JP4770058B2 - 発光素子及び装置 - Google Patents

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、発光素子、あるいはそれを光源として、ドットマトリックス状に配置したLEDディスプレイ、バックライト、交通信号灯、イメージスキャナ、に使用されるものであり、主に窒化物半導体(例えば、InXAlYGa1−X−YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)を用いた素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
窒化物半導体は高輝度純緑色発光LED、青色LEDとして、既にフルカラーLEDディスプレイ、交通信号灯、イメージスキャナー光源、バックライト等の各種光源で実用化されている。これらのLED素子は基本的に、サファイア基板上にGaNよりなるバッファ層と、SiドープGaNよりなるn側コンタクト層と、単一量子井戸構造、若しくは多重量子井戸構造のInGaN層を包含する活性層と、MgドープAlGaNよりなるp側クラッド層と、MgドープGaNよりなるp側コンタクト層とが順に積層された構造を有しており、20mAにおいて、発光波長450nmの青色LEDで5mW、外部量子効率9.1%、520nmの緑色LEDで3mW、外部量子効率6.3%と非常に優れた特性を示す。
【0003】
また、本出願人は窒化物半導体基板の上に、活性層を含む窒化物半導体レーザ素子を作製して、世界で初めて室温での連続発振1万時間以上を達成したことを発表した(ICNS'97 予稿集,October 27-31,1997,P444-446、及びJpn.J.Appl.Phys.Vol.36(1997)pp.L1568-1571、Part2,No.12A,1 December 1997)。
【0004】
また、窒化物半導体のバンドギャップは、上記の組成式において、1.95eV〜6.0eVまであり、紫外〜赤色の発光素子の材料として従来より注目されている。近年、この窒化物半導体を用いた青色LED、青緑色LED、緑色LEDが実用化され、さらに、長波長発光のLEDの研究も試みられている。これら、窒化物半導体を用いたLEDの多色化は、様々な分野への応用を可能にするものであり、それを開発することは産業上重要である。また上記単色光に限らず、ブロードな波長域をもった混合色の発光装置も様々な分野への応用が期待される。なかでも特に白色の発光装置は液晶のバックライトなどに利用でき、注目されている。このような混合色の発光装置は、従来複数の発光素子を組み合わせてその混色光として得られるものである。このため、白色に代表される混合色を発する発光装置は、単色光を発する発光装置に比べて大きなものとなってしまい、近年における急激な小型化・軽量化への要求に対し、弊害となる。またこのように複数の発光素子を用いると、発光むらが発生し、発光色を制御することも容易ではない。
【0005】
以上のように、複数の発光素子(光源)を用いるのではなく、1つの素子から複数の発光色を有する、すなわち複数のピーク波長を有する素子、1つの素子からそれによる混色光を得るものについても、様々な試みが成されている。例えば図3に示すように、発光素子の発光層が、異なる波長の光が得られるように、異なるバンドギャップエネルギーの層を複数設けて、発光素子から発光を得るものなどがある。このことは、可視域での極めて広い範囲で発光が可能な窒化物半導体を利用することで、所望の波長の光を得ようとするものである。
【0006】
すなわち図3に示すように、積層構造110に、複数の波長(ピーク波長)の光を発する発光層104、105を形成することになる。具体的には、このような発光層を形成するには、pn接合部に多重量子井戸構造(障壁層103)などの複数の発光層(井戸層)104、105を有する活性層110を設けて、これら複数の発光層から異なる波長の発光を得るものとなる。しかし、このような発光層を用いるには、In混晶比が高いと良好な結晶成長が困難になり、電流注入による発光では、活性層の破壊が発生し易くなり、高い素子信頼性を得ることが困難になる。
【0007】
窒化物半導体発光デバイスにはInGaNよりなる井戸層を有する単一量子井戸構造、若しくは多重量子井戸構造の活性層を有するダブルへテロ構造が採用されている。しかし活性層を多重量子井戸構造とすると、単一量子井戸構造のものに比較して、活性層全体の膜厚が厚いため、縦方向の直列抵抗が高くなり、例えばLED素子ではVf(順方向電圧)が高くなる傾向にある。
【0008】
Vfを低下させる技術とほぼ同じ技術内容として、例えば特開平9−298341号に活性層よりも上にあるp側の光導波層、コンタクト層等をInAlGaN層を含む超格子層とするレーザ素子が記載されている。この技術はp型の窒化物半導体層をInを含む窒化物半導体層を含む超格子構造とすることによって、p層のキャリア濃度を増加させ、レーザ素子の閾値を低減させようとするものである。しかし、現実にはInAlGaNのような4元混晶の窒化物半導体は結晶性が悪く、またInを含む窒化物半導体はp型になりにくいため、実際に素子を作製することは難しい傾向にある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って本発明は比較的実用化しやすい構成であり、高い発光信頼性を有し、複数の発光成分を有する混合色の発光素子及び装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の発光素子及び装置は、上記事情に鑑みなされたものであり、発光素子構造中に、活性層からの発光を、一部吸収して、異なる波長の励起光を発するフォトルミネセンス層を設けることで様々な混合色を発光する発光素子が得られ、さらに該発光素子からの発光の一部を吸収し、該発光素子からの光と異なる波長の光を発光する蛍光体を付与することで、さらに多彩な混合色を発光する発光装置が得られることを見いだし、本発明を完成するに至ったものである。
本発明の発光素子及び装置は、以下の構成によることを特徴とするものである。
【0011】
(1)基板上に、n型層と、Inを含む窒化物半導体層を有し可視光域の光を発する活性層、p型層と、が順に積層された構造を有する発光素子において、前記活性層からの光の一部を吸収し、該活性層からの光と異なる波長の光を発するフォトルミネセンス層が、前記p型層、n型層の少なくとも一方に設けられ、該フォトルミネセンス層が、Inを含む窒化物半導体からなる第1の層と、第1の層よりもバンドギャップエネルギーの大きい窒化物半導体からなる第2の層とを少なくとも有する超格子多層膜であることを特徴とする。
(2)前記フォトルミネセンス層が、窒化物半導体を有することを特徴とする。この構成により、可視光域に広域なバンドギャップエネルギーを有する窒化物半導体であることで、フォトルミネセンス層から可視光域における様々な波長の光を取り出すことが可能となり、演色性に優れる発光素子を得られる。
(3)前記フォトルミネセンス層が、前記p型層に設けられると共に、p型不純物を有することを特徴とする。この構成により、フォトルミネセンス層において、良好な光励起、波長変換を実現できる。
(4)前記フォトルミネセンス層が、前記n型層に設けられると共に、n型不純物を有することを特徴とする。この構成により、フォトルミネセンス層において、良好な光励起、波長変換を実現できる。
(5)前記活性層がInを含む窒化物半導体層を有し、前記フォトルミネセンス層が、Inを含む窒化物半導体層を有すると共に、該Inを含む窒化物半導体層のIn混晶比が該活性層中のInを含む窒化物半導体層のIn混晶比より大きいことを特徴とする。この構成により、Inを含む窒化物半導体を有する活性層を用いた発光素子において、活性層からの光を、フォトルミネセンス層中のInを含む窒化物半導体でもって、異なる波長の光を取り出すことができ、発光素子から様々な可視光域の光を得ることができる。具体的には、活性層がInaGa1-aN(0≦a<1)層を有し、フォトルミネセンス層がInbGa1-bN(0≦b<1)層を有する際に、a<bを満たすように各層を設ける。
(6)前記n型層がn型窒化物半導体層、前記p型層がp型窒化物半導体層であって、前記活性層がInaGa1-aN(0≦a<1)層を有し、前記フォトルミネセンス層が、第1の窒化物半導体層と、該第1の窒化物半導体層と異なる組成を有する第2の窒化物半導体層とが積層されてなるn側多層膜層を有することを特徴とする。
(7)前記フォトルミネセンス層を構成する第1の窒化物半導体層、又は第2の窒化物半導体層のうち少なくとも一方の層の膜厚が、100Å以下であることを特徴とする。
(8)前記第1の層がInGa1−XN(0<X<1)よりなり、前記第2の層がInGa1−YN(0≦Y<1、Y<X)よりなることを特徴とする。
(9)本発明の発光装置は前記発光素子と、該発光素子からの光の少なくとも一部を吸収し、該発光素子からの光と異なる波長の光を発する蛍光体とを有することを特徴とする。
(10)前記蛍光体は、Ceで付活されたY23・5/3Al23、Eu及び/又はCrで付活された窒素含有CaO-Al23-SiO2から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする。
(11)前記発光装置において、前記発光素子は、光拡散材及び前記蛍光体を含有した透光性モールド部材によって被覆されていることを特徴とする。
(12)前記発光装置において、前記発光素子は、青色の波長域を含む単色性のピーク波長が発光可能な活性層と、緑色及び/又は黄色の波長域を含む発光が可能なフォトルミネッセンス層とを有すると共に、前記蛍光体は黄色及び/又は赤色の波長域を含む光を発することを特徴とする。
この構成により、窒化物半導体でのp−n接合の素子構造における発光出力を向上させることができる。また、活性層よりもIn混晶比の大きいフォトルミネセンス層であっても、良好な結晶性でもって窒化物半導体の積層構造体内に設けることが可能となり、長波長域での光励起を可能とする。加えて、フォトルミネセンス層をn側多層膜層とすることで、n型層において、様々な位置にフォトルミネセンス層を設けることが可能となり、特に、活性層に近接して、設けることが可能となることから、発光出力が向上する。n側多層膜層の上に、活性層を設ける場合においては、n側多層膜層がInを含む窒化物半導体の形成において、結晶性を良好なものとするように作用する。このことで、比較的結晶性の悪いInを含む窒化物半導体を有する、活性層、及びフォトルミネセンス層の形成において、有利に働き、発光素子の特性向上に寄与する。
また本発明の発光装置は、上記発光素子に蛍光体が付与されている。蛍光体からは、窒化物半導体では発光が困難な黄色又は赤色の長波長の光を得ることができる。このため本発明の発光装置は多彩な混合色を発光することができ、特に光の三原色である赤、緑、青色成分を有する色むらの少ない白色の発光も可能となる。
(13)量子井戸構造の活性層が、p型層と、n型層とに挟まれた構造を有する発光素子において、前記活性層からの光の少なくとも一部を吸収し、該活性層からの光と異なる波長の光を発するフォトルミネセンス層が、前記p導電型層、n導電型層の少なくとも一方に設けられ、該フォトルミネセンス層が、Inを含む窒化物半導体からなる第1の層と、第1の層よりもバンドギャップエネルギーの大きい窒化物半導体からなる第2の層とを少なくとも有する超格子多層膜であり、前記第2の層が、前記活性層の障壁層よりも膜厚が小さいことを特徴とする。この構成により、量子井戸構造の活性層内の障壁層よりも膜厚の小さい第2の層と第1の層とが交互に積層された超格子多層膜のフォトルミネセンス層を形成でき、電流が注入された場合に、p−n接合部である活性層、井戸層に効率的にキャリアが注入され、フォトルミネセンス層では、第1の層よりバンドギャップエネルギーが大きな第2の層が障壁層よりも薄膜で形成されることから、キャリアの活性層への注入を阻害せず、良好に発光素子の構造内にフォトルミネセンス層を設けることができる。また、この構成(13)は、他の構成(1)〜(12)、(14)、(15)と組み合わせることもできる。
(14)量子井戸構造の活性層が、p型層と、n型層とに挟まれた構造を有する発光素子において、前記活性層からの光の少なくとも一部を吸収し、該活性層からの光と異なる波長の光を発するフォトルミネセンス層が、前記p導電型層、n導電型層の少なくとも一方に設けられ、該フォトルミネセンス層が、Inを含む窒化物半導体からなる第1の層と、第1の層よりもバンドギャップエネルギーの大きい窒化物半導体からなる第2の層とを少なくとも有する超格子多層膜であり、前記第1の層の数が、前記活性層内の井戸層の数よりも多いことを特徴とする。この構成により、活性層内の井戸層の数よりも積層数の多い第1の層を有するフォトルミネセンス層を形成することで、活性層内では発光再結合が積層数の少ない井戸層で起こり、そこから得られた発光を励起光として、積層数の多い第1の層でフォトルミネセンスを引き起こし、効率的に波長変化される発光装置が得られる。これは、井戸層の積層数を多くしても、ある一定以上では、発光出力が上がらずに、Vfなどが大きくなる傾向にあるためであり、一方で超格子多層膜のフォトルミネセンス層では、主に発光の得られる第1の層の積層数が多くなることで、光変換効率を高めた構造とできる。また、この構成は、他の構成(1)〜(13)、(15)と組み合わせることができる。
(15)量子井戸構造の活性層が、p型層と、n型層とに挟まれた構造を有する発光素子において、前記活性層からの光の少なくとも一部を吸収し、該活性層からの光と異なる波長の光を発するフォトルミネセンス層が、前記p導電型層、n導電型層の少なくとも一方に設けられ、該フォトルミネセンス層が、Inを含む窒化物半導体からなる第1の層と、第1の層よりもバンドギャップエネルギーの大きい窒化物半導体からなる第2の層とを少なくとも有する超格子多層膜であり、前記第1の層と第2の層とのバンドギャップエネルギー差が、前記活性層における井戸層と障壁層とのバンドギャップエネルギー差よりも大きいことを特徴とする。この構成により、活性層に比較して大きなバンドギャップエネルギー差を多層膜のフォトルミネセンス層に設けることで、所望の発光が得られるようにバンドギャップエネルギーが設けられた第1の層と、それよりもバンドギャップエネルギーの大きな第2の層との間で、バンドギャップエネルギー差を大きく設けることで、サブバンドの形成を促し、キャリアを効率的にフォトルミネセンス層を移動させることができ、活性層内への効率的なキャリアの注入を実現できる素子構造となる。また、この構成(15)は、他の構成(1)〜(14)と組み合わせることができる。
以下、本発明の発光素子及び装置における作用・効果について、説明する。
本発明の発光素子は、図2に示すように、p−n接合部を含む電流注入領域内に、電流注入により発光する層22と、その光201を吸収して波長の異なる励起光202を得る層とが設けられたものである。このことは、従来の窒化物半導体を用いた発光素子において、その素子構造内部に、LED光を異なる波長の光に変換するフォトルミネセンス光を生み出す層が設けられているものである。すなわち、発光素子中のp−n接合を構成するp型層、n型層の少なくとも一方に、フォトルミネセンス層を有するものである。また、本発明の発光素子を異なる観点からとらえると、p−n接合を有する積層体の内部に、電流注入による発光の一部を吸収して、波長変換するフォトルミネセンス層を有している発光素子である。
【0012】
本発明では、電流注入により光を発する活性層を、p型層と、n型層とで挟む構造を有する発光素子に、前記フォトルミネセンス層が設けられるものである。この時、フォトルミネセンス層は、n型層に設けることが好ましく、なぜなら、p型層に設けた場合では、n型層に設ける場合に比べて、励起光が得られる効率に極めて劣ったものとなるためである。この傾向は、窒化物半導体を用いたp型層、n型層に観られ、p型層に設けられたフォトルミネセンス層では、電流注入による発光の光がほとんど励起されずに、励起光を得ることが困難となる。このため、素子から得られる光の内、フォトルミネセンス層からの光成分(光の強度が全体に占める割合)は、僅かなものとなり、所望の発光色の光を得ることが困難な素子となる。
【0013】
本発明における前記p型層、n型層にフォトルミネセンス層を設けることの違いは、電流注入により発光する発光素子構造内に、波長変換するフォトルミネセンス層が設けられているためであると考えられる。すなわち、発光素子の発光効率を最大限のものとし、その上で、フォトルミネセンス層における光の波長変換を効率的に実現しうる素子となるように、発光素子構造内部にフォトルミネセンス層を設けることが要求されるからである。
【0014】
また、本発明のフォトルミネセンス層としては、活性層もしくはそれを構成し電流注入により発光する層のバンドギャップエネルギーが、フォトルミネセンス層のバンドギャップエネルギーより大きくすることで、好ましい光の励起が実現される。具体的には、活性層がInaGa1-aN(0≦a<1)層を有し、前記フォトルミネセンス層が、InbGa1-bN(0≦b<1)層である場合に、b>aとすることである。本発明のフォトルミネセンス層の組成としては、特に限定されないが、InXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)で表される組成で、活性層もこの組成式で表されるものとすることで、可視光域において、様々な発光色の発光素子が得られる。また、別の具体例を挙げると、活性層から青色の波長の光、フォトルミネセンス層でその光から青色と補色の関係にある黄色の波長の光、がそれぞれ得られるように、上記Inを含む窒化物半導体の混晶比を決定することで、白色の発光素子が得られる。
それに加えて、窒化物半導体を用いた発光素子では、可視光域において、青色系(純青色を含む)、緑色系(純緑色を含む)の光は、高輝度の発光素子が得られているため、フォトルミネセンス層で、それよりも長波長の光、例えば赤色系の光、が得られるような上記窒化物半導体のIn混晶比とすることで、可視光域において、演色性に優れる発光素子が得られる。これは、上述した発光素子とフォトルミネセンス層における発光効率、波長変換効率(光励起効率)との関係を考慮したものであり、発光素子として発光効率の良好な波長領域の光を、活性層から取り出し、フォトルミネセンス層において、その光を、それよりも長波長の光として取り出すことにある。従って、窒化物半導体を用いた発光素子において、様々な発光色の光を、効率よく得ることが可能である。
【0015】
本発明において、フォトルミネセンス層には、不純物が含まれることが、光の励起において重要なものとなる。これは、不純物が含まれないと、フォトルミネセンス層における光の励起がほとんど発生しなくなり、従来のフォトルミネセンス層を有していない窒化物半導体のLEDに比べて、その光の変化が僅かなものにとどまる。このため、従来のLEDとほとんど変化のない発光色の発光素子では、従来以上の応用を期待することは難しい。このため、本発明におけるフォトルミネセンス層には、不純物をドープすることが好ましく、その含有量として具体的には、1×1016〜1×1022/cm3の範囲である。この時、不純物量を多くすることで、光の変換効率が良好になる傾向がみられる。
【0016】
ここで、フォトルミネセンス層に用いるn型不純物としては、Si、Ge、Sn、S等のIV族、VI族元素を好ましく選択し、さらに好ましくはSi、Snを用いる。また、これらn型不純物に、Znを加えても良い。この時、これらn型不純物に加えて、Znを添加すると、フォトルミネセンス層のバンドギャップエネルギーの光とは別に、それより長い波長の光、すなわち長波長にシフトした光も取り出すことが可能となり、フォトルミネセンス層から得られる光の波長域が広がり、結果として素子から得られる光についても様々な光が取り出せることとなり、その応用において、有利に働くものとなる。これは、n型不純物に加えて、Znを含有することで、深い準位が形成され、このことでフォトルミネセンス層のバンドギャップエネルギーからの光と異なり、その光よりも波長の長い光を得ることができるものと考えられる。このn型不純物を含むフォトルミネセンス層は、発光素子のp−n接合の積層体において、n型層内に、設けることで、フォトルミネセンス層からの発光が得られる素子となる。
【0017】
また、フォトルミネセンス層に用いるp型不純物としては、Mg、Zn、Ca、Be等の周期律表第IIA族、IIB族元素を選択し、好ましくはMg、Ca等をp型不純物とする。このp型不純物を含むフォトルミネセンス層は、発光素子のp−n接合の積層体において、p型層内に、設けることで、フォトルミネセンス層からの発光が得られる素子となる。
以上のように、本発明の発光素子では、フォトルミネセンス層に各導電型の不純物をドープすることで、良好な光励起、波長変換効率を得ることができ、また後述するように、フォトルミネセンス層が多層膜層である場合には、多層膜中に含まれ、主に光励起、波長変換を担う層に少なくともドープすることである。この時、上記光励起、波長変換を主に担う層が複数形成されている場合には、それぞれをほぼ同様なドープ量としてもよく、各層ごとにドープ量を変化させても良い。具体的には、第1の窒化物半導体層にn型不純物がドープし、第2の窒化物半導体層をアンドープとするような変調ドープと呼ばれるもので、変調ドープすることにより、活性層からの発光出力が向上しやすい傾向にある。
【0018】
また、本発明のフォトルミネセンス層をn型層に設ける場合において、特に位置は限定されるものではない。具体的には、n型窒化物半導体のクラッド層、n型窒化物半導体のコンタクト層、の内部、もしくはフォトルミネセンス層がそれらクラッド層、コンタクト層として機能するようにしたものでも良い。好ましくは、後述する第2多層膜層をフォトルミネセンス層とするように、活性層に近いことであり、接して設けられていても良い。クラッド層、コンタクト層として、機能するフォトルミネセンス層としては、多層膜で構成し、その多層膜の少なくとも1層をフォトルミネセンス層とし、別の少なくとも1層を、発光層からの光で励起光を発しない層を設けることで、実現しうる。
【0019】
加えて、半導体層の積層方向において、特に活性層から離れた位置にフォトルミネセンス層を設ける場合に、図1で示すようなコンタクト層に設けると、電流注入による発光の位置からフォトルミネセンス層に至るまでに、各層の界面を伝播することとなるため、その界面での光の反射などによる損失を考慮しなければならない。これは、電流注入による発光の位置、活性層、からフォトルミネセンス層に、光が到達するまでに、それらの間に介在する各層の屈折率差により、光の反射などが少なからず起こり、フォトルミネセンス層に到達する光の量が減少することにある。結果として、活性層とフォトルミネセンス層との間に、その他の層が設けられていると、得られる発光素子の発光効率の低下に、重要な要因となる。
【0020】
例えば、窒化物半導体を用いた素子である実施例1において、n側コンタクト層に設ける場合、さらに基板に近い位置のn側コンタクト層の下側、すなわち電流注入領域であるp−n接合の外側に設ける場合、とを比べると、n側コンタクト層の下側に設けたフォトルミネセンス層では、活性層からの光がその途中でほとんど反射され、フォトルミネセンス層にまで伝播しない傾向にある。これは、屈折率の高いn側コンタクト層側に活性層からの光が集まるためであり、可視光域のバンドギャップエネルギーを有するAlGaN、InGaNなどを用いたフォトルミネセンス層では、従来結晶性の良いことからコンタクト層として多用されているGaNのコンタクト層に光が集まることとなるからである。また、図2に示すように、基板20に対し同一面側に、電極を設けるような構造では、光が面内方向(p−n接合面に平行な方向)を光伝播の容易方向となり、例えば、実施例1において、n側コンタクト層と基板との間にフォトルミネセンス層を設けた場合には、フォトルミネセンス層に到達する光は大きな損失を伴うこととなる。
本発明では、光電変換部であるp−n接合構造内部に、光変換部であるフォトルミネセンス層を設けてあることで、上述のような光の損失を低く抑え、好ましくは活性層に隣接することで、最小限に抑えることができる。
【0021】
以上説明したように、本発明において、p―n接合領域内におけるフォトルミネセンス層の位置が、得られる素子の発光色に大きく影響を及ぼすことになるため、これを十分に考慮して配置することが重要である。実際に、フォトルミネセンス層からの光を調整するためには、フォトルミネセンス層の膜厚、不純物の含有量を変化させることでもって、調整する。このとき、層の膜厚を考慮するに際し、後述するn側多層膜のように、フォトルミネセンス層が多層膜構造であって、それを構成する層の全てが、光変換として機能しない場合には、光変換として機能する層の総膜厚を考慮する。この時、フォトルミネセンス層の膜厚としては、100Å以上とすることで、発光色を変化させた発光素子が得られる。
【0022】
本発明のフォトルミネセンス層を多層膜層として、形成してもよい。この時、具体的には、多層膜として、Inを含む窒化物半導体層を活性層からの光を励起する層と、それとは別の層とを有するものとし、多層膜を構成する少なくとも一層が波長の異なる光を発する層として機能する。このような多層膜からなるフォトルミネセンス層は、活性層を挟むp型層、n型層のどちらにも用いることができる。好ましくは、以下の第1の窒化物半導体層、第2の窒化物半導体層を有するn側多層膜層とすることで、電流注入による発光に好適に作用し、活性層からの良好な発光が得られると共に、その光がフォトルミネセンス層に効率的に到達して、得られる励起光の強度も向上する。
【0023】
本発明の発光素子において、n型層に設けられるn側多層膜層(フォトルミネセンス層)としては、Inを含む第1の窒化物半導体層と、その第1の窒化物半導体層と異なる組成を有する第2の窒化物半導体層とが積層されたn側多層膜層を有するものである。この時、前記第1の窒化物半導体層、または前記第2の窒化物半導体層の内の少なくとも一方の膜厚が100Å以下であると好ましい。好ましくは第1の窒化物半導体層および第2の窒化物半導体層の両方を100Å以下、さらに好ましくは70Å以下、最も好ましくは50Å以下にする。このように膜厚を薄くすることにより、多層膜層が超格子構造となって、多層膜層の結晶性が良くなるので、出力が向上する傾向にある。なお、活性層は少なくともInを含む窒化物半導体、好ましくはInGaNよりなる井戸層を有する単一量子井戸構造、若しくは多重量子井戸構造とすることが望ましい。この時、第1の窒化物半導体層は、主にフォトルミネセンス層としての機能である光励起、波長変換を担い、このため上述したn型不純物のドープは、少なくともこの第1の窒化物半導体層に対してなされている。第1の窒化物半導体層はInXGa1-XN(0<X<1)とし、第2の窒化物半導体層はInYGa1-YN(0≦Y<1、Y<X)、好ましくはGaNとすることが最も好ましい。
【0024】
さらに、このn側多層膜層は、前記第1の窒化物半導体層または前記第2の窒化物半導体層の内の少なくとも一方の膜厚が、近接する第1の窒化物半導体層または第2の窒化物半導体層同士で互いに異なることを特徴とする。即ち、第1の窒化物半導体層または第2の窒化物半導体層を複数層積層した多層膜層を形成した場合に、第2の窒化物半導体層(第1の窒化物半導体層)を挟んだ第1の窒化物半導体層(第2の窒化物半導体層)の膜厚が互いに異なることを意味する。
【0025】
n側多層膜層は活性層と離間して形成されていても良いが、最も好ましくは活性層に接して形成されているようにする。活性層に接して形成する方がより活性層からの発光出力が向上しやすい傾向にある。
【0026】
また、本発明の第2の窒化物半導体層がアンドープであることが好ましい。アンドープとは意図的に不純物をドープしない状態を指し、例えば隣接する窒化物半導体層から拡散により混入される不純物も本発明ではアンドープという。なお拡散により混入される不純物は層内において不純物濃度に勾配がついていることが多い。
【0027】
さらに本発明の好ましい態様として、前記p側の窒化物半導体層には、Alを含む第3の窒化物半導体層と、第3の窒化物半導体と異なる組成を有する第4の窒化物半導体層とが積層されてなるp側多層膜層を有し、前記第3の窒化物半導体層、または前記第4の窒化物半導体の層の内の少なくとも一方の膜厚が100Å以下であることを特徴とする。好ましくは第3の窒化物半導体層、および第4の窒化物半導体層の両方を100Å以下、さらに好ましくは70Å以下、最も好ましくは50Å以下にする。このように膜厚を薄くすることにより、多層膜層が超格子構造となって、多層膜層の結晶性が良くなるので、活性層からの発光出力が向上する傾向にある。
【0028】
第3の窒化物半導体層はAlaGa1-aN(0<a≦1)とし、前記第4の窒化物半導体層はInbGa1-bN(0≦b<1、b<a)、好ましくはGaNとする。
【0029】
さらに好ましくは、前記第3の窒化物半導体層、または前記第4の窒化物半導体層の内の少なくとも一方の膜厚が、近接する第3の窒化物半導体層または第4の窒化物半導体層同士で互いに異なることを特徴とする。即ち、第3の窒化物半導体層または第2の窒化物半導体層を複数層積層した多層膜層を形成した場合に、第3の窒化物半導体層(第4の窒化物半導体層)を挟んだ第4の窒化物半導体層(第3の窒化物半導体層)の膜厚が互いに異なることを意味する。
【0030】
さらにまた、前記第3の窒化物半導体層、または前記第4の窒化物半導体層の内の少なくとも一方のIII族元素の組成が、近接する第3の窒化物半導体層または第4の窒化物半導体層の同一III族元素の組成同士で互いに異なることを特徴とする。即ち、第3の窒化物半導体層または第4の窒化物半導体層を複数層積層した多層膜層を形成した場合に、第3の窒化物半導体層(第4の窒化物半導体層)を挟んだ第4の窒化物半導体層(第3の窒化物半導体層)のIII族元素の組成比が互いに異なることを意味する。
【0031】
p側多層膜層は、n側多層膜層と同じく活性層と離間して形成されていても良いが、最も好ましくは活性層に接して形成されているようにする。活性層に接して形成する方がより出力が向上しやすい傾向にある。
【0032】
また、本発明の第3の窒化物半導体層および第4の窒化物半導体層がアンドープであることを特徴とする。p側の多層膜層をアンドープとする場合、その膜厚は0.1μm以下にすることが望ましい。0.1μmよりも厚いと、活性層に正孔が注入されにくくなって、出力が低下しやすい傾向にある。なお、アンドープの定義についてはn側多層膜層と同じであるので省略する。
【0033】
さらに第3の窒化物半導体層または第4の窒化物半導体層のいずれか一方に、p型不純物がドープされていてもよい。変調ドープすることにより、出力が向上しやすい傾向にある。なおp型不純物としては、Mg、Zn、Cd、Be、Ca等のII族元素を好ましく選択し、好ましくは、Mg、Beを用いる。
【0034】
また第3の窒化物半導体層および第4の窒化物半導体層の両方にp型不純物がドープされていてもよい。p型不純物をドープする場合、不純物濃度は1×1022/cm3以下、好ましくは5×1020/cm3以下に調整する。1×1022/cm3よりも多いと窒化物半導体層の結晶性が悪くなって、出力が低下する傾向にある。これは変調ドープの場合も同様である。
【0035】
本発明の発光装置は、図2に示すように本発明の発光素子に蛍光体を付与したものである。この蛍光体は該発光素子からの光によって励起され、該発光素子からの光と異なる波長の光を発するものである。すなわち蛍光体の励起波長において青色光付近にピークがあり、発光波長において赤色、黄色付近にピークがあることが好ましく、特に蛍光体としてはCeで付活された(Y23・5/3Al23)YAG、Eu及び/又はCrで付活された窒素含有CaO-Al23-SiO2より選ばれた一種であることが好ましい。
また本発明の発光装置は、図2に示すように蛍光体を含有する透光性モールド部材が、発光素子表面を被覆する構造をとることが好ましい。これにより蛍光体は発光素子からの光の一部を効率よく吸収し、より長波長の光を発光することができ、かつ色むらの少ない混合色を得ることができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施例に係るLED素子の構造を示す模式的な断面図である。このLED素子はサファイア基板1の上に、GaNよりなる第1のバッファ層2、アンドープGaNよりなる第2のバッファ層3、SiドープGaNよりなるn側コンタクト層4、アンドープGaN層よりなる第3のバッファ層5、InGaN/GaN超格子構造よりなるn側多層膜層6、InGaN/GaNよりなる多重量子井戸構造の活性層7、AlGaN/GaN超格子構造よりなるp側多層膜層8、MgドープGaNよりなるp側コンタクト層9が順に積層された構造を有する。
【0037】
本発明の窒化物半導体を用いた発光素子では、図1に示すように、活性層7を挟んで下部にあるn側窒化物半導体層に、Inを含む第1の窒化物半導体層と、その第1の窒化物半導体層と異なる組成を有する第2の窒化物半導体層とが積層されたn側多層膜層6を有している。n側多層膜層において、第1の窒化物半導体層、第2の窒化物半導体層はそれぞれ少なくとも一層以上形成し、合計で3層以上、さらに好ましくはそれぞれ少なくとも2層以上積層し、合計で4層以上積層することが望ましい。n側多層膜層が活性層に接して形成されている場合、活性層の最初の層(井戸層、若しくは障壁層)と接する多層膜層は第1の窒化物半導体層でも、第2の窒化物半導体層いずれでも良く、n側多層膜層の積層順序は特に問うものではない。なお、図1ではn側多層膜層6が、活性層7に接して形成されているが、この多層膜層と活性層との間に、他のn型窒化物半導体よりなる層を有していても良い。このn側多層膜層を構成する第1の窒化物半導体層または第2の窒化物半導体層の少なくとも一方の膜厚を100Å以下、好ましくは70Å以下、最も好ましくは50Å以下とすることにより、薄膜層が弾性臨界膜厚以下となって結晶が良くなり、その上に積層する第1、若しくは第2の窒化物半導体層の結晶性が良くなり、多層膜層全体の結晶性が良くなるため、素子の出力が向上する。
【0038】
第1の窒化物半導体層はInを含む窒化物半導体、好ましくは3元混晶のInGa1−XN(0<X<1)とし、好ましくは、n型不純物をドープすることである。一方、第2の窒化物半導体層は第1の窒化物半導体層と組成が異なる窒化物半導体であれば良く、特に限定しないが、結晶性の良い第2の窒化物半導体を成長させるためには、第1の窒化物半導体よりもバンドギャップエネルギーが大きい2元混晶あるいは3元混晶の窒化物半導体を成長させ、その中でもGaNとすると、全体に結晶性の良い多層膜層が成長できる。従って最も好ましい組み合わせとしては、第1の窒化物半導体層でn型不純物ドープのInXGa1-XNであり、第2の窒化物半導体層がGaNとの組み合わせである。
【0039】
好ましい態様として、第1および第2の窒化物半導体層の膜厚を100Å以下、好ましくは70Å以下、最も好ましくは50Å以下にする。単一窒化物半導体層の膜厚を100Å以下とすることにより、窒化物半導体単一層の弾性臨界膜厚以下となり、厚膜で成長させる場合に比較して結晶性の良い窒化物半導体が成長できる。また、両方を70Å以下にすることによって、多層膜層が超格子構造となり、この結晶性の良い超格子構造の上に活性層を成長させると、多層膜層がバッファ層のような作用をして、活性層が結晶性よく成長できる。
【0040】
さらにまた、第1、または前記第2の窒化物半導体層の内の少なくとも一方の膜厚を、近接する第1、または第2の窒化物半導体層同士で互いに異なるようにすることも好ましい。例えば第1の窒化物半導体層をInGaNとし、第2の窒化物半導体層をGaNとした場合、GaN層とGaN層との間のInGaN層の膜厚を、活性層に接近するに従って次第に厚くしたり、また薄くしたりすることにより、多層膜層内部において屈折率が変化するため、実質的に屈折率が次第に変化する層を形成することができる。即ち、実質的に組成傾斜した窒化物半導体層を形成するのと同じ効果が得られる。
【0041】
また、第1、または前記第2の窒化物半導体層の内の少なくとも一方のIII族元素の組成を、近接する第1または第2の窒化物半導体層の同一III族元素の組成同士で互いに異なるようにすることも望ましい。例えば、第1の窒化物半導体層をInGaNとし、第2の窒化物半導体層をGaNとした場合、GaN層とGaN層との間のInGaN層のIn組成を活性層に接近するに従って次第に多くしたり、また少なくしたりすることにより、前述の態様と同じく、多層膜層内部において屈折率を変化させて、実質的に組成傾斜した窒化物半導体層を形成することができる。なおIn組成が減少するに従い、屈折率は小さくなる傾向にある。
【0042】
第1および第2の窒化物半導体層は両方ともアンドープでも良いし、両方にn型不純物がドープされていても良いし、またいずれか一方に不純物がドープされていてもよい。結晶性を良くするためには、アンドープが最も好ましく、次に変調ドープ、その次に両方ドープの順である。なお両方にn型不純物をドープする場合、第1の窒化物半導体層のn型不純物濃度と、第2の窒化物半導体層のn型不純物濃度は異なっていても良い。
【0043】
さらに本発明の態様では、p側窒化物半導体層側に、図1に示すように、活性層7を挟んで上部にあるp側窒化物半導体層に、Alを含む第3の窒化物半導体層と、その第3の窒化物半導体層と異なる組成を有する第4の窒化物半導体層とが積層されたp側多層膜層8を有している。p側多層膜層8において、n側の多層膜層6と同様に第3の窒化物半導体層、第4の窒化物半導体層それぞれ少なくとも一層以上形成し、合計で3層以上、さらに好ましくはそれぞれ少なくとも2層以上積層し、合計で4層以上積層することが望ましい。さらに、p側にも多層膜層を設ける場合、n側の多層膜層よりも膜厚を薄くする方が、素子のVf、閾値が低下しやすくなる傾向にある。p側多層膜層が活性層に接して形成されている場合、活性層の最終層(井戸層、若しくは障壁層)と接するp側多層膜層は第3の窒化物半導体層でも、第4の窒化物半導体層いずれでも良い。なお、図1ではp側多層膜層8が、活性層7に接して形成されているが、この多層膜層8と活性層7との間に、他の窒化物半導体よりなる層を有していても良い。
【0044】
さらにまた、第3、または第4の窒化物半導体層の内の少なくとも一方の膜厚を、近接する第3、または第4の窒化物半導体層同士で互いに異なるようにすることも好ましい。例えば第3の窒化物半導体層をAlGaNとし、第4の窒化物半導体層をGaNとした場合、GaN層とGaN層との間のAlGaN層の膜厚を、活性層に接近するに従って次第に厚くしたり、また薄くしたりすることにより、多層膜層内部において屈折率を変化させることができるため、実質的に屈折率が次第に変化する層を形成することができる。即ち、実質的に組成傾斜した窒化物半導体層を形成するのと同じ効果が得られる。
【0045】
また、第3、または第4の窒化物半導体層の内の少なくとも一方のIII族元素の組成を、近接する第3、または第4の窒化物半導体層の同一III族元素の組成同士で互いに異なるようにすることも望ましい。例えば、第1の窒化物半導体層をAlGaNとし、第2の窒化物半導体層をGaNとした場合、GaN層とGaN層との間のAlGaN層のAl組成を活性層に接近するに従って次第に多くしたり、また少なくしたりすることにより、前述の態様と同じく、多層膜層内部において屈折率を変化させて、実質的に組成傾斜した窒化物半導体層を形成することができる。なおAl組成が増加するに従い、屈折率は小さくなる。従って目的に応じて、これら組成傾斜した層をp層側に配することができる。
【0046】
第3の窒化物半導体層はAlを含む窒化物半導体、好ましくは3元混晶のAlaGa1-aN(0<X<1)とし、最も好ましくはa値が0.5以下のAlaGa1-aNとする。0.5を超えると結晶性が悪くなってクラックが入りやすい傾向にある。一方、第4の窒化物半導体層は第3の窒化物半導体層と組成が異なる窒化物半導体であれば良く、特に限定しないが、結晶性の良い第4の窒化物半導体を成長させるためには、第1の窒化物半導体よりもバンドギャップエネルギーが小さい2元混晶あるいは3元混晶の窒化物半導体を成長させ、その中でもGaNとすると、全体に結晶性の良い多層膜層が成長できる。従って最も好ましい組み合わせとしては、第3の窒化物半導体層がa値が0.5以下のAlaGa1-aNであり、第4の窒化物半導体層がGaNとの組み合わせである。
【0047】
さらに、第3の窒化物半導体層の膜厚を100Å以下、好ましくは70Å以下、最も好ましくは50Å以下にする。同様に第4の窒化物半導体層の膜厚も100Å以下、好ましくは70Å以下、最も好ましくは50Å以下とする。このように単一窒化物半導体層の膜厚を100Å以下とすることにより、窒化物半導体の弾性臨界膜厚以下となり、厚膜で成長させる場合に比較して結晶性の良い窒化物半導体が成長でき、また窒化物半導体層の結晶性が良くなるので、p型不純物を添加した場合にキャリア濃度が大きく抵抗率の小さいp層が得られ、素子のVf、閾値等が低下しやすい傾向にある。
【0048】
第3の窒化物半導体層および第4の窒化物半導体層は両方ともアンドープでも良いし、両方にp型不純物がドープされていても良いし、またいずれか一方にp型不純物がドープされていてもよい。キャリア濃度の高いp層を得るには、変調ドープが最も好ましい。なお、先にも述べたようにアンドープとした場合にはその膜厚は0.1μm以下、好ましくは700Å以下、さらに好ましくは500Å以下にする。0.1μmを超えると、アンドープ層の抵抗値が高くなる傾向にあるからである。両方にp型不純物をドープする場合、第3の窒化物半導体層のp型不純物濃度と、第4の窒化物半導体層のp型不純物濃度は異なっていても良い。
【0049】
次に本発明の発光装置には、発光素子から放出された光によって励起され、それよりも長波長の黄色や赤色系が発光可能な蛍光体を付与する。蛍光体には無機蛍光体と有機蛍光体がある。有機蛍光体は励起波長と発光波長とを比較的近づけることができ、且つ効率よく発光させることができる。したがって有機蛍光体は、青色より長波長の緑色の光を吸収して、より長波長の黄色や赤色光を発光させることもできる。これによって色味を調整させやすくすることもできる。また無機蛍光体は、発光素子に近接して設けても長時間にわたって信頼性よく発光できる特徴をもつ。
このような蛍光体として、具体的にはCeで付活されたY23・5/3Al23、Eu及び/又はCrで付活された窒素含有CaO−Al23−SiOが挙げられる。他にもMg5Li6Sb213:Mn、Mg2TiO4:Mn、Y23:Eu、Y22S:Eu、3.5MgO・MgF2・GeO2:Mnやペリレン系誘導体などを好適に挙げることができる。
【0050】
例えばEu及び/又はCrで付活された窒素含有CaO−Al23−SiO蛍光体はCa−Al−Si−O−N系オキシナイトライド蛍光硝子とも呼ばれる。以下に作製例を示す。酸化アルミニウム、酸化イットリウム、窒化珪素及び酸化カルシウムなどの原料に希土類元素を含む原料を所定比に混合した粉末を窒素雰囲気下において1300℃以上、1900℃以下、より好ましくは1500℃以上、1750℃以下の温度にて溶融する。そして得られた焼成品をボールミルなどにより粉砕し、洗浄、分離、乾燥を行い、最後に篩を通す。このようにして作製された蛍光体は約450nmの青色光により励起され、赤色の光を発光する。
なおこのEu及び/又はCrで付活された窒素含有CaO−Al23−SiO蛍光体は、窒素含有量を増減することによって発光スペクトルのピ−クを575nmから690nmに連続的にシフトすることができる。同様に励起スペクトルも連続的にシフトさせることができる。このため本発明の発光装置において、活性層及びフォトルミネッセンス層から混合色の発光が可能である発光素子と組み合わせることで、色の三原色である赤色、緑色、青色光を含んだ極めて演色性に優れた白色光を得ることができる。
【0051】
また本発明の発光装置に適した蛍光体としてY22S:Euも挙げられる。Y23とEu23を塩酸で溶解後、しゅう酸塩として共沈させる。この沈殿物を空気中で800℃以上、1000℃以下の温度にて焼成し、酸化物とする。さらに硫黄と炭酸ソーダ及びフラックスを混合しアルミナの坩堝に入れ1000℃以上、1200℃以下の温度にて空気中で2時間から3時間焼成して焼成品を得る。焼成品を粉砕、洗浄、分離乾燥して最後に篩に通すことでY22S:Euの蛍光体を得る。この蛍光体は、発光素子からの青色光を効率よく吸収して赤色系の光を発光することができる。蛍光体は1種類でもよいし、2種類以上を混合させて用いることもできる。
【0052】
このようにして得られた蛍光体は、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂或いは低融点硝子などのバインダーと混合し樹脂スラリーとする。上述した青色及び緑色がそれぞれ発光可能な活性層及びフォトルミネッセンス層を有する発光素子に、蛍光体含有の樹脂スラリーを塗布、硬化させて発光装置を形成する。この蛍光体含有の樹脂スラリーはダイボンド樹脂として併用することもできる。より具体的には、まず回路基板上に発光素子を配置させて金線などの導電性ワイヤーやAgペーストなどの導電性ペーストを利用して電気的に接続させる。次にこの蛍光体含有の樹脂スラリーを塗布、注入、または印刷などの方法によって発光素子に被覆させたり、または蛍光体含有物質を張り合わせたりすることによって、発光素子に蛍光体を付与することができる。発光素子からの光を吸収してより長波長の光を発光することができる限り、発光素子上に被覆するものだけでなく、近接配置させるだけのものでも良い。
【0053】
こうして形成された発光装置の電極に外部から電流を流すと約460nmにピークがある単色性の発光と、約500nmから600nmに波長があるブロードな励起光を発光素子が発光する。そして、蛍光体からは発光素子からの光によって励起され、それよりも長波長の赤色系が主として発光することができる。そのため発光素子上に1種類の蛍光体を塗布等する極めて簡単な構成、且つ簡便な方法でRGBの発光色をもち色むらの少ない白色光を発光させることができる。
なお、色むらや色ズレなどを抑制できる限り、上記蛍光体に加えて種々の蛍光体や発光素子を利用できることもいうまでもない。
【0054】
【他の実施形態】
本発明の発光装置において、上述した発光装置に組み合わせて適応できる変形例として、以下に示す形態を用いることができる。
この実施形態において、活性層は、障壁層と井戸層とを有する量子井戸構造を有し、フォトルミネセンス層が、Inを含む窒化物半導体からなる第1の層と、第1の層よりもバンドギャップエネルギーの大きい窒化物半導体からなる第2の層とを少なくとも有する超格子多層膜で形成され、具体的には上記n側多層膜層、p側多層膜層をフォトルミネセンス層とできる。また、図6は、この実施形態について説明するバンド構造を示す模式図であり、n型層305、p型層308に挟まれた活性層307を有する構造で、フォトルミネセンス層306が設けられ、このフォトルミネセンス層には第1の層401とそれよりもバンドギャップエネルギーの大きな第2の層402を有し、活性層には井戸層403とそれよりバンドギャップエネルギーの大きな障壁層404が設けられている。
【0055】
先ず、第1の実施形成としては、第1の層よりバンドギャップエネルギーの大きな第2の層の膜厚を、活性層内の障壁層の膜厚よりも小さくする。これは、活性層内において、障壁層は、井戸層内へキャリアを閉込める働きを担い、一方、素子構造内に設けられたフォトルミネセンス層は、障壁となる第2の層を活性層の障壁層と同様な膜厚で形成すると、第1の層にキャリアが閉じ込められ、フォトルミネセンス層内で、注入されたキャリアの発光再結合が起こり、光励起によるフォトルミネセンスを阻害する。しかしながら、第2の層の膜厚を障壁層よりも小さくすることで、活性層内では、膜厚の大きな障壁層により効率的に井戸層内にキャリアを閉じ込める障壁として機能させ光電変換を実施させ、フォトルミネセンス層内の第2の層は、障壁層よりも膜厚が小さくされることで、キャリアを積極的にトンネルさせて、フォトルミネセンス層内で効率的なキャリアの移動を実現させることができる。ここで、障壁層の膜厚としては、図6に示すように、井戸層403(多重量子井戸構造)との間に挟まれた障壁層404の膜厚であり、井戸層間に複数の障壁層を有する場合には、それらの膜厚の総和となり、単一量子井戸構造の場合に井戸層と、活性層と隣接層との界面、との間に、複数の障壁層を有する場合にも同様に、その複数の障壁層の膜厚の総和となる。また、フォトルミネセンス層についても同様で、図6に示すように、第1の層401と第2の層402とが交互に積層された構造においては、第1の層に対して障壁となる第2の層の膜厚であり、これら第1の層、第2の層と異なるバンドギャップエネルギーの層を有する別の層(複数の層)が設けられて、周期的に積層される構造の場合には、最もバンドギャップエネルギーの小さい第1の層とそれよりもバンドギャップエネルギーの大きな層が積層された構造において、第1の層と第1の層との間に挟まれる各層の膜厚の総和となる。
【0056】
また、別の実施形態として、超格子多層膜構造のフォトルミネセンス層においてバンドギャップエネルギーの小さい第1の層の積層数を、活性層内の井戸層の積層数より多くすることにある。図6に示すように、光の励起により異なる波長の発光がある第1の層の積層数を多くすることで、超格子多層膜構造内を通る活性層からの発光を効率的に光変換させることができる。一方で、活性層内の井戸層は、注入された電子とホールの再結合により、発光させるが、活性層内においてもその光を吸収して電子を励起する形態が存在し、井戸層の積層数を多くすると光励起される確率も高まり、発光効率の低下を招くこととなる。この実施形態では、井戸層の数をフォトルミネセンス層内の第1の層の数より、少なくすることで、フォトルミネセンス層において主に光励起を発生させ、活性層の井戸層において光電変換を実施する機能分離された素子構造とできる。この時、井戸層の積層数としては、組成、膜厚などにも依存するが、20以下とすることで、良好な発光効率が得られる傾向にある。
【0057】
また、別の実施形態としては、第1の層と第2の層とのバンドギャップエネルギー差が、前記活性層における井戸層と障壁層とのバンドギャップエネルギー差よりも大きいことを特徴とする。これは、図6に示すように、超格子多層膜のフォトルミネセンス層において、第1の層と第2の層とのバンドギャップエネルギー差を大きくすることで、サブバンドの形成を促し、フォトルミネセンス層内を効率的にキャリアの移動が実現され、井戸層内にキャリアを効率的に注入させることができる。フォトルミネセンス層のバンドギャップエネルギー差が大きいことで、キャリアの活性層への注入を促す一方で、大きなバンドギャップエネルギー差により、いくらかのキャリアがフォトルミネセンス層内にとどまる構造とでき、そのことにより、光の励起を促すことができる。
【0058】
以上、他の実施形態において、これらの実施形態を組み合わせて用いることが可能であり、上述したフォトルミネセンス層、n側多層膜層、p側多層膜層を組み合わせて用いることができる。また、フォトルミネセンス層の超格子多層膜構造としては、第1の層がInを含む窒化物半導体からなり、第2の層が第1の層よりもバンドギャップエネルギーの大きな窒化物半導体を有するものであり、第1の層、第2の層を交互に積層した構造として、超格子多層膜構造とする。この時、第1の層、第2の層とは異なる層を設けて、周期的に積層した超格子多層膜構造としても良い。第1の層の具体的な組成としては、AlInGa1−x−yN(0≦x<1、0≦y≦1、0<x+y≦1)で表される窒化物半導体を用いることである。例えば、紫外域から赤色までの発光波長において、InGa1−xN(0<x≦1)を好ましく用いて、In組成比を変化させることにより、発光波長を変化させることができる。また第2の層は、第1の層と異なる組成の窒化物半導体とでき、具体的には、AlInGa1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、0<x+y≦1)を用いることができ、例えば、クラッド層をかねる場合には、y>0のAlを含む窒化物半導体を用いることができる。このようなフォトルミネセンス層は、上述したn側多層膜、p側多層膜として用いることができる。また、フォトルミネセンス層と活性層とが図6に示すように、接して形成される場合には、その接合部において、図6(b)に示すように、バンドギャップエネルギーを大きくする構造とすることで、活性層内に注入されるキャリアをフォトルミネセンス層内にとどまらせることができ、フォトルミネセンス層内でのキャリアの存在確率を高めて、光の励起を促すことが可能となる。また超格子多層膜とする条件は、上述のn側多層膜層、p側多層膜層と同様に、100Å以下の膜厚とすること、好ましくは70Å以下とすること、更に好ましくは50Å以下の膜厚で、第1の層、第2の層を形成する。またフォトルミネセンス層をn側多層膜層として形成するには、第1の層を第1の窒化物半導体層、第2の層を第2の窒化物半導体層とし、p側多層膜層として形成するには、第1の層を第4の窒化物半導体層、第2の層を第3の窒化物半導体層とする。超格子多層膜構造のフォトルミネセンス層として、第1の層と第2の層とを、少なくとも1層ずつ積層することであり、好ましくは2層ずつ有することであり、両者を交互に積層して構成する。
【0059】
【実施例】
[実施例1]
図1を元に実施例1について説明する。
サファイア(C面)よりなる基板1をMOVPEの反応容器内にセットし、水素を流しながら、基板の温度を1050℃まで上昇させ、基板のクリーニングを行う。基板1にはサファイアC面の他、R面、A面を主面とするサファイア、その他、スピネル(MgA124)のような絶縁性の基板の他、SiC(6H、4H、3Cを含む)、Si、ZnO、GaAs、GaN等の半導体基板を用いることができる。
【0060】
(第1のバッファ層2)
続いて、温度を510℃まで下げ、キャリアガスに水素、原料ガスにアンモニアとTMG(トリメチルガリウム)とを用い、基板1上にGaNよりなるバッファ層2を約200Åの膜厚で成長させる。なおこの低温で成長させる第1のバッファ層2は基板の種類、成長方法等によっては省略できる。
【0061】
(第2のバッファ層3)
バッファ層2成長後、TMGのみ止めて、温度を1050℃まで上昇させる。1050℃になったら、同じく原料ガスにTMG、アンモニアガスを用い、アンドープGaNよりなる第2のバッファ層3を1μmの膜厚で成長させる。第2のバッファ層は先に成長させた第1のバッファ層よりも高温、例えば900℃〜1100℃で成長させ、InXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)で構成でき、その組成は特に問うものではないが、好ましくはGaN、X値が0.2以下のAlXGa1-XNとすると結晶欠陥の少ない窒化物半導体層が得られやすい。また膜厚は特に問うものではなく、バッファ層よりも厚膜で成長させ、通常0.1μm以上の膜厚で成長させる。
【0062】
(n側コンタクト層4)
続いて1050℃で、同じく原料ガスにTMG、アンモニアガス、不純物ガスにシランガスを用い、Siを3×1019/cm3ドープしたGaNよりなるn側コンタクト層を3μmの膜厚で成長させる。このn側コンタクト層4も第2のバッファ層3と同様に、InXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)で構成でき、その組成は特に問うものではないが、好ましくはGaN、X値が0.2以下のAlXGa1-XNとすると結晶欠陥の少ない窒化物半導体層が得られやすい。膜厚は特に問うものではないが、n電極を形成する層であるので1μm以上の膜厚で成長させることが望ましい。さらにn型不純物濃度は窒化物半導体の結晶性を悪くしない程度に高濃度にドープすることが望ましく、1×1018/cm3以上、5×1021/cm3以下の範囲でドープすることが望ましい。
【0063】
(第3のバッファ層5)
次にシランガスのみを止め、1050℃で同様にしてアンドープGaNよりなる第3のバッファ層5を100Åの膜厚で成長させる。この第3のバッファ層5もInXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)で構成でき、その組成は特に問うものではないが、好ましくはGaN、X値が0.2以下のAlXGa1-XN、またはY値が0.1以下のInYGa1-YNとすると結晶欠陥の少ない窒化物半導体層が得られやすい。このアンドープGaN層を成長させることにより、高濃度で不純物をドープしたn側コンタクト層4の上に直接活性層を成長させるのと異なり、下地の結晶性が良くなるため、次に成長させる窒化物半導体を成長しやすくする。このように、アンドープの窒化物半導体層よりなる第2のバッファ層3の上に、高濃度でn型不純物をドープした窒化物半導体よりなるn側コンタクト層4、次にアンドープの窒化物半導体(n側多層膜層も含む。)よりなる第3のバッファ層5を積層した3層構造とすると、LED素子にした場合にVfが低下しやすい傾向にある。なおn側多層膜層6をアンドープにする場合は第3のバッファ層5を省略することができる。
【0064】
(n側多層膜層(フォトルミネセンス層)6)次に、同様の温度で、アンドープGaNよりなる第2の窒化物半導体層を40Å成長させ、次に温度を800℃にして、TMG、TMI、SiH4、アンモニアを用い、Siを1.25nmolを供給して、SiドープのInGaNよりなる第1の窒化物半導体層を20Å成長させる。そしてこれらの操作を繰り返し、第2+第1の順で交互に30層づつ積層させ、最後にGaNよりなる第2の窒化物半導体層を40Å成長さた超格子構造の多層膜よりなるn側第2多層膜層6を1840Åの膜厚で成長させる。(活性層7)次に、アンドープGaNよりなる障壁層を200Åの膜厚で成長させ、続いて温度を800℃にして、TMG、TMI、アンモニアを用いアンドープIn0 . 3Ga0 . 7Nよりなる井戸層を30Åの膜厚で成長させる。そして障壁+井戸+障壁+井戸・・・・+障壁の順で障壁層を5層、井戸層4層交互に積層して、総膜厚1120Åの多重量子井戸構造よりなる活性層7を成長させる。活性層7は障壁層から積層したが、積層順は井戸層から積層して、井戸層で終わってもよく、また井戸層から積層して障壁層で終わる場合、障壁層から積層して井戸層で終わっても良く積層順は特に問わない。井戸層の膜厚としては100Å以下、好ましくは70Å以下、さらに好ましくは50Å以下に調整する。100Åよりも厚いと、出力が向上しにくい傾向にある。一方、障壁層の厚さは300Å以下、好ましくは250Å以下、最も好ましくは200Å以下に調整する。
【0065】
(p側多層膜層8)
次に、TMG、TMA、アンモニア、Cp2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)を用い、Mgを5×1019/cm3ドープしたp型Al0.05Ga0.95Nよりなる第3の窒化物半導体層を25Åの膜厚で成長させ、続いてCp2Mg、TMAを止めアンドープGaNよりなる第4の窒化物半導体層を25Åの膜厚で成長させる。そしてこれらの操作を繰り返し、第3+第4の順で交互に4層ずつ積層した超格子よりなるp側多層膜層8を200Åの膜厚で成長させる。
【0066】
(p側コンタクト層9)
続いて1050℃で、TMG、アンモニア、Cp2Mgを用い、Mgを1×1020/cm3ドープしたp型GaNよりなるp側コンタクト層8を700Åの膜厚で成長させる。p側コンタクト層8もInXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)で構成でき、その組成は特に問うものではないが、好ましくはGaNとすると結晶欠陥の少ない窒化物半導体層が得られやすく、またp電極材料と好ましいオーミック接触が得られやすい。
【0067】
反応終了後、温度を室温まで下げ、さらに窒素雰囲気中、ウェーハを反応容器内において、700℃でアニーリングを行い、p型層をさらに低抵抗化する。
【0068】
アニーリング後、ウェーハを反応容器から取り出し、最上層のp側コンタクト層9の表面に所定の形状のマスクを形成し、RIE(反応性イオンエッチング)装置でp側コンタクト層側からエッチングを行い、図1に示すようにn側コンタクト層4の表面を露出させる。
【0069】
エッチング後、最上層にあるp側コンタクト層のほぼ全面に膜厚200ÅのNiとAuを含む透光性のp電極10と、そのp電極10の上にボンディング用のAuよりなるpパッド電極11を0.5μmの膜厚で形成する。一方、エッチングにより露出させたn側コンタクト層4の表面にはWとAlを含むn電極12を形成してLED素子とした。
【0070】
以上のようにして得られる発光素子は、図4に示すようなスペクトルの発光が得られる。図4に示すように、活性層からの発光ピーク波長は、450nmの純青色の発光であり、フォトルミネセンス層からの発光は、550nm近傍のブロードなピークを呈している。また、各駆動電流値における発光スペクトルは、活性層からの発光ピーク強度と、フォトルミネセンス層からのピーク強度との比に、変化が現れ、電流注入による発光である活性層からの光強度が大きくなる傾向が観られる。
この時、発光素子から得られる発光色を、色度図上の変化として図5に示す。ここで、JIS Z 8701色度図中の各点a〜hは、図5に示す各電流値1,3,5,7,10mAに対応している。図から明らかなように、得られる発光色は、黄色(a)、黄緑色(b)、白色(c,d,e)、青色(f,g,h)と変化する。この用に、本実施例で得られる発光素子は、活性層、フォトルミネセンス層とで、補色関係にある青色、黄色でもって、白色の発光色が得られるばかりでなく、電流値により様々な演色性に優れた発光色が得られる。
【0071】
本実施例において、n側多層膜層を構成する第2の窒化物半導体層はGaNで構成したが、他のInXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、好ましくはIn組成が第1の窒化物半導体よりも小さいInGaNで構成することもできる。またp側多層膜層を構成する第4の窒化物半導体層はGaNで構成したが、他のInXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)、好ましくは第3の窒化物半導体よりもAl組成の小さいAlGaNで構成することもできる。
【0072】
[実施例2]
[実施例1]と同様に発光素子を作製した。活性層から青色の発光が得られ、フォトルミネッセンス層からは緑色の発光が得られるように組成を調整した。次に以下の方法で蛍光体を作製し、発光素子に被覆した。
酸化アルミニウム、酸化イットリウム、窒化珪素、酸化カルシウム及び酸化ユウロピウムを所定比に混合した。この混合粉末を窒素雰囲気下において1800℃で8h加熱処理を行った。得られた焼成品について、ヘキサンを有機溶剤として用いボールミルにて粉砕し、乾燥乾燥後、篩を通し、蛍光体粉末とした。
このEuで付活された窒素含有CaO−Al23−SiO蛍光体(Ca−Al−Si−O−N系オキシナイトライド蛍光硝子)粉末に透光性のエポキシ樹脂を加え混練した。そして発光素子を配置した回路に注入し、図2に示したように発光素子表面を蛍光体で被覆した。
このようにして作製された発光装置からは、演色性に優れた色むらの少ない白色光が得られた。これは装置を構成する発光素子から青色と緑色の光が発光し、蛍光体からはより長波長の赤色の蛍光が発光したためである。
【0073】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の発光素子は、n型層とp型層とで、活性層を挟む構造の発光素子構造中に、その活性層からの発光の少なくとも一部を吸収して異なる波長の光を発するフォトルミネセンス層を設けることで、可視光域で、演色性にすぐれ、様々な発光色を発するものとなる。特に活性層、フォトルミネセンス層に、Inを含む窒化物半導体層を用いた発光素子では、従来得ることが困難であった赤色系などの長波長域の光をも、取り出すことが可能となり、窒化物半導体を用いた発光素子の応用に、多大な寄与をもたらすものとなる。
また本発明の発光装置を構成する蛍光体は、窒化物半導体では発光が困難な黄色や赤色の長波長の光を効率よく高輝度で得られる。すなわち本発明の発光装置は、光の三原色のうち発光素子より2色を発光させると共に、残りの1色を蛍光体から発光させて、RGB成分を高輝度に含む白色発光が可能である。特に本発明の発光装置は、例えば2端子から電流を供給することで1つの発光装置を発光させているにすぎない。そのため、極めて簡単な構造にも係わらず、色ズレや色むらなく高輝度にRGB成分を含んだ白色発光装置とすることができる。このように、RGB成分を高輝度に含んだ発光装置は、RGBのフィルタ及び液晶を利用することによって、フルカラーやマルチカラーの表示装置を構成させることができる。同様に、演色性の極めて高い照明用などの発光装置とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る発光素子の構造を示す模式断面図。
【図2】本発明の発光素子及び発光装置を説明する模式断面図。
【図3】従来の発光素子を示す模式断面図。
【図4】本発明の一実施例に係る発光素子の発光特性を示すスペクトル図。
【図5】本発明の一実施例に係る発光素子の発光色を示す色度図。
【図6】本発明の一実施形態についてバンド構造を説明する模式図。
【符号の説明】
1、20、101・・・基板
2・・・第1のバッファ層
3・・・第2のバッファ層
4・・・n側コンタクト層
5・・・第3のバッファ層
6、24・・・n側多層膜層(実施例1、2ではフォトルミネセンス層)
7、22、110・・・活性層
8・・・p側多層膜層
9・・・p側コンタクト層
10・・・全面電極
102、21・・・n型層
103・・・障壁層
104、105・・・発光層
106、23・・・p型層
11、26、108・・・p電極、
12、25、107・・・n電極。
201、202、203・・・発光素子の各層と蛍光体からの発光(波長が異なる)
27・・・蛍光体
28・・・透光性モールド部材

Claims (8)

  1. 基板上に、n型層と、Inを含む窒化物半導体層を有し可視光域で発光する活性層、p型層と、が順に積層された構造を有する発光素子において、
    前記活性層からの光の一部を吸収し、該活性層からの光と異なる波長の光を発するフォトルミネセンス層が、前記p型層、n型層の少なくとも一方に設けられ、
    該フォトルミネセンス層が、Inを含む窒化物半導体からなる第1の層と、第1の層よりもバンドギャップエネルギーの大きい窒化物半導体からなる第2の層とを少なくとも有する超格子多層膜であることを特徴とする発光素子。
  2. 前記活性層が、井戸層と、障壁層と、を有する量子井戸構造を有し、
    前記第2の層が、前記活性層の障壁層よりも膜厚が小さいことを特徴とする請求項1に記載の発光素子。
  3. 前記活性層が、井戸層と、障壁層と、を有する量子井戸構造を有し、
    前記第1の層の数が、前記活性層内の井戸層の数よりも多いことを特徴とする請求項1又は2に記載の発光素子。
  4. 前記活性層が、井戸層と、障壁層と、を有する量子井戸構造を有し、
    前記第1の層と第2の層とのバンドギャップエネルギー差が、前記活性層における井戸層と障壁層とのバンドギャップエネルギー差よりも大きいことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発光素子。
  5. 前記第1の層がInGa1−XN(0<X<1)よりなり、
    前記第2の層がInGa1−YN(0≦Y<1、Y<X)よりなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の発光素子。
  6. 前記フォトルミネセンス層が、前記n型層に設けられると共に、n型不純物を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の発光素子。
  7. 前記請求項1及至6のいずれかに記載の発光素子と、
    該発光素子からの光の少なくとも一部を吸収し、該発光素子からの光と異なる波長の光を発する蛍光体とを有することを特徴とする発光装置。
  8. 前記発光素子は、青色の波長域を含む単色性のピーク波長が発光可能な活性層及び、緑色及び/又は黄色の波長域を含む発光が可能なフォトルミネッセンス層とを有すると共に、前記蛍光体は黄色及び/又は赤色の波長域を含む光を発することにより白色系の発光が可能であることを特徴とする請求項7に記載の発光装置。
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