JP4771158B2 - 石綿発塵量の測定方法および装置 - Google Patents
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Description
石綿粉塵対策を講じるうえでは環境大気中の石綿粉塵濃度を把握することが不可欠であり、そのため、環境大気中のアスベスト濃度を測定するための技術的指針として「アスベストモニタリングマニュアル」が策定されている(非特許文献1参照)。
「アスベストモニタリングマニュアル(改訂版)」、環境庁大気保全局大気規制課、平成5年12月、p.1−6
しかし、そのような測定手法では測定対象地点付近の大気中の平均的な濃度は測定できるものの、たとえば特定の建材からの発塵量を直接的に測定したり、あるいは発塵箇所を特定するようなことはできるものではない。
したがって、上記のような測定手法のみでは必ずしも充分ではなく、より高度の対策を講じるうえでは、単に環境大気中の平均的な濃度測定のみならず、特定の部材からの石綿発塵量を直接的に測定したり、さらには石綿発塵の可能性やそれに至るような建材の劣化の程度をも把握し得るような測定手法の確立が必要ともされている。
さらに、送気機構にはポンプからの送気を系外に排気するための切替弁と、その切替弁により系外に排気した空気中の石綿粉塵を捕集する排気処理フィルターを設けることが好ましい。
また、上記のカバーを半球状のカップ形状としてその開口周縁部には測定対象物への食い込み部と食い込み部を封止するストッパーを設けることにより確実な気密保持が可能であり、測定の際に強制的に発塵させた石綿粉塵が不用意に周囲に飛散してしまう恐れもなく安全な測定を行うことが可能である。
さらに、測定装置に排気処理手段も備えることにより測定終了後に系内に残る微量な石綿粉塵をも確実かつ安全に回収することができる。
なお、図1では高さ調整用のアジャスター8a付きの三脚からなるスタンド8を用いて、カバー2を床面から支持して測定対象物1の下面に押し当てた状態で装着しているが、測定対象部位の位置や向きに応じてカバー2の装着の形態は適宜変更すれば良い。
ノズル管3aとしてはたとえば内径3mm程度のステンレス管が好適に採用可能であり、その先端が測定対象部位に臨んでその近傍から所定流量の空気流を所定流速で吹き付けることができるものとされ、そのような吹き付け空気流によって測定対象部位の表面の石綿を強制的に吹き飛ばしてカバー2内において微量の発塵を生じさせることができるものとされている。
ノズル管3aからの吹き付け空気流の流速は適宜設定すれば良いが、ノズル管3aの内径が3mmの場合にはたとえば5m/s程度とすることが良く、その場合の送気量は理論的には2.1195L/minとなり、後述するようにその送気量が測定基準となる。
送気チューブ3bはたとえば内径8mmの柔軟な素材のものが好適に採用可能であり、ノズル管3aに対して適宜の異形継手3cを介して接続すれば良い。
空気流量計6aとしては汎用のニードルバルブ付きのものが好適に採用可能である。
捕集管4bとしてはたとえば内径40mm程度のアクリルパイプ材が好適に採用可能であり、その基端にはたとえば直径47mmのメンブレンフィルター4aがホルダーにより着脱自在に装着されているものである。吸気チューブ4cおよび吸気側の空気流量計6bは送気チューブ3bおよび送気側の空気流量計6aと同様のもので良い。
これにより、測定対象部位に吹き付けられた空気量によってその表層部の石綿が吹き飛ばされて微量な発塵が生じ、その石綿粉塵がカバー2内において飛散し、飛散した石綿粉塵はカバー2内から吸気機構4によって捕集管4bに吸い込まれてメンブレンフィルター4aに捕集されるから、所定時間の運転の後、運転を停止してメンブレンフィルター4aを取り出し、それを分析して捕集量(すなわち強制的に発塵させた石綿粉塵量)を測定する。
また、運転時間中の送気量と吸気量をそれぞれ空気流量計6a、6bにより測定する(全体が閉鎖循環系であるので、空気流の漏れがなければ双方の計測値は自ずと一致する)。
さらに、本実施形態の測定装置には排気処理手段7も備えているので、測定終了後には切替弁7aを切り替えて図中の破線矢印のように循環空気を排気処理フィルター7bに導き、そこで石綿粉塵を捕集してから大気中に排気することにより、測定終了後に系内に残る微量な石綿粉塵をも確実かつ安全に回収することができる。
2 カバー
2a 食い込み部
2b ストッパー
3 送気機構
3a ノズル管
3b 送気チューブ
3c 異形継手
4 吸気機構
4a メンブレンフィルター
4b 捕集管
4c 送気チューブ
5 ポンプ
6(6a、6b) 空気流量計
7 排気処理手段
7a 切替弁
7b 排気処理フィルター
8 スタンド
8a アジャスター
Claims (4)
- 石綿を含有する建材を対象としてその表面の特定部位からの石綿発塵量を測定するための方法であって、
測定対象部位の周囲をカバーにより気密裡に覆い、
カバー内への送気により測定対象部位に対して所定流量の空気流を所定流速で吹き付けることによって石綿を強制的に発塵させ、
カバー内に飛散した石綿粉塵をカバー内からの吸気により吸引してメンブレンフィルターにより捕集してその捕集量を測定することにより、
カバー内への送気量またはカバー内からの吸気量を基準として石綿発塵量を測定することを特徴とする石綿発塵量の測定方法。 - 請求項1記載の石綿発塵量の測定方法を実施するための装置であって、
測定対象部位の周囲を気密裡に覆うカバーと、
カバー内の測定対象部位に対して所定流量の空気流を所定流速で吹き付けることによって石綿を強制的に発塵させる送気機構と、
該送気機構により発塵させてカバー内に飛散させた石綿粉塵をカバー内の空気とともに吸引してメンブレンフィルターにより捕集する吸気機構と、
前記送気機構によるカバー内への送気量または前記吸気機構によるカバー内からの吸気量のいずれか一方もしくは双方を計測する空気流量計とを具備してなり、
吸気機構と送気機構とを、吸気機構より吸気して送気機構に送気する送吸両用のポンプを介して接続して、吸気機構、ポンプ、送気機構、カバーとにより空気流の閉鎖循環系を構成してなることを特徴とする石綿発塵量の測定装置。 - 請求項2記載の石綿発塵量の測定装置であって、
カバーを半球状のカップ形状としてその開口周縁部を食い込み部として測定対象物の表面に所定寸法食い込み可能とし、かつカバーには食い込み部を気密裡に封止しかつ食い込み量を規制するストッパーを設けてなることを特徴とする石綿発塵量の測定装置。 - 請求項3記載の石綿発塵量の測定装置であって、
送気機構にはポンプからの送気を系外に排気するための切替弁と、その切替弁により系外に排気した空気中の石綿粉塵を捕集する排気処理フィルターを設けてなることを特徴とする石綿発塵量の測定装置。
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