JP4770166B2 - 直下型バックライト装置 - Google Patents

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Description

本発明は、直下型バックライト装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、輝度が高く、輝度均斉度の良い直下型バックライト装置に関する。
従来、液晶ディスプレイ用のバックライト装置としては、冷陰極管を光源とした装置が広く用いられており、エッジライト型と呼ばれる方式と直下型と呼ばれる方式がある。エッジライト型は、細管の冷陰極管を導光板の端辺に配置した構成からなり、端面から入射した光は導光板内で反射を繰り返し、導光板主面に出光するバックライト装置である。
一方、直下型バックライト装置は、複数本の並列配置した冷陰極管と、冷陰極管の背面に設けられた反射板と、発光面をなす光拡散板とを組み合わせた構成からなる。エッジライト型とは対照的に、冷陰極管の使用本数を増やすことができるために、発光面を容易に高輝度化することができる。
しかし、直下型バックライト装置には、発光面の輝度均斉度が悪いという問題がある。特に、冷陰極管の真上で輝度が高くなるために発生する周期的輝度むらが大きな問題となる。
つまり、バックライト装置発光面の輝度均斉度が悪いと、液晶ディスプレイの表示画面に表示むらが発生する。
従来、輝度均斉度を改良するために、種々の対策がなされてきた。例えば縞模様やドット状の光量補正パターンを光拡散板に印刷し、蛍光管の真上に放射される光束を低減する手法(特許文献1に例示)や、波型反射板を利用して、反射板からの反射光を蛍光管と蛍光管の中間に相当する領域へ集束させる手法(特許文献2)が提案されている。
しかし、輝度均斉度の改良手段として、光量補正パターンの印刷を行うと、光束の一部を遮断するので、蛍光管が放射する光束の利用率が低下し、十分な輝度が得られないという問題があった。また、波型反射板を用いると、装置の構成が複雑となり、バックライト装置の製造コストが上昇するという問題があった。
また直下型バックライトに使用される光拡散板には、透明樹脂に光拡散剤を分散した材料が使用されることが多いが、輝度均斉度を改良させるために光拡散剤の濃度を上げると輝度が低下してしまうという問題があった。これを解決するために光拡散板表面にプリズム形状等のパターンを形成し、輝度を低下させずに表面形状による拡散効果を持たせることが提案されている(特許文献3、4、5)。しかし光拡散板表面にプリズム状パターンを形成しただけでは、輝度均斉度の改良は十分ではなかった。
従来より輝度均斉度を向上するために、厚み50μmから300μm程度のシートに光拡散効果を付与してなる拡散シートが使用されている。この拡散シートは、透明シート上に微細な断面鋸歯状のプリズム条列を有する輝度向上効果のあるプリズムシートと併用されることが多い。
しかし該プリズムシートは、微細で精密なプリズム条列を形成するために、精密加工が必要であることにより高価な形状付与ロールが使用されることと、さらにそのロールをシートへ押し付けて正確に形状を転写するといった、生産速度と歩留まりの向上が困難な工程を要すること、の二つの理由により製造コストが高価であるため、バックライト装置ひいては液晶ディスプレイのコストが上がってしまうという問題があった。
特開平6−273760号公報 図6 特開2001−174813号公報 特開平5−333333号公報 特開平8−297202号公報 特開2000−182418号公報
本発明は、直下型バックライト装置の改良に関するものであり、高い光束有効利用率を得て、さらに発光面の周期的輝度むらを抑制して、輝度と輝度均斉度の改良とを同時に、そして低コストで実現し得る直下型バックライト装置を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、平坦な光拡散板とプリズムシートと2枚以上の拡散シートを重ねたバックライト装置を検討したが、輝度が減少してしまうことが判明した。そこで本発明者らは、さらに鋭意研究を重ねた結果、驚くべきことに、直下型バックライト装置において、輝度均斉度改善の効果が十分でない光拡散板の少なくとも一つの主面に断面鋸歯状の特定パターンのプリズム条列を設ける技術と、輝度が減少してしまうおそれがある拡散シートを2枚以上配置する技術を組合わせることにより、高価なプリズムシートなしでも高輝度で輝度均斉度が良いバックライト装置が得られることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)並列配置された複数本の線状光源と、線状光源からの光を反射する反射板と、線状光源からの直射光及び反射板からの反射光を拡散照射する光拡散板を備えた直下型バックライト装置において、該光拡散板は、その少なくとも一つの主面に断面鋸歯状のプリズム条列を有し、光拡散板のプリズム条列の頂角が60度以上170度以下でかつピッチが20μm以上700μm以下であり、さらに光拡散板から拡散照射された光を調整する拡散シートを2枚以上4枚以下備える直下型バックライト装置、
(2)光拡散板のプリズム条列の長手方向と線状光源の長手方向とが成す角が60度以下であることを特徴とする(1)に記載の直下型バックライト装置、及び、
(3)光拡散板が透明樹脂に光拡散剤を分散させた物からなり、該分散物の全光線透過率が60%以上92%以下、かつヘーズが40%以上94%以下である(1)または(2)に記載の直下型バックライト装置、
を提供するものである。
さらに、本発明の好ましい態様として、
(4)光拡散板に使用する透明樹脂が、吸水率0.25%以下であることを特徴とする(3)に記載の直下型バックライト装置、
(5)光拡散剤が、ポリスチレン系重合体、ポリシロキサン系重合体又はそれらの架橋物である(3)または(4)に記載の直下型バックライト装置、
を挙げることができる。
本発明の直下型バックライト装置は、高価なプリズムシートを使用せずに、高い光束有効利用率を持ち、発光面の周期的輝度むらが抑制される。本発明によって低コストで輝度が高く、輝度均斉度が良いバックライト装置を提供できる。
本発明の直下型バックライト装置は、並列配置された複数本の線状光源と、線状光源からの光を反射する反射板と、線状光源からの直射光及び反射板からの反射光を拡散照射する光拡散板を備えた直下型バックライト装置において、該光拡散板は、その少なくとも一つの主面に断面鋸歯状のプリズム条列を有し、光拡散板のプリズム条列の頂角が60度以上170度以下でかつピッチが20μm以上700μm以下であり、さらに光拡散板から拡散照射された光を調整する拡散シートを2枚以上4枚以下備える直下型バックライト装置である。
図1は本発明の直下型バックライト装置の一態様の模式的斜視図である。本態様の直下型バックライト装置は、並列配置された複数本の線状光源3と、光源3からの光を反射する反射板4と、光源3からの直射光及び反射板からの反射光を拡散照射する光拡散板2を備え、光拡散板2が、光源から遠い側に頂角5の断面鋸歯状のプリズム条列を有し、さらに光拡散板2の光源3から遠い側に拡散シート1−1、1−2が二枚配置されてなる。さらに輝度向上のための光学部材6として、下記2種類の部材のうちいずれかを拡散シート1−2の光源3から遠い側に設置してもよい。
(1)透明基材上に液晶分子の螺旋ピッチが連続的に変化するコレステリック液晶層を有する光学積層体と、式Rth=[(nx+ny)/2-nz]×d(式中、nx、nyは厚さ方向に垂直な互いに直交する2方向の屈折率を表し、nx>nyである。nzは厚さ方向の屈折率を表し、dは膜厚を表す。)で定義されるRthが−20nm〜−1000nmである位相差素子と、1/4波長板とを含む積層体。
(2)特許3448626号に提案されている複屈折を利用した反射偏光子。
本発明装置に用いる線状光源は特に限定されないが、冷陰極管、熱陰極管、線状に配列したLED、LEDと導光体の組合せ等を使用することができる。このとき冷陰極管又は熱陰極管は直線状以外にもU字状、又はW字状の形状のものを使用することができる。線状光源としての輝度均一性からは冷陰極管が好ましく、発光効率の点からは線状に配列したLED、LEDと導光体の組合せが好ましい。線状に配列したLED、またはLEDと導光体の組合せを使用する場合は、配列した一連のLEDの組、またはLEDと導光体の組合せ、が複数ある場合に、線状光源が複数本であるとする。
反射板は特に限定されないが、白色または銀色に着色された樹脂、金属等を使用することができ、色は輝度均斉度改良から白色が好ましく、材質は軽量化の点から樹脂が好ましい。
線状光源の中心間の距離は特に限定されないが、15mm以上150mm以下であることが好ましく、20mm以上100mm以下であることがより好ましい。線状光源の中心と光拡散板の光源に近い側の面との距離も特に限定されないが、5mm以上30mm以下であることが好ましく、5mm以上25mm以下であることがより好ましい。
本発明装置に用いる光拡散板は、輝度均斉度を向上するために使用される。光拡散板は光入射面と光出射面を有し、線状光源からの光は光源から近い側の光入射面に入射し、光拡散板内においてまたは、光入射面または光出射面の少なくとも一方に設けられた断面鋸歯状のプリズム条列において、光が多様な方向へ拡散され、光源から遠い側の光出射面から出射される。光拡散板の材料はガラス、混合しにくい2種以上の樹脂の混合物、透明樹脂に光拡散剤を分散した物等を使用することができるが、特に限定されない。これらの中で軽量であること、成形が容易であることから樹脂が好ましく、全光線透過率とヘーズの調整が容易であることから透明樹脂に光拡散剤を分散した物が好ましい。さらにプリズム条列部分まで透明樹脂に光拡散剤を分散させた物で形成し、光拡散板全体を同一の全光線透過率とヘーズに調整することが、光拡散板から出射する光の方向がさらに多様にできるためにより好ましい。
透明樹脂に光拡散剤を分散させた物の光拡散剤の含有量に特に制限はなく、光拡散板の厚みやバックライトの線状光源間隔などに応じて適宜選択することができるが、通常は分散物の全光線透過率は60%以上92%以下となるように光拡散剤の含有量を調整することが好ましく、65%以上92%以下となるように光拡散剤の含有量を調整することがより好ましい。ヘーズは40%以上94%以下となるように光拡散剤の含有量を調整することが好ましく、50%以上94%以下となるように光拡散剤の含有量を調整することがより好ましい。全光線透過率を60%以上、ヘーズを94%以下とすることで輝度をより向上することができ、全光線透過率を92%以下、ヘーズを40%以上とすることで輝度均斉度をより向上することができる。
この場合の全光線透過率とはJIS K7361-1により両面平滑な2mm厚み板で測定した値で、ヘーズはJIS K7136により両面平滑な2mm厚み板で測定した値とする。
光拡散板の厚みも特に限定されないが、0.4mmから5mmであることが好ましく、0.8mmから4mmであることがさらに好ましい。厚みが0.4mmより小さいと、支柱を多数形成する等自重によるたわみを抑えるための工夫が必要になり、バックライトのコストが上昇する。また厚みが5mmを超えると成形が困難になる。
本発明では、光拡散板から出射する光は、少なくとも一つの主面に頂角60度以上170度以下の断面鋸歯状プリズム形状を持つ光拡散板により、特定の方向へ屈折され拡散照射される。さらに拡散シートによって、光が調整される。このとき光拡散板のプリズムの頂角を前述の範囲とすることにより、拡散シートへの光入射方向の調整を好適に成すことができ、輝度と輝度均斉度を同時に向上することができる。
断面鋸歯状のプリズム条列とは長手方向に垂直な方向に切断した断面が、三角形の突起部が連なった形状であることを言い、三角形突起部のすそがつながってV字型の溝を形成するようになっていてもよいし、三角形突起部のすそ間に水平部が存在してもよいが、光を好適に拡散させるために三角形のすそがつながってV字型の溝を形成するようになっていることが好ましい。また三角形の形状は前述した頂角の範囲内であれば、特に制限されないが、液晶ディスプレイの正面方向の輝度が一番高いようにするために、二等辺三角形であることが好ましい。
光拡散板上のプリズム条列のプリズム頂角は60度以上170度以下であることが好ましく、65度以上165度以下であることがより好ましく、70度以上160度以下であることがさらに好ましい。光拡散板上のプリズム頂角が60度未満であると輝度ムラが大きくなるおそれがあり、170度を超えても、輝度ムラが大きくなるおそれがある。
本発明装置において、光拡散板のプリズム条列のピッチは20μm以上700μm以下であることが好ましく、30μm以上500μm以下であることがより好ましく、40μm以上400μm以下であることがさらに好ましい。光拡散板のプリズム条列のピッチが20μm未満であると、形状が微細なために形状付与が難しくなったり、光拡散効果が低下したりするおそれがある。プリズム条列のピッチが700μmを超えると、光拡散が粗くなり、輝度むらを生じるおそれがある。
光拡散板のプリズム条列の表面を粗化して出射する方向を適度な範囲内でより多様にすることもできる。その場合、プリズム表面を長手に対して直角方向に20μm測定したときの中心線平均表面粗さ(Ra)が0.08μm以上3μm以下であることが好ましく、0.09μm以上2μm以下であることがより好ましく、0.1μm以上1μm以下であることがさらに好ましい。Raを0.08μm以上にすることにより光の出射方向をより多様にすることができ、3μm以下にすることにより、光の出射方向を多様にしすぎないようにできる。
本発明のバックライト装置においては、光拡散板のプリズム条列の長手方向と線状光源の長手方向とが成す角が60度以下であることが好ましい。この角度は50度以下であることがより好ましく、45度以下であることがさらに好ましい。線状光源とプリズム条列との成す角を60度以下とすることにより、輝度ムラを低減することができる。
本発明装置に用いる光拡散板の表面に断面鋸歯状のプリズム条列を形成する方法に特に制限はなく、例えば、平板状の光拡散板表面にプリズム条列を形成することができ、あるいは、光拡散板の成形と同時にプリズム条列を形成することもできる。平板状の光拡散板表面にプリズム条列を形成する方法としては特に制限はなく、例えば、切削加工によることができ、あるいは、光硬化樹脂を塗布し、型の形状を転写した状態で硬化させることもできる。光拡散板を押出成形で作製し、同時にプリズム条列を形成する場合は、プリズム条列の形状を有する異形ダイを用いて異形押出することができ、あるいは、押出後にエンボス加工によりプリズム条列を形成することもできる。光拡散板をキャスティングにより作製し、同時にプリズム条列を形成する場合は、プリズム条列の形状を有するキャスティング型を用いることができる。光拡散板を射出成形により作製し、同時にプリズム条列を形成する場合は、プリズム条列の形状を有する金型を用いることができる。
本発明において透明樹脂とはJIS K7361-1により両面平滑な2mm厚み板で測定した全光線透過率が70%以上の樹脂のことを言う。
本発明に用いる光拡散板を構成する透明樹脂としては、例えば、ポリエチレン、プロピレン−エチレン共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、芳香族ビニル系単量体と低級アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体、ポリエチレンテレフタレート、テレフタル酸−エチレングリコール−シクロヘキサンジメタノール共重合体、ポリカーボネート、アクリル樹脂、脂環式構造を有する樹脂などを挙げることができる。これらの中で、ポリカーボネート、ポリスチレン、芳香族ビニル系単量体を10%以上含有する芳香族ビニル系単量体と低級アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体または脂環式構造を有する樹脂等の吸水率が0.25%以下である樹脂が、吸湿による変形が少ないので、反りの少ない大型の光拡散板を得ることができる点で好ましい。脂環式構造を有する樹脂は、流動性が良好であり、大型の光拡散板を効率よく製造し得る点でさらに好ましい。脂環式構造を有する樹脂と光拡散剤を混合したコンパウンドは、光拡散板に必要な高透過性と高拡散性とを兼ね備え、色度が良好なので、好適に用いることができる。
脂環式構造を有する樹脂は、主鎖及び/又は側鎖に脂環式構造を有する樹脂である。機械的強度、耐熱性などの観点から、主鎖に脂環式構造を含有する樹脂が特に好ましい。
脂環式構造としては、飽和環状炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和環状炭化水素(シクロアルケン、シクロアルキン)構造などを挙げることができる。機械的強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造やシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造が最も好ましい。脂環式構造を構成する炭素原子数は、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、機械的強度、耐熱性及び光拡散板の成形性の特性が高度にバランスされ、好適である。
脂環式構造を有する樹脂中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を有する繰り返し単位の割合が過度に少ないと、耐熱性が低下し好ましくない。なお、脂環式構造を有する樹脂中における脂環式構造を有する繰り返し単位以外の繰り返し単位は、使用目的に応じて適宜選択される。
脂環式構造を有する樹脂の具体例としては、(1)ノルボルネン系単量体の開環重合体及びノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体、並びにこれらの水素添加物、ノルボルネン系単量体の付加重合体及びノルボルネン系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との付加共重合体などのノルボルネン系重合体;(2)単環の環状オレフィン系重合体及びその水素添加物;(3)環状共役ジエン系重合体及びその水素添加物;(4)ビニル脂環式炭化水素系単量体の重合体及びビニル脂環式炭化水素系単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との共重合体、並びにこれらの水素添加物、ビニル芳香族系単量体の重合体の芳香環の水素添加物及びビニル芳香族単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との共重合体の芳香環の水素添加物などのビニル脂環式炭化水素系重合体;などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の観点から、ノルボルネン系重合体及びビニル脂環式炭化水素系重合体が好ましく、ノルボルネン系単量体の開環重合体水素添加物、ノルボルネン系単量体とこれと開環共重合可能なその他の単量体との開環共重合体水素添加物、ビニル芳香族系単量体の重合体の芳香環の水素添加物及びビニル芳香族単量体とこれと共重合可能なその他の単量体との共重合体の芳香環の水素添加物がさらに好ましい。
光拡散板に使用される光拡散剤は、光線を拡散させる性質を有する粒子であり、無機フィラーと有機フィラーに大別される。無機フィラーとしては、具体的には、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、マグネシウムシリケート、又はこれらの混合物を用いることができる。有機フィラーの具体的な材料としては、アクリル系樹脂、アクリロニトリル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリシロキサン系樹脂、メラミン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂等を用いることができる。これらの中で、ポリスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂若しくはこれらの架橋物からなる微粒子は、高分散性、高耐熱性、成形時の着色(黄変)がないので、特に好適に用いることができる。ポリシロキサン系樹脂の架橋物からなる微粒子は、耐熱性により優れるので、さらに好適に用いることができる。
光拡散板に使用される光拡散剤の形状は、特に限定されないが、例えば球状、立方状、針状、棒状、紡錘形状、板状、鱗片状、繊維状などが挙げられ、中でも光の拡散方向を等方的にすることのできる球状のビーズが好ましい。
前記光拡散剤は透明樹脂内部に含有された形で、巨視的に均一かつ離間的に分散されて、使用される。
本発明装置に用いる拡散シートは、光を拡散する機能を付与した厚み500μm以下のシートであり、その構成は特に制限はないが、光拡散剤を含まない透明樹脂の基材シートの少なくとも一面に光拡散剤を含有する層を塗布したものが好適に用いられる。この拡散シートとして市販のものを用いることもできる。
該拡散シートの厚みは500μm以下であれば限定されないが、50μm以上300μm以下であることが好ましい。厚みが50μm以下では温度や湿度の影響によってしわが生じ、液晶ディスプレイの表示むらを引き起こす可能性があり、300μm以上では液晶ディスプレイが厚くなりすぎる。該拡散シートのヘーズは10%以上であることが好ましく、15%以上がより好ましく、30%以上がさらに好ましい。ヘーズが10%未満では輝度均斉度向上効果が十分でないおそれがある。該拡散シートの全光線透過率は40%以上であることが好ましく、50%以上がより好ましく、60%以上がさらに好ましい。全光線透過率が40%未満では輝度が下がるおそれがある。この場合の全光線透過率とはJIS K7361-1により拡散シートを測定した値で、ヘーズはJIS K7136により拡散シートを測定した値とする。
前記拡散シートの基材シートに用いられる樹脂は、特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、脂環構造を有する樹脂、セルロースアセテート、耐候性塩化ビニル等を挙げることができる。これらのうち透明性と製膜性がともに優れることからポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、脂環構造を有する樹脂、セルロースアセテートが好ましい。
本発明の拡散シートを構成する光拡散剤を含有する層はバインダーと、このバインダー中に離間状態で分散する光拡散剤とから構成されている。このように分散した光拡散剤により、この光拡散剤を含有する層を透過する光線を拡散させることができる。また、光拡散剤の上端をバインダーから突出させることで、光線をより良く拡散させることができる。なお、光拡散剤を含有する層の厚みは特には限定されないが、例えば1μm以上50μm以下程度が良好である。
バインダーに使用されるポリマーとしては、特に限定されないが、アクリル系樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミドイミド、エポキシ樹脂等が挙げられる。このバインダー中には、上記のポリマーの他、例えば、補強充填剤、可塑剤、安定化剤、劣化防止剤、分散剤、帯電防止剤等が配合されてもよい。
拡散シートに使用される光拡散剤は、光線を拡散させる性質を有する粒子であり、無機フィラーと有機フィラーに大別される。無機フィラーとしては、具体的には、シリカ、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、マグネシウムシリケート、又はこれらの混合物を用いることができる。有機フィラーの具体的な材料としては、アクリル系樹脂、アクリロニトリル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリシロキサン系樹脂、メラミン系樹脂、ベンゾグアナミン系樹脂等を用いることができる。
拡散シートに使用される光拡散剤の形状は、特に限定されないが、例えば球状、立方状、針状、棒状、紡錘形状、板状、鱗片状、繊維状などが挙げられ、中でも光拡散剤の上端をバインダーから突出させたときに、正面方向の輝度を向上することのできる球状のビーズが好ましい。
本発明の拡散シートを製造する方法は、特に限定されないが、以下の方法を挙げることができる。これらはプリズムシートを製造する方法に比較すると、容易であるため、拡散シートは安価に得ることができる。
(1) 前記基材シートに使用される樹脂を押し出し製膜または溶液キャスト製膜して基材シートを得、該透明樹脂基材シートに前記光拡散剤を前記バインダーに分散させたものを塗布する方法。
(2) 前記基材シートに使用される樹脂と、前記バインダーに使用される樹脂及び前記光拡散剤の混合物とを、二層押し出しする方法。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
製造例1
透明樹脂として脂環式構造を有する樹脂[日本ゼオン(株)、ゼオノア1060R、吸水率0.01%]99.7重量部と、光拡散剤としてポリシロキサン系重合体の架橋物からなる微粒子[GE東芝シリコーン(株)、トスパール120]0.3重量部とを混合し、二軸押出機で混練してストランド状に押し出し、ペレタイザーで切断して光拡散板用ペレット1を製造した。この光拡散板用ペレットから、射出成形機[型締め力1000kN]を用いて、両面が平滑な厚み2mmで100mm×50mmの試験板を成形した。この試験板の全光線透過率とヘーズを、JIS K7361-1とJIS K 7136にしたがって、積分球方式色差濁度計を用いて測定した。全光線透過率は78%であり、ヘーズは92%であった。
製造例2
脂環式構造を有する樹脂[日本ゼオン(株)、ゼオノア1060R吸水率0.01%]99.9重量部とポリシロキサン系重合体の架橋物からなる微粒子[GE東芝シリコーン(株)、トスパール120]0.1重量部とを使用する以外は製造例1と同様にして光拡散板用ペレット2を製造し、全光線透過率とヘーズを製造例1と同様に測定したところ、全光線透過率は86%であり、ヘーズは91%であった。
製造例3
脂環式構造を有する樹脂[日本ゼオン(株)、ゼオノア1060R吸水率0.01%]99.6重量部とポリシロキサン系重合体の架橋物からなる微粒子[GE東芝シリコーン(株)、トスパール120]0.4重量部を使用する以外は製造例1と同様にして光光拡散板用ペレット3を製造し、全光線透過率とヘーズを製造例1と同様に測定したところ、全光線透過率は75%であり、ヘーズは92%であった。
製造例4
脂環式構造を有する樹脂[日本ゼオン(株)、ゼオノア1060R吸水率0.01%]99.2重量部とポリシロキサン系重合体の架橋物からなる微粒子[GE東芝シリコーン(株)、トスパール120]0.8重量部を使用する以外は製造例1と同様にして光光拡散板用ペレット4を製造し、全光線透過率とヘーズを製造例1と同様に測定したところ、全光線透過率は65%であり、ヘーズは92%であった。


実施例1
光拡散板用ペレット1から、射出成形機(型締め力4,410kN)を用いて、ピッチ50μm、頂角110度の二等辺三角形が連なった断面形状のプリズム条列を長手方向と平行に形成することができる金型を用い、厚み2mmで250mm×310mmの光拡散板をシリンダー温度280度、金型温度85度で成形した。成形した光拡散板の表面を超深度顕微鏡で観察したところ、プリズム部分のピッチは50μm、頂角は110度で表面粗さRaは0.04μmであった。
内寸幅300mm、奥行き240mm、深さ18mmの乳白色プラスチック製ケースの底に反射シート(株式会社ツジデン製、RF188)を貼着して反射板とし、反射板から4mm離して、直径4mm、長さ360mmの冷陰極管8本を、冷陰極管の中心間の距離を25mmとして配置し、電極部近傍をシリコーンシーラントで固定し、インバーターを取り付けた。上記の光拡散板を、プリズム条列を冷陰極管と平行で、反対側になるようにし、冷陰極管中心と光拡散板の冷陰極管に近い側の面との距離が14mmになるように設置した。さらに全光線透過率75.5%、ヘーズ87%、厚み137μmの拡散シート(株式会社きもと ライトアップ100GM3)を、光拡散剤を含有する層を光拡散板から遠い側になるように2枚設置した。その上に複屈折を利用した反射偏光子(住友スリーエム株式会社製DBEF-M)を設置し、さらに偏光板を取り付けた。
次いで、管電流6mA、管電圧330Vrmsを印加して冷陰極管を点灯し、二次元色分布測定装置を用いて、短手方向中心線上で等間隔に100点の輝度を測定し、下記の数式1と数式2に従って輝度平均値Laと輝度均斉度Luを得た。このとき、輝度平均値は4380cd/m2で、輝度均斉度は、0.8であった。
輝度平均値 La=(L1+L2)/2 (数式1)
輝度均斉度 Lu=((L1−L2)/La)×100 (数式2)
L1:複数本設置された冷陰極管真上での輝度極大値の平均
L2:極大値に挟まれた極小値の平均
輝度均斉度は、輝度の均一性を示す指標であり、輝度均斉度が悪いときは、その数値は大きくなる。
実施例2
拡散シートを4枚設置すること以外は、実施例1と同様にして光拡散板を成形し、評価を行った。その拡散板のプリズム部分のピッチは50μm、頂角は110度で表面粗さRaは0.04μmであった。そして輝度平均値は4150cd/m2、輝度均斉度は1.0であった。
実施例3
プリズム頂角を70度に形成することができる金型部材を使用した以外は、実施例1と同様にして光拡散板を成形し、評価を行った。その拡散板のプリズム部分のピッチは50μm、頂角は70度で表面粗さRaは0.04μmであった。そして輝度平均値は4120cd/m2、輝度均斉度は3.8であった。
実施例4
プリズム頂角を170度に形成することができる金型部材を使用した以外は、実施例1と同様にして光拡散板を成形し、評価を行った。その拡散板のプリズム部分のピッチは50μm、頂角は170度、表面粗さRaは0.04μmであった。そして輝度平均値は3940cd/m2、輝度均斉度は4.0であった。
実施例5
ポリシロキサン系微粒子0.1重量部を含む光拡散板用ペレット2を使用する以外は、実施例1と同様にして光拡散板を成形し、評価を行った。その拡散板のプリズム部分のピッチは50μm、頂角は110度,表面粗さRaは0.04μmであった。そして輝度平均値は4560cd/m2、輝度均斉度は3.9であった。
実施例6
ポリシロキサン系微粒子0.4重量部を含む光拡散板用ペレット3を使用する以外は、実施例1と同様にして光拡散板を成形し、評価を行った。その拡散板のプリズム部分のピッチは50μm、頂角は110度、表面粗さRaは0.04μmであった。そして輝度平均値は4300cd/m2、輝度均斉度は1.0であった。
比較例1
ポリシロキサン系微粒子0.8重量部を含む光拡散板用ペレット4から、射出成形機(型締め力4,410kN)を用いて、プリズム条列のない、表面が平滑な金型を用い、厚み2mmで250mm×310mmの平坦な光拡散板をシリンダー温度280度、金型温度85度で成形した。
得られた光拡散板を実施例1と同じ冷陰極管を配置したプラスチックケースに設置し、さらに全光線透過率75.5%、ヘーズ87%、厚み137μmの拡散シート(株式会社きもと ライトアップ100GM3)を、光拡散剤を含有する層が光拡散板から遠い側になるように1枚設置し、その上にプリズムシート(住友スリーエム株式会社製RBEF)を、プリズム条列の長手方向が冷陰極管と平行で、光拡散板から遠い側になるようにし、さらに複屈折を利用した反射偏光子(住友スリーエム株式会社製DBEF-M)と偏光板を記載した順番に取り付けた。
次いで、管電流6mA、管電圧330Vrmsを印加して冷陰極管を点灯し、実施例1と同様にして輝度と輝度均斉度を測定した。このとき、輝度平均値は4420cd/m2で、輝度均斉度は、1.1であった。
比較例2
光拡散板用ペレット4を用い、頂角40度の二等辺三角形が連なった断面形状のプリズム条列を形成することができる金型を用いること以外は、実施例1と同様にして光拡散板を成形し、評価を行った。その拡散板のプリズム部分のピッチは50μm、頂角は40度、表面粗さRaは0.04μmであった。そして輝度平均値は3460cd/m2、輝度均斉度は10.2であった。
比較例3
プリズム条列のない、表面が平滑な金型を使用した以外は、実施例1と同様にして平坦な光拡散板を成形し、評価を行った。そして輝度平均値は3680cd/m2、輝度均斉度は19.7であった。
比較例4
拡散シートを1枚だけ使用すること以外は実施例1と同様にして評価を行った。輝度平均値は4300cd/m2、輝度均斉度は12.2であった。
比較例5
拡散シートを5枚使用すること以外は実施例1と同様にして評価を行った。輝度平均値は3400cd/m2、輝度均斉度は0.6であった。
実施例1〜6の構成と測定結果を表1に、比較例1〜5の構成と測定結果を表2に示す。実施例1から6では高価なプリズムシートを使用せずに、プリズムシートを使用する比較例1とさほど変わらない、平均輝度が3800cd/m2以上、輝度均斉度が4.0以下の値が得られている。
また、比較例2,3のように光拡散板のプリズム頂角が本発明の規定範囲外の場合には、平均輝度と輝度均斉度の両方が悪い数値となり、比較例4のように拡散シートの枚数が少ない場合には輝度均斉度が悪く,比較例5のように拡散シートの枚数が多い場合には、平均輝度が悪い数値となっている。
Figure 0004770166
Figure 0004770166
本発明の直下型バックライト装置によれば、平均輝度と輝度均斉度を向上することが可能なため、液晶表示装置に直下型バックライトを組み込んだとき、高画質の液晶表示画面を得ることができる。
本発明の直下型バックライト装置の斜視図とその一部拡大図である。
符号の説明
1 拡散シート
2 光拡散板
3 線状光源
4 反射板
5 プリズムシートのプリズム条列の頂角
6 輝度向上のための光学部材

Claims (7)

  1. 並列配置された複数本の線状光源と、線状光源からの光を反射する反射板と、線状光源からの直射光及び反射板からの反射光を拡散照射する光拡散板を備えた直下型バックライト装置において、該光拡散板は、その少なくとも一つの主面に断面鋸歯状のプリズム条列を有し、光拡散板のプリズム条列の頂角が60度以上170度以下でかつピッチが20μm以上700μm以下であり、さらに光拡散板から拡散照射された光を調整する拡散シートを2枚以上4枚以下備え
    前記拡散シートは、その中の光拡散剤を含有する層が光拡散板から遠い側になるように配置される直下型バックライト装置。
  2. 請求項1記載のバックライト装置において、
    前記プリズム条列の表面中心線粗さ(Ra)が、1μm以下であり、前記プリズム条列の頂角が70度以上である直下型バックライト装置。
  3. 光拡散板のプリズム条列の長手方向と線状光源の長手方向とが成す角が60度以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の直下型バックライト装置。
  4. 光拡散板のプリズム条列が、光源から遠い側にある請求項1〜3のいずれか1項に記載のバックライト装置。
  5. 光拡散板が透明樹脂に光拡散剤を分散させた物からなり、該分散物の全光線透過率が60%以上92%以下、かつヘーズが40%以上94%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の直下型バックライト装置。
  6. 前記透明樹脂が、吸水率0.25%以下である請求項5に記載の直下型バックライト装置。
  7. 前記光拡散剤が、ポリスチレン系重合体、ポリシロキサン系重合体又はそれらの架橋物である請求項5または6に記載の直下型バックライト装置。
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