JP4173331B2 - インクジェットインク組成物およびインクジェット印写物の製造方法 - Google Patents

インクジェットインク組成物およびインクジェット印写物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク組成物および該インク組成物を使用したインクジェット式プリンタによる印写物の製造方法に関し、とくには紫外線照射によって硬化するインク組成物、該インク組成物を使用した印写物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、インクジェット印写技術を用いた記録方式が普及している。
【0003】
近年、インクジェット印写技術において、記録媒体として使用される媒体は紙だけに止まらず、フィルム、プラスチック、セラミックス、金属、布帛などの様々な材料に対する画像記録が行なわれている。しかしながら、インクとして液体インクを使用した場合、これらの記録媒体に印写すると、滲み現象が現れ、鮮明な画像が得られない。
【0004】
その問題を解決する方法として、前処理を行なってインク受容層を記録媒体の記録面に形成する方法が提供されている。しかしながら、記録面にインク受容層を形成するには、このような前処理工程が必要であり、また、インクジェット印写後に、さらに、そのインク受容層を取り除くための後処理工程が必要となる場合もあり、極めて効率がわるいという問題があった。
【0005】
このような問題点を解決する方法として、インク受容層を形成しない状態で、直接、記録面にインクジェット印写が可能であるホットメルトインクを使った印写方法が開発された。この印写方法に使用されるホットメルトインクは、常温で固体(半固体)のビヒクルを加熱溶融したものを溶媒とし、そこに色材を溶解させてなるインク組成物である。しかしながら、ホットメルトインクの最大の欠点として、インクの主成分としてワックスを用いる場合が多く、ホットメルトインクで形成された画像は、耐スクラッチ性に問題があることが指摘されている。
【0006】
また、近年、液体インクでありながらも印写後紫外線などを照射することにより耐スクラッチ性に優れた硬化膜を得ることのできる紫外線硬化型インクジェットインクが開発されている。しかし、紫外線硬化型インクの欠点として、印写後から紫外線が照射され硬化するまでのインクの滲み、吐出安定性の点からインク粘度が制限されるなどの問題が挙げられる。
【0007】
これを解決する方法として、特開平2−311569号公報には、光重合性モノマー、熱軟化性樹脂および光重合開始剤から構成されるインキ自体を加熱し、粘度を下げてプリントする方法が提案されている。しかしながら、この方法では、光重合モノマー中に熱軟化性樹脂を分散させなければならず、その際に有機溶剤を使用するので、インクの加熱中にそれらが揮発するため、臭気や健康上に問題があった。また、有機溶剤を使用せずに光重合開始剤中に熱軟化性樹脂を分散させて使用した場合には、分散状態が均一になりにくく、インク硬化後に均一な硬化膜が得られないなどの問題点があった。
【0008】
また、インクをプリンタヘッドの吐出可能な粘度にするため、インクの主成分を反応性希釈剤と呼ばれる比較的粘度の低いモノマー成分から構成することも考えられるが、硬化膜の被着体への接着性や柔軟性に欠けるという問題があった。とくに、着色を目的とした色材を多く含有する紫外線硬化型インクは、照射した紫外線がインク内部まで届きにくいため、強固な硬化膜を形成させることは非常に困難であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の課題は、インクジェット式プリンタに適用可能であり、かつ紫外線などのエネルギー照射により硬化するインク組成物において、その硬化膜が被着体との接着性に優れ、かつ強固な皮膜を形成することにより耐スクラッチに優れ、さらに、滲みなく画像を形成することができるインク組成物、該インク組成物を用いた印写方法、およびそれにより得られる印写物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような課題背景に対して鋭意研究を重ねた結果、着色成分、反応性希釈剤、光重合開始剤、および、反応性希釈剤と相容性を有するオリゴマー成分から構成された紫外線硬化型インクジェットインクを用い、加温可能なプリンタヘッドを使用し、加温することによって、粘度低下されたインクを吐出することを可能にしたものである。
【0011】
すなわち、本発明は、着色成分、反応性希釈剤、光重合開始剤、ならびに、反応性希釈剤と相容性を有する反応性オリゴマーおよび/または反応性プレポリマーからなる紫外線硬化型インクジェットインク組成物であって、25℃における粘度が60〜800cpsであるインク組成物に関する。
【0012】
前記インク組成物において、反応性オリゴマーおよび/または反応性プレポリマーの60℃における粘度は40〜10000cpsであることが好ましい。
【0013】
前記反応性オリゴマーおよび/または反応性プレポリマーの含有量は10〜80重量%であることが好ましい。
【0014】
また、本発明は、前記インク組成物を40〜150℃に加温する工程、加温されたインク組成物を記録媒体に付与する工程、および、記録媒体上のインク組成物を紫外線照射により硬化させる工程からなるインクジェット印写物の製造方法に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の紫外線硬化型インクジェットインク組成物は、着色成分、反応性希釈剤、反応性オリゴマーおよび/または反応性プレポリマー、光重合開始剤から構成され、25℃における粘度が60〜800cpsである。なかでも、80〜600cpsが好ましく、90〜400cpsが特に好ましい。25℃における粘度が60cpsより低いと、反応性オリゴマーおよび/または反応性プレポリマーが殆ど含まれていない状態となり耐スクラッチ性や耐接着性について充分な性能が得られなくなり、800cpsをこえると、加熱した場合においてもインク粘度が十分に下がらず、吐出性に欠けたインクとなる。また、60℃での粘度が5〜80cpsであることが好ましい。
【0016】
本発明において、「反応性オリゴマーおよび/または反応性プレポリマー」とは、モノマーの繰り返しが2から20程度の重合体で、分子中に二重結合の反応基を分子末端に2から6個持つ樹脂のことである。反応性オリゴマーや反応性プレポリマーとしては、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、シリコーンアクリレート、ポリブタジエンアクリレートなどがあげられ、これらを単独で、もしくは複合させて使用してもよい。
【0017】
前記反応性オリゴマーおよび/または反応性プレポリマーは、モノマーと比べて架橋点が少ないために、紫外線硬化型インク組成物として使用した場合、照射した紫外線で強度、接着性の向上した硬化膜が形成できる。
【0018】
前記反応性オリゴマーや反応性プレポリマーのうち、様々な材料に対する接着に優れるという点や、強じん性、柔軟性、耐薬品性、低温特性が良いという点から、好ましくはウレタンアクリレートが選択される。ウレタンアクリレートは、他の反応性オリゴマーや反応性プレポリマーと比較して高粘度であるため、従来のインクでは少量しか添加できなかったが、本発明においてはインクを加熱して使用することが可能なため、高添加が可能である。加熱した場合の溶融粘度を考慮した場合、ウレタンアクリレートの添加量は、インク組成物中に10〜60重量%の範囲内であることが好ましく、基材への接着性や基材と硬化膜の可撓性や硬化膜の耐スクラッチ性などを考慮して、この範囲内で任意に変化させることが可能である。
【0019】
さらに、使用される反応性オリゴマーや反応性プレポリマーの分子中の官能基は2官能基のものが望ましい。インク構成材料の官能基が多すぎると、硬化膜の架橋点は多くなり、固い硬化膜が得られるが、その反面脆くなり接着性や耐スクラッチ性に劣る硬化膜になりやすい。そのような理由から低官能基が望まれるが、分子中の官能基数が2以上でなければ硬化時に分子が連続的な皮膜を形成しないという点も考慮すると、2官能が望ましいといえる。
【0020】
さらに、反応性オリゴマーや反応性プレポリマーは、加熱してインクを使用する場合の安定性の確保や、均一な硬化膜の形成という面で、後述する反応性希釈剤と完全に相容するものが選択される。
【0021】
本発明において使用される反応性オリゴマーおよび/または反応性プレポリマーは、60℃における粘度が40〜10000cps、とくには40〜7000cpsであることが好ましい。反応性オリゴマーおよび/または反応性プレポリマーの60℃における粘度が40cps未満では反応性オリゴマーまたは反応性プレポリマーが充分な分子量を有していないことが予想され、その為それらから得られる硬化膜が、耐スクラッチ性や接着性が不足する傾向があり、10000cpsをこえるとインク中に添加できる量がごく僅かに限定されてしまい、インクの構成成分が反応性希釈剤でほとんどを占めることとなるために、得られる硬化膜が耐スクラッチ性や接着性が不足する傾向がある。
【0022】
前記反応性オリゴマーおよび/または反応性プレポリマーの添加量は、インク組成物中に10〜80重量%、とくには10〜60重量%であることが好ましい。反応性オリゴマーおよび/または反応性プレポリマーの添加量が10重量%以下ではインクの構成成分が反応性希釈剤でほとんどを占めることとなるために、得られる硬化膜が耐スクラッチ性や接着性が不足する傾向があり、80重量%をこえるとインクの粘度が高すぎて吐出できないといった悪影響を及ぼす傾向がある。
【0023】
本発明において、「反応性希釈剤」とは、分子中に二重結合の反応基を分子末端に1個以上持つモノマーである。反応性希釈剤として、たとえば、単官能のカプロラクトンアクリレート、トリデシルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、2−エチルヘキシル−ジグリコールアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ネオペンチルグリコールアクリル酸安息香酸エステル、イソアミルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシ−ジエチレングリコールアクリレート、メトキシ−トリエチレングリコールアクリレート、メトキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシエチル−コハク酸、2−アクリロイロキシエチル−フタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸;2官能のヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物ジアクリレート、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物ジアクリレート;3官能のトリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチルプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、プロポキシ化グリセリルトリアクリレート;4官能のペンタジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート;5官能のジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート;6官能のジペンタエリスリトールヘキサアクリレートやそれらの変性体があげられる。それらは、単独で、もしくは複合させて使用してもよい。
【0024】
反応性オリゴマーや反応性プレポリマーが2官能物質であることが望ましいことと同様に、反応性希釈剤も2官能物質を使用することが望ましい。また、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド付加物の場合は、その重合モル数は任意に選択することが可能である。
【0025】
なお、前記の反応性希釈剤とは異なり、リンやフッ素などの官能基を有する反応性希釈剤を接着性向上目的や、撥水撥油性の機能を持たせるために添加することも可能である。
【0026】
前記反応性希釈剤の添加量は、インク組成物中に10〜90重量%、とくには40〜80重量%であることが好ましい。反応性希釈剤の添加量が10重量%未満ではインクの粘度が充分に下がらない場合があったり、反応性オリゴマーや反応性プレポリマーがインク中の大部分を占めることになるため、そのような場合若干の温度変化によって急激な粘度変化が起きることや、インクの粘性が非ニュートン流体的な性質を持つ場合があり、ノズル詰まりやサテライトといった現象が起きるため、吐出に悪影響を及ぼす傾向があり、90重量%をこえるとインクの構成成分が反応性希釈剤でほとんどを占めることとなるために、得られる硬化膜が耐スクラッチ性や接着性が不足する傾向がある。
【0027】
光重合開始剤としては、ベンゾイン系、チオキサントン系、ベンゾフェノン系、ケタール系、アセトフェノン系があげられ、これらは単独で、もしくは複合して使用してもよい。光重合開始剤の添加量は、インク組成物中に0.1〜10重量%であることが好ましい。さらに、光重合開始剤の開始反応を促進させるために、増感剤などの助剤を併用することも可能である。
【0028】
画像形成に用いる着色成分としては、顔料および染料のいずれも使用可能である。印写記録された記録物に対して耐候性や耐光性が求められる場合は、顔料を使用することが好ましく、有機、無機を問わず任意のものが選択される。
【0029】
有機顔料としては、たとえば、ニトロソ類、染付レーキ類、アゾレーキ類、不溶性アゾ類、モノアゾ類、ジスアゾ類、縮合アゾ類、ベンゾイミダゾロン類、フタロシアニン類、アントラキノン類、ペリレン類、キナクリドン類、ジオキサジン類、イソインドリン類、アゾメチン類、ピロロピロール類などがあげられる。
【0030】
また、無機顔料としては、酸化物類、水酸化物類、硫化物類、フェロシアン化物類、クロム酸塩類、硫酸塩類、炭酸塩類、ケイ酸塩類、リン酸塩類、炭素類(カーボンブラック)、金属粉類などがあげられる。
【0031】
また、耐候性や耐光性をあまり重視しない場合には、染料を使用することも可能であり、その際の染料は、とくに限定されず任意のものが選択される。
【0032】
染料としては、たとえば、アゾ類、アントラキノン類、インジゴイド類、フタロシアニン類、カルボニウム類、キノンイミン類、メチン類、キサンテン類、ニトロ類、ニトロソ類のような油溶性染料、分散染料、酸性染料、反応染料、カチオン染料、直接染料などがあげられる。
【0033】
本発明の紫外線硬化型インク組成物には、そのほかにも、必要に応じて分散剤、熱安定剤、酸化防止剤、防腐剤、pH調整剤、消泡剤、浸透剤などの添加剤を加えることができる。
【0034】
本発明の紫外線硬化型インクジェットインク組成物は、着色成分、反応性希釈剤、光重合開始剤、オリゴマーおよび/またはプレポリマー、必要に応じて樹脂、その他添加剤を混合し、さらに、その混合物をロールミル、ボールミル、コロイドミル、ジェットミル、ビーズミルなどの分散機を用いて分散させ、そののち濾過を行なうことにより得ることができる。
【0035】
つぎに、本発明の紫外線硬化型インクジェットインク組成物の印写方法について説明する。
【0036】
本発明の印写方法において用いられるインクジェット印写装置は、とくに限定されず、通常のインクジェットプリンタに装備されたヘッドに加熱装置を備えたものでよい。本発明の印写方法では、まず、プリンタヘッドを加熱して本発明のインク組成物を加温する。プリンタヘッドを加熱し、一定温度で使用することにより、インクを粘度低下させ、さらに、その状態を維持したままの吐出が可能となり、吐出信頼性を向上させることが可能となる。
【0037】
その際のプリンタヘッド加熱使用温度は、40〜150℃とする。好ましくは45〜100℃の範囲である。加熱温度は、使用する反応性オリゴマー/プレポリマーの熱に対する硬化性を考慮して設定される。加熱温度が低すぎる場合、インクの充分な粘度低下が期待できないことや、粘度が安定しない現象がみられる。また、加熱温度が高すぎる場合、その熱エネルギーによって重合が進行してしまい、増粘が起きたり、顔料の樹脂中への分散状態が壊れてしまう現象がみられる。
【0038】
また、その際のインク粘度は5〜80cpsの範囲で使用可能であり、好ましくは8〜40cps、更に好ましくは10〜30cpsの範囲である。この範囲の粘度であれば、インクの連続吐出性や印字品位といった点で、安定したインク吐出が可能となる。
【0039】
一般的に、インクジェット以外の印刷インク組成物は、水系や溶剤系を問わず、媒体以外では高分子量の樹脂がそのほとんどを占める場合が多い。その際のメリットとして、樹脂皮膜への柔軟性付与、接着性向上、膜強度の強化があげられる。スクリーン印刷などの紫外線硬化型樹脂インクの場合もその例外ではなく、高分子材料として反応性基を分子中に有するオリゴマーやプレポリマーを添加する。
【0040】
しかし、インクジェットプリントにおいては、そのような高粘度のインクは、インクジェットプリンタヘッドの構造上、吐出が不可能である。
【0041】
本発明では、加温可能なプリンタヘッドを使用することにより、インクの温度を自在に変化させることが可能になり、そのため、インクの粘度を下げることが可能となる。
【0042】
よって常温では流動性に欠けるような反応性基を持つオリゴマーやプレポリマー成分を多量に添加することが可能となる。そのため、従来のモノマーを主成分とする低粘度紫外線硬化インクジェットインクと比較して、インク中に反応性オリゴマーや反応性プレポリマー成分を多く添加できることにより、硬化膜中の架橋点が減少し、かつ高分子量物質が硬化皮膜中の基本骨格になるため、硬化膜の柔軟性が向上する。
【0043】
ここで、反応性オリゴマーや反応性プレポリマーだけでなく、反応性希釈剤(特殊アクリレートモノマー)についても比較的高分子量のものが添加可能となるため、硬化膜の柔軟性向上に寄与することが可能となる。
【0044】
さらに、流動性に欠けるような反応性基を持つオリゴマーやプレポリマー成分が添加可能になることにより、その分子骨格中に様々な官能基を有する反応性オリゴマーや反応性プレポリマーが選択可能となり、そのため、いろいろな被着体に対して接着性が向上する。
【0045】
つぎに、加温したインク組成物は、プリンタヘッドから吐出され、記録媒体に付与される。ここで、インクは吐出後、被着体(記録媒体)に着弾した際に、急激な温度低下を引き起こすため、インクの増粘がおこり、インクの滲みが抑えられる。すなわち、インクを印写してから紫外線が照射されて硬化するまでに発生するインクドット間の移動を、インクの増粘により止めることができる。
【0046】
記録媒体に付与されるインク組成物は、紫外線照射により硬化させる。このとき、紫外線照射強度は、照射高さ2〜15cmの条件下、照射電圧30〜280W/cm、照射時間は0.1〜20秒が好ましい。照射する光が紫外線以外の場合、たとえば可視光では、重合を開始・生長させるために充分なエネルギーを発生させることが不可能であるために、インクが硬化しない傾向がある。本発明における紫外線のランプとしては、たとえば、メタルハライドがあげられる。
【0047】
本発明に用いられる記録媒体としては、繊維類、フィルム類、紙類、プラスチック類、セラミックス類、金属類などがあげられるが、とくに限定されない。
【0048】
本発明の紫外線硬化型インクジェットインク組成物を使って印写する際には、通常、これら記録媒体を処理しないが、必要に応じてプライマー処理などの前処理を行なうことも可能である。
【0049】
【実施例】
つぎに、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0050】
実施例1
反応性オリゴマーとしてEbecryl 270(ウレタンアクリレート、2官能、ダイセルユーシービー(株)製、60℃における粘度3000cps)20重量部、反応性希釈剤としてライトアクリレート4EG−A(ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート、2官能、共栄社化学(株)製)73.7重量部、着色剤としてHOSTAPERM PINK E−02(キナクリドンレッド、クラリアントジャパン(株)製)1重量部、分散剤としてフローレンDOPA−33(変性アクリル系共重合物、共栄社化学(株)製)0.3重量部、および、光重合開始剤としてダロキュア1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−オン、チバスペシャルティケミカルズ(株)製)5重量部を、ビーズミル分散機を用いて分散させ、そののち濾過を行なって不純物を除去し、均質なマゼンタ色紫外線硬化型インクを作製した。このインクの粘度を測定したところ、25℃にて91cps、60℃にて13cpsであった。
【0051】
つぎに、加温可能なインクジェットプリンタヘッドおよび紫外線ランプを使用して、記録媒体に対するインクの付与および硬化を行なった。なお、印写条件および紫外線の照射条件は以下のとおりである。また、被着体(記録媒体)としてアクリル樹脂板SUMIPEX E(住友化学工業(株)製、白色、厚さ2mm)を使用した。
【0052】
〔印写条件〕
イ)ノズル径 : 70μm
ロ)印加電圧 : 50V
ハ)パルス幅 : 20μs
ニ)駆動周波数: 1kHz
ホ)解像度 : 180dpi
ヘ)加熱温度 : 60℃
【0053】
〔紫外線照射条件〕
あ)ランプ種類: メタルハライドランプ
い)電圧 : 120W/cm
う)照射時間 : 1秒
え)照射高さ : 10cm
【0054】
画像を印写、紫外線照射硬化したのちの硬化膜、画像について、以下の方法で評価を行なった。耐スクラッチ性をJIS K5400の試験方法で試験した結果、H硬度以上と良好であった。また、接着性についてセロハンテープ剥離試験を実施した結果、剥がれが全くなく良好であった。さらに画像は、シャープであった。また、インク吐出性について、印字後ノズル詰まりを確認したが、ノズル詰まりは確認されなかった。
【0055】
〔耐スクラッチ性〕
JIS K5400(8.4.2手かき法)に準じて試験を行ない、以下の基準で評価した。
○:H硬度以上で傷つきなし。
△:HB硬度で傷つきなし。
×:HB硬度以下で傷つきあり。
【0056】
〔接着性〕
硬化膜にセロハンテープを貼り、勢い良く剥がして、そののちの状態を確認した。
○:硬化膜が基材から剥がれない。
△:硬化膜の亀裂や基材と硬化膜の間に気泡が入る。
×:硬化膜が完全に剥がれてしまう。
【0057】
〔画像の滲み〕
目視で観測し、以下の基準で評価した。
○:シャープな画像が形成されている。
△:滲みが若干ある程度。
×:滲みがひどく画像が形成されない。
【0058】
実施例2
反応性オリゴマーとしてM−6500(ポリエステルアクリレート、2官能、東亞合成(株)製、60℃における粘度47cps)50重量部、反応性希釈剤としてM−220(トリプロピレングリコールジアクリレート、2官能、東亞合成(株)製)43.7重量部、着色剤としてHOSTAPERM BLUE B2G−L(フタロシアニンブルー、クラリアントジャパン(株)製)1重量部、分散剤としてフローレンDOPA−33(変性アクリル系共重合物、共栄社化学(株))0.3重量部、および、光重合開始剤としてイルガキュア907(2−メチル−1〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、チバスペシャルティケミカルズ(株))5重量部を、ビーズミル分散機を用いて分散させ、そののち濾過を行なって不純物除去し、均質なブルー色紫外線硬化型インクを作製した。このインクの粘度を測定したところ、25℃にて102cps、60℃にて14cpsであった。
【0059】
実施例1と同様の方法で評価を実施した結果、硬化膜の耐スクラッチ性についてはH硬度以上と良好であった。また、接着性についてもセロハンテープ剥離試験を実施した結果、剥がれが全くなく良好であった。さらに画像は、シャープであった。また、実施例1と同様に、インク吐出性について、印字後ノズル詰まりを確認したが、ノズル詰まりは確認されなかった。
【0060】
比較例1
反応性オリゴマーとしてEbecryl 270(ウレタンアクリレート、2官能、ダイセルユーシービー(株)製、60℃における粘度3000cps)1重量部、反応性希釈剤としてライトアクリレート4EG−A(ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート、2官能、共栄社化学(株)製)92.7重量部、着色剤としてHOSTAPERM PINK E−02(キナクリドンレッド、クラリアントジャパン(株)製)1重量部、分散剤としてフローレンDOPA−33(変性アクリル系共重合物、共栄社化学(株)製)0.3重量部、および、光重合開始剤としてダロキュア1173(2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−オン、チバスペシャルティケミカルズ(株)製)5重量部を、ビーズミル分散機を用いて分散させた。そののち、ろ過を行なって不純物を除去し、均質なマゼンタ色紫外線硬化型インクを得た。
【0061】
このインクの粘度は、25℃にて18cpsであった。そのため、プリンタヘッドは加熱せず、常温にて吐出を実施し、硬化には実施例1と同じ紫外線ランプを使用し、実施例1と同様の条件で紫外線を照射した。また、被着体としてアクリル樹脂板SUMIPEX E(住友化学工業(株)製、白色、厚さ2mm)を使用した。
【0062】
実施例1と同様の方法で評価を実施した結果、硬化膜の耐スクラッチ性についてはB硬度で傷つきが確認された。接着性についてセロハンテープ剥離試験を実施した結果、硬化膜が基材と剥がれてしまった。画像は一部滲みが発生し、シャープな画像は得られなかった。インク吐出性について、印字後ノズル詰まりを確認したが、ノズル詰まりは確認されなかった。
【0063】
実施例1〜2および比較例1の結果を、表1に示す。
【0064】
【表1】
Figure 0004173331
【0065】
【発明の効果】
本発明では、インクの組成中に反応性オリゴマーや反応性プレポリマー成分を高添加量加えることが可能であり、得られる硬化膜は、柔軟性や被着体への強度、接着性などの物性に優れる。さらに、加温可能なプリンタヘッドを使用し、インクの粘度が低下した状態で安定に吐出させ、そののち、紫外線のエネルギーを照射することにより、インクを硬化させて印写物を得る。そのため、画像に滲みが生じない。

Claims (4)

  1. 着色成分、反応性希釈剤、光重合開始剤、ならびに、反応性希釈剤と相容性を有する反応性オリゴマーおよび/または反応性プレポリマーからなり、
    25℃における粘度が60〜800cpsである紫外線硬化型インクジェットインク組成物であって、
    前記反応性希釈剤が、ポリエチレングリコール(200)ジアクリレートまたはトリプロピレングリコールジアクリレートであり、
    前記反応性オリゴマーおよび/または反応性プレポリマーが、分子中の官能基が2官能基のウレタンアクリレートまたはポリエステルアクリレートであるインク組成物。
  2. 反応性オリゴマーおよび/または反応性プレポリマーの60℃における粘度が40〜10000cpsである請求項1記載のインク組成物。
  3. 反応性オリゴマーおよび/または反応性プレポリマーを10〜80重量%含有する請求項1または2記載のインク組成物。
  4. 請求項1、2または3記載のインク組成物を40〜150℃に加温する工程、加温されたインク組成物を記録媒体に付与する工程、および、記録媒体上のインク組成物を紫外線照射により硬化させる工程からなるインクジェット印写物の製造方法。
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