JP4773898B2 - 品質保証システムおよび品質保証方法 - Google Patents

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Description

この発明は、容器から容器へと移し替えることによって取引される物質の品質保証をおこなう品質保証システムおよび品質保証方法に関し、特に、容器に入れられた状態で取り引きされる物質の品質保証をすべての流通工程にわたって実現することができる品質保証システムおよび品質保証方法に関するものである。
近年、食料(たとえば、牛肉や野菜)などにRFID(Radio Frequency Identification)タグを付し、このRFIDタグに生産地や流通経路を記録していくことで商品の品質保証をおこなう取り組みがなされている。このように、商品に付したRFIDタグを利用することで消費者や取引業者に対して商品の詳細な情報を伝達することが可能となる。
しかし、RFIDタグを用いて商品の品質保証をおこなうためには、RFIDタグに格納された情報が改変されないことが条件となる。このため、TCG(Trusted Computing Group)と呼ばれるグループが、データやプログラムの改変を防止する仕組みを搭載したセキュリティチップの規格を提案している。
そこで、上記したTCGの規格に準拠したセキュリティチップを用いることとすれば固体の商品についての品質保証を実現することは可能である。しかし、容器に入れられた液体や気体の品質保証をしようとすると、容器の入出口の開閉まで管理する必要がある。
ところで、石油の流通分野では、製油所で生産した石油を流通業者のタンクローリが運搬してガソリンスタンドなどの卸売業者へ引き渡し、エンドユーザに販売するまでの各取引工程において不正な品質の石油(不正油)が故意に混入されたりミスにより混入されたりする可能性がある。このため、石油流通分野では、石油の品質を保証したいという強いユーザニーズがある。
たとえば、特許文献1には、使用燃料の種別を格納したID装置を車両側に搭載するとともに、このID装置をガソリンスタンドの給油装置が読み取り、給油すべき燃料種別を決定することによって給油燃料の取り違い(ミス)を防止する技術が開示されている。
特開平11−208792号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている技術を用いたとしても石油の流通工程における故意による不正油の混入を防止することはできない。なぜならば、特許文献1の技術は、石油取引におけるミスを防止するための技術であり、故意による不正油の混入を防止するための技術ではないからである。たとえば、特許文献1の技術を用いて給油すべき燃料の種別を判別したとしても故意に異なる種別の燃料を給油することを防止することはできない。
これらのことから、石油流通の分野においてすべての流通工程にわたり不正油の混入を防止することができる品質保証システムをいかにして実現するかが大きな課題となっている。なお、この課題は、石油のみならず、容器に入れられた状態で取り引きされる物質(たとえば、液体や気体、さらには粒状の固体など)についても同様に発生する課題である。
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、容器に入れられた状態で取り引きされる物質の品質保証をすべての流通工程にわたって実現することができる品質保証システムおよび品質保証方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため本発明は、容器から容器へと移し替えることによって取引される物質の品質保証をおこなう品質保証システムであって、正当な容器であると認証された認証済容器の識別子を管理する識別子管理手段と、容器間における物質の受け渡しをおこなうに先だって、双方の容器が前記認証済容器であるか否かを前記識別子管理手段に対して問合わせる問合わせ手段と、前記問合わせ手段から双方の容器が前記認証済容器であるとの応答を得たことを条件として物質の取引を許可する取引許可手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記問合わせ手段および/または前記取引許可手段は、前記認証済容器の入出口の開閉を制御する入出口制御装置内のセキュリティチップに設けられたことを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記取引許可手段は、成立した取引を一意に識別する取引識別子を当該取引の対象である前記認証済容器の識別子とともに前記識別子管理手段に対して登録することを特徴とする。
また、本発明は、上記の発明において、前記問合わせ手段は、前記双方の容器のうち提供側となる提供側容器に記憶された前記取引識別子を用いることによって前記識別子管理手段に対して前記双方の容器が前記認証済容器であるか否かを問合わせることを特徴とする。
また、本発明は、容器から容器へと移し替えることによって取引される物質の品質保証をおこなう品質保証方法であって、正当な容器であると認証された認証済容器の識別子を管理する識別子管理工程と、容器間における物質の受け渡しをおこなうに先だって、双方の容器が前記認証済容器であるか否かを前記識別子管理工程に対して問合わせる問合わせ工程と、前記問合わせ工程から双方の容器が前記認証済容器であるとの応答を得たことを条件として物質の取引を許可する取引許可工程とを含んだことを特徴とする。
本発明によれば、正当な容器であると認証された認証済容器の識別子を管理するとともに、容器間における物質の受け渡しをおこなうに先だって、双方の容器が認証済容器であるか否かを問合わせ、双方の容器が認証済容器であるとの応答を得たことを条件として物質の取引を許可するよう構成したので、容器に入れられた状態で取り引きされる物質の品質保証をすべての流通工程にわたって実現することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、問合わせ手段および/または取引許可手段を認証済容器の入出口の開閉を制御する入出口制御装置内のセキュリティチップに設けるよう構成したので、各処理部としての機能を発揮するプログラムや、記憶部に格納されるデータの改変を防止することによって品質保証システムの信頼性を高めることができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、成立した取引を一意に識別する取引識別子をこの取引の対象である認証済容器の識別子とともに登録するよう構成したので、各取引を容易に識別することができるとともに、各認証済容器がかかわった取引を簡便に検索することができるという効果を奏する。
また、本発明によれば、双方の容器のうち提供側となる提供側容器に記憶された取引識別子を用いることによって双方の容器が認証済容器であるか否かを問合わせるよう構成したので、提供側容器の正当性を簡便な処理で確認することができるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照して、この発明に係る品質保証手法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る品質保証手法を、製油所や油槽所、サービスステーション(ガソリンスタンド)といった取引拠点間を、タンクローリなどの輸送機械を介して取引される石油の品質保証に適用した場合について説明することとする。
まず、本実施例に係る品質保証システムの概要について図1を用いて説明する。図1に示すように、本実施例に係る品質保証システムは、ネットワーク上に設けられた認証局と、製油所や油槽所、サービスステーション(ガソリンスタンド)といった取引拠点および輸送機械(たとえば、タンクローリ)のタンクに設けられた入出口制御装置とで構成される。ここで、入出口制御装置とは、各容器を一意に識別する容器識別子を保持するとともに、認証局や他の入出口制御装置との間でやりとりされる容器識別子や取引情報に基づいて入出口の開閉制御をおこなう装置である。
図1に示すように、ネットワーク上に設けられた認証局には、正当な取引業者によって管理されているタンクであることを示す容器識別子があらかじめ登録されている(図1の(1)参照)。そして、製油所からタンクローリへの石油の積み込み、タンクローリから油槽所への石油の荷卸し、タンクローリからSS(サービスステーション)への石油の荷卸しといった各取引においては、石油受渡の対象となる双方の容器が正当な容器であり、かつ、取引の履歴が正当であるか否かを確認するために認証局に対する取引情報の参照処理が実行される(図1の(2)参照)。
ここで、取引の履歴が正当であることが石油の品質保証に必要な条件となる理由について説明しておく。石油流通の分野では、石油を製造する会社、石油を運搬する会社、石油を販売する会社がそれぞれ別会社であることが多く、これらの会社のうちいずれかが不正油を混入させてしまうと、石油の見かけからは正規油か不正油かを判定することが困難となる。したがって、製造された石油がエンドユーザに販売されるまでの各流通工程すべての取引が正当な取引であることを保証しなければ、石油の品質保証を実現することができない。
このような理由から、本実施例に係る品質保証システムでは、取引が正当におこなわれたことを認証する認証局を用意し、各取引においては、この認証局が管理する情報を参照することによって取引の履歴に不正がないことを判定したうえで(図1の(3)参照)取引を実行することとしている。また、取引を実行した場合には、最新の取引情報を認証局に対して送信し(図1の(4)参照)、この取引情報を受信した認証局は取引情報を随時更新していくこととしている(図1の(5)参照)。
このように、本実施例に係る品質保証システムでは、石油の取引がおこなわれるたびに、過去の取引履歴に不正がないことを確認したうえで取引を実行するとともに、取引を実行した場合には最新の取引情報を随時登録していくこととした。したがって、石油の品質保証をすべての流通工程にわたって実現することができる。なお、本実施例においては、石油の品質保証について説明するが、本システムを用いることとすれば、石油に限らず、容器に入れられた状態で取り引きされる物質(たとえば、液体や気体、さらには粒状の固体など)の品質保証を実現することができる。
また、本実施例に係る品質保証システムでは、製油所や油槽所、サービスステーション(ガソリンスタンド)といった取引拠点や、タンクローリなどの輸送機械に設けられた入出口制御装置の主な機能を、上記したセキュリティチップ上に構成することとした。したがって、各取引業者による入出口制御装置の改変を防止することができるので、取引の正当性を担保することが可能である。
次に、本実施例に係る品質保証システムの構成について図2を用いて説明する。図2は、品質保証システム1の構成を示すブロック図である。同図に示すように、品質保証システム1は、図1に示した認証局に設置されるサーバ装置10と、図1に示した入出口制御装置に対応する車載装置20および取引拠点装置30とから構成される。
なお、図2においては、説明をわかりやすくするために、タンクローリなどの輸送機械に設置される入出口制御装置を車載装置20として、サービスステーションなどの取引拠点に設置される入出口制御装置を取引拠点装置30として、それぞれ示している。しかしながら、これに限らず、車載装置20および取引拠点装置30の機能をあわせもつ入出口制御装置を構成することとしてもよい。
まず、サーバ装置10の構成について説明する。サーバ装置10は、取引情報を管理することによって取引の正当性を保証する処理をおこなう装置であり、取引情報DB(データベース)11と、登録処理部12と、参照処理部13と、インタフェース部14とを備えている。取引情報DB11は、取引に用いられる正当な容器(たとえば、タンク)の識別子を管理するとともに、各取引の詳細な内容を管理するデータベースである。ここで、この取引情報DB11の例について図3を用いて説明する。図3は、取引情報DB11の一例を示す図である。
図3に示すように、取引情報DB11は、各取引を一意に識別する「取引ID」と、石油を提供する側の容器を一意に識別する「提供側ID」と、石油を受け入れる側の容器を一意に識別する「受入側ID」と、取引が実行された日付・時刻をあらわす「日付・時刻」と、石油の種別をあらわす「油種」と、取引された石油の量をあらわす「油量」とを各項目として含んだレコードを管理するデータベースである(図3の103a参照)。
また、この取引情報DB11には、補助情報として「温度」や「気圧」などの情報を含めることが好ましい。このようにすることで、温度や気圧によって変化しやすい石油の油量を正確に管理することができる。
なお、「取引ID」を品質保証システム1内において重複しない識別子とするためには、たとえば、品質保証システム1内で重複しない装置識別子を各車載装置20に対してあらかじめ設定しておき、車載装置20がこの装置識別子に基づいて取引IDを生成することとすればよい。
また、取引情報DB11は、上記した「提供側ID」および「受入側ID」が、あらかじめ登録された「認証済ID」(図3の103b参照)に含まれるか否かを検査するとともに、不正な取引がおこなわれた容器については「不正ID」(図3の103c参照)として管理する。
登録処理部12は、取引拠点装置30から送信される最新の取引情報を取引情報DB11に対して登録する処理をおこなう処理部である。また、参照処理部13は、取引拠点装置30から取引情報の参照を依頼された場合に、取引情報DB11を検索することによって該当する情報を応答する処理をおこなう処理部である。なお、サーバ装置10に、いわゆるWebサーバの機能をもたせることによって、登録処理部12および参照処理部13へのアクセスをWebブラウザを介しておこなうよう構成することもできる。
インタフェース部14は、LAN(Local Area Network)ボードなどの通信デバイスで構成され、ネットワークを介することによって取引拠点装置30とのデータ送受信をおこなう処理部である。
次に、車載装置20の構成について説明する。車載装置20は、タンクローリなどの輸送機械に搭載される入出口制御装置であり、ID送信部21と、開閉制御部22と、取引ID生成部23と、記憶部24と、インタフェース部25とを備えている。そして、記憶部24は、容器ID24aおよび取引ID24bを記憶する。
ID送信部21は、石油の取引開始に先だって容器ID24aや取引ID24bといったIDを含んだ情報を取引拠点装置30へ送信する処理をおこなう処理部である。また、開閉制御部22は、容器(タンク)の入出口の開閉制御をおこなう処理部であり、入出口が開かれたことを取引ID生成部23に対して通知する処理をおこなう処理部でもある。
取引ID生成部23は、開閉制御部22から入出口が開かれたことを通知された場合に、乱数などを用いて一意な取引ID24bを生成する処理をおこなう処理部である。また、この取引ID生成部23は、生成した取引ID24bを記憶部24に対して登録する処理をおこなう処理部でもある。
記憶部24は、不揮発性RAM(Random Access Memory)などの記憶デバイスで構成された記憶部であり、容器ID24aおよび取引ID24bを記憶する。容器ID24aは、タンクなどの容器を一意に識別する識別子であり、記憶部24上で静的に保持される。なお、複数のタンクを一台の車載装置20で管理する場合には、複数の容器ID24aを保持することとしてもよい。
取引ID24bは、各取引を一意に識別する識別子であり、取引ID生成部23によって生成される。容器ID24aおよび取引ID24bは、取引をおこなう際に、ID送信部21によって読み出され取引拠点装置30に対して送信される。また、インタフェース部25は、取引拠点装置30のインタフェース部36との間でデータ送受信をおこなう処理部であり、有線あるいは無線の通信デバイスで構成される。
次に、取引拠点装置30の構成について説明する。取引拠点装置30は、取引をおこなう際に車載装置20から容器ID24aおよび取引ID24bを含んだ情報を取得するとともに、取得した情報に基づいて取引相手(車載装置20を搭載した輸送機械)の容器に格納された石油が正当な取引履歴を有する石油であるか否かをサーバ装置10に問合わせ、問合わせ結果に応じて取引の実行あるいは中止をおこなう入出口制御装置である。
ID受信部31は、車載装置20から送信された容器ID24aおよび取引ID24bを含んだ情報を受信するとともに、受信した情報を取引情報問合わせ部32に渡す処理をおこなう処理部である。また、取引情報問合わせ部32は、ID受信部31から受け取った情報および記憶部35の容器ID35aに基づき、サーバ装置10に対して取引情報の問合わせ処理をおこなう処理部である。
取引可否判定部33は、取引情報問合わせ部32による問合わせの応答をサーバ装置10から受け取るとともに、受け取った情報に基づいて取引可否の判定をおこなう処理部である。また、この取引可否判定部33は、取引可否の判定結果によって開閉制御部34に対して入出口開閉の指示をおこなう処理部でもある。なお、この取引可否判定部33の判定結果を図示しない表示部に表示したり、音声デバイスを介して報知したりするよう構成することとしてもよい。
開閉制御部34は、容器(タンク)の入出口の開閉制御をおこなう処理部である。また、記憶部35は、不揮発性RAM(Random Access Memory)などの記憶デバイスで構成された記憶部であり、容器ID35aを記憶する。容器ID35aは、タンクなどの容器を一意に識別する識別子であり、記憶部35上で静的に保持される。なお、複数のタンクを一台の取引拠点装置30で管理する場合には、複数の容器ID35aを保持することとしてもよい。また、インタフェース部36は、サーバ装置10や車載装置20のインタフェース部25との間でデータ送受信をおこなう処理部あり、有線あるいは無線の通信デバイスで構成される。
ところで、上記した車載装置20および取引拠点装置30は、TCG(Trusted Computing Group)と呼ばれるグループが策定した規格に準拠したセキュリティチップ上に構成することが望ましい。このようにすることで、記憶部に記憶された情報や、各処理部の機能を実行するプログラムやデータの改変を防止することができる。なお、このセキュリティチップについては図8および図9を用いて後述する。
次に、本実施例に係る品質保証システム1における処理手順について図4〜図7を用いて説明する。まず、製油所からタンクローリへ石油の積み込みをおこなう場合の処理手順について図4を用いて説明する。図4は、製油所からタンクローリへ石油の積み込みをおこなう場合の処理手順を示すシーケンス図である。なお、タンクローリには車載装置20が、製油所には取引拠点装置30が、保証サイトにはサーバ装置10がそれぞれ設けられているものとする。
図4に示すように、タンクローリにおいて積込部がオープン(ステップS101)されたことを、開閉制御部22によって通知された取引ID生成部23は、取引ID24bを生成する(ステップS102)。そして、この取引生成部23は、取引ID24b、時刻等を記憶部24へ登録するとともに(ステップS103)、ID送信部21が、取引ID24b、容器ID24a、時刻等を取引拠点装置30に対して送信する(ステップS104)。
つづいて、車載装置20から取引ID24b、容器ID24a、時刻等を受信した取引拠点装置30は、保証サイトへの登録処理をおこなうためにサーバ装置10に対してアクセスする(ステップS105)。そして、取引拠点装置30からの登録要求を受けたサーバ装置10は、取引情報DB11に対して取引情報を新規登録する(ステップS106)。
一方、ステップS105の処理手順を完了した取引拠点装置30は、タンクローリに対する給油処理を開始し、給油が完了したか否かを監視する(ステップS107,No)。なお、かかる監視処理は、たとえば、以下の手順でおこなわれる。すなわち、取引拠点装置30は、車載装置20に対して積み込み目標量(たとえば、タンクの容量)を問合わせ、車載装置20からの応答を一時的に記憶部35へ記憶する。つづいて、タンクの現在量(積み込み可能な量でもよい)を取得し、目標量に達するまで給油処理を継続する。
そして、給油が完了したならば(ステップS107,Yes)、取引拠点装置30は車載装置20に対して完了通知をおこなうとともに(ステップS108)、給油した油種、油量等をサーバ装置10に対して通知して(ステップS109)処理を終了する。この通知を受けたサーバ装置10は、取引情報DB11の該当するレコードを更新して(ステップS110)処理を終了する。また、ステップS108の完了通知を受けた車載装置20は、開閉制御部22が積込部をクローズして(ステップS111)処理を終了する。
次に、タンクローリからサービスステーションへ石油の荷卸しをおこなう場合の処理手順について図5および図6を用いて説明する。図5および図6は、タンクローリからサービスステーションへ石油の荷卸しをおこなう場合の処理手順を示すシーケンス図その1およびその2である。図5に示すように、取引拠点装置30は、車載装置20に対して前回の取引ID24bを要求する(ステップS201)。この要求を受けた車載装置20は、記憶部24に記憶しておいた取引ID24bを応答する(ステップS202)。
つづいて、取引ID24bを受信した取引拠点装置30の取引情報問合わせ部32は、受信した取引ID24bを用いることによってサーバ装置10に対して取引の履歴を問合わせる(ステップS203)。この問合わせを受けたサーバ装置10は、取引情報DB11を検索し(ステップS204)、検索結果を取引拠点装置30に対して応答する(ステップS205)。
サーバ装置10からの応答を受けた取引拠点装置30は、受け取った応答の内容が取引ID24bのレコードが見つかった旨の内容であるか否かを判定し(ステップS206)、取引ID24bのレコードが見つからない旨の内容である場合には(ステップS206,No)、警報を報知する(ステップS207)。
そして、警報を報知された操作者が給油を実行した場合には(ステップS208,Yes)、給油が実行された旨をサーバ装置10に対して通知する(ステップS209)。この通知を受けたサーバ装置10は、不正IDを取引情報DB11に対して登録する(ステップS210)。ここで、警報を報知されたにもかかわらず給油を実行する場合とは、有事の際やシステム故障時などのように品質が保証されていない石油を取引せざるをえない場合を指す。なお、給油を実行しなかった場合には(ステップS208,No)、処理を終了する。
一方、取引ID24bのレコードが見つかった旨の内容である場合には(ステップS206,Yes)、車載装置20に対して荷卸許可を通知するとともに(ステップS211)、積込部をオープンする(ステップS212)。
サービスステーションの取引拠点装置30から荷卸許可通知を受けたタンクローリの車載装置20は、図6に示すように、荷卸部のオープンを検知して(ステップS213)取引ID24bを生成する(ステップS214)。そして、取引ID24b、時刻等を記憶部24へ登録するとともに(ステップS215)、これらの情報を取引拠点装置30に対して送信する(ステップS216)。
つづいて、車載装置20から取引ID24b、容器ID24a、時刻等を受信した取引拠点装置30は、保証サイトへの登録処理をおこなうためにサーバ装置10に対してアクセスする(ステップS217)。そして、取引拠点装置30からの登録要求を受けたサーバ装置10は、取引情報DB11に対して取引情報を新規登録する(ステップS218)。
一方、ステップS216の処理手順を完了した車載装置20は、サービスステーションに対する荷卸を開始し、荷卸が完了したか否かを監視する(ステップS219,No)。そして、給油が完了したならば(ステップS219,Yes)、車載装置20は、取引拠点装置30に対して給油した油種、油量等を含んだ完了通知をおこない(ステップS220)、荷卸部をクローズして(ステップS221)処理を終了する。
この完了通知を受けた取引拠点装置30は、油種、油量等をサーバ装置10に対して通知し(ステップS222)、積込部をクローズしたうえで(ステップS224)処理を終了する。また、ステップS222の通知を受けたサーバ装置10は、取引情報DB11の該当するレコードを更新して(ステップS223)処理を終了する。
次に、タンクローリ同士の取引をおこなう場合の処理手順について図7および図8を用いて説明する。図7および図8は、タンクローリ同士の取引をおこなう場合の処理手順を示すシーケンス図その1およびその2である。なお、図7および図8におけるタンクローリは車載装置20および取引拠点装置30を備えるものとする。
まず、受取側タンクローリは、提供側タンクローリに対して前回の取引ID24bを要求する(ステップS301)。この要求を受けた提供側タンクローリは、取引ID24bを応答し(ステップS302)、応答を受けた受取側タンクローリは、受信した取引ID24bを用いてサーバ装置10への問合わせを実行する(ステップS303)。
つづいて、この問合わせを受けたサーバ装置10は、取引情報DB11を検索することによって(ステップS304)、該当レコードを応答する(ステップS305)。この応答を受けた受取側タンクローリは、受け取った応答の内容が取引ID24bのレコードが見つかった旨の内容であるか否かを判定し(ステップS306)、取引ID24bのレコードが見つからない旨の内容である場合には(ステップS306,No)、警報を報知する(ステップS307)。
そして、警報を報知された操作者が給油を実行した場合には(ステップS308,Yes)、給油が実行された旨をサーバ装置10に対して通知する(ステップS309)。この通知を受けたサーバ装置10は、不正IDを取引情報DB11に対して登録する(ステップS310)。ここで、警報を報知されたにもかかわらず給油を実行する場合とは、有事の際やシステム故障時などのように品質が保証されていない石油を取引せざるをえない場合を指す。なお、給油を実行しなかった場合には(ステップS308,No)、処理を終了する。
一方、取引ID24bのレコードが見つかった旨の内容である場合には(ステップS306,Yes)、積込部をオープンして(ステップS311)取引ID24bを生成するとともに(ステップS312)、取引ID24b、時刻等を記憶部24に対して登録する(ステップS313)。また、取引ID24b、容器ID24a、時刻等を提供側タンクローリの取引拠点装置30に対して送信する(ステップS314)。
つづいて、受取側タンクローリから取引ID24b、容器ID24a、時刻等を受け取った提供側タンクローリでは、図8に示すように、保証サイトへの登録処理を実行する(ステップS315)。そして、この登録処理を受けたサーバ装置10は、取引情報を新規登録する(ステップS316)。また、ステップS315を完了した提供側タンクローリでは、受取側タンクローリに対する給油処理を開始し、給油が完了したか否かを監視する(ステップS317,No)。
そして、給油が完了したならば(ステップS317,Yes)、受取側タンクローリに対して完了通知をおこなうとともに(ステップS318)、給油した油種、油量等をサーバ装置10に対して通知して(ステップS319)処理を終了する。この通知を受けたサーバ装置10は、取引情報DB11の該当するレコードを更新して(ステップS321)処理を終了する。また、ステップS318の完了通知を受けた受取側タンクローリは、積込部をクローズして(ステップS320)処理を終了する。
次に、車載装置20や取引拠点装置30が搭載されるセキュリティチップについて図9および図10を用いて説明する。図9は、セキュリティチップに格納される情報の一例を示す図である。同図に示すように、セキュリティチップには、接続先となる装置に関する情報をあらわす「装置情報」およびセキュリティチップ上で動作するプログラムに関する情報をあらわす「ソフトウェア情報」が格納される。
たとえば、同図に示すように、装置情報には、電磁弁などの装置名および1.0などのバージョンが含まれる。また、ソフトウェア情報には、コントローラなどのソフト名、2.0などのバージョン、プログラム自体にハッシュ関数をかけることによって得られるハッシュ値などが含まれる。
このように、接続先装置に関する情報や動作するソフトウェアに関する情報を管理することで、接続先装置が不正な装置に取り替えられたり、ソフトウェアが改変されたりといった不正行為を防止することができる。なお、図2に示した車載装置20および取引拠点装置30を構成する各処理部や記憶部に格納される情報を、このセキュリティチップ上に搭載することで、ソフトウェアやデータの改変を防止することが可能となる。
次に、上記したセキュリティチップ起動時における処理手順について図10を用いて説明する。図10は、セキュリティチップ起動時における処理手順を示すフローチャートである。なお、同図に示したのは、セキュリティチップをタンクローリなどの輸送機械に搭載した場合のフローチャートである。
図10に示すように、車載システムの電源がONにされると(ステップS401)、セキュリティチップは、記憶部から1レコード(図9参照)を読み出す(ステップS402)。そして、全レコードの読み出しが終了したか否かを判定し(ステップS403)、全レコードの読み出しが終了した場合には(ステップS403,Yes)、不正なしとして動作許可をおこない(ステップS404)、起動処理を終了する。
一方、全レコードの読み出しが終了していない場合には(ステップS403,No)、外部接続装置情報およびソフトウェア情報を読み出し(ステップS405)、読み出した情報がレコード上の情報と一致するか否かを判定する(ステップS406)。そして、両者の情報が一致した場合には(ステップS406,Yes)、次のレコードの検査をおこなうためにステップS402以降の処理を繰り返す。一方、両者の情報に食い違いがみられた場合には(ステップS406,No)、不正ありとして電源をOFFし(ステップS407)、処理を終了する。
このように、セキュリティチップの起動時においては、あらかじめ登録された接続装置やソフトウェア(プログラム)に関する情報と、実際に接続されている接続装置や実際に動作しているソフトウェア(プログラム)に関する情報とに食い違いがみられる場合には、動作を許可しないので、接続先装置の変更やソフトウェアの改変を防止することができる。したがって、品質保証システム1は、品質保証手順を確実に実行することが可能となる。
上述してきたように、本実施例によれば、認証局に設けられるサーバ装置と、タンクローリなどの輸送機械に設けられる車載装置と、製油所やサービスステーションといった各取引拠点に設けられる取引拠点装置とで品質保証システムを構成した。そして、サーバ装置は、取引拠点や輸送機械が備える正当な容器の識別子を容器識別子として管理するとともに、各取引の状況を取引情報として更新していく取引情報DBを備え、取引拠点装置は、車載装置が記憶している取引ID等に基づいて石油の取引履歴の正当性をサーバ装置に対して問合わせ、正当性が確認された場合にのみ取引を実行するとともに、実行した取引に関する取引情報をサーバ装置に対して登録するよう構成した。
したがって、石油の品質保証をすべての流通工程にわたって実現することができる。なお、上記した実施例においては、石油の品質保証について説明したが、本システムを用いることとすれば、石油に限らず、容器に入れられた状態で取り引きされる物質(たとえば、液体や気体、さらには粒状の固体など)の品質保証を実現することができる。
また、上記した実施例では、本発明を実現する各装置を機能面から説明したが、各装置の各機能はパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータにプログラムを実行させることによって実現することもできる。
すなわち、上述した各種の処理手順は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータ上で実行することによって実現することができる。そして、これらのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。さらに、これらのプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
(付記1)容器から容器へと移し替えることによって取引される物質の品質保証をおこなう品質保証システムであって、正当な容器であると認証された認証済容器の識別子を管理する識別子管理手段と、容器間における物質の受け渡しをおこなうに先だって、双方の容器が前記認証済容器であるか否かを前記識別子管理手段に対して問合わせる問合わせ手段と、前記問合わせ手段から双方の容器が前記認証済容器であるとの応答を得たことを条件として物質の取引を許可する取引許可手段とを備えたことを特徴とする品質保証システム。
(付記2)前記問合わせ手段および/または前記取引許可手段は、前記認証済容器の入出口の開閉を制御する入出口制御装置内のセキュリティチップに設けられたことを特徴とする付記1に記載の品質保証システム。
(付記3)前記取引許可手段は、成立した取引を一意に識別する取引識別子を当該取引の対象である前記認証済容器の識別子とともに前記識別子管理手段に対して登録することを特徴とする付記1または2に記載の品質保証システム。
(付記4)前記問合わせ手段は、前記双方の容器のうち提供側となる提供側容器に記憶された前記取引識別子を用いることによって前記識別子管理手段に対して前記双方の容器が前記認証済容器であるか否かを問合わせることを特徴とする付記3に記載の品質保証システム。
(付記5)前記識別子管理手段は、ネットワーク上のサーバ装置に設けられたことを特徴とする付記1〜4のいずれか一つに記載の品質保証システム。
(付記6)前記取引許可手段は、提供側容器および受入側容器の物質種別が同一であることを条件として物質の取引を許可することを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の品質保証システム。
(付記7)容器から容器へと移し替えることによって取引される物質の品質保証をおこなう品質保証方法であって、正当な容器であると認証された認証済容器の識別子を管理する識別子管理工程と、容器間における物質の受け渡しをおこなうに先だって、双方の容器が前記認証済容器であるか否かを前記識別子管理工程に対して問合わせる問合わせ工程と、前記問合わせ工程から双方の容器が前記認証済容器であるとの応答を得たことを条件として物質の取引を許可する取引許可工程とを含んだことを特徴とする品質保証方法。
(付記8)前記問合わせ工程および/または前記取引許可工程は、前記認証済容器の入出口の開閉を制御する入出口制御装置内のセキュリティチップにおいて実行されることを特徴とする付記7に記載の品質保証方法。
(付記9)前記取引許可工程は、成立した取引を一意に識別する取引識別子を当該取引の対象である前記認証済容器の識別子とともに前記識別子管理工程に対して登録することを特徴とする付記7または8に記載の品質保証方法。
(付記10)前記問合わせ工程は、前記双方の容器のうち提供側となる提供側容器に記憶された前記取引識別子を用いることによって前記識別子管理工程に対して前記双方の容器が前記認証済容器であるか否かを問合わせることを特徴とする付記9に記載の品質保証方法。
以上のように、本発明に係る品質保証システムおよび品質保証方法は、容器に入れられた状態で取引される物質の品質保証に有用であり、特に、市場において流通する石油の品質保証に適している。
本実施例に係る品質保証システムの概要を示す図である。 品質保証システムの構成を示すブロック図である。 取引情報DBの一例を示す図である。 製油所からタンクローリへ石油の積み込みをおこなう場合の処理手順を示すシーケンス図である。 タンクローリからサービスステーションへ石油の荷卸しをおこなう場合の処理手順を示すシーケンス図(その1)である。 タンクローリからサービスステーションへ石油の荷卸しをおこなう場合の処理手順を示すシーケンス図(その2)である。 タンクローリ同士の取引をおこなう場合の処理手順を示すシーケンス図(その1)である。 タンクローリ同士の取引をおこなう場合の処理手順を示すシーケンス図(その2)である。 セキュリティチップに格納される情報の一例を示す図である。 セキュリティチップ起動時における処理手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1 品質保証システム
10 サーバ装置
11 取引情報DB
12 登録処理部
13 参照処理部
14 インタフェース部
20 車載装置
21 ID送信部
22 開閉制御部
23 取引ID生成部
24 記憶部
24a 容器ID
24b 取引ID
30 取引拠点装置
31 ID受信部
32 取引情報問合わせ部
33 取引可否判定部
34 開閉制御部
35 記憶部
35a 容器ID
36 インタフェース部

Claims (7)

  1. 入出口制御装置とサーバ装置と取引拠点装置とで取引の品質保証を行う品質保証システムであって、
    前記入出口制御装置は、
    取引に用いられる容器の入出口が開かれたとき、取引IDを生成して、生成した取引IDを記憶部に登録する取引ID生成部と、
    前記取引ID生成部によって生成された取引IDを第1の取引拠点装置に送信するID送信部とを有し、
    前記サーバ装置は、
    前記第1の取引拠点装置から前記取引IDを受け取り、前記取引IDに基づき取引情報DB(DataBase)を更新する登録処理部を有し、
    第2の取引拠点装置は、
    前記入出口制御装置から前記記憶部に登録された取引IDを受け取るID受信部と、
    前記ID受信部によって受け取られた取引IDが前記取引情報DBに登録されているか否かを、前記サーバ装置に問い合わせる取引情報問合わせ部と、
    前記ID受信部によって受け取られた取引IDが前記取引情報DBに登録されているか否かの回答を前記取引情報問合わせ部により受け取り、登録されていなければ警報を報知する取引可否判定部と
    を備えたことを特徴とする品質保証システム。
  2. 前記取引ID生成部、前記取引情報問合わせ部および/または前記取引可否判定部は、セキュリティチップに設けられたことを特徴とする請求項1に記載の品質保証システム。
  3. 前記サーバ装置の前記登録処理部は、
    前記警報が報知された後に、前記取引情報DBに登録されていなかった取引IDに対応する取引が実行されたとき、さらに、前記取引IDに対応する取引に関する情報を前記取引情報DBに登録することを特徴とする請求項1記載の品質保証システム。
  4. 前記入出口制御装置および前記第1の取引拠点装置は、取引において最初の輸送設備に設けられ、前記第2の取引拠点装置は、取引において2番目の輸送設備に設けられることを特徴とする請求項に記載の品質保証システム。
  5. 入出口制御装置とサーバ装置と取引拠点装置とで取引の品質保証を行う品質保証方法であって、
    前記入出口制御装置は、
    取引に用いられる容器の入出口が開かれたとき、取引IDを生成して、生成した取引IDを記憶部に登録し、
    該生成された取引IDを第1の取引拠点装置に送信し、
    前記サーバ装置は、
    前記第1の取引拠点装置から前記取引IDを受け取り、前記取引IDに基づき取引情報DB(DataBase)を更新し、
    第2の取引拠点装置は、
    前記入出口制御装置から前記記憶部に登録された取引IDを受け取り、
    該受け取った取引IDが前記取引情報DBに登録されているか否かを、前記サーバ装置に問い合わせ、
    該受け取った取引IDが前記取引情報DBに登録されているか否かの回答を受け取り、登録されていなければ警報を報知する
    処理を含むことを特徴とする品質保証方法。
  6. 前記取引情報DBを更新する処理は、
    前記警報が報知された後に、前記取引情報DBに登録されていなかった取引IDに対応する取引が実行されたとき、さらに、前記取引IDに対応する取引に関する情報を前記取引情報DBに登録する
    ことを特徴とする請求項5に記載の品質保証方法。
  7. 第1の輸送設備は、前記入出口制御装置が取引IDを生成し生成した取引IDを記憶する処理、前記入出口制御装置が前記取引IDを前記第1の取引拠点装置に送信する処理および前記第1の取引拠点装置が行う処理を実行し、
    第2の輸送設備は、前記第2の取引拠点装置が行う処理を実行する
    ことを特徴とする請求項5に記載の品質保証方法。
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