JP4958050B2 - 評価装置、評価方法及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Description
石綿粉塵対策を講じる上では、環境大気中の石綿粉塵濃度を把握することが不可欠である。そのため、環境大気中の石綿粉塵濃度を測定するための技術的指針として「アスベストモニタリングマニュアル」が策定されている(非特許文献1参照)。
「アスベストモニタリングマニュアル(改訂版)」、環境庁大気保全局大気規制課、平成5年12月、p.1−6
たしかに、そのような測定手法によって、測定対象地点付近の大気中の平均的な濃度は測定できる。しかしながら、この測定手法によっても、特定の建材からの発塵量を直接的に測定することや、発塵箇所を特定するようなことはできない。
上記事情に鑑み、本発明は石綿含有物を有する空間において、実施すべき当該石綿含有物に対する対策について迅速に判断することを可能とする装置、方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的としている。
このように構成された評価装置によれば、気流によって測定対象部位から飛散した石綿の繊維数に基づいて、この空間における石綿のリスク度を評価することが可能となる。そのため、単に環境大気中の平均的な濃度ではなく、石綿発塵の可能性やそれに至るような建材の劣化の程度を反映させたリスク度を取得することが可能となる。従って、このリスク度を用いてより信頼性の高い対策法を選択することが可能となる。
このように構成された評価装置によれば、リスク度に応じた対処方法が出力される。そのため、リスク度に応じた対処方法に関する知識を有していないユーザが、講じるべき対処方法を容易に選択することが可能となる。
本発明は、コンピュータを、上述した評価装置として動作させるためのコンピュータプログラムとして特定されても良い。また、本発明は、上述した評価装置として機能するコンピュータが行う評価方法として特定されても良い。また、本発明は、リスク度の評価方法として特定されても良い。
本発明による評価装置が動作する際には、予め飛散量測定が実施され、その測定結果が評価装置に入力される。そして、この入力に基づいて、本発明による評価装置は石綿含有物に対する対策に関する指標を取得し出力する。まず、本発明による評価装置に入力される測定結果を得るための飛散量測定について説明する。
本発明による評価装置の動作において、予め実施される飛散量測定は、石綿含有物に対して所定流速・所定流量の空気流を吹きつけ、これによって発塵した石綿粉塵を含む空気を、フィルタを介して吸引することによりフィルタ上に石綿粉塵を捕集し、この石綿粉塵の繊維本数を計測することにより行われる。以下、このような飛散量測定の具体例について説明する。
この作業によって、噴射管7からの噴射空気流が所定風速で測定対象部位に吹き付けられ、表層部の石綿が吹き飛ばされて、カバー2内に微量な発塵が生じる。カバー2内に飛散した石綿粉塵は、カバー2内の空気とともに、捕集機構3に吸引される。そして、吸引された全量が、メンブレンフィルター3aに捕集される。なお、石綿粉塵が捕集された後の清浄な空気のみが、吸気管4を通して吸気ポンプ5に吸引されて、系外に排気される。
入力部10は、評価装置100aに接続された不図示の入力装置を介して、ユーザからの命令や数値の入力を受け付ける。入力装置は、例えばキーボードやポインティングデバイス(マウス,トラックボール,タブレットなど)や、ダイヤル式入力装置や、タッチパネルや、テンキーや、各種ボタンや、音声入力装置などを用いて構成されても良い。入力装置は、評価装置100aのユーザが、評価装置100aに対して命令や数値の入力操作を行うことが可能であれば、その他どのような装置を用いて構成されても良い。
入力部10は、予め実施された飛散量測定における測定結果や測定条件に関するデータの入力を受け付ける。測定結果や測定条件に関するデータの詳細については後述する。
評価部30aは、単位時間に単位面積から発生する石綿繊維数(以下、「単位面積アスベスト繊維飛散数」という。)を算出する。式1は、単位面積アスベスト繊維飛散数を算出するための式である。
次に、評価装置100aの動作例について説明する。図3は、評価装置100aの動作例を示すフローチャートである。まず、評価部30aは、出力部20を介して画像表示装置に入力画面を表示させる(S01)。
また、評価部30aが、リスク度を常用対数や閾値を用いた方法で取得し出力するように構成されることにより、ユーザは空間内アスベスト濃度などについての専門的な知識を有していないとしても、リスク度を感覚的に理解することが可能となる。そのため、評価対象となっている空間において、石綿含有物による飛散のリスクが低いのか高いのかを容易に判断することが可能となる。
第一の実施形態である評価装置100aはリスク度を出力するが、このリスク度に基づいてどのような対処方法を講じるべきかは、専門的な知識を有していないユーザにとっては判断することが困難であった。第二の実施形態は、このような問題点を鑑みて提案される発明である。
評価部30bは、記憶部40に記憶されているリスク度データベースの内容に基づいて出力を行う点で、評価部30aと異なる。評価部30bは、評価部30aと同様の処理によってリスク度を取得すると、このリスク度に対応するコメント及び対処方法についての情報を、記憶部40から読み出す。そして、出力部20を介して、リスク度、コメント、及び対処方法に関する情報を出力する。
対処方法とは、評価対象となった空間における石綿含有物に対する対処方法である。このような対処方法の具体例として、経過観察、封じ込め、囲い込み、除去などがある。各対処方法は、その効果や、要する費用などが異なる。一般的には、経過観察、封じ込め、囲い込み、除去の順に費用も効果も高くなる。リスク度データベースには、リスク度毎に、複数種類の対処方法について、その対処方法の実施で十分か否かが示される。十分な場合は二重丸又は○、十分とは言えないが一時的であれば許される場合は三角、不十分な場合はバツ印が付与される。さらに、リスク度毎に、コメントも付与される。
このように構成された評価装置100bによれば、リスク度のみならず、そのリスク度に応じて講じるべき対処方法に関する情報も出力される。そのため、リスク度に応じた対処方法に関する知識を有していないユーザも、講じるべき対処方法を容易に判断することが可能となる。例えば、図7に示されたリスク度4の情報が出力されることにより、資金に余裕の無い者は、除去ではなく囲い込みを行うことによって、費用を抑えつつ有効な対策を講じることが可能となる。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
Claims (3)
- 石綿含有物を有する空間において前記石綿含有物に対し気流が当てられ、この気流によって飛散した石綿が捕集され、この捕集された石綿の繊維数の入力を受け付ける入力手段と、
入力された石綿の繊維数に基づいて、前記空間における石綿によるリスク度を取得する評価手段と、
前記空間における石綿含有物に対し講じるべき対処方法を複数記憶し、前記対処方法及び前記リスク度の組合せ毎に、その対処方法の実施で十分か否かを示す情報を記憶する記憶手段と、
前記評価手段によって取得されたリスク度に対応付けて前記記憶手段に記憶される前記十分か否かを示す情報を、複数の前記対処方法毎に出力する出力手段と、
を備える評価装置。 - 石綿含有物を有する空間において前記石綿含有物に対し気流が当てられ、この気流によって飛散した石綿が捕集され、この捕集された石綿の繊維数の入力をコンピュータが受け付けるステップと、
コンピュータが、前記石綿の繊維数に基づいて、前記空間における石綿によるリスク度を取得するステップと、
前記空間における石綿含有物に対し講じるべき対処方法を複数記憶し、前記対処方法及び前記リスク度の組合せ毎に、その対処方法の実施で十分か否かを示す情報を記憶する記憶手段から、コンピュータが、前記リスク度を取得するステップにおいて取得されたリスク度に対応する前記十分か否かを示す情報を複数の前記対処方法毎に読み出し、出力するステップと、
を含む評価方法。 - コンピュータに対し、
石綿含有物を有する空間において前記石綿含有物に対し気流が当てられ、この気流によって飛散した石綿が捕集され、この捕集された石綿の繊維数の入力を受け付けるステップと、
前記石綿の繊維数に基づいて、前記空間における石綿によるリスク度を取得するステップと、
前記空間における石綿含有物に対し講じるべき対処方法を複数記憶し、前記対処方法及び前記リスク度の組合せ毎に、その対処方法の実施で十分か否かを示す情報を記憶する記憶手段から、コンピュータが、前記リスク度を取得するステップにおいて取得されたリスク度に対応する前記十分か否かを示す情報を複数の前記対処方法毎に読み出し、出力するステップと、
を実行させるためのコンピュータプログラム。
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