JP4779174B2 - インクジェット用インクとそれを用いた印字方法 - Google Patents

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Description

本発明は、特にプリント基板等の、非吸収性の被印字体の表面に、耐水性、耐溶剤性、摩擦耐性等に優れた印字を形成することができるインクジェット用インクと、それを用いた印字方法とに関するものである。
従来、紙等の吸収性の被印字体の表面に、インクジェットプリンタを使用して印字を行うためには、一般に、水に水溶性染料等の着色剤を加えた水性のインクが用いられる。しかし、水性のインクでは、例えばプリント基板等の、非吸収性の被印字体の表面に、耐水性、耐溶剤性、摩擦耐性等に優れた印字を形成することができない。このため、非吸収性の被印字体の表面に、これらの特性に優れた印字を形成することができるインクジェット用インクについて、種々、検討されている。
例えば、特許文献1には、紫外線照射によってカチオン重合するベース樹脂と、着色剤としての染料とを含む紫外線硬化型インクが記載されていると共に、ベース樹脂としては、カチオン重合性1液エポキシ樹脂が例示されている。また、特許文献2には、ラジカル重合性開始剤と、重合性モノマーと、表面コート剤とを含み、活性光線の照射によって重合性モノマーが重合反応して硬化するインクが記載されていると共に、重合性モノマーとしては、各種アクリレートモノマー等が例示されている。
これら重合性のインクを、インクジェットプリンタを用いて、被印字体の表面に印字した後、紫外線等の光を照射して、ベース樹脂や重合性モノマー等の樹脂前駆体を重合させると、高分子量で、しかも場合によっては架橋構造等が導入された樹脂が生成されるため、印字に、高い耐水性、耐溶剤性、摩擦耐性等を付与することができる。
特開平10−324836号公報(特許請求の範囲、第0008欄〜第0011欄) 特開2003−261799号公報(特許請求の範囲、第0008欄、第0019欄)
発明者が検討したところによると、特許文献1のインクで使用している、カチオン重合性1液エポキシ樹脂等の、カチオン重合性を有する樹脂前駆体を重合させて得られる樹脂は、総じて被印字体に対する密着性に優れるため、種々の被印字体、特に非吸収性の被印字体の表面に、密着性に優れた印字を形成することができる。しかし、一般に、上記カチオン重合性を有する樹脂前駆体のみを含むインクは、粘度が高く、かつ重合反応が進行してインクが固化するまでに要する硬化時間が長いため、インクジェット用としては使用しづらい面がある上、樹脂前駆体を重合させた樹脂は軟らかいため、形成した印字は、耐擦過性が十分でないという問題がある。
一方、各種アクリレートモノマー等の、ラジカル重合性を有する樹脂前駆体のみを含むインクは、一般に、粘度が低く、しかも硬化時間が短いため、インクジェット用として好適である上、樹脂前駆体を重合させた樹脂は、カチオン重合性を有する樹脂前駆体を重合させた樹脂に比べて硬いため、耐擦過性に優れた印字を形成できるという利点を有している。しかし、ラジカル重合性を有する樹脂前駆体は、総じて、重合時に生じる応力が大きい上、当該樹脂前駆体を重合させた樹脂は、カチオン重合性を有する樹脂前駆体を重合させた樹脂に比べて、被印字体に対する密着性が低いことから、特に非吸収性で、かつ表面エネルギーの小さい材料からなる被印字体の表面に印字して重合させると、応力によるひずみを生じることによって、印字が被印字体の表面からはく離しやすいという問題がある。
本発明の目的は、粘度が低く硬化時間が短いため、インクジェット用インクとして好適に使用できる上、重合後の樹脂が、被印字体に対する密着性に優れると共に、耐擦過性にも優れるため、従来の、重合性のインクに比べてさらに、耐水性、耐溶剤性、摩擦耐性等に優れた印字を形成することができるインクジェット用インクと、それを用いた印字方法とを提供することにある。
請求項1記載の発明は、ラジカル重合性を有する樹脂前駆体と、当該樹脂前駆体を光照射によってラジカル重合反応させるためのラジカル光重合開始剤と、カチオン重合性を有する樹脂前駆体と、当該樹脂前駆体を光照射によってカチオン重合反応させるためのカチオン光重合開始剤と、着色剤とを含む、25℃における表面張力が25〜40mN/mのインクジェットインクであって、
前記カチオン重合性を有する樹脂前駆体を2種以上、含有しているとともに、そのうち最も粘度の高い樹脂前駆体の、25℃における粘度は220〜450mPa・s、インクジェット用インクの総量に対する含有割合は20〜40重量%で、かつ
前記ラジカル重合性を有する樹脂前駆体Rとカチオン重合性を有する樹脂前駆体Cとの重量比R/C=10/90〜20/80の範囲内である
ことを特徴とするインクジェット用インクである
請求項2記載の発明は、表面張力調整剤としての有機変性シリコンアクリレートを含む請求項1に記載のインクジェット用インクである。
請求項記載の発明は、着色剤が、表面をアルミニウムの酸化物で被覆した酸化チタン微粒子である請求項1または2に記載のインクジェット用インクである。
請求項記載の発明は、インクジェットプリンタを使用して、請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェット用インクにより、被印字体の表面に所定のパターンを印字し、次いで光照射してインク中の樹脂前駆体の重合反応を開始させた後、加熱することを特徴とする印字方法である。
請求項1記載の発明によれば、ラジカル重合性を有する樹脂前駆体と、カチオン重合性を有する樹脂前駆体とを併用することによって、インクジェット用インクは、両樹脂前駆体の優れた特性を共に有するものとなる。
すなわち、請求項1記載の発明のインクジェット用インクは、ラジカル重合性を有する樹脂前駆体の機能によって、カチオン重合性を有するもののみを含む場合に比べて、粘度が低く硬化時間が短いため、インクジェット用として好適である。また、上記インクジェット用インクは、ラジカル重合性を有する樹脂前駆体の機能によって、重合後の樹脂が硬いため、耐擦過性に優れた印字を形成することもできる。
また、請求項1記載の発明のインクジェット用インクは、カチオン重合性を有する樹脂前駆体の機能によって、ラジカル重合性を有する樹脂前駆体が重合する際に生じる応力を緩和して、重合後の樹脂にひずみが生じるのを抑制すると共に、被印字体に対する密着性を向上することができる。このため、特に、非吸収性で、かつ表面エネルギーの小さい材料からなる被印字体の表面に印字して重合させた際に、印字が被印字体の表面からはく離するのを防止することもできる。
したがって、請求項1記載の発明のインクジェット用インクは、粘度が低く硬化時間が短いため、インクジェット用として適している上、当該インクジェット用インクによれば、従来の、重合性のインクに比べてさらに、耐水性、耐溶剤性、摩擦耐性等に優れた印字を形成することが可能となる。
また請求項記載の発明によれば、ラジカル重合性を有する樹脂前駆体Rと、カチオン重合性を有する樹脂前駆体Cとを、重量比R/C=10/90〜20/80の割合で併用することによって、上に述べた、両樹脂前駆体がそれぞれ持っている機能を良好にバランスさせて、インクジェット用インクを、さらにインクジェット用として適したものとすると共に、当該インクジェット用インクを用いることによって、より一層、耐水性、耐溶剤性、摩擦耐性等に優れた印字を形成することが可能となる。
また請求項記載の発明によれば、25℃における表面張力を25〜40mN/mとすることによって、インクジェット用インクを、さらにインクジェット用として適したものとすることができる。
さらに請求項1記載の発明によれば、2種以上を併用するカチオン重合性の樹脂前駆体のうち、最も粘度の高い、すなわち分子量が大きく、かつカチオン重合する官能基数の多い樹脂前駆体の、25℃における粘度を220〜450mPa・sに規定すると共に、インクジェット用インクの総量に対する含有割合を20〜40重量%に規定することによって、樹脂前駆体の粘度が過剰に上昇するのを抑制しながら、インクの硬化時間を短くすることができる。また、重合後の樹脂を硬くして、耐擦過性に優れた印字を形成することもできる。
請求項2記載の発明によれば、表面張力調整剤として含有させる有機変性シリコンアクリレートの、ポリシロキサン鎖の長さと有機変性の種類と程度とを調整することによって、インクジェット用インクに、インクジェット用として適切な表面張力と、被印字体の種類に応じた、当該被印字体に対する良好な密着性とを付与することができる。しかも、有機変性シリコンアクリレートは、それ自体が、樹脂前駆体の重合反応に伴って硬化反応するため、重合後の樹脂を硬くして、耐擦過性に優れた印字を形成することもできる。
請求項記載の発明によれば、着色剤としての酸化チタン微粒子の表面を、アルミニウムの酸化物で被覆することによって、当該酸化チタン微粒子の、インク中および重合後の樹脂中での分散性を向上することができる。したがってインクジェット用インクの均一性を向上して、インクジェット用として適したものとすることができる。それと共に、重合後の樹脂の均一性を向上して、被印字体に対する密着性と、耐擦過性とに優れた印字を形成することもできる。
請求項記載の発明によれば、インクジェット用インク中の樹脂前駆体を、まず光照射によって重合反応を開始させた後、加熱して重合反応を活性化させているため、重合後の樹脂の、被印字体に対する密着性を向上して、密着性に優れた印字を形成することができる。また、加熱により重合反応を促進して樹脂の重合度を高めることができるため、重合後の樹脂を硬くして、耐擦過性に優れた印字を形成することもできる。
以下に、本発明を説明する。
《インクジェット用インク》
本発明のインクジェット用インクは、前記のように、ラジカル重合性を有する樹脂前駆体と、当該樹脂前駆体を光照射によってラジカル重合反応させるためのラジカル光重合開始剤と、カチオン重合性を有する樹脂前駆体と、当該樹脂前駆体を光照射によってカチオン重合反応させるためのカチオン光重合開始剤と、着色剤とを含む、25℃における表面張力が25〜40mN/mのインクジェットインクであって、
前記カチオン重合性を有する樹脂前駆体を2種以上、含有していると共に、そのうち最も粘度の高い樹脂前駆体の、25℃における粘度は220〜450mPa・s、インクジェット用インクの総量に対する含有割合は20〜40重量%で、かつ
前記ラジカル重合性を有する樹脂前駆体Rとカチオン重合性を有する樹脂前駆体Cとの重量比R/C=10/90〜20/80の範囲内である
ことを特徴とするものである。
ラジカル重合性を有する樹脂前駆体Rと、カチオン重合性を有する樹脂前駆体Cの重量比R/C=10/90〜20/80に限定されるのは、下記の理由による。すなわち、この範囲より、ラジカル重合性を有する樹脂前駆体Rが少ない場合には、インクジェット用インクの粘度が高く、硬化時間が長くなって、インクジェット用として使用しづらくなるおそれがある。また、重合後の樹脂を硬くして、耐擦過性に優れた印字を形成する効果が得られないおそれもある。
一方、上記の範囲より、カチオン重合性を有する樹脂前駆体Cが少ない場合には、ラジカル重合性を有する樹脂前駆体が重合する際に生じる応力を緩和して、重合後の樹脂にひずみが発生するのを抑制すると共に、被印字体に対する密着性を向上する効果が十分に得られず、特に、非吸収性で、かつ表面エネルギーの小さい材料からなる被印字体の表面に印字して重合させた際に、印字が被印字体の表面からはく離するおそれがある。
これに対し、両樹脂前駆体の重量比R/Cが上記の範囲内であれば、両樹脂前駆体がそれぞれ持っている機能を良好にバランスさせて、インクジェット用インクを、さらにインクジェット用として適したものとすると共に、当該インクジェット用インクを用いることによって、より一層、耐水性、耐溶剤性、摩擦耐性等に優れた印字を形成することが可能となる
また、本発明のインクジェット用インクは、25℃における表面張力が、25〜40mN/mであ。インクジェットプリンタにおいては、インクを吐出しない停止状態において、インクジェットヘッドのノズル中に、インクの表面張力によってインクメニスカスが形成されて、インクがノズルから流れ出すことが防止されると共に、駆動時には、圧電変換素子を作動させる等して、インクジェットヘッド内で発生させた圧力変動に応じて、インクメニスカスが、ノズル中で一定の運動をすることで、一定量のインクが、インク滴としてノズルの先端から吐出される。
しかし、25℃における表面張力が25mN/m未満では、ノズル中に適正なインクメニスカスが形成されないため、停止状態においてインクがノズルから流れ出すのを防止できなかったり、駆動時に、所定量のインクをインク滴としてノズルの先端から吐出させることができなかったりし、結果としてインクのボタ落ちやミストを生じるおそれがある。一方、25℃における表面張力が40mN/mを超える場合には、インクジェットヘッド内部を形成する金属や樹脂等との濡れ性が十分でないため、インクが、ノズル先端まで正常に供給されず、インク滴が吐出されないおそれがある。
これに対し、25℃における表面張力が前記の範囲内であれば、インクジェットヘッドのノズル中に適正なインクメニスカスが形成されるため、インクジェット用インクを安定的に、連続して、インクジェットヘッドのノズルから吐出させることができる。なお、インクジェット用インクをより一層、安定的に、連続して吐出させるためには、当該インクの、25℃における表面張力は、前記の範囲内でも特に、32.0〜38.0mN/mであるのが好ましい。
インクジェット用インクの表面張力を前記の範囲に調整するためには、例えばラジカル重合性およびカチオン重合性の樹脂前駆体の種類を選択したり、その配合割合を調整したり、あるいは後述する表面張力調整剤の種類を選択したり、その配合割合を調整したりすればよい。
〈ラジカル重合性の樹脂前駆体〉
ラジカル重合性を有する樹脂前駆体としては、ラジカル重合反応によって重合して樹脂化する種々のモノマー、オリゴマー、およびプレポリマーがいずれも使用可能である。このうち、ラジカル重合性を有するモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸やそれらの塩もしくはエステル;ウレタン;アミドやその無水物;アクリロニトリル;スチレン;種々の不飽和ポリエステル;不飽和ポリエーテル;不飽和ポリアミド;不飽和ウレタン等が挙げられる。また、ラジカル重合性を有するオリゴマーとしては、例えば直鎖アクリルオリゴマー等の、上記各種のモノマーから形成されるオリゴマーや、エポキシアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等が挙げられる。
中でも、特に、重合後の樹脂を硬くして、耐擦過性に優れた印字を形成することを考慮すると、アクリル酸、メタクリル酸やそれらの塩もしくはエステル等の、各種(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。その具体的化合物としては、例えば下記の各種化合物が挙げられる。
イソアミルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、イソミルスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコールアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルコハク酸、2−アクリロイロキシエチルフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、ラクトン変性可とう性アクリレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート等の単官能モノマー類。
トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート等の2官能モノマー類。
トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート、カウプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、カプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の3官能以上の多官能モノマー類。
このうち、単官能モノマーは、硬化時の収縮率を下げる効果が大きく、また低粘度であるため、インクジェット記録時の射出安定性が得られやすい。また、2官能モノマーは、被印字体への接着性を向上できる他、重合開始時の感度が良好であり、より少ない光照射で重合反応を開始することができる。さらに、3官能以上の多官能モノマーは、重合開始時の感度がさらに良好である上、樹脂に架橋構造を導入して印字の強度を向上させることができる。ラジカル重合性の樹脂前駆体は、上記例示のものをいずれか1種、単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。
〈カチオン重合性の樹脂前駆体〉
カチオン重合性を有する樹脂前駆体としては、カチオン重合反応によって重合して樹脂化する種々のモノマー、オリゴマー、およびプレポリマーがいずれも使用可能である。特に、エポキシタイプの硬化性のプレポリマーを挙げることができ、より詳しくは、1分子内にエポキシ基を2個以上、有するプレポリマーが好ましい。そのようなエポキシタイプのプレポリマーとしては、例えば下記の各種化合物が挙げられる。
分子中に少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体と、エピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジまたはポリグリシジルエーテル類〔具体的化合物としては、ビスフエノールAやそのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等)付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフエノールAやそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、ノボラック型エポキシ樹脂等〕。
少なくとも1個のシクロアルカン環(シクロへキセン環、シクロペンテン環等)を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の酸化剤によってエポキシ化して得られる脂環式ポリエポキシド類〔具体的化合物としては、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート等〕。
脂肪族多価アルコールまたはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル類〔具体的化合物としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテルや、グリセリンまたはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールまたはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールまたはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテルなど〕。
また、その他のエポキシタイプのプレポリマーとしては、例えば多塩基酸のポリグリシジルエステル類、ウレタンポリエポキシ化合物類、エポキシ化ポリブタジエン類等を挙げることもできる。さらに、例えば分子内に1個のエポキシ基を有する脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテルや、フェノール、クレゾールまたはこれらのアルキレンオキサイド付加体のモノグリシジルエーテル等の、エポキシタイプのモノマーを用いることもできる。
また、その他の、カチオン重合性を有する樹脂前駆体としては、例えばスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、β−メチルスチレン、p−メチル−β−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシ−β−メチルスチレン等のスチレン誘導体類;2−ビニルナフタレン、α−メチル−2−ビニルナフタレン、β−メチル−2−ビニルナフタレン、4−メチル−2−ビニルナフタレン、4−メトキシ−2−ビニルナフタレン等のビニルナフタレン誘導体類;イソブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、p−メチルフェニルビニルエーテル、p−メトキシフェニルビニルエーテル、α−メチルフェニルビニルエーテル、β−メチルイソブチルビニルエーテル、β−クロロイソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルインドール、N−ビニルピロール、N−ビニルフェノチアジン、N−ビニルアセトアニリド、N−ビニルエチルアセトアミド、N−ビニルスクシンイミド、N−ビニルフタルイミド、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルイミダゾール等のN−ビニル化合物類などや、あるいは特開平7−53711号公報に開示された、分子中に2個以上のオキセタン環を有する化合物が挙げられる。
カチオン重合性を有する樹脂前駆体は、上記例示のものいずれか2種以上を併用するのうち最も粘度の高い、したがって最も分子量が大きい上、カチオン重合する官能基数が多い樹脂前駆体の、25℃における粘度は220〜450mPa・sであ、その樹脂前駆体の、インクジェット用インクの総量に対する含有割合は20〜40重量%である必要がある
最も粘度の高い樹脂前駆体の、25℃における粘度が220mPa・s未満では、当該樹脂前駆体における、カチオン重合する官能基数が少ないため、インクの硬化時間が長くなるおそれがある。また、重合後の樹脂における架橋密度が低下するため、ラジカル重合性を有する樹脂前駆体を配合することで樹脂を硬くして、耐擦過性に優れた印字を形成する効果が十分に得られないおそれがある。
また、重合性のインクを使用するインクジェットプリンタにおいては、通常、インクジェットヘッド内で、インクを、加熱によって重合反応が開始されない所定の温度(45℃程度)に加温した状態で、ノズルの先端から吐出させることが行われ、その加温温度において良好な吐出性能が得られる適正な粘度の範囲(例えば45℃の加温では7〜12mPa・s程度)が規定されるが、最も粘度の高いカチオン重合性の樹脂前駆体の、25℃における粘度が450mPa・sを超える場合には、所定の加温温度において、インクの粘度が上記の適正な範囲を超えてしまい、インクの吐出性能が悪化するおそれがある。
したがって、カチオン重合性を有する樹脂前駆体のうち最も粘度の高い樹脂前駆体の、25℃における粘度は220〜450mPa・sである必要がある。かかる条件を満たす樹脂前駆体の具体的化合物としては、例えば式(1):
Figure 0004779174
で表されるエポキシタイプのプレポリマー等が挙げられる。
また、上記最も粘度の高い樹脂前駆体の、インクジェット用インクの総量に対する含有割合が20重量%未満では、インクの硬化時間が長くなるおそれがある。また、重合後の樹脂における架橋密度が低下するため、当該樹脂を硬くして、耐擦過性に優れた印字を形成する効果が得られないおそれがある。一方、含有割合が40重量%を超える場合には、インクジェット用インクの全体における粘度が高くなりすぎて、上で説明した所定の加温温度における適正な粘度の範囲を超えてしまい、インクの吐出性能が悪化するおそれがある。したがって、カチオン重合性を有する樹脂前駆体のうち最も粘度の高い樹脂前駆体の、インクジェット用インクの総量に対する含有割合は20〜40重量%であるのが好ましい。
〈ラジカル光重合開始剤〉
ラジカル重合性の樹脂前駆体を、光照射によってラジカル重合反応させるためのラジカル光重合開始剤としては、例えばアリールアルキルケトン、オキシムケトン、チオ安息香酸S−フェニル、チタノセン、芳香族ケトン、チオキサントン、ベンジルとキノン誘導体、ケトクマリン類などの従来公知の開始剤が挙げられる。開始剤については「UV・EB硬化技術の応用と市場」(シーエムシー出版、田畑米穂監修/ラドテック研究会編集)に詳しい。中でもアシルフォスフィンオキシドやアシルフォスフォナートは、感度が高く、開始剤の光開裂により吸収が減少するため、インクジェットインクのように1色当たり5〜15μmの厚みを持つ印字内での内部硬化に特に有効である。具体的には、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイドなどが好ましい。
また、感作性、皮膚刺激性、眼刺激性、変異原性、毒性など安全性を考慮した場合、例えば1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(ダロキュア(R)1173)等が好適に用いられる。
その他のラジカル光重合開始剤としては、例えばアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p′−ジクロロベンゾフェノン、p,p,−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォーメート、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド等が挙げられる。
ラジカル光重合開始剤は、上記例示のものをいずれか1種、単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。ラジカル光重合開始剤の添加量は、ラジカル重合性の樹脂前駆体100重量部に対して5〜100重量部であるのが好ましく、6〜90重量部であるのがさらに好ましい。
〈カチオン光重合開始剤〉
カチオン重合性の樹脂前駆体を、光照射によってカチオン重合反応させるためのカチオン光重合開始剤としては、従来公知の種々の、カチオン光重合開始剤を用いることができる。カチオン光重合開始剤の具体的化合物としては、例えばジアゾニウム塩、ヨードニウム塩(ジアリールヨードニウム塩等)、スルホニウム塩(トリアリールスルホニウム塩等)、鉄アレン錯体、有機ポリハロゲン化合物等が挙げられる。このうち、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩及びスルホニウム塩としては、特公昭54−14277号、特公昭54−14278号、特開昭51−56885号、米国特許第3,708,296号、同第3,853,002号等に記載された化合物が挙げられる。
特に好適な化合物としては、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C 、PF 、AsF 、SbF 、CFSO 塩が挙げられ、中でも対アニオンとしてボレート化合物をもつものが、酸発生能力が高く好ましい。また、スルホン酸を発生するスルホン化物、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物、鉄アレン錯体等も好適である。さらに、カチオン光重合開始剤については、津田譲著「超LSLレジストの分子設計」〔共立出版、1990〕の55〜78ページに記載の光酸発生剤化合物を使用することもできる。
カチオン光重合開始剤は、上記例示のものをいずれか1種、単独で使用してもよいし、2種以上を併用することもできる。カチオン光重合開始剤の添加量は、カチオン重合性の樹脂前駆体100重量部に対して3〜15重量部であるのが好ましく、5〜10重量部であるのがさらに好ましい。
〈着色剤〉
着色剤としては顔料、染料などの従来公知の種々の着色剤を使用することができ、特に印字の隠蔽性を向上することや、印字の耐候性を向上することなどを考慮すると顔料が好ましい。
また顔料としては、インクの色に応じた無機もしくは有機の種々の顔料を使用することができ、特に耐候性を考慮すると無機の顔料が好ましい。例えば耐候性と隠蔽性に優れた、白色の印字を行うための無機の顔料としては、酸化亜鉛、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛などの微粒子を挙げることができ、特に酸化チタンの微粒子が好ましい。
また、酸化チタンの微粒子としては、ルチル型、アナタース型等の種々の結晶形を有するものがいずれも使用可能であるが、印字の堅牢性を向上してチョーキングを防止することなどを考慮すると、特にルチル型の結晶形を有する酸化チタンの微粒子が好ましい。
また、酸化チタンの微粒子としては、インクへの分散性を向上するために、その表面をアルミニウムの酸化物で被覆したものを用いるのが好ましい。
着色剤の含有割合は、インクジェット用インクの総量に対して20〜40重量%であるのが好ましい。20重量%未満では印字の隠蔽性が低下するおそれがあり、逆に40重量%を超える場合にはインクの粘度が過剰に上昇して、ノズルでの目詰まりなどを生じるおそれがある。
〈その他の添加剤〉
本発明のインクジェット用インクには、上記各成分に加えてさらに表面張力調整剤、分散剤、増感剤などを含有させることもできる。
このうち表面張力調整剤としては、有機変性シリコンアクリレートが好ましい。有機変性シリコンアクリレートとは、直鎖型ジメチルポリシロキサンの主鎖に、アクリレート官能基を含む側鎖を導入した化合物であって、主鎖としてのポリシロキサン鎖の長さと、有機変性、つまりアクリレート官能基を含む側鎖の種類と、その導入の程度とを調整することによって、インクジェット用インクに、インクジェット用として適切な表面張力と、被印字体の種類に応じた、当該被印字体に対する良好な密着性とを付与することができる。しかも、有機変性シリコンアクリレートは、側鎖に導入したアクリレート官能基が、樹脂前駆体の重合反応に伴って、有機変性シリコンアクリレート同士、および樹脂前駆体と硬化反応するため、重合後の樹脂を硬くして、耐擦過性に優れた印字を形成することもできる。
かかる有機変性シリコンアクリレートとしては、例えば分子量が1000〜20000で、かつ全シロキサン単位中の3〜50モル%にアクリレート官能基を含む側鎖を導入した化合物が挙げられる。好ましくは、式(2):
Figure 0004779174
〔式中のxは2〜200、yは1〜50、zは2〜6の整数を示す。〕
で表される化合物が挙げられ、その具体例としては、デグサ(degussa)社製のテゴ(TEGO、登録商標) Radシリーズのうち、例えば品番2100、2500、2600、2700等が挙げられる。有機変性シリコンアクリレートの含有割合は、インクジェット用インクの総量に対して0.1〜1.0重量%であるのが好ましく、0.2〜0.6重量%であるのがさらに好ましい。
分散剤は、着色剤としての顔料を、インクジェット用インク中に、凝集や沈降等を生じさせることなく均一に分散させるためのもので、分散剤としては、従来公知の種々の分散剤がいずれも使用可能であるが、特に櫛型の分子構造を有する分散剤が、着色剤としての顔料の分散性に優れるため好ましい。かかる櫛型の分子構造を有する分散剤の具体例としては、アビシア(株)製の商品名ソルスパースシリーズのうち、例えば品番24000、26000、28000、31845、32000、32550、34750、41000等が挙げられる。
分散剤は、着色剤100重量部に対して0.5〜2重量部の割合で含有させるのが好ましい。0.5重量部未満では、着色剤の分散性を向上する効果が得られないおそれがあり、逆に2重量部を超える場合には、重合後の樹脂の耐溶剤性、耐摩擦性などが低下するおそれがある。
増感剤としては、例えばトリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、N,N−ジメチルベンジルアミン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン類を挙げることができる。
本発明のインクジェット用インクは、ラジカル重合性およびカチオン重合性の樹脂前駆体として、常温(23±1℃)で液状のものを用いることで、基本的に溶剤を配合せずに構成できる。樹脂前駆体の一部など、インクジェット用インクを構成するいずれかの成分が常温で固形であっても、全成分を配合した際に、常温で液状を呈し、ノズルから吐出可能であれば、溶剤を配合する必要はない。そのためには、例えば樹脂前駆体の一部を、前記例示の各種樹脂前駆体のうち、低分子量で低粘度の成分(重合性希釈剤)とすればよい。ただし、必要に応じて、樹脂前駆体を溶解しうる溶剤を配合しても構わない。
《印字方法》
本発明の印字方法は、インクジェットプリンタを使用して、上記インクジェット用インクにより、被印字体の表面に所定のパターンを印字し、次いで光照射してインク中の樹脂前駆体の重合反応を開始させた後、加熱することを特徴とするものである。
光照射して樹脂前駆体の重合反応を開始させた後、加熱すると、重合反応を活性化させることができるため、重合後の樹脂の、被印字体に対する密着性を向上して、密着性に優れた印字を形成することができる。また、加熱により重合反応を促進して樹脂の重合度を高めることができるため、重合後の樹脂を硬くして、耐擦過性に優れた印字を形成することもできる。
加熱の条件は特に限定されないが、加熱温度は、110〜200℃であるのが好ましく、120〜180℃であるのがさらに好ましい。また加熱時間は30〜120分間であるのが好ましく、40〜90分間であるのがさらに好ましい。
本発明の印字方法のその他の工程は、従来同様に実施することができる。例えばインクジェットプリンタによる印字の工程は、インクジェットヘッド内で、インクを、加熱によって重合反応が開始されない所定の温度(45℃程度)に加温した状態で、ノズルの先端から吐出させて行うことができる。また、印字後の光照射の工程では、例えば紫外線、可視光線、赤外線等の光のうち、ラジカル光重合開始剤、カチオン光重合開始剤が感度を有する所定波長の光が印字に照射される。
印字が形成される被印字体としては、特に非吸収性のものが好ましく、非吸収性の被印字体としては、例えば各種樹脂、繊維強化樹脂、金属等からなる板状もしくは所定の立体形状を有する基材が挙げられる。
以下に本発明を、実施例、比較例に基づいて説明する。
実施例1:
顔料としての、表面をアルミニウムの酸化物で被覆した、ルチル型の結晶形を有する酸化チタンの微粒子〔石原産業(株)製のR−630、平均粒径0.24μm〕12重量部と、分散剤〔アビシア(株)製の商品名ソルスパース36000〕0.4重量部と、ラジカル重合性の樹脂前駆体としての1,6−ヘキサンジオールジアクリレート〔化薬サートマー(株)製のKS−HDDA、分子量226〕10重量部とを、ジルコニアビーズと共にガラス製の密閉容器に入れてペイントシェーカーで2時間、分散処理した後、密閉容器から取り出して分散処理液を得た。
次に、この分散処理液22.4重量部に、カチオン重合性の樹脂前駆体としての、前記式(1)で表される高粘度のエポキシタイプのプレポリマー〔ダウ・ケミカル社製のシラキュアー(CYRACURE、登録商標) UVR−6105、25℃における粘度240mPa・s〕28.2重量部と、低粘度のエポキシタイプのプレポリマーとしてのリモネンジオキシド〔アトフィナ(ATOFINA)社製〕39重量部とを加えてかく拌した。
次いで、上記の混合物89.6重量部に、遮光下で、表面張力調整剤としての有機変性シリコンアクリレート〔デグサ社製のTEGO Rad2100〕0.4重量部と、ラジカル光重合開始剤〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製のイルガキュア(IRGACURE、登録商標)184〕5重量部と、カチオン光重合開始剤〔ダウ・ケミカル社製のUVI−6992〕5重量部とを加えて1時間、かく拌し、次いで絶対口径10μmのメンブレンフィルターでろ過して不溶分を除去することによってインクジェット用インクを製造した。
ラジカル重合性の樹脂前駆体Rと、カチオン重合性の樹脂前駆体Cとの重量比R/C=13/87、カチオン重合性の樹脂前駆体のうち最も粘度の高い式(1)のプレポリマーの、25℃における粘度は240mPa・s、インクジェット用インクの総量に対する含有割合は28.2重量%であった。
また、インクジェット用インクの、25℃における表面張力を、KRUSS社製のデジタルテンションメータを用いて測定したところ34.2mN/mであった。また、インクジェット用インクの、45℃における粘度を、東機産業(株)製のR型粘度計を用いて測定したところ10.2mPa・sであった。
実施例2:
分散剤の配合割合を0.26重量部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートの配合量を7.5重量部、式(1)で表される高粘度のエポキシタイプのプレポリマーの配合量を23重量部、リモネンジオキシドの配合量を46.84重量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用インクを製造した。
ラジカル重合性の樹脂前駆体Rと、カチオン重合性の樹脂前駆体Cとの重量比R/C=10/90、カチオン重合性の樹脂前駆体のうち最も粘度の高い式(1)のプレポリマーの、25℃における粘度は240mPa・s、インクジェット用インクの総量に対する含有割合は23重量%であった。また、インクジェット用インクの、25℃における表面張力は36.6mN/m、45℃における粘度は9.8mPa・sであった。
実施例3:
分散剤の配合割合を0.52重量部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートの配合量を15.5重量部、式(1)で表される高粘度のエポキシタイプのプレポリマーの配合量を23重量部、リモネンジオキシドの配合量を38.58重量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用インクを製造した。
ラジカル重合性の樹脂前駆体Rと、カチオン重合性の樹脂前駆体Cとの重量比R/C=20/80、カチオン重合性の樹脂前駆体のうち最も粘度の高い式(1)のプレポリマーの、25℃における粘度は240mPa・s、インクジェット用インクの総量に対する含有割合は23重量%であった。また、インクジェット用インクの、25℃における表面張力は33.1mN/m、45℃における粘度は9.5mPa・sであった。
比較例1
分散剤の配合割合を0.13重量部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートの配合量を3.7重量部、式(1)で表される高粘度のエポキシタイプのプレポリマーの配合量を23重量部、リモネンジオキシドの配合量を50.77重量部、ラジカル光重合開始剤の配合量を3.3重量部、カチオン光重合開始剤の配合量を6.7重量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用インクを製造した。
ラジカル重合性の樹脂前駆体Rと、カチオン重合性の樹脂前駆体Cとの重量比R/C=5/95、カチオン重合性の樹脂前駆体のうち最も粘度の高い式(1)のプレポリマーの、25℃における粘度は240mPa・s、インクジェット用インクの総量に対する含有割合は23重量%であった。また、インクジェット用インクの、25℃における表面張力は37.6mN/m、45℃における粘度は9.2mPa・sであった。
比較例2
分散剤の配合割合を0.26重量部、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートの配合量を21重量部、式(1)で表される高粘度のエポキシタイプのプレポリマーの配合量を23重量部、リモネンジオキシドの配合量を33.34重量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用インクを製造した。
ラジカル重合性の樹脂前駆体Rと、カチオン重合性の樹脂前駆体Cとの重量比R/C=27/73、カチオン重合性の樹脂前駆体のうち最も粘度の高い式(1)のプレポリマーの、25℃における粘度は240mPa・s、インクジェット用インクの総量に対する含有割合は23重量%であった。また、インクジェット用インクの、25℃における表面張力は32.7mN/m、45℃における粘度は9.2mPa・sであった。
実施例4
有機変性シリコンアクリレートの配合量を0.3重量部、リモネンジオキシドの配合量を39.1重量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用インクを製造した。
ラジカル重合性の樹脂前駆体Rと、カチオン重合性の樹脂前駆体Cとの重量比R/C=13/87、カチオン重合性の樹脂前駆体のうち最も粘度の高い式(1)のプレポリマーの、25℃における粘度は240mPa・s、インクジェット用インクの総量に対する含有割合は28.2重量%であった。また、インクジェット用インクの、25℃における表面張力は39.8mN/m、45℃における粘度は10.5mPa・sであった。
比較例3
有機変性シリコンアクリレートの配合量を0.2重量部、リモネンジオキシドの配合量を39.2重量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用インクを製造した。
ラジカル重合性の樹脂前駆体Rと、カチオン重合性の樹脂前駆体Cとの重量比R/C=13/87、カチオン重合性の樹脂前駆体のうち最も粘度の高い式(1)のプレポリマーの、25℃における粘度は240mPa・s、インクジェット用インクの総量に対する含有割合は28.2重量%であった。また、インクジェット用インクの、25℃における表面張力は44.4mN/m、45℃における粘度は10.4mPa・sであった。
実施例5
有機変性シリコンアクリレートの配合量を0.5重量部、リモネンジオキシドの配合量を38.9重量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用インクを製造した。
ラジカル重合性の樹脂前駆体Rと、カチオン重合性の樹脂前駆体Cとの重量比R/C=13/87、カチオン重合性の樹脂前駆体のうち最も粘度の高い式(1)のプレポリマーの、25℃における粘度は240mPa・s、インクジェット用インクの総量に対する含有割合は28.2重量%であった。また、インクジェット用インクの、25℃における表面張力は25.2mN/m、45℃における粘度は10.2mPa・sであった。
比較例4
有機変性シリコンアクリレートの配合量を0.6重量部、リモネンジオキシドの配合量を38.8重量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用インクを製造した。
ラジカル重合性の樹脂前駆体Rと、カチオン重合性の樹脂前駆体Cとの重量比R/C=13/87、カチオン重合性の樹脂前駆体のうち最も粘度の高い式(1)のプレポリマーの、25℃における粘度は240mPa・s、インクジェット用インクの総量に対する含有割合は28.2重量%であった。また、インクジェット用インクの、25℃における表面張力は21.0mN/m、45℃における粘度は10.0mPa・sであった。
実施例6
表面張力調整剤として、有機変性シリコンアクリレートに代えて、アセチレンジオール系界面活性剤〔エアー・プロダクツ・アンド・ケミカルス社製のサーフィノール(登録商標)140〕0.4重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用インクを製造した。
ラジカル重合性の樹脂前駆体Rと、カチオン重合性の樹脂前駆体Cとの重量比R/C=13/87、カチオン重合性の樹脂前駆体のうち最も粘度の高い式(1)のプレポリマーの、25℃における粘度は240mPa・s、インクジェット用インクの総量に対する含有割合は28.2重量%であった。また、インクジェット用インクの、25℃における表面張力は37.0mN/m、45℃における粘度は10.0mPa・sであった。
実施例7
カチオン重合性の樹脂前駆体のうち、前記式(1)で表されるプレポリマーとして、ダウ・ケミカル社製のシラキュアー UVR−6110(25℃における粘度450mPa・s)28.2重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用インクを製造した。
ラジカル重合性の樹脂前駆体Rと、カチオン重合性の樹脂前駆体Cとの重量比R/C=13/87、カチオン重合性の樹脂前駆体のうち最も粘度の高い式(1)のプレポリマーの、25℃における粘度は450mPa・s、インクジェット用インクの総量に対する含有割合は28.2重量%であった。また、インクジェット用インクの、25℃における表面張力は32.8mN/m、45℃における粘度は11.7mPa・sであった。
実施例8
カチオン重合性の樹脂前駆体のうち、前記式(1)で表されるプレポリマーとして、ダウ・ケミカル社製のシラキュアー UVR−6105のうちロット違いで、25℃における粘度が220mPa・sであるもの28.2重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用インクを製造した。
ラジカル重合性の樹脂前駆体Rと、カチオン重合性の樹脂前駆体Cとの重量比R/C=13/87、カチオン重合性の樹脂前駆体のうち最も粘度の高い式(1)のプレポリマーの、25℃における粘度は220mPa・s、インクジェット用インクの総量に対する含有割合は28.2重量%であった。また、インクジェット用インクの、25℃における表面張力は33.1mN/m、45℃における粘度は7.5mPa・sであった。
比較例5
カチオン重合性の樹脂前駆体のうち、前記式(1)で表されるプレポリマーに代えて、式(3):
Figure 0004779174
で表されるエポキシタイプのプレポリマー〔ダウ・ケミカル社製のシラキュアー VCMX−C、25℃における粘度180mPa・s〕28.2重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用インクを製造した。
ラジカル重合性の樹脂前駆体Rと、カチオン重合性の樹脂前駆体Cとの重量比R/C=13/87、カチオン重合性の樹脂前駆体のうち最も粘度の高い式(2)のプレポリマーの、25℃における粘度は180mPa・s、インクジェット用インクの総量に対する含有割合は28.2重量%であった。また、インクジェット用インクの、25℃における表面張力は32.8mN/m、45℃における粘度は6.8mPa・sであった。
比較例6
カチオン重合性の樹脂前駆体のうち、前記式(1)で表されるプレポリマーに代えて、式(4):
Figure 0004779174
で表されるエポキシタイプのプレポリマー〔ダウ・ケミカル社製のシラキュアー UVR−6128、25℃における粘度550mPa・s〕28.2重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用インクを製造した。
ラジカル重合性の樹脂前駆体Rと、カチオン重合性の樹脂前駆体Cとの重量比R/C=13/87、カチオン重合性の樹脂前駆体のうち最も粘度の高い式(3)のプレポリマーの、25℃における粘度は550mPa・s、インクジェット用インクの総量に対する含有割合は28.2重量%であった。また、インクジェット用インクの、25℃における表面張力は33.5mN/m、45℃における粘度は12.2mPa・sであった。
実施例9
式(1)で表される高粘度のエポキシタイプのプレポリマーの配合量を20.2重量部、リモネンジオキシドの配合量を47重量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用インクを製造した。
ラジカル重合性の樹脂前駆体Rと、カチオン重合性の樹脂前駆体Cとの重量比R/C=13/87、カチオン重合性の樹脂前駆体のうち最も粘度の高い式(1)のプレポリマーの、25℃における粘度は240mPa・s、インクジェット用インクの総量に対する含有割合は20.2重量%であった。また、インクジェット用インクの、25℃における表面張力は31.8mN/m、45℃における粘度は7.3mPa・sであった。
実施例10
式(1)で表される高粘度のエポキシタイプのプレポリマーの配合量を39.2重量部、リモネンジオキシドの配合量を28重量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用インクを製造した。
ラジカル重合性の樹脂前駆体Rと、カチオン重合性の樹脂前駆体Cとの重量比R/C=13/87、カチオン重合性の樹脂前駆体のうち最も粘度の高い式(1)のプレポリマーの、25℃における粘度は240mPa・s、インクジェット用インクの総量に対する含有割合は39.2重量%であった。また、インクジェット用インクの、25℃における表面張力は32.4mN/m、45℃における粘度は11.8mPa・sであった。
比較例7
式(1)で表される高粘度のエポキシタイプのプレポリマーの配合量を17.2重量部、リモネンジオキシドの配合量を50重量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用インクを製造した。
ラジカル重合性の樹脂前駆体Rと、カチオン重合性の樹脂前駆体Cとの重量比R/C=13/87、カチオン重合性の樹脂前駆体のうち最も粘度の高い式(1)のプレポリマーの、25℃における粘度は240mPa・s、インクジェット用インクの総量に対する含有割合は17.2重量%であった。また、インクジェット用インクの、25℃における表面張力は33.6mN/m、45℃における粘度は6.8mPa・sであった。
比較例8
式(1)で表される高粘度のエポキシタイプのプレポリマーの配合量を43.2重量部、リモネンジオキシドの配合量を24重量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用インクを製造した。
ラジカル重合性の樹脂前駆体Rと、カチオン重合性の樹脂前駆体Cとの重量比R/C=13/87、カチオン重合性の樹脂前駆体のうち最も粘度の高い式(1)のプレポリマーの、25℃における粘度は240mPa・s、インクジェット用インクの総量に対する含有割合は43.2重量%であった。また、インクジェット用インクの、25℃における表面張力は32.0mN/m、45℃における粘度は12.4mPa・sであった。
実施例11
顔料として、表面をアルミニウムの酸化物で被覆した、ルチル型の結晶形を有する酸化チタンの微粒子に代えて、表面をアルミニウムの酸化物で被覆していない、アナタース型の結晶形を有する酸化チタンの微粒子〔石原産業(株)製のA−100、平均粒径0.15μm〕12重量部を用いたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用インクを製造した。
ラジカル重合性の樹脂前駆体Rと、カチオン重合性の樹脂前駆体Cとの重量比R/C=13/87、カチオン重合性の樹脂前駆体のうち最も粘度の高い式(1)のプレポリマーの、25℃における粘度は240mPa・s、インクジェット用インクの総量に対する含有割合は28.2重量%であった。また、インクジェット用インクの、25℃における表面張力は32.7mN/m、45℃における粘度は10.3mPa・sであった。
比較例9
1,6−ヘキサンジオールジアクリレートの配合量を82.2重量部とし、式(1)で表される高粘度のエポキシタイプのプレポリマーと、リモネンジオキシドと、カチオン光重合開始剤とを配合しなかったこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用インクを製造した。
ラジカル重合性の樹脂前駆体Rと、カチオン重合性の樹脂前駆体Cとの重量比R/C=100/0、カチオン重合性の樹脂前駆体のうち最も粘度の高い式(1)のプレポリマーの、インクジェット用インクの総量に対する含有割合は0重量%であった。また、インクジェット用インクの、25℃における表面張力は32.4mN/m、45℃における粘度は108.0mPa・sであった。
比較例10
1,6−ヘキサンジオールジアクリレートと、ラジカル光重合開始剤とを配合せず、式(1)で表される高粘度のエポキシタイプのプレポリマーの配合量を23重量部、リモネンジオキシドの配合量を59.2重量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェット用インクを製造した。
ラジカル重合性の樹脂前駆体Rと、カチオン重合性の樹脂前駆体Cとの重量比R/C=0/100、カチオン重合性の樹脂前駆体のうち最も粘度の高い式(1)のプレポリマーの、25℃における粘度は240mPa・s、インクジェット用インクの総量に対する含有割合は23重量%であった。また、インクジェット用インクの、25℃における表面張力は32.0mN/m、45℃における粘度は11.4mPa・sであった。
実機試験:
上記各実施例、比較例で製造したインクジェット用インクを、インクジェットプリンタ〔セイコーエプソン社製のMC−2000〕に使用して、被印字体としてのポリプロピレン製フィルムの表面に、ベタ印字および8.0ポイントの文字パターンを印字し、次いで、出力を100%、コンベアスピードを10m/分に設定した紫外線照射装置〔Fusion UVSystem社製のLH−6〕内を通過させて、紫外線照射により重合反応を開始させ、さらに150℃の恒温槽中で60分間静置して加熱したのち、取り出して、下記の各試験を行い、その特性を評価した。
印字の密着性:
日本工業規格JIS D0202−1988「自動車部品の塗膜通則」所載のXカットテープピール法によってベタ印字の密着性をテストし、下記の基準で評価した。
◎:10点、剥がれは全く見られなかった。密着性極めて良好。
○:6〜8点、Xカット部に僅かに剥がれがあったが、交点には剥がれは見られなかった。密着性良好。
×:4点以下、Xカット部に3mm以内の剥がれが見られた。密着性不良。
連続吐出性:
30分間、連続してベタ印字を行って、その間にノズル抜けおよび飛行曲がりが発生したか否かを観察し、下記の基準で評価した。
◎:ノズル抜けおよび飛行曲がりは全く見られなかった。連続吐出性極めて良好。
○:ノズル抜けおよび飛行曲がりが1〜2個所で発生した。連続吐出性良好。
×:ノズル抜けおよび飛行曲がりが3箇所以上で発生した。連続吐出性不良。
耐擦過性:
ベタ印字について、日本工業規格JIS K5400−1990「塗料一般試験方法」に規定した鉛筆硬度を測定して、下記の基準で印字の耐擦過性を評価した。
◎:6H以上、耐擦過性極めて良好。
○:5H、耐擦過性良好。
×:4H以下、耐擦過性不良。
隠蔽性:
ベタ印字の隠蔽性を、日本電飾(株)製のNF999を用いて、日本工業規格JIS P8148−2001「紙,板紙及びパルプ−ISO白色度(拡散青色光反射率)の測定方法」に則って測定し、下記の基準で評価した。
◎:55.0以上、隠蔽性極めて良好。
○:40.0以上、55.0未満、隠蔽性良好。
×:40.0未満、隠蔽性不良。
硬化時間評価:
硬化時間は、紫外線照射のみで評価した。すなわち、上記実機試験と同様にして、被印字体としてのポリプロピレン製フィルムの表面に印字したベタ印字がタックフリーになるまで、繰り返し、紫外線照射装置〔Fusion UVSystem社製のLH−6〕内を通過させて、その通過回数を記録し、下記の基準で硬化時間の長短を評価した。
◎:1回でタックフリーになった。硬化時間極めて短い。
○:2回でタックフリーになった。硬化時間短い。
×:3回以上でタックフリーになった。硬化時間長い。
結果を表1〜表6に示す。なお実施例1については、実機試験において、150℃の恒温槽中で60分間静置して加熱する工程を省略し、かつ紫外線照射装置内を2回通過させて硬化させたのち、各試験を行った結果も合わせて表中に記載している。
Figure 0004779174
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表より、ラジカル重合性の樹脂前駆体のみを含む比較例9のインクジェット用インクを用いた場合には、印字の密着性が不良(×)であることがわかった。また、逆に、カチオン重合性の樹脂前駆体のみを含む比較例2のインクジェットインクを用いた場合には、硬化時間が長くかかり過ぎる(×)上、印字の耐擦過性が不良(×)であることがわかった。
これに対し、ラジカル重合性の樹脂前駆体とカチオン重合性の樹脂前駆体とを併用した各実施例、比較例のインクジェットインクを用いた場合には、比較例10に比べて硬化時間を短く(◎または○)できる上、印字の密着性、連続吐出性、耐擦過性、および隠蔽性が、いずれも良好(○)または極めて良好(◎)という結果を得ることができた。また、上記各実施例を比較した結果、下記の事実が確認された。
ラジカル重合性の樹脂前駆体Rとカチオン重合性の樹脂前駆体Cとの重量比R/Cを変化させた実施例1〜3、比較例1、2の結果より、上記重量比R/Cは、10/90〜20/80である必要があることがわかった。
表面張力調整剤としての有機変性シリコンアクリレートの量を調整して、25℃における表面張力を変化させた実施例1、4、5、比較例3、4の結果より、インクジェット用インクの、25℃における表面張力は、25〜40mN/mである必要があることが確認された。それと共に、実施例1と、表面張力調整剤として有機変性シリコンアクリレート以外の化合物を使用した実施例6の結果より、表面張力調整剤としては、有機変性シリコンアクリレートを用いるのが好ましいことが確認された。
カチオン重合性の樹脂前駆体のうち高粘度の成分として、25℃における粘度が異なるものを使用した実施例1、7、8、比較例5、6の結果より、当該高粘度の成分としては、25℃における粘度が220〜450mPa・sであるものを用いる必要があることが確認された。また、上記高粘度の成分の含有割合を変化させた実施例1、9、10、比較例7、8の結果より、当該高粘度の成分の、インクジェット用インクの総量に対する含有割合は20〜40重量%である必要があることが確認された。
実施例1と、表面をアルミニウムの酸化物で被覆していない、アナタース型の結晶形を有する酸化チタン微粒子を使用した実施例11の結果より、顔料としては、表面をアルミニウムの酸化物で被覆した、ルチル型の結晶形を有する酸化チタン微粒子を使用するのが好ましいことが確認された。
紫外線照射後の印字を加熱した実施例1と、加熱しなかった実施例1(加熱ナシ)の結果より、紫外線照射後の印字を加熱するのが好ましいことが確認された。

Claims (4)

  1. ラジカル重合性を有する樹脂前駆体と、当該樹脂前駆体を光照射によってラジカル重合反応させるためのラジカル光重合開始剤と、カチオン重合性を有する樹脂前駆体と、当該樹脂前駆体を光照射によってカチオン重合反応させるためのカチオン光重合開始剤と、着色剤とを含む、25℃における表面張力が25〜40mN/mのインクジェットインクであって、
    前記カチオン重合性を有する樹脂前駆体を2種以上、含有していると共に、そのうち最も粘度の高い樹脂前駆体の、25℃における粘度は220〜450mPa・s、インクジェット用インクの総量に対する含有割合は20〜40重量%で、かつ
    前記ラジカル重合性を有する樹脂前駆体Rとカチオン重合性を有する樹脂前駆体Cとの重量比R/C=10/90〜20/80の範囲内である
    ことを特徴とするインクジェット用インク。
  2. 表面張力調整剤としての有機変性シリコンアクリレートを含む請求項1記載のインクジェット用インク。
  3. 着色剤が、表面をアルミニウムの酸化物で被覆した酸化チタン微粒子である請求項1または2に記載のインクジェット用インク。
  4. インクジェットプリンタを使用して、請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェット用インクにより、被印字体の表面に所定のパターンを印字し、次いで光照射してインク中の樹脂前駆体の重合反応を開始させた後、加熱することを特徴とする印字方法。
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