化率(%)=((浸漬後の試験片体積−浸漬前の試験片体積)/浸漬前の試験片体積)×100
[加工性評価]
ゴム試料の加工性は、ゴム試料を50℃に加温されたバンバリーミキサーに投入し1分間素練り後、表1記載のゴム混合物配合の配合剤Aを投入して1段目のゴム混合物が一体化して最大トルク値を示すまでの時間、すなわちBIT(Black Incorporation Time)を測定し、比較例1を100とする指数で評価した(指数が小さいほど加工性に優れる)。
[耐熱性評価]
ゴム試料の耐熱性評価は、ゴム試料の架橋物を175℃で250時間静置する加熱試験を行い、試験前後のゴム架橋物の引張強度をJIS K6251、硬さをJIS K6253に準じて測定し、切断伸びの変化及び硬さの変化を下記の基準で評価した。
切断伸びの変化は、破断伸び変化率が20%以下である場合は「◎」とし、破断伸び変化率が20%を超える場合は「×」として評価した。硬さの変化は、硬さ変化率が20ポイント以下の場合は「◎」とし、硬さ変化率が20ポイントを超えた場合は「×」として評価した。
[実施例1]
ホモミキサーを備えた混合容器に、純水46部、単量体成分としてアクリル酸エチル63.25部、アクリル酸n−ブチル17部、アクリル酸メトキシエチル7部、メタクリル酸ブチル11部及びフマル酸モノエチル1.75部、乳化剤としてオクチルオキシジオキシエチレンリン酸エステルナトリウム塩1.8部を仕込み撹拌して単量体エマルジョンを得た。
温度計、撹拌装置を備えた重合反応槽に、純水170部及び上記で得られた単量体エマルジョン3部を投入し、窒素気流下で12℃まで冷却した。次いで、重合反応槽中に、単量体エマルジョンの残部、硫酸第一鉄0.00033部、アスコルビン酸ナトリウム0.264部、及び過硫酸カリウム0.22部を3時間かけて連続的に滴下した。その後、重合反応槽内の温度を23℃に保った状態にて反応を継続し、重合転化率が略100%に達したことを確認し、重合停止剤としてのハイドロキノンを添加して重合反応を停止し、乳化重合液を得た。
次いで、温度計と撹拌装置を備えた凝固槽で、撹拌装置の撹拌翼回転数600回転(周速3.1m/s)で激しく撹拌し且つ80℃に加温した2%硫酸マグネシウム水溶液(凝固剤として硫酸マグネシウムを用いた凝固液)350部中に、上記得られた乳化重合液を80℃に加温して連続的に添加して重合体を凝固させ、凝固物であるアクリルゴムのクラムと水を含む凝固スラリーを得た。得られたスラリーからクラムを濾別しつつ凝固層から水分を排出して含水クラムを得た。
濾別された含水クラムの残った凝固槽内に194部の温水(70℃)を添加して15分間撹拌して含水クラムを洗浄した後に水分を排出させ、再び194部の温水(70℃)を添加して15分間撹拌して含水クラムの洗浄を行った(合計洗浄回数は2回)。洗浄後の含水クラムをスクリュー型押出機で含水量20%まで脱水(排水)した後に乾燥させて、含水量0.4重量%のアクリルゴム(A)を得た。このアクリルゴム(A)について、反応性基含有量、灰分量、灰分成分量、ゲル量、ガラス転移温度(Tg)、含水量、重量平均分子量、及びムーニー粘度(ML1+4,100℃)を測定し、その結果を表2に示した。
次いで、アクリルゴム(A)100部と表1に記載した「配合1」の配合剤Aをバンバリーミキサーに投入し、50℃で5分間混合した(1段目混合)。1段目混合で得られた混合物それぞれを、50℃のロールに移して、「配合1」の配合剤Bを配合して混合(2段目混合)し、ゴム混合物を得た。
Figure 2021105128
得られたゴム混合物を、縦15cm、横15cm、深さ0.2cmの金型に入れ、プレス圧10MPaで加圧しながら180℃で10分間プレスすることにより一次架橋し、得られた一次架橋物を、ギヤー式オーブンにて、さらに180℃、2時間の条件で加熱して二次架橋させることにより、シート状のゴム架橋物を得た。そして、得られたシート状のゴム架橋物から3cm×2cm×0.2cmの試験片を切り取って耐水性及び耐熱性評価を行い、その結果を表2に示した。
[実施例2]
単量体成分をアクリル酸エチル4.5部、アクリル酸n−ブチル53.5部、アクリル酸メトキシエチル29.5部、メタクリル酸ヘキシル11部及びフマル酸モノエチル1.5部に変更する以外は実施例1と同様に行い、アクリルゴム(B)を得て各特性(配合剤は「配合2」に変更した)を評価した。それらの結果を表2に示した。
[実施例3]
単量体成分をアクリル酸エチル48.6部、アクリル酸n−ブチル39部、メタクリル酸ブチル11部及びフマル酸モノエチル1.4部に変更する以外は実施例2と同様に行い、アクリルゴム(C)を得て各特性を評価した。それらの結果を表2に示した。
[実施例4]
単量体成分をアクリル酸エチル42.3部、アクリル酸n−ブチル45.3部、メタクリル酸ブチル11部、及びフマル酸モノエチル1.4部に変更する以外は実施例2と同様に行い、アクリルゴム(D)を得て各特性を評価した。それらの結果を表2に示した。
[実施例5]
含水クラムのスクリュー型押出機での脱水(排水)後の含水量を30%までとする以外は実施例4と同様に行い、アクリルゴム(E)を得て各特性を評価した。それらの結果を表2に示した。
[比較例1]
温度計、撹拌装置を備えた重合反応槽に、窒素気流下で、純水200部、単量体成分としてアクリル酸エチル42.3部、アクリル酸n−ブチル45.3部、メタクリル酸ブチル11部及びフマル酸モノエチル1.4部、乳化剤としてオクチルオキシジオキシエチレンリン酸エステル2.5部とポリオキシエチレンドデシルエーテル0.5部を投入し、過硫酸カリウム0.1部、アスコルビン酸ナトリウム0.1部を仕込み、次いで、過硫酸カリウム0.1部とアスコルビン酸ナトリウム0.1部を添加して反応を開始した。常温で反応を継続し、重合転化率が略100%に達したことを確認し、重合停止剤としてのハイドロキノンを加え重合反応を停止し、乳化重合液を得た。
次いで、撹拌装置の撹拌翼回転数100回転(周速0.5m/s)で撹拌している乳化重合液に0.4%硫酸ナトリウム水溶液(凝固剤として硫酸ナトリウムを用いた凝固液)を添加して重合体を凝固させ、凝固物であるアクリルゴムのクラムと水を含む凝固スラリーを得た。得られたスラリーからクラムを濾別しつつ凝固層から水分を排出して含水クラムを得た。
濾別された含水クラムの残った凝固槽内に194部の25℃の水を添加して15分間撹拌して含水クラムを洗浄した後に水分を排出させ含水クラムの洗浄を行った。洗浄後の含水クラムを熱風乾燥機で乾燥して含水量0.4重量%のアクリルゴム(F)を得た。このアクリルゴム(F)について、反応性基含有量、灰分量、灰分成分量、ゲル量、ガラス転移温度(Tg)、含水量、重量平均分子量、及びムーニー粘度(ML1+4,100℃)を測定し、その結果を表2に示した。
次いで、アクリルゴム(F)100部と表1に記載した「配合2」の配合剤Aをバンバリーミキサーに投入し、50℃で5分間混合した(1段目混合)。1段目混合で得られた混合物それぞれを、50℃のロールに移して、「配合2」の配合剤Bを配合して混合(2段目混合)し、ゴム混合物を得た。
得られたゴム混合物を、縦15cm、横15cm、深さ0.2cmの金型に入れ、プレス圧10MPaで加圧しながら180℃で10分間プレスすることにより一次架橋し、得られた一次架橋物を、ギヤー式オーブンにて、さらに180℃、2時間の条件で加熱して二次架橋させることにより、シート状のゴム架橋物を得た。そして、得られたシート状のゴム架橋物から3cm×2cm×0.2cmの試験片を切り取って耐水性及び耐熱性評価を行い、その結果を表2に示した。
Figure 2021105128
表2から、アクリル酸エステル由来の結合単位(A)、メタクリル酸エステル由来の結合単位及び/又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル由来の結合単位(B)、反応性基含有単量体由来の結合単位(C)、及び必要に応じてその他の単量体由来の結合単位(D)からなり、灰分量が0.5重量%以下でゲル量が50重量%以下である本発明のアクリルゴム(A)〜(E)は、アクリルゴム(F)の耐熱性を損なうことなく高度に耐水性と加工性が改善されていることがわかる(実施例1〜5と比較例1との比較)。
表2から、また、アクリル酸エステル由来の結合単位(A)が50〜98.9重量%、メタクリル酸エステル由来の結合単位及び/又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル由来の結合単位(B)が1〜30重量%、反応性基含有単量体由来の結合単位(C)が0.1〜10重量%、及びその他の単量体由来の結合単位(D)が0〜20重量%の範囲であり、灰分量が0.5重量%以下で且つゲル量が50重量%以下である本発明のアクリルゴム(A)〜(E)は、アクリルゴム(F)の耐熱性を損なうことなく高度に耐水性と加工性が改善されていることがわかる(実施例1〜5と比較例1との比較)。
さらに、表2には掲載していないが、実施例6及び比較例2について以下に記載する。
[実施例6]
単量体成分をアクリル酸エチル35.7部、アクリル酸n−ブチル49部、イタコン酸ジブチル14部及びクロロ酢酸ビニル1.3部に変更する以外は実施例5と同様に行いアクリルゴム(G)を得て、反応性基含有量、灰分量、灰分中のマグネシウムとリンとの合計(Mg+P)量割合、マグネシウムとリンとの比(Mg/P)、及びゲル量を測定すると、それぞれ0.29%、0.186%、86%、0.75、及び2.1%であった。重量平均分子量(Mw)は1,420,000であった。また、配合を「配合3」に変更する以外は実施例5と同様に行い架橋物を得るなかで加工性と耐水性を評価すると、それぞれの指数が「22」と「10」となり、ともに良好であった。
[比較例2]
単量体成分をアクリル酸エチル35.7部、アクリル酸n−ブチル49部、イタコン酸ジブチル14部及びクロロ酢酸ビニル1.3部に変更する以外は比較例1と同様に行いアクリルゴム(H)を得て、反応性基含有量、灰分量、灰分中のマグネシウムとリンとの合計(Mg+P)量割合、マグネシウムとリンとの比(Mg/P)、及びゲル量を測定すると、それぞれ0.27%、1.598%、22%、0、及び75.9%であった。重量平均分子量(Mw)は1,520,000であった。また、「配合3」の配合剤を用いて比較例1と同様に架橋物を得るなかで加工性と耐水性を評価すると、指数がともに「100」となり劣っていた。また、架橋物の耐熱性評価を行うと評価は「×」であった。

Claims (4)

  1. アクリル酸エステル由来の結合単位(A)、メタクリル酸エステル由来の結合単位及び/又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル由来の結合単位(B)、反応性基含有単量体由来の結合単位(C)、及び必要に応じてその他の単量体由来の結合単位(D)からなり、灰分量が0.5重量%以下で且つゲル量が50重量%以下であるアクリルゴム。
  2. アクリル酸エステル由来の結合単位(A)が50〜98.9重量%、メタクリル酸エステル由来の結合単位及び/又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル由来の結合単位(B)が1〜30重量%、反応性基含有単量体由来の結合単位(C)が0.1〜10重量%、及びその他の単量体由来の結合単位(D)が0〜20重量%の範囲である請求項1に記載のアクリルゴム。
  3. 全灰分中のリン、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム及びイオウの合計量が全灰分量に対する割合で50重量%以上である請求項1又は2に記載アクリルゴム。
  4. アクリル酸エステル(a)、メタクリル酸エステル及び/又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエステル(b)、反応性基含有単量体(c)、及び必要に応じて共重合可能なその他の単量体(d)とからなる単量体成分を水と乳化剤とでエマルジョン化した後に重合触媒存在下に乳化重合して乳化重合液を得る乳化重合工程と、
    得られた乳化重合液を撹拌されている凝固液に添加して含水クラムを生成させる凝固工程と、
    生成した含水クラムを洗浄する洗浄工程と、
    洗浄した含水クラムをスクリュー型押出機で脱水及び乾燥する脱水乾燥工程と、
    を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のアクリルゴムを製造するための製造方法。
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