JP4778677B2 - 脂肪族ポリエステル系発泡体、その製造方法及びその積層体 - Google Patents

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Description

本発明は、脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体、その製造方法及びその積層体に関し、特に化学発泡剤の残渣を含有せず生分解性を有し、軽量でかつ厚み方向の曲げ・圧縮強度に優れた脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体、その製造方法及びその積層体に関する。
軽量性、緩衝性、成形加工性を生かしたプラスチック発泡体は、包装材、梱包材、あるいは構造材として多量に用いられているが、その多くはポリスチレン、ポリオレフィンといった処分が困難な樹脂で構成されており、処分されずに投棄されると河川、海洋、土壌等の汚染など自然態系へ悪影響を与える恐れがあることから、生態系の中で分解し地球環境への影響が少ない生分解性樹脂の発泡体が開発され、利用が進んでいる。
ただし、まだ生分解性樹脂の生産量は限られており価格が高いのが難点で、その点で樹脂の発泡体は、使用する樹脂量を減らせるため生分解性樹脂に適した利用方法といえる。しかしながら、まだこれらの生分解性樹脂の種類やグレードが少なく、樹脂のみで用途に応じた条件を満足させるのは困難な状況である。
そのため、求める発泡体の性質を出すために、発泡用の添加剤および各種添加物を添加することで安定した発泡体を得る努力が行われているが、これらの添加物には成形後に残存して樹脂の劣化を引き起こすもの、樹脂の分解後に残存して土壌や河川に悪影響を及ぼすものなどが多いため、環境への負荷を減らすという当初の目的に合致していない。
これらの問題を解決するため、有機揮発性化合物である物理発泡剤を圧入して混練・溶解し、その後、矩形開口形状を有する金型より押し出して、金型開口面積の20倍以上の断面積を有し、発泡倍率30倍以上、独立気泡率60%以上の矩形状発泡体を得る発泡体の製造方法(例えば、特許文献1参照。)が開示されている。ただし、ここでいう物理発泡剤とは、有機揮発性化合物である物理発泡剤であり、たとえばプロパンまたはブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類;シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類である。
また、発泡剤として炭酸ガスを用いることで、発泡剤が残存することを回避し、また融点が70〜190℃であり長鎖分岐を有する生分解性脂肪族ポリエステルを溶融して炭酸ガス注入工程と、昇圧する工程と、冷却する工程と、大気中に解放する発泡工程により、安定的に発泡体を得る方法(例えば、特許文献2参照。)が開示されている。ただし、ここで長鎖分岐を有するとは、伸張粘度の測定においてストレインハードニングが観測されるものをいい、高発泡倍率の発泡体を製造するのに好適であるとされている。
しかし、前者においては用いる物理発泡剤が安価ではなく、危険性が高いため設備も防爆仕様にするためコストがかかる。また、発泡体層が微細で均一な独立気泡構造であるために、圧縮強度及び大きな衝撃力に対する衝撃吸収性に乏しく、そのため高発泡倍率であるほど曲げおよび圧縮強度の低下が懸念され、用途がかなり限定されてくる。
また、後者においては用いる樹脂が長鎖分岐を有し、ストレインハードニングが観測される樹脂との限定があり高発泡倍率のものは得られるが、そうした樹脂は生産性が悪くコストが高い。また、安定した品質のものを得にくく、部分的にゲル化や未溶解物が発生し、発泡のバラツキが生じると考えられる。しかしながら、今までは、軽量・低密度化を実現する5〜15倍の発泡倍率の発泡体は、長鎖分岐を有する樹脂でしか実現されていなかった。
特開平11−140215号公報 特開平11−147943号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、長鎖分岐の脂肪族ポリエステル系樹脂を用いずに、しかも軽量で強度的にもすぐれ、かつ分解後にも残存して悪影響を及ぼす添加剤を含まず環境負荷の少ない発泡体であって、構造体としても利用可能な強度が発現できる脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体、その安定的な製造方法、及びそれを用いた発泡積層体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の温度、せん断速度周波数において特定の貯蔵粘性率を有する脂肪族ポリエステル系樹脂を用い、好ましくは、無機粒子を配合し、無機系発泡剤を用いて発泡させると軽量でかつ厚み方向の曲げ、圧縮強度に優れた生分解性の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体が得られ、この発泡体は、長鎖分岐および/または架橋成分、化学発泡剤の残渣を含有しない脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体であり、長鎖分岐や架橋構造を有しないため廃棄が簡易であり、生分解性を有するため廃棄後の残存を心配することもなく、コストも低く押さえられ、残渣による成形後の変性や性質のバラツキも少ないものであることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、生分解性を有し、長鎖分岐および/または架橋成分、化学発泡剤の残渣を含有しない発泡倍率が2〜15倍の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体であって、脂肪族ポリエステル系樹脂はグリコールと脂肪族ジカルボン酸との重縮合により得られるものであり、しかも脂肪族ポリエステル系樹脂の溶融温度+15℃、せん断速度周波数1rad/sでの貯蔵粘性率(J”)が8.0×10−5〜3.0×10−4Pa−1であることを特徴とする脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、脂肪族ポリエステル系樹脂100重量部に対し、平均粒径が0.1〜50μmの無機粒子0.05〜0.5重量部を含有することを特徴とする脂肪族ポリエステル系樹脂発泡が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、発泡体の厚み方向の中心部の気泡構造が、表層面に平行な気泡径が2mm以下であり、表層面に垂直な気泡径が表層面に平行な気泡径に対して1.2倍以上の縦長気泡であることを特徴とする請求項1又は2に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、発泡体の厚みが5〜20mmであることを特徴とする脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、発泡剤として無機ガスを用いることを特徴とする第1〜4のいずれかの発明に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体の製造方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体の両面または片面に未発泡ポリエステル系樹脂層を配置したことを特徴とする脂肪族ポリエステル系樹脂発泡積層体が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第6の発明において、未発泡ポリエステル系樹脂層が有機繊維を含有し、該未発泡ポリエステル系樹脂層全体に対する有機繊維の含有率が5〜70重量%であることを特徴とするポリエステル系樹脂発泡積層体が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第6又は7の発明において、未発泡脂肪族ポリエステル系樹脂層とポリエステル系樹脂発泡体層が接着剤層を介さずに積層されていることを特徴とする脂肪族ポリエステル系樹脂発泡積層体が提供される。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体は、軽量でかつ厚み方向の曲げ・圧縮強度に優れ、長鎖分岐および/または架橋成分、化学発泡剤の残渣を含有しない脂肪族ポリエステル系樹脂を用いているので、廃棄が簡易であり生分解性を有するため廃棄後の残存を心配することもなく、コストも低く押さえられ、残渣による成形後の変性や性質のバラツキも少ない。
以下、本発明で用いる脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体を構成する脂肪族ポリエステル系樹脂、無機粒子、発泡体の気泡構造、発泡体の製造方法、用途、それを用いた積層体について詳しく説明する。
1.脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体
(1)脂肪族ポリエステル系樹脂
本発明で用いる脂肪族ポリエステル系樹脂は、樹脂の溶融温度+15℃、せん断速度周波数1rad/sでの貯蔵粘性率(J”)が8.0×10−5〜3.0×10−4Pa−1である。
溶融温度+15℃、せん断速度周波数1rad/sでの貯蔵粘性率(J”)の値が8.0×10−5〜3.0×10−4Pa−1の範囲に該当する脂肪族ポリエステル系樹脂を用いれば、発泡倍率が2〜15倍の発泡体が安定的に得られ、また倍率の調節も可能であるので、要求される用途や強度、コストに応じて作り分けることが可能である。樹脂の溶融温度+15℃、せん断速度周波数1rad/sでの貯蔵粘性率(J”)が前記下限未満では、発泡体の気泡膜を形成する時の強度が不足して破泡してしまい、上限を超えると粘性がありすぎて、気泡が成長しないため発泡体は成形できない。
ここで、脂肪族ポリエステル系樹脂の溶融温度+15℃、せん断速度周波数1rad/sでの貯蔵粘性率(J”)は、溶融粘弾性測定装置として、レオメトリックス社製のダイナミックアナライザー(RDA−II)を用い、該樹脂をφ25またはφ50のプレートを治具に設置し溶融温度+15℃に昇温し溶融させ、せん断速度周波数1rad/sでの貯蔵弾性率を測定して求める値である。
本発明で用いる上記の物性を満足する脂肪族ポリエステル系樹脂は、グリコールと脂肪族ジカルボン酸との重縮合により得られるものであって、例えば、ポリエチレンサクシネ−ト、ポリブチレンサクシネ−ト、ポリヘキサメチレンサクシネ−ト、ポリエチレンアジペ−ト、ポリヘキサメチレンアジペ−ト、ポリブチレンアジペ−ト、ポリエチレンオキザレ−ト、ポリブチレンオキザレ−ト、ポリネオペンチルオキザレ−ト、ポリエチレンセバケ−ト、ポリブチレンセバケ−ト、ポリヘキサメチレンセバケ−トなどが挙げられる。これらは2種類あるいはそれ以上の共重合体であってもよい。
なお、本発明で用いる脂肪族ポリエステル系樹脂は、長鎖分岐および/または架橋成分を有さない樹脂である。
(2)発泡体中の残渣物
本発明の発泡体は、成形された多孔体に化学発泡剤の残渣が存在していないことを特徴とする。
ここで、化学発泡剤とは、有機及び無機系の熱分解型発泡剤を言い、例えば、アゾ化合物、ヒドラジド化合物、ニトロソ化合物、セミカルバジド化合物、ヒドラゾ化合物、テトラゾール化合物、エステル化合物、重炭酸塩、炭酸塩、亜硝酸塩等が挙げられる。更に具体的には、アゾジカルボンアミド(ADCA)、イソブチロニトリル(AZDN)、ベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、ジニトロペンタメチレンテトラミン(DPT)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、P−トルエンスルホンヒドラジド(TSH)、バリウムアゾジカルボキシレート(Ba−AC)等が挙げられる。
また、残渣とは、上記化学発泡剤およびその化学発泡剤の分解残渣の両方を指す。化学発泡剤の分解残渣とは、例えばアゾジカルボンアミド(ADCA)の場合、HDCA、ウラゾール、シアヌル酸、イソシアヌル酸、シアメリド、シアン酸アンモニウム、尿素等が該当する。本発明において、化学発泡剤の残渣が存在していないとは、IRによって成形品の成分分析を行った際に、上記残渣が50ppm以下であることをいう。
(3)無機粒子
本発明の発泡体は、上記の脂肪族ポリエステル系樹脂に無機粒子を配合して得られる。
本発明で用いる無機粒子は、発泡体の気泡の微細化及び均一化のために添加するもので、その種類は特に限定されず、例えば、クレー、シリカ、ゼオライト、マイカ、タルク、アルミナ、炭酸カルシウム等が使用できる。これらの無機粒子は、単独で用いることもでき、また2種類以上を用いることもできる。
また、無機粒子の大きさは、平均粒径が0.1〜50μmであるのが最も有効であり、0.1μm未満であると発泡核剤となりにくく、発泡倍率も低くなり、50μmを超えると破泡が生じ易く、均一な気泡が得られにくくなる。
無機粒子の配合量は、脂肪族ポリエステル系樹脂100重量部に対し、0.05〜0.5重量部が好ましく、より好ましくは0.1〜0.3重量部である。前記範囲内で、微細な発泡セルを均一に、かつ安定的に得ることができる。無機粒子が0.5重量部を超えると、発泡倍率が上がらないだけでなく、発泡の核が多すぎて、縦長気泡が得られなくなり、0.05重量部未満であると効果が現れにくくなる。
(4)発泡体の気泡構造
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体の気泡構造は、発泡体表層では比較的真円に近い微細な気泡構造の独立気泡で構成され、発泡体厚み方向の中心部では表層に平行な径に対し垂直な方向の径が長い長円状または箱状の扁平性のある縦長気泡でかつ連泡率が高い気泡で構成されている。
この厚み方向の中心部での長円状または箱状の縦長気泡は、表層面に平行な気泡径が2mm以下であり、表層面に垂直な気泡径が表層面に平行な気泡径に対して1.2倍以上、好ましくは2〜20倍である。
表層が微細かつ独立気泡率の高い気泡で構成されるため耐水性、耐薬性、引張り特性に優れ、また中心部では表層面に平行な気泡径が2mm以下と小さく、さらに表層面に垂直な気泡径が表層面に平行な気泡径の1.2倍以上の扁平性のある気泡構造であるため、厚み方向の強度、特に、曲げおよび圧縮強度に優れている。
上記縦長気泡を得る方法としては、例えば、押出機を用いて横長のスリット状ダイから押出し、除圧開放するなどの方法が挙げられる。
また、本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体の発泡倍率は、2〜15倍であり、好ましくは4〜10倍である。発泡倍率が2倍未満では軽量断熱性能、低コストの発泡体としてのメリットが活かせず、15倍を超えると力学的物性が低下するからである。
2.脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体の製造方法
本発明の上記の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体は、上記脂肪族ポリエステル系樹脂に発泡剤を加えて、従来公知の発泡方法で製造できるが、発泡剤として、無機ガスを用いる。無機ガスとしては、例えば、CO、N、またはHe、Ne、Krまたはこれらの混合ガス等を用い、樹脂に0.1〜10重量%添加し発泡させる方法が好ましい。発泡剤として、揮発性の有機化合物を添加しないので、製造時または分解後に人体や環境に与える負荷を低減することができる。また上記無機ガスを用いて発泡させることで成形性の向上や発泡性の向上が期待できる。
3.脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体の用途
このようにして得られる本発明の脂肪族ポリエステル系発泡体の用途としては、建築用の資材、コンクリート型枠、止水板、土留め板等が挙げられる。また住宅内装材、化粧板などにも用いることができる。特に、脂肪族ポリエステル系発泡体の厚みを5〜20mmにしたものが好ましく用いられる。
4.脂肪族ポリエステル系樹脂発泡積層体
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡積層体は、上記脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体の両面または片面に発泡していないポリエステル系樹脂層が配置されている脂肪族ポリエステル系樹脂発泡積層体であり、脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体単独では得られない強度やガスバリアー性も補完することができ、さらに利用範囲を広げられるものである。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡積層体は、ポリエステル系樹脂発泡体と発泡していない脂肪族ポリエステル系樹脂層との間に第3成分としての接着剤層を用いない積層体であることが好ましい。接着層が存在しなくても多くの用途に耐える接着強度を有し、さらに接着剤層が分解後に残存しないので、さらに利用範囲を広げることができる。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡積層体で用いる発泡していないポリエステル系樹脂層としては、有機繊維を含有する層であるのが好ましい。有機繊維は、発泡していないポリエステル系樹脂層全体に対し、5〜70重量%の含有率であることが好ましい。
有機繊維を非発泡樹脂層に含有することで、表面非発泡層の強度を補うことができる。また、有機繊維が調湿機能や抗菌作用を持つため、構造材や包装材、緩衝材としての用途にも極めて優れた性質を発揮することができる。
ここで、有機繊維とは、パルプ、綿、麻、葦、竹、ケナフ、ジュート等の植物性または絹、羊毛等の動物性の繊維やそれらの変成物やキチンキトサン、ポリフェノール類等の動植物からの抽出物、ハーブ葉、お茶葉等の植物の葉の粉砕物等を言い、また生分解性ポリマーで作成した繊維、例えばポリ乳酸繊維等も利用可能である。
以下に本発明の具体的な実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、発泡体の評価方法は以下の通りである。
(1)貯蔵粘性率:脂肪族ポリエステルの貯蔵粘性率J”は粘弾性スペクトロメーター(レオメトリックス社RDA−II)を用い、25mmφのパラレルプレートで測定した。
(2)気泡径:得られた発泡体の破断面の表面から2.5mmまでの層、及び中心層の光学顕微鏡写真を撮影し、画像処理により、気泡の縦方向の長さと、横方向の長さの平均値を求めた。
(3)曲げ強度:JIS K7181に準拠して測定した。
(4)曲げ弾性率:JIS K7181に準拠して測定した。
(5)発泡倍率:空気比較式比重計(東京サイエンス株式会社;型式「1000型」)により測定した。
(実施例1)
生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂として、密度が1.26g/cmであり、126℃、せん断速度周波数1rad/sでの貯蔵粘性率(J”)が0.000127311Pa−1のポリブチレンサクシネート(PBS:三菱化学社製、品番「GSPLa」、溶融温度111℃、長鎖分岐、架橋成分を有しない)を用いた。該樹脂100重量部に対して、粒径10μmのタルク0.1重量部をドライブレンドで混合し、発泡剤としてCOを用い、出口スリット厚1.2のダイヘッドから押し出し冷却賦形設備で引き取り、12mm厚のシート状発泡体を作成した。
得られた発泡体シートを押出し方向と垂直にカットした面において、画像解析により、表層に隣接する気泡平均値の発泡表層気泡径平均値として、また上下表層の中心に位置する平行線に接する気泡の平均値を発泡中心層の気泡径平均値として、それぞれ縦、横について算出した。また縦の気泡径平均値を横の気泡径平均値で割った値を算出し、それぞれ表1に示した。さらに、発泡体全体の曲げ強度、曲げ弾性率、発泡層の発泡倍率を求めた。その結果を表1に示す。
(実施例2)
タルク0.2重量部を用いる以外は実施例1と同様にして、メイン押し出し機Aにて押し出し発泡させ冷却賦形設備で引き取り、10mmのシート状発泡体を得た。また別方向からサブ押し出し機Bにて同じ樹脂を用い、1mm厚の非発泡シートを成形し、それを溶融状態のままシート状発泡体の上下に接着させて冷却賦形設備で引き取り、発泡層とその上下の非発泡層との3層からなる発泡積層体を作成した。
得られた発泡積層体を実施例1と同様にして、発泡体層の平均気泡径、発泡倍率、発泡積層体全体の曲げ強度、曲げ弾性率を求めた。その結果を表1に示す。
(実施例3)
非発泡層の樹脂100重量部に対し、葦繊維20重量部をブレンドする以外は実施例2と同様にして発泡層とその上下の非発泡層との3層からなる発泡積層体を作成した。
得られた発泡積層体を実施例1と同様にして、発泡体層の平均気泡径、発泡倍率、発泡積層体全体の曲げ強度、曲げ弾性率を求めた。その結果を表1に示す。
(実施例4)
タルク0.6重量部を用いる以外は実施例1と同様にして、12mmのシート状発泡体を得た。
得られた発泡体を実施例1と同様にして、発泡体層の平均気泡径、発泡倍率、発泡体全体の曲げ強度、曲げ弾性率を求めた。その結果を表1に示す。
表1より明らかなように、本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体は、表層側には略真円に近い微細な気泡で構成され、中心層は、縦長の気泡で構成されているので発泡体の曲げ強度、曲げ弾性率に優れている(実施例1、4)。また、発泡体と未発泡体の積層体も曲げ強度、曲げ弾性率に優れている(実施例2、3)。
(実施例5)
実施例1で用いた生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂(PBS:三菱化学社製、「GSPLa」)を溶融プレスし、2cm角に切り出したサンプルを、オートクレーブ発泡試験機内に入れ、溶融温度+5℃で溶融し、圧力6.0MPaで炭酸ガスを含有させ、30分保圧した後脱圧し、その後冷却して固化させたものの発泡倍率を測定した。この発泡操作を8回繰り返して行い、発泡倍率の測定値の平均値と、その標準偏差σ(バラツキ度)を求めた。結果を表2に示す。
(比較例1)
生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂として、長鎖分岐を含有する脂肪族ポリエステル樹脂(Bionolle1903:昭和高分子社製)を用い、実施例5と同様にして、発泡倍率の測定値の平均値と、その標準偏差を求めた。結果を表2に示す。
表2から、本発明の生分解性脂肪族ポリエステル系樹脂は、長鎖分岐を含有する脂肪族ポリエステル樹脂に比べ、発泡条件によっては発泡倍率が低い場合があるが、発泡倍率のバラツキは小さく、その結果として安定した発泡体が得られることがわかる。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体は、価格の高い生分解性の樹脂を用いながらも、コストを満足し軽量で、かつ強度的にもすぐれ、かつ分解後にも残存して悪影響を及ぼす添加剤を含まない発泡体であるので、コンクリート型枠、止水板、土留め板等の建築用の資材、住宅内装材、化粧板等の産業資材として用いることができる。

Claims (8)

  1. 生分解性を有し、長鎖分岐および/または架橋成分、化学発泡剤の残渣を含有しない発泡倍率が2〜15倍の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体であって、脂肪族ポリエステル系樹脂はグリコールと脂肪族ジカルボン酸との重縮合により得られるものであり、しかも脂肪族ポリエステル系樹脂の溶融温度+15℃、せん断速度周波数1rad/sでの貯蔵粘性率(J”)が8.0×10−5〜3.0×10−4Pa−1であることを特徴とする脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体。
  2. 脂肪族ポリエステル系樹脂100重量部に対し、平均粒径が0.1〜50μmの無機粒子0.05〜0.5重量部を含有することを特徴とする請求項1に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体。
  3. 発泡体の厚み方向の中心部の気泡構造が、表層面に平行な気泡径が2mm以下であり、表層面に垂直な気泡径が表層面に平行な気泡径に対して1.2倍以上の縦長気泡であることを特徴とする請求項1又は2に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体。
  4. 発泡体の厚みが5〜20mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体。
  5. 発泡剤として無機ガスを用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体の両面または片面に未発泡ポリエステル系樹脂層を配置したことを特徴とする脂肪族ポリエステル系樹脂発泡積層体。
  7. 未発泡ポリエステル系樹脂層が有機繊維を含有し、該未発泡ポリエステル系樹脂層全体に対する有機繊維の含有率が5〜70重量%であることを特徴とする請求項6に記載のポリエステル系樹脂発泡積層体。
  8. 未発泡脂肪族ポリエステル系樹脂層とポリエステル系樹脂発泡体層が接着剤層を介さずに積層されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡積層体。
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