JP4774919B2 - 車両用シートスライド装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用シートスライド装置に関する。
従来、特許文献1記載の車両用シートスライド装置が知られている。この車両用シートスライド装置は、図9に示すように、一対のロアレール90と、一対のアッパレール91と、ロック機構92と、解除レバー93と、トルクロッド94とを備えている。一対のロアレール90は車両のフロアに固定されている。一対のアッパレール91は車両のシートに固定され、ロアレール90に対しレール平面90a内で前後方向に移動可能に支持されている。また、ロック機構92はアッパレール91をロアレール90に解除可能にロックする。さらに、解除レバー93は、前後方向と直角な横方向に延在する回動軸線94a回りに回動可能にアッパレール91に支持され、ロック機構92に作動して、アッパレール91をロアレール90から解除する。また、トルクロッド94は、回動軸線94a回りに回動可能にアッパレール91に枢支され、操作レバー95によって回動されることにより解除レバー93を回動させる。このトルクロッド94は、レール平面90aに対して直立してアッパレール91に一体的に固定されたブラケット96に挿通され、抜け止めとしてのスプリング97により操作レバー95を下方向に付勢している。
この車両用シートスライド装置によれば、操作レバー95を操作しない状態において、ロック機構92によりアッパレール91がロアレール90にロックされている。操作レバー95を引き上げると、トルクロッド94が回動軸線94a回りに回動されることにより、解除レバー93を回動させ、アッパレール91をロアレール90から解除して、アッパレール91を移動可能にすることができる。
独国特許出願公開第DE10040594A1号明細書
しかし、上記従来の車両用シートスライド装置では、ロアレール、アッパレール、トルクロッド及び操作レバー等を組付けた後でなければシートアッセンブリの組付けをすることができないため、シートアッセンブリの組付け時にトルクロッド、操作レバー等が組付けの妨げとなる。これに対し、シートアッセンブリをアッパレールに組付けた後にトルクロッド、操作レバー等を組付けることができるのであれば、組付けが容易になる。
本発明は係る従来の問題点に鑑みてなされたものであり、組付けが容易な車両用シートスライド装置を提供することである。
上記の課題を解決するために、請求項1に係る車両用シートスライド装置の特徴は、車両のフロアに固定された一対のロアレールと、車両のシートに固定され、前記ロアレールに対しレール平面内で前後方向に移動可能に支持された一対のアッパレールと、前記アッパレールを前記ロアレールに解除可能にロックするロック機構と、前後方向と直角な横方向に延在する回動軸線回りに回動可能にアッパレールに支持され、前記ロック機構に作動して、前記アッパレールを前記ロアレールから解除する解除レバーと、前記回動軸線回りに回動可能に前記アッパレールに枢支され、操作レバーによって回動されることにより前記解除レバーを回動させるトルクロッドと、を備える車両用シートスライド装置において、前後方向に延在するとともに、前記レール平面に対して直立して前記アッパレールに一体的に固定される前後方向延在部を有し、該前後方向延在部には前記操作レバーが位置する前側に開口する開口部を有する凹部が前後方向に形成されたブラケットと、前記凹部に前記開口部から挿入された前記トルクロッドを前記凹部内で回転可能に拘束する拘束手段と、を有することである。
請求項2に係る車両用シートスライド装置の特徴は、請求項1において、前記ブラケットは前記凹部の前記開口部から横方向に屈曲して延在する横方向延在部を有し、前記凹部は前記前後方向延在部から前記横方向延在部に亘って伸びる長孔の一部であることである。
請求項3に係る車両用シートスライド装置の特徴は、請求項1又は請求項2において、前記拘束手段は、前記凹部の前記開口の少なくとも一端側より前記凹部の内側に向かって突出した板バネであることである。
請求項4に係る車両用シートスライド装置の特徴は、請求項1又は請求項2において、前記拘束手段は、前記凹部の前記開口部を開閉可能であり、付勢手段により前記開口部を閉じる方向に付勢されているフックであることである。
請求項5に係る車両用シートスライド装置の特徴は、請求項1又は請求項2において、前記拘束手段は前記凹部の前記開口の両端側より前記凹部の内側に向かって突出した板バネであり、前記トルクロッドの前記板バネとの当接部には、前記トルクロッドの回転を規制する凸部が突設されていることである。
請求項1に係る車両用シートスライド装置においては、ブラケットの前後方向延在部には前側に開口する開口部を有する凹部が前後方向に形成され、開口部から挿入されたトルクロッドを凹部内で回転可能に拘束する拘束手段を有しているため、シートアッセンブリをアッパレールに組付けた後にトルクロッド、操作レバー等を組付けることができる。したがって、この車両用シートスライド装置によれば、シートアッセンブリの組付け時にトルクロッド、操作レバー等が組付けの妨げとならず、組付けが容易になる。
請求項2に係る車両用シートスライド装置においては、前後方向延在部から横方向延在部に亘って伸びる長孔の一部を凹部としているため、ブラケットの前端が開放端とならず、ブラケットの強度を増すことができる。
請求項3に係る車両用シートスライド装置においては、凹部の開口の少なくとも一端側より凹部の内側に向かって突出した板バネを拘束手段としているため、トルクロッドを凹部内で回転可能に拘束することができる。
請求項4に係る車両用シートスライド装置においては、凹部の開口部を開閉可能であり、付勢手段により開口部を閉じる方向に付勢されているフックを拘束手段としているため、これによってもトルクロッドを凹部内で回転可能に拘束することができる。
請求項5に係る車両用シートスライド装置においては、板バネと凸部とによりトルクロッドの回転が規制されるため、操作レバーの遊びを吸収できるとともに、操作レバーを下方向に付勢するスプリング等を設ける必要がなくなる。
本発明に係る車両用シートスライド装置を具体化した実施形態を図面に基づいて以下に説明する。図1及び図2に示すように、この車両用シートスライド装置は、一対のロアレール40、一対のアッパレール50、ロック機構60、解除レバー1、トルクロッド2、操作レバー3、ブラケット10及び板バネ16を備えている。一対のロアレール40は車両のフロアに固定されている。一対のアッパレール50は車両のシートに固定され、ロアレール40に対しレール平面40a内で前後方向に移動可能に支持されている。また、ロック機構60はアッパレール50をロアレール40に解除可能にロックする。さらに、解除レバー1は、前後方向と直角な横方向に延在する回動軸線2a回りに回動可能にアッパレール50に支持され、ロック機構60に作動して、アッパレール50をロアレール40から解除する。また、トルクロッド2は、回動軸線2a回りに回動可能にアッパレール50に枢支され、操作レバー3によって回動されることにより解除レバー1を回動させる。このトルクロッド2は、レール平面40aに対して直立してアッパレール50に一体的に固定されたブラケット10に挿通され、ブラケット10の外側(レール平面40aと反対側)においてバネ2bが設けられている。バネ2bは、トルクロッド2の抜け止めとなるとともに、操作レバー3を下方向に付勢している。また、操作レバー3はトルクロッド2の前方向に固定され、解除レバー1はトルクロッド2の後方向に固定されている。
次に、各部について詳細に説明する。図2に示すように、ロアレール40の内側の長手方向には、ロック機構60を構成するロック孔41が複数並設されている。アッパレール50には、ロアレール40の内側及び外側で、各ロック孔41と対向し得る透孔51、52を有している。また、アッパレール50には、解除レバー1の先端部が挿通される挿通孔50aが設けられている。さらに、アッパレール50には、後述するロックレバー63の回動板63c、ロックブラケット64の支持板65b、66b及びボール62が挿通される切欠き穴53、54が設けられている。
ロック機構60は、ロック孔41、透孔51、52、ボール62、ロックレバー63及びロックブラケット64を有している。ロックレバー63は、ロックレバー63がアッパレール50に組付けられた状態において、アッパレール50の長手方向に伸びる軸線回りに回動可能にされている。ボール62は剛球からなり、ロックレバー63の軸線回りの円滑な回動を確保するとともに、ロックレバー63のガタを抑制する。
ロックレバー63には、ロック孔41に対し係脱可能なロック爪63aが上方に設けられている。また、ロックレバー63には連動部63bが後方に設けられており、この連動部63bには、図3及び図4に示すように、ロックレバー63を回動操作する解除レバー1の押圧部1aが係合している。図2に示すように、ロックレバー63の両端部には、ロックブラケット64により支持される2個の回動板63cが一体として設けられている。各回動板63cには、ボール62の外周球面の曲率半径よりも大きい曲率半径の半球凹面を有する凹部63dが形成されている。
ロックブラケット64は、第1ブラケット65及び第2ブラケット66からなり、ロアレール40の上方でアッパレール50に固定されている。第1ブラケット65及び第2ブラケット66の両端部には、ロックレバー63を支持する2個の支持板65a、66aが一体として設けられている。各支持板65a、66aには、ボール62の外周球面の曲率半径よりも大きい曲率半径の半球凹面を有する凹部65b、66bが、回動板63cの凹部63dと対向して形成されている。
各支持板65a、66aの凹部65b、66bと各回動板63cの凹部63dとの間には、ボール62が挟持されている。これにより、ロックレバー63がボール62を介してロックブラケット64に支持され、ロックレバー63はアッパレール50の長手方向に伸びる軸線回りに回動可能にされる。
また、両レール40、50の断面内において、ロックバネ67が一端に設けた取付孔67aによりアッパレール50に固定され、他端に設けた調整孔67bによりアッパレール50の前後方向に移動可能に組付けられている。このロックバネ67は、中央の円弧状に湾曲した部分においてロックレバー63に係合し、ロック爪63aがロック孔41に係入される方向にロックレバー63を付勢している。
ブラケット10は、図5に示すように、前後方向に延在するとともに、レール平面40aに対して直立してアッパレール50に一体的に固定される前後方向延在部11と、アッパレール50に前後方向延在部11を固定する取付け孔12aを持つ取付け部12とから構成される。前後方向延在部11には、操作レバー3が位置する前側に開口する開口部13aを有する凹部13が前後方向に形成され、凹部13の後方には拘束手段としての板バネ16を固定する取付け板14が切り起こしにより形成されている。
また、ブラケット10の前後方向延在部11の内側(レール平面40a側)には、凹部13に開口部13aから挿入されたトルクロッド2を凹部13内で回転可能に拘束する板バネ16が設けられている。板バネ16は、外側に向かって湾曲し、トルクロッド2を包囲する板バネ本体16aと、板バネ本体16aの先端から凹部13の内側に向かって突出する突出部16bと、板バネ本体16aの後端から真直ぐに伸び、取付け板14によりブラケット10に固定される取付け部16cとから構成されている。
以上の構成をした車両用シートスライド装置では、まず、板バネ16が取付けられたブラケット10をアッパレール50に固定し、アッパレール50をロアレール40に嵌合させて組付ける。次に、アッパレール50にシートアッセンブリを組付ける。そして、操作レバー3及び解除レバー1が固定されたトルクロッド2をアッパレール50の前方向からブラケット10の凹部13内に挿入する。この際、トルクロッド2はブラケット10の開口部13aから挿入され、板バネ16の反発力に抗して凹部13内に挿入される。トルクロッド2が凹部13内に挿入されると、板バネ16の突出部16bが板バネ本体16aの先端から凹部13の内側に向かって突出していることから、トルクロッド2が凹部13から脱落することはない。最後に、トルクロッド2のブラケット10の外側(レール平面40aと反対側)にバネ2bを取付けて、車両用シートスライド装置とされる。
次に、変形形態1〜3の車両用シートスライド装置について説明する。なお、変形形態1〜3において、実施形態と同じ機械的構成については同じ符号を用いるものとし、その説明を省略する。変形形態1の車両用シートスライド装置は、図6に示すブラケット20を用いる。ブラケット20は、前後方向延在部21と、横方向延在部22と、取付け部23、24とから構成される。前後方向延在部21は、前後方向に延在し、操作レバー3が位置する前側に開口する開口部25bを有する凹部25aが前後方向に形成され、凹部25aの後方には拘束手段としての板バネ16を固定する取付け板26が切り起こしにより形成されている。横方向延在部22は、開口部25bから横方向に屈曲して延在し、その先端部において前後方向に延在する。また、前後方向延在部21から横方向延在部22に亘って長孔25が形成され、この長孔25の前後方向延在部21の部分が凹部25aとなっている。取付け部23、24は、前後方向延在部21及び横方向延在部22をレール平面40aに対して直立してアッパレール50に一体的に固定する取付け孔23a、24aを有している。その他の構成は実施形態と同様である。なお、拘束手段として板バネ16を用いたが、後述するフック36を用いてもよい。
変形形態2の車両用シートスライド装置は、図7に示すブラケット30と拘束手段としてのフック36を用いる。ブラケット30は、前後方向に延在するとともに、レール平面40aに対して直立してアッパレール50に一体的に固定される前後方向延在部31と、アッパレール50に前後方向延在部31を固定する取付け孔32aを持つ取付け部32とから構成される。前後方向延在部31には、操作レバー3が位置する前側に開口する開口部33aを有する凹部33が前後方向に形成されている。また、フック36は、支軸37により回転可能にブラケット30に固定され、付勢手段としてのスプリング38により先端部36aが開口部33aを閉じる方向に付勢されている。その他の構成は実施形態と同様である。
この車両用シートスライド装置では、操作レバー3及び解除レバー1が固定されたトルクロッド2をアッパレール50の前方向から挿入すると、フック36の先端部36aが押し上げられ、トルクロッド2がブラケット30の凹部33内に挿入される。そして、スプリング38により先端部36aが開口部33aを閉じるため、トルクロッド2は凹部33内で回転可能に拘束される。
変形形態3の車両用シートスライド装置は、図8に示すように、図5のブラケット10と板バネ16とを用いる。ただし、図8に示すように、トルクロッド2の板バネ16との当接部には、トルクロッド2の回転を規制する凸部2cが突設されている。また、トルクロッド2のブラケット10の外側(レール平面40aと反対側)には、トルクロッド2の抜け止めとしてのEリング2dが設けられている。その他の構成は実施形態と同様である。
以上において、本発明の車両用シートスライド装置を実施形態及び変形形態1〜3に即して説明したが、本発明はこれらに制限されるものではなく、本発明の技術的思想に反しない限り、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
実施形態の車両用シートスライド装置の斜視図。 実施形態の車両用シートスライド装置の一部斜視図。 実施形態の車両用シートスライド装置の一部断面図。 実施形態に係り、図3のI−I矢視断面図。 実施形態の車両用シートスライド装置の一部斜視図。 変形形態1の車両用シートスライド装置の一部斜視図。 変形形態2の車両用シートスライド装置の一部斜視図。 変形形態3の車両用シートスライド装置の一部斜視図。 従来の車両用シートスライド装置の斜視図。
符号の説明
40…ロアレール、40a…レール平面、50…アッパレール、60…ロック機構、1…解除レバー、2…トルクロッド、2a…回動軸線、2c…凸部、3…操作レバー、10、20、30…ブラケット、11、21、31…前後方向延在部、13、25、33…凹部、13a、25a、33a…開口部、16、36…拘束手段(16…板バネ、36…フック)、22…横方向延在部、25…長孔、38…付勢手段(スプリング)。

Claims (5)

  1. 車両のフロアに固定された一対のロアレールと、
    車両のシートに固定され、前記ロアレールに対しレール平面内で前後方向に移動可能に支持された一対のアッパレールと、
    前記アッパレールを前記ロアレールに解除可能にロックするロック機構と、
    前後方向と直角な横方向に延在する回動軸線回りに回動可能にアッパレールに支持され、前記ロック機構に作動して、前記アッパレールを前記ロアレールから解除する解除レバーと、
    前記回動軸線回りに回動可能に前記アッパレールに枢支され、操作レバーによって回動されることにより前記解除レバーを回動させるトルクロッドと、を備える車両用シートスライド装置において、
    前後方向に延在するとともに、前記レール平面に対して直立して前記アッパレールに一体的に固定される前後方向延在部を備えるとともに、該前後方向延在部は前記操作レバーが位置する前側に開口する開口部を有する凹部が形成されたブラケットを有し、
    前記前後方向延在部は、前記凹部に前記開口部から挿入された前記トルクロッドを前記凹部内で回転可能に支持するとともに、前記トルクロッドの前記開口部側への移動を拘束する拘束手段と、を有することを特徴とする車両用シートスライド装置。
  2. 請求項1において、前記ブラケットは前記凹部の前記開口部から横方向に屈曲して延在する横方向延在部を有し、前記凹部は前記前後方向延在部から前記横方向延在部に亘って伸びる長孔の一部であることを特徴とする車両用シートスライド装置。
  3. 請求項1又は請求項2において、前記拘束手段は、前記凹部の前記開口の少なくとも一端側より前記凹部の内側に向かって突出した板バネであることを特徴とする車両用シートスライド装置。
  4. 請求項1又は請求項2において、前記拘束手段は、前記凹部の前記開口部を開閉可能であり、付勢手段により前記開口部を閉じる方向に付勢されているフックであることを特徴とする車両用シートスライド装置。
  5. 請求項1又は請求項2において、前記拘束手段は前記凹部の前記開口の両端側より前記凹部の内側に向かって突出した板バネであり、前記トルクロッドの前記板バネとの当接部には、前記トルクロッドの回転を規制する凸部が突設されていることを特徴とする車両用シートスライド装置。
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