JP4772743B2 - 原子燃料サイクル施設の臨界管理法 - Google Patents

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Description

本発明は、原子燃料サイクル施設の臨界管理法、燃料(UO)である二酸化ウラン粉末(UO粉末)の製造方法、原子炉に装荷する原子炉燃料棒および燃料集合体に係り、UO粉末に0.1wt%未満のガドリニア(Gd)を均一に含有した原子炉燃料棒を少なくとも一部に使用する場合の燃料成形加工施設や新燃料貯蔵施設の臨界管理法、UO粉末の製造方法、原子炉燃料棒および燃料集合体に関する。また、当該燃料集合体を収納する燃料貯蔵プールおよび使用済燃料輸送・貯蔵キャスクの臨界管理法も対象とする。
今後、原子力発電プラントの出力の増加や運転サイクルの長期化を実現し、かつ使用済燃料集合体の発生数を抑制して更なる経済性向上を図るためには、燃料のウラン濃縮度を増すことが望ましい。この燃料の高濃縮度化は同じ発電量を得るために新燃料集合体の取替体数と使用済燃料集合体発生量とを低減し、燃料サイクルコストの低減に大きく貢献する。
しかし、現在の商用規模で実用化されている軽水炉用燃料集合体加工施設は、通常、ウラン濃縮度5wt%を上限とした臨界安全の安全審査を満足するよう設計される。この安全審査は「ウラン加工施設安全審査指針」に基づき行われ、軽水炉用燃料集合体加工施設の設置が許可される。また、燃料貯蔵プールおよび使用済燃料輸送・貯蔵キャスクにおける臨界安全の評価も、同様の考え方に基づいて行われる。
一方、ウラン濃縮度5wt%を超える(以下、「5wt%超」と言う。)原子炉燃料については「特定のウラン加工施設のための安全審査指針」に基づき、より厳格な規制を受ける。
したがって、5wt%超の原子炉燃料を採用するには、臨界管理の観点から、成型加工工程において設計変更や設備改造等の大きな影響が生じる。また、新燃料輸送、新燃料貯蔵、使用済燃料貯蔵および使用済燃料輸送の各工程においても設計変更、設備改造等が必要になる。そうすると、原子炉燃料の濃縮度上昇による燃料サイクルコスト低減効果が相殺される恐れがある。
また、燃料貯蔵プールおよび使用済燃料輸送・貯蔵キャスクでは、原子炉燃料棒の少なくとも一部のウラン濃縮度が5wt%超の燃料集合体、あるいは最高濃縮度が5wt%以下の現行の燃料集合体を取扱う際に臨界管理上の制約を受ける場合が想定され、設備改造等が必要となる恐れがある。
特開2004−177241号公報 特開平4−212093号公報 日本原子力研究開発機構核データ評価研究グループのホームページ−http://wwwndc.tokai−sc.jaea.go.jp/jendl/j33/J33_J.html "臨界安全ハンドブック",科学技術庁原子力安全局核燃料規制課編、1988年10月31日 にっかん書房発行 "原子燃料サイクルと廃棄物処理"、火力原子力発電技術協会(編)、昭和61年6月
上述のようにウラン濃縮度5wt%超の原子炉燃料を採用するには臨界管理の観点から各工程における設計変更、設備改造等によるコストが増大し、原子炉燃料の濃縮度上昇による燃料サイクルコスト低減効果が相殺される恐れがあり、これに対応する対策が必要となる。なお、ウラン濃縮度5wt%超の原子炉燃料を採用するにあたり、商用軽水炉用燃料のウラン濃縮度の上限は10wt%程度が実用的である。
かかる対策に係る検討の結果、燃料成形加工施設における可燃性毒物を含まない濃縮度5wt%超のウランを取り扱う工程については設備改造が避けられないことが分かった。
一方、燃料集合体組立後の新燃料の輸送・貯蔵、使用済燃料の輸送・貯蔵については、可燃性毒物入り燃料集合体の可燃性毒物として広く使用される高濃度(数wt%程度)のガドリニアによる反応度抑制効果(ガドリニアクレジット)を活用することにより、輸送容器や設備改造を避けられる可能性がある。
ここで、この対策の実施にあたり、原子炉燃料に添加する可燃性毒物の種類と濃度とが重要となる。
現在、軽水炉用燃料棒に添加する可燃性毒物として一般的に用いられているガドリニアは中性子吸収断面積が大きくて反応度抑制効果が強い。
一方、熱中性子吸収断面積がガドリニウム(Gd)よりも小さい物質として、酸化エルビウム(Er)をUOペレットに微量だけ添加(特許文献1)することや、ボロン(B)等をUOペレット表面や燃料被覆管の内側に塗布(特許文献2)することによっても臨界安全性を確保できる。しかし、室温(0.025eV)における熱中性子吸収断面積は図1から図3(非特許文献1)に示すように、Er−167で略640バーン、B−10で略3,840バーンであり、Gdの同位体であるGd−157で254,080バーンと比べてはるかに小さい。
また、原子炉燃料に添加する可燃性毒物の濃度によっては運転サイクルの末期において可燃性毒物が残留して炉心の反応度損失が発生することが予想され、原子炉燃料の高濃度化による燃料サイクルのコスト低減効果を発揮することが困難となる。
本発明はこれらの課題を解決するためになされたもので、ウラン濃縮度5wt%超の原子炉燃料に中性子吸収断面積の大きい可燃性毒物であるガドリニアを均一に微量添加することにより、原子燃料サイクル施設における臨界管理対策への影響の軽減をはかり、原子炉燃料の濃縮度上昇による燃料サイクルコスト低減効果を有効に活用して経済性向上を達成することを目的とする。
また、燃料貯蔵プールおよび使用済燃料輸送・貯蔵キャスクにおける臨界管理では原子炉燃料棒の少なくとも一部のウラン濃縮度が5wt%超、あるいは最高ウラン濃縮度が5wt%以下の原子炉燃料を使用した燃料集合体のうちウラン濃縮度が5wt%に近い燃料集合体ではその取り扱いの際に臨界管理上制約を生ずる場合が想定される。そこで、燃料成形加工工程において少なくとも一部に微量のガドリニアを添加した原子炉燃料棒ないしは高濃度のガドリニアを添加した原子炉燃料棒が含まれていることを考慮し、燃料貯蔵プールおよび使用済燃料輸送・貯蔵キャスクにおける臨界管理対策への影響の軽減を図ることを目的とする。
前記の課題を解決するため本発明では、燃料成形加工施設について、ウラン濃縮度が5wt%の二酸化ウラン粉末の隙間に水が浸透し、かつ前記二酸化ウラン粉末の周囲が水で満たされた完全水没の条件下で、ウラン全濃度範囲における臨界安全設計に関わる一定の質量を超える燃料は扱わない質量管理あるいは一定の形状、寸法を超える燃料は扱わない形状寸法管理の未臨界性を確保する制限条件で規定される各々の中性子実効増倍率の最大値において、ウラン濃縮度が5wt%を超える二酸化ウランに0.1wt%未満のガドリニアを添加して原子炉燃料を製造し、この原子炉燃料を取り扱う工程の二酸化ウラン体系の中性子実効増倍率を、ウラン濃縮度が5wt%の二酸化ウラン体系の中性子実効増倍率の最大値以下になるようにし、
ウラン濃縮度が5wt%を超える二酸化ウラン粉末の中性子実効増倍率の最大値が、前記5wt%濃縮度の二酸化ウラン粉末の中性子実効増倍率の最大値以下になるように、ウラン濃縮度が5wt%を超える二酸化ウラン粉末に添加するガドリニアの濃度を設定し、
ウラン濃縮度が5wt%を超える二酸化ウラン粉末の最高ウラン濃縮度が10wt%であり、
ウラン濃縮度が10wt%の二酸化ウラン粉末に添加するガドリニアの濃度が305ppm以上、915ppm以下の範囲であり、
ウラン濃縮度が5wt%を超える二酸化ウラン粉末に添加するガドリニアの濃度はウラン濃縮度5wt%から超過したウラン濃縮度に比例し、この比例定数はウラン濃縮度10wt%の二酸化ウラン粉末に添加するガドリニアの濃度を5で除した値とすることを特徴とする原子燃料サイクル施設の臨界管理法を提供する。
また、本実施形態では、六フッ化ウランを再転換して二酸化ウラン粉末を製造する方法において、再転換工程中のウラン溶液に硝酸ガドリニウム水溶液を添加し、0.1wt%未満のガドリニアが均一に混合したウラン濃縮度が5wt%を超える二酸化ウラン粉末を製造することを特徴とする二酸化ウラン粉末の製造方法を提供する。
さらに、本実施形態では、UO2粉末の受け入れ後、ガドリニア粉末をUO2粉末で希釈混合を繰り返すことによって濃度0.1wt%未満のガドリニアが均一に混合したウラン濃縮度が5wt%を超える二酸化ウラン粉末を製造することを特徴とする二酸化ウラン粉末の製造方法を提供する。
さらにまた、本実施形態では、下端に下部端栓が溶接された円筒形状の燃料被覆管と、前記燃料被覆管に円柱形状に形成された燃料ペレットが装填され、前記燃料被覆管の上部中空部に前記燃料ペレットを弾性押圧支持するプレナムスプリングを入れて、前記燃料被覆管の上端に上部端栓が溶接されて構成される原子炉燃料棒において、0.1wt%未満のガドリニアが均一に混合したウラン濃縮度が5wt%を超える二酸化ウラン粉末を成形加工した燃料ペレットが充填されたことを特徴とする原子炉燃料棒を提供する。
また、本実施形態では、ガドリニアを添加した原子炉燃料棒を有する燃料集合体を収納する燃料貯蔵プールおよび使用済燃料輸送・貯蔵キャスクの臨界管理法において、燃料集合体の中性子実効増倍率が原子炉燃料の全燃焼期間にわたり最大の中性子実効増倍率を有する原子炉燃料と仮定して燃料貯蔵プールおよび使用済燃料輸送・貯蔵キャスクの未臨界性を確保する原子燃料サイクル施設の臨界管理法を提供する。
本発明によれば、ウラン濃縮度5wt%超の原子炉燃料に中性子吸収断面積の大きい可燃性毒物であるガドリニアを均一に微量添加することにより、原子燃料サイクル施設における臨界管理対策への影響の軽減をはかり、原子炉燃料の濃縮度上昇による燃料サイクルコスト低減効果を有効に活用して経済性向上を達成することができる。
また、燃料貯蔵プールおよび使用済燃料輸送・貯蔵キャスクにおける燃料集合体の取り扱いの際に臨界管理上の制約を生ずる場合にも、燃料成形加工工程において少なくとも一部に微量のガドリニアを添加した原子炉燃料棒ないしは高濃度のガドリニアを添加した原子炉燃料棒が含まれていることを考慮し、臨界管理対策への影響の軽減を図ることができる。
本発明に係る原子燃料サイクル施設の臨界管理方法、二酸化ウラン粉末(UO粉末)の製造方法、原子炉燃料棒および燃料集合体の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
ここで、原子炉燃料とは一部または全部にUO粉末を含む粉末、この粉末から成形加工される燃料ペレット、この燃料ペレットを備える原子炉燃料棒、この原子炉燃料棒を束ねたものおよびこの原子炉燃料棒を束ねたものを備える燃料集合体を表す。
また、二酸化ウラン体系(UO体系)とは一部または全部にUO粉末を含む粉末、この粉末から成形加工される燃料ペレット、この燃料ペレットを配列したもの、この燃料ペレットを備える原子炉燃料棒、この原子炉燃料棒を束ねたものおよびこの原子炉燃料棒を束ねたものを備える燃料集合体について一定の大きさあるいは質量を与えた条件下で、その隙間に水が浸透しかつ周囲を水で取り囲んだ体系を表す。
なお、以下の説明において1ppmは1×10−4wt%とする。
また、原子炉燃料に0.1wt%未満のガドリニアを含んだ原子炉燃料を微量濃度ガドリニア燃料、原子炉燃料に0.1wt%以上のガドリニアを含んだ原子炉燃料を高濃度ガドリニア燃料と称する。
[第1の実施形態]
本発明に係る原子燃料サイクル施設の臨界管理方法の第1実施形態について、図4から5を参照して説明する。
臨界安全ハンドブック(非特許文献2)では、「完全水没」を想定した臨界安全上最も厳しい場合として、核燃料物質の隙間に水が浸透し、かつ周囲を水で取り囲み、さらにウラン全濃度範囲とした均質UO・HOの体系に対して、臨界安全上の制限となる一定の質量を超える原子炉燃料は取り扱わない「質量管理」あるいは一定の形状・寸法を超える原子炉燃料は取り扱わない「形状寸法管理」における制限値として「最小推定臨界値」および「最小推定臨界下限値」が定められており、UO粉末を取り扱う工程(以下、「UO粉末工程」と言う。)における制限値を表1に示す。推定臨界値とは質量や形状・寸法がその値であれば臨界と判断される値であり、推定臨界下限値とは質量や形状・寸法がその値以下であれば未臨界と判断される値であって、表1の各数値はウラン全濃度範囲における最小値として示される。
Figure 0004772743
本実施形態は、燃料成形加工施設で取り扱うUO粉末について、ウラン濃縮度5wt%超のUO粉末に微量、例えば0.1wt%未満のガドリニアを均一に添加して、ウラン濃縮度5wt%のUO粉末の臨界安全上の制限となる質量管理あるいは形状寸法管理の制限値における中性子実効増倍率の最大値と等しいか、これよりも小さくなるように原子燃料サイクル施設の臨界管理を行う方法である。
すなわち、ウラン濃縮度5wt%超のUO粉末の質量管理あるいは形状寸法管理の各々の中性子実効増倍率が、表1のウラン濃縮度5wt%でのUO粉末の質量管理あるいは形状寸法管理の各々の中性子実効増倍率の最大値に等しいか、より小さくなるようにウラン濃縮度5wt%超のUO粉末に微量のガドリニアを添加することにより、ウラン濃縮度5wt%超のUO粉末の臨界安全の制限条件をウラン濃縮度5wt%のUO粉末の臨界安全の制限条件と等しくする方法である。
なお、本実施形態に係るウラン濃縮度5wt%の濃縮度の範囲は、4.5〜5.0wt%を含む。また、比較の基準とするウラン濃縮度は5wt%の他に表1に示された3wt%、4wt%等にすることも本実施形態に含まれる。この場合は、臨界安全に対する制限が過大になりガドリニアの添加量は過剰になる。
図4は、表1に示された各ウラン濃縮度(3wt%、4wt%、5wt%、10wt%、20wt%)のうち、5wt%濃縮度の質量33kgUのUO末を用いて質量管理に関わるガドリニア濃度の例を示す図である。
図4に示すように、表1に示されたウラン全濃度範囲におけるウラン濃縮度5wt%の最小推定臨界下限値における質量33kgUを与えるウラン濃縮度5wt%のUO粉末の中性子実効増倍率の最大値を線分Aとする。この線分Aと微量のガドリニアを添加したウラン濃縮度5wt%超のUO粉末の中性子実効増倍率が等価もしくは小さくなるようにした場合のウラン濃縮度とガドリニア濃度との関係が図4に示される。
このウラン濃縮度とガドリニア濃度との関係は、UO粉末の間隙が水で満たされ、かつ水反射条件の球状の体系において、ウラン濃度(あるいは球体積)をパラメータとした場合の中性子輸送計算を行うと、ウラン濃縮度6wt%、7wt%、8wt%および10wt%の各ケースについてUO粉末に添加するガドリニアの濃度はそれぞれ53ppm、110ppm、170ppmおよび305ppmとなる。
また、同じガドリニア濃度の条件で、表1に示したウラン濃縮度5wt%のUO粉末の無限円柱直径24.4cm、無限平板厚さ11.2cmおよび球半径24.0cmを与え、ウラン濃度をパラメータとした場合の中性子輸送計算を行うと、微量のガドリニアを含むウラン濃縮度5wt%超のUO粉末の中性子実効増倍率はウラン濃縮度5wt%のUO粉末の中性子実効増倍率の最大値より小さい値となり、同様に制限条件を満足する。
さらに、燃料成形加工施設におけるUO粉末工程に続く燃料ペレット製造、原子炉燃料棒組立および燃料集合体組立の各工程についても同じガドリニア濃度の条件で中性子輸送計算を行い、UO粉末工程における中性子実効増倍率の抑制効果が最も小さい値となることを確認した。すなわち、UO粉末工程において設定したガドリニア濃度を使用することで、ウラン濃縮度5wt%超の原子炉燃料を使用する燃料ペレットの配列、燃料集合体組立て段階における原子炉燃料棒を束ねる際の原子炉燃料棒の束、組立て後の燃料集合体についてのUO体系の中性子実効増倍率はそれぞれウラン濃縮度5wt%の燃料ペレット、原子炉燃料棒、燃料集合体の中性子実効増倍率以下に抑制され、同様に制限条件を満足する。
図5は、本実施形態のウラン濃縮度5wt%超のUO粉末に添加するガドリニアの濃度とウラン濃縮度との関係を示す図である。ウラン濃縮度5wt%のUO粉末では添加するガドリニアの濃度は0ppmであり、ウラン濃縮度10wt%のUO粉末では添加するガドリニアの濃度は305ppmである。なお、本実施形態に係るウラン濃縮度10wt%の濃縮度の範囲は、9.5〜10.0wt%を含む。
図5に示すように、添加するガドリニアの濃度とウラン濃縮度5wt%超のUO粉末のウラン濃縮度との関係はほぼ比例的になる。そこで、ウラン濃縮度10wt%以下でのガドリニアの濃度範囲を305ppm以下とし、添加するガドリニアの濃度とウラン濃縮度との関係を比例的に扱うと、その比例定数はウラン濃縮度10wt%におけるUO粉末でのガドリニア濃度(305ppm)を5で除した値、例えば比例定数を61として使用することで、ガドリニア濃度を容易に設定できる。この近似直線は、中性子輸送計算を行って、ウラン濃縮度に対応したガドリニアの濃度を算出する場合と比較すると、ガドリニア濃度が高めに算出されるため臨界管理の観点から安全側の管理方法である。なお、本実施形態に係る前記の除する値の範囲は、下限限濃縮度および上限濃縮度の範囲はそれぞれ4.5〜5.0wt%および9.5〜10.0wt%であるので、4.5〜5.5である。
本実施形態によれば、ウラン濃縮度5wt%超の原子炉燃料についてUO粉末の段階から微量のガドリニアを均一に添加することにより、臨界管理上はウラン濃縮度5wt%のUO粉末と同等に扱える。そうすると、燃料成形加工施設においてはUO粉末の取扱のみならず、燃料ペレット成形加工、原子炉燃料棒製作および燃料集合体組立および貯蔵等の各製造工程においても5wt%原子炉燃料と同等の臨界管理が行える。
さらに、新燃料輸送、新燃料貯蔵、使用済燃料貯蔵、使用済燃料輸送の燃料サイクル各工程においては、ガドリニアの反応度抑制効果を活用することで、燃料成形加工工程の他に、燃料貯蔵プールおよび使用済燃料輸送・貯蔵キャスクにおいても未臨界性を確保する制限値以下に中性子実効増倍率を抑制して設計変更や設備改造等によるコストの上昇およびそれに伴う成形加工費の上昇を抑制することができる。
[第2の実施形態]
本発明に係るUO粉末の製造方法の第2実施形態について、図6から図8を参照して説明する。
本実施形態のUO粉末の製造方法により製造される原子炉燃料は、UO粉末の段階から可燃性毒物が均一に添加される。すなわち、原子炉燃料がUO粉末の段階から可燃性毒物による反応度抑制効果を活用できる。
図6は、溶媒抽出法による六フッ化ウラン(UF)の再転換によりUO粉末を作る従来工程の例を示した図である。
図6に示すように、UFに硝酸アルミニウム水溶液を加えて硝酸ウラニル水溶液とし、アンモニアを加えて沈殿させて重ウラン酸アンモン(ADU)とした後に、脱水、培焼、還元工程を経て最終的にUO粉末を製造する。
図7は、溶媒抽出法によるUFの再転換によりUO粉末を作る工程にガドリニウム硝酸水溶液を微量添加して微量濃度のガドリニアとUOの均一な混合粉末を製造する方法の一例を示した図である。
図7に示すように、本実施形態のUO粉末の製造方法では溶媒抽出法の例えば硝酸ウラニル水溶液を生成する工程において、硝酸ガドリニウムの水溶液を硝酸ウラニル水溶液に微量添加して均一な溶液とし、ガドリニウムを含む重ウラン酸アンモン(ADU)から微量濃度のガドリニアとUOの均一な混合粉末を製造する。すなわち、溶媒抽出法によりUO粉末を製造する従来の製造方法において、微量の硝酸ガドリニウム水溶液を硝酸ウラニル水溶液に加えて均一な溶液とすることにより、後の工程で生成する粉末を微量濃度のガドリニアとUOとが均一に混合した粉末とする製造方法である。
なお、他のUO粉末を製造する工程の例として湿式ADU法等があるが、途中に硝酸ウラニル水溶液を生成する工程を加えて、同様に硝酸ガドリニウムの水溶液を添加し微量濃度のガドリニアとUOとが均一に混合した粉末を製造する方法が考えられる。
また、図8に示すように、UO粉末の受け入れ後、例えばガドリニアの濃度が1から10wt%程度となるようにUO粉末とガドリニア粉末との均一な第1の混合粉末を調整し、つぎにこの第1の混合粉末の濃度が1から10wt%程度となるようにUO粉末と第1の混合粉末との均一な第2の混合粉末を調整し、さらにこの第2の混合粉末の濃度が1から10wt%程度となるようにUO粉末と第2の混合粉末との均一な第3の混合粉末を調整することで、ガドリニアの濃度が0.1wt%程度以下のガドリニア粉末とUO粉末との均一な第3の混合粉末を製造できる。すなわち、ガドリニア粉末を略10倍程度のUO粉末に希釈混合するステップを数回繰り返すことにより微量、例えば0.1wt%未満のガドリニア粉末とUO粉末とが均一に混合した可燃性毒物入りUO粉末を製造する方法である。
[第3の実施形態]
本発明に係る原子炉燃料棒の第3実施形態について、図9を参照して説明する。
図9は、微量にガドリニアを含んだUO粉末を原料とする燃料ペレットを使用した原子炉燃料棒1についての模式的な断面図である。
本実施形態の原子炉燃料棒1は、下端に下部端栓3が溶接された円筒形状の燃料被覆管2と、この燃料被覆管2に円柱形状に形成され、微量にガドリニアを含んだUO粉末を原料とする燃料ペレット4が装填され、この燃料被覆管2の上部中空部に燃料ペレット4を弾性押圧支持するプレナムスプリング5を入れて、燃料被覆管2の上端に上部端栓6が溶接されて構成される。
この燃料ペレット4は微量、例えば0.1wt%未満のガドリニアを添加したUO粉末を焼結して燃料ペレット4に成形加工する。まず、微量にガドリニアを含んだUO粉末を一定の形状に加圧成型する。次に、この成型体を還元雰囲気中で熱処理して焼結する。焼結によってUOは高密度になり、同時に機械的強度を増し化学的にも安定な燃料ペレット4となる。この燃料ペレット4は一定の寸法とするために研削設備により研削仕上げを行う。この燃料ペレット成形加工段階は従来の製造方法と同様の方法で実施できる。
本実施形態によれば、ウラン濃縮度5wt%超の燃料ペレット、原子炉燃料棒について臨界管理上は濃縮度5wt%以下の原子炉燃料として扱うことができる。すなわち、従来の原子炉燃料棒と同様の燃料加工工程によって微量、例えば0.1wt%未満のガドリニアを添加したUO粉末を使用して燃料加工工程を実施できるので、燃料加工施設の設備改造等を伴うことなく、ウラン濃縮度5wt%超の原子炉燃料棒を得ることができる。
[第4の実施形態]
本発明に係る軽水炉用燃料集合体の第4実施形態について、図10から図13を参照して説明する。
図10は、沸騰水型原子炉の燃料集合体において、平均ウラン濃縮度約6.2wt%の取替用燃料集合体(2年運転、取出平均燃焼度70GWd/t程度)の従来の設計例および微量、例えば0.1wt%未満のガドリニアを添加したウラン濃縮度5wt%超のUO粉末を使用した原子炉燃料棒1を適用した取替用燃料集合体の水平方向配置図の一例を示す図である。
本実施形態の燃料集合体は、微量、例えば0.1wt%未満のガドリニアを添加したウラン濃縮度5wt%超のUO粉末を使用した原子炉燃料棒を備えている。
この原子炉燃料棒は、例えば53ppmのガドリニアを添加したウラン濃縮度6wt%のUO粉末を使用した原子炉燃料棒と、110ppmのガドリニアを添加したウラン濃縮度7wt%のUO粉末を使用した原子炉燃料棒と、170ppmのガドリニアを添加したウラン濃縮度8wt%のUO粉末を使用した原子炉燃料棒である。
図11は、沸騰水型原子炉の燃料集合体において、平均ウラン濃縮度約6.2wt%の取替用燃料集合体の従来の設計例と、微量、例えば0.1wt%未満のガドリニアを添加したウラン濃縮度5wt%超のUO粉末を使用した原子炉燃料棒を適用した取替用燃料集合体との出力運転時(40%ボイド率)での無限増倍率を示す。
線Bは本実施形態の燃料集合体における燃焼度と無限増倍率を示している。
線Cは本実施形態の燃料集合体が備える原子炉燃料棒のうち、ウラン濃縮度5wt%超のUO粉末を使用した原子炉燃料棒に含まれるガドリニアの濃度を例えば2倍にした燃料集合体における燃焼度と無限増倍率を示している。
すなわち、線Cの燃料集合体は、106ppmのガドリニアを添加したウラン濃縮度6wt%のUO粉末を使用した原子炉燃料棒と、220ppmのガドリニアを添加したウラン濃縮度7wt%のUO粉末を使用した原子炉燃料棒と、340ppmのガドリニアを添加したウラン濃縮度8wt%のUO粉末を使用した原子炉燃料棒とが含まれている。
線Dは本実施形態の燃料集合体が備える原子炉燃料棒のうち、ウラン濃縮度5wt%超のUO粉末を使用した原子炉燃料棒に含まれるガドリニアの濃度を例えば3倍にした燃料集合体における燃焼度と無限増倍率を示している。
すなわち、線Dの燃料集合体は、159ppmのガドリニアを添加したウラン濃縮度6wt%のUO粉末を使用した原子炉燃料棒と、330ppmのガドリニアを添加したウラン濃縮度7wt%のUO粉末を使用した原子炉燃料棒と、510ppmのガドリニアを添加したウラン濃縮度8wt%のUO粉末を使用した原子炉燃料棒とが含まれている。
図11に示すように、従来例の燃料集合体に対する線B、C、Dの燃料集合体の無限増倍率(k)の差異は燃焼初期において略1から3%Δk程度と小さく、炉心の反応度におよぼす影響はわずかである。すなわち、本実施形態の燃料集合体では、無限増倍率の差異は1%Δk程度であり、従来の設計を変更する必要はない。またウラン濃縮度5wt%超のUO粉末を使用した原子炉燃料棒に含まれるガドリニアの濃度を2倍および3倍にした燃料集合体では、無限増倍率の差異はそれぞれ略2%Δk、略3%Δk程度と小さく、本実施形態の燃料集合体と同様に従来の設計を変更する必要がないか、又は高濃度ガドリニア原子炉燃料棒の本数、濃度あるいは配置等の軽微な変更に止まる。
また、従来例に対する本実施形態による燃料集合体の無限増倍率の差異は、燃焼とともに速やかに小さくなり、サイクル燃焼度5GWd/t程度(1/2年運転相当)以上ではほとんど差異がない。従って、運転サイクル末期でのガドリニアによる反応度損失は無視できる。
すなわち、ウラン濃縮度10wt%でのガドリニア濃度は、第1実施形態で述べた305ppmから、その3倍の値の915ppmまでの範囲とできる。ウラン濃縮度5wt%超に対しても各濃縮度において本実施形態のようにガドリニアの濃度を3倍までの範囲とする。ガドリニアの濃度は、図12の線分Eと線分Fに挟まれたハッチング領域の範囲に拡大して適用できる。ウラン濃縮度5wt%超の原子炉燃料にかかわるガドリニアの濃度は略0.1wt%未満となる。
本実施形態によれば、ウラン濃縮度5wt%超の燃料集合体について臨界管理上は濃縮度5wt%以下の原子炉燃料として扱うことができる。すなわち、従来の燃料集合体と同様の組立工程によって微量、例えば0.1wt%未満のガドリニアを添加したウラン濃縮度5wt%以上のUO粉末を使用した原子炉燃料棒の組み立てを実施できるので、設備改造等を伴うことなく、ウラン濃縮度5wt%超の燃料集合体を得ることができる。
また、燃料集合体の核特性として、微量添加したガドリニアは燃焼初期において速やかに燃え尽きるために運転サイクル末期における反応度損失を生ずることなく、ウラン濃縮度5wt%超の原子炉燃料を導入することによる燃料経済性向上を同時に満たすことができる。
本実施形態の燃料集合体は、複数種類のウラン濃縮度の原子炉燃料棒が使用される沸騰水型原子炉の燃料集合体について検討したが、原子炉燃料棒の濃縮度が1種類程度とした場合の加圧水型原子炉の燃料集合体一般にも適用できる。
図13は、加圧水型原子炉の燃料集合体に使用される5wt%超の原子炉燃料棒について本実施形態の微量濃度ガドリニア燃料を適用した例を示す。他の実施例として燃料集合体のコーナー部あるいは周辺部において濃縮度5wt%以下の原子炉燃料棒を配置して局所出力分布をより平坦化することが考えられる。また、本実施形態は可燃性毒物としてホウ珪酸ガラス等を使用する燃料集合体にも適用できる。
本実施形態の燃料集合体の適用に際して炉心の初期反応度への影響は軽微であり、かつ運転サイクル末期において微量濃度ガドリニア原子炉燃料棒中のガドリニウムの燃え残りが生じないため、反応度損失をなくすことができ、ウラン濃縮度5%超の原子炉燃料を適用する目的である原子炉燃料濃縮度上昇による新燃料取替体数の大幅削減効果と燃料サイクルコスト低減が図られる。
[第5の実施形態]
本発明に係る原子燃料サイクル施設の臨界管理方法の第5実施形態について、図14から図15を参照して説明する。
燃料貯蔵プールおよび使用済燃料輸送・貯蔵キャスクについて原子炉燃料棒の少なくとも一部のウラン濃縮度が5wt%超、あるいは最高のウラン濃縮度が5wt%以下でかつ燃料集合体の平均ウラン濃縮度が4.5から5wt%の燃料集合体を扱う際に、従来は未燃焼時におけるガドリニアによる反応度抑制効果を考慮しない中性子実効増倍率を使用して臨界管理が行われているので制約を生じる場合が予想される。
本実施形態の原子燃料サイクル施設の臨界管理方法では、燃料成形加工工程において少なくとも一部に微量、例えば0.1wt%未満のガドリニアないし高濃度のガドリニアを添加した原子炉燃料棒が含まれていることを考慮して、全燃焼期間にわたる最大の中性子実効増倍率を持つ原子炉燃料を想定することにより、当該燃料集合体を収納する燃料貯蔵プールおよび使用済燃料輸送・貯蔵キャスクの未臨界性を確保して臨界管理対策への影響の軽減を図る。
図14は、高濃度ガドリニア原子炉燃料棒を使用した沸騰水型原子炉の原子炉燃料における実施形態の一例であり、冷温時の燃料集合体を無限配列した体系における中性子無限増倍率と燃焼度との関係を示す。ガドリニアを含んでいない原子炉燃料の中性子無限増倍率k0に対して高濃度にガドリニアを含んだ原子炉燃料では中性子無限増倍率の最大値k1は小さくなる。
また、図15は、加圧水型原子炉の原子炉燃料において100ppmのガドリニアを原子炉燃料に添加した場合の実施形態の一例であり、冷温時の中性子無限増倍率と燃焼度との関係を示す。ガドリニアを含んでいない原子炉燃料の中性子無限増倍率k0に対して微量にガドリニアを含んだ原子炉燃料では中性子無限増倍率の最大値k1は小さくなる。
すなわち、原子炉燃料に高濃度もしくは微量濃度のガドリニアを添加することでガドリニアによる反応度抑制効果を利用し、当該燃料集合体を収納する燃料貯蔵プールおよび使用済燃料輸送・貯蔵キャスクにおいて、従来は当該燃料集合体の中性子無限増倍率を未燃焼時におけるガドリニアによる反応度抑制効果を考慮しない中性子無限増倍率(k0)としていたものを、当該燃料集合体の中性子無限増倍率を全燃焼期間にわたる最大反応度(k1)とすることにより燃料集合体を収納する燃料貯蔵プールおよび使用済燃料輸送・貯蔵キャスクの中性子実効増倍率をより小さくして未臨界性を合理的に確保できる。
なお、本実施形態では、希土類酸化物としてガドリニアを可燃性毒物として使用しているが、ガドリニアの代わりに中性子吸収断面積の大きいサマリウムの酸化物を使用することもできる。
燃料貯蔵プールおよび使用済燃料輸送・貯蔵キャスクにおいて燃料集合体を取り扱う際に臨界管理上の制約を生じる場合、ウラン濃縮度5wt%以下の場合も含めて本実施形態を適用できる。すなわち、燃料集合体を貯蔵する際に臨界管理上の制約を生じる場合、当該燃料集合体を全燃焼期間にわたる最大の中性子実効増倍率を持つ原子炉燃料を想定する本実施形態の管理方法を適用することで設計変更や設備改造等の変更によるコストの上昇を抑制することができる。
上述の各実施形態では、ウラン濃縮度5wt%超の原子炉燃料にUO粉末取扱の段階から微量のガドリニアを均一に添加することにより、臨界安全に関わる燃料成形加工施設の設備改造費およびそれに伴う成形加工費の上昇を抑えることができ、かつ、運転サイクル末期におけるガドリニアの燃え残りをなくして反応度損失を生じることなく、原子炉燃料の濃縮度上昇による新燃料本数の削減効果が得られ、経済性を向上できる。
また、ウラン濃縮度5wt%超の原子炉燃料のみでなく、燃焼棒の最高濃縮度が5wt%以下の現行の燃料集合体についても臨界管理上の制約を生じることが予想される場合は、燃料成形加工工程において、微量のガドリニアを添加した原子炉燃料棒ないし高濃度のガドリニアを添加した原子炉燃料棒が含まれていることを考慮し、全燃焼期間にわたる最大反応度を持つ原子炉燃料と想定することにより、燃料貯蔵プールおよび使用済燃料輸送・貯蔵キャスクにおいてそれらの未臨界性を確保する臨界管理対策への影響の軽減を図ることができる。
Gd−157の中性子吸収断面積の図であって、微視断面積(バーン)と中性子エネルギー(eV)との関係を示した特性図。 Er−167の中性子吸収断面積の図であって、微視断面積(バーン)と中性子エネルギー(eV)との関係を示した特性図。 B−10の中性子吸収断面積の図であって、微視断面積(バーン)と中性子エネルギー(eV)との関係を示した特性図。 本発明に係る第1実施形態の原子燃料サイクル施設の臨界管理方法におけるUO粉末に添加するガドリニアの濃度の設定方法の一例を示す図。 本発明に係る原子燃料サイクル施設の臨界管理方法の第1実施形態におけるUO粉末に添加するガドリニアの濃度とウラン濃縮度(ウラン濃縮度5wt%以上、10wt%以下)の関係を示す図。 本発明に係るUO粉末の製造方法の第2実施形態における溶媒抽出法によるUFの再転換によりUO粉末を作る従来工程の例を示した工程図。 本発明に係るUO粉末の製造方法の第2実施形態における溶媒抽出法によるUFの再転換によりUO粉末を作る工程にガドリニウム硝酸水溶液を微量添加して微量濃度のガドリニアとUOの均一な混合粉末を製造する方法の一例を示した工程図。 本発明に係るUO粉末の製造方法の第2実施形態における燃料成形加工工程のUO粉末取扱におけるガドリニアの添加の方法を示す説明図。 本発明に係る原子炉燃料棒の第3実施形態であり、微量にガドリニアを含んだUO粉末を原料とする燃料ペレットを使用した原子炉燃料棒の模式的な断面図。 本発明に係る燃料集合体の第4実施形態であり、沸騰水型原子炉の燃料集合体において、平均ウラン濃縮度約6.2wt%の取替用燃料集合体(2年運転、取出平均燃焼度70GWd/t程度)の従来の設計例および微量、例えば0.1wt%未満のガドリニアを添加したウラン濃縮度5wt%超のUO粉末を使用した原子炉燃料棒を適用した取替用燃料集合体の水平方向配置図の一例を示す図。 本発明に係る燃料集合体の第4実施形態であり、沸騰水型原子炉の燃料集合体において、平均ウラン濃縮度約6.2wt%の取替用燃料集合体の従来の設計例と、微量、例えば0.1wt%未満のガドリニアを添加したウラン濃縮度5wt%超のUO粉末を使用した原子炉燃料棒を適用した取替用燃料集合体との出力運転時(40%ボイド率)での無限増倍率を示す図。 本発明に係る燃料集合体の第4実施形態であり、UO粉末に添加するガドリニアの濃度とウラン濃縮度(ウラン濃縮度5wt%以上、10wt%以下)の関係を示す図。 本発明に係る燃料集合体の第4実施形態であり、加圧水型原子炉の燃料集合体に使用される5wt%超の原子炉燃料棒について本実施形態の微量濃度ガドリニア燃料を適用した例を示す概略平面図。 本発明に係る原子燃料サイクル施設の臨界管理方法の第5実施形態であり、高濃度ガドリニア原子炉燃料棒を使用した沸騰水型原子炉の原子炉燃料における冷温時の中性子無限増倍率と燃焼度との関係の一例を示す図。 本発明に係る原子燃料サイクル施設の臨界管理方法の第5実施形態であり、加圧水型原子炉の原子炉燃料において100ppmのガドリニアを原子炉燃料に添加した場合の冷温時の中性子無限増倍率と燃焼度との関係の一例を示す図。
符号の説明
1 原子炉燃料棒
2 燃料被覆管
3 下部端栓
4 燃料ペレット
5 プレナムスプリング
6 上部端栓

Claims (1)

  1. 燃料成形加工施設について、ウラン濃縮度が5wt%の二酸化ウラン粉末の隙間に水が浸透し、かつ前記二酸化ウラン粉末の周囲が水で満たされた完全水没の条件下で、ウラン全濃度範囲における臨界安全設計に関わる一定の質量を超える燃料は扱わない質量管理あるいは一定の形状、寸法を超える燃料は扱わない形状寸法管理の未臨界性を確保する制限条件で規定される各々の中性子実効増倍率の最大値において、
    ウラン濃縮度が5wt%を超える二酸化ウランに0wt%より大きく0.1wt%未満のガドリニアを添加して原子炉燃料を製造し、前記燃料成形加工施設における二酸化ウラン粉末工程の二酸化ウラン体系の中性子実効増倍率を、ウラン濃縮度が5wt%の二酸化ウラン体系の中性子実効増倍率の最大値以下になるようにし、
    ウラン濃縮度が5wt%を超える二酸化ウラン粉末の中性子実効増倍率の最大値が、前記5wt%濃縮度の二酸化ウラン粉末の中性子実効増倍率の最大値以下になるように、ウラン濃縮度が5wt%を超える二酸化ウラン粉末に添加するガドリニアの濃度を設定し、
    ウラン濃縮度が5wt%を超える二酸化ウラン粉末の最高ウラン濃縮度が10wt%であり、
    ウラン濃縮度が10wt%の二酸化ウラン粉末に添加するガドリニアの濃度が305ppm以上、915ppm以下の範囲であり、
    ウラン濃縮度が5wt%を超える二酸化ウラン粉末に添加するガドリニアの濃度はウラン濃縮度5wt%から超過したウラン濃縮度に比例し、この比例定数はウラン濃縮度10wt%の二酸化ウラン粉末に添加するガドリニアの濃度を5で除した値とすることを特徴とする原子燃料サイクル施設の臨界管理法。
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