JPH11341990A - 高純度可溶性トロンボモジュリンの製造方法 - Google Patents

高純度可溶性トロンボモジュリンの製造方法

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JPH11341990A
JPH11341990A JP11077518A JP7751899A JPH11341990A JP H11341990 A JPH11341990 A JP H11341990A JP 11077518 A JP11077518 A JP 11077518A JP 7751899 A JP7751899 A JP 7751899A JP H11341990 A JPH11341990 A JP H11341990A
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練之 清水
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 血清由来物および抗体由来を実質的に含有し
ない高純度可溶性トロンボモジュリンを得るものであ
る。 【解決手段】 可溶性トロンボモジュリンを生産し得る
動物細胞を、血清成分を含有する培地を用いて培養し、
得られた該培養上清を、該可溶性トロンボモジュリンに
対する抗体と接触させた後、溶出させる工程により、精
製された該可溶性トロンボモジュリン溶液を、比伝導度
25〜34ms/cm、pH3〜4の条件下にて、陽イ
オン交換体と接触させ、素通り画分として該可溶性トロ
ンボモジュリンを取得する、血清由来物及び抗体由来物
を実質的に含有しない高純度可溶性トロンボモジュリン
の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、血清由来物及び抗体由
来物を実質的に含有しない高純度可溶性トロンボモジュ
リンの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】トロンボモジュリンはトロンビンによる
プロテインC活性化を促進する作用を有する物質として
従来より知られている。プロテインCは血液凝固線溶系
において重要な役割を演じているビタミンK依存性の蛋
白質であり、トロンビンの作用により活性化され、活性
型プロテインCとなる。活性型プロテインCは、生体内
で血液凝固系因子の活性型第V因子、および活性型第V
III因子を失活させ、また血栓溶解作用を有するプラ
スミノーゲンアクチベーターの産生に関与していること
が知られている〔鈴木宏治、医学のあゆみ、第125
巻、901頁(1983年)〕。トロンボモジュリン
は、このトロンビンによるプロテインCの活性化を促進
して抗血液凝固作用と血栓溶解作用を示す活性型プロテ
インCを大量に産生せしめるものである。従ってトロン
ボモジュリンは生体における抗血液凝固および血栓溶解
に大きく寄与するものである。
【0003】従来トロンボモジュリンの用途として、例
えば、心筋梗塞、血栓症(例えば、急性期又は慢性期の
脳血栓症、動脈又は静脈の急性又は慢性の末梢血栓症な
ど)、塞栓症(例えば、急性期又は慢性期の脳塞栓症、
動脈又は静脈の急性又は慢性の末梢塞栓症など)、末梢
血管閉塞症(例えば、バージャー病、レイノー病な
ど)、閉塞性動脈硬化症、心臓手術に続発する機能性障
害、移植臓器の合併症、血管内血液凝固症候群(DI
C)、狭心症、一過性脳虚血発作、妊娠中毒症、糖尿
病、肝VOD(Liver veno−occlusi
ve disease;劇症肝炎や骨髄移植後の肝静脈
閉塞症)、深部静脈血栓症(DVT;Deepveno
us thrombosis)等の疾患の治療および予
防に用いられることが期待されている。
【0004】ヒト由来のトロンボモジュリンは、血管内
皮細胞の細胞表面に存在する膜蛋白として見いだされて
いた[W.G.Owenら;J.Biol.Chem.
256、5532−5535(1981)]が、山本ら
はヒトトロンボモジュリン遺伝子のクローニングに成功
し(特開昭64−6219号公報)、遺伝子操作技術に
より、各種の組み換え型トロンボモジュリンを得ること
が可能となった。特に、膜結合部位のアミノ酸配列を除
去することにより調製されるトロンボモジュリンは、界
面活性剤の非存在下でも水に可溶性であり、医薬品への
利用において極めて好適なものと考えられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】医薬品への利用を考え
る前提として、トロンボモジュリンを、大量に、そして
より安価に取得する必要があることは言うまでもない
が、特に最近においては製造工程に由来する、異種の蛋
白質、特にウシ等の血清由来物やマウス等の抗体由来物
の安全性に及ぼす影響が指摘されている。(ICH Q
6B February 6,1998 p7及びp2
5) したがって、工業的レベルとして充分に効率的な、安全
性の高いトロンボモジュリンの製造方法の確立が望まれ
ていた。トロンボモジュリンをより増産せしめるため
に、細胞を高密度で培養する方法が一般的に採られる
が、通常の培地を用いて培養を行うと、細胞を高密度に
することが悪い影響を与えるためか、細胞当たり時間当
たりの生産速度(以下、比生産速度)が低下し、密度の
上昇による期待された生産性の向上が得られない問題点
があった。
【0006】また可溶性トロンボモジュリンを生産し得
る動物細胞、ことに遺伝子組換えによる形質転換体を用
いた動物細胞を用いて培養して増殖させ、トロンボモジ
ュリンを効率的に製造しようとする場合に、一般にウシ
血清成分等の添加が効果的であるが、そのため最終精製
品には通常微量の血清由来物が混入する。また血清由来
物等の不純物を効率的に除去し、純度を大幅に向上させ
る手段としてトロンボモジュリンに対する抗体をリガン
ドとするアフィニティークロマトグラフィーを用いるこ
ともできるが、この場合には更にクロマト担体から遊離
する抗体成分の混入のチェックが十分になされる必要が
あった。
【0007】これらの異種蛋白は基本的にヒトに対して
抗原性を有し、その混入は、医薬として投与した際に、
アナフィラキシー等の予期せぬ事態を引き起こす可能性
が指摘されるに至っている。また最近では特にウシ血清
成分中に含まれる、プリオンに由来するクロイツフェル
ト・ヤコブ病等の危険性も指摘されている(”Revi
sed Precautionary Measure
s to Reduce the Possible
Risk of Transmissionof Cr
eutzfeld−Jacob Disease by
Bloodand Blood Product”C
BER Memorandum 12/11/96,G
uidelines for Minimizing
the Risk of Transmitting
Agents Causing Spongiform
Encephalothy via Medicin
al Products”−CPMP Notes f
or Guidance 1992)。これら混入異種
蛋白は元々多成分の混合物であることから、工業的なト
ロンボモジュリン製造プロセスの中で、簡便な手法によ
り、それぞれを実質的に含有しないレベルまで除去する
ことは非常な困難を招いている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するため、先ず効率的な可溶性トロンボモジュリ
ンの製造を達成するために、種々の条件を鋭意検討した
結果、効率的かつ安定的な製造が可能である製造用培地
を見出すことに成功した。しかしながら、この効率的生
産条件においては、好ましくは血清成分の添加が必要で
あり、例えば主精製工程としてトロンボモジュリンに対
する抗体を担持させたアフィニティークロマトグラフィ
ーを用いても、最終的に得られるトロンボモジュリン精
製品中に混入する、微量の血清由来物を再現性良く除去
することが必ずしも容易ではなかった。また逆に抗体ア
フィニティークロマトグラフィーを用いると、担体から
遊離する抗体由来物の微量混入も容易に避けられる状況
にはなかった。
【0009】本発明者らは、これらの問題点を解決する
ために、先ず、通常の精製方法の単なる組み合わせによ
る解決を検討したが、非常に多段階の精製工程が必要と
なり、トロンボモジュリン活性の回収率が激減してしま
うという、相矛盾した課題に直面した。本発明者らは、
こうした課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発
明者らが見出した製造用培地によりトロンボモジュリン
の効率的かつ安定的な製造を行い、次いで該可溶性トロ
ンボモジュリンの精製工程において、最終的に混入する
血清由来物及び抗体由来物を、効率的にかつ再現性よ
く、非常に簡便に除去する方法を考案し、高純度可溶性
トロンボモジュリンを得ることを確認し、本発明を完成
するに至った。
【0010】即ち本発明は、高純度可溶性トロンボモジ
ュリンの製造方法において、(1)可溶性トロンボモジ
ュリンおよび血清成分を含有する未精製上清を得、
(2)得られた該上清を、該可溶性トロンボモジュリン
に対する抗体と接触させた後、溶出させる工程により、
精製された該可溶性トロンボモジュリン溶液を得、更
に、(3)得られた該可溶性トロンボモジュリンを、比
伝導度25〜34ms/cm、pH3〜4の条件下に
て、陽イオン交換体と接触させる工程において、素通り
画分として該可溶性トロンボモジュリンを取得する、こ
とを特徴とする血清由来物及び抗体由来物を実質的に含
有しない高純度可溶性トロンボモジュリンの製造方法を
提供するものである。
【0011】更にまた本発明は、下記の成分表1に記載
された成分から実質的になるトロンボモジュリンを効率
的に製造しうる培地に関する。
【0012】
【化4】
【0013】本発明でトロンボモジュリン(以下、トロ
ンボモジュリンをTMと略することがある)とは、トロ
ンビンによるプロテインC活性化を促進する作用を有す
る物質として定義される。ヒトTMについては、S.Y
amamotoら[国際公開番号WO88/0505
3]によりそのcDNAが取得され、そのcDNAによ
りコードされるシグナル配列を有する全長のアミノ酸配
列としては、575アミノ酸であり、このうちシグナル
配列は通常18アミノ酸と考えられており、したがっ
て、主たるマチュアーなペプチドとしては、557アミ
ノ酸が開示されている。また、このシグナル配列として
は、ヒトtPA(組織プラスミノーゲンアクチベータ
ー)のシグナルを始めとする多くの、ヒト由来、酵母由
来、大腸菌由来等の公知のシグナル配列を用いることも
できる。
【0014】本発明に記載された可溶性TMとしては、
界面活性剤の非存在下で水に可溶な可溶性TMが例とし
て挙げられる。可溶性の程度としては、界面活性剤の非
存在下の通常の蒸留水(中性)に簡単に溶解するもので
あればよく、例えば、1mg/ml以上、好ましくは3
mg/ml以上、特に好ましくは10mg/ml以上の
可溶性TMが例示される。本発明に記載された可溶性T
Mとしては、ヒトTMのアミノ酸配列を有する、または
その部分配列を有する可溶性ペプチドが好ましいが、ヒ
トTMとホモロジーの高い構造を有する可溶性ペプチド
も好ましい例として挙げられる。例えばヒトTMとアミ
ノ酸配列において60%以上のホモロジーを有するペプ
チドが好ましい例として挙げられ、さらに好ましくは7
0%以上または80%以上、特に好ましくは90%以上
のペプチドが例示される。本発明で記載された可溶性で
あるTMとしては、例えば上記全長アミノ酸配列から、
膜通過ドメイン及び細胞内ドメインを除去したTMが考
えられるが、好ましい配列として、498アミノ酸の構
造も本出願には記載されている。更にまた、TMの活性
を完全に表すことができ、かつ可溶性である好ましい配
列として、114アミノ酸(即ち、配列番号1の17−
130位のアミノ酸配列)の構造も指摘されており
[M.Zushiら;J.Biol.Chem.26
6、19886−19889(1991)]、TMの元
々の活性を保持している分子種としての114アミノ酸
の高ホモロジー変異物、またはこれら活性中心を含みか
つ可溶性であるペプチドもまた好ましい。しかしなが
ら、上記の114アミノ酸を完全に包含することなく若
干のアミノ酸の欠失、置換若しくは付加があってもトロ
ンボモジュリン本来の活性を程度の差はあれ保持するこ
とも大いに期待される。
【0015】またヒトTMの遺伝子には、多型性変異が
存在することが知られており、開始コドンから473番
目のアミノ酸残基に関してバリン(具体的には、配列番
号1の17−130位のアミノ酸配列を包含するペプチ
ド)[山本ら;特開昭64−6219号公報]とアラニ
ン(具体的には、配列番号2の17−130位のアミノ
酸配列を包含するペプチド)[D.Wenら;Bioc
hemistry 26、4350−4357(198
7)]の変異が存在するが、これらの変異はTM活性に
は無関係であり、また血栓症等の疾患とも無関係な変異
であることが明らかになっている[V.D.Varde
nら;Thrombosis andHaemosta
sis、65、511−513(1991)]ので、本
発明においては同等に扱うことができる。
【0016】したがって、例えば、配列番号1の17−
130位のアミノ酸配列、配列番号2の17−130位
のアミノ酸配列、及びそれらアミノ酸配列の1又は数個
のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配
列からなる群より選ばれたいずれかのアミノ酸配列を含
有するアミノ酸配列、およびそれをコードする遺伝子が
例示される。また、配列番号1の1−130位のアミノ
酸配列、配列番号2の1−130位のアミノ酸配列、配
列番号3の1−516位のアミノ酸配列、配列番号4の
1−516位のアミノ酸配列、及びそれらアミノ酸配列
の1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加され
たアミノ酸配列からなる群より選ばれたいずれかのアミ
ノ酸配列、およびそれをコードする遺伝子が好ましい例
として挙げられる。これらの種々のペプチドの製法の詳
細は、国際公開番号WO98/01153号に説明され
ている。
【0017】勿論本発明のTMは、上記の性質を有すれ
ば特に限定されず、例えば、糖鎖を含んでいても含まな
くてもよい。本発明に用いる可溶性トロンボモジュリン
および血清成分を含有する未精製上清としては、可溶性
トロンボモジュリンを生産し得る動物細胞を、血清成分
を含有する培地を用いて培養して調製された培養上清を
用いることが好ましい。
【0018】本発明に用いる可溶性TMを生産し得る細
胞としては、可溶性TMを生産し得る細胞であれば特に
限定されず、通常、動物細胞を意味し、ヒト由来の種々
の細胞やその他の動物由来の種々の細胞を用いることが
できる。上記のヒト由来の細胞としては、例えばヒト血
管内皮細胞、胎盤組織由来の合胞体細胞、ヒト肺ガン細
胞株であるA549細胞、巨核球系の細胞株であるMe
g−O1細胞等が例示される。また、その他の動物由来
の細胞としては、公知の細胞が知られており、後記する
各種の細胞が利用できる。
【0019】このような可溶性TMを生産し得る細胞を
本発明の製造方法に用いることのできるか否かは、例え
ば、ヒト由来の種々の細胞やその他の動物由来の種々の
細胞のTM活性やTMと反応する抗体との反応性を調べ
ることで、簡単に識別することが可能である。具体的に
は、スクリーニングしようとする細胞の培養上清や細胞
自体を、実施例1−(4)−a記載のトロンビンによる
プロテインC活性化を促進する活性の測定方法に準じて
スクリーニングし、TM活性の検出できた細胞を本発明
のTMを生産し得る細胞として選択する方法が例示され
る。また例えば細胞の培養上清や細胞の抽出物を実施例
1−(4)−cに記載のELISAに準じて、TMを検
出し、求める細胞を選択することや、また、細胞自体を
免疫染色することにより検出する事も可能である。
【0020】また、本発明の未精製上清としては、細胞
の膜上に発現された全長TMを抽出し、例えばエラスタ
ーゼのようなプロテアーゼ処理により容易に可溶性TM
となった培養液、抽出液を利用することができる。本発
明で、可溶性TMを生産し得る細胞として特に好ましい
細胞は、可溶性TMをコードする遺伝子(DNA配列)
を導入して調製された形質転換体である。本発明で可溶
性TMをコードする遺伝子としては、上記で説明した可
溶性TMをコードすることができる遺伝子であれば特に
限定されず、種々のDNA配列が含まれるが、これらは
公知の方法に準じて調製することができる。例えば、こ
のような可溶性TMをコードする遺伝子、およびその調
製法は、国際公開番号WO88/05053号等の公知
文献に詳しく記載されている。最も簡便には、国際公開
番号WO88/05053号の実施例1−(1)に記載
されたpSV2TMJ2〔ATCC寄託番号第6728
3号、またEscherichia coliDH5/
pSV2TMJ2として再度寄託(FERM BP−5
570)を利用することにより、簡単に調製することが
でき、遺伝子操作の常法にしたがって、種々の欠落、変
異、付加、置換等の変異物の可溶性TMをコードする遺
伝子が調製しえる。また、特開平5−213998号公
報の実施例1記載の方法を参考に調製することもでき
る。これらの可溶性TMをコードするDNA配列は、少
なくとも実質的に可溶性TMをコードするDNA配列を
用いればよいが、通常は、シグナル配列をコードする塩
基配列を含めて用いることが好ましい。シグナル配列と
しては、配列番号3の1−18または1−16のアミノ
酸配列をコードする塩基配列が例示される。即ち、実質
的にTMをコードするDNA配列として、具体的には、
例えば、配列番号1ないし4のDNA配列を導入するこ
とが好ましい例として挙げられる。
【0021】可溶性TMをコードするDNA配列を宿主
細胞へ導入する場合には、好ましくは前記可溶性TMを
コードするDNA配列を、ベクター、特に好ましくは、
動物細胞において発現可能な発現ベクターに組み込んで
導入する方法が挙げられる。発現ベクターとは、プロモ
ーター配列、mRNAにリボソーム結合部位を付与する
配列、発現したい蛋白をコードするDNA配列、スプラ
イシングシグナル、転写終結のターミネーター配列、複
製起源配列などで構成されるDNA分子であり、好まし
い動物細胞発現ベクターの例としては、R.C.Mul
liganら[Proc.Natl.Acad.Sc
i.U.S.A.78,2072(1981)]が報告
しているpSV2−Xや、P.M.Howleyら[M
ethodin Emzymology,101,38
7,Academic press(1983)]が報
告しているpBP69T(69−6)などが挙げられ
る。
【0022】また、本発明の製造方法に使用できる、可
溶性TMを生産し得る細胞を、より高生産な細胞とする
ための処理を行なうことも可能であって、例えば、メト
トレキセイト(MTX)耐性を与えるジヒドロ葉酸還元
酵素(DHFR)をコードするDNA配列を細胞に導入
してMTX耐性株を取得する方法や、又はDHFRをコ
ードするDNA配列とTMをコードするDNA配列とを
共に宿主細胞に導入した形質転換体より、MTX耐性株
を取得する方法が例示される。DHFRとは、2経路あ
るDNA合成系のうち、プリン、チミジル酸、グリシン
のde novo合成に必要なテトラヒドロ葉酸を生成
する酵素である。CHO細胞DHFR欠損株ではDNA
合成はde novo経路に欠陥があるため、残存する
サルベージ経路を通してのみ成される。従って、その生
育にプリン、チミジル酸、グリシンを必要とする。プリ
ン等が含まれない培地を用いれば、DHFR欠損株は死
滅し、DHFRを保有する細胞のみが選択され選択マー
カーとなりうる。また、MTXはDHFRの阻害剤であ
り、細胞DNA合成を阻害し細胞を死滅させる。細胞の
MTX耐性獲得の機構としては、G.A.Fische
rら[Biochem.Pharmcol.11,12
33−1237(1962)]の報告しているMTXの
細胞内移送の低下、W.F.Flintoffら[Ce
ll,2,245−262,(1976)]の報告して
いるMTXに対する親和性の低下したDHFR変異体、
R.T.Schimkeら[Science,202、
1051(1978)]の報告しているDHFR遺伝子
の増幅によるものであるが、本発明において好ましいの
は、遺伝子増幅を起こすDHFR遺伝子であり、そのよ
うなDHFR遺伝子であれば、ヒト、サル、ウシ、ウサ
ギ、ハムスター、ラット、マウス等いずれの種由来のD
HFRでも良いが、好ましくは、A.C.Y.Chan
gら[Nature,275、617−624(197
8)]やJ.H.Nunbergら[Cell,19,
355−364(1980)]によりその配列が明らか
にされたマウスのDHFR遺伝子である。DHFRをコ
ードするDNA配列を用いる場合には、実質的にDHF
RをコードするDNA配列のみを含むDNAを用いても
よいが、好ましくは、動物細胞において発現可能な発現
ベクターに組み込んで用いる方法が挙げられ、例えば、
pSV2DHFR(ATCC37146)等の動物細胞
においてマウスDHFRを発現する発現ベクターが挙げ
られる。
【0023】可溶性TMをコードするDNA配列を宿主
細胞へ導入するに際して、可溶性TMをコードする発現
ベクターと、DHFRをコードする発現ベクターとによ
り共形質転換した動物細胞を得る。形質転換とは、DN
Aを細胞の貪食能や強制的方法により細胞に取りこま
せ、プラスミド状態あるいは、染色体に組み込まれた状
態でDNAの形質を発現させることである。リン酸カル
シウム法、DEAE−デキストラン法、プリッキング
法、プロトプラスト融合法、電気窄孔法などのいずれの
方法でも導入することできが、特に好ましくは、M.W
iglerら[Cell,14,725(1978)]
によるリン酸カルシウムとDNAの複合体を細胞に導入
する方法である。この際のDNAの形状は前述の通り、
環状DNAであってもよいし、線状DNAであってもよ
い。
【0024】宿主として用いられる動物細胞としては、
VERO細胞、Hela細胞、チャイニーズハムスター
(CHO)細胞、W138、BHK、ハムスターAV−
12−664細胞などや、ヒト293細胞などが挙げら
れる。好ましくは、CHO細胞、更に好ましくは、L.
H.Grafら[Molec.Cell Biol.
2,93ー96(1982)]の報告しているCHO−
DXB11株等のDHFR欠損株が例示される。
【0025】このようにして得られた共形質転換された
細胞は、MTX濃度の漸増する濃度条件下で選択され
る。MTXの漸増を行うに際しては、連続的にまたは、
段階的に行なえばよいが、通常は、段階的が好ましい。
MTXの濃度の範囲は、通常20nM〜100mM、好
ましくは、20nM〜10mMである。MTXによる選
択に先立ち、MTX非添加培地による予備選択と、後記
の比生産速度を指標にしてTM生産性の確認を行っても
よいし、最初からMTX添加培地により選択した後に、
TM生産性の確認を行ってもよい。高生産細胞を得るた
めには、MTXの濃度は、初期濃度の3〜5倍づつ増加
させ、段階はできるだけ多く行なうのが好ましいが、少
なくとも、5段階以上行うことが好ましい。さらに、各
段階でTMの比生産速度を調べながら行なうのが好まし
い。
【0026】かくして、本発明の製造方法に使用でき
る、可溶性TMを生産し得る細胞を取得することができ
る。本発明の可溶性TM製造用培地において、血清と
は、特に限定されないが、通常、動物の血清、好ましく
は牛の胎児、新生児、仔牛、成牛の血清が挙げられる。
また血清に代わる増殖因子としては、アルブミン、イン
シュリン、トランスフェリン、エタノールアミン、亜セ
レン酸ナトリウムのいずれか、もしくはそれらの混合物
が挙げられる。血清と増殖因子のいずれを用いるかにつ
いては、用いるTMを生産し得る細胞の性質に応じて適
宜選択することができる。すなわち、血清非存在下でT
M生産細胞が増殖性を示す場合は、血清のみ、増殖因子
のみ、または、血清と増殖因子の両者を用いる各方法を
選択することができる。また、血清非存在下でTM生産
細胞が増殖性を示さない場合は、血清のみ、または、血
清と増殖因子の両者を用いる各方法を選択することがで
きる。血清か増殖因子のいずれか一方か、または混合物
を用いるかにより、これらの添加量は適宜決定できる
が、通常は、血清の場合には、2〜10%(v/v)が
例示され、増殖因子の場合には、例えば、アルブミンは
約3mg、インシュリンは約5mg、トランスフェリン
は約5mg、エタノールアミンは約2μM、亜セレン酸
ナトリウムは約20nMが例示される。
【0027】本発明の可溶性TM製造用培地は、上記成
分表1に記載の各成分から実質的になればよいが、成分
表1に記載されたもののほか、通常、タイロシン、ゲン
タマイシン、カナマイシン等の抗生物質を追加すること
も特に妨げられない。本発明の可溶性TM製造用培地の
pHは、細胞の培養を妨げない程度であれば特に限定さ
れないが、通常はpH6〜8、好ましくはpH7付近が
例示される。
【0028】本発明の可溶性TM製造用培地である前述
の成分表1に記載された成分から実質的になる培地は、
該培地の成分の組成比率が下記の成分表2に記載の組成
比率であることがさらに好ましい例として挙げられる。
【0029】
【化5】
【0030】成分表2の組成比率として記載された数値
の誤差範囲として、通常10%、好ましくは5%程度が
挙げられる。なお、水分は適宜調整してもよい。本発明
の可溶性TM製造用培地として、上記の成分表2に記載
の組成比率の以外の該培地の成分の組成比率も選択する
ことができ、その場合には、下記のスクリーニング方法
により、他の適宜の組成比率を検討することができ、可
溶性TMを生産し得る細胞や培養条件等によって、好ま
しい培地組成比率を選択することができる。
【0031】〔培地成分の組成比率に関するスクリーニ
ング方法〕様々に成分比率を変えたスクリーニングすべ
き培地へ、遠心分離した、可溶性TMの製造を予定して
いる細胞を必要数懸濁し、細胞培養用ディッシュへ分注
し、炭酸ガスインキュベーターで1日〜3日間培養をす
る。比生産速度を測定する場合には、前述の測定法によ
るTM活性の測定と、生細胞密度の測定を、培養1、
2、3日目の培地上清に関して行い、比生産速度(細胞
当たり時間当たりの生産速度)を算出する。TMの最終
濃度を指標とする場合には、3日間培養後のTM濃度
と、生細胞密度を測定する。
【0032】本発明において、上述の可溶性TM製造用
培地を用いて、TMを生産し得る細胞の製造のための培
養を行なうに際しては、公知の方法にて行なえばよく、
選択したTMを生産し得る細胞の性質に応じて適宜の条
件を選択できる。例えば、細胞の接着依存の性質、即
ち、付着細胞または浮遊細胞によって、付着細胞であれ
ば、付着担体としてセファロース、セルロース、ガラ
ス、ゼラチン、ポリスチロールそしてポリエチレンなど
からできたマイクロキャリアーや、マルチトレイ、ロー
ラーボトル、中空糸などを用いることができる。培養環
境条件は細胞の性質に応じて選択でき、例えば、温度3
0℃〜40℃、好ましくは37℃付近、撹拌が必要な場
合では20〜200rpm、好ましくは80rpm付
近、溶存酸素濃度(DO)は水の空気飽和に対し約3%
〜90%、好ましくは50%付近、pHは6〜8、好ま
しくは7付近に調節される例が挙げられる。また培養環
境条件を一定に保つため必要な培養液の混合方法とし
て、自然対流の静置型、撹拌羽根による撹拌型、通気に
よるエアリフト型または循環ポンプや撹拌機による流動
床型などが挙げられる。
【0033】本発明においては、可溶性TMを製造する
ための培養において、本発明の可溶性TM製造用培地を
用いるが、細胞を増殖させる工程においては、他の培地
を使用してもよいが、本発明の可溶性TM製造用培地を
細胞の増殖からTMの製造のための培養に一貫して使用
することも好ましい。細胞の増殖のために他の培地を用
いる場合には、他の培地としては公知の各種培地が使用
でき、例えば、血清そしてまたは増殖因子を添加したD
MEMなどが例示される。増殖せしめる細胞は、凍結保
存されていることも多く、このような細胞においては、
37℃の恒温槽で素早く融解し、適宜の培地に懸濁し遠
心分離し、遠心後、上清は吸引除去し新鮮培地で懸濁
し、スピンナーフラスコや細胞培養用ディッシュなどの
培養容器に移し培養を行なうとよい。
【0034】細胞の増殖中の培地交換頻度は、1日〜6
日たびに1培養量相当の上清を連続的もしくは間欠的に
除き、除去した上清と等量の新鮮培地を連続的もしくは
間欠的に添加し培地交換を行なうことができる。そして
可溶性TMを製造するための培養に必要な細胞密度に達
した後、好ましくは飽和密度に達した後、1日〜3日た
びに好ましくは毎日1培養量相当の上清を連続的もしく
は間欠的に除き、上清除去と等量の新鮮培地を連続的も
しくは間欠的に添加し培地交換を行なうことができる。
【0035】また培地交換を実施せずに可溶性TMを製
造するための培養においては、適当な期間培養し、好ま
しくは最大の累積生産性になるまで培養し、その培養液
全てを目的産物を含む培養物として収穫することができ
る。培養上清の回収方法としてはバッチ式、繰り返しバ
ッチ式または連続式などが挙げられ、細胞と培養上清の
分離として、重力沈降、遠心分離、膜分離が挙げられ
る。可溶性TMを含有する培養上清を以後の精製工程に
用いる。これらの培養上清を保存する場合には、例え
ば、10℃から−80℃にて保存することが例示され
る。
【0036】次いで上記により取得された培養上清から
の可溶性TMの精製方法は、通常用いられる手法〔堀尾
武一編集;蛋白質・酵素の基礎実験法〕に準じて行なう
ことができる。例えば、可溶性TMと逆の電荷を持つ官
能基を固定化したクロマトグラフィー担体と、可溶性T
Mの間の相互作用を利用したイオン交換クロマトグラフ
ィーの使用も好ましい。また、可溶性TMの分子量サイ
ズを利用した、ゲル濾過クロマトグラフィーや限外濾過
が挙げられる。そしてまた、疎水性基を固定化したクロ
マトグラフィー担体と、可溶性TMのもつ疎水性部位と
の間の疎水結合を利用した疎水性クロマトグラフィーが
挙げられる。これらの手法は適宜組み合わせることがで
きる。また更に、主精製工程としては、可溶性TMとの
特異的親和性を利用したアフィニティークロマトグラフ
ィーが好ましい例として挙げられる。吸着体の好ましい
例として、TMのリガンドであるトロンビンや可溶性T
Mの抗体を利用する例が挙げられる。これらの抗体とし
ては、適宜の性質、或いは適宜のエピトープを認識する
可溶性TMの抗体を利用することができ、例えば、特公
平5−42920号公報、特開昭64−45398号公
報、特開平6−205692号公報などに記載された例
が挙げられる。精製の程度は、使用目的等により選択で
きるが、例えば電気泳動、好ましくはSDS−PAGE
の結果が単一バンドとして得られるか、もしくは単離精
製品のゲル濾過HPLCまたは逆相HPLCの結果が単
一のピークになるまで純粋化することが望ましい。
【0037】しかしながら可溶性TMを医薬用途として
用いるためには、上記の通常用いられる精製手法を単に
組み合わせただけの精製工程では、安全性の面で問題を
有する可能性のある夾雑蛋白質を実質的に含有しないレ
ベルまで除去することは困難である。こうした問題を有
する混入蛋白質としては、細胞培養による増殖、可溶性
TM産生のために用いられる培地成分中に含まれる例え
ばウシの血清成分、生産基材である細胞として例えばC
HO細胞を用いた場合にはチャイニーズハムスター由来
の成分、更には主精製に抗体アフィニティーカラムを用
いた場合には、例えばマウス抗TM抗体成分といった異
種蛋白があげられる。これらの異種蛋白は基本的にヒト
に対して抗原性を有し、その混入は、医薬として投与し
た際に、アナフィラキシー等の予期せぬ事態を引き起こ
しかねない。また最近では特にウシ血清由来物中に含ま
れる、プリオンに由来するクロイツフェルト・ヤコブ病
の危険性も指摘されている。これら混入異種蛋白は元々
多成分の混合物であることから、工業的な可溶性TM製
造プロセスの中で、簡便な手法によりそれぞれを実質的
に含有しないレベルまで除去することは非常な困難を招
いている。
【0038】精製法を具体的に例示すれば、TM活性、
例えばトロンビンによるプロテインC活性化の促進活性
を指標に精製する方法が挙げられ、例えばイオン交換カ
ラムのQ−セファロースFFで培養上清を粗精製しTM
活性を有する画分を回収し、ついでアフィニティーカラ
ムのマウス抗TMモノクローナル抗体で精製し、TM活
性が強い画分を回収し、回収画分を濃縮し、ゲルろ過に
かけTM活性画分を取得する精製方法[五味ら;Blo
od、75、1396−1399、1990]が挙げら
れる。この際抗TM抗体カラムによる精製の後、本発明
による陽イオン交換体、好ましくは強陽イオン交換体で
ある、スルホプロピル基を有する陽イオン交換体、例え
ばSP−セファロースFF(ファルマシア社)を最適な
条件下で用いることにより、培地由来のウシ血清由来物
及びマウス抗体由来物を1工程で同時に除去し、簡便に
高純度なTMを取得することが可能である。
【0039】好ましい精製法を例示すると以下の通りで
ある。可溶性TMと良好な吸着条件を有する適当なイオ
ン交換樹脂を選定し、イオン交換クロマト精製を行な
う。特に好ましい例としては、0.18M NaClを
含む0.02Mトリス塩緩衝液(pH7.4)で平衡化
したQ−セファロースFFを用いる方法である。適宜洗
浄後、例えば0.3M NaClを含む0.02Mトリ
ス塩酸緩衝液(pH7.4)で溶出し粗精製品の可溶性
TMを得ることができる。
【0040】次に、例えば可溶性TMと特異的親和性を
持つ物質を樹脂に固定化しアフィニティークロマト精製
を行なうことができる。好ましい例としてDIP−トロ
ンビン−アガロースカラムの例と、抗TMモノクローナ
ル抗体カラムの例が挙げられる。DIP−トロンビン−
アガロースカラムは、予め、例えば、100mM Na
Cl及び0.5mM塩化カルシウムを含む20mMトリ
ス緩衝液(pH7.4)で平衡化せしめ、上記の粗精製
品をチャージして、適宜の洗浄を行い、例えば、1.0
M NaCl及び0.5mM塩化カルシウムを含む20
mMトリス緩衝液(pH7.4)で溶出し精製品のTM
を取得することができる。また抗TMモノクローナル抗
体カラムにおいては、予めCNBrにより活性化したセ
ファロース4B(ファルマシア社)に、抗TMモノクロ
ーナル抗体を溶解した0.5MNaCl含有0.1M
NaHCO3 緩衝液(pH8.3)に接触させ、セファ
ロース4Bに抗TMモノクローナル抗体をカップリング
させた樹脂を充填したカラムを、予め例えば1.0M
NaCl含む20mMりん酸緩衝液(pH7.3)で平
衡化し、適宜の洗浄の後、例えば、0.3M NaCl
含む100mMグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)にて
溶出せしめる方法が例示される。
【0041】次に得られた上記精製可溶性トロンボモジ
ュリン溶液を、塩濃度、pHの測定精度及びTMの分子
種にもよるが、通常例えば比伝導度25〜34ms/c
m、pH3〜4の条件下にて平衡化せしめた、陽イオン
交換体、好ましくは強陽イオン交換体であるSP−セフ
ァロースFF(ファルマシア社)にチャージする。上記
の比伝導度としては、30±3ms/cmが、より好ま
しく、またpHはpH3.0〜3.7が好ましく、さら
に好ましくはpH3.5±0.1の条件が例示される。
これらの条件は、適当な濃度の塩を添加した緩衝液を使
用することが好ましく、種々の態様が考えられるが、例
えば0.25〜0.32M、好ましくは0.3±0.0
1Mの食塩を含む50〜150mMのpH3〜4の緩衝
液が例示される。緩衝液の種類としては特に限定されな
いが、例えば、グリシン−塩酸、クエン酸−リン酸2ナ
トリウム、クエン酸−クエン酸ナトリウム、酢酸−酢酸
ナトリウムが例示される。上記の条件をさらに具体的に
示せば、300mM NaClを含む100mMグリシ
ン塩酸緩衝液(pH3.5)が例示される。比伝導度
は、例えば、ポータブル伝導度計(東亜電波工業社製、
PシリーズCM−11P、換算基準温度25度)により
簡単に測定することができる。
【0042】上記のカラムを例えば300mM NaC
lを含む100mMグリシン塩酸緩衝液(pH3.5、
比伝導度31ms/cm)で洗浄を開始し、素通り画分
の吸光度280nmのピーク立ち上がりから立ち下がり
までの素通り画分を得、適当な緩衝液で中和し、血清由
来物及び抗体由来物を実質的に含有しない程度まで精製
された可溶性TMを高純度精製品として取得することが
できる。後記する通り、このカラムを使用すると血清由
来物や抗体由来物を効率および再現性よく除去できるこ
とが確認される。勿論、これらは、適宜限外濾過により
濃縮することができる。
【0043】さらに、ゲル濾過による緩衝液交換を行な
うことも好ましい。例えば、50mM NaClを含む
20mMりん酸緩衝液(pH7.3)で平衡化せしめた
Sepahcryl S−300カラムもしくはS−2
00カラムに、限外濾過により濃縮した高純度精製品を
チャージし、50mM NaClを含む20mMりん酸
緩衝液(pH7.3)で展開分画し、トロンビンによる
プロテインCの活性化の促進活性の確認を行ない活性画
分を回収し緩衝液交換した高純度精製品を取得すること
ができる。
【0044】目標とする純度が得られ、さらに緩衝液交
換された可溶性TM高純度精製品は、凍結乾燥を行い製
剤化することができる。例えば、配列番号3に記載のア
ミノ酸配列をコードする遺伝子を導入して得られる形質
転換体より取得される可溶性トロンボモジュリンの凍結
乾燥方法は、特開平6−321805号公報に記載の方
法に従い実施できる。製剤化した可溶性TMは遮光条
件、例えば暗室、箱、褐色ビンのなかで保存することが
できる。
【0045】公知の通常の培地、例えば、大量培養に好
んで用いられるダルベッコ改変イーグル培地(以下DM
EM)では、細胞の高密度化にともない、時間当たり細
胞当たりのTMの生産速度(以下、比生産速度)が著し
く低下するのに対して、本発明の可溶性TM製造用培地
によれば、効率的に可溶性TMの生産が行われ、極めて
好ましい結果を与えた。
【0046】
【発明の実施の態様】以下実施例によって、本発明をよ
り具体的に説明するが、本発明は何らこれらによって限
定されるものではない。
【0047】実施例1 細胞の作製 (1)プラスミドpSV2TMD123の構築 国際特許出願(国際公開番号WO88/05053)の
実施例1−(1)に記載されたpSV2TMJ2〔AT
CC寄託番号第67283号、またEscherich
ia coli DH5/pSV2TMJ2として再度
寄託している(FERM BP−5570)〕をNco
Iで完全消化した後、切断末端をE.coliDNAポ
リメラーゼを用いて平滑末端にした。次いでHindII
I で完全消化して約1900bpのDNA断片を得た。
得られたDNA断片をTMJ3と称した。一方、ファー
ジM13mp19(宝酒造製、日本、カタログ番号31
19)をHindIII 及びHincIIで消化してベクタ
ーを調製した。このベクターにDNA断片TMD3を挿
入して組換え体プラスミドM13mp19TMJ3を得
た。
【0048】また別途、下記に示す削除用DNAプロー
ブ〔以下“ディリーター(deleter)”と称す
る〕を有機合成した:5’−GGAGGCCGCTCA
GCCCGAATGCACG−3’(25mer、(配
列表5)。この合成ディリーターをTMDと称した。こ
のようにして作成したディリーターTMDを用い、メソ
ッド イン エンザイモロジー(Method in
Enzymology)、第100巻、468頁、(1
983年)、アカデミックプレス(Academic
Press)に記載の方法に従って部位特異的変異の手
法で前記の如く得られた組換え体プラスミドM13mp
19TMJ13の177塩基からなる部分の削除を行っ
た。即ち、25pmolのディリーターTMDおよび1
0pmolのM13プライマーM3(ユニバーサルプラ
イマー、宝酒造製、カタログ番号3831)の5′末端
をT4 キナーゼを用いてリン酸化した後、0.5pmo
lの組換え体プラスミドM13mp19TMJ3のシン
グルストランドDNAを加え、95℃で5分間加熱後、
室温にまで冷却した。
【0049】次いで5単位のE.coli DNAポリ
メラーゼI(Klenow Fragment)、及び
10単位のT4 DNAリガーゼを混合物に加えて37℃
で30分間インキュベートして混合物中に組換え体プラ
スミドを生成させた。得られた混合物を大腸菌(E.c
oli)JM105(ファルマシア社製、スウェーデ
ン、カタログ番号27−1550)に加えた。それによ
って、この大腸菌を組換え体プラスミドでトランスフェ
クションした。37℃で一夜培養して生じた寒天培地上
のプラークをニトロセルロースフィルターに移しとり、
80℃で2時間加熱後、プレハイブリダイゼーションを
行った。プレハイブリダイゼーションは6×SET
〔0.9M NaCl、180mMトリス緩衝液(pH
8.0)、6mM EDTA〕、5×Denhart
s’〔0.1%(w/v)フィコール(Ficol
l)、0.1%(w/v)ポリビニルピロリドン、0.
1%(w/v)、ウシ血清アルブミン(BSA)〕、
0.1%SDS,100μg/ml変性サケ精子DNA
を含む溶液中で55℃、2時間加温することにより実施
した。
【0050】次いで、上記の溶液中の変性サケ精子DN
Aのかわりに32PでラベルしたTMDを加えた溶液を用
いてハイブリダイゼーション反応を55℃、2時間実施
した。次いで6×SSC(0.9M食塩、0.09Mク
エン酸三ナトリウムの水溶液)を用いてニトロセルロー
スフィルターを洗浄した。洗浄は室温で、5分間、2回
洗った後、55℃、65℃、75℃、と段階的に温度を
上げていって、それぞれ5分間2回ずつ洗った。X線フ
ィルムXAR−5(イーストマン コダック社製、米
国)を得られたニトロセルロースフィルターに密着させ
て−80℃、一夜露出させたところ、X線フイルム上に
強く露光した黒いスポットが数10個検出された。各ス
ポットは組換え体プラスミドで感染したクローンに対応
するものである。そのうち、6クローンを選択し、各ク
ローンの組換え体プラスミドを単離して制限酵素解析、
及び塩基配列の解析を行ったところ、これらのクローン
の保有する組換え体プラスミドは制限部位と塩基配列が
それぞれ同一であることがわかった。得られた組換え体
プラスミドをM13TMD123と称した。さらにこの
組換え体プラスミドM13TMD123は、配列表5に
示した開始コドン(ATG)から始まる516個のアミ
ノ酸からなるヒトトロンボモジュリンをコードする塩基
配列を含む塩基配列を含有するDNA断片を有すること
がわかった。この組換え体プラスミドM13TMD12
3に含まれるDNA断片をTMD123と称した。
【0051】この組換え体プラスミドM13TMD12
3をHindIIIおよびBamHIで完全消化してT
MD123の約1900bpのDNA断片を単離した。
一方、プラスミドpSV2DHFR(ATCC 371
46)をHindIII及びBglIIで完全消化してベ
クター断片を得た。このベクター断片と、先のDNA断
片TMD123とをT4 DNAリガーゼを用いて継ぎあ
わせ、プラスミドpSV2TMD123を得た。
【0052】(2)プラスミドpSV2TMD123と
プラスミドpSV2−DHFRによるCHO細胞の形質
転換 上記の実施例1−1で得られたプラスミドpSV2TM
D123、約40μgとプラスミドpSV2DHFR、
約3.5μgを混合し、エタノール沈殿した。沈殿物を
風乾後、450μlのTE(pH7.9、1mMトリス
塩酸緩衝液、0.1mM EDTA)に溶解し、50μ
lの2.5M CaCl2 を滴下し、500μlの2×
HBS(50mM HEPES、280mM NaC
l、1.5mM Na2 HPO4 、pH7.12)を加
えて混合した。次いで氷上で10分間放置した後、1m
lの10%(v/v)ウシ胎児血清(以下”FCS”と
略する)及び1v/v%ペニシリン−ストレプトマイシ
ン(米国、フローラボラトリー社製、カタログ番号16
−700−49)を含有するHam’sF−12培地
(米国、フローラボラトリー社製、カタログ番号10−
421−20)に懸濁した。一方、10%(v/v)F
CS及び1%(v/v)ペニシリン−ストレプトマイシ
ンを含有するHam’sF−12培地に直径6cmの組
織培養用プレートにプレート1枚当たり細胞数約5×1
5 程度播種したCHO−DXB11株(米国コロンビ
ア大、Dr.L.A.Chasinより分与)を1夜培
養し、培地を新鮮な培地に交換し、更に4時間培養し
た。このCHO−DXB11株に前述のCaCl2 を滴
下したプラスミドDNA溶液を重層し、37℃で約8時
間培養した。5mlのPBS(−)(米国、フローラボ
ラトリー社製、カタログ番号28−103−05)を用
いて3回洗浄し、さらに、5mlの前述の培地で洗浄
後、新鮮な培地を5ml加えて3日間さらに培養した。
【0053】(3)プラスミドpSV2TMD123と
プラスミドpSV2−DHFRにより形質転換したCH
O細胞からDHFR産生株の選択 上記実施例1−(2)で形質転換した細胞を0.25%
トリプシン、0.02%EDTA溶液を用いてはがし、
直径10cmの組織培養プレート4枚に広げて培養し
た。24時間後、培地を選択培地に交換した。選択培地
の組成は10%(v/v)透析FCS、150μg/m
lプロリン、1%(v/v)ペニシリン−ストレプトマ
イシンを含むDMEM(米国、フローラボラトリー社
製、カタログ番号17−101−22)である。3〜4
日おきに培地交換を行いながら約2週間培養して、トラ
ンスフォームした細胞をクローニングし、59株のDH
FR産生株を得た。
【0054】(4)DHFR産生株からのTM生産株の
選択 前述の実施例3で得られたDHFR産生株の各クローン
を96穴組織培養用プレートで培養し、コンフルエント
になった時点で培地を150μg/mlプロリンを含む
DMEM 100μlに交換した。その後24時間培養
し、その培養上清を回収した。このうち50μlを96
穴の平底ELISA用プレート(米国、DYNATEC
H社製)で4℃で一晩インキュベートした。この培養液
中のTM量は、抗ヒトトロンボモジュリンポリクローナ
ル抗体を用いたエンザイムインムノアッセイ(以下”E
LISA”と略す)により定量した。詳しくは以下に述
べる。
【0055】(4)−a 免疫源の精製 抗ヒトトロンボモジュリンポリクローナル抗体の免疫源
は、以下のようにしてヒト肺より抽出して得た。公立病
院より提供されたヒト肺標本約800gを挟みで約1c
m四方程度の大きさに細切りした後、得られた組織片に
1mMのDFP(Diisopropyl fluor
ophosphate)を含む4℃に冷却した500m
lの生理食塩水を加え、ワーリングブレンダーとしてA
ce Homogenizer AM−1型(日本精器
会社製、日本)を用いて4℃で5分間、ホモジナイズし
た。ホモジナイズ後、混合物を氷中で5分間冷却した。
次に混合物を更に4℃で5分間、ホモジナイズし氷中で
5分間冷却した。上記のホモジナイズ及び冷却操作を更
に3回くり返した。得られたホモジェネートを1200
0gで4℃において30分間遠心分離にかけて上澄液と
ペレットに分け、ペレットを集める。これに0.5%
(v/v)トリトンX−100、0.25M庶糖、1m
Mベンズアミジン塩酸、0.5mM CaCl2 を含む
0.02Mトリス塩酸緩衝液(pH7.5)100ml
に懸濁し、ワーリングブレンダーを用いて4℃で5分
間、5回ホモジナイズして細胞抽出物を得た。
【0056】得られた抽出物を35,000g、10℃
で60分間遠心分離にかけて上澄液を集めた。N.L.
Esmonら〔J.Biol.Chem.257巻、8
59頁(1982年)〕の方法に従って作成したDIP
−トロンビン〔ジイソプロピルホスフォロトロンビン
(diisopropylphosphoro−thr
ombin)を、P.Cuatrecasasの方法
〔J.Biol.Chem.245巻、3059頁(1
970年)〕に従ってブロムシアン化したアガロースに
結合させて、DIP−トロンビン−アガロースを作成し
た。
【0057】次にDIP−トロンビン−アガロースを
2.5cmφ×10cmの大きさのカラムに充填してD
IP−トロンビン−アガロースカラムを作成し、室温で
0.1M NaCl、0.5mM CaCl2 、1mM
ベンズアミジン塩酸、0.5%(v/v)Lubrol
PX(半井科学薬品製、日本)を含む0.02Mトリ
ス塩酸緩衝液(pH7.5)でカラムを平衡化した。次
いで、上記の抽出上澄液をカラムに供した。カラムを
0.3M NaCl、0.5mM CaCl2 、1mM
ベンズアミジン塩酸、0.5%(v/v)Lubrol
PXを含む0.02Mトリス塩酸緩衝液(pH7.
5)で洗浄した後、1M NaCl、0.1mM ED
TA、1mMベンズアミジン塩酸0.5%(v/v)L
ubrol PXを含む0.02Mトリス塩酸緩衝液
(pH7.5)で溶出して2.0mlずつフラクシヨン
を集めた。溶出によって得られる各フラクションについ
てトロンビンによるプロテインC活性化を促進する活性
を測定した。即ち、それぞれのフラクションを定量用希
釈液(20mMトリス塩酸、100mM NaCl、
0.1% ルブロールPX、0.1%アジ化ナトリウ
ム、0.001%BSA、pH7.5)で希釈した。こ
の液を5μl、トロンビン(米国、シグマ社、カタログ
番号T−6759、20ng/μl)3μl、10×ア
ッセイ緩衝液(1M NaCl、30mM CaCl2
、1%牛血清アルブミン含有、0.5M トリス塩酸
緩衝液、pH8.5)5μl、及び蒸留水29.5μl
を混合し、37℃5分間放置後、プロテインC(牛由
来、0.2μg/μl)7.5μlを加え、37℃で3
0分間反応させた。
【0058】反応は、ストップ液(100mM NaC
l、0.3A280アンチトロンビンIII、100μ
g/mlヘパリン含有20mMトリス塩酸緩衝液、pH
7.5)を6.25μl加えることにより止めた。活性
化プロテインCの活性は、Boc−Leu−Ser−T
hr−Arg−MCA(日本、ペプチド研究所、5mg
/ml)10μl、5M CsCl 5μl、基質反応
緩衝液(100mMNaCl含有50mMトリス塩酸緩
衝液、pH8.5)495μlを加え、37℃、20分
間反応させ、酢酸55μlを加え反応を止めた後、遊離
したAMC(7−アミノ−7−メチル−クマリン)濃度
を励起波長380nm,発光波長440nmで蛍光分光
光度計(島津製作所 RF−540)により測定した。
得られた蛍光強度を既知濃度のAMCの蛍光強度と比較
して、遊離したAMC量を求めた。このAMC量から精
製品を含まない水溶液を加えたときのAMC量を差し引
いた値がサンプルのトロンビンによるプロテインC活性
化を促進する活性の強さを表す。1分間に反応液1ml
あたり1nMの活性化プロテインCを生成する活性を1
uとした。また、同時に島津製作所(日本)製スペクト
ロフォトメーターUV−240を用いて各フラクション
の波長280nmにおける吸光度(A280)を測定し
た。
【0059】プロテインC活性化を促進する活性のある
画分を回収し、0.1M NaCl、0.5mM Ca
Cl2 、0.05%(v/v)Lubrol PXを含
む0.02Mトリス塩酸緩衝液(pH7.5)で透析し
た。得られた透析液を2回目のDIP−トロンビン−ア
ガロースカラムクロマトグラフィーに供した。即ち、透
析液を1.5cmφ×10cmの大きさのDIP−トロ
ンビン−アガロースカラムに供し、0.4M NaC
l、0.5mM CaCl2 、0.1%(v/v)Lu
brol PXを含む0.02Mトリス塩酸緩衝液(p
H7.5)で洗浄後、さらに0.4M NaCl、0.
1mM EDTA、0.1%(v/v)Lubrol
PXを含む0.02Mトリス塩酸緩衝液(pH7.5)
で洗浄し、次いで1M NaCl、0.5mM EDT
A、0.1%(v/v)Lubrol PXを含む0.
02Mトリス塩酸緩衝液(pH7.5)で溶出した。
【0060】プロテインC活性化を促進する活性のある
画分を回収し、さらに0.1M NaCl、0.05%
(v/v)Lubrol PXを含む0.02Mトリス
塩酸緩衝液(pH7.5)で透析した。得られた透析液
を3回目のDIP−トロンビン−アガロースカラムクロ
マトグラフィーに供した。カラムの大きさ、洗浄条件お
よび溶出条件は2回目のDIP−トロンビン−アガロー
スカラムクロマトグラフィーの条件と全く同じ条件で行
なった。なお、溶出して得られるフラクションは2ml
ずつ集めた。プロテインC活性化を促進する活性のある
画分を回収し、0.1M NaCl、0.05%(v/
v)Lubrol PXを含む0.02Mトリス塩酸緩
衝液(pH7.5)で透析した後、0.9cmφ×8c
mの大きさの4回目のDIP−トロンビン−アガロース
カラムクロマトグラフィーに供した。0.35M Na
Cl、0.5mM CaCl2 、0.1%(v/v)L
ubrol PXを含む0.02Mトリス塩酸緩衝液
(pH7.5)で洗浄後、1M NaCl、0.5mM
EDTA、0.1%(v/v)Lubrol PXを
含む0.02Mトリス塩酸緩衝液(pH7.5)で溶出
した。溶出して得られたフラクションは1.9mlずつ
集めた。この第4回目のDIP−トロンビン−アガロー
スカラムクロマトグラフィーのプロテインC活性化を促
進する活性のある画分を回収し、免疫源とした。
【0061】このようにして精製されたフラクションの
吸光度から、得られた精製品の分子吸光係数を一般的な
蛋白質の分子吸光係数にならない10.0(E1%1c
m・280nm=10.0)と規定してそれに基づき本
精製品の量を計算したところ約500μgであった。な
お、得られた精製画分をポリアクリルアミドゲル濃度5
〜10%のグラジェントを用いるSDS−ポリアクリル
アミドゲル電気泳動を50Vの電圧で2時間行ない、銀
染色によってバンドを観察したところ単一バンドのみ確
認された。さらにこの精製画分には、トロンビンによる
プロテインC活性化を促進する効果が認められた。
【0062】(4)−b 抗ヒトトロンボモジュリンポ
リクローナル抗体の作製 抗ヒトトロンボモジュリンポリクローナル抗体(ウサギ
抗体)は、前述の免疫源を用いて、成書〔L.huds
onet、Practical Immunolog
y、9頁(1976年)、Blackwell Sci
entificPublications〕に従って作
製した。
【0063】この抗体が、上記免疫源と反応することを
以下の様にして確認した。すなわち、実施例1−(4)
−aで得た免疫源(精製ヒトトロンボモジュリン蛋白)
の約10ngをニトロセルロースのフィルターにスポッ
トする。よく風乾した後、この抗体を一次抗体としてニ
トロセルロースフィルター上のタンパクと反応させ、次
いでヤギで調製したビオチン化抗ウサギIgG(ザイメ
ットラボラトリー社製、米国、カタログ番号62−18
40)を二次抗体として反応させた後、アビジン・ビオ
チン化した西洋ワサビ由来パーオキシダーゼ(アマシャ
ムジャパン社製、日本、カタログ番号RPN.105
1)を作用させる方法で発色させると黒褐色のスポット
を与えた。
【0064】(4)−c ELISA 培養液の入った96穴の平底ELISA用プレートの穴
を200μlのPBS(日本、日水製)で5回洗浄す
る。その後、0.5%BSA含有PBSを100μl/
穴となるように加え、室温で2時間静置する。プレート
の各穴を0.05%Tween80含有PBSで5回洗
浄後、上記実施例1−4−(b)で作製した抗ヒトTM
ポリクローナル抗体を1%BSA含有PBSで1000
倍希釈し、100μl/穴で各穴に加え、一次抗体とし
て反応させる。その後、プレートの各穴を0.05%T
ween80含有PBSで5回洗浄後、酵素標識された
抗ラビットIgG抗体(カッペル社、カタログ番号50
−7415−16)を1%BSA含有PBSで1000
倍希釈し、100μl/穴で各穴に加え、室温で1時間
反応させた。プレートの各穴を0.05%Tween8
0含有PBSで5回洗浄後、発色液(30mgオルトフ
ェニレンジアミンを20mlクエン酸燐酸緩衝液に30
%過酸化水素液を70μl添加した液)100μl添加
し、適度な発色が得られた時点で50μlの4.1M硫
酸液を添加し反応を止め、492nmの測定波長で測定
し、ヒトトロンボモジュリン生産株を選択した。
【0065】(5)プラスミドpSV2TMD123及
びプラスミドpSV2DHFRにより形質転換されたC
HO細胞株のMTXによるTM生産性の増幅 上述の実施例1−(4)の結果より得られたTMの高生
産株を選別し、6穴の組織培養用プレートでコンフルエ
ントになるまで培養し、7/10、3/10の割合で直
径10cmの組織培養用プレートに継代した。7/10
で継代したプレートは、150μg/mlプロリンと1
0%透析FCSを含むDMEMでコンフルエントになる
まで培養した後、生産性測定培地(150μg/mlプ
ロリン含有DMEM)10mlに交換し、24時間後に
培養液を回収し、MTX無添加細胞生産液とした。
【0066】また、3/10で継代したプレートは、翌
日20nMのMTX含有選択培地に交換し培養を続け
た。コンフルエントになった後、生産性測定培地10m
lに交換し、24時間後に培養液を回収し、20nM
MTX選択細胞生産液とした。この回収された生産液
は、以下に述べるサンドイッチ法ELISAで生産液中
のTMの定量を行い、細胞1×106 個が24時間当た
りに生産するTMの生産量を評価した。
【0067】抗ヒトトロンボモジュリンモノクローナル
抗体の作製は、Maruyamaらの方法[J.Bio
l.Chem.260,15432(1985)]に従
った。即ち、実施例1−(4)−aで精製したヒト肺由
来トロンボモジュリンを抗原とし、Balb/Cマウス
に数回免疫後、マウスの脾臓細胞液を調製し、適当なラ
インからのマウス骨髄細胞種とポリエチレングリコール
等の融合促進剤の使用により、細胞融合させる。
【0068】細胞融合に用いるマウス骨髄細胞は、例え
ば、P3−X63−Ag8−U1細胞(P3−U1)
[Yeltonら、Current.Topics i
n Microbiology and Immuno
logy,81,1(1978)]等が用いられる。融
合した細胞を適当な選択培地、例えば、HAT(ヒポキ
サンチン・アミノプテリン・チミジン)培地を用いて選
択する。このようにしてハイブリドーマ細胞が検出され
た後、その培養上清を採取し、トロンボモジュリンに対
する抗体についてトロンボモジュリンを固相抗原とした
ELISA(酵素免疫定量法)によりスクリーニングす
る。トロンボモジュリンに対する抗体を産生するハイブ
リドーマ細胞を適当な方法、例えば限外希釈法によりク
ローン化する。その結果、2種の抗ヒトトロンボモジュ
リンモノクローナル抗体が得られ、それぞれ抗TMモノ
クローナル抗体A及び、Bと命名した。
【0069】上述の抗TMモノクローナル抗体Aの精製
品を200μg/mlとなるように0.1M重炭酸ナト
リウム緩衝液(pH9.2)で希釈し、50μl/穴と
なるように96穴の平底ELISA用プレートに分注す
る。室温で2時間静置後、プレートの穴を200μlの
PBS(日本、日水製)で5回洗浄する。その後、0.
5%BSA含有PBSを100μl/穴となるように加
え、室温で2時間静置する。プレートの各穴を0.05
%Tween80含有PBSで5回洗浄後、回収した培
養液を段階的に希釈して50μl/穴となるように添加
し、室温で2時間静置する。プレートの各穴を0.05
%Tween80含有PBSで5回洗浄後、ビオチン標
識した抗TMモノクローナル抗体Bを20μg/mlと
なるように、1%BSA含有PBSで1000倍希釈
し、100μl/穴で加え、室温で1時間反応させた。
プレートの各穴を0.05%Tween80含有PBS
で5回洗浄後、アビジンD(米国、Vector社製,
カタログ番号A−2004)を1%BSA含有PBSで
5000倍希釈し、100μl/穴で各穴に加え、室温
で30分反応させた。プレートの各穴を0.05%Tw
een80含有PBSで5回洗浄後、発色液(30mg
オルトフェニレンジアミンを20mlクエン酸燐酸緩衝
液に30%過酸化水素液を70μl添加した液)100
μl添加し、適度な発色が得られた時点で50μlの
4.1M硫酸液を添加し反応を止め、492nmの測定
波長で測定した。なお、標準品には、上記実施例1−
(4)−aで精製したヒト肺トロンボモジュリンを用い
た。
【0070】MTX無添加細胞生産液と20nM MT
X選択細胞生産液のサンドイッチ法ELISAの結果を
比較して、20nM MTX選択細胞生産液の方が高生
産であった株を選択した。これらの株は、さらに、1×
104 、5×104 細胞/プレートの細胞密度で直径1
0cmの組織培養用プレートに継代し、翌日200nM
MTX含有選択培地に交換し培養を続けた。出現して
きた200nM MTX耐性株をクローニングし、96
穴の組織培養用プレートに継代しコンフルエントになる
まで培養した後、150μg/mlプロリン含有DME
M10mlに交換し、24時間後に培養液を回収した。
回収した培養液は、上記のサンドイッチELISAでT
Mの生産性を評価した。高生産株は上記で述べたように
6穴の組織培養用プレートに継代しさらに直径10cm
の組織培養用プレートに継代し、24時間後培養上清を
回収し、ヒトトロンボモジュリン生産性ををサンドイッ
チ法ELISAで定量した。
【0071】高生産株を選択し、上記と同様の操作を繰
り返して、MTXの濃度を、200nMから、2μM、
20μM、40μM、100μM、500μMと上げて
いった。こうしてMTXによる遺伝子増幅によりTMの
生産性が上昇した株を取得した。MTX濃度の上昇によ
り効率的にヒトトロンボモジュリンの生産性が増幅さ
れ、40μM MTX濃度で、約17pg/細胞・日、
100μM MTX濃度で、約20pg/細胞・日、5
00μMで47pg/細胞・日という高生産の細胞株が
樹立された。
【0072】(6)TM生産安定性の検討 実施例1−(5)で得られた100μM MTX耐性株
について、各耐性濃度のMTX含有非選択培地とMTX
を含有しない非選択培地(10%(v/v)FCS、1
50μg/mlプロリン含有DMEM)で長期間継代培
養を行い、サンドイッチ法ELISAで培養終了後細胞
当りのTM生産量を評価した。20μMMTX耐性株に
ついては、1カ月間の継代培養と2カ月間の継代培養を
行った。100μM MTX耐性株は、MTX無しの培
養を2カ月行っても、生産性は維持され、安定なTM生
産株が得られた。
【0073】(7)浮遊培養馴化株の取得 実施例1−(6)で得られた100μM MTX耐性株
について、10%(v/v)FCS、150μg/ml
プロリン含有DMEMを用い50mlスケールの浮遊攪
拌培養を行なった。1×105 cells/mlで培養
を開始し、1×106 cells/mlの細胞密度に達
するまで培養した。比生産速度の維持を確認しつつ同様
の培養を5回繰り返した結果、浮遊培養に馴化したTM
生産株が得られた。
【0074】実施例2 浮遊培養繰り返しバッチ培養でのDMEMと本発明のT
M製造用培地の比較本発明のTM製造用培地の調製方法
は、前述の成分表2の各成分(但し、水、血清そして増
殖因子は除く)を混合し、所定量の脱イオン限外濾過水
へ加え、更に硫酸カナマイシン(明治製菓製)、タイロ
シン(三樂製)を加え溶解後、さらに牛血清(ハイクロ
ン)を4%(v/v)添加し、濃塩酸(和光純薬)でp
Hを7.1に調製した後、0.22μmのフィルター
(ミリポア製)で濾過し、4℃保存した(以下、本発明
のTM製造用培地の名称をHM−04培地と略すること
がある)。また血清を添加したDMEMの調製方法は、
粉末培地のDMEM(ライフテック社)を所定量の脱イ
オン限外濾過水へ加え、更に重曹(和光純薬)、硫酸カ
ナマイシン(明治製菓製)、タイロシン(三樂製)を加
え溶解後、牛血清(ハイクロン)を4%(v/v)添加
し濃塩酸(和光純薬)でpHを7.1に調製した後、
0.22μmのフィルター(ミリポア製)で濾過し、4
℃保存した。何れの培地も、使用直前に37℃水浴恒温
槽で37℃に加温し使用した。
【0075】培養の開始では2×107 cells/ア
ンプルで凍結保存した細胞を、37℃恒温槽で素早く融
解し、それぞれの培地に懸濁し遠心分離(2000rp
m、2分、国産化学)した。遠心後、上清は吸引除去し
それぞれの新鮮培地50mlで懸濁し、培養容器(カル
スター100、柴田ハリオ社製)に入れ培養を開始し
た。
【0076】培養条件は、37℃恒温室内、撹拌80r
pm(マグネティックスターラー、柴田ハリオ社製)、
溶存酸素濃度(DO)50%制御(DO電極(エイブル
社)、DOコントローラー(東亜化学))、通気流量:
空気100ml/分、二酸化炭素ガス10ml/分、D
O制御用酸素ガス300ml/分 で培養を実施した。
培養は浮遊生細胞密度が平衡に達するまで行なった。
【0077】培養中の培地交換は5日目、9日目に行な
った。また、9日目以降は毎日行なった。培地交換は、
培養液全量を50ml遠心チューブ(ファルコン社)に
入れ遠心分離(2000rpm、2分)し、上清除去
後、予め37℃に加温したそれぞれの50ml新鮮培地
で懸濁し培養容器に移し培養を再開した。遠心除去した
培養上清は−20℃保存した。この培養上清から一定量
をサンプリングした。また別に6日目〜8日目の培養液
より、毎日一定量をサンプリングし、遠心除去して得た
培養上清からも一定量をサンプリングした。これらのサ
ンプリングした培養上清に含まれるTM濃度は、実施例
1−(4)−a記載の方法(トロンビンによるプロテイ
ンC活性化を促進する活性の測定方法)により測定し
た。なお、TMの比活性を8万U/mgとして換算し
た。
【0078】浮遊生細胞密度の測定は、サンプリングし
た培養液と等量のトリパンブルー染色液(フロ−)を混
合し、血球計算盤を用い顕微鏡で非染色細胞を生細胞と
して測定し、浮遊生細胞密度を測定した。浮遊生細胞密
度(×105 cells/ml)を縦軸に、培養日数
(日)を横軸にプロットしたものが、図1である。この
結果によれば、浮遊生細胞密度の推移は、培養初期の低
密度での増殖速度はDMEM、HM−04培地ともに同
程度であったが、約7×105 cells/mlから増
殖速度に差が現れ、DMEMは最終到達密度が約45×
105 cells/mlであったが、HM−04培地は
約100×105 cells/mlまで増殖した。
【0079】交換した培地の容量とTM濃度を考慮し
て、各培養日数におけるTMの累積生産量(mg)を算
出し、縦軸に、各培養日数(日)を横軸にプロットし、
図2を得た。図2によれば、培養開始後6日目から26
日目までの20日間の累積生産性は、HM−04培地を
用いた培養法がDMEMを用いた培養法に比べ約3倍高
い値を得た。したがって、本発明の培地によれば、TM
の大量生産が容易であり、好ましいものであることが確
認された。
【0080】各培養日数におけるTMの1日当りの生産
量を、浮遊生細胞密度で割って算出された比生産速度
(pg/cell/day)を、縦軸に、各培養日数
(日)を横軸にプロットし、図3を得た。図3によれ
ば、比生産速度の経時変化は、HM−04培地を用いた
培養方法では比較的安定していたが、DMEMを用いた
培養方法では経時的に低下した。したがって、本発明の
培地によれば、長期生産が可能であり、好ましいもので
あることが確認された。
【0081】各培養日数における比生産速度(pg/c
ell/day)を、縦軸に、各培養日数(日)におけ
る浮遊生細胞密度(×105 cells/ml)を横軸
にプロットし、図4を得た。図4によれば、浮遊生細胞
密度に対する比生産速度の変化は、HM−04培地を用
いた培養ではなかったが、DMEMを用いた培養では浮
遊生細胞密度の増加により低下した。したがって、本発
明の培地によれば高密度培養においても生産性が変化し
ない好ましいものであることが確認された。
【0082】実施例3 浮遊培養での繰り返しバッチ培養 培地作製は、実施例2と同様に行なった。但し血清添加
濃度は、TM生産細胞を増殖せしめる培養(以下、増殖
培養)に用いる培地では10%(v/v)添加、TMを
製造するための培養(以下、生産培養とも略す)に用い
る培地では2%(v/v)添加し、作製した。
【0083】増殖培養の開始では、2×107 cell
s/アンプルで凍結保存した細胞を、37℃恒温槽で素
早く融解し、それぞれの培地に懸濁し遠心分離(200
0rpm、2分、国産化学)した。遠心後、上清は吸引
除去しそれぞれの新鮮培地100mlで懸濁し、培養容
器(カルスター100、柴田ハリオ社製)に入れ培養を
開始した。増殖培養は、37℃10%炭酸ガス恒温室
内、撹拌80rpm(マグネティックスターラー、柴田
ハリオ社製)で実施した。増殖培養は浮遊生細胞密度が
5×105 cells/mlに達したところで継代し
た。継代の培養スケールは100ml、500ml、2
L、8Lと順次拡大した。継代では継代後の培養スケー
ルから継代前の培養スケールを差し引いた値と同じ量の
新鮮培地を加え拡大した。
【0084】培養スケール8Lでの増殖培養で浮遊生細
胞密度が5×105 cells/mlに達したところで
DO制御を開始した。制御条件はDO50%制御(DO
電極(エイブル社)、DOコントローラー(東亜化
学))、通気流量:空気300ml/分、二酸化炭素ガ
ス30ml/分、DO制御用酸素ガス900ml/分で
行った。
【0085】培養スケール8Lでの増殖培養での培地交
換は、5、9、11日目に、連続遠心分離機(アルファ
−ラバル社、製品名CC−100)を用い培養液の遠心
分離を行ない予め37℃に加温した新鮮培地へ交換し
た。培養スケール8Lでの増殖培養の12日目から生産
培養を開始した。培地交換は毎日、連続遠心分離機(ア
ルファ−ラバル社、製品名CC−100)を用い培養液
の遠心分離を行ない上清を取得し、細胞は予め37℃に
加温した新鮮培地と懸濁し生産培養を開始した。遠心分
離した上清のうち800mlをサンプリングし−20℃
で凍結保存した。生産培養の条件は、37℃恒温室内、
撹拌100rpm(マグネティックスターラー、柴田ハ
リオ社製)、溶存酸素濃度(DO)50%制御(DO電
極(エイブル社)、DOコントローラー(東亜化
学))、通気流量:空気100ml/分、二酸化炭素ガ
ス10ml/分、DO制御用酸素ガス1000ml/分
で培養を20日間行なった。浮遊生細胞密度は実施例2
と同様に測定した。また、生産培養の上清中のTM濃度
は実施例1−(4)−a記載のトロンビンによるプロテ
インC活性化を促進する活性の測定方法により比活性を
8万U/mgとして算出した。
【0086】生産培養結果は、平均生細胞密度3.1×
106 cells/mlで、平均生産性は27mg/L
/dayであった。
【0087】実施例4 浮遊培養でのバッチ培養 培地作製は実施例2と同様に行なった。但し血清添加濃
度は10%(v/v)で作製した。細胞は実施例3の8
Lスケールの増殖培養5日目から培養液20mlをサン
プリングし、新鮮培地80mlに懸濁し、培養容器(カ
ルスター100、柴田ハリオ社製)に入れ培養を開始し
た。培養は、37℃10%炭酸ガス恒温室内、撹拌80
rpm(マグネティックスターラー、柴田ハリオ社製)
で実施した。5×105 cells/mlに達したとこ
ろで、培養液全量を遠心分離(2000rpm、2分、
国産化学)し、500mlの新鮮培地に懸濁し、スピナ
ーフラスコ(カルスター500、柴田ハリオ社製)に移
し、37℃10%炭酸ガス恒温室内、撹拌120rpm
(マグネティックスターラー、柴田ハリオ社製)でバッ
チ培養を開始し生産培養とした。浮遊生細胞密度は実施
例2と同様に測定した。また、生産培養の上清中のTM
濃度は実施例1−(4)−a記載のトロンビンによるプ
ロテインC活性化を促進する活性の測定方法により比活
性を8万U/mgとして算出した。
【0088】生産培養は8日間培養し、到達生細胞密度
1.8×106 cells/mlで、累積生産性は35
mg/Lであった。
【0089】実施例5 浮遊培養での連続培養 培地作製は、実施例2と同様に行なった。但し血清添加
濃度は増殖培養用培地では8%(v/v)、生産培養用
培地では4%(v/v)で調製した。増殖培養の開始で
は、2×107 cells/アンプルで凍結保存した細
胞を、37℃恒温槽で素早く融解し、それぞれの培地に
懸濁し遠心分離(2000rpm、2分、国産化学)し
た。遠心後、上清は吸引除去しそれぞれの新鮮培地10
0mlで懸濁し、培養容器(カルスター100、柴田ハ
リオ社製)に入れ培養を開始した。増殖培養は、37℃
10%炭酸ガス恒温室内、撹拌80rpm(マグネティ
ックスターラー、柴田ハリオ社製)で実施した。増殖培
養は浮遊生細胞密度が5×105 cells/mlに達
したところで継代した。継代の培養スケールは100m
l、500ml、1.5Lと順次拡大した。継代では継
代後の培養スケールから継代前の培養スケールを差し引
いた値と同じ量の新鮮培地を加え拡大した。
【0090】培養スケール1.5Lでの増殖培養で浮遊
生細胞密度が5×105 cells/mlに達したとこ
ろでDO制御を開始した。制御条件はDO50%制御
(DO電極(エイブル社)、DOコントローラー(東亜
化学))、通気流量:空気300ml/分、二酸化炭素
ガス30ml/分、DO制御用酸素ガス900ml/分
で行なった。
【0091】培養スケール1.5Lでの増殖培養での連
続培地交換は、分離モジュールを用いた連続濾過で実施
した。培養槽外に設置した循環ポンプ(ハワード社)で
培養液を循環させ、その循環ライン中に培養上清分離モ
ジュール(旭化成工業)を設置し、ペリスターポンプ
(ギルソン社)でモジュール2次側を陰圧にし定量濾過
(濾過速度は1.5L/日に設定)を行ない、細胞を分
離した培養上清を抜きだした。抜きだした培養上清は4
℃に冷却保存し、その中から毎日50mlずつサンプリ
ングし−20℃凍結保存した。新鮮培地の添加は抜きだ
した培養上清と等量を培養槽内へペリスターポンプによ
り定量移送した。
【0092】20×105 cells/mlに達したと
ころで、増殖培地を生産培地に切り換え、培養スケール
1.5Lでの増殖培養での連続培地交換と同様な方法で
生産培養を開始し、20日間生産培養を行なった。但
し、通気流量:空気100ml/分、二酸化炭素ガス1
0ml/分、DO制御用酸素ガス1000ml/分、撹
拌120rpm(マグネティックスターラー、柴田ハリ
オ社製)。浮遊生細胞密度は実施例2と同様に測定し
た。また、生産培養の上清中のTM濃度はトロンビンに
よる実施例1−(4)−a記載のプロテインC活性化を
促進する活性の測定方法により比活性を8万U/mgと
して算出した。
【0093】生産培養結果は、平均生細胞密度12.5
×106 cells/mlで、平均生産性は76mg/
L/dayであった。
【0094】実施例6 浮遊培養での連続培養 培地作製は、実施例2と同様に行なった。但し血清添加
濃度は増殖培養用培地では8%(v/v)、生産培養用
培地では4%(v/v)で作製した。増殖培養の開始で
は、2×107 cells/アンプルで凍結保存した細
胞を、37℃恒温槽で素早く融解し、それぞれの培地に
懸濁し遠心分離(2000rpm、2分、国産化学)し
た。遠心後、上清は吸引除去しそれぞれの新鮮培地10
0mlで懸濁し、培養容器(カルスター100、柴田ハ
リオ社製)に入れ培養を開始した。増殖培養は、37℃
10%炭酸ガス恒温室内、撹拌80rpm(マグネティ
ックスターラー、柴田ハリオ社製)で実施した。増殖培
養は浮遊生細胞密度が5×105 cells/mlに達
したところで継代した。継代の培養スケールは100m
l、500ml、1.5Lと順次拡大した。継代では継
代後の培養スケールから継代前の培養スケールを差し引
いた値と同じ量の新鮮培地を加え拡大した。
【0095】培養スケール1.5Lでの増殖培養で浮遊
生細胞密度が5×105 cells/mlに達したとこ
ろで、培養液全量をBIOSTAT−M(ビーブラウン
社製培養装置)に移送した。培養スケール1.5Lでの
増殖培養での連続培地交換は、槽内に設置された分離チ
ューブ(親水性多孔質テフロン、ビーブラウン社)を用
いた連続濾過で実施した。槽内分離チューブをペリスタ
ーポンプ(ギルソン社)で陰圧にし定量濾過(濾過速度
は1.5L/日に設定)を行ない、分離チューブにより
培養上清を抜きだした。培養上清は4℃に冷却保存し、
その中から毎日50mlずつサンプリングし−20℃凍
結保存した。新鮮培地の添加は抜きだした培養上清と等
量を培養槽内へペリスターポンプにより定量移送した。
【0096】増殖培養条件は、槽内温度37℃、DO=
50%、pH=7.1に制御した。20×105 cel
ls/mlに達したところで、増殖培地を生産培地に切
り換え、培養スケール1.5Lでの増殖培養での連続培
地交換と同様な方法で生産培養を開始し、20日間培養
を行なった。浮遊生細胞密度は実施例2と同様に測定し
た。
【0097】また、生産培養の上清中のTM濃度は実施
例1−(4)−a記載のトロンビンによるプロテインC
活性化を促進する活性の測定方法により比活性を8万U
/mgとして算出した。生産培養結果は、平均生細胞密
度12.0×106 cells/mlで、平均生産性は
78mg/L/dayであった。
【0098】実施例7 浮遊培養での連続培養培養 (1)血清培地 培地作製は、実施例2と同様に行なった。但し血清添加
濃度は増殖培養用培地では8%(v/v)、生産培養用
培地では4%(v/v)で作製した。
【0099】増殖培養の開始では、2×107 cell
s/アンプルで凍結保存した細胞を、37℃恒温槽で素
早く融解し、それぞれの培地に懸濁し遠心分離(200
0rpm、2分、国産化学)した。遠心後、上清は吸引
除去しそれぞれの新鮮培地100mlで懸濁し、培養容
器(カルスター100、柴田ハリオ社製)に入れ培養を
開始した。
【0100】増殖培養条件は、37℃10%炭酸ガス恒
温室内、撹拌80rpm(マグネティックスターラー、
柴田ハリオ社製)で実施した。増殖培養は浮遊生細胞密
度が5×105 cells/mlに達したところで継代
した。継代の培養スケールは100ml、500ml、
1.5Lと順次拡大した。継代では継代後の培養スケー
ルから継代前の培養スケールを差し引いた値と同じ量の
新鮮培地を加え拡大した。
【0101】培養スケール1.5Lでの増殖培養で浮遊
生細胞密度が5×105 cells/mlに達したとこ
ろで、培養液全量をBIOSTAT−M(ビーブラウン
社製培養装置)に移送した。培養スケール1.5Lでの
増殖培養での連続培地交換は、槽内に設置された分離ス
テンレスメッシュフィルター(孔径20μm、ビーブラ
ウン社)を用いた連続濾過で実施した。
【0102】槽内分離ステンレスメッシュフィルター内
に差し込んだ抜きだしパイプをペリスターポンプ(ギル
ソン社)で陰圧にし定量濾過(濾過速度は1.5L/日
に設定)を行ない、ステンレスメッシュフィルターによ
り分離した培養上清を抜きだした。培養上清は4℃に冷
却保存し、その中から毎日50mlずつサンプリングし
−20℃凍結保存した。新鮮培地の添加は抜きだした培
養上清と等量を培養槽内へペリスターポンプにより定量
移送した。
【0103】増殖培養条件は、槽内温度37℃、DO=
50%、pH=7.1に制御した。20×105 cel
ls/mlに達したところで、増殖培地を生産培地に切
り換え、培養スケール1.5Lでの増殖培養での連続培
地交換と同様な方法で生産培養を開始し、20日間培養
した。浮遊生細胞密度は実施例2と同様に測定した。
【0104】また、生産培養の上清中のTM濃度は実施
例1−(4)−a記載のトロンビンによるプロテインC
活性化を促進する活性の測定方法により比活性を8万U
/mgとして算出した。生産培養結果は、平均生細胞密
度11.2×106 cells/mlで、平均生産性は
76mg/L/dayであった。
【0105】(2)増殖因子培地 実施例7−(1)の方法に従い培養を行った。但し生産
培養用培地には血清を添加せず、増殖因子としてアルブ
ミン3mg、インシュリン5mg、トランスフェリン5
mg、エタノールアミン2μM、亜セレン酸ナトリウム
20nMを添加し生産培養用培地を調製した。
【0106】本細胞は完全に血清非依存性で無いため
か、飽和細胞密度は実施例7−(1)の約半分の5×1
6 cells/ml程度であった。生産培養結果は、
平均生細胞密度4.8×106 cells/mlで、平
均生産性は42mg/L/dayであった。
【0107】実施例8 付着培養での繰り返しバッチ培養 培地作製は、実施例2と同様に行った。但し血清添加濃
度は増殖培養用培地では10%(v/v)、生産培養用
培地では2%(v/v)で作製した。増殖培養の開始で
は、2×107 cells/アンプルで凍結保存した細
胞を、37℃恒温槽で素早く融解し、それぞれの培地に
懸濁し遠心分離(2000rpm、2分、国産化学)し
た。遠心後、上清は吸引除去しそれぞれの新鮮培地10
0mlで懸濁し、培養容器(カルスター100、柴田ハ
リオ社製)に入れ培養を開始した。
【0108】増殖培養条件は、37℃10%炭酸ガス恒
温室内、撹拌80rpm(マグネティックスターラー、
柴田ハリオ社製)で実施した。浮遊生細胞密度が2×1
5cells/mlに達したところで、培養液を遠心
分離(2000rpm、2分、国産化学)した。遠心
後、上清は吸引除去しそれぞれの新鮮培地200mlで
懸濁し、培養容器(カルスター100、柴田ハリオ社
製)2基にそれぞれ10mlづつ入れた。そして直ちに
それぞれの培養器に90mlの新鮮培地に懸濁した3g
/Lの表面付着型のサイトデクス1(ファルマシア製)
と多孔質性の内部付着型の旭化成マイクロキャリア(旭
化成工業製)を添加した(サイトデクス1はファルマシ
アバイオテクの添付マニュアル、旭化成マイクロキャリ
アは旭化成工業の添付マニュアルに従い準備した)。
【0109】付着担体を用いた100ml撹拌増殖培養
は、37℃10%炭酸ガス恒温室内、撹拌80rpm
(マグネティックスターラー、柴田ハリオ社製)で実施
した。培地交換は、培養の撹拌を停止し付着担体が沈降
後、上清をピペットで吸引除去し等量の新鮮培地を加え
培養を再開した。培地交換は、5、8、10日目実施し
た。
【0110】20×105 cells/mlに達したと
ころで、増殖培地を生産培地に切り換え、培地交換は同
様な方法で毎日行ない、生産培養は25日間行なった。
培地交換で得た培養上清100mlは−20℃で冷凍保
存した。浮遊生細胞密度は実施例2と同様に測定した。
担体付着細胞密度は、サンプリングした培養液の担体沈
澱上清を除去し、除去した上清と等量の脱核染色液(ク
リスタルバイオレット、TWEEN80、クエン酸)を
加え、脱核後、血球計算盤で核数を測定し、核密度を付
着細胞密度とした。
【0111】また、生産培養の上清中のTM濃度は実施
例1−(4)−a記載のトロンビンによるプロテインC
活性化を促進する活性の測定方法により比活性を8万U
/mgとして算出した。生産培養結果は、平均細胞密度
はサイトデクス1使用の培養で2.5×106cell
s/mlで、平均生産性は26mg/L/dayであ
り、また平均細胞密度は旭化成マイクロキャリア使用の
培養で5.5×106 cells/mlで、平均生産性
は46mg/L/dayであった。
【0112】実施例9 強陰イオン交換樹脂カラムによる粗精製 実施例3で取得した−20℃凍結培養上清11Lを溶解
し、0.2μmのメンブレンフィルター(ミリポア社、
ミリパック20)で濾過した。濾過した培養上清につい
ては、150mM NaClを含む20mMトリス塩緩
衝液(pH7.4)で平衡化したQ−Sepharos
e(ファルマシア社)カラム(直径90mm、高さ6.
5cm)に供した。次に180mM NaClを含む2
0mM酢酸緩衝液で洗浄し、更に180mM NaCl
を含む20mMトリス塩緩衝液(pH7.4)で洗浄を
行ない、300mM NaClを含む20mMトリス塩
緩衝液(pH7.4)で溶出を開始し、溶出液の吸光度
280nmのピーク立ち上がりからの0.5カラムボリ
ューム容量の溶出液を粗精製品として取得した。
【0113】実施例10 アフィニティーカラム(抗体B)による主精製 アフィニティーカラムは以下のように作製した。即ち、
上記実施例1−(5)で得られた抗TMモノクローナル
抗体Bは、その抗体を産生するハイブリドーマを培養す
ることにより得た培養上清、あるいは、ハイブリドーマ
を組織適合性動物、ヌードマウス等の腹腔内にて増殖さ
せて得た腹水より、塩析、イオン交換クロマトグラフィ
ー、プロテインAカラム等の分離精製操作により精製し
た。次に、ファルマシア社のマニュアル(Affini
ty Chromatography princip
les & methods)に従い、精製抗TMモノ
クローナル抗体Bを0.5M NaCl含有0.1M
NaHCO3 緩衝液(pH8.3)に溶解し、CNBr
−activated Sepharose 4B(フ
ァルマシア社、52−1153−00−AI)と接触反
応させ、セファロース4Bに抗TMモノクローナル(抗
体B)をカップリングし、抗TMモノクローナル(抗体
B)結合Sepharose 4Bを作製した。次いで
この抗TMモノクローナル(抗体B)結合Sephar
ose 4Bをカラムに充填しモノクローナル(抗体
B)カラムを作製した。
【0114】実施例9で得られた溶出画分400ml
を、1.0M NaCl含む20mMりん酸緩衝液(p
H7.3)で平衡化したモノクローナル抗体(抗体B)
カラム(直径50mm、高さ6cm)に供した。1.0
M NaCl含む20mMりん酸緩衝液(pH7.3)
を流し、更に100mM酢酸緩衝液(pH5.0)を流
し洗浄し、0.3M NaCl含む100mMグリシン
塩酸緩衝液(pH3.0)で溶出を開始し、溶出液の吸
光度280nmのピーク立ち上がりから立ち下がりまで
の溶出液を主精製品として取得した。
【0115】実施例11 強陽イオン交換樹脂カラムによる高純度精製 実施例10で得られた溶出液180mlを1.0Mグリ
シン塩酸緩衝液(pH2.0)にてpH3.5に調製し
た液を、300mM NaClを含む100mMグリシ
ン塩酸緩衝液(比伝導度31ms/cm、pH3.5)
で平衡化したSP−Sepharose(ファルマシア
社)カラム(直径26mm、高さ3cm)に供した。3
00mM NaClを含む100mMグリシン塩酸緩衝
液(比伝導度31ms/cm、pH3.5)で洗浄を開
始し、吸光度280nmのピーク立ち上がりから立ち下
がりまでの素通り画分を得、直ちに500mMりん酸緩
衝液(pH7.3)でpH7に中和し、高純度精製品と
して取得した。
【0116】実施例12 ポリスルフォン中空糸による高純度精製品の濃縮 実施例11で得られた高純度精製品をそれぞれ、50m
M NaClを含む20mMりん酸緩衝液(pH7.
3)で湿潤化した1mのポリスルフォン中空糸(旭化成
工業製)を用い濃縮し、それぞれ5mlの濃縮液を取得
した。
【0117】実施例13 ゲル濾過カラムによる高純度精製品の緩衝液交換 実施例12で得られたそれぞれの濃縮液5mlを、50
mM NaClを含む20mMりん酸緩衝液(pH7.
3)で平衡化したそれぞれのSepahcryl S−
300カラム(ファルマシア社、直径16mm、高さ9
0cm)に供した。50mM NaClを含む20mM
りん酸緩衝液(pH7.3)で展開し分画した。各画分
は実施例1−(4)−a記載のトロンビンによるプロテ
インC活性化を促進する活性の測定法方により活性の確
認を行ない活性画分を回収し緩衝液交換した高純度精製
品を取得した。
【0118】実施例14 アフィニティーカラム(トロンビンカラム)を用いた精
製 実施例9で得られた溶出画分400mlを100mM
NaCl及び0.5mM塩化カルシウムを含む20mM
トリス緩衝液(pH7.4)に対して透析した。透析
後、100mM NaCl及び0.5mM塩化カルシウ
ムを含む20mMトリス緩衝液(pH7.4)で平衡化
したDIP−トロンビン−アガロース(PAESE L
OREI社、06−148−1035、直径50mm、
高さ6cm)に供した。200mM NaCl及び0.
5mM塩化カルシウムを含む20mMトリス緩衝液(p
H7.4)で洗浄後、1.0M NaCl及び0.5m
M塩化カルシウムを含む20mMトリス緩衝液(pH
7.4)で溶出を開始し、溶出液の吸光度280nmの
ピーク立ち上がりから立ち下がりまでの溶出液を主精製
品として取得した。
【0119】得られた溶出液200mlに100mMグ
リシン塩酸緩衝液(pH3.5)を加え希釈した液を、
次に1.0Mグリシン塩酸緩衝液(pH2.0)でpH
3.5に調製した。この希釈pH調製した溶出液を30
0mM NaClを含む100mMグリシン塩酸緩衝液
(比伝導度31ms/cm、pH3.5)で平衡化した
SP−Sepharose(ファルマシア社)カラム
(直径26mm、高さ3cm)に供した。300mM
NaClを含む100mMグリシン塩酸緩衝液(比伝導
度31ms/cm、pH3.5)で洗浄を開始し、吸光
度280nmのピーク立ち上がりから立ち下がりまでの
素通り画分を得、直ちに500mMりん酸緩衝液(pH
7.3)でpH7に中和し、高純度精製品として取得し
た。
【0120】この高純度精製品を、50mM NaCl
を含む20mMりん酸緩衝液(pH7.3)で湿潤化し
た1mのポリスルフォン中空糸(旭化成工業製)を用い
濃縮し、5mlの濃縮液を取得した。次にゲル濾過カラ
ムによる高純度精製品の緩衝液交換を行った。即ち、得
られた濃縮液5mlを、50mM NaClを含む20
mMりん酸緩衝液(pH7.3)で平衡化したそれぞれ
のSepahcryl S−300カラム(ファルマシ
ア社、直径16mm、高さ90cm)に供した。50m
M NaClを含む20mMりん酸緩衝液(pH7.
3)で展開し分画した。各画分は実施例1−(4)−a
記載のトロンビンによるプロテインC活性化を促進する
活性の測定方法により活性の確認を行ない、活性画分を
回収し緩衝液交換した高純度精製品を取得した。
【0121】実施例15 凍結した生産培養上清、すなわち実施例4の培養上清、
実施例5の培養上清、実施例6の培養上清、実施例7−
(1)の培養上清、実施例8の培養付着担体としてサイ
トデクスを用いた培養の培養上清、そして実施例8の培
養付着担体として旭化成マイクロキャリアを用いた培養
の培養上清それぞれを、精製の出発材料にした。
【0122】精製は、実施例9のイオン交換クロマトに
よる粗精製を行ない、次に粗精製品を実施例10のアフ
ィニティークロマトで精製した。そしてこの精製品を実
施例11のイオン交換クロマトで高純度精製し、実施例
12の濃縮方法で高純度精製品を濃縮し、実施例14の
ゲル濾過を行ない緩衝液置換された高純度精製品を得
た。
【0123】実施例16 高純度精製品の物性 実施例13、14、15で得られた緩衝液置換された高
純度精製品について、以下の検討をした。高純度精製品
は、界面活性剤の非存在下でpH中性の注射用蒸留水に
少なくとも10mg/mlは溶解せしめることができ
た。
【0124】また、高純度精製品を、還元、非還元の両
条件でSDS−PAGE電気泳動を行ない、クマシー染
色で検出した結果、還元で約94kDa、非還元で約7
3kDaの1本のバンドが検出された。また、パーキン
エルマー社製のプロテインシーケンサーProcise
492型を用いて、パルスリキッド法で、高純度精製品
のN末端アミノ酸解析を行なった。その結果、N末端の
アミノ酸はアラニンから始まるものとフェニルアラニン
から始まる2種類の蛋白からなり、これはそれぞれ配列
番号3の19−516及び配列番号3の17−516に
相当するアミノ酸配列と考えられた。そしてアラニンか
ら始まるもの含量比率は、それぞれの実施例の生産培養
上清由来について、実施例3:62%、実施例4:68
%、実施例5:69%,実施例6:59%、実施例7:
63%、実施例8の培養付着担体としてサイトデクス1
(ファルマシアバイオテク社製)を用いた培養:65
%、そして実施例8の培養付着担体として旭化成マイク
ロキャリア(旭化成工業製)を用いた培養:59%であ
った。
【0125】高純度精製品の翻訳後修飾解析 以下の実施例において表記されているアミノ酸の配列位
置は、配列番号3及び配列番号4に記載されたアミノ酸
配列の配列位置に相当する。 (1)N結合型糖鎖結合位置の解析 実施例13、14、15で得られた緩衝液置換された高
純度精製品について、N結合型糖鎖の結合位置を解析し
た。高純度精製品0.5mgを遠心濃縮機を用いて乾固
させ、トリス・尿素緩衝液・(8M尿素を含む200m
M Tris−HCl、pH8.0)0.5mLに溶解
した。この溶液に2−メルカプトエタノール溶液(2−
メルカプトエタノール/トリス・尿素緩衝液I=50μ
L/450μL)32μLを添加し、37℃で1時間イ
ンキュベートした。ヨード酢酸溶液(ヨード酢酸0.3
gを1mLの2M NaOHに溶かしたもの)27μL
を添加し、遮光して、室温で15分間静置した。この溶
液を1mM塩酸に透析した後、遠心濃縮機で乾固させた
ものをRCM−TMとした。RCM−TMを、トリス・
尿素緩衝液II(2M尿素を含む200mM Tris−
HCl、pH8.0)180μLに溶解し、0.1mg
/mLトリプシン溶液(溶媒はトリス・尿素緩衝液II)
45μLおよび0.1M塩化カルシウム溶液25μLを
添加し、37℃で16時間酵素消化した。
【0126】この酵素消化液を0.1%TFA/5%ア
セトニトリルで平衡化したCosmosil5C18−
ARカラム (4.6I.D.×250mm、日本国、ナ
カライテスク社製)に添加後、0.1%TFA/50%
アセトニトリルへの直線濃度勾配により、ペプチド断片
を分画した。なお、流速は0.7mL/分、カラム温度
は35℃、検出は210nmの吸収で行った。N結合型
糖鎖の付加が予想されるコンセンサスシーケンス(As
n−X−Ser/Thr)は、Asn47、Asn11
5、Asn116、Asn382、Asn409の5ケ
所あるので、これらのアスパラギン残基を含むペプチド
断片をPSQ−23、PSQ−1 (日本国、島津製作所
製)または、Applied Biosystems
Procise492(米国、パーキンエルマー社製)
を用いて、メーカーの推奨する方法に従ってアミノ酸配
列分析した。
【0127】Asn47を含むペプチド断片(Ala1
9−Arg56)のアミノ酸配列分析で、Asn47の
位置はブランク(PTH−Asnのピークが検出されな
い)であったことから、Asn47にはN結合型糖鎖が
結合していることが確認された。同様に、Asn382
を含むペプチド断片(Ala372−Arg403)、
Asn409を含むペプチド断片(Cys404−Ar
g474)をアミノ酸配列解析した結果、Asn382
およびAsn409の位置はともにブランクであったこ
とから、Asn382およびAsn409にもN結合型
糖鎖が結合していることが確認された。また、Asn1
15およびAsn116を含むペプチド断片(Gly1
07−Arg121)のアミノ酸配列を解析すると、A
sn115、Asn116の位置はブランクではない
が、検出されるPTH−Asn量が予想される量よりそ
れぞれ低いことから、Asn115に糖鎖が結合したも
の(Asn116には糖鎖が結合していない)とAsn
116に糖鎖が結合したもの(Asn115には糖鎖が
結合していない)の混合物と考えられた。このことは、
この断片の質量分析(MALDI−TOFMS)の結果
で、このペプチド断片には、N結合型糖鎖が1本結合し
た分子量しか認められないことからも支持された。
【0128】(2)N結合糖鎖構造の解析 実施例13、14、15で得られた緩衝液置換された高
純度精製品について、N結合型糖鎖構造を解析した。高
純度精製品0.5mgを脱塩後、遠心濃縮機を用いて乾
固させた。これをHydraclubS−204(日本
国、ホーネン社製)を用いて、110℃で1時間無水ヒ
ドラジンで処理し、糖鎖を切りだした。これを、250
μLの0.1M炭酸水素ナトリウムに溶解し、25μL
の無水酢酸を加え、室温で30分間静置した。この操作
を2回繰り返し、再アセチル化した。この糖鎖を宝酒造
社製のPALSTATION Model 1000
(日本国、宝酒造社製)および糖鎖分析用試薬キットを
用い、そのプロトコールに従ってピリジルアミノ(P
A)化した。脱塩して遠心濃縮機で乾固させた後、20
μLの0.2M酢酸ナトリウム緩衝液、pH5.0に溶
解した。この溶液にシアリダーゼ0.05Uを添加し、
37℃で終夜インキュベートして、アシアロPA化糖鎖
を調製した。このアシアロPA化糖鎖をTomiyaら
の方法(Tomiya、N.,et.al,1988,
Anal.Biochem.,171,73−90)に
従って2次元マッピングし、構造を推定した。
【0129】その結果、主成分はフコシルバイアンテナ
型であることが推定された(85〜90%)。その次に
多い成分はフコシルトリアンテナ型であり(10〜15
%)、この2成分が大部分を占めていた。さらに、この
主要2成分の構造は、質量分析(MALDI−TOFM
S、FAB−MS)、エキソグリコシダーゼ処理(ガラ
クトシダーゼ、GlcNAc−ase、フコシダーゼ)
による解析においても正しいことが確認できた。また、
前述の(1)で調製した各N型糖鎖結合部位を含む糖ペ
プチド断片についてもそれぞれ同様に解析したが、すべ
ての結合位置の糖鎖主成分の構造はフコシルバイアンテ
ナ型であり、結合部位による糖鎖構造の顕著な違いは認
められなかった。
【0130】(3)O結合型糖鎖結合位置の解析 実施例13、14、15で得られた緩衝液置換された高
純度精製品について、O結合型糖鎖の結合位置を解析し
た。高純度精製品1mgを脱塩した後、遠心濃縮機を用
いて乾固させ、水30μLに溶解した。この溶液に10
μLの0.25Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.
0)とAsp−N(日本国、和光純薬工業製)1μgを
添加し、室温で3日間酵素消化した。この酵素消化液を
0.1%TFA/水で平衡化したCosmosil5C
18−300カラム (4.6I.D.×150mm、日
本国、ナカライテスク社製)に添加後、0.1%TFA
/90%アセトニトリルへの直線濃度勾配により、ペプ
チド断片を分画した。なお、流速は0.8mL/分、検
出は220nmの吸収で行った。O結合型糖鎖は、プロ
リンリッチな配列付近に結合している場合が多いことか
ら、可溶化TMのC末端近傍に結合していることが予想
された。そこでC末端を含むペプチド断片(Asp48
9−Gly516)をシアリダーゼ及びガラクトシダー
ゼ処理した後、PSQ−23、PSQ−1 (日本国、島
津製作所製)または、AppliedBiosyste
ms Procise492(米国、パーキンエルマー
社製)を用いて、メーカーの推奨する方法に従ってアミ
ノ酸配列分析した。なおSer/Thrの分析サイクル
で、PTH−Ser/PTH−Thrの収量が低く、か
つPTH−Ser(GalNAc)/PTH−Thr
(GalNAc)のピークが認められる位置を糖鎖結合
位置とした。
【0131】その結果、O糖鎖結合位置としてSer4
98、Thr500、Ser503、Thr504、T
hr506の5カ所が確認された。だだし、この中でS
er503だけは部分修飾であった。Ser492につ
いてもPTH−Serが検出されないことから糖鎖の修
飾が予想されたが、PTH−Ser(GalNAc)の
ピークが認められず、糖鎖構造に違いがあることが推測
された。
【0132】(4)O結合型糖鎖構造の解析 実施例13、14、15で得られた緩衝液置換された高
純度精製品について、O結合型糖鎖構造を解析した。高
純度精製品1.0mgを脱塩後、遠心濃縮機を用いて乾
固させた。これをHydraclubS−204(日本
国、ホーネン社製)を用いて、65℃で6時間無水ヒド
ラジンで処理し、糖鎖を切りだした。これを、250μ
Lの0.1M炭酸水素ナトリウムに溶解し、25μLの
無水酢酸を加え、室温で30分間静置した。この操作を
2回繰り返し、再アセチル化した。この糖鎖を宝酒造社
製のPALSTATION Model 1000(日
本国、宝酒造社製)および単糖分析用試薬キットを用
い、そのプロトコールに従ってピリジルアミノ(PA)
化した。遠心濃縮機で乾固させた後、0.025M塩酸
中80℃で1時間加熱して、アシアロPA化糖鎖を調製
した。このアシアロPA化糖鎖をIwaseらの方法
(Iwase,et.al,J.Biochem.,1
996,120,92−97)に従ってHPLC分析を
行った結果、以下に示す4種類の糖鎖構造が存在するこ
とが推測された。 1)Galβ1,3GalNAc 2)NeuAcα2,3Galβ1,3GalNAc 3)Galβ1,3(NueAcα2,6)GalNA
c 4)NeuAcα2,3Galβ1,3(NueAcα
2,6)GalNAc
【0133】(5)グリコサミノグリカン鎖結合位置お
よび構造の解析 O結合型糖鎖結合位置の解析結果から、Ser492に
はGalβ1,3GalNAc以外の構造の糖鎖が結合
していることが推測されたので、それを含むアシアロ、
アガラクト−ペプチド断片について糖組成分析を行っ
た。すなわちAsp−N消化ペプチド断片(Asp48
9−Gly516)を蒸留水100μLで溶解し、加水
分解試験管に入れ100μLの8M TFAと混合し1
00℃、3時間加水分解を行った。これを遠心濃縮乾固
した後にN−アセチル化を行い、ピリジルアミノ化装置
(パルスステーションModel 4000、日本国宝
酒造社製)及びPALSTATION Pyridyl
amination Kit(宝酒造社製)を用いてピ
リジルアミノ化を行った。これをPALPAK Typ
eAカラム(宝酒造社製)に供し、PA−単糖を定量し
た。なお、流速は0.3ml/分で、カラム温度は65
℃、検出は蛍光Ex:310nm、Em:380nmで
行った。
【0134】その結果、Ser498、Thr500、
Ser503、Thr504、Thr506、Ser4
92に結合するGalNAc以外に、キシロースとガラ
クトースが約1:2の割合で検出された。したがって、
Ser492には、グリコサミノグリカン鎖の橋渡し4
糖の構造(Xyl−Gal−Gal−GlcA)を含む
ような糖鎖が結合していることが示唆された。
【0135】(6)Asn342のβ−ヒドロキシ化 StenfloらはEGF様構造の−Cys−X−As
p/Asn−X−X−X−X−Tyr/Phe−X−C
ys−X−Cys−配列中のAsp/Asnがβ−ヒド
ロキシ化を受けることを報告している(Stenfl
o,J.Ohlin,et.al,1987,Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA,84,36
8−372、Stenflo,J.Ohlin,et.
al,1988,J.Biol.Chem.,263,
21−24)Stenfloらのコンセンサスシーケン
スに従えば、可溶化TMには2ケ所修飾が予想される位
置がある(Asn342、Asn457)。そこで、A
sn342とAsn457を含む各ペプチド断辺のアミ
ノ酸配列解析と質量分析を行ったところ、Asn342
を含むペプチド断片は、修飾されない場合の質量より1
6質量数大きく、Asnがヒドロキシ化された場合の質
量数とほぼ一致した(M+H:Av.mass=391
7.2、ヒドロキシされていない場合は3901.
2)。この結果から、Asn342はβ−ヒドロキシ化
を受けていると考えられた。またその修飾率はMSのイ
オン強度比から90%以上と予想された。
【0136】(7)Ser305のグルコシル化 RCM−TMのトリプシン消化液中から、Ser305
を含むペプチド断片(Ser279−Arg315)を
分離し、アミノ酸配列を解析した結果、Ser305の
位置にはPTH−Serのピークは認められず、PTH
−Aspの溶出位置の近くにピークが移動していること
がわかった。また、このペプチド断片を質量分析(MA
LDI−TOFMS)した結果m/z4516にピーク
が認められ、ペプチド断片の予想質量より約162質量
数だけ大きかった。この結果から、Ser305は修飾
を受けており、ヘキソース(質量数=162)の付加が
予想された。そこで、このペプチド断片の糖組成分析を
行ったところ、グルコースが検出された。
【0137】EGF様構造中のSer残基のグルコシル
化については、いくつかの血清タンパク質について報告
されている(factorVII、factorIX、
proteinZ、thrombospondin)
(Nishimura,H.,et.al,1989,
J.Biol.Chem.,264,20320−20
325)。しかし、これまでに報告されている糖鎖構造
は、2糖(Xyl−Glc)もしくは3糖(Xyl−X
yl−Glc)であったが、可溶化TMのSer305
に結合する糖鎖はグルコース1糖でキシロースの付加は
認められず、これまでに報告されている糖鎖構造とは異
なることがわかった。また、グルコース付加のコンセン
サスシーケンスはCys−X−Ser−X−Pro−C
ysであるが、Ser305周辺のアミノ酸配列はPr
o−Gly−Ser305−Tyr−Ser−Cys−
であり、一致しない。したがって、Ser305のグル
コシル化は新しいタイプの修飾と考えられた。
【0138】実施例17 トロンボモジュリン精製工程のスケールアップとマスバ
ランス 実施例7−(1)の培養上清12Lを用い、カラムスケ
ールを容量に合わせて増大させた他は、実質的に実施例
9〜13に記載したのと同様の方法で、高純度TMを得
た。このときの精製マスバランスを下記表1に示した。
最終的に高純度TMとして約285mgが得られ、活性
回収率は38%であった。
【0139】
【表1】
【0140】更に実施例7−(1)の培養上清12Lを
用い、カラムスケールを容量に合わせて増大させた他
は、実質的に実施例9〜13に記載したのと同様の方法
で、但し実施例11に記載したSPイオン交換工程を実
施せず精製TMを得た。このときの精製マスバランスを
下記表2に示した。最終的に精製TMとして約280m
gが得られ、活性回収率は40%とSP−セファロース
を導入した場合とほぼ同様の回収率であった。
【0141】
【表2】
【0142】実施例18 混入異種蛋白質量の評価 TMウシ血清由来物、マウス抗体由来物及びCHO細胞
由来物それぞれについて、それぞれELISAによる測
定系を確立した。 (1)血清由来物の評価方法 ウシ血清とフロイント完全アジュバントとの等量乳濁液
1mlをウサギの背皮下感作した。2週間後及び3週間
後にそれぞれ背皮下に同乳濁液1mlずつを投与し、最
終感作1週間後に採血した。血液を約4℃で1晩静置し
た後、血餅を除き遠心分離した上清をとり、得られたウ
サギ抗ウシ血清成分抗血清より、硫安塩析法及びウシ血
清成分をリガンドとしたカラムクロマトグラフ法によっ
て、ウサギ抗ウシ血清成分抗体を得た。
【0143】ウサギ抗ウシ血清成分抗体をペプシンで消
化し、2F(ab’)2断片を得た。2−メルカプトエ
チルアミン塩酸塩で還元後、N−(4−カルボキシシク
ロヘキシルメチル)マレイミドのN−ヒドロキシスクシ
ンイミドエステルでマレイミド基を導入した西洋ワサビ
ペルオキシダーゼと反応させ、酵素標識抗ウシ血清成分
抗体を調製した。予想されるウシ血清成分含量が0〜2
5ng/mlとなるように、各工程の溶出液をポリソル
ベート・リン酸塩緩衝食塩液で薄め、試料溶液とした。
別にウシ血清成分標準品にポリソルベート・リン酸塩緩
衝食塩液を加えて、その1ml中に25〜1.25及び
0ngを含む液を調製し、標準溶液とした。
【0144】ポリスチレン製96穴プレートに、1穴当
たりウサギ抗ウシ血清成分抗体溶液を50μlずつ加え
た後,25℃で約2時間静置した。次いでリン酸塩緩衝
食塩液で各穴を洗浄し,ブロッキング溶液を加え,25
℃で約1時間静置した。ポリソルベート・リン酸塩緩衝
食塩液で洗った後、試料溶液及び標準溶液を100μl
ずつそれぞれの穴に加え、25℃で約16時間静置し
た。次いでポリソルベート・リン酸塩緩衝食塩液で洗浄
後,酵素標識抗ウシ血清成分抗体溶液を50μlずつ加
え、25℃で約2時間静置した。ポリソルベート・リン
酸塩緩衝食塩液で洗浄した後,酵素基質溶液を100μ
lずつ加え、25℃で約40分反応させた。薄めた硫酸
(1→4)50μlずつ加えて反応を停止させた後、9
6穴プレート用吸光度計で490nmの吸光度を測定し
た。標準溶液による検量線から、本品1ml中のウシ血
清成分の含量を求めた。標準溶液の最低濃度の1.25
ng/mLを検出限界とした。
【0145】(2)マウス抗体由来物の評価方法 マウス抗体とフロイント完全アジュバントとの等量乳濁
液1 mlをウサギの背皮下感作した。2 週間後及び3 週間
後にそれぞれ背皮下に同乳濁液1 mlずつを投与し,最終
感作1 週間後に採血した。血液を約4℃で1晩静置した
後,血餅を除き遠心分離した上清をとり、得られたウサ
ギ抗マウス抗体成分抗血清より,硫安塩析法及びマウス
抗体成分をリガンドとしたカラムクロマトグラフ法によ
って、ウサギ抗マウス抗体成分抗体を得た。
【0146】ウサギ抗マウス抗体成分抗体をペプシンで
消化し、F(ab’)2断片を得た。2−メルカプトエ
チルアミン塩酸塩で還元後、N−(4−カルボキシシク
ロヘキシルメチル)マレイミドのN−ヒドロキシスクシ
ンイミドエステルでマレイミド基を導入した西洋ワサビ
ペルオキシダーゼと反応させ、酵素標識抗マウス抗体成
分抗体を調製した。
【0147】予想されるマウス抗体成分含量が0〜25
ng/mlとなるように、各工程の溶出液をポリソルベ
ート・リン酸塩緩衝食塩液で薄め、試料溶液とした。別
にマウス抗体成分標準品にポリソルベート・リン酸塩緩
衝食塩液を加えて、その1 ml中に25〜1.25及び
0ngを含む液を調製し、標準溶液とした。ポリスチレ
ン製96穴プレートに、1穴当たりウサギ抗マウス抗体
成分抗体溶液を50μlずつ加えた後、25℃で約2時
間静置した。次いでリン酸塩緩衝食塩液で各穴を洗浄
し、ブロッキング溶液を加え、25℃で約1時間静置し
た。ポリソルベート・リン酸塩緩衝食塩液で洗った後、
試料溶液及び標準溶液を100μlずつそれぞれの穴に
加え、25℃で約16時間静置した。次いでポリソルベ
ート・リン酸塩緩衝食塩液で洗浄後、酵素標識抗マウス
抗体成分抗体溶液を50μlずつ加え、25℃で約2時
間静置した。ポリソルベート・リン酸塩緩衝食塩液で洗
浄した後、酵素基質溶液を100μlずつ加え、25℃
で約40分反応させた。薄めた硫酸(1→4)50μl
ずつ加えて反応を停止させた後、96穴プレート用吸光
度計で490nmの吸光度を測定した。標準溶液による
検量線から、本品1ml中のマウス抗体成分の含量を求
めた。標準溶液の最低濃度の1.25ng/mLを検出
限界とした。
【0148】(3)CHO細胞由来物の評価方法 CHO細胞を無血清培地で培養した上清を濃縮し、CH
O細胞由来物を得た。CHO細胞由来物とフロイント完
全アジュバントとの等量乳濁液1mlをウサギの背皮下
感作した。2週間後及び3週間後にそれぞれ背皮下に同
乳濁液1mlずつを投与し、最終感作1週間後に採血し
た。血液を約4℃で1晩静置した後、血餅を除き遠心分
離した上清をとり、得られたウサギ抗CHO細胞由来物
成分抗血清より、硫安塩析法及びカラムクロマトグラフ
法によって、ウサギ抗CHO細胞由来物成分抗体を得
た。
【0149】ウサギ抗CHO細胞由来物成分抗体をペプ
シンで消化し、F(ab’)2断片を得た。2−メルカ
プトエチルアミン塩酸塩で還元後、N− (4−カルボキ
シシクロヘキシルメチル)マレイミドのN−ヒドロキシ
スクシンイミドエステルでマレイミド基を導入した西洋
ワサビペルオキシダーゼと反応させ、酵素標識抗CHO
細胞由来物成分抗体を調製した。
【0150】予想されるCHO細胞由来物成分含量が0
〜500ng/mlとなるように、各工程の溶出液をポ
リソルベート・リン酸塩緩衝食塩液で薄め、試料溶液と
した。別にCHO細胞由来物成分標準品にポリソルベー
ト・リン酸塩緩衝食塩液を加えて、その1ml中に50
0〜25及び0ngを含む液を調製し、標準溶液とし
た。
【0151】ポリスチレン製96穴プレートに、1穴当
たりウサギ抗CHO細胞由来物成分抗体溶液を100μ
lずつ加えた後、25℃で約2時間静置した。次いでリ
ン酸塩緩衝食塩液で各穴を洗浄し、ブロッキング溶液を
加え、25℃で約1時間静置した。ポリソルベート・リ
ン酸塩緩衝食塩液で洗った後、試料溶液及び標準溶液を
100μlずつそれぞれの穴に加え、25℃で約16時
間静置した。次いでポリソルベート・リン酸塩緩衝食塩
液で洗浄後、酵素標識抗CHO細胞由来物成分抗体溶液
を50μlずつ加え、25℃で約2時間静置した。ポリ
ソルベート・リン酸塩緩衝食塩液で洗浄した後、酵素基
質溶液を100μlずつ加え、25℃で約40分反応さ
せた。薄めた硫酸(1→4)50μlずつ加えて反応を
停止させた後、96穴プレート用吸光度計で490nm
の吸光度を測定した。標準溶液による検量線から、本品
1ml中のCHO細胞由来物成分の含量を求めた。標準
溶液の最低濃度の25ng/mLを検出限界とした。
【0152】(4)各混入成分量の評価 これらの評価方法を用いて、実施例17の表1、表2に
示した高純度及び精製可溶性TMの精製各段における混
入量をそれぞれ評価した。結果を表3、表4に示した。
SPイオン交換工程の導入によって、各成分の混入量を
同時に劇的に減じることができた。同様の実験を計5回
実施したが、ウシ血清由来物とマウス抗体由来物に関し
てはいずれも検出されなかった。これに対してSPを用
いない場合は、それぞれの含量は一定せず、5回の実験
で血清由来物が15〜136μg、血清由来物が8〜3
6μgであった。
【0153】
【表3】
【0154】
【表4】
【0155】実施例19 実施例17でSPセファロース工程を用いずに精製され
た、精製TM溶液を用い、同イオン交換工程の溶出挙動
に影響を与える因子として、食塩濃度及びpHを変化さ
せ、混入異種蛋白除去効率に与える影響を調べた。用い
た溶媒条件は下記の通りであった。 1、食塩濃度0.1M、pH2.5、比伝導度16ms
/cm 2、食塩濃度0.1M、pH3.0、比伝導度13ms
/cm 3、食塩濃度0.1M、pH3.5、比伝導度12ms
/cm 4、食塩濃度0.1M、pH4.0、比伝導度11ms
/cm 5、食塩濃度0.1M、pH4.8、比伝導度11ms
/cm 6、食塩濃度0.25M、pH2.5、比伝導度30m
s/cm 7、食塩濃度0.25M、pH3.0、比伝導度27m
s/cm 8、食塩濃度0.25M、pH3.5、比伝導度26m
s/cm 9、食塩濃度0.25M、pH4.0、比伝導度26m
s/cm 10、食塩濃度0.25M、pH4.8、比伝導度25
ms/cm 11、食塩濃度0.3M、pH2.5、比伝導度34m
s/cm 12、食塩濃度0.3M、pH3.0、比伝導度32m
s/cm 13、食塩濃度0.3M、pH3.5、比伝導度31m
s/cm 14、食塩濃度0.3M、pH4.0、比伝導度30m
s/cm 15、食塩濃度0.3M、pH4.8、比伝導度30m
s/cm 16、食塩濃度0.32M、pH2.5、比伝導度36
ms/cm 17、食塩濃度0.32M、pH3.0、比伝導度34
ms/cm 18、食塩濃度0.32M、pH3.5、比伝導度32
ms/cm 19、食塩濃度0.32M、pH4.0、比伝導度31
ms/cm 20、食塩濃度0.32M、pH4.8、比伝導度32
ms/cm
【0156】精製TM溶液各32mlを上記各条件に調
整した100mMグリシン塩酸緩衝液に透析し、溶媒を
交換した。また同じ組成の各緩衝液で平衡化したSP−
SepharoseFFカラム(直径16mm、高さ5
mm)に供した。更に同緩衝液で洗浄を開始し、吸光度
280nmのピーク立ち上がりから立ち下がりまでの素
通り画分を得、直ちに500mMりん酸緩衝液(pH
7.3)でpH7に中和し、中和した洗浄液を精製品と
して取得した。
【0157】得られた精製品に関して実施例18と同様
にウシ血清成分及びマウス抗体成分の混入量を評価する
と共に、TMの活性回収率を評価し、実質的に精製操作
が可能な条件範囲を決定した。その結果を表5に示し
た。
【0158】
【表5】
【0159】ウシ血清由来物およびマウス抗体由来物を
同時に除去でき、かつ良好なTM活性回収率を達成でき
る条件は、0.25〜0.32M、好ましくは約0.3
M食塩濃度、即ち、25〜34ms/cm、好ましくは
約31ms/cm前後の比伝導度の条件であり、pHは
pH3.0〜4.0、好ましくはpH約3.5の条件で
あった。
【0160】実施例20 E456生産用細胞の作製 (1)プラスミドpSV2TME456の構築 実施例1記載の方法に従い、配列番号6に示すディリー
ターTMD2:5’−GAAGCACGGGTCCCC
CAGGCCGGCC−3’(25mer)を用い、実
施例1−(1)で作製した組換え体プラスミドM13T
MD123の1050塩基からなる部分の削除を行っ
た。得られた組換え体プラスミドをM13TME456
D3と称した。更にこの組換え体プラスミドM13TM
E456D3は、配列番号3のアミノ酸残基番号1の開
始コドン(ATG)から16のGly及び、367から
516のアミノ酸からなるヒトトロンボモジュリンの部
分配列をコードする塩基配列を含有するDNA断片を有
することがわかった。さらに、配列番号7に示すディリ
ーターTMD2:5’−GGAGGCCGCTCAAC
AGTCGGTGCCA−3’(25mer)を用い、
M13TME456D3の108塩基からなる部分の削
除を行った。得られた組換え体プラスミドをM13TM
E456と称した。更にこの組換え体プラスミドM13
TME456は、配列番号1に示す開始コドン(AT
G)とその下流に130個のアミノ酸からなるヒトトロ
ンボモジュリンの部分配列をコードする塩基配列を含有
するDNA断片を有することがわかった。この組換え体
プラスミドをM13TME456に含まれるDNA断片
をTME456と称した。
【0161】この組換え体プラスミドM13TME45
6をHindIIIおよびBamHIで完全消化してT
MD123の約600bpのDNA断片を単離した。一
方、プラスミドpSV2DHFR(ATCC 3714
6)をHindIII及びBglIIで完全消化してベク
ター断片を得た。このベクター断片と、先のDNA断片
TME456とをT4 DNAリガーゼを用いて継ぎあわ
せ、プラスミドpSV2TME456を得た。
【0162】(2)TME456製造用高生産細胞の樹
立 実施例1−(2)、(3)、(4)、(5)の方法に従
い、プラスミドpSV2TME456とプラスミドpS
V2−DHFRによるCHO細胞の形質転換、形質転換
したCHO細胞からDHFR産生株の選択、E456生
産株の選択、MTXによるE456生産性の増幅を行
い、MTX濃度の上昇により効率的にE456の生産性
が増幅され、2μMMTX濃度で、約8pg/細胞・
日、20μMMTX濃度で、約14pg/細胞・日、1
00μMで40pg/細胞・日という高生産の細胞株が
樹立された。また、実施例1−(6)の方法に従い、E
456生産が安定であることを確認し、更に実施例1−
(7)記載の方法に従い、浮遊培養馴化株を取得した。
【0163】実施例21 TME456高生産細胞によるTMを製造する培養 実施例2に記載の方法に従い、TM製造用培地を調製し
た。また、TM生産細胞を増殖させる培養は、実施例3
に記載の方法に従い、後述するTMを製造する培養に必
要なスケール、細胞数を満たすような継代を行った。
【0164】(1)浮遊培養での繰り返しバッチ培養 実施例3記載の方法に従いTMを製造する培養を行っ
た。生産培養結果は、平均生細胞密度2.9×106
ells/mlで、平均生産性は58mg/L/day
であった。
【0165】(2)浮遊培養でのバッチ培養 実施例4記載の方法に従いTMを製造する培養を行っ
た。生産培養は10日間培養し、到達生細胞密度2.0
×106 cells/mlで、累積生産性は38mg/
Lであった。
【0166】(3)浮遊培養での連続培養 実施例5記載の方法に従いTMを製造する培養を行っ
た。生産培養結果は、平均生細胞密度11.4×106
cells/mlで、平均生産性は137mg/L/d
ayであった。
【0167】(4)浮遊培養での連続培養 実施例6記載の方法に従いTMを製造する培養を行っ
た。生産培養結果は、平均生細胞密度11.9×106
cells/mlで、平均生産性は128mg/L/d
ayであった。
【0168】(5)浮遊培養での連続培養 実施例7−(1)記載の方法に従いTMを製造する培養
を行った。生産培養結果は、平均生細胞密度12.3×
106 cells/mlで、平均生産性は135mg/
L/dayであった。
【0169】(6)付着培養での繰り返しバッチ培養 実施例8記載の方法に従いTMを製造する培養を行っ
た。生産培養結果は、平均細胞密度はサイトデクス1使
用の培養で2.8×106cells/mlで、平均生
産性は48mg/L/dayであり、また平均細胞密度
は旭化成マイクロキャリア使用の培養で6.2×106
cells/mlで、平均生産性は89mg/L/da
yであった。
【0170】実施例22 TME456高生産細胞による培養上清の精製 (1)強陰イオン交換樹脂カラムによる粗精製 実施例21−(1)で取得した−20℃凍結培養上清5
Lを溶解し、0.2μmのメンブレンフィルター(ミリ
ポア社、ミリパック20)で濾過した。濾過した培養上
清については、150mM NaClを含む20mMト
リス塩緩衝液(pH7.4)で平衡化したQ−Seph
arose(ファルマシア社)カラム(直径90mm、
高さ11cm)に供した。次に150mM NaClを
含む20mMトリス塩緩衝液(pH7.4)で洗浄を行
ない、300mM NaClを含む20mMトリス塩緩
衝液(pH7.4)で溶出を開始し、溶出液の吸光度2
80nmのピーク立ち上がりからの1.0カラムボリュ
ーム容量の溶出液を粗精製品として取得した。
【0171】(2)アフィニティーカラム(トロンビン
カラム)による主精製 実施例22−(1)で得られた溶出画分400mlを1
00mM NaCl及び0.5mM塩化カルシウムを含
む20mMトリス緩衝液(pH7.4)に対して透析し
た。透析後、100mM NaCl及び0.5mM塩化
カルシウムを含む20mMトリス緩衝液(pH7.4)
で平衡化したDIP−トロンビン−アガロース(PAE
SE LOREI社、06−148−1035、直径5
0mm、高さ6cm)に供した。300mM NaCl
及び0.5mM塩化カルシウムを含む20mMトリス緩
衝液(pH7.4)で洗浄後、1.0M NaCl及び
0.5mM塩化カルシウムを含む20mMトリス緩衝液
(pH7.4)で溶出を開始し、溶出液の吸光度280
nmのピーク立ち上がりから立ち下がりまでの溶出液を
主精製品として取得した。
【0172】(3)アフィニティーカラム(抗体A)に
よる主精製 実施例1−(5)で作製した抗TMモノクローナル(抗
体A)を実施例11に従いカラム化し、抗TMモノクロ
ーナル(抗体A)カラムを作製した。次いで、実施例2
2−(1)で得られた溶出画分400mlを、1.0M
NaCl含む20mMりん酸緩衝液(pH7.3)で
平衡化したモノクローナル抗体(抗体A)カラム(直径
50mm、高さ6cm)に供した。1.0M NaCl
を含む20mMりん酸緩衝液(pH7.3)を流し、更
に100mM酢酸緩衝液を流し洗浄し、0.3M Na
Cl含む100mMグリシン塩酸緩衝液(pH3.0)
で溶出を開始し、溶出液の吸光度280nmのピーク立
ち上がりから立ち下がりまでの溶出液を主精製品として
取得した。
【0173】(4)強陽イオン交換樹脂カラムによる高
純度精製 (4)−1 トロンビンカラム溶出液の精製 実施例22−(2)で得られた溶出液200mlに10
0mMグリシン塩酸緩衝液(pH3.5)を加え希釈し
た液を、次に1.0Mグリシン塩酸緩衝液(pH2.
0)でpH3.5に調製した。この希釈pH調製した溶
出液を300mMNaClを含む100mMグリシン塩
酸緩衝液(比伝導度31ms/cm、pH3.5)で平
衡化したSP−SepharoseFF(ファルマシア
社)カラム(直径26mm、高さ3cm)に供した。3
00mM NaClを含む100mMグリシン塩酸緩衝
液(比伝導度31ms/cm、pH3.5)で洗浄を開
始し、吸光度280nmのピーク立ち上がりから立ち下
がりまでの素通り画分を得、直ちに500mMりん酸緩
衝液(pH7.3)でpH7に中和し、高純度精製品と
して取得した。
【0174】(4)−2 抗体カラム溶出液の精製 実施例22−(3)で得られた溶出液180mlに10
0mMグリシン塩酸緩衝液(pH3.5)を加え希釈し
た液を、次に1.0Mグリシン塩酸緩衝液(pH2.
0)でpH3.5に調製した。この希釈、pH調製した
液を、300mMNaClを含む100mMグリシン塩
酸緩衝液(pH3.5)で平衡化したSP−Sepha
roseFF(ファルマシア社)カラム(直径26m
m、高さ3cm)に供した。300mM NaClを含
む100mMグリシン塩酸緩衝液(pH3.5)で洗浄
を開始し、溶出液の吸光度280nmのピーク立ち上が
りから立ち下がりまでの溶出液を得、直ちに500mM
りん酸緩衝液(pH7.3)でpH7に中和し、中和し
た溶出液を高純度精製品として取得した。
【0175】(5)ポリスルフォン中空糸による高純度
精製品の濃縮 実施例22−(4)で得られた高純度精製品をそれぞ
れ、50mM NaClを含む20mMりん酸緩衝液
(pH7.3)で湿潤化した1mのポリスルフォン中空
糸(旭化成工業製)を用い濃縮し、それぞれ5mlの濃
縮液を取得した。
【0176】(6)ゲル濾過カラムによる高純度精製品
の緩衝液交換 実施例22−(5)で得られたそれぞれの濃縮液5ml
を、50mM NaClを含む20mMりん酸緩衝液
(pH7.3)で平衡化したそれぞれのSepahcr
yl S−200カラム(ファルマシア社、直径16m
m、高さ90cm)に供した。50mM NaClを含
む20mMりん酸緩衝液(pH7.3)で展開し分画し
た。各画分は実施例1−(4)−a記載のトロンビンに
よるプロテインC活性化を促進する活性の測定法方によ
り活性の確認を行ない活性画分を回収し緩衝液交換した
高純度精製品を取得した。
【0177】実施例23 凍結した生産培養上清、すなわち実施例21−(2)の
培養上清、実施例22−(3)の培養上清,実施例22
−(4)の培養上清、実施例22−(5)の培養上清、
実施例22−(6)の培養付着担体としてサイトデクス
を用いた培養の培養上清、そして実施例8の培養付着担
体として旭化成マイクロキャリアを用いた培養の培養上
清それぞれを、精製の出発材料にした。精製は、実施例
22−(1)のイオン交換クロマトによる粗精製を行な
い、次に粗精製品を実施例22−(3)のアフィニティ
ークロマトで主精製した。そして主精製品を実施例22
−(4)−2のイオン交換クロマトで高純度精製し、実
施例22−(5)の濃縮方法で高純度精製品を濃縮し、
実施例22−(6)のゲル濾過を行ない緩衝液置換され
た高純度精製品を得た。
【0178】実施例24 高純度精製品の物性 実施例23で得られた緩衝液置換された高純度精製品に
ついて、以下の検討をした。高純度精製品は、界面活性
剤の非存在下でpH中性の注射用蒸留水に少なくとも1
0mg/mlは溶解せしめることができた。
【0179】また、高純度精製品を、還元、非還元の両
条件でSDS−PAGE電気泳動を行ない、クマシー染
色でにより検出した結果、還元で約26kDa、非還元
で約21−24kDaの1本のバンドが検出された。ま
た、パーキンエルマー社製のプロテインシーケンサーP
rocise492型を用いて、パルスリキッド法で、
高純度精製品のN末端アミノ酸解析を行なった。その結
果、N末端のアミノ酸は全ての高純度精製品サンプルで
アスパラギンから始まる1種類の蛋白からなり、これは
配列番号1の17−130に相当するアミノ酸配列と考
えられた。またいずれの高純度精製品についても、ウシ
血清由来物、マウス抗体由来物の混入量は検出限界以下
であった。
【0180】実施例25 高純度精製品の凍結乾燥 注射用蒸留水2mlあたり1mgの実施例17で得られ
た高純度TMを含む溶液を調製した。このTM溶液にマ
ンニトール10mgを添加した。また別にこのTM溶液
にアルギニン−塩酸塩0.1mmolを添加した。これ
らの溶液を2mlずつガラスバイアル瓶に分注し、凍結
乾燥を行った。凍結乾燥は−40℃で18時間予備凍結
し、−40〜+20℃、真空度0.05〜0.01mm
Hgで40時間一次乾燥し、ついで20℃、真空度0.
05〜0.01mmHgで6時間二次乾燥した。得られ
た凍結乾燥品は、紙箱内で遮光保存した。場合によって
は、褐色ガラスバイアルを用いる。
【0181】
【発明の効果】本発明は、抗血液凝固剤あるいは血栓溶
解剤等として有効な医薬品となりうる可溶性トロンボモ
ジュリンの製造において、血清由来物および抗体由来を
実質的に含まない、高純度トロンボモジュリンの製造方
法を提供できる。そして、その培地を用いるトロンボモ
ジュリンの製造方法を提供できる。
【0182】
【配列表】 <110> 旭化成工業株式会社 <120> 高純度可溶性トロンボモジュリンの製造方法 <150> 日本 平成10年特許願第84389号 <151> 平成10年3月30日 <160> 7 <210> 1 <211> 390 <212> RNA <213> ヒト(human) <220> <221> CDS <222> (1)...(390) <400> 1 atg ctt ggg gtc ctg gtc ctt ggc gcg ctg gcc ctg gcc ggc ctg ggg 48 Met Leu Gly Val Leu Val Leu Gly Ala Leu Ala Leu Ala Gly Leu Gly 1 5 10 15 gac ccg tgc ttc aga gcc aac tgc gag tac cag tgc cag ccc ctg aac 96 Asp Pro Cys Phe Arg Ala Asn Cys Glu Tyr Gln Cys Gln Pro Leu Asn 20 25 30 caa act agc tac ctc tgc gtc tgc gcc gag ggc ttc gcg ccc att ccc 144 Gln Thr Ser Tyr Leu Cys Val Cys Ala Glu Gly Phe Ala Pro Ile Pro 35 40 45 cac gag ccg cac agg tgc cag atg ttt tgc aac cag act gcc tgt cca 192 His Glu Pro His Arg Cys Gln Met Phe Cys Asn Gln Thr Ala Cys Pro 50 55 60 gcc gac tgc gac ccc aac acc cag gct agc tgt gag tgc cct gaa ggc 240 Ala Asp Cys Asp Pro Asn Thr Gln Ala Ser Cys Glu Cys Pro Glu Gly 65 70 75 80 tac atc ctg gac gac ggt ttc atc tgc acg gac atc gac gag tgc gaa 288 Tyr Ile Leu Asp Asp Gly Phe Ile Cys Thr Asp Ile Asp Glu Cys Glu 85 90 95 aac ggc ggc ttc tgc tcc ggg gtg tgc cac aac ctc ccc ggt acc ttc 336 Asn Gly Gly Phe Cys Ser Gly Val Cys His Asn Leu Pro Gly Thr Phe 100 105 110 gag tgc atc tgc ggg ccc gac tcg gcc ctt gtc cgc cac att ggc acc 384 Glu Cys Ile Cys Gly Pro Asp Ser Ala Leu Val Arg His Ile Gly Thr 115 120 125 gac tgt 390 Asp Cys <210> 2 <211> 390 <212> RNA <213> ヒト(human) <220> <221> CDS <222> (1)...(390) <400> 2 atg ctt ggg gtc ctg gtc ctt ggc gcg ctg gcc ctg gcc ggc ctg ggg 48 Met Leu Gly Val Leu Val Leu Gly Ala Leu Ala Leu Ala Gly Leu Gly 1 5 10 15・ gac ccg tgc ttc aga gcc aac tgc gag tac cag tgc cag ccc ctg aac 96 Asp Pro Cys Phe Arg Ala Asn Cys Glu Tyr Gln Cys Gln Pro Leu Asn 20 25 30・ caa act agc tac ctc tgc gtc tgc gcc gag ggc ttc gcg ccc att ccc 144 Gln Thr Ser Tyr Leu Cys Val Cys Ala Glu Gly Phe Ala Pro Ile Pro 35 40 45・ cac gag ccg cac agg tgc cag atg ttt tgc aac cag act gcc tgt cca 192 His Glu Pro His Arg Cys Gln Met Phe Cys Asn Gln Thr Ala Cys Pro 50 55 60・ gcc gac tgc gac ccc aac acc cag gct agc tgt gag tgc cct gaa ggc 240 Ala Asp Cys Asp Pro Asn Thr Gln Ala Ser Cys Glu Cys Pro Glu Gly 65 70 75 80 tac atc ctg gac gac ggt ttc atc tgc acg gac atc gac gag tgc gaa 288 Tyr Ile Leu Asp Asp Gly Phe Ile Cys Thr Asp Ile Asp Glu Cys Glu 85 90 95 aac ggc ggc ttc tgc tcc ggg gtg tgc cac aac ctc ccc ggt acc ttc 336 Asn Gly Gly Phe Cys Ser Gly Val Cys His Asn Leu Pro Gly Thr Phe 100 105 110 gag tgc atc tgc ggg ccc gac tcg gcc ctt gcc cgc cac att ggc acc 384 Glu Cys Ile Cys Gly Pro Asp Ser Ala Leu Ala Arg His Ile Gly Thr 115 120 125・ gac tgt 390 Asp Cys <210> 3 <211> 1548 <212> RNA <213> ヒト(human) <220) <221> CDS <222> (1)...(1548) <400> 3 atg ctt ggg gtc ctg gtc ctt ggc gcg ctg gcc ctg gcc ggc ctg ggg 48 Met Leu Gly Val Leu Val Leu Gly Ala Leu Ala Leu Ala Gly Leu Gly 1 5 10 15 ttc ccc gca ccc gca gag ccg cag ccg ggt ggc agc cag tgc gtc gag 96 Phe Pro Ala Pro Ala Glu Pro Gln Pro Gly Gly Ser Gln Cys Val Glu 20 25 30 cac gac tgc ttc gcg ctc tac ccg ggc ccc gcg acc ttc ctc aat gcc 144 His Asp Cys Phe Ala Leu Tyr Pro Gly Pro Ala Thr Phe Leu Asn Ala 35 40 45・ agt cag atc tgc gac gga ctg cgg ggc cac cta atg aca gtg cgc tcc 192 Ser Gln Ile Cys Asp Gly Leu Arg Gly His Leu Met Thr Val Arg Ser 50 55 60・ tcg gtg gct gcc gat gtc att tcc ttg cta ctg aac ggc gac ggc ggc 240 Ser Val Ala Ala Asp Val Ile Ser Leu Leu Leu Asn Gly Asp Gly Gly 65 70 75 80 gtt ggc cgc cgg cgc ctc tgg atc ggc ctg cag ctg cca ccc ggc tgc 288 Val Gly Arg Arg Arg Leu Trp Ile Gly Leu Gln Leu Pro Pro Gly Cys 85 90 95 ggc gac ccc aag cgc ctc ggg ccc ctg cgc ggc ttc cag tgg gtt acg 336 Gly Asp Pro Lys Arg Leu Gly Pro Leu Arg Gly Phe Gln Trp Val Thr 100 105 110 gga gac aac aac acc agc tat agc agg tgg gca cgg ctc gac ctc aat 384 Gly Asp Asn Asn Thr Ser Tyr Ser Arg Trp Ala Arg Leu Asp Leu Asn 115 120 125 ggg gct ccc ctc tgc ggc ccg ttg tgc gtc gct gtc tcc gct gct gag 432 Gly Ala Pro Leu Cys Gly Pro Leu Cys Val Ala Val Ser Ala Ala Glu 130 135 140 gcc act gtg ccc agc gag ccg atc tgg gag gag cag cag tgc gaa gtg 480 Ala Thr Val Pro Ser Glu Pro Ile Trp Glu Glu Gln Gln Cys Glu Val 145 150 155 160 aag gcc gat ggc ttc ctc tgc gag ttc cac ttc cca gcc acc tgc agg 528 Lys Ala Asp Gly Phe Leu Cys Glu Phe His Phe Pro Ala Thr Cys Arg 165 170 175 cca ctg gct gtg gag ccc ggc gcc gcg gct gcc gcc gtc tcg atc acc 576 Pro Leu Ala Val Glu Pro Gly Ala Ala Ala Ala Ala Val Ser Ile Thr 180 185 190 tac ggc acc ccg ttc gcg gcc cgc gga gcg gac ttc cag gcg ctg ccg 624 Tyr Gly Thr Pro Phe Ala Ala Arg Gly Ala Asp Phe Gln Ala Leu Pro 195 200 205 gtg ggc agc tcc gcc gcg gtg gct ccc ctc ggc tta cag cta atg tgc 672 Val Gly Ser Ser Ala Ala Val Ala Pro Leu Gly Leu Gln Leu Met Cys 210 215 220 acc gcg ccg ccc gga gcg gtc cag ggg cac tgg gcc agg gag gcg ccg 720 Thr Ala Pro Pro Gly Ala Val Gln Gly His Trp Ala Arg Glu Ala Pro 225 230 235 240 ggc gct tgg gac tgc agc gtg gag aac ggc ggc tgc gag cac gcg tgc 768 Gly Ala Trp Asp Cys Ser Val Glu Asn Gly Gly Cys Glu His Ala Cys 245 250 255 aat gcg atc cct ggg gct ccc cgc tgc cag tgc cca gcc ggc gcc gcc 816 Asn Ala Ile Pro Gly Ala Pro Arg Cys Gln Cys Pro Ala Gly Ala Ala 260 265 270 ctg cag gca gac ggg cgc tcc tgc acc gca tcc gcg acg cag tcc tgc 864 Leu Gln Ala Asp Gly Arg Ser Cys Thr Ala Ser Ala Thr Gln Ser Cys 275 280 285 aac gac ctc tgc gag cac ttc tgc gtt ccc aac ccc gac cag ccg ggc 912 Asn Asp Leu Cys Glu His Phe Cys Val Pro Asn Pro Asp Gln Pro Gly 290 295 300 tcc tac tcg tgc atg tgc gag acc ggc tac cgg ctg gcg gcc gac caa 960 Ser Tyr Ser Cys Met Cys Glu Thr Gly Tyr Arg Leu Ala Ala Asp Gln 305 310 315 320 cac cgg tgc gag gac gtg gat gac tgc ata ctg gag ccc agt ccg tgt 1008 His Arg Cys Glu Asp Val Asp Asp Cys Ile Leu Glu Pro Ser Pro Cys 325 330 335 ccg cag cgc tgt gtc aac aca cag ggt ggc ttc gag tgc cac tgc tac 1056 Pro Gln Arg Cys Val Asn Thr Gln Gly Gly Phe Glu Cys His Cys Tyr 340 345 350 cct aac tac gac ctg gtg gac ggc gag tgt gtg gag ccc gtg gac ccg 1104 Pro Asn Tyr Asp Leu Val Asp Gly Glu Cys Val Glu Pro Val Asp Pro 355 360 365 tgc ttc aga gcc aac tgc gag tac cag tgc cag ccc ctg aac caa act 1152 Cys Phe Arg Ala Asn Cys Glu Tyr Gln Cys Gln Pro Leu Asn Gln Thr 370 375 380 agc tac ctc tgc gtc tgc gcc gag ggc ttc gcg ccc att ccc cac gag 1200 Ser Tyr Leu Cys Val Cys Ala Glu Gly Phe Ala Pro Ile Pro His Glu 385 390 395 400 ccg cac agg tgc cag atg ttt tgc aac cag act gcc tgt cca gcc gac 1248 Pro His Arg Cys Gln Met Phe Cys Asn Gln Thr Ala Cys Pro Ala Asp 405 410 415 tgc gac ccc aac acc cag gct agc tgt gag tgc cct gaa ggc tac atc 1296 Cys Asp Pro Asn Thr Gln Ala Ser Cys Glu Cys Pro Glu Gly Tyr Ile 420 425 430 ctg gac gac ggt ttc atc tgc acg gac atc gac gag tgc gaa aac ggc 1344 Leu Asp Asp Gly Phe Ile Cys Thr Asp Ile Asp Glu Cys Glu Asn Gly 435 440 445 ggc ttc tgc tcc ggg gtg tgc cac aac ctc ccc ggt acc ttc gag tgc 1392 Gly Phe Cys Ser Gly Val Cys His Asn Leu Pro Gly Thr Phe Glu Cys 450 455 460・ atc tgc ggg ccc gac tcg gcc ctt gtc cgc cac att ggc acc gac tgt 1440 Ile Cys Gly Pro Asp Ser Ala Leu Val Arg His Ile Gly Thr Asp Cys 465 470 475 480 gac tcc ggc aag gtg gac ggt ggc gac agc ggc tct ggc gag ccc ccg 1488 Asp Ser Gly Lys Val Asp Gly Gly Asp Ser Gly Ser Gly Glu Pro Pro 485 490 495 ccc agc ccg acg ccc ggc tcc acc ttg act cct ccg gcc gtg ggg ctc 1536 Pro Ser Pro Thr Pro Gly Ser Thr Leu Thr Pro Pro Ala Val Gly Leu 500 505 510 gtg cat tcg ggc 1548 Val His Ser Gly <210> 4 <211> 1548 <212> RNA <213> ヒト(human) <220> <221> CDS <222> (1)...(1548) <400> 4 atg ctt ggg gtc ctg gtc ctt ggc gcg ctg gcc ctg gcc ggc ctg ggg 48 Met Leu Gly Val Leu Val Leu Gly Ala Leu Ala Leu Ala Gly Leu Gly 1 5 10 15 <222> (1)...(1548) <400> 3 cac gac tgc ttc gcg ctc tac ccg ggc ccc gcg acc ttc ctc aat gcc 144 His Asp Cys Phe Ala Leu Tyr Pro Gly Pro Ala Thr Phe Leu Asn Ala 35 40 45 agt cag atc tgc gac gga ctg cgg ggc cac cta atg aca gtg cgc tcc 192 Ser Gln Ile Cys Asp Gly Leu Arg Gly His Leu Met Thr Val Arg Ser 50 55 60 tcg gtg gct gcc gat gtc att tcc ttg cta ctg aac ggc gac ggc ggc 240 Ser Val Ala Ala Asp Val Ile Ser Leu Leu Leu Asn Gly Asp Gly Gly 65 70 75 80 gtt ggc cgc cgg cgc ctc tgg atc ggc ctg cag ctg cca ccc ggc tgc 288 Val Gly Arg Arg Arg Leu Trp Ile Gly Leu Gln Leu Pro Pro Gly Cys 85 90 95 ggc gac ccc aag cgc ctc ggg ccc ctg cgc ggc ttc cag tgg gtt acg 336 Gly Asp Pro Lys Arg Leu Gly Pro Leu Arg Gly Phe Gln Trp Val Thr 100 105 110 gga gac aac aac acc agc tat agc agg tgg gca cgg ctc gac ctc aat 384 Gly Asp Asn Asn Thr Ser Tyr Ser Arg Trp Ala Arg Leu Asp Leu Asn 115 120 125 ggg gct ccc ctc tgc ggc ccg ttg tgc gtc gct gtc tcc gct gct gag 432 Gly Ala Pro Leu Cys Gly Pro Leu Cys Val Ala Val Ser Ala Ala Glu 130 135 140 gcc act gtg ccc agc gag ccg atc tgg gag gag cag cag tgc gaa gtg 480 Ala Thr Val Pro Ser Glu Pro Ile Trp Glu Glu Gln Gln Cys Glu Val 145 150 155 160 aag gcc gat ggc ttc ctc tgc gag ttc cac ttc cca gcc acc tgc agg 528 Lys Ala Asp Gly Phe Leu Cys Glu Phe His Phe Pro Ala Thr Cys Arg 165 170 175 cca ctg gct gtg gag ccc ggc gcc gcg gct gcc gcc gtc tcg atc acc 576 Pro Leu Ala Val Glu Pro Gly Ala Ala Ala Ala Ala Val Ser Ile Thr 180 185 190 tac ggc acc ccg ttc gcg gcc cgc gga gcg gac ttc cag gcg ctg ccg 624 Tyr Gly Thr Pro Phe Ala Ala Arg Gly Ala Asp Phe Gln Ala Leu Pro 195 200 205 gtg ggc agc tcc gcc gcg gtg gct ccc ctc ggc tta cag cta atg tgc 672 Val Gly Ser Ser Ala Ala Val Ala Pro Leu Gly Leu Gln Leu Met Cys 210 215 220 acc gcg ccg ccc gga gcg gtc cag ggg cac tgg gcc agg gag gcg ccg 720 Thr Ala Pro Pro Gly Ala Val Gln Gly His Trp Ala Arg Glu Ala Pro 225 230 235 240 ggc gct tgg gac tgc agc gtg gag aac ggc ggc tgc gag cac gcg tgc 768 Gly Ala Trp Asp Cys Ser Val Glu Asn Gly Gly Cys Glu His Ala Cys 245 250 255 aat gcg atc cct ggg gct ccc cgc tgc cag tgc cca gcc ggc gcc gcc 816 Asn Ala Ile Pro Gly Ala Pro Arg Cys Gln Cys Pro Ala Gly Ala Ala 260 265 270 ctg cag gca gac ggg cgc tcc tgc acc gca tcc gcg acg cag tcc tgc 864 Leu Gln Ala Asp Gly Arg Ser Cys Thr Ala Ser Ala Thr Gln Ser Cys 275 280 285 aac gac ctc tgc gag cac ttc tgc gtt ccc aac ccc gac cag ccg ggc 912 Asn Asp Leu Cys Glu His Phe Cys Val Pro Asn Pro Asp Gln Pro Gly 290 295 300 tcc tac tcg tgc atg tgc gag acc ggc tac cgg ctg gcg gcc gac caa 960 Ser Tyr Ser Cys Met Cys Glu Thr Gly Tyr Arg Leu Ala Ala Asp Gln 305 310 315 320 cac cgg tgc gag gac gtg gat gac tgc ata ctg gag ccc agt ccg tgt 1008 His Arg Cys Glu Asp Val Asp Asp Cys Ile Leu Glu Pro Ser Pro Cys 325 330 335 ccg cag cgc tgt gtc aac aca cag ggt ggc ttc gag tgc cac tgc tac 1056 Pro Gln Arg Cys Val Asn Thr Gln Gly Gly Phe Glu Cys His Cys Tyr 340 345 350 cct aac tac gac ctg gtg gac ggc gag tgt gtg gag ccc gtg gac ccg 1104 Pro Asn Tyr Asp Leu Val Asp Gly Glu Cys Val Glu Pro Val Asp Pro 355 360 365 tgc ttc aga gcc aac tgc gag tac cag tgc cag ccc ctg aac caa act 1152 Cys Phe Arg Ala Asn Cys Glu Tyr Gln Cys Gln Pro Leu Asn Gln Thr 370 375 380 agc tac ctc tgc gtc tgc gcc gag ggc ttc gcg ccc att ccc cac gag 1200 Ser Tyr Leu Cys Val Cys Ala Glu Gly Phe Ala Pro Ile Pro His Glu 385 390 395 400 ccg cac agg tgc cag atg ttt tgc aac cag act gcc tgt cca gcc gac 1248 Pro His Arg Cys Gln Met Phe Cys Asn Gln Thr Ala Cys Pro Ala Asp 405 410 415 tgc gac ccc aac acc cag gct agc tgt gag tgc cct gaa ggc tac atc 1296 Cys Asp Pro Asn Thr Gln Ala Ser Cys Glu Cys Pro Glu Gly Tyr Ile 420 425 430 ctg gac gac ggt ttc atc tgc acg gac atc gac gag tgc gaa aac ggc 1344 Leu Asp Asp Gly Phe Ile Cys Thr Asp Ile Asp Glu Cys Glu Asn Gly 435 440 445 ggc ttc tgc tcc ggg gtg tgc cac aac ctc ccc ggt acc ttc gag tgc 1392 Gly Phe Cys Ser Gly Val Cys His Asn Leu Pro Gly Thr Phe Glu Cys 450 455 460 atc tgc ggg ccc gac tcg gcc ctt gcc cgc cac att ggc acc gac tgt 1440 Ile Cys Gly Pro Asp Ser Ala Leu Ala Arg His Ile Gly Thr Asp Cys 465 470 475 480 gac tcc ggc aag gtg gac ggt ggc gac agc ggc tct ggc gag ccc ccg 1488 Asp Ser Gly Lys Val Asp Gly Gly Asp Ser Gly Ser Gly Glu Pro Pro 485 490 495 ccc agc ccg acg ccc ggc tcc acc ttg act cct ccg gcc gtg ggg ctc 1536 Pro Ser Pro Thr Pro Gly Ser Thr Leu Thr Pro Pro Ala Val Gly Leu 500 505 510 gtg cat tcg ggc 1548 Val His Ser Gly <210> 5 <211> 25 <212> RNA <400> 5 ggaggccgct cagcccgaat gcacg 25 <210> 6 <211> 25 <212> RNA <400> 6 gaagcacggg tcccccaggc cggcc 25 <210> 7 <211> 25 <212> RNA <400> 7 ggaggccgct caacagtcgg tgcca 25
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例2における浮遊生細胞密度(×
105 cells/ml)の経時変化を示すグラフであ
る。
【図2】本発明の実施例2におけるTMの累積生産量
(mg)の経時変化を示すグラフである。
【図3】本発明の実施例2におけるTMの比生産速度
(pg/cell/day)の経時変化を示すグラフで
ある。
【図4】本発明の実施例2におけるTMの浮遊生細胞密
度(×105 cells/ml)に対する比生産速度
(pg/cell/day)の変化を示すグラフであ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12P 21/08 C12N 5/00 B (C12P 21/02 C12R 1:91)

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高純度可溶性トロンボモジュリンの製造
    方法において、(1)可溶性トロンボモジュリンおよび
    血清成分を含有する未精製上清を得、(2)得られた該
    上清を、該可溶性トロンボモジュリンに対する抗体と接
    触させた後、溶出させる工程により、精製された該可溶
    性トロンボモジュリン溶液を得、更に、(3)得られた
    該可溶性トロンボモジュリンを、比伝導度25〜34m
    s/cm、pH3〜4の条件下にて、陽イオン交換体と
    接触させる工程において、素通り画分として該可溶性ト
    ロンボモジュリンを取得する、ことを特徴とする血清由
    来物及び抗体由来物を実質的に含有しない高純度可溶性
    トロンボモジュリンの製造方法。
  2. 【請求項2】 該未精製上清が、可溶性トロンボモジュ
    リンを生産し得る動物細胞を、血清成分を含有する培地
    を用いて培養して調製された培養上清である請求項1に
    記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 該血清成分が、ウシ血清成分である請求
    項1または2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 該可溶性トロンボモジュリンに対する抗
    体が、マウス抗ヒトトロンボモジュリンモノクローナル
    抗体である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 該陽イオン交換体が、スルホプロピル基
    を有するカラムクロマトグラフィー用担体である請求項
    1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 該血清成分を含有する培地が、下記の成
    分表1に記載された成分から実質的になる培地である請
    求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。 【化1】
  7. 【請求項7】 該血清成分を含有する培地の成分の組成
    比率が下記の成分表2に記載の組成比率の培地である請
    求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。 【化2】
  8. 【請求項8】 該可溶性トロンボモジュリンを生産し得
    る動物細胞が、配列番号1の17−130位のアミノ酸
    配列、配列番号2の17−130位のアミノ酸配列、及
    びそれらアミノ酸配列の1又は数個のアミノ酸が欠失、
    置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなる群より選
    ばれたいずれかのアミノ酸配列を含有するアミノ酸配列
    をコードする遺伝子を導入して得られた形質転換体であ
    る請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 該可溶性トロンボモジュリンを生産し得
    る動物細胞が、配列番号1の1−130位のアミノ酸配
    列、配列番号2の1−130位のアミノ酸配列、配列番
    号3の1−516位のアミノ酸配列、配列番号4の1−
    516位のアミノ酸配列、及びそれらアミノ酸配列の1
    又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたア
    ミノ酸配列からなる群より選ばれたいずれかのアミノ酸
    配列をコードする遺伝子を導入して得られた形質転換体
    である請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 下記の成分表1に記載された成分から
    実質的になるトロンボモジュリン製造用培地。 【化3】
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