JP4772905B2 - アンチトロンビン組成物の製造方法 - Google Patents

アンチトロンビン組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はアンチトロンビン組成物の製造方法に関する。より詳しくは、アンチトロンビン含有水溶液より所望のα体含有率またはβ体含有率を有する、アンチトロンビン組成物の製造方法に関する。
アンチトロンビンは血中における重要な血液凝固阻害系因子(セリンプロテアーゼ阻害剤)であり、血液凝固などに関わるセリンプロテアーゼと1分子対1分子で安定な複合体を不可逆的に形成することにより活性を阻害する。アンチトロンビンは、主として肝臓で合成され、ヒト血漿中に約150mg/L存在する(非特許文献1)。
アンチトロンビンは432個のアミノ酸残基よりなる分子量約59000〜65000の糖蛋白質であり、分子内に3個のジスルフィド結合(Cys8−Cys128、Cys21−Cys95およびCys247−430)を有している。アンチトロンビンのN末端から96番目、135番目、155番目および192番目の4箇所のアスパラギン残基(それぞれAsn96、Asn135、Asn155およびAsn192と表す)にN−グリコシド結合により糖鎖が付加する。ヒト血漿中に存在するアンチトロンビンには、4本のN−グリコシド結合糖鎖を有するα体(又はα型)およびAsn135へのN−グリコシド結合糖鎖の付加がなく3本の糖鎖しか有さないβ体(またはβ型)の2種類のアイソフォームが存在する(非特許文献2、非特許文献3)。アンチトロンビンにN−グリコシド結合した糖鎖は、N−アセチルグルコサミン、シアル酸、ガラクトースおよびマンノースから構成される複合糖鎖であり、末端にはシアル酸が結合する。糖蛋白質は、糖鎖末端に結合したシアル酸結合数が多いほど、血液中の半減期が長い。これは、シアル酸が脱離すると非還元末端に露出したガラクトース残基が、肝臓などに局在するアシアロ糖蛋白質受容体(ガラクトース受容体)に捕捉され、速やかに分解されるためといわれている(非特許文献4、非特許文献5)。また、アンチトロンビンは熱などの物理的ストレスまたは酸などの化学的ストレスにより、容易に不活性体(latent体)を形成する(非特許文献6)。
ヒト血漿中のアンチトロンビンは、90〜95%がα体、残りの5〜10%がβ体で構成される(非特許文献2)。またヒト血漿中のアンチトロンビンに結合した糖鎖の約70%にシアル酸が一糖鎖あたり2分子、残り約30%にシアル酸が一糖鎖あたり1分子結合している(非特許文献1、非特許文献7)。
ヒト血漿より精製されたアンチトロンビンは、先天性アンチトロンビン欠乏に基づく血栓症、およびアンチトロンビン低下を伴う汎用性血管内凝固症候群(DIC)の治療薬として用いられている。しかし、ヒト血漿より精製されたアンチトロンビンは、AIDSウイルス、ヒトパルボウイルスなどの血液由来ウイルス、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病、伝播性海綿状脳症(TSE)の因子などが混入する恐れがある。このような背景から、近年、遺伝子組換え技術を応用し、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)などの動物細胞や、トランスジェニック動物を用いた組換えアンチトロンビンの生産が試みられている。
アンチトロンビン生産遺伝子組換えCHO細胞やトランスジェニック動物より得られたアンチトロンビンは、ヒト血漿由来アンチトロンビン精製物とは異なり、α体、β体、不活性体、不活性前駆体(prelatent体)、会合体または宿主由来不純物などの混合物として得られる。また、糖鎖末端のシアル酸結合数も不均一である(非特許文献8、非特許文献9)。
アンチトロンビンの精製方法として、ヘパリンクロマトグラフィ(非特許文献3)、陽イオン交換クロマトグラフィ(特許文献1)、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィ(特許文献2)または疎水クロマトグラフィ(非特許文献8、非特許文献9、特許文献3、特許文献4)などが知られている。しかし、α体、β体、不活性体、不活性前駆体または会合体の混合物から所望のα体またはβ体含有率を有するアンチトロンビン組成物を調製する方法は知られていない。
続 医薬品の開発, 20, 185 (1992) 血栓止血誌, 10, 93 (1999) J. Biol. Chem., 260, 610 (1985) Sequences of protein of immunological interest Fourth Edition, Public Health Service National Institutes of Health (1987) Blood, 73, 84 (1987) Structure, 2, 257 (1994) Arch. Biochem. Biophys., 203, 458 (1980) Protein Expression and Purification, 41, 323 (2005) Blood, 91, 4561 (1998) 特表2003−520805 特表2003−520806 特許第2852307号 特許第2678249号
本発明は、アンチトロンビン含有水溶液より所望のα体またはβ体含有率を有するアンチトロンビン組成物を高収率で製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の(1)〜(11)に関する。
(1)アンチトロンビン含有水溶液をセルファインサルフェイトクロマトグラフィ担体に接触させ、所望のα体またはβ体含有率を有するアンチトロンビン組成物を調製することを特徴とする、アンチトロンビン組成物の製造方法。
(2)アンチトロンビン含有水溶液をセルファインサルフェイトクロマトグラフィ担体に接触させ、該担体に吸着したアンチトロンビン組成物を溶出液の導電率を上げることにより溶出させ、該溶出液より所望のα体またはβ体含有率を有するアンチトロンビン組成物を調製することを特徴とする、アンチトロンビン組成物の製造方法。
(3)導電率を調整したアンチトロンビン含有水溶液をセルファインサルフェイトクロマトグラフィ担体に接触させ、該担体への非吸着画分より所望のα体またはβ体含有率を有するアンチトロンビン組成物を調製することを特徴とする、アンチトロンビン組成物の製造方法。
(4)さらに陰イオン交換クロマトグラフィおよび/または疎水クロマトグラフィを行うことを含む、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の方法。
(5)(1)〜(3)に記載の調製を行った後に、疎水クロマトグラフィを行う、(4)に記載の方法。
(6)アンチトロンビン組成物が、糖鎖を有するアンチトロンビンからなる組成物であって、該組成物中に含まれるアンチトロンビンに結合する糖鎖1本あたり平均1個以上3個以下のシアル酸分子を有するアンチトロンビン組成物である、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の方法。
(7)アンチトロンビン組成物が、糖鎖を有するアンチトロンビンからなる組成物であって、該組成物中に含まれるアンチトロンビンに結合する糖鎖1本あたり平均1.5個以上2.5個以下のシアル酸分子を有するアンチトロンビン組成物である、(1)〜(5)のいずれか1項に記載の方法。
(8)アンチトロンビンに結合している糖鎖が3本または4本である、(6)または(7)に記載の方法。
(9)アンチトロンビン組成物が、糖鎖を有するアンチトロンビンからなる組成物であって、該組成物中に含まれるアンチトロンビン1分子あたり平均3個以上12個以下のシアル酸分子を有するアンチトロンビン組成物である、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の方法。
(10)アンチトロンビン組成物が、糖鎖を有するアンチトロンビンからなる組成物であって、該組成物中に含まれるアンチトロンビン1分子あたり平均6個以上8個以下のシアル酸分子を有するアンチトロンビン組成物である、(1)〜(6)のいずれか1項に記載の方法。
(11)(1)〜(10)のいずれか1項に記載の方法で製造されるアンチトロンビン組成物。
本発明により、アンチトロンビン含有水溶液より、所望のα体含有率またはβ体含有率を有するアンチトロンビン組成物を高収率で製造する方法が提供される。本発明により製造されたアンチトロンビン組成物は、医薬品として有用である。
本発明は、アンチトロンビン含有水溶液をセルファインサルフェイトクロマトグラフィ担体に接触させ、所望のα体またはβ体含有率を有するアンチトロンビン組成物を調製することを特徴とする、アンチトロンビン組成物の製造方法に関する。
本発明において、アンチトロンビン含有水溶液としては、アンチトロンビンが含まれる水溶液であればいずれでも良く、例えばα体、β体、不活性体、不活性前駆体、会合体、N末あるいはC末端の欠失体、アミノ酸改変体、糖鎖置換体、アンチトロンビン誘導体、宿主細胞由来不純物、または製造工程由来不純物などが含まれる水溶液があげられる。さらに、アンチトロンビン含有水溶液には、各種添加物、例えばシアル酸などのシアリダーゼ阻害剤などが含まれていてもよい。シアリダーゼ阻害剤としては、シアル酸の一種であるN−アセチルノイラミン酸や2,3−デヒドロ−2−デオキシ−N−アセチルノイラミン酸(5−アセタミド−2,6−アンヒドロ−3,5−ジデオキシ−D−グリセロ−D−ガラクト−ノン−2−エノン酸、Neu5Ac2enあるいは2,3−Dともいう)などのN−アセチルノイラミン酸誘導体[Handbook of Enzyme Inhibitor 3rd, revised and enlarged edition Part A, Wiley−VCH, Weinheim (1999)、US5510261、Glycobiology, 3, 201, (1993)]、塩化銅[Biotech. Bioeng., 55, 390 (1997)、Biotechnology, 13, 692 (1995)、US6528286]またはシアリダーゼに対する抗体(特表平8−510133、WO2007/108464)などがあげられる。
本発明において、アンチトロンビンとしては、例えば、ヒト型アンチトロンビン、ヒト型アンチトロンビンのアミノ酸改変体、付加体、欠失体、置換体、糖鎖改変体またはアンチトロンビン誘導体などがあげられる。さらに具体的には、血漿あるいは尿など生体から得られたアンチトロンビン、遺伝子組換え技術あるいは細胞融合技術を用いて樹立されたアンチトロンビンを生産する細胞を培養して得られたアンチトロンビン、またはトランスジェニック非ヒト動物あるいは植物などから得られたアンチトロンビンなどがあげられる。
アンチトロンビンを生産する細胞としては、ヒトアンチトロンビン遺伝子が組み込まれた形質転換細胞があげられる。具体的には、動物細胞、植物細胞あるいは酵母細胞などの細胞株、さらに具体的には、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、マウスミエローマ細胞であるNS0細胞、SP2/0細胞、ラットミエローマYB2/0細胞、IR983F細胞、シリアンハムスター腎臓由来であるBHK細胞、ヒトミエローマ細胞であるナマルバ細胞、胚性幹細胞、または受精卵細胞などにアンチトロンビン遺伝子を導入した細胞があげられる。
アンチトロンビンを生産する細胞を培養する培地としては、各々の細胞の培養に適した培地であればいずれも用いられるが、例えば動物細胞を培養する培地としては、通常の動物細胞の培養に用いられる基礎培地が用いられる。例えば、血清含有培地、血清アルブミンあるいは血清分画物などの動物由来成分を含まない培地、無血清培地、または無蛋白培地など、いずれの培地も用いられるが、好ましくは無血清培地または無蛋白培地が用いられる。例えば、RPMI1640培地[The Journal of the American Medical Association, 199, 519 (1967)]、EagleのMEM培地[Science, 122, 501 (1952)]、ダルベッコ改変MEM(DMEM)培地[Virology, 8, 396 (1959)]、199培地[Proceeding of the Society for the Biological Medicine, 73, 1 (1950)]、F12培地(Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 53, 288 (1965) ]、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM培地)[J. Experimental Medicine, 147, 923 (1978)]、EX−CELLTM 302培地、EX−CELLTM−CD−CHO、EX−CELLTM 325培地(以上、エスエーエフシーバイオサイエンス社製)、CD−CHOTM培地、CD DG44TM培地(以上、インビトロジェン社製)、IS CD−CHOTM培地(アーバインサイエンティフィック社製)、またはこれらの改変培地、混合培地あるいは濃縮培地などが挙げられ、好ましくはRPMI1640培地、DMEM培地、F12培地、IMDM培地、EX−CELLTM302培地、CD−CHOTM培地またはIS CD−CHOTM培地などが用いられる。
また、必要に応じてアンチトロンビン組成物を生産する細胞の生育に必要な生理活性物質または栄養因子などを添加することができる。これらの添加物は、培養前に予め培地に含有させるか、さらに/または培養中に添加培地または添加溶液として培養液へ適宜追加供給する。追加供給の方法は、1溶液または2種以上の混合溶液などいかなる形態でもよく、また、添加方法は連続または断続のいずれでもよい。
また、ヒトアンチトロンビン遺伝子が組み込まれ形質転換された動物細胞を培養する際に、細胞の培養やアンチトロンビン組成物の生産に適した浸透圧は200〜600mOsm/kgであり、好ましくは250〜500mOsm/kgであり、より好ましくは250〜400mOsm/kgである。
アンチトロンビンを生産するトランスジェニック非ヒト動物または植物としては、ヒトアンチトロンビン遺伝子が細胞内に組み込まれた非ヒト動物または植物があげられる。用いられる動物の具体例としては、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ブタ、ヤギ、ウシまたはサルなどがあげられ、植物としてはタバコ、ポテト、トマト、ニンジン、ソイビーン、アブラナ、アルファルファ、コメ、小麦、大麦またはコーンなどがあげられる。
また、本発明において、アンチトロンビン含有水溶液としては、アンチトロンビンを含有する血漿または尿など生体から得られたものの他、精製する工程で得られるアンチトロンビン水溶液も含まれる。具体的には、細胞除去液、アルコール分画液、塩析分画液、ヘパリンアフィニティークロマトグラフィ溶出液、イオン交換クロマトグラフィ溶出液、イオン交換膜溶出液、ゲルろ過クロマトグラフィ溶出液または疎水クロマトグラフィ溶出液などがあげられる。
細胞除去液としては、血漿あるいは尿など生体から得られたアンチトロンビン含有水溶液、トランスジェニック非ヒト動物または植物より得られたアンチトロンビン含有水溶液、遺伝子組換え技術を用いて樹立された細胞より得られたアンチトロンビン含有水溶液、または精製する工程で得られるアンチトロンビン含有水溶液より、細胞を除去した溶液などがあげられる。具体的には、細胞培養液より遠心分離法、クロスフローろ過法(タンジェンシャルフローろ過法)、デプスフィルターによるろ過法、メンブレンフィルターによるろ過法、透析法、またはこれらの方法を組み合わせた方法などによって細胞を除去して得られる溶液があげられる。
アルコール分画液としては、血漿あるいは尿など生体から得られたアンチトロンビン含有水溶液、トランスジェニック非ヒト動物または植物より得られたアンチトロンビン含有水溶液、遺伝子組換え技術を用いて樹立された細胞より得られたアンチトロンビン含有水溶液、または精製する工程で得られたアンチトロンビン含有水溶液より、アルコールなどを添加することで調製された分画液などがあげられる。具体的には低温エタノール分画法などの手法で得られる分画液があげられる。
塩析分画液としては、血漿あるいは尿など生体から得られたアンチトロンビン含有水溶液、トランスジェニック非ヒト動物または植物より得られたアンチトロンビン含有水溶液、遺伝子組換え技術を用いて樹立された細胞より得られたアンチトロンビン含有水溶液、または精製する工程で得られたアンチトロンビン含有水溶液より、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウムまたは塩化カリウムなどの塩を添加し、アンチトロンビンを析出させることで調製された分画液などがあげられる。
ヘパリンアフィニティークロマトグラフィ溶出液としては、血漿あるいは尿など生体から得られたアンチトロンビン含有水溶液、トランスジェニック非ヒト動物または植物より得られたアンチトロンビン含有水溶液、遺伝子組換え技術を用いて樹立された細胞より得られたアンチトロンビン含有水溶液、または精製する工程で得られたアンチトロンビン含有水溶液より、アンチトロンビンに親和性を有する分子、例えばヘパリンなどを、ベース担体、例えば、セルロース、アガロース、シリカまたはキトサンなどで構成されたポリマーに結合した担体に吸着させ、適当な溶出液で溶出すること、または非吸着させることにより得られた、アンチトロンビン溶出液などがあげられる。ヘパリンアフィニティークロマトグラフィ担体としては、Heparin Sepharose 6 Fast Flow(GEヘルスケア社製)、プロセップ−ヘパリン(ミリポア社製)、TOYOPEARL AF−Heparin−650(東ソー社製)またはHeparin HyperD(ポール社製)などがあげられる。
イオン交換クロマトグラフィ溶出液またはイオン交換膜溶出液としては、血漿あるいは尿など生体から得られたアンチトロンビン含有水溶液、トランスジェニック非ヒト動物または植物より得られたアンチトロンビン含有水溶液、遺伝子組換え技術を用いて樹立された細胞より得られたアンチトロンビン含有水溶液、または精製する工程で得られたアンチトロンビン含有水溶液より、イオン交換基を有する分子、例えば硫酸基、メチル硫酸基、スルフォフェニル基、カルボキシメチル基、4級アンモニウム基、4級アミノエチル基またはジエチルアミノエチル基などを、ベース担体、例えば、セルロース、アガロース、シリカまたはキトサンなどで構成されたポリマーに結合した担体または膜に吸着させ、適当な溶出液で溶出すること、または非吸着させることにより得られた、アンチトロンビン溶出液などがあげられる。イオン交換担体またはイオン交換膜としては、Q Sepharose Fast Flow、SP Sepharose Fast Flow、DEAE Sepharose Fast Flow、CM Sepharose Fast Flow、Capto Q、Capto S(GEヘルスケア社製)、TOYOPEARL DEAE−650、TOYOPEARL SuperQ−650、TOYOPEARL QAE−550、TOYOPEARL SP−650、TOYOPEARL CM−650、TOYOPEARL SP−550、TOYOPEARL MegaCap SP−550(以上、東ソー社製)、Macro−Prep High S、UNOsphare S、Macro−Prep CM、MacroPrep High Q、UNOsphare Q、Macro−Prep DEAE(以上、バイオ・ラッド社製)、DEAE Spherodex、SP Spherodex、DEAE Trisacryl、CM Trisacryl、SP Trisacryl、Q HyperZ、CM HyperZ、Q Ceramic HyperD、S Ceramic HyperD、DEAE Ceramic HyperD、CM Ceramic HyperD、Mustang Q、Mustang S(以上、ポール社製)、Sartobind S、Sartobind Q、Sartobind C、Sartobind D(以上、ザルトリウス社製)、フラクトゲル TMAE(M)、フラクトゲル TMAE(S)、フラクトゲル TMAE HiCap(M)、フラクトゲル DEAE(M)、フラクトゲル DEAE(S)、フラクトゲル DMAE(M)、フラクトゲル DMAE (S)、ラクトゲル SO3−(M)、フラクトゲル SO3−(S)、フラクトゲル SEHiCap(M)、フラクトゲル COO−(M)、フラクトゲル COO−(S)(以上、メルク社製)、DEAEセルロファイン A−500、QAセルロファイン Q−500(以上、チッソ社製)、キトパール“ベーシック”、DEAEキトパール、カルボキシル化キトパール、スルホン化キトパール(以上、富士紡ホールディングズ社製)などがあげられる。
ゲルろ過クロマトグラフィ溶出液としては、血漿あるいは尿など生体から得られたアンチトロンビン含有水溶液、トランスジェニック非ヒト動物または植物より得られたアンチトロンビン含有水溶液、遺伝子組換え技術を用いて樹立された形質転換細胞より得られたアンチトロンビン含有水溶液、または精製する工程で得られたアンチトロンビン含有水溶液より、ベース担体、例えば、セルロース、アガロース、シリカまたはキトサンなどで構成されたポリマーに吸着させ、適当な溶出液を用いて溶出し、分子量により分画されたアンチトロンビン溶出液などがあげられる。ゲルろ過クロマトグラフィ担体としては、Superdex 75、Superdex 200、Superdex 75 prep grade、Superdex 200 prep grade、Superose 6、Superose 12、Superose 6 prep grade、Superose 12 prep grade、Sephacryl S−100 HR、Sephacryl S−200 HR、Sephacryl S−300 HR、Sephacryl S−400 HR、Sephacryl S−500 HR(以上、GEヘルスケア社製)、TOYOPEARL HW−40、TOYOPEARL HW−50、TOYOPEARL HW−55、TOYOPEARL HW−65、TOYOPEARL HW−75(以上、東ソー社製)、バイオゲルP(バイオ・ラッド社製)、Trisacryl、Ultrogel(以上、ポール社製)、フラクトゲル BioSEC(メルク社製)、セルロファインGH−25(チッソ社製)などがあげられる。
疎水クロマトグラフィ溶出液としては、血漿あるいは尿など生体から得られたアンチトロンビン含有水溶液、アンチトロンビン産生トランスジェニック非ヒト動物または植物より得られたアンチトロンビン含有水溶液、遺伝子組換え技術を用いてアンチトロンビンを生産する細胞より得られたアンチトロンビン含有水溶液、またはアンチトロンビンを精製する工程で得られたアンチトロンビン含有水溶液より、疎水性を有する分子、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、オクチル基、エーテル基またはフェニル基などを、ベース担体、例えば、セルロース、アガロース、シリカまたはキトサンなどで構成されたポリマーに結合した担体に吸着させ、適当な溶出液を用いて溶出すること、または非吸着させることで得られる、アンチトロンビン溶出液などがあげられる。疎水クロマトグラフィ担体としては、Phenyl Sepharose 6 Fast Flow(high−sub)、Phenyl Sepharose 6 Fast Flow(low−sub)、Octyl Sepharose 4 Fast Flow、Butyl Sepharose 4 Fast Flow(以上、GEヘルスケア社製)、TOYOPEARL Hexyl−650、TOYOPEARL Butyl−650、TOYOPEARL Phenyl−650、TOYOPEARL Ether−650、TOYOPEARL PPG−600、TOYOPEARL Butyl−600、TOYOPEARL Super Butyl−550(以上、東ソー社製)、Mactro−Prep t−Butyl、Macro−Prep Methyl(以上、バイオ・ラッド社製)、QMA Spherosil、Methyl Ceramic HyperD(以上、ポール社製)、フラクトゲル Phenyl(S)、フラクトゲル Propyl(S)(以上、メルク社製)、フェニル−セルロファイン(チッソ社製)、ブチル化キトパール、フェニル化キトパール(以上、富士紡ホールディングズ社製)等があげられるが、Phenyl Sepharose (low−sub)、Phenyl Sepharose (high−sub)、Ether TOYOPEARLなどが好ましく用いられる。
本発明において、セルファインサルフェイトクロマトグラフィ担体としては、セルファインサルフェイトm、セルファインサルフェイトc、硫酸化セルロファインm、硫酸化セルロファインc、硫酸化セルファインmまたは硫酸化セルファインc(以上、チッソ社製)などがあげられる。
本発明において、所望のα体またはβ体含有率を有するアンチトロンビン組成物は、アンチトロンビン含有水溶液をセルファインサルフェイトクロマトグラフィ担体に接触させて、調製することが出来るが、調製方法としては、該担体へのアンチトロンビン組成物の吸着画分からの回収であっても、該担体へのアンチトロンビン組成物の非吸着画分からの回収であってもよい。例えば、所望のα体またはβ体含有率を有するアンチトロンビン組成物は、アンチトロンビン含有水溶液をセルファインサルフェイトクロマトグラフィ担体に接触させ、アンチトロンビン組成物を該担体に吸着させた後、導電率を調整した緩衝液で溶出させて得られた分画液の任意の画分を統合することで調製できる。
本発明において、アンチトロンビン組成物のセルファインサルフェイト担体への吸着条件は、pH5〜9であり、好ましくはpH5〜8である。担体1mL当たりのアンチトロンビン負荷量としては、0.01〜10mg/mLが好ましく、より好ましくは0.1〜5mg/mLである。導電率は0.01mS/cm〜50mS/cmが好ましく、より好ましくは0.1〜20mS/cmである。緩衝液を構成する塩として、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ホウ酸塩、Tris(base)、HEPES、MES、PIPES、MOPS、TESまたはTricineなどがあげられる。これらの塩の濃度は好ましくは0.01mol/L〜0.5mol/Lであり、より好ましくは0.02mol/Lである。また上記の塩は、例えば0.01mol/L〜0.5mol/Lの塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウムまたは硫酸アンモニウムなどの他の塩と組み合わせて用いた場合、0.001mol/L〜1mol/Lの濃度で用いられる。緩衝液の具体的な組成として、20mmol/Lリン酸ナトリウム(pH6.0)、20mmol/Lクエン酸ナトリウム(pH6.0)などがあげられる。
セルファインサルフェイト担体に吸着したアンチトロンビン組成物は、緩衝液の導電率を上げることにより溶出される。所望の組成物を得るためには、適当なpHおよび導電率の緩衝液で溶出すればよい。溶出する緩衝液は、好ましくはpH5〜9であり、より好ましくはpH5〜8である。導電率は好ましくは0.01〜300mS/cmであり、より好ましくは0.1〜250mS/cmである。溶出方法としては段階的に塩濃度を上げていきアンチトロンビンを溶出させる方法、連続的に塩濃度を上げていきアンチトロンビンを溶出させる方法(グラジエント法)の何れでも良い。溶出させるための緩衝液は、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ホウ酸塩、Tris(base)、HEPES、MES、PIPES、MOPS、TESまたはTricineなどがあげられる。これらの濃度は0.01mol/L〜0.5mol/Lが好ましく、より好ましくは0.02mol/Lである。また上記の塩は、例えば0.001mol/L〜4mol/Lの塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウムまたは硫酸アンモニウムのような他の塩と組み合わせても利用できる。具体的には1mol/L塩化ナトリウムを含む20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、1mol/L塩化ナトリウムを含む20mmol/Lクエン酸ナトリウム(pH6.0)などがあげられる。
また、例えば、所望のα体またはβ体含有率を有するアンチトロンビン組成物は、アンチトロンビン含有水溶液をセルファインサルフェイトクロマトグラフィ担体に接触させ、該担体への非吸着画分を回収して得られた分画液の任意の画分を統合することでも調製できる。
具体的には、予めアンチトロンビン含有水溶液の導電率および担体の単位体積あたりのアンチトロンビン吸着量を調整し、該担体に接触させることにより、セルファインサルフェイトクロマトグラフィ担体にアンチトロンビン組成物を吸着させず、非吸着画分にアンチトロンビン組成物を回収することができる。接触させるアンチトロンビン含有水溶液の導電率は0.01mS/cmから100mS/cmであることが好ましく、より好ましくは0.1mS/cmから50mS/cmである。担体1mL当たりのアンチトロンビン負荷量としては、0.01〜50mg/mLが好ましく、より好ましくは0.1〜20mg/mLである。また、pHは5〜9であることが好ましく、より好ましくは5〜8である。緩衝液を構成する塩として、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ホウ酸塩、Tris(base)、HEPES、MES、PIPES、MOPS、TES、Tricineなどがあげられる。これらの濃度は0.01mol/L〜0.5mol/Lであることが好ましく、より好ましくは0.02mol/Lである。また上記の塩は、例えば0.01mol/L〜0.5mol/L、好ましくは0.01mol/L〜0.5mol/Lの塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウムなどの他の塩と組み合わせて用いることもできる。具体的には0.01mol/Lから0.5mol/Lの塩化ナトリウムを含む20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.01mol/Lから0.5mol/Lの塩化ナトリウムを含む20mmol/Lクエン酸ナトリウム(pH6.0)などがあげられる。
本発明において、α体含有率とは、アンチトロンビン組成物中のα体とβ体の合計に対するα体が占める割合をいう。本発明により所望のα体含有率を有するアンチトロンビン組成物が得られるが、α体含有率としては、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上である。
本発明において、β体含有率とは、アンチトロンビン組成物中のα体とβ体の合計に対するβ体が占める割合をいう。本発明により所望のβ体含有率を有するアンチトロンビン組成物が得られるが、β体含有率としては、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上、特に好ましくは97%以上である。
本発明において、セルファインサルフェイトクロマトグラフィから回収される分画液のα体含有率またはβ体含有率を測定し、任意の画分を統合することで、所望のα体含有率またはβ体含有率を有するアンチトロンビン組成物を高収率で得ることができる。具体的には、α体含有率が90%のアンチトロンビン組成物を、α体回収率として50%以上、好ましくは75%以上で得ることができる。また、β体含有率が90%以上のアンチトロンビン組成物を、β体回収率として50%以上、好ましくは75%以上で得ることができる。
本発明において、アンチトロンビンのα体含有率およびβ体含有率は、ヘパリンHPLC[J. Biol. Chem., 260, 610 (1985)]、ハイドロキシアパタイトHPLC[Protein Expression and Purification, 28, 196 (2003)、特表2003−520806]、ミセラー・エレクトロキネティック・クロマトグラフィー[J. Chromatography A, 924, 307, (2001)、特開2002− 196004]などにより測定することができる。
また、本発明は、該セルファインサルフェイトクロマトグラフィに、さらに陰イオン交換クロマトグラフィおよび/または疎水クロマトグラフィを組み合わせる、アンチトロンビン組成物の製造方法に関する。
本発明において、該セルファインサルフェイトクロマトグラフィと、陰イオン交換クロマトグラフィおよび/または疎水クロマトグラフィとの組み合わせの順番は特に限定しないが、該セルファインサルフェイトクロマトグラフィを行った後に疎水クロマトグラフィを行う方が好ましい。
該セルファインサルフェイトクロマトグラフィと疎水クロマトグラフィとを組み合わせる場合、本発明において、該セルファインサルフェイトクロマトグラフィを行った後のアンチトロンビン組成物または該セルファインサルフェイトクロマトグラフィを行う前のアンチトロンビン含有水溶液(以下、両者をまとめてアンチトロンビン含有水溶液という)を疎水クロマトグラフィ担体に接触させる条件は、通常pH5〜9であり、好ましくはpH5〜8である。導電率は通常20mS/cm以上であり、好ましくは50mS/cm以上である。緩衝液を構成する塩として、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ホウ酸塩、Tris(base)、HEPES、MES、PIPES、MOPS、TESまたはTricineなどがあげられる。これらの濃度は0.01mol/L〜0.5mol/Lであることが好ましく、より好ましくは0.02mol/Lである。また上記の塩は、0〜4mol/Lの塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムまたは硫酸アンモニウムなどの他の塩と組み合わせて用いることもできる。具体的には2mol/L硫酸アンモニウムを含む20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)、1mol/L硫酸ナトリウムを含む20mmol/Lトリス緩衝液(pH7.4)などがあげられる。
疎水クロマトグラフィ担体に吸着したアンチトロンビン組成物は、緩衝液の導電率を下げることにより溶出される。溶出方法としては、段階的に塩濃度を下げていきアンチトロンビン組成物を溶出させる方法(ステップワイズ法)、連続的に塩濃度を下げていきアンチトロンビン組成物を溶出させる方法(グラジエント法)の何れでも良い。溶出させるための緩衝液は、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、Tris(base)、HEPES、MES、PIPES、MOPS、TES、BicineまたはTricineなどがあげられる。これらの濃度は0.01mol/L〜0.5mol/Lであり、好ましくは0.02mol/Lである。また上記の塩は、0〜4mol/Lの塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムまたは硫酸アンモニウムなどの他の塩と組み合わせて用いることもでる。具体的には20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)、20mmol/Lトリス緩衝液(pH7.4)などがあげられる。
また、疎水クロマトグラフィ担体にアンチトロンビン含有水溶液を接触させ、該担体への非吸着画分から高純度のアンチトロンビン組成物を得ることもできる。疎水クロマトグラフィ担体への接触条件は通常pH5〜9であり、好ましくはpH5〜8である。導電率は通常1〜300mS/cmであり、好ましくは20〜200mS/cmである。緩衝液は、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、Tris(base)、HEPES、MES、PIPES、MOPS、TES、BicineまたはTricineなどがあげられる。これらの濃度は通常0.01mol/L〜0.5mol/Lであり、好ましくは0.02mol/Lである。また上記の塩は、0〜2mol/Lの塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムまたは硫酸アンモニウムなどの他の塩と組み合わせて用いることもできる。具体的には1mol/L硫酸アンモニウムを含む20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)、1mol/L硫酸ナトリウムを含む20mmol/Lトリス緩衝液(pH7.5)などがあげられる。
本疎水クロマトグラフィにより、不活性体、会合体、宿主細胞由来不純物、製造工程由来不純物などが除去された、高純度のアンチトロンビン組成物を得ることができる。また、該セルファインサルフェイトクロマトグラフィを行った後に疎水クロマトグラフィを行った場合であっても、該セルファインサルフェイトクロマトグラフィで得られたアンチトロンビン組成物のα体またはβ体含有率、もしくはシアル酸結合数は維持される。
該セルファインサルフェイトクロマトグラフィと陰イオン交換クロマトグラフィとを組み合わせる場合、本発明において、アンチトロンビン含有水溶液を陰イオン交換クロマトグラフィ担体に接触させる条件は、通常pH4〜10であり、好ましくはpH6〜9である。導電率は0.01mS/cm〜50mS/cmが好ましく、より好ましくは0.1mS/cm〜20mS/cmである。緩衝液を構成する塩として、例えば、リン酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ホウ酸塩、Tris(base)、HEPES、MES、PIPES、MOPS、TESまたはTricineなどがあげられる。これらの塩の濃度は0.01mol/L〜0.5mol/Lであることが好ましく、より好ましくは0.02mol/Lである。また上記の塩は、0.001mol/L〜4mol/Lの塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムまたは硫酸アンモニウムなどの他の塩と組み合わせて用いることもできる。緩衝液の具体的な組成として、20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)、25mmol/L塩化ナトリウムを含む10mmol/Lトリス緩衝液(pH7.4)などがあげられる。
陰イオン交換クロマトグラフィ担体に吸着したアンチトロンビン組成物は、緩衝液の導電率を上げることにより溶出される。溶出方法としては、一定時間連続的に通塔して目的物を溶出させる方法、段階的に塩濃度を上げていきアンチトロンビン組成物を溶出させる方法(ステップワイズ法)、連続的に塩濃度を上げていきアンチトロンビンを溶出させる方法(グラジエント法)の何れでも良い。溶出させるための緩衝液は、好ましくはpH4〜10であり、より好ましくはpH5〜9である。緩衝液を構成する塩としては、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、コハク酸、マレイン酸塩、ホウ酸塩、Tris(base)、HEPES、MES、PIPES、MOPS、TESまたはTricineなどがあげられる。これらの濃度は0.01mol/L〜0.5mol/Lが好ましく、より好ましくは0.02mol/Lである。また上記の塩は、0.001mol/L〜4mol/Lの塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムまたは硫酸アンモニウムなどの他の塩と組み合わせて用いることもできる。具体的には1mol/L塩化ナトリウムを含む20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)、1mol/L塩化ナトリウムを含む20mmol/Lトリス緩衝液(pH7.4)などがあげられる。
また、陰イオン交換クロマトグラフィ担体にアンチトロンビン含有水溶液を接触させ、該担体への非吸着画分から高純度のアンチトロンビンを得ることもできる。疎水クロマトグラフィ担体への接触条件は通常pH4〜10であり、好ましくはpH5〜9である。導電率は通常0.01〜100mS/cmであり、好ましくは0.1〜50mS/cmである。緩衝液は、例えば、リン酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、Tris(base)、HEPES、MES、PIPES、MOPS、TES、BicineまたはTricineなどがあげられる。これらの濃度は通常0.01mol/L〜0.5mol/Lであり、好ましくは0.02mol/Lである。また上記の塩は、0.001mol/L〜2mol/Lの塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムまたは硫酸アンモニウムなどの他の塩と組み合わせて用いることもできる。具体的には1mol/L硫酸アンモニウムを含む20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)、1mol/L硫酸ナトリウムを含む20mmol/Lトリス緩衝液(pH7.5)などがあげられる。
本陰イオン交換クロマトグラフィにより、不活性体、会合体、宿主細胞由来不純物、製造工程由来不純物などが除去された、高純度のアンチトロンビン組成物を得ることができる。また、該セルファインサルフェイトクロマトグラフィを行った後に陰イオン交換クロマトグラフィを行った場合であっても、アンチトロンビン組成物のα体またはβ体含有率、もしくはシアル酸結合数は維持される。
本発明において、アンチトロンビンの不活性体含有率は、疎水HPLC法[Protein Expression and Purification, 21, 149 (2001)]またはヘパリンHPLC法[Protein Expression and Purification, 33, 339 (2004)]などにより測定することができる。
本発明において、アンチトロンビンの会合体含有率は、ゲルろ過HPLC法、ポリアクリルアミドゲル電気泳動法、光散乱法または超遠心法などにより測定することができる。
本発明は、アンチトロンビン組成物が、糖鎖を有するアンチトロンビンからなる組成物であって、該組成物中に含まれるアンチトロンビンに結合する糖鎖1本あたり平均1個以上3個以下のシアル酸分子を有するアンチトロンビン組成物である、アンチトロンビン組成物の製造方法に関する。
また、本発明は、アンチトロンビン組成物が、糖鎖を有するアンチトロンビンからなる組成物であって、該組成物中に含まれるアンチトロンビン1分子あたり平均3個以上12個以下のシアル酸分子を有するアンチトロンビン組成物である、アンチトロンビン組成物の製造方法に関する。
本発明において、シアル酸結合数とは組成物を構成するアンチトロンビン1分子あたりに有するシアル酸分子の平均値をいう。アンチトロンビン1分子には糖鎖が3本または4本結合するため、糖鎖1本あたり0〜3個のシアル酸分子が結合した場合、シアル酸結合数は0個〜12個となる。
本発明により得られるアンチトロンビン組成物の糖鎖1本あたりのシアル酸分子の数は、好ましくは平均1個以上3個以下であり、より好ましくは平均1.5個以上2.5個以下である。また、本発明のアンチトロンビン組成物は、アンチトロンビン1分子あたり平均3個以上12個以下のシアル酸分子を有することが好ましく、アンチトロンビン1分子あたり平均6個以上8個以下のシアル酸分子を有することがさらに好ましい。
本発明において、糖鎖1本あたりのシアル酸分子の数は、以下の計算式により算出される。
(糖鎖1本あたりのシアル酸分子の数)=(シアル酸結合数)/[4×(α体含有率)+3×(β体含有率)]
本発明において、アンチトロンビンのシアル酸結合数は、蛍光HPLC法[Anal. Biochem., 164, 138 (1987)]またはレゾルシノール法などにより測定することができる。また、等電点電気泳動法、キャピラリー等電点電気泳動法などによりシアル酸結合数を測定することもできる。
以下、実施例により本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
アンチトロンビン含有水溶液の取得(1)
アンチトロンビンを生産するCHO細胞株(FERM BP−8472)をEX−CELLTM 302培地(エスエーエフシーバイオサイエンス社製)に、メトトレキセート(シグマ・アルドリッチ・ファインケミカル社製)500nmol/LおよびL−グルタミン(和光純薬工業社製)0.875g/Lを添加し、浸透圧を330mOsm/kg、pH7.1に調整した培地中、37℃にて2週間培養した。得られた培養液(20L)をデプスフィルター(キュノ社製、ゼータプラスマキシマイザー)に透過させることによりアンチトロンビン含有水溶液1を得た。
アンチトロンビン含有水溶液の取得(2)
アンチトロンビンを生産するCHO細胞株(FERM BP−8472)をEX−CELLTM 302培地(エスエーエフシーバイオサイエンス社製、添付説明書に記載されている濃度の1.3倍の濃度に調製)に、メトトレキセート(シグマ・アルドリッチ・ファインケミカル社製)500nmol/LおよびL−グルタミン(和光純薬工業社製)1.75g/Lを添加し、浸透圧を330mOsm/kg、pH7.1に調整した培地中、37℃にて2週間培養した。得られた培養液をデプスフィルター(キュノ社製、ゼータプラスマキシマイザー)に透過させることによりアンチトロンビン含有水溶液2を得た。
アンチトロンビン含有水溶液の取得(3)
アンチトロンビン含有水溶液1(6.2L)を、緩衝液(50mmol/Lトリス、14mmol/Lクエン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4)で平衡化したヘパリンカラム(GEヘルスケア社製 Heparin Sepharose 6 Fast Flow、カラム体積524mL、担体1mL当たりのアンチトロンビン組成物の負荷量4mg)に通過させ、アンチトロンビン組成物をカラムに吸着させた。カラムを緩衝液(50mmol/Lトリス、14mmol/Lクエン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4、10カラム体積)で洗浄した後、緩衝液(50mmol/Lトリス、14mmol/Lクエン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4)と緩衝液(2.5mol/L塩化ナトリウム、50mmol/Lトリス、14mmol/Lクエン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4)を用いた直線塩濃度勾配(10カラム体積)により溶出させ、アンチトロンビン含有水溶液3(3.68L)を得た。
アンチトロンビン含有水溶液の取得(4)
アンチトロンビン含有水溶液1(36.1L)を、限外ろ過膜(ミリポア社製、バイオマックス30)で1.65Lまで濃縮した後、精製水を6.6L加えた。これを緩衝液(20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0)で平衡化した陰イオン交換カラム(GEヘルスケア社製、Q Sepharose Fast Flow、カラム体積76mL)を通過させることによりアンチトロンビン組成物をカラムに吸着させた。カラムを緩衝液(20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0、5カラム体積)で洗浄した後、緩衝液(160mmol/L塩化ナトリウム、20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0、5カラム体積)で溶出し、アンチトロンビン含有水溶液4(505mL)を得た。
アンチトロンビン含有水溶液の取得(5)
アンチトロンビン含有水溶液1(1000mL)を、限外ろ過膜(ミリポア社製、バイオマックス30)を用いて200mLまで濃縮した。このうち150mLの濃縮液に精製水を200mL添加した。このうち310mLを緩衝液(50mmol/L塩化ナトリウム、20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0)で平衡化された陰イオン交換クロマトカラム(GEヘルスケア社製、Q Sepharose Fast Flow、カラム体積50mL)に通塔することにより、アンチトロンビンをカラムに吸着させた。カラムを緩衝液(50mmol/L塩化ナトリウム、20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0)で洗浄した後、緩衝液(220mmol/L塩化ナトリウム、20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0)で溶出し、アンチトロンビン含有組成物5を得た。
アンチトロンビン含有水溶液の取得(6)
アンチトロンビン含有水溶液1を限外ろ過膜(ミリポア社製、バイオマックス30)を用いて6倍濃縮した。シアル酸溶液(309.27g/L、pH7.0および緩衝液(TritonX−100およびリン酸トリブチルを含有する20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0)を添加した後、さらに精製水を添加して導電率を4.8mS/cmに調整した。この溶液を緩衝液(50mmol/L塩化ナトリウム、20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0)で平衡化された陰イオン交換クロマトカラム(GEヘルスケア社製、Q Sepharose Fast Flow)に通塔することにより、アンチトロンビン組成物をカラムに吸着させた。カラムを緩衝液(50mmol/L塩化ナトリウム、20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0)で洗浄した後、緩衝液(180mmol/L塩化ナトリウム、20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0)で溶出し、アンチトロンビン含有水溶液6を得た。
アンチトロンビン含有水溶液の取得(7)
アンチトロンビン含有水溶液1(650mL)を、限外ろ過膜(ミリポア社製、バイオマックス10)を用いて33mLまで濃縮した。このうち15.5mLに緩衝液(150mmol/L塩化ナトリウム、50mmol/Lトリス、14mmol/Lクエン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4)を23.2mL添加し、さらに緩衝液(3mol/L硫酸アンモニウム、20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4)を38.7mL添加した。遠心分離(15000rpm、15分間)し、上清を回収した。このうち74mLを緩衝液(1.5mol/L硫酸アンモニウム、20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4)で平衡化された疎水カラム[GEヘルスケア社製、Phenyl Sepharose 6 Fast Flow(high−sub)、カラム体積4mL]に通塔することにより、アンチトロンビン組成物をカラムに吸着させた。カラムを緩衝液(1.5mol/L硫酸アンモニウム、20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4)で洗浄した後、緩衝液(1.5mol/L硫酸アンモニウム、20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4)と緩衝液(20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4)を用い直線塩濃度勾配により溶出し、アンチトロンビン含有水溶液7を得た。
(実施例2)
セルファインサルフェイトクロマトグラフィによるアンチトロンビン組成物の調製1
実施例1で得られたアンチトロンビン含有水溶液4(アンチトロンビン組成物量:16.0mg)に緩衝液(200mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH5.5)および緩衝液(20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.0)を添加し、pH6.0、導電率6.1mS/cmに調整した。これを緩衝液(20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.0)で平衡化したセルファインサルフェイトmカラム(チッソ社製、カラム体積4mL)を通過させることによりアンチトロンビンを吸着させた。緩衝液(20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.0、5カラム体積)で洗浄した後、緩衝液(20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.0)と緩衝液(1mol/L塩化ナトリウム、20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.0)を用いた直線塩濃度勾配(10カラム体積)によりアンチトロンビン組成物を溶出させた。溶出液は、溶出開始時より2mLずつ均等に分画した。各フラクションのアンチトロンビン組成物量は逆相HPLC法[J. Chromatography B, 662, 209(1994)]、α体含有率はハイドロキシアパタイトHPLC法[Protein Expression and Purification, 28, 196 (2003)、特表2003−520806)]、シアル酸結合数は蛍光HPLC法[Anal. Biochem., 164,138,(1987)]を用いて測定した。その結果を表1に示した。
Figure 0004772905
表2に、表1に示した各溶出フラクションを混合することにより得られたアンチトロンビン組成物のα体含有率、α体回収率およびシアル酸結合数を示した。表2に示したように、例えばフラクション11〜17を混合することにより、α体含有率94.5%、シアル酸結合数6.33(糖鎖1本当たりのシアル酸分子の数1.61)のアンチトロンビン組成物をα体の回収率88.7%で得た。以上より、各溶出フラクションを混合することにより所望のα体含有率およびシアル酸結合数を有するアンチトロンビン組成物を高収率で得ることができる。
Figure 0004772905
次に、表3に、表1に示した溶出フラクションを混合することにより得られたアンチトロンビン組成物のβ体含有率、β体回収率およびシアル酸結合数を示した。表3に示したように、例えばフラクション18〜21を混合することにより、β体含有率90.6%、シアル酸結合数4.95(糖鎖1本当たりのシアル酸分子の数1.60)のアンチトロンビン組成物をβ体の回収率として84.9%で得られた。以上より、各溶出フラクションを混合することにより所望のβ体含有率およびシアル酸結合数を有するアンチトロンビン組成物を高収率で得ることができる。
Figure 0004772905
(実施例3)
セルファインサルフェイトクロマトグラフィによるアンチトロンビン組成物の調製2
実施例1で得られたアンチトロンビン含有水溶液4[アンチトロンビン組成物量:196mg(表4に示す精製例1)または117mg(表4に示す精製例2)]に、緩衝液(200mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH5.5)と緩衝液(1mol/L塩化ナトリウム、20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.0)を添加し、pHおよび導電率を調整した。緩衝液(20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.0、塩化ナトリウムを加えて導電率を調整)で平衡化したセルファインサルフェイトmカラム(チッソ社製、カラム体積20mL)に接触させ、非吸着画分を回収することにより、アンチトロンビン組成物を得た。非吸着画分のアンチトロンビン組成物量は逆相HPLC法[J.Chromatography B, 662, 209 (1994)]、α体含有率はハイドロキシアパタイトHPLC法[Protein Expression and Purification, 28, 196 (2003)、特表2003−520806]、シアル酸結合数は蛍光HPLC法[Anal. Biochem., 164, 138 (1987)]を用いて測定した。
表4に、アンチトロンビン含有水溶液の導電率と担体1mL当たりのアンチトロンビン組成物の負荷量、非吸着画分のα体含有率、シアル酸結合数およびα体回収率を示した。表4に示したように、アンチトロンビン含有水溶液の導電率と担体の単位体積当たりの負荷量を調整することにより、90%以上のα体含有率および糖鎖1本当たりのシアル酸分子の数が1.5以上のアンチトロンビン組成物を非吸着画分に高い回収率で得ることができた。
Figure 0004772905
(比較例1)
ヘパリンクロマトグラフィによるアンチトロンビン組成物の調製(1)
実施例1で得られたアンチトロンビン含有水溶液1(アンチトロンビン組成物量:17.7mg)を緩衝液(50mmol/Lトリス、14mmol/Lクエン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4)で平衡化したヘパリンカラム(GEヘルスケア社製、Heparin Sepharose 6 Fast Flow、カラム体積4mL)を通過させることにより、アンチトロンビン組成物をカラムに吸着させた。緩衝液(50mmol/Lトリス、14mmol/Lクエン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4、10カラム体積)で洗浄した後、緩衝液(50mmol/Lトリス、14mmol/Lクエン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4)と緩衝液(2.5mol/L塩化ナトリウム、50mmol/Lトリス、14mmol/Lクエン酸ナトリウム緩衝液、pH7.4)を用いた直線塩濃度勾配(10カラム体積)によりアンチトロンビン組成物を溶出した。溶出液は、溶出開始時より2mLずつ均等に分画した。各フラクションのアンチトロンビン組成物量は逆相HPLC法[J. Chromatography B, 662, 209 (1994)]、α体含有率はハイドロキシアパタイトHPLC法[Protein Expression and Purification, 28, 196 (2003)、特表2003−520806]、シアル酸結合数は蛍光HPLC法[Anal. Biochem., 164,138 (1987)]を用いて測定した。その結果を表5に示した。
Figure 0004772905
表6にα体を主に含む溶出フラクションを混合して得られたアンチトロンビン組成物のα体含有率、α体回収率およびシアル酸結合数を示した。表6に示したように、溶出フラクション10〜12を混合することにより、α体含有率93.0%、シアル酸結合数7.44(糖鎖1本当たりのシアル酸分子の数1.89)のアンチトロンビン組成物を調製することができたが、α体回収率は36.4%であった。
Figure 0004772905
また、表7にβ体を主に含む溶出フラクションを混合して得られたアンチトロンビン組成物のβ体含有率、β体回収率およびシアル酸結合数を示した。表7に示したように、溶出フラクション16から18を混合することにより、β体含有率86.7%、シアル酸結合数5.14(糖鎖1本当たりのシアル酸分子の数1.64)のアンチトロンビン組成物を調製することができたが、β体回収率は24.3%であった。
Figure 0004772905
(実施例4)
セルファインサルフェイトクロマトグラフィと疎水クロマトグラフィとの組合せによる高純度のアンチトロンビン組成物の調製(1)
実施例1で得られたアンチトロンビン含有水溶液4(アンチトロンビン組成物量:16mg)より、実施例2に示す方法と同様にしてアンチトロンビン組成物を調製した。セルファインサルフェイトクロマトグラフィにおいて得られた溶出フラクション11〜17を混合し、緩衝液(3mol/L硫酸アンモニウム、20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.7)を添加し、硫酸アンモニウムの終濃度が2mol/Lとなるように調整した。これを緩衝液(2mol/L硫酸アンモニウム、20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.8)で平衡化した疎水カラム[GEヘルスケア社製、Phenyl Sepharose(low−sub)、カラム体積4mL]に通過させることでアンチトロンビンをカラムに吸着させた。緩衝液(2mol/L硫酸アンモニウム、20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.8、3カラム体積)で洗浄した後、緩衝液(2mol/L硫酸アンモニウム、20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.8)と緩衝液(20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.8)を用い、直線塩濃度勾配(10カラム体積)により溶出し、アンチトロンビン組成物を得た。該組成物に含まれる不活性体含有率を疎水HPLC法[Protein Expression and Purification, 21, 149 (2001)]、会合体含有率をゲルろ過HPLC法により測定した。また、α体含有率をハイドロキシアパタイトHPLC法[Protein Expression and Purification, 28, 196 (2003)、特表2003−520806]、シアル酸結合数を蛍光HPLC法[Anal. Biochem., 164, 138 (1987)]を用いて測定した。その結果を表8に示した。表8に示したように、セルファインサルフェイトクロマトグラフィの吸着画分から得られたアンチトロンビン組成物に、さらに疎水クロマトグラフィを行うことにより、α体含有率およびシアル酸結合数を維持したまま、純度を向上させたアンチトロンビン組成物が調製された。
Figure 0004772905
(実施例5)
セルファインサルフェイトクロマトグラフィと疎水クロマトグラフィとの組合せによる高純度のアンチトロンビン組成物の調製(2)
実施例1で得られたアンチトロンビン含有水溶液4(アンチトロンビン組成物量:180mg)より、実施例3に示す方法(カラム体積:20mL、担体1mL当たりのアンチトロンビン負荷量:9mg、アンチトロンビン組成物の導電率:19.7mS/cm)と同様にして非吸着画分よりアンチトロンビン組成物を調製した。該画分に緩衝液(3mol/L硫酸アンモニウム、20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.7)を添加し、終濃度2mol/L硫酸アンモニウム溶液に調製した。これを緩衝液(2mol/L硫酸アンモニウム、20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.8)で平衡化した疎水カラム[GEヘルスケア社製、Phenyl Sepharose(low−sub)、カラム体積4mL]に通過させることによりアンチトロンビン組成物をカラムに吸着させた。緩衝液(2mol/L硫酸アンモニウム、20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.8、3カラム体積)で洗浄した後、緩衝液(2mol/L硫酸アンモニウム、20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.8)と緩衝液(20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.8)を用いた直線塩濃度勾配(10カラム体積)により溶出し、アンチトロンビン組成物を得た。該組成物に含まれる不活性体含有率を疎水HPLC法[Protein Expression and Purification, 21, 149 (2001)]、会合体含有率をゲルろ過HPLC法により測定した。また、α体含有率をハイドロキシアパタイトHPLC法[Protein Expression and Purification, 28, 196 (2003)、特表2003−520806]、シアル酸結合数を蛍光HPLC法[Anal. Biochem., 164, 138 (1987)]を用いて測定した。その結果を表9に示した。表9に示したように、セルファインサルフェイトクロマトグラフィの非吸着画分からで得られたアンチトロンビン組成物に、さらに疎水クロマトグラフィを行うことにより、α体含有率ならびにシアル酸結合数を維持したまま、純度を向上させたアンチトロンビン組成物が調製された。
Figure 0004772905
(実施例6)
セルファインサルフェイトクロマトグラフィと疎水クロマトグラフィとの組合せによる高純度のアンチトロンビン組成物の調製(3)
実施例1で得られたアンチトロンビン含有水溶液5(アンチトロンビン組成物量:76.0mg)に緩衝液(200mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH5.5)および緩衝液(20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.0)を添加し、pH6.0、導電率7mS/cm以下に調整した。本溶液を緩衝液(20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.0)で平衡化されたセルファインサルフェイトmカラム(チッソ社製、カラム体積19mL)に通過させることにより、アンチトロンビンをカラムに吸着させた。カラムを緩衝液(20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.0)で洗浄した後、緩衝液(20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.0)と緩衝液(1mol/L塩化ナトリウム、20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.0)を用いた直線塩濃度勾配により、アンチトロンビン組成物を溶出させた。溶出液は0.5カラム体積(9.5mL)ずつ均等に分画した。分画液5mLに対し1mLの割合で緩衝液(100g/Lグリシン緩衝液、pH9.0)を添加した。各分画液のアンチトロンビン組成物量は逆相HPLC法[J. Chromatography B, 662, 209 (1994)]、α体およびβ体含有率はハイドロキシアパタイトHPLC法[Protein Expression and Purification, 28, 196 (2003)、特表2003−520806]を用いて測定した。α体含量が90%以上となる画分を統合し、アンチトロンビン組成物Aとした。またβ体含量が85%以上となる画分を統合し、アンチトロンビン組成物Bとした。
得られたアンチトロンビン組成物A(アンチトロンビン量:8.0mg)に緩衝液(1.5mol/Lクエン酸ナトリウム、20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0)を添加し、終濃度1mol/Lのクエン酸ナトリウムを含む組成物に調製した。本溶液を緩衝液(2mol/L硫酸アンモニウム、50mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0)で平衡化された疎水カラム[GEヘルスケア社製、Phenyl Sepharose 6 Fast Flow(low−sub)、カラム体積4mL]に通過させることにより、アンチトロンビン組成物をカラムに吸着させた。カラムを緩衝液(2mol/L硫酸アンモニウム、50mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0)で洗浄した後、緩衝液(2mol/L硫酸アンモニウム、50mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0)と緩衝液(20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0)を用いた直線塩濃度勾配により溶出させ、アンチトロンビン組成物Cを得た。該組成物に含まれるアンチトロンビン組成物量を逆相HPLC法[J. Chromatography B, 662, 209 (1994)]、不活性体含有率を疎水HPLC法[Protein Expression and Purification, 21, 149 (2001)]、会合体含有率をゲルろ過HPLC法により測定した。また、α体含有率をハイドロキシアパタイトHPLC法[Protein Expression and Purification, 28, 196 (2003)、特表2003−520806]、シアル酸結合数を蛍光HPLC法[Anal. Biochem., 164, 138 (1987)]を用いて測定した。
(比較例2)
ヘパリンクロマトグラフィによるアンチトロンビン組成物の調製(2)
実施例1で得られたアンチトロンビン含有水溶液5(アンチトロンビン組成物量:74.0mg)に緩衝液(200mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH5.5)および緩衝液(20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.0)を添加し、pH6.0、導電率7mS/cm以下に調整した。本溶液を緩衝液(20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.0)で平衡化されたヘパリンカラム(GEヘルスケア社製、Heparin Sepharose 6 Fast Flow、カラム体積18.5mL)に通過させることにより、アンチトロンビンをカラムに吸着させた。カラムを緩衝液(20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.0)で洗浄した後、緩衝液(20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.0)と緩衝液(2.5mol/L塩化ナトリウム、20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.0)を用いた直線塩濃度勾配により、アンチトロンビン組成物を溶出させた。溶出液は0.5カラム体積(9.25mL)ずつ均等に分画した。分画液5mLに対し1mLの割合で緩衝液(100g/Lグリシン緩衝液、pH9.0)を添加した。各分画液のアンチトロンビン組成物量は逆相HPLC法[J. Chromatography B, 662, 209 (1994)]、α体およびβ体含有率はハイドロキシアパタイトHPLC法[Protein Expression and Purification, 28, 196 (2003)、特表2003−520806]を用いて測定した。α体含量が90%以上となる画分を統合し、アンチトロンビン組成物Dとした。またβ体含量が85%以上となる画分を統合し、アンチトロンビン組成物Eとした。
得られたアンチトロンビン組成物D(アンチトロンビン組成物量:8.0mg)に緩衝液(1.5mol/Lクエン酸ナトリウム、20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0)を添加し、終濃度1mol/Lのクエン酸ナトリウムを含む組成物に調製した。本溶液を緩衝液(2mol/L硫酸アンモニウム、50mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0)で平衡化された疎水カラム[GEヘルスケア社製、Phenyl Sepharose 6 Fast Flow(low−sub)、カラム体積4mL]に通過させることにより、アンチトロンビン組成物をカラムに吸着させた。カラムを緩衝液(2mol/L硫酸アンモニウム、50mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0)で洗浄した後、緩衝液(2mol/L硫酸アンモニウム、50mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0)と緩衝液(20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0)を用いた直線塩濃度勾配により溶出させ、アンチトロンビン組成物Fを得た。該組成物に含まれるアンチトロンビン組成物量を逆相HPLC法[J. Chromatography B, 662, 209 (1994)]、不活性体含有率を疎水HPLC法[Protein Expression and Purification, 21, 149 (2001)]、会合体含有率をゲルろ過HPLC法により測定した。また、α体含有率をハイドロキシアパタイトHPLC法[Protein Expression and Purification, 28, 196 (2003)、特表2003−520806]、シアル酸結合数を蛍光HPLC法[Anal. Biochem., 164, 138 (1987)]を用いて測定した。
アンチトロンビン含有水溶液5からセルファインサルフェイトクロマトグラフィを用いて調製されたα体含量90%以上であるアンチトロンビン組成物A、およびアンチトロンビン含有水溶液5からヘパリンクロマトグラフィを用いて調製されたα体含量90%以上であるアンチトロンビン組成物Dの結果を表10に示した。表10に示したように、セルファインサルフェイトクロマトグラフィを用いた方が、比較例2で示したヘパリンクロマトグラフィを用いた時に比べて、回収率が19.1%高かった。α体含有率およびシアル酸結合数は同程度であった。さらにセルファインサルフェイトクロマトグラフィを用いた方が、統合された溶出画分の体積を2/3に削減することができた。
Figure 0004772905
アンチトロンビン含有組成物5からセルファインサルフェイトクロマトグラフィを用いて調製されたβ体含量85%以上であるアンチトロンビン組成物B、およびアンチトロンビン含有組成物5からヘパリンクロマトグラフィを用いて調製されたβ体含量85%以上であるアンチトロンビン組成物Eの結果を表11に示した。表11に示したように、セルファインサルフェイトクロマトグラフィを用いた方が、比較例2で示したヘパリンクロマトグラフィを用いた時に比べて、回収率が7.0%高かった。β体含有率およびシアル酸結合数は同程度であった。結果を表11に示した。
Figure 0004772905
さらに、アンチトロンビン含有水溶液5からセルファインサルフェイトクロマトグラフィと疎水クロマトグラフィとを用いて調製されたアンチトロンビン組成物C、およびアンチトロンビン含有水溶液5からヘパリンクロマトグラフィと疎水クロマトグラフィとを用いて調製されたアンチトロンビン組成物Fの結果を表12に示した。表12に示したように、セルファインサルフェイトクロマトグラフィと疎水クロマトグラフィとを組み合わせて用いた方が、比較例2で示したヘパリンクロマトグラフィと疎水クロマトグラフィとを組み合わせて用いた時に比べて、アンチトロンビンα体組成物を12.1%高い回収率で得ることができた。α体含有率、シアル酸結合数、不活性体量および多量体含量は同程度であった。
Figure 0004772905
(実施例7)
セルファインサルフェイトクロマトグラフィと疎水クロマトグラフィとの組合せによる高純度のアンチトロンビン組成物の調製(4)
実施例1で得られたアンチトロンビン含有水溶液5(アンチトロンビン組成物量:226mg)に緩衝液(1.5mol/Lクエン酸ナトリウム、20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0)を添加し、終濃度1mol/Lのクエン酸ナトリウムを含む組成物に調製した。本溶液を緩衝液(2mol/L硫酸アンモニウム、50mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0)で平衡化された疎水カラム[GEヘルスケア社製、Phenyl Sepharose 6 Fast Flow(low−sub)、カラム体積23.7mL]に通過させることにより、アンチトロンビン組成物をカラムに吸着させた。カラムを緩衝液(2mol/L硫酸アンモニウム、50mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0)で洗浄した後、緩衝液(2mol/L硫酸アンモニウム、50mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0)と緩衝液(20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH7.0)を用いた直線塩濃度勾配により溶出させ、アンチトロンビン組成物を得た。該組成物に含まれるアンチトロンビン組成物濃度をUV法により測定した。
得られたアンチトロンビン組成物(アンチトロンビン組成物量:76mg)を、限外ろ過膜(ミリポア社製、バイオマックス10)を用いて10倍濃縮した後、10倍量の緩衝液(20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.0)を添加した。本操作を3回繰り返し、脱塩を行った(交換倍率:1000倍)。得られた脱塩された溶液を緩衝液(20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.0)で平衡化されたセルファインサルフェイトmカラム(チッソ社製、カラム体積19mL)に通過させることにより、アンチトロンビンをカラムに吸着させた。カラムを緩衝液(20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.0)で洗浄した後、緩衝液(20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.0)と緩衝液(1mol/L塩化ナトリウム、20mmol/Lリン酸ナトリウム緩衝液、pH6.0)を用いた直線塩濃度勾配により、アンチトロンビン組成物を溶出させた。溶出液は0.5カラム体積(9.5mL)ずつ均等に分画した。分画液5mLに対し1mLの緩衝液(100g/Lグリシン緩衝液、pH9.0)を添加した。各分画液のアンチトロンビン組成物量は逆相HPLC法[J. Chromatography B, 662, 209 (1994)]、α体およびβ体含有率はハイドロキシアパタイトHPLC法[Protein Expression and Purification, 28, 196(2003)、特表2003−520806]を用いて測定した。α体含量が90%以上となる画分を統合し、アンチトロンビン組成物Gとした。
実施例6で示したアンチトロンビン含有水溶液5からセルファインサルフェイトクロマトグラフィ−疎水クロマトグラフィの順で調製されたアンチトロンビン組成物C、およびアンチトロンビン含有水溶液5から疎水クロマトグラフィ−セルファインサルフェイトクロマトグラフィの順で調製されたアンチトロンビン組成物Gの結果を表13に示した。表13に示したように、疎水クロマトグラフィ−セルファインサルフェイトクロマトグラフィの順で調製したアンチトロンビン組成物Gの回収率、α体含量、シアル酸結合数および不活性体含量は、実施例6で示したセルファインサルフェイトクロマトグラフィ−疎水クロマトグラフィの順で調製したアンチトロンビン組成物Cと同程度であった。多量体含量はアンチトロンビン組成物Cの方が低かった。
Figure 0004772905
本発明を詳細に、また特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2007年4月2日出願の日本特許出願(特願2007−096179)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。
本発明により、アンチトロンビン含有水溶液より、所望のα体含有率またはβ体含有率を有する、アンチトロンビン組成物を製造することができる。

Claims (10)

  1. アンチトロンビン含有水溶液をセルファインサルフェイトクロマトグラフィ担体に接触させ、所望のα体またはβ体含有率を有するアンチトロンビン組成物を調製することを特徴とする、アンチトロンビン組成物の製造方法。
  2. アンチトロンビン含有水溶液をセルファインサルフェイトクロマトグラフィ担体に接触させ、該担体に吸着したアンチトロンビン組成物を溶出液の導電率を上げることにより溶出させ、該溶出液より所望のα体またはβ体含有率を有するアンチトロンビン組成物を調製することを特徴とする、アンチトロンビン組成物の製造方法。
  3. 導電率を調整したアンチトロンビン含有水溶液をセルファインサルフェイトクロマトグラフィ担体に接触させ、該担体への非吸着画分より所望のα体またはβ体含有率を有するアンチトロンビン組成物を調製することを特徴とする、アンチトロンビン組成物の製造方法。
  4. さらに陰イオン交換クロマトグラフィおよび/または疎水クロマトグラフィを行うことを含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の調製を行った後に、疎水クロマトグラフィを行う、請求項4に記載の方法。
  6. アンチトロンビン組成物が、糖鎖を有するアンチトロンビンからなる組成物であって、該組成物中に含まれるアンチトロンビンに結合する糖鎖1本あたり平均1個以上3個以下のシアル酸分子を有するアンチトロンビン組成物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. アンチトロンビン組成物が、糖鎖を有するアンチトロンビンからなる組成物であって、該組成物中に含まれるアンチトロンビンに結合する糖鎖1本あたり平均1.5個以上2.5個以下のシアル酸分子を有するアンチトロンビン組成物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  8. アンチトロンビンに結合している糖鎖が3本または4本である、請求項6または7に記載の方法。
  9. アンチトロンビン組成物が、糖鎖を有するアンチトロンビンからなる組成物であって、該組成物中に含まれるアンチトロンビン1分子あたり平均3個以上12個以下のシアル酸分子を有するアンチトロンビン組成物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  10. アンチトロンビン組成物が、糖鎖を有するアンチトロンビンからなる組成物であって、該組成物中に含まれるアンチトロンビン1分子あたり平均6個以上8個以下のシアル酸分子を有するアンチトロンビン組成物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
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