JP4733345B2 - 脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体及びその製造方法 - Google Patents

脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体及びその製造方法に関し、特に化学発泡剤の残渣を含有せず生分解性を有し、軽量で強度に優れた脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体及びその製造方法に関する。
軽量性、緩衝性、成形加工性を生かしたプラスチック発泡体は、包装材、梱包材、あるいは構造材として多量に用いられているが、その多くはポリスチレン、ポリオレフィンといった処分が困難な樹脂で構成されており、処分されずに投棄されると河川、海洋、土壌等の汚染など自然態系へ悪影響を与える恐れがあることから、生態系の中で分解し地球環境への影響が少ない生分解性樹脂の発泡体が開発され、利用が進んでいる。
ただし、まだ生分解性樹脂の生産量は、限られており価格が高いのが難点で、その点で樹脂の発泡体は、使用する樹脂量を減らせるため生分解性樹脂に適した利用方法といえる。しかしながら、まだこれらの生分解性樹脂の種類やグレードが少なく、樹脂のみで用途に応じた条件を満足させるのは困難な状況である。
そのため、求める発泡体の性質を出すために、発泡用の添加剤および各種添加物を添加することで安定した発泡体を得る努力が行われているが、これらの添加物には成形後に残存して樹脂の劣化を引き起こすもの、樹脂の分解後に残存して土壌や河川に悪影響を及ぼすものなどが多いため、環境への負荷を減らすという当初の目的に合致していない。
これらの問題を解決するため、有機揮発性化合物である物理発泡剤を圧入して混練・溶解し、その後、矩形開口形状を有する金型より押し出して、金型開口面積の20倍以上の断面積を有し、発泡倍率30倍以上、独立気泡率60%以上の矩形状発泡体を得る発泡体の製造方法(例えば、特許文献1参照。)が開示されている。ただし、ここでいう物理発泡剤とは、有機揮発性化合物である物理発泡剤であり、たとえばプロパンまたはブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類;シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類である。
また、発泡剤として炭酸ガスを用いることで、発泡剤が残存することを回避し、また融点が70〜190℃であり長鎖分岐を有する生分解性脂肪族ポリエステルを溶融して炭酸ガス注入工程と、昇圧する工程と、冷却する工程と、大気中に解放する発泡工程により、安定的に発泡体を得る方法(例えば、特許文献2参照。)が開示されている。ただし、ここで長鎖分岐を有するとは、伸張粘度の測定においてストレインハードニングが観測されるものをいい、高発泡倍率の発泡体を製造するのに好適であるとされている。
しかし、前者においては、用いる物理発泡剤が安価ではなく、危険性が高いため設備も防爆仕様にするためコストがかかる。また、発泡体層が微細で均一な独立気泡構造であるために、圧縮強度及び大きな衝撃力に対する衝撃吸収性に乏しく、そのため高発泡倍率であるほど曲げおよび圧縮強度の低下が懸念され、用途がかなり限定されてくる。
また、後者においては、用いる樹脂が長鎖分岐を有し、ストレインハードニングが観測される樹脂との限定があり高発泡倍率のものは得られるが、そうした樹脂は生産性が悪くコストが高い。また、安定した品質のものを得にくく、部分的にゲル化や未溶解物が発生し、発泡のバラツキが生じると考えられる。しかしながら、今までは、軽量・低密度化を実現する5〜15倍の発泡倍率の発泡体は、長鎖分岐を有する樹脂でしか実現されていなかった。
特開平11−140215号公報 特開平11−147943号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、長鎖分岐の脂肪族ポリエステル系樹脂を用いずに、しかも軽量で強度的にもすぐれ、かつ分解後にも残存して悪影響を及ぼす添加剤を含まず環境負荷の少ない発泡体であって、構造体としても利用可能な強度が発現できる5〜15倍の発泡倍率の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の温度、剪断速度周波数で特定の貯蔵粘性率を有する第一の脂肪族ポリエステル系樹脂とガラス転移温度が第一の樹脂の冷却結晶化温度より5〜25℃低い第二の脂肪族ポリエステル系樹脂の2種類の脂肪族ポリエステル系樹脂の混合物を用いて、無機ガスを用いて発泡させると軽量で、強度的にも優れた生分解性の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体が得られ、この発泡体は、長鎖分岐および/または架橋成分、化学発泡剤の残渣を含有しない脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体であり、長鎖分岐や架橋構造を有しないため廃棄が簡易であり、生分解性を有するため廃棄後の残存を心配することもなく、コストも低く押さえられ、残渣による成形後の変性や性質のバラツキも少ないものであることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、生分解性を有し、長鎖分岐および/または架橋成分、化学発泡剤の残渣を含有しない脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体であって、脂肪族ポリエステル系樹脂が、グリコールと脂肪族ジカルボン酸との重縮合により得られる第一の脂肪族ポリエステル系樹脂50〜95重量%とガラス転移温度が第一の脂肪族ポリエステル系樹脂の冷却結晶化温度よりも5〜25℃低い、ポリ(α−ヒドロキシ酸)からなる第二の脂肪族ポリエステル系樹脂5〜50重量%の混合物からなり、しかも第一の脂肪族ポリエステル系樹脂は、その溶融温度+15℃、剪断速度周波数1rad/sでの貯蔵粘性率J”が0.00008〜0.0003Pa −1 であることを特徴とする脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、全脂肪族ポリエステル系樹脂100重量部に対し、平均粒径が0.1〜50μmの無機粒子0.05〜0.5重量部を含有することを特徴とする脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、発泡倍率が5〜15倍であり、平均発泡径が1500μm以下であることを特徴とする脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、第一の脂肪族ポリエステル系樹脂が、ポリブチレンサクシネートであることを特徴とする脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、発泡剤として無機ガスを用いることを特徴とする第1〜のいずれかの発明の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体の製造方法が提供される。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体は、微細な気泡径を有する発泡体であるので、軽量でかつ強度に優れ、また、長鎖分岐および/または架橋成分、化学発泡剤の残渣を含有しない脂肪族ポリエステル系樹脂を用いているので、廃棄が簡易であり生分解性を有するため廃棄後の残存を心配することもなく、残渣による成形後の変性や性質のバラツキも少ない。
以下、本発明で用いる2種類の脂肪族ポリエステル系樹脂、発泡体、その製造方法について、詳しく説明する。
1.脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体
(1)第一の脂肪族ポリエステル系樹脂
本発明で用いる第一の脂肪族ポリエステル系樹脂は、樹脂の溶融温度+15℃、剪断速度周波数1rad/sでの貯蔵粘性率J”が0.00008〜0.0003Pa−1であり、好ましくは0.0001〜0.0002Pa−1である。
溶融温度+15℃、剪断速度周波数1rad/sでの貯蔵粘性率J”の値が0.00008〜0.0003Pa−1の範囲に該当する脂肪族ポリエステル系樹脂を用いれば、発泡倍率が2〜15倍の発泡体が安定的に得られ、また倍率の調節も可能であるので、要求される用途や強度、コストに応じて作り分けることが可能である。樹脂の溶融温度+15℃、剪断速度周波数1rad/sでの貯蔵粘性率J”が前記下限未満では、発泡体の気泡膜を形成する時の強度が不足して破泡してしまい、上限を超えると粘性がありすぎて、気泡が成長しないため発泡体は成形できない。
ここで、脂肪族ポリエステル系樹脂の溶融温度+15℃、剪断速度周波数1rad/sでの貯蔵粘性率J”は、溶融粘弾性測定装置として、レオメトリックス社製のダイナミックアナライザー(RDA−II)を用い、該樹脂をφ25またはφ50のプレートを治具に設置し溶融温度+15℃に昇温し溶融させ、剪断速度周波数1rad/sでの貯蔵弾性率を測定して求める値である。
上記の物性を満足する本発明で用いる第一の脂肪族ポリエステル系樹脂としては、例えば、グリコールと脂肪族ジカルボン酸との重縮合などにより得られるポリエチレンサクシネ−ト、ポリブチレンサクシネ−ト、ポリヘキサメチレンサクシネ−ト、ポリエチレンアジペ−ト、ポリヘキサメチレンアジペ−ト、ポリブチレンアジペ−ト、ポリエチレンオキザレ−ト、ポリブチレンオキザレ−ト、ポリネオペンチルオキザレ−ト、ポリエチレンセバケ−ト、ポリブチレンセバケ−ト、ポリヘキサメチレンセバケ−トなどが挙げられる。これらの2種類またはそれ以上の混合物を用いても良い。
なお、本発明で用いる脂肪族ポリエステル系樹脂は、長鎖分岐および/または架橋成分を有さない樹脂である。
(2)第二の脂肪族ポリエステル系樹脂
本発明で用いる第二の脂肪族ポリエステル系樹脂は、ガラス転移温度が第一の脂肪族ポリエステル系樹脂の冷却結晶化温度よりも5〜25℃低いことが必要である。
第二の脂肪族系ポリエステル系樹脂は、第一の脂肪族系ポリエステル系樹脂が発泡成長し結晶固化する際に、未硬化状態で存在することにより、粘度が増加し、第一の樹脂から生成した発泡壁がさらに伸張し、気泡成長が固定され、微細な気泡の生成と発泡倍率の向上という効果を有する。
第二の脂肪族ポリエステル系樹脂のガラス転移温度と第一の脂肪族ポリエステル樹脂の冷却結晶化温度との差が5℃未満であると、両樹脂の結晶化、固化がほとんど同時に起こるため、それぞれ単独の場合の発泡体とほとんどかわらず発泡倍率が上がらず、微細な気泡も生成しない。また、その差が25℃を超えると、気泡成長時の結晶化がばらばらに開始するため、均一な気泡ができずに、発泡倍率も上がらない。
ここで、脂肪族ポリエステル系樹脂の冷却結晶化温度またはガラス転移温度は、DSC測定法により求める値である。
本発明で用いる第二の脂肪族ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリグリコ−ル酸やポリ乳酸などのようなポリ(α−ヒドロキシ酸)またはこれらの共重合体、ポリ(ε−カプロラクトン)やポリ(β−プロピオラクトン)のようなポリ(ω−ヒドロキシアルカノエ−ト)、ポリ(3−ヒドロキシブチレ−ト)、ポリ(3−ヒドロキシバリレ−ト)、ポリ(3−ヒドロキシカプロレ−ト)、ポリ(3−ヒドロキシヘプタノエ−ト)、ポリ(3−ヒドロキシオクタノエ−ト)のようなポリ(β−ヒドロキシアルカノエ−ト)とポリ(4−ヒドロキシブチレ−ト)などの脂肪族ポリエステルを挙げることができる。これらの2種類またはそれ以上の混合物を用いても良い。
なお、本発明で用いる脂肪族ポリエステル系樹脂は、長鎖分岐および/または架橋成分を有さない樹脂である。
(3)第一の脂肪族ポリエステル系樹脂と第二の脂肪族ポリエステル系樹脂の配合比
本発明で用いる2種類の脂肪族ポリエステル系樹脂の配合比は、第一の脂肪族ポリエステル系樹脂が50〜95重量%、好ましくは60〜85重量%であり、第二の脂肪族ポリエステル系樹脂が5〜50重量%、好ましくは15〜40重量%である。
第一の脂肪族ポリエステルの量が50重量%未満であると両脂肪族ポリエステル系樹脂のブレンドの構造が逆転し、第二の脂肪族ポリエステル系樹脂の物性となり発泡に最適な粘性範囲からはずれ、発泡体を形成しなくなる。
(4)発泡体中の残渣物
本発明の発泡体は、成形された多孔体に化学発泡剤の残渣が存在していないことを特徴とする。
ここで、化学発泡剤とは、有機及び無機系の熱分解型発泡剤を言い、例えば、アゾ化合物、ヒドラジド化合物、ニトロソ化合物、セミカルバジド化合物、ヒドラゾ化合物、テトラゾール化合物、エステル化合物、重炭酸塩、炭酸塩、亜硝酸塩等が挙げられる。更に具体的には、アゾジカルボンアミド(ADCA)、イソブチロニトリル(AZDN)、ベンゼンスルホニルヒドラジド(OBSH)、ジニトロペンタメチレンテトラミン(DPT)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、P−トルエンスルホンヒドラジド(TSH)、バリウムアゾジカルボキシレート(Ba−AC)等が挙げられる。
また、残渣とは、上記化学発泡剤およびその化学発泡剤の分解残渣の両方を指す。化学発泡剤の分解残渣とは、例えばアゾジカルボンアミド(ADCA)の場合、HDCA、ウラゾール、シアヌル酸、イソシアヌル酸、シアメリド、シアン酸アンモニウム、尿素等が該当する。本発明において、化学発泡剤の残渣が存在していないとは、IRによって成形品の成分分析を行った際に、上記残渣が50ppm以下であることをいう。
(5)無機粒子
本発明の発泡体は、必要に応じて、2種類の脂肪族ポリエステル系樹脂に無機粒子を配合して得られる。
本発明で用いる無機粒子は、発泡体の気泡の微細化及び均一化のために添加するもので、特に限定されず、例えば、クレー、シリカ、ゼオライト、マイカ、タルク、アルミナ、炭酸カルシウム等が使用できる。これらの無機粒子は、単独で用いることもでき、また2種類以上を用いることもできる。
また、無機粒子の大きさは、平均粒径が0.1〜50μmであるのが最も有効であり、0.1μm未満であると発泡核剤となりにくく、発泡倍率も低くなり、50μmを超えると破泡が生じ易く、均一な気泡が得られにくくなる。
無機粒子の配合量は、脂肪族ポリエステル系樹脂100重量部に対し、0.05〜0.5重量部が好ましく、より好ましくは0.05〜0.3重量部である。前記範囲内で、微細な発泡セルを均一に、かつ安定的に得ることができる。無機粒子が0.5重量部を超えると、発泡倍率が上がらず、0.05重量部未満であると効果が現れにくくなる。
(6)発泡体の気泡構造
本発明の2種類の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体の気泡構造は、発泡体表層では比較的真円に近い微細な気泡構造の独立気泡で構成されている。
また、気泡の平均発泡径は、好ましくは1500μm以下であり、より好ましくは1000μm以下である。平均発泡径が1500μmを超えると断熱性、機械的強度が低下する。さらに、発泡倍率は、5〜15倍が好ましく、より好ましくは7〜12倍である。発泡倍率が5倍未満では、断熱性が低下し、軽量性、コストの効果を享受できず、発泡倍率が高すぎると、機械的強度が低下する。
本発明の発泡体は、このような微細な発泡構造を有しているので、強度に優れている。
2.脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体の製造方法
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体は、上記2種類の脂肪族ポリエステル系樹脂の混合物に発泡剤を加えて、従来公知の発泡方法で製造できるが、発泡剤として、無機ガスを用いる。無機ガスとしては、例えば、CO、N、またはHe、Ne、Krまたはこれらの混合ガス等を用い、樹脂に0.1〜10重量%添加し発泡させる方法が好ましい。発泡剤として、揮発性の有機化合物を添加しないので、製造時または分解後に人体や環境に与える負荷を低減することができる。また上記無機ガスを用いて発泡させることで成形性の向上や発泡性の向上が期待できる。
また、発泡体を成形する方法は、押出し発泡成形、射出発泡成形のいずれの方法にも適用できる。
3.脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体の用途
このようにして得られる本発明の脂肪族ポリエステル系発泡体の用途としては、建築用の資材、コンクリート型枠、止水板、土留め板等が挙げられる。また住宅内装材、化粧板などにも用いることができる。特に、脂肪族ポリエステル系発泡体の厚みを5〜20mmにしたものが好ましく用いられる。
以下に本発明の具体的な実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、発泡体の評価方法は以下の通りである。
(1)溶融温度、冷却結晶化温度、ガラス転移温度:DSC測定法により求めた。DSC測定装置はSeiko Instruments社製 DSC22Cを使用した。測定は脂肪族ポリエステル樹脂を真空乾燥機により30℃で6時間乾燥させた後、窒素フロー化で昇降温速度10℃/minで行った。溶融温度は0℃から200℃までに上昇させた時の最大吸熱ピーク温度とした。冷却結晶化温度は200℃から0℃に冷却する時の発熱ピーク温度とし、ガラス転移温度は200℃から0℃に冷却する時の最も大きな熱量変化が起こるときの第1変曲点の温度とした。
(2)貯蔵粘性率:脂肪族ポリエステルの貯蔵粘性率J”は粘弾性スペクトロメーター(レオメトリックス社RDA−II)を用い、25mmφのパラレルプレートで測定した。
(3)発泡倍率:浮力式比重測定装置(Electronic densimetor:型式「MD−200S」;MIRAGE社製)により発泡前の真比重と発泡後の見かけ比重を測定し、下記の式より算出した。
発泡倍率=発泡前の真比重/発泡後の見かけ比重
(4)平均気泡径:発泡体断面の極表面を黒色に着色し、画像処理ソフトにより算出した。
(5)独立気泡率:次式により算出した。
独立気泡率(%)=100−連続気泡率F0(%)
連続気泡率F0(%)=(Va−Vx)/Va×100
ここで、Vx(実容積)は空気比較式比重計(型式「1000型」;東京サイエンス株式会社)により測定された発泡体の容積であり、Va(見かけの容積)は発泡体表面をテープでシールし、同様に測定された容積である。
(実施例1)
第一の脂肪族ポリエステル樹脂として、ポリブチレンサクシネート(Ire Chemical社製 G5300)を用いた。この樹脂の溶融温度は115℃で、貯蔵粘性率J”(130℃、剪断速度周波数 1rad/s)は0.0001813Pa−1、冷却結晶化温度は78.4℃であった。第二の脂肪族ポリエステル樹脂として、ポリ乳酸(島津社製LACTY 9030)を使用した。この樹脂のガラス転移温度は62.9℃であった。
まず、ポリブチレンサクシネート70重量%とポリ乳酸30重量%をドライブレンドし、炭酸ガス注入装置を取り付けた短軸押出機にて溶融温度170℃で溶融混練させた後、樹脂温度を130℃まで低下させ、炭酸ガスを8MPaの圧力で注入した。さらに樹脂温度を110℃までバレル内で低下させ、樹脂圧力を10MPaとした後、Tダイより常圧に解放し、すぐさまシートを冷却して、80℃以下で30秒保持して発泡させた後、冷却装置にて30℃以下まで冷却し発泡体を得た。得られた発泡体の評価結果を表1に示す。
(実施例2)
第一の脂肪族ポリエステルの量を85重量%、第二の脂肪族ポリエステル樹脂の量を15重量%とする以外は実施例1と同様にして発泡体を作成した。得られた発泡体の評価結果を表1に示す。
(実施例3)
第一の脂肪族ポリエステル樹脂として、溶融温度は111℃、貯蔵粘性率J”(126℃、剪断速度周波数 1rad/s)は0.0001273Pa−1、冷却結晶化温度68.3℃のポリブチレンサクシネート(三菱化学社製 GSPla)を用いる以外は実施例1と同様にして発泡体を作成した。得られた発泡体の評価結果を表1に示す。
(実施例4)
第一の脂肪族ポリエステル樹脂として、溶融温度は115℃、貯蔵粘性率J”(130℃、剪断速度周波数 1rad/s)は0.0001813Pa−1、冷却結晶化温度78.4℃のポリブチレンサクシネート(Ire Chemical社製 G5300)を用い、第二の脂肪族ポリエステル樹脂として、ガラス転移温度は62.9℃のポリ乳酸(島津社製LACTY 9030)を使用した。
ブレンドした樹脂をホッパーに投入し、ホッパー内にて6MPaの圧力で30分間、炭酸ガスを予備溶解させ、次にインジェクションスクリュー内で樹脂温度150℃、炭酸ガス圧力6MPaにて樹脂を溶融させた。
次に、射出温度110℃、射出速度200mm/sec、射出圧力18MPaにより金型内に射出し発泡体を作成した。この際、金型温度は40℃とした。得られた発泡体の評価結果を表1に示す。
(比較例1)
第二の脂肪族ポリエステル系樹脂を用いない以外は実施例1と同様にして発泡体を作成した。得られた発泡体の評価結果を表1に示す。
(比較例2)
第一の脂肪族ポリエステル系樹脂の量を40重量%にし、第二の脂肪族ポリエステル系樹脂の量を60重量%とする以外は実施例1と同様にして発泡体を作成した。得られた発泡体の評価結果を表1に示す。
表1より明らかなように、第一の脂肪族ポリエステル系樹脂単独の発泡体(比較例1)に比べて、第二の脂肪族ポリエステル系樹脂を本発明の範囲内で混合すると、微細な発泡体を作成できる(実施例1〜4)。また、第二の脂肪族ポリエステル系樹脂を本発明の範囲外の多量に混合すると、逆に気泡が粗大化し、発泡倍率も上がらない(比較例2)。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体は、2種類の脂肪族ポリエステル系樹脂の混合物を用いることにより、生分解性を有し、長鎖分岐および/または架橋成分、化学発泡剤の分解残差を含有しない環境負荷の少なく、微細な気泡径を有する発泡体であり、軽量で、かつ強度的にもすぐれ、かつ分解後にも残存して悪影響を及ぼす添加剤を含まない発泡体であるので、コンクリート型枠、止水板、土留め板等の建築用の資材、住宅内装材、化粧板等の産業資材として用いることができる。

Claims (5)

  1. 生分解性を有し、長鎖分岐および/または架橋成分、化学発泡剤の残渣を含有しない脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体であって、脂肪族ポリエステル系樹脂が、グリコールと脂肪族ジカルボン酸との重縮合により得られる第一の脂肪族ポリエステル系樹脂50〜95重量%とガラス転移温度が第一の脂肪族ポリエステル系樹脂の冷却結晶化温度よりも5〜25℃低い、ポリ(α−ヒドロキシ酸)からなる第二の脂肪族ポリエステル系樹脂5〜50重量%の混合物からなり、しかも第一の脂肪族ポリエステル系樹脂は、その溶融温度+15℃、剪断速度周波数1rad/sでの貯蔵粘性率J”が0.00008〜0.0003Pa −1 であることを特徴とする脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体。
  2. 全脂肪族ポリエステル系樹脂100重量部に対し、平均粒径が0.1〜50μmの無機粒子0.05〜0.5重量部を含有することを特徴とする請求項1に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体。
  3. 発泡倍率が5〜15倍であり、平均発泡径が1500μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体。
  4. 第一の脂肪族ポリエステル系樹脂が、ポリブチレンサクシネートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体。
  5. 発泡剤として無機ガスを用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の脂肪族ポリエステル系樹脂発泡体の製造方法。
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