JP4773007B2 - 発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は,発泡成形体の原料等として利用する,スチレン系樹脂廃材を含有する発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
発泡性スチレン系樹脂粒子から得られる発泡成形体,いわゆる発泡スチロールは,優れた緩衝性,断熱性を有し,成形性も容易で,さらに比較的安価な材料であるため,包装材,断熱材として広く用いられている。
一方,包装材や断熱材として使用された発泡スチロール廃材は,熱や溶剤などにより減容されてスチレン系樹脂に再生されたり,焼却して熱エネルギーとして利用したり,あるいは埋め立て処分されている。
【0003】
【解決しようとする課題】
最近,スチレン系樹脂の使用済み発泡成形体からスチレン系樹脂を再生し,発泡剤を注入して,発泡性スチレン系樹脂粒子とする試みがなされている。
例えば,特開平06−145409号には,使用済みのスチレン系樹脂発泡成形体にモノグリセリド,ジグリセリドを添加し,押出機中で溶融混練後,押出して樹脂粒子を得,これに発泡剤を含浸させて発泡性スチレン系樹脂粒子を得る方法が開示されている。
【0004】
また,特開平05−310987号や特開平05−310988号には,スチレン系樹脂の発泡成形体を加熱減容してスチレン系樹脂の塊を得,次いでこれを粉砕し,発泡剤を含浸させて発泡性スチレン系樹脂粒子を得る方法が開示されている。
しかし,これらの方法で得られたスチレン系樹脂粒子は,発泡成形体としたときに,その強度や外観が不十分である場合があった。
【0005】
本発明はかかる従来の問題点に鑑み,スチレン系樹脂廃材を利用して,強度に優れ,外観のよい発泡成形体が得られる,発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題の解決手段】
参考発明は,スチレン系樹脂廃材を含有するスチレン系樹脂粒子を密閉容器内にて水性媒体中に分散させ,発泡剤を含浸させて得られた発泡性スチレン系樹脂粒子であって,
該発泡性スチレン系樹脂粒子における中心断面に存在するボイドは,そのボイド密度が30,000個/mm2以下であることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子である。
【0007】
本発明は,密閉容器内にて水性媒体中に分散している,スチレン系樹脂廃材を含有するスチレン系樹脂粒子に,発泡剤を含浸させて発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法であって,
上記スチレン系樹脂粒子に上記発泡剤を含浸させ,脱水し乾燥した後に、上記発泡性スチレン系樹脂粒子を50〜70℃の温風に曝す熱処理を行うことにより,上記発泡性スチレン系樹脂粒子の中心断面に存在するボイドのボイド密度を9,000個/mm 2 以下とすることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法である(請求項1)。
【0008】
本発明によれば,スチレン系樹脂廃材を利用して,強度に優れ,外観のよい発泡成形体が得られる,発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法を提供することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
上記スチレン系樹脂廃材としては,発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡させて製造した容器,板材などの発泡成形体を一旦使用して廃材として回収した使用済み発泡成形体,或いは製造過程において破損,変形などにより発生した不良品発泡成形体,或いはその加工時に発生した裁断屑や在庫品などの余剰のスチレン系樹脂廃材などを意味する。
また,形態的には,発泡スチロール,発泡ポリスチレンペーパー,押出発泡ポリスチレンなどがある。上記スチレン系樹脂廃材は,これをリモネンや石油系有機溶剤に曝す方法,或いは加熱することなどにより減溶回収することができる。
【0010】
上記スチレン系樹脂廃材には,種々の材料を添加することができる。例えば,未使用のスチレン系樹脂,ポリエチレン系樹脂,ポリプロピレン系樹脂などの樹脂,ブタジエンゴム,スチレン−ブタジエンゴムなどのゴム成分を添加したり,ヘキサブロモシクロドデカンなどの難燃剤,2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンなどの難燃助剤,メタクリル酸メチル系共重合体,タルク,シリカ,エチレンビスステアリルアミド,シリコーンなどのセル調整剤,グリセリンジアセトモノラウレート,グリセリントリステアレート,フタル酸ジエチルヘキシル,流動パラフィンなどの可塑剤,帯電防止剤,導電化剤などの添加剤を,スチレン系樹脂廃材に添加することができる。
これによりスチレン系樹脂廃材を含有するスチレン系樹脂となし,該スチレン系樹脂を次に示すようにしてスチレン系樹脂粒子とする。
【0011】
即ち,スチレン系樹脂廃材を含有するスチレン系樹脂粒子は,スチレン系樹脂廃材を含有するスチレン系樹脂を,押出機により溶融混練してから小孔より押出し,ストランドカット,ホットカット,水中カットなどによりペレットにしたり,あるいは上記スチレン系樹脂を粉砕機により粉砕して,作製することが好ましい。
スチレン系樹脂粒子の重量は0.5〜5mg/1個であることが好ましい。0.5mg未満では,生産性が低く工業的に不利となるおそれがある。一方,5mgを超えると,発泡成形体を得る際,予備発泡粒子を金型に充填し難いおそれがある。
また,樹脂粒子の形状は球形,楕円状,円柱状などがあるが,この中,球形であることが好ましい。
【0012】
次に,発泡性スチレン系樹脂粒子は,圧力容器などの密閉容器に上記スチレン系樹脂粒子及び水性媒体を入れて水性媒体中にスチレン系樹脂粒子を分散させ,密閉した後,密閉容器内に発泡剤を添加してスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させて得られる。
【0013】
上記スチレン系樹脂粒子を水性媒体中に分散させるにあたっては,スチレン系樹脂粒子を水性媒体中に懸濁させる。この場合,スチレン系樹脂粒子同士の凝結を防ぐため,懸濁剤を用いることが好ましい。懸濁剤としては,例えば,ポリビニルアルコール,メチルセルロース,ポリビニルピロリドンなどの親水性高分子,第3リン酸カルシウム,ピロリン酸マグネシウムなどの難水溶性無機塩などを用いることができ,必要に応じて界面活性剤を併用しても良い。なお,難水溶性無機塩を使用する場合には,アルキルスルホン酸ナトリウム,ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤を併用することが好ましい。
【0014】
上記懸濁剤の使用量は,上記スチレン系樹脂粒子100重量部に対して,0.01〜5重量部が好ましい。前記の難水溶性無機塩とアニオン性界面活性剤を併用する場合は,上記スチレン系樹脂粒子100重量部に対して,難水溶性無機塩を0.05〜3重量部,アニオン性界面活性剤を0.0001〜0.5重量部,用いることが好ましい。
【0015】
また,水性媒体中には,スチレン系樹脂粒子中への吸水量を減らすために,0.01〜0.2モル/リットルの電解質を含有していることが好ましい。電解質としては,塩化リチウム,塩化ナトリウム,塩化マグネシウム,塩化カリウム,塩化カルシウム,塩化アンモニウム,硫酸ナトリウム,硫酸マグネシウム,硫酸カリウム,硫酸カルシウム,硫酸アルミニウム,硫酸アンモニウム,硝酸ナトリウム,硝酸マグネシウム,硝酸カリウム,硝酸カルシウム,硝酸アンモニウム,炭酸ナトリウム,炭酸マグネシウム,炭酸カリウム,炭酸アンモニウム等の水に可溶な無機塩類,あるいは酢酸カリウム,酢酸ナトリウム,オクタン酸ナトリウム,安息香酸ナトリウム,コハク酸二ナトリウム等の水に可溶なカルボン酸のアルカリ金属塩等があげられる。
【0016】
本発明において用いる発泡剤は,メタン,エタン,プロパン,n−ブタン,イソブタン,シクロブタン,n−ペンタン,イソペンタン,ネオペンタン,シクロペンタン,n−ヘキサン,シクロヘキサンなどの飽和炭化水素化合物,メタノール,エタノールなどの低級アルコール,ジメチルエーテル,ジエチルエーテルなどのエーテル化合物など沸点が90℃以下の揮発性有機化合物を1種類あるいは2種類以上混合して用いることができる。
【0017】
発泡剤の含有量は,スチレン系樹脂廃材を含有するスチレン系樹脂100重量部に対して,2〜10重量部とすることが好ましい。2重量部未満では,予備発泡樹脂粒子を製造する際に所定の発泡倍率に到達しないおそれがあり,10重量部を超えると,発泡剤を含浸中に,ペレット同士の凝結が起きるおそれがある。
なお,より好ましくは3〜8重量部である。
【0018】
上記発泡性スチレン系樹脂粒子は,その内部にボイドを有しており,スチレン系樹脂粒子の中心断面におけるボイドのボイド密度は,30,000個/mm2以下である。
ボイドとは,発泡性スチレン系樹脂粒子中に存在する小孔をいう。
【0019】
上記ボイド密度が,30,000個/mm2を超えると,強度に優れ,かつ外観の綺麗な発泡成形体を得ることができない。すなわち,ボイドは,発泡性スチレン系樹脂粒子が発泡する際の発泡開始点になり,ボイド密度は,発泡成形体の気泡数に影響を与え,発泡成形体の強度と外観に影響すると考えられる。
ボイド密度が30,000個/mm2を超えると,得られる発泡成形体の気泡数が増加するため気泡サイズが小さくなり,気泡膜の厚みが薄くなり過ぎて,成形時の加熱により気泡膜が溶融してしまい,その結果,強度も低くなり,外観の綺麗な発泡成形体を得ることができないと考えられる。
なお,好ましくは,上記ボイド密度は20,000個/mm2以下である。ボイド密度の下限値については特に制約はないが,1,000個/mm2以上であることが好ましい。
【0020】
なお,上記のボイド密度(個/mm2)を計測するにあたっては,発泡性スチレン系樹脂粒子を−50℃で凍結して,発泡性スチレン系樹脂粒子の中心を通る中心断面で切削する。次に,この中心断面をイオンエッチングし,白金にてコートし,その後,走査型電子顕微鏡により,上記中心断面の写真を撮影し,ボイド数を計測する。
計測したボイド数,計測に用いた写真の面積及び撮影倍率より,実際の発泡性スチレン系樹脂粒子の中心断面におけるボイド密度(個/mm2)を求めることができる。
【0021】
また,発泡性スチレン系樹脂粒子を,屈折率が約1.51の液体(例えばツェーデル油,キシダ化学社製,1級試薬,屈折率 1.514〜1.522)に浸した状態で光学顕微鏡(透過光)で観察することにより,簡便にボイド密度を確認することができる。
すなわち,ボイド密度が低い発泡性スチレン系樹脂粒子の場合は透き通って見えるが,ボイド密度が高くなるにつれ,光が透過しにくくなり,黒っぽく見えるようになる。さらに,目視においても,ボイド密度が高い発泡性スチレン系樹脂粒子は白濁して見え,ボイド密度が低い発泡性スチレン系樹脂粒子は透き通って見える。
【0022】
発泡性スチレン系樹脂粒子の上記ボイド密度を調整するにあたっては,例えば,発泡性スチレン系樹脂粒子を所定温度の窒素や空気の気流下に曝す。気流の温度を例えば30℃以上に上げたり,曝す時間を長くすると,ボイド密度が下がり,気流温度を例えば30℃未満に下げたり,曝す時間を短くするとボイド密度が上がる。
【0023】
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子は,これを予備発泡させて予備発泡粒子とし,その後,予備発泡粒子を加熱発泡させて,予備発泡粒子同士を融着させて,発泡成形体とする。
予備発泡の方法としては,例えば,撹拌装置の付いた円筒形の予備発泡機を用いて,スチームなどで加熱し発泡させる方法がある。
予備発泡粒子を発泡成形体とする方法としては,例えば,金型内に予備発泡粒子を充填し,スチームなどで加熱する,型内成形法が挙げられる。
このようにして得られた発泡成形体の密度は,15〜30kg/m3であることが好ましい。15kg/m3未満の場合には強度が不足し,30kg/m3を超える場合には,不経済となるおそれがある。
【0024】
次に,上記発泡性スチレン系樹脂粒子における,上記スチレン系樹脂100重量部に対する内部水分量は0.001〜0.5重量部であることが好ましい。
内部水分量が0.001重量部未満の場合には,密閉容器内で,スチレン系樹脂粒子を水性媒体に分散させ発泡剤を含浸させる際に,多量の電解質を添加したり,発泡剤を含浸後に長時間,乾燥処理を行う必要がある。そのため,製造コストが高くなり,工業的に不利である。
一方,内部水分量が0.5重量部を超えている発泡性スチレン系樹脂粒子は,発泡させたときの気泡サイズが不均一になる。このため,強度に優れ,外観の綺麗な発泡成形体を得ることが困難になるおそれがある。
好ましくは上記スチレン系樹脂100重量部に対する内部水分量は0.01〜0.3重量部,より好ましくは0.01〜0.2重量部である。
上記スチレン系樹脂粒子の中の内部水分量を上記の所定値に調整するにあたっては,たとえば,密閉容器内で,スチレン系樹脂粒子を水性媒体に分散させ,発泡剤を含浸させる際に,塩化ナトリウム,硫酸ナトリウム,酢酸ナトリウムなどの電解質を,内部水分量低減剤として水性媒体に添加する。
【0025】
次に,上記ボイドの直径は0.1〜20μmであることが好ましい。
上記ボイドの直径が0.1μm未満では,気泡が形成されにくくなり,気泡サイズが不均一になり,強度に優れ,外観のきれいな発泡成形体を得ることが困難になるおそれがある。一方20μmを超えると,大きな気泡が形成され,成型品の強度が低下するおそれがある。
【0026】
次に,上記スチレン系樹脂粒子に上記発泡剤を含浸させた後に,30〜70℃の温風に曝すことにより熱処理されていることが好ましい。
30℃未満の場合には,ボイド密度が30,000個/mm2を超えてしまい,強度に優れ,且つ外観のよい発泡成形体を得ることができない。一方,70℃を超える場合には,熱処理中に発泡性スチレン系樹脂粒子が発泡してしまうおそれがある。
更に好ましくは35〜60℃である。
【0027】
次に,上記発泡剤は,上記スチレン系樹脂廃材を含有するスチレン系樹脂粒子100重量部に対して,2〜10重量部含浸させることが好ましい。
2重量部未満では,予備発泡粒子を製造する際の発泡が不充分となり,一方10重量部を超えると,発泡剤を含浸中に,ペレット同士の凝結が起きるおそれがある。
【0028】
【実施例】
次に,実施例及び比較例を用いて更に詳細に説明する。
(実施例1)
スチレン系樹脂廃材としてスチレン系樹脂発泡成形品の使用済み品を用い,これをリモネン方式により減容回収した。次いで,このスチレン系樹脂廃材を,65mm単軸押出機で溶融混練し,小孔より水中に押出して,直ちに切断して,約1.5mg/個の大きさのスチレン系樹脂粒子を得た。上記リモネン方式減溶回収は,d−リモネンにスチレン系樹脂発泡成形品を溶解させた後,d−リモネンを加熱下,減圧除去し,スチレン系樹脂を得る方法である。
【0029】
次に,撹拌装置の付いた内容積が50Lのオートクレーブに,脱イオン水20kg,懸濁剤としてピロリン酸マグネシウム(ピロリン酸ナトリウム50g及び硫酸マグネシウム100gをオートクレーブに投入して合成),界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム7g,スチレン系樹脂粒子の内部水分量低減剤として塩化ナトリウム340g,及びスチレン系樹脂粒子13kgを投入して密閉した。
密閉後,オートクレーブの加熱を開始し,180rpmで撹拌しながら,2時間かけて内温を120℃まで昇温した。
【0030】
120℃到達後,発泡剤としてペンタン(n−ペンタン約80%,i−ペンタン約20%)900gをオートクレーブ内に圧入し,120℃で7時間保持後,30℃まで冷却した。冷却後,オートクレーブから内容物を取り出した。取り出した内容物に硝酸を添加して,樹脂粒子表面に付着しているピロリン酸マグネシウムを溶解除去した。
【0031】
次に,遠心分離機で脱水洗浄し,樹脂粒子100重量部に対して,帯電防止剤であるN,N―ビス(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミン0.005重量部を添加した後,気流乾燥機により乾燥させた。
次に,樹脂粒子の表面を,ステアリン酸亜鉛0.05重量部,グリセリントリステアレート0.02重量部,及びグリセリンモノステアレート0.02重量部の混合物で被覆した。
【0032】
次いで,樹脂粒子10kgを上下に100メッシュの金網の付いた直径35cmの筒型金属容器に入れ,流量80m3/hで,50℃の温風空気を筒型容器下部より導入し,そのまま120分間保持して熱処理を行った。これにより,発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。
【0033】
得られた発泡性スチレン系樹脂粒子4kgを加圧バッチ発泡機(ダイセン工業社製DYHL500U)内で,内圧が0.01MPaになるようにスチームを供給し,約90秒間加熱した後,60秒間乾燥させて,嵩密度が約20kg/m3(発泡倍率 約50倍)の予備発泡粒子を得た。
得られた予備発泡粒子を室温で1日熟成後,型物成形機(ダイセン工業社製,VS500)の金型に充填し,0.07MPaのスチーム圧力で20秒間加熱し,所定時間冷却後,金型から取り出して,発泡成形体を得た。
【0034】
上記のようにして得られた発泡性スチレン系樹脂粒子のボイド密度,内部水分量,発泡剤の含有量,重量平均分子量,得られた発泡成形体の表面外観,セルナンバー,曲げ強度,50%破壊高さを,以下の方法で評価した。
【0035】
<ボイド密度>
ボイド密度(個/mm2)は,発泡性スチレン系樹脂粒子を,ミクロトームに−50℃で凍結し,粒子の中心を通る中心断面にて切削した。この中心断面にイオンエッチングを行い,白金にてコートして,ボイド観察用の断面サンプルを調製した。次いで,走査型電子顕微鏡(加速電圧10kV)により,撮影倍率2,000倍にて中心断面の写真を撮影し,ボイド数を計測した。
ボイド数(個),計測に用いた写真の面積(mm2),撮影倍率(2000倍,写真上の2mmが1μmに相当)より,実際の発泡性スチレン系樹脂粒子の断面におけるボイド密度(個/mm2)を求めた。
上記の写真を図1に示す。同図において,小さい○点がボイド1である。
【0036】
ボイド密度(個/mm2)=ボイド数(個)÷写真の面積(mm2)×撮影倍率の2乗
【0037】
<内部水分量>
カールフィッシャー法により,発泡性スチレン系樹脂粒子の内部水分量を測定した。
【0038】
<発泡剤の含有量>
発泡性スチレン系樹脂粒子をジメチルホルムアミドに溶解させ,ガスクロマトグラフィーにて発泡剤の含有量を測定した。
【0039】
<重量平均分子量>
発泡性スチレン系樹脂粒子をテトラヒドロフランに溶解させ,ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し,標準ポリスチレンで校正して求めた。
【0040】
<表面外観>
本例により得られた発泡成形体の表面外観を目視により,下記基準にて評価した。
○:発泡成形体の中の発泡粒子間の間隙がなく,表面が溶融した発泡粒子もなく,表面が平滑で見栄えがよい。
△:発泡粒子間の間隙が少なく,表面が溶融した発泡粒子が僅かに存在し,比較的表面は平滑であるが,見栄えが劣る。
×:発泡粒子間の間隙が多く,あるいは表面に溶融した発泡粒子が多数存在し,表面が凸凹し見栄えが非常に悪い。あるいは発泡成形体が得られない。
【0041】
<セルナンバー>
発泡成形体の表皮部分をスライサーで切断し,光学顕微鏡にて切断面を写真撮影した。切断面の写真上に直線を引き,直線と交わっている気泡数を数え,気泡数を直線の長さで除して,1mm当たりの気泡数を求めた。1つのサンプルにつき任意の25ヶ所について,気泡数を測定して,平均値を求め,セルナンバー(個/mm)とした。
【0042】
<曲げ強度>
発泡成形体を切断して,縦300mm×横75mm×厚さ25mmの試験片を作成し,JIS A 9511に準拠して3点曲げ試験を行い,曲げ強度を測定した。
【0043】
<50%破壊高さ>
JIS K 7211に準拠して発泡成形体の耐衝撃性を評価した。すなわち,発泡成形体を切断して,縦200mm×横40mm×厚さ25mmの試験片を作成し,落下高さを変えながら,重量255gの鋼球を試験片上に落下させ,50%の確率で破壊する落下高さ(cm)を求めた。
【0044】
(実施例2)
発泡性スチレン系樹脂粒子の熱処理の条件を50℃,60分間とした以外は実施例1と同様に行った。
【0045】
(実施例3)
発泡性スチレン系樹脂粒子の熱処理の条件を50℃,240分間とした以外は実施例1と同様に行った。
【0046】
(参考例1)
発泡性スチレン系樹脂粒子の熱処理の条件を40℃,120分間とした以外は実施例1と同様に行った。
【0047】
(実施例4)
発泡性スチレン系樹脂粒子の熱処理の条件を60℃,120分間とした以外は実施例1と同様に行った。
【0048】
(実施例5)
スチレン系樹脂廃材として,使用済みスチレン系樹脂の発泡成形品を,加熱減容機により減容回収して得られたものを用いた以外は実施例1と同様に行った。
【0049】
(比較例1)
発泡性スチレン系樹脂粒子の熱処理を行わなかった点を除き,実施例1と同様に行った。
【0050】
(比較例2)
発泡性スチレン系樹脂粒子の熱処理の条件を20℃,120分間とした以外は実施例1と同様に行った。
【0051】
以上の各実施例、参考例、及び各比較例における,発泡性スチレン系樹脂粒子のボイド密度,内部水分量,発泡剤の含有量,重量平均分子量,得られた発泡成形体の表面外観,セルナンバー,曲げ強度,50%破壊高さについて,表1及び表2に示した。
【0052】
また,図1及び図2に示すごとく,実施例1及び比較例1より得られた発泡性スチレン系樹脂粒子の中心断面に存在するボイド1を電子顕微鏡写真により観察した。その結果,実施例1の場合の方が比較例1よりもボイド数がかなり少ないことが明かであった。
【0053】
表1及び表2より知られるごとく,発泡性スチレン系樹脂粒子のボイド密度を比較すると,実施例1〜5及び参考例1では30000個/mm2以下,比較例1,2では30000個/mm2を超えている。
【0054】
以上より,スチレン系樹脂廃材を用いて作製された発泡性スチレン系樹脂粒子は,その中心断面のボイド密度を30000個/mm2以下にすることにより,強度に優れ,外観の綺麗な発泡成形体が得られることがわかる。
また,表1及び表2より,実施例1〜5及び参考例1の発泡性スチレン系樹脂粒子は,比較例1,2に比べて,内部水分量,表面外観,曲げ強度,50%破壊高さがいずれも優れていることが分かる。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における,スチレン系廃材の中心断面における走査型電子顕微鏡写真(2000倍)の描写図面。
【図2】比較例1における,スチレン系廃材の中心断面における走査型電子顕微鏡写真(2000倍)の描写図面。
【符号の説明】
1...ボイド,
Claims (4)
- 密閉容器内にて水性媒体中に分散している,スチレン系樹脂廃材を含有するスチレン系樹脂粒子に,発泡剤を含浸させて発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法であって,
上記スチレン系樹脂粒子に上記発泡剤を含浸させ,脱水し乾燥した後に、上記発泡性スチレン系樹脂粒子を50〜70℃の温風に曝す熱処理を行うことにより,上記発泡性スチレン系樹脂粒子の中心断面に存在するボイドのボイド密度を9,000個/mm 2 以下とすることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。 - 請求項1において,上記発泡剤は,上記スチレン系樹脂廃材を含有するスチレン系樹脂粒子100重量部に対して,2〜10重量部含浸させることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
- 請求項1又は2において,上記熱処理を60〜240分間行うことを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項において,上記発泡性スチレン系樹脂粒子におけるスチレン系樹脂100重量部に対する内部水分量を0.001〜0.2重量部とすることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
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