JP4774595B2 - 電動送風機の製造方法及び電動送風機並びに電気掃除機 - Google Patents

電動送風機の製造方法及び電動送風機並びに電気掃除機 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動送風機の製造方法および電動送風機並びにそれを用いた電気掃除機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
家庭用の電気掃除機に使用される電動送風機1は、図32、図33で示すように、複数のブレード2を有したインペラ3が電動機4の回転軸5に固着されている。インペラ3の周囲には複数の静翼6を有したエアガイド7が配置されている。そして、インペラ3、エアガイド7は吸気口8を有したファンケース9に内包されている。図33はエアガイド部の図を示す。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
電動機4を駆動するとインペラ3が高速で回転し、その時、電動機4の回転子10とインペラ3の不釣り合いにより、電動送風機1にはアンバランス振動が生じ、電動送風機1を使用する掃除機などの騒音発生の原因となる。不釣り合いの原因には、インペラ3、回転子10の持つ残留アンバランスの他に、インペラ3を回転軸5に取り付ける際の、軸中心の不一致や、軸受け自身の軸芯振れの原因もあり、インペラ3、回転子10など回転体の個々のバランス修正のみでは振動を低減できない。このように掃除機などの機器の騒音を低減する上で電動送風機1の回転アンバランス振動の低減が大きな課題となっている。
【0004】
本発明は、回転体の不釣り合いを無くし、振動の小さな電動送風機を実現し、掃除機など機器の騒音を低減することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためには、インペラを回転子に取り付けた後、電動機を駆動することにより、回転不釣り合いの除去を行い、その後、エアガイドを取り付ける構成を実現することで、高効率でしかも低振動な電動送風機を実現できる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1記載の発明は、電動機の回転軸に固着され複数のブレードを有したインペラと、エアガイドと、中央に吸気口を有し前記インペラ、エアガイドを内包するファンケースとを備え、前記エアガイドは前記インペラの下部に配された基板と、前記基板の外周上面に位置すると共に前記インペラの外周周囲に配置した複数の静翼と、前記基板の裏面に配置された複数の戻り流路を構成する戻り羽根からなり、上記静翼部、基板の外周部、戻り羽根の少なくとも一つがインペラを回転軸に固着した状態でエアガイドから取り外し可能でかつ基板を電動機側に移動可能に設けた電動送風機とすることにより、インペラを回転軸に取り付けた状態で不釣り合いの修正が簡単かつ正確にでき、又、インペラの周囲が広く空いているため、不釣り合いの修正の作業性が良くなり、振動の小さな電動送風機が簡単に実現できる。
【0007】
本発明の請求項2記載の発明は、戻り流路と電動機内を連通する連通孔を電動機のブラケットに設け、基板が電動機側に移動した時に前記連通孔を塞ぐようにした請求項1記載の電動送風機とすることにより、インペラを回転軸に取り付けた後、回転不釣り合いの修正ができ、不釣り合い修正作業中でも、切りくずなどが電動機内に侵入することが無く、振動の小さな信頼性の高い電動送風機が実現できる。
【0008】
本発明の請求項3記載の発明は、ブラシレス型の電動機の回転軸に固着され複数のブレードを有したインペラと、インペラの下部に設置され軸方向に移動可能な基板と、エアガイドと、中央に吸気口を有し前記インペラ、エアガイドを内包するファンケースとを備え、前記エアガイドは前記基板の外周に設けられ電動機側に取り外し可能な基板外周部と、前記基板外周部上部に固着された静翼と、前記基板外周部の裏面に固着された戻り羽根とを有し、前記回転軸にインペラを固着した後、エアガイドを前記電動機の外郭の外周に沿って反インペラ側から挿入して取り付け、その後ファンケースを前記エアガイドの外周に取着するようにした電動送風機とする事により、回転軸にインペラが固着した状態で不釣り合い修正が精度良く行え、しかも組立が簡単に行える電動送風機を実現できる。
【0009】
本発明の請求項4記載の発明は、全閉型でかつブラシレス型の電動機と、前記電動機の回転軸に固着され複数のブレードを有するインペラと、前記インペラの外周周囲に配置した複数の静翼と、前記インペラから排出される空気を電動機の外郭外周に気流を導くエアガイドと、中央に吸気口を有し前記エアガイド、インペラを内包するファンケースを備え、前記回転軸にインペラを固着した後、外郭の外周に沿って反インペラ側からエアガイドを挿入取り付け、その後ファンケースをエアガイド外周に取着するようにした電動送風機とする事により、より簡単な構成で、インペラが回転軸に固着した状態で不釣り合い修正ができる電動送風機を実現できる。
【0010】
本発明の請求項5記載の発明は、全閉型でかつブラシレス型の電動機と、前記電動機の回転軸に固着され複数のブレードを有するインペラと、前記インペラの外周周囲に配置した複数の静翼と、前記インペラから排出される空気を電動機の外郭外周に気流を導くエアガイドと、中央に吸気口を有し前記エアガイド、インペラを内包するファンケースを備え、前記回転軸にインペラを固着した後、前記インペラ側からエアガイドを挿入して取り付け、その後ファンケースをエアガイド外周に取着するようにした電動送風機とすることにより、より簡単な構成組立で、インペラが回転軸に固着した状態で不釣り合い修正ができる電動送風機を実現できる。
【0011】
本発明の請求項6に記載の発明は、電動機の回転軸に固着され、電動機側に空気取り入れようの入り口孔を持ち、複数のブレードを有したインペラと、前記インペラの外周に設けられたエアガイドと、前記入り口孔に対向する吸気口を有したファンケース前と、前記インペラ、エアガイドを内包するファンケース後を有し、前記回転軸にインペラを固着した後、エアガイドを取り付け、その後に、ファンケース後を取り付けるようにした電動送風機とする事により、効率の良い、しかも組立が簡単で、かつ回転軸にインペラが固着した状態で回転不釣り合いが修正できる電動送風機を実現できる。
【0012】
【実施例】
参考例1)
図1、図2、図3に発明の第一の参考例を示す。図1(a)は家庭用の掃除機などに使用されている電動送風機1の組立を示す分解断面図を示し、(b)は完成状態の要部断面図を示す。従来と同一の箇所は同一付号を記しその説明を一部省く。電動送風機1は送風機11と、電動機4に分けられる。送風機11は、電動機4の回転軸5に固着された複数のブレード2を有したインペラ3と、その周りに配置された、複数の静翼6を有したエアガイド7と、これらインペラ3とエアガイド7を内包し、中央に吸気口8を有したファンケース9によって構成されている。なお、図2にエアガイド7の全体を示す。
【0013】
インペラ3は中央に入り口孔12を有した前シュラウド13と、後シュラウド14と、前記両シュラウド13,14にて挟持固定されている複数のブレード2によって形成されている。エアガイド7は、インペラ3の下部に位置し、電動機3のブラケットA22に載置固定された基板15と、基板15の外周に着脱可能に取り付けられた基板外周部19と、基板外周部19の表面に固着された静翼6(静翼6はインペラ3の外周周囲に配置される)、基板15及び基板外周部19の裏面に固着された戻り羽根17より形成されている。なお、図3に基板15の全体を示す。
【0014】
これにより、インペラ3側の基板外周部19に複数の静翼6による拡大通路16を構成している。又裏面には、複数の戻り羽根17による戻り通路18を構成している。静翼6で囲まれた基板外周部19の表面の拡大通路16と基板15裏面の戻り通路18をつなぐ通気口10が基板15の外周部に設置されている。エアガイド7はインペラ3から排出された気流を導き、拡大減速させながら、できるだけ小さな損失で圧力回復を行うものである。
【0015】
参考例では、表面に静翼6、裏面に戻り羽根17の一部を固着したリング状の基板外周部19が基板15と着脱自在に嵌合している。又、基板外周部19の内周側には段差A29が設けられその段差A29は基板15の外周に設けられた段差B30に載置されるように取り付けられるようになっている。そして前記段差A29と段差B30が接合する接合部はインペラ3の外径より大きな位置に設けてある。又、戻り羽根17は接合部で外側戻り羽根17aと内側戻り羽根17bに分割されている。基板外周部19と基板15の着脱はインペラ3が回転軸5に固着された状態でも可能である。そして静翼6の上端面6aはファンケース9と当接し、戻り羽根17の下端面17cはブラケットA22の表面22aに当接し、ファンケース9をブラケットA22の外周部31に圧入固定することにより、基板外周部19と基板15を固定している。
【0016】
電動機4は回転軸5を軸受け20,21を介してブラケットA22、ブラケットB23に支持されている。24は巻き線を施した回転子、25は巻き線を施した固定子を示している。26はブラシであり、すなわち、本参考例の電動機は高速運転に適した交流整流子型の電動機を構成している。
【0017】
上記構成による作用は以下のとおりである。電動機4を駆動しインペラ3を高速で回転させると、遠心力によって高速の気流が生じる。すなわち、吸気口8から流入した気流はインペラ3を通って外周へ流れる。インペラ3を出た高速の気流はエアガイド7の拡大通路16に流入し拡大減速をしながら通気口10を通り流れの方向を変え、基板15の裏側の戻り流路18を通り、なお圧力回復を続けながら、ブラケットA22に設けられた連通孔27を通り電動機4内部を経てブラケットB23に設けられた排気口28から外部へ排気される。この高速の気流、すなわち吸引力を掃除機等に利用している。
【0018】
次に上記構成による電動送風機のアンバランス修正について述べる。インペラ3を回転軸5に取り付けた時点ではインペラ3の外周部には静翼6などを取り付けた基板外周部19が取り付いておらず、この状態で、図4に示すような、バネ32などで柔支持された架台33に、インペラ3だけを取り付けた電動機4を載せる。34は架台に取り付けられた振動センサであり残留アンバランスの位相情報を得るために2カ所に取り付けてある。35は回転センサであり、インペラ3の回転数を測ると同時にインペラ3の回転位置を検出する。電動機4を駆動すると、回転体の残留アンバランスのため、回転数の周波数を持つ振動が生じ、その大きさは振動センサで検出される。
【0019】
又、振動センサ34からの信号と、回転センサ35からの信号の位相関係から、残留アンバランスの位置が算出できる。回転子24は部品単体でバランス修正を行っており、算出される残留アンバランスは、インペラ3と回転軸5間の軸芯の不一致に起因するものがほとんどであり、インペラ3のある一カ所に残留アンバランスは集約される。アンバランスを修正するには、残留アンバランスの反対の位置でインペラ3の外周を適当な量切り取ればよい。基板15の外周の静翼6などを取り付けた基板外周部19は取り外した状態であり、インペラ3を回転軸5に取り付けた状態で、横から工具を使ってインペラ3の外周を切り取る事が簡単にできる。その後、静翼6を有した基板外周部19を基板15に取り付け、ファンケース9をブラケットAに圧入固着することにより、エアガイド7を固定する。バランスを修正した後、インペラ3と回転軸5ははずされることが無いので、振動の小さな電動送風機が実現できる。
【0020】
より完全にバランスを修正するために、インペラ3の部分、回転子24の部分の2面でアンバランスを修正することも可能である。
【0021】
参考例2)
本発明の第2の参考例を図5〜図8を用いて説明する。図5にエアガイド36の全体を示す。なお上記の参考例と同一構成部品については同一符号を付してその説明を省略する。36はエアガイドを示し、基板37,静翼38、戻り羽根39より構成されている。本参考例のエアガイド36の一部の静翼38、基板37、戻り羽根39から成るガイド片40は取り外し、取り付け可能であり、図6に示す例では、取り外し可能なガイド片40はインペラ3の外径より外側の位置にあり、インペラ3を回転軸に固着した状態で軸方向に取り外し可能である。図6(b)は側断面図示し、静翼部38,基板37、戻り羽根39を各ブロックとして表している。図6から明らかな様に、ガイド片40を取り外した部分はインペラ3、特に前シュラウド13は露出しているので、参考例1に述べたのと同様に、インペラ3を回転軸5に取り付けた後、回転不釣り合いを修正するため、工具などを使ってインペラ3の前シュラウド13の加工等が容易であり、精度の高いかつ素早い不釣り合い修正が可能になる。
【0022】
図7は他の参考例を示す。すなわちこの例でも同様に、エアガイド36からガイド片42が取り外し可能な構成になっているが、エアガイド36とガイド片42の切断線は基板37上に位置し、静翼38を切ることは無く、静翼38の途中に隙間や段差が生じることは無く、損失が増加することは無い。
【0023】
図8も又他の参考例を示す。この参考例ではエアガイド36から切り離し可能なガイド片47はインペラ3の外径より小さな基板37部分を含む。そのため、インペラ3が回転軸5に取り付いた状態でガイド片47を取り外すには軸方向で無く、径方向に取り外す必要があり、内径側49が外径側50より小さくなるように、相対向する切断線51,52はテーパ形状を有している。この方法では図8(b)から判るように、取り外されたガイド片47の部分は前シュラウド13、後シュラウド14共に露出し、前記参考例で述べた様に、インペラ3が回転軸5に固着した状態で不釣り合いを修正する場合、両シュラウドを加工しやすく、より精度の高い不釣り合い修正が可能になり、エアガイド等の他の部分を傷つける危険性も少ない。
【0024】
参考例3)
図9〜図11に本発明の第3参考例を示す。図9は家庭用の掃除機などに使用されている電動送風機1を示している。従来例と同一の箇所は同一番号を付してその説明を省く。
【0025】
54はエアガイドであり、基板55から取り外し可能な静翼部56と基板55の裏面に固着された戻り羽根57から構成されており、電動機のブラケットA22に載置固定されている。図10に静翼部56の全体を、図11に基板55の全体を示す。
【0026】
静翼部56はリング状の補助基板58と、その上面に固着されて複数の静翼56aとによって構成されており、基板55の外周に設けられた段差60に着脱自在に嵌合設置されている。静翼部56はインペラ3の外側に位置するため、エアガイド54をブラケットA22に設置し、回転軸5にインペラ3を固定した後でも、静翼部56を軸方向に取り外し可能であり、取り外すとインペラ3の外周側には障害物が無くなり、前記参考例でも説明したとおりエアガイド54を設置し、回転軸5にインペラ3を固着した状態で回転不釣り合いの検出した後、工具などを使って外周側からインペラ3の前シュラウド13への一部切り取りのような加工が可能になり精度の高いアンバランス修正が可能になる。又静翼部56は独立して一体化しており、接合部分からの空気の漏れなどは小さく損失が小さく抑えられる。
【0027】
参考例4)
図12,13に本発明の第4の参考例を示す。61はファンケースであり、本参考例では樹脂成型で作られている。ファンケース61の内面外周側には複数の静翼62が一体成型されている。63はエアガイドであり、電動機4のブラケットA22に載置固定してある。図13に示すようにエアガイド63の基板67の表面64には複数のエアガイド溝65が設けてあり、前記静翼62の端部66が嵌合する形状を有している。68はエアガイド63の基板67の裏面に固着された戻り羽根を示す。
【0028】
電動機4のブラケットA22にエアガイド63を載置固定した後、回転軸5にインペラを固定し、ファンケース61を、静翼62をガイド溝65に嵌合させながらブラケットA22の外周にそってファンケース61に圧入することで、インペラ3の周囲にエアガイド63すなわち拡大通路16が構成される。
【0029】
又ファンケース61を取り外すことによりインペラ3の周囲から静翼部が無くなり、インペラ3の周囲は開放され、前記参考例でも説明したとおりエアガイド63を設置し、回転軸5にインペラ3を固着した状態で回転不釣り合いの検出した後、工具などを使って外周側から前シュラウド13への加工が可能になり精度の高い回転不釣り合い修正が可能になる。又静翼62は独立して一体化されているので、接合部分からの空気の漏れなどが無く損失が小さく抑えられ、かつ部品点数が少なく組立が簡素化される。
【0030】
参考例5)
図14、図15に本発明の第5の参考例を示す。70は電動機4のブラケットA22上に載置されたエアガイドであり、中央で径方向に2分割され、エアガイド右70a、エアガイド左70bから構成されている。すなわち、エアガイド70はインペラ3が回転軸5に固着された状態で、径方向に分割する事により着脱が可能である。図15で71は鍔部71aを有した円筒状のエアガイド止め具であり、ブラケットA22のハウジング72に圧入固着されている。分割されたエアガイド右69、エアガイド左70bの取り付け固定は、エアガイド止め具71の鍔部71aとブラケットA22の間に構成される隙間73に両エアガイド70a,70bの中央部74を挿入し中央部分の軸方向固定を行う。分割された両エアガイド70a,70bの端面にはそれぞれ凹部75,凸部76が設置されており、互いを嵌合させることにより左右両エアガイド70a,70bの固定を行う。エアガイド70外周部70cは、ファンケース9の内周面9aと当接嵌合させることにより、ファンケース9をブラケットA22の外周に圧入固定すると同時にエアガイド70の径方向の固定を行う。軸方向の固定はファンケース9内部端面9bを静翼上端面78に当接させることで完了する。又インペラ3を回転軸5に固着した状態で左右両エアガイド70a,70bを取りはず事により、インペラ3の周囲に障害物が無くなり、インペラ3の周囲は開放され、前記参考例でも説明したとおり、回転軸5にインペラ3を固着した状態で回転不釣り合いの検出した後、工具などを使って外周側から前シュラウド13、あるいは後シュラウド14への加工が可能になり精度の高い回転不釣り合い修正が可能になる。本参考例ではエアガイド70を2分割したが、3分割、4分割などでも、同様の効果が得られることはいうまでもない。
【0031】
(実施例
図16,17、18に本発明の第の実施例を示す。図16(a)は分解組み立てを示し、図16(b)はその完成状態を示す。79は本実施例でのエアガイドを示す。エアガイド79の表面に静翼6、裏面に戻り羽根87を固着したリング状の基板外周部88が基板80と着脱自在に嵌合している。すなわち、基板外周部88の内側に設けられた段差A29が基板80の外周に設けられた段差B30に載置されるように取り付けられる。そして段差A29と段差B30の接合部はインペラ3の外径より大きな位置に設けてある。
【0032】
図17で示すように基板80の中央には、内周に段差C84と、ネジ部A85を有した連結孔86が構成されている。81はブラケットA22のハウジング72の外周に圧入固着された円筒形の基板固定具であり、上端には外周段差D82を有した円板形の鍔部83を持っており、又外周にはネジ部B85bを有している。そして基板80のネジ部A85とネジ部B85bが螺着し、基板80の段差C84と段差D82が嵌合する。すなわち、基板80に基板固定具81を各の段差C84,段差D82が嵌合するように螺着し基板固定具81をハウジング72の外周に圧入固定すれば、基板80は回転させることにより上下動が可能になる。
【0033】
基板固定具81を介して基板80をハウジング72に固定した後、基板外周部88を固定し、インペラ3を回転軸5に固着する。その後ファンケース9をブラケットA22の外周に圧入固着すれば電動送風機1が完成する。
【0034】
本実施例では、ファンケース9を取り付ける前、すなわちインペラ3を回転軸5に固着した状態で、基板外周部88が取り外し可能であり、しかもこの状態で基板80を回転させれば図17のように基板80は電動機4側に移動し、インペラ3の周囲が開放され、前記実施例でも説明したとおり、回転軸5にインペラ3を固着した状態で回転不釣り合いの検出した後、工具などを使って外周側から前シュラウド13、あるいは後シュラウド14への加工が容易になり精度の高い回転不釣り合い修正が可能になる。
【0035】
又、図18(b)に示すように、基板80を電動機4側に移動した際、ブラケットA22と当接すると共に、ブラケットA22の連通孔27を覆う接触部89を基板80に一体的に設ければ、不釣り合いを修正する際、予め基板80を電動機4側に移動させブラケットA22の連通孔27をカバーするようにしておくと図16に示した前シュラウド13や後シュラウド14の一部を切り取り加工した際、切り粉等が電動機4内に侵入する事が無く、安全にかつ精度の高い不釣り合い修正が可能になる。
【0036】
参考
図19に本発明の第参考例を示す。90はブラシレス型の電動機を示している。91は回転子であり、その表面に複数の磁石91aが磁極が交互になるように取り付けてあり、固定子92には3相の巻き線が施され、順次各相に電力を供給する事により回転磁界を作り回転子91を駆動している。93は固定子92への電力供給のタイミングを決めるために必要な回転センサを示している。この種の電動機は接触式のブラシが無いため高速、高効率な運転が可能で、かつ制御性に優れている。上記実施例で示した発明にこの種のブラシレス電動機90を利用することにより、図20で示すように架台33に電動機90にインペラ3が固着された状態で回転不釣り合いを修正する際、回転センサが不必要であり不釣り合い修正が簡単に行える。又、回転子91に巻き線が施されていないので、回転子91側の不釣り合い修正も容易に行える。
【0037】
(実施例
図21,22に本発明の第の実施例を示す。図22に分解状態、図21に完成状態を示す。93はブラシレス型の電動機である。組立順序を含めて構成について記述する。94は中央に取り付け孔95を有した基板を示し、鍔96付き基板止め具97にスライド可能に挿入嵌合された状態で、基板止め具97をハウジング72に圧入固着し取り付ける。基板94は鍔96付き基板止め具97にスライド可能に挿入嵌合されているため、基板94は軸方向に、ブラケットA98から鍔96まで移動ができる。インペラ3を回転軸5の先端に固着したのち、エアガイド99をエアガイド底部100に載置した状態で、フレーム101に沿って反インペラ側から挿入する。その時、エアガイド99の内周側に設けた段差A102は基板94の外周の段差B103と接合し、基板94が鍔96に当たるまで移動する。そしてその後固定リング104を圧入しエアガイド底部100と共にエアガイド99を固定する。最後にファンケース9をエアガイド99の外周に沿って、エアガイド底部100の外周に圧入固定する。
【0038】
図22に示すように、インペラ3が回転軸5に固着された状態では、インペラ3の外側は開放されており、インペラ3が回転軸5に固着された状態で、回転不釣り合いを検出し、インペラ3のシュラウド13,14を加工することによって不釣り合いの修正が簡単に行える。
【0039】
(実施例
図23,24,25に本発明の第9の実施例を示す。106はブラシレス型の電動機であり、かつ電動機内部へ気流を導く連通孔は無く、密閉型のブラシレス電動機である。107はエアガイドであり、複数の静翼107aを備えている。電動機106のフレーム109側から、挿入し、ブラケットA110の段差部分111に当接するまで圧入される。112はファンケースであり、エアガイド107の静翼107aの外周に圧入固定される。エアガイド107から流出する気流を電動機の外側に排気するだけで戻り通路は必要無く、ブラケットA110が基板を兼ねる事ができ簡単な構造が実現できる。又前記実施例で説明したように、インペラ3が回転軸5に固着した状態でエアガイド107が未装着な状態ではインペラの外周は開放されており、この状態で不釣り合い修正が可能である。
【0040】
又、電動機4内部を気流が通らないため、損失も少なく効率の高い、騒音の小さな電動送風機が実現できる。
【0041】
(実施例
図26,27に本発明の第の実施例を示す。図26に完成状態を示し、図27(b)は分解状態を示す。図27(a)はエアガイド114の平面図を示す。113はブラシレス型電動機であり、電動機の効率が良く、内部に整流子が無いため全閉構造が可能になっている。そのフレーム116の外径はインペラ3の外径よりも大きい。114はエアガイドであり、複数の静翼114aを有し、導かれた気流は電動機の外側に直接排気される。このため、エアガイド114に戻り通路が必要なく、ブラシレス型電動機113のブラケットA115が基板を兼ねることができる。すなわち、インペラ3を回転軸5に固着した後で、エアガイド114をインペラ3側からフレーム116に圧入固定する事ができ、ファンケース117をエアガイド114の外周に圧入固定すれば電動送風機がくみ上がる。このことから前記実施例で説明したように、インペラ3が回転軸5に固着した状態でインペラの外周は開放されており、この状態で不釣り合い修正が可能であり、又気流が電動機内部を通ることが無いため損失を低くできる。又基板、戻り通路が無いため、構造、組立が非常に簡単になる。
【0042】
なお図28に示すようにエアガイド114を基板118と静翼119部分に分け静翼119をファンケース120に一体的に構成しても良く、上記実施例10と同様な効果が得られ、かつ組立がより簡単になるものである。
【0043】
(実施例
図29、30に第の実施例を示す。122は遠心型インペラであり入口孔123が電動機124側に開口している。
【0044】
電動機124はブラシレス型であり、ブラケットA125には連通孔126が、フレーム127にはモータ吸気口133が設置されている。129は吸気口130を中央に有したファンケース前を示し、131はインペラ122の外周に配置されたエアガイドを示し、図30にその全体を示す。132はエアガイド131,インペラ122,ファンケース前129を覆うファンケース後を示している。
【0045】
次にこの電動送風機の組立について説明する。最初、ブラケットA125の内側側壁133に沿ってファンケース前129を上方より挿入し、その後、回転軸5にインペラ122を固着する。次にエアガイド131をファンケース前129に載置し、エアガイド131の外周を、ブラケットA125に設けた排気口128に一致させている。次にケース後132をブラケットA125外周に圧入することにより同時にエアガイド131、ファンケース前129がブラケットA125との間で挟持固定される。
【0046】
この電動送風機の動作は電動機124を駆動すると、モータ吸気口133から吸気が入り、連通孔126、吸気口130を経てインペラの入口孔123から流入し、遠心方向に排気される。そして、エアガイド131を通過し、排気孔128から排気される。すなわち、前記の実施例の電動送風機とは気流の流れが逆になる。
【0047】
インペラ122を回転軸5に固着した状態では、インペラの外周は開放されており、前記実施例でも説明したとおり、インペラ122を回転軸5に固着した状態で回転不釣り合いを検出、修正が可能になる。又、電動機124に関しては、ブラシ付きの交流整流子電動機でも良い。このようにエアガイド131を分割する必要も無く、排気を直接横方向に出しても、電動機の冷却に対して問題は無く、効率、冷却性に優れ、しかも振動の小さい電動送風機が実現できる。
【0048】
(実施例
図31に本発明の第の実施例を示す。134は真空式電気掃除機を示し、前記実施例に示した電動送風機138を内包した本体135と、空気と共に塵埃を吸い込むノズル部136と、塵埃を分離する集塵袋137より構成されている。電動送風機138は前記実施例で示したように、回転不釣り合いを非常に小さくできるため振動が小さく、騒音の小さな掃除機を実現できる。又電動送風機138の振動を絶縁する防振装置などが簡略化できるため、コンパクトな本体が実現できる。
【0049】
【発明の効果】
本発明は、インペラを電動機の回転軸に固着した後、静翼を前記インペラの外周周囲に取着するようにしたので、不釣り合いの修正が簡単に行え振動の小さな電動送風機を簡単に製造でき、かつ振動の小さな電動送風機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)本発明の参考例1に示す電動送風機の分解断面図
(b)本発明の参考例1に示す電動送風機の要部断面図
【図2】 (a)同エアガイドを示す平面図
(b)同正面断面図
【図3】 (a)同基板を示す平面図
(b)同正面断面図
【図4】 (a)電動送風機のバランス修正時の正面断面図
(b)同インペラ側から見た図
【図5】 (a)本発明の参考例2に示すエアガイドの平面図
(b)同正面図
【図6】 (a)同エアガイドの一部を取り外した状態の平面図
(b)同図(a)のA−A断面図
【図7】 (a)同他の参考例のエアガイドの一部を取り外した状態の平面図
(b)同図(a)のA−A断面図
【図8】 (a)同他の参考例のエアガイドの一部を取り外した状態の平面図
(b)同図(a)のA−A断面図
【図9】 (a)本発明の参考例3に示す電動送風機の分解断面図
(b)同電動送風機の要部断面図
【図10】 (a)同エアガイドの平面図
(b)同エアガイドの正面図
(c)同図(a)のB−B断面図
【図11】 (a)同基板の平面図
(b)同基板の正面図
(c)同C−Cでの断面図
【図12】 (a)本発明の参考例4に示す電動送風機の分解断面図
(b)同ファンケース部分の背面図
【図13】 (a)同基板の平面図
(b)同図(a)のA−A断面図
【図14】 (a)本発明の参考例5に示す電動送風機の分解平面図
(b)同分解断面図
(c)同中央部分の詳細断面図
【図15】 (a)同エアガイド止め具の平面図
(b)同正面断面図
【図16】 (a)本発明の実施例に示す電動送風機の分解断面図
(b)同完成状態の部分正面断面図
【図17】 (a)同ハウジング部分の詳細図(基板が上方にある状態)
(b)同ハウジング部分の詳細図(基板が下方にある状態)
【図18】 (a)同他の実施例でのハウジング部分の詳細図(基板が上方にある状態)
(b)同ハウジング部分の詳細図(基板が下方にある状態)
【図19】 (a)本発明の参考に示す電動送風機の正面断面図
(b)同図(a)のE−E断面図
【図20】 (a)同電動送風機のバランス修正時の正面断面図
(b)同インペラ側から見た図
【図21】 本発明の実施例に示す電動送風機の完成状態での正面断面図
【図22】 同電動送風機の分解断面図
【図23】 (a)本発明の実施例に示す電動送風機の完成状態での平面断面図
(b)同正面断面図
【図24】 同電動送風機の分解断面図
【図25】 (a)同エアガイド部分の平面図
(b)同図(a)のF−F断面図
【図26】 (a)本発明の実施例に示す電動送風機の完成状態での平面断面図
(b)同電動送風機の正面断面図
【図27】 (a)エアガイドの平面図
(b)同電動送風機の分解正面断面図
【図28】 (a)同他の実施例での電動送風機の分解正面断面図
(b)同ファンケースの背面図
【図29】 (a)本発明の実施例に示す電動送風機の完成状態での正面断面図
(b)同排気口部分を示す図
【図30】 (a)同エアガイド部分の正面図
(b)同背面図
【図31】 本発明の実施例に示す電気掃除機の断面図
【図32】 (a)従来の電動送風機の平面断面図で、同図(b)のA−A断面図
(b)同電動送風機の正面断面図
【図33】 (a)同エアガイド部分の平面図
(b)同エアガイドの正面断面図
(c)同エアガイドの背面図
【符号の説明】
1 電動送風機
2 複数のブレード
3、122 インペラ
4 電動機
5 回転軸
6、38 静翼
7、36、54、63、70、79、99、107、114、118、131 エアガイド
8 吸気口
9 ファンケース
13 前シュラウド
14 後シュラウド
15、37、55、67、80、94 基板
18 戻り通路
90、93 ブラシレス電動機
134 真空式電気掃除機

Claims (6)

  1. 電動機の回転軸に固着され複数のブレードを有するインペラと、エアガイドと、中央に吸気口を有し前記インペラと前記エアガイドを内包するファンケースとを備え、前記エアガイドは、前記インペラの下部に配された基板と、前記基板の外周上面に位置すると共に前記インペラの外周周囲に配置した複数の静翼と、前記基板の裏面に配置された複数の戻り流路を構成する戻り羽根からなり、前記静翼の部分、前記基板の外周部、前記戻り羽根の少なくとも一つが前記インペラを回転軸に固着した状態でエアガイドから取り外し可能でかつ基板を電動機側に移動可能に設けた電動送風機。
  2. 戻り流路と電動機内を連通する連通孔を電動機のブラケットに設け、基板が電動機側に移動した時に前記連通孔を塞ぐようにした請求項1記載の電動送風機。
  3. ブラシレス型の電動機の回転軸に固着され複数のブレードを有するインペラと、前記インペラの下部に設置され軸方向に移動可能な基板と、エアガイドと、中央に吸気口を有し前記インペラと前記エアガイドを内包するファンケースとを備え、前記エアガイドは、前記基板の外周に設けられ電動機側に取り外し可能な基板外周部と、前記基板外周部上部に固着された静翼と、前記基板外周部の裏面に固着された戻り羽根とを有し、前記回転軸にインペラを固着した後、前記エアガイドを前記電動機の外郭の外周に沿って反インペラ側から挿入して取り付け、その後ファンケースを前記エアガイドの外周に取着するようにした電動送風機。
  4. 全閉型でかつブラシレス型の電動機と、前記電動機の回転軸に固着され複数のブレードを有するインペラと、前記インペラの外周周囲に配置した複数の静翼と、前記インペラから排出される空気を電動機の外郭外周に気流を導くエアガイドと、中央に吸気口を有し前記エアガイドと前記インペラを内包するファンケースを備え、前記回転軸にインペラを固着した後、外郭の外周に沿って反インペラ側から前記エアガイドを挿入し取り付け、その後ファンケースをエアガイド外周に取着するようにした電動送風機。
  5. 全閉型でかつブラシレス型の電動機と、前記電動機の回転軸に固着され複数のブレードを有するインペラと、前記インペラの外周周囲に配置した複数の静翼と、前記インペラから排出される空気を電動機の外郭外周に気流を導くエアガイドと、中央に吸気口を有し前記エアガイドと前記インペラを内包するファンケースを備え、前記回転軸にインペラを固着した後、前記インペラ側からエアガイドを挿入して取り付け、その後ファンケースをエアガイド外周に取着するようにした電動送風機。
  6. 電動機の回転軸に固着され、電動機側に空気取り入れ用の入り口孔を持ち、複数のブレードを有するインペラと、前記インペラの外周に設けられたエアガイドと、前記入り口孔に対向する吸気口を有するファンケース前と、前記インペラと前記エアガイドを内包するファンケース後を有し、前記回転軸に前記インペラを固着した後、前記エアガイドを取り付け、その後に、ファンケース後を取り付けるようにした電動送風機。
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