JP2010056423A - 半導体発光素子用電極及び半導体発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】高反射率と低接触抵抗を両立させることのできる半導体発光素子用電極及びこれを用いた半導体発光素子を提供する。
【解決手段】LEDチップ100におけるAlGaIn1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、かつ0≦x+y≦1)の一般式で表される半導体層と接触するp側電極120が、当該半導体上に形成されAgを主成分としPd及びCuが添加されているAg合金層120aを含むようにした。
【選択図】図2

Description

本発明は、半導体発光素子用電極及び半導体発光素子に関する。
化合物半導体のpn接合を用いた半導体発光素子として、LED(発光ダイオード)素子が広く実用化され、主として光伝送、表示や特殊照明用途に用いられている。近年、窒化物半導体発光素子と蛍光体を用いた白色LEDも実用化され、今後は一般照明用途への展開が大いに期待されている。しかし、白色LEDは、エネルギーの変換効率が既存の蛍光灯と比較して不十分なため、一般照明用途に対しては大幅な効率改善が必要である。さらに、高い演色性、低コストかつ大光束のLEDの実現のためには多くの課題が残されている。
現在市販されている白色LEDとしては、青色LEDチップをリードフレームに実装し、青色LEDチップにYAG等の黄色蛍光体層を被せ、エポキシ樹脂等のモールドレンズで封止したものが知られている。青色LEDチップからは青色光が放出され、黄色蛍光体層を通り抜ける際にその一部が吸収され黄色光に変換される。青色と黄色は互いに補色の関係にあり、両者が混じり合うと白色光となる。
白色LEDの性能を向上させるためには、中核部品である青色LEDチップの高効率化が必須である。青色LEDチップは、サファイア基板上に、AlGaNからなる低温堆積バッファ層、n−GaN層、GaInNからなる多重量子井戸活性層、p−AlGaNからなる電子ブロック層及びp−GaNコンタクト層を、有機金属化合物気相成長法等によって連続的に積層させている。結晶成長層の一部は、n−GaN層が露出するまでエッチングが行われ、露出したn−GaN層上にはTi/Al等からなるn側電極が、また、p−GaNコンタクト層上にはNi/Au等からなるp側電極が形成されている(例えば、特許文献1参照)。n側電極及びp側電極は、400℃から600℃の範囲で適当な熱処理を行うことで、結晶成長層とのオーミック接触が得られるようになり、素子に低電圧で電流を注入することが可能となる。
特開2001−210868号公報
しかしながら、上記青色LEDチップでは、多重量子井戸活性層で発光した青色光がn側電極及びp側電極で吸収され、素子外部へ取り出すことのできる光量が小さいという問題点がある。具体的には、多重量子井戸活性層で発光した青色光のほぼ半分がp側電極側へ向かい、そのうちの60%程度がp側電極に吸収される。さらに、サファイア基板側へ向かった光の半分以上も、サファイア基板と低温堆積バッファ層の界面で反射してp側電極側へ向かう。この光もp側電極に同程度吸収されるので、結局、サファイア基板の裏面から取り出される青色光は、多重量子井戸活性層から発せられた光の半分以下となってしまう。
この問題を解決すべく、仮に、反射率の高い金属を電極に用いると、結晶成長層とのオーミック接触が損なわれてしまう。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、高反射率と低接触抵抗を両立させることのできる半導体発光素子用電極及びこれを用いた半導体発光素子を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明では、AlGaIn1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、かつ0≦x+y≦1)の一般式で表される半導体層と接触し、Agを主成分としPd及びCuが添加されているAg合金層を含む半導体発光素子用電極が提供される。
上記半導体発光素子用電極において、前記Ag合金層にはGeが添加されていることが好ましい。
上記半導体発光素子用電極において、前記Ag合金層のPd及びCuの濃度が3質量%以下であることが好ましい。
上記半導体発光素子用電極において、前記Ag合金層のGeの濃度が1質量%以下であることが好ましい。
上記半導体発光素子用電極において、前記Ag合金層は、525℃以下で熱処理が施されていることが好ましい。
また、前記目的を達成するため、本発明では、AlGaIn1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、かつ0≦x+y≦1)の一般式で表される半導体層と、上記半導体発光素子用電極と、を備えた半導体発光素子が提供される。
上記半導体発光素子において、前記半導体層は、サファイア基板上に形成され、前記半導体発光素子用電極は、前記半導体層における前記サファイア基板と反対側に形成されるようにしてもよい。
本発明によれば、半導体発光素子における電極の高反射率と低接触抵抗を両立させることができる。
図1は、本発明の一実施形態を示すLEDチップの模式断面図である。
図1に示すように、LEDチップ100は、透光性基板としてのサファイア基板102上に、III族窒化物半導体層が形成されたものである。III族窒化物半導体層は、AlGaIn1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、かつ0≦x+y≦1)の一般式で表され、AlGaNからなる低温堆積バッファ層110、n−GaN層112、GaNInNからなる多重量子井戸活性層114、p−AlGaNからなる電子ブロック層116、p−GaNコンタクト層118をサファイア基板102側からこの順に有している。バッファ層110からp−GaNコンタクト層118までは、例えば有機金属気相成長法等を用いて、III族窒化物半導体のエピタキシャル成長により形成される。
結晶成長層の一部は、n−GaN層112が露出するまでエッチングが行われ、露出したn−GaN層112上にはn側電極124が形成される。図2に示すように、本実施形態においては、n側電極124は、Ti層124a及びAl層124bをn−GaN層112側からこの順に有している。n側電極124は、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等により形成され、例えば、500℃から600℃の範囲で窒素雰囲気中で熱処理が施される。
また、p−GaNコンタクト層118上にはp側電極120が形成される。すなわち、p側電極120は、III族窒化物半導体層におけるサファイア基板120と反対側に形成されている。図2に示すように、本実施形態においては、p側電極120は、Ag合金層120a、Ti層120b及びAu層120cをp−GaNコンタクト層118側からこの順に有している。Ag合金層120aは、Agを主成分とし、Pd、Cu及びGeが添加されている。例えば、Ag合金層120aは、3質量%以下のPdと、3質量%以下のCuと、1質量%以下のGeと、を含んでいる。尚、Ag合金層120aは、Geが含まれない構成とすることもできる。
p側電極120は、真空蒸着法、スパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等により形成され、例えば、425℃以上525℃以下の範囲で窒素雰囲気中で熱処理が施される。p側電極120のAg合金層120aは、525℃以下の熱処理によって原子レベルの界面反応が生じ、p−GaNコンタクト層118との良好なオーミック接触を形成する。ただし、熱処理温度が525℃を超えるとAg合金層120aにて熱的なマイグレーションが生じて、p側電極120に凹凸が生じるとともに反射率が低下する。
以上のように構成されたLEDチップ100では、p側電極120にAg合金層120aを用いたので、多重量子井戸活性層114から発せられる青色光のうち、p側電極120へ入射するものはAg合金層120aにて反射する。これにより、p側電極120によって青色光が吸収されることを抑制することができる。
また、Ag合金層120aは、Pb及びCuが添加されているので、Agである場合と比べて、p−GaNコンタクト層118との接触抵抗を小さくすることができる。また、Ag合金層120aは、Pb及びCuが添加されているので、熱的及び化学的な安定性も向上している。
さらに、Ag合金層120aは、Geが添加されているので、Pb及びCuの相互作用を引き起こし、比較的低濃度のPd濃度及びCu濃度であっても、良好な熱的及び化学的安定性を得ることができる。さらにまた、Ag合金層120aに、Geを添加することにより、Pd及びCuの添加による反射率の低下を抑制することができる。
従って、本実施形態のLEDチップ100によれば、p側電極120の高反射率と低接触抵抗を両立することができ、光の取り出し効率を向上させることができる。
図3は、Ag合金層の熱処理温度と接触抵抗との関係を示すグラフである。図3のデータを取得するにあたり、次のスペックのLEDチップ100を作製して測定した。
サファイア基板102は、厚さ150μmとした。
低温堆積バッファ層110は、AlGaNとし、厚さ20nmとした。
n−GaN層112は、Si濃度が2×1018cm−3のGaNとし、厚さ3μmとした。
多重量子井戸活性層114は、厚さ3nmのGa0.85In0.15Nと、厚さ10nmのGaNの積層構造とした。
電子ブロック層116は、Mg濃度が2×1019cm−3のp−AlGaNとし、厚さ20nmとした。
p−GaNコンタクト層118は、Mg濃度が2×1019cm−3のp−GaNとし、厚さ20nmとした。
p側電極120のAg合金層120aは、Agに、Pdを1.0質量%、Cuを1.0質量%、Geを0.1質量%添加した合金とし、厚さ300nmとした。
p側電極120のTi層120bは、厚さ50nmのTiにより形成した。
p側電極120のAu層120cは、厚さ300nmのAuにより形成した。
n側電極124のTi層120aは、厚さ10nmのTiにより形成した。
n側電極124のAl層120bは、厚さ300nmのAlにより形成した。
以上のように構成されたLEDチップ100にて、p側電極120の熱処理温度を450℃から550℃まで25℃間隔で変化させて、p側電極120とp−GaNコンタクト層118の接触抵抗を測定した。この結果、熱処理温度が450℃では接触抵抗率が2.1×10−4Ωcmであり、熱処理温度が475℃では接触抵抗率が1.3×10−4Ωcmであり、熱処理温度が500℃では接触抵抗率が2.4×10−4Ωcmであり、熱処理温度が525℃では接触抵抗率が3.4×10−4Ωcmであり、熱処理温度が550℃では接触抵抗率が1.0×10−3Ωcmであった。尚、熱処理温度が425℃では接触抵抗率が10−2Ωcmのレベルとなった。この結果を考慮すると、p側電極120の熱処理温度は525℃以下が好ましく、500℃以下がより好ましい。また、熱処理温度が475℃では、接触抵抗が最も小さくなった。これは、従来のNi/Au系オーミック電極の半分程度の値である。
図4は、各試料体の電極へ入射する光の波長と反射率の関係を示すグラフである。図4のデータを取得するにあたり、上記スペックのLED100におけるp側電極120の材質を変えて複数の試料体A〜Eを作製した。
試料体Aは、500℃で熱処理されたAg合金層120aを用いて作製した。
試料体Bは、熱処理が行われていないAg合金層120aを用いて作製した。
試料体Cは、480℃で熱処理されたAgをAg合金層120aの代わりに用いて作製した。
試料体Dは、熱処理が行われていないAgをAg合金層120aの代わりに用いて作製した。
試料体Eは、p側電極120をNi/Auとして作製した。
図4に示すように、試料体A〜Dは、試料体Eと比較すると、格段に反射率が高くなっている。p側電極120の熱処理が行われていないものとして、試料体Bと試料体Dを比較すると、試料体Bは試料体Dと同等の反射率を有していることがわかる。従って、Ag合金層120aは、Agと同等の反射率を有しているといえる。そして、熱処理後の試料体Aと試料体Cを比較すると、試料体Aは試料体Cよりも反射率が高く、熱処理されたAg合金層120aは、Agより耐熱性が高いといえる。また、試料体Cは、p側電極120がオーミック電極を形成するために十分な500℃の熱処理においても、十分に高い反射率を維持していることがわかる。
図5は、各試料体の電流と光出力の関係を示すグラフである。図5のデータは、試料体Aと試料体Eを用いて取得した。
図5に示すように、熱処理されたAg合金層120aを用いた試料体Aは、Ni/Au電極を用いた試料体Eと比較して、約1.5倍の光出力の向上が観測されている。
ここで、p側電極120のAg合金層120aに添加する微量元素は、仕事関数の大きいPdや、p−GaNコンタクト層118に拡散して深い準位を形成するCuの濃度が高くなるほど、p−GaNコンタクト層118との接触抵抗が低下する。これと同時に、Ag合金層120aの熱的、化学的な安定性も向上する一方、光の反射率は低下する。このため、PdとCuの濃度は、それぞれ、3質量%以下に抑えることが望ましい。
また、Geを添加すると、Pd及びCuの相互作用によって、Pd及びCuを比較的低濃度としても熱的、化学的な安定性が向上して、結果として高い反射率を得ることができる。ただし、Geは、p−GaNコンタクト層118とのオーミック接触に悪影響を与えるため、1質量%以下の濃度に抑えることが望ましい。
また、例えば図6に示すように、前記実施形態の青色のLEDチップ100と、黄色蛍光体層202との組合せにより、白色LED200を構成することもできる。図6の白色LED200は、LEDチップ100と、LEDチップ100が実装される第1リードフレーム204と、第1リードフレーム204の回路パターン204aとワイヤ206により電気的に接続される第2リードフレーム208と、リードフレーム204上にてLEDチップ100を被覆する黄色蛍光体層202と、各リードフレーム204,208の先端をLEDチップ100、黄色蛍光体層202等とともに覆うモールドレンズ210と、を有している。LEDチップ100は、フリップチップ実装され、p側電極120とn側電極124が第1リードフレーム204側となり、サファイア基板102が第1リードフレーム204と反対側となっている。フリップチップ型とすることにより、多重量子井戸活性層114が第1リードフレーム204に近接する構成となるので、放熱性に優れ、高出力動作に有利となる。この白色LED200では、LEDチップ100の光出力が向上していることから、従来からの課題であった高光束化を図ることができる。尚、黄色蛍光体層202に赤色蛍光体を含有させることにより、演色性の向上を図ってもよい。
尚、前記実施形態においては、p側電極120がAg合金層120aを含むものを示したが、例えば図7に示すように、n側電極324がAg合金層324aを含むようにしてもよい。図7のLEDチップ300は、n側電極324を除いて図2のLEDチップ100と同じ構成である。このn側電極324は、Pd、Cu及びGeが添加されたAgからなるAg合金層324aと、Ti層324bと、Au層324cと、をn−GaN層112側からこの順に有している。Ag合金層324aをn側電極324に用いた場合、Ag合金層324aと接触するn−GaN層112のSi濃度が3×1018cm−3を超えると、特に接触抵抗が小さくなることが確認されている。
また、前記実施形態においては、多重量子井戸活性層114が、青色光を発するものを示したが、紫外光、緑色光、黄色光、橙色光等を発せさせることもできる。また、p側電極120は、Agを主成分としPd及びCuが添加されているAg合金層120aが半導体層と接触していればよく、Ag合金層120a上に形成される金属材料等は任意である。要は、AlGaIn1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、かつ0≦x+y≦1)の一般式で表される半導体層に接触するAg合金層120aを含んでいればよい。さらには、透光性基板としてサファイア基板102以外のものを用いてもよく、具体的な細部構造等について適宜に変更可能であることは勿論である。
図1は、本発明の一実施形態を示すLEDチップの模式断面図である。 図2は、LEDチップの電極構成を示す模式断面図である。 図3は、Ag合金層の熱処理温度と接触抵抗との関係を示すグラフである。 図4は、各試料体の電極へ入射する光の波長と反射率の関係を示すグラフである。 図5は、各試料体の電流と光出力の関係を示すグラフである。 図6は、LEDチップを用いた白色LEDの模式断面図である。 図7は、変形例を示すLEDチップの模式断面図である。
符号の説明
100 LEDチップ
102 サファイア基板
110 低温堆積バッファ層
112 n−GaN層
114 多重量子井戸活性層
116 電子ブロック層
118 p−GaNコンタクト層
120 p側電極
120a Ag合金層
120b Ti層
120c Au層
124 n側電極
124a Ti層
124b Al層
200 白色LED
202 黄色蛍光体層
204 第1リードフレーム
204a 回路パターン
206 ワイヤ
208 第2リードフレーム
210 モールドレンズ
300 LEDチップ
324 n側電極
324a Ag合金層
324b Ti層
324c Au層

Claims (7)

  1. AlGaIn1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、かつ0≦x+y≦1)の一般式で表される半導体層と接触し、Agを主成分としPd及びCuが添加されているAg合金層を含む半導体発光素子用電極。
  2. 前記Ag合金層にはGeが添加されている請求項1に記載の半導体発光素子用電極。
  3. 前記Ag合金層のPd及びCuの濃度が3質量%以下である請求項2に記載の半導体発光素子用電極。
  4. 前記Ag合金層のGeの濃度が1質量%以下である請求項3に記載の半導体発光素子用電極。
  5. 前記Ag合金層は、525℃以下で熱処理が施されている請求項4に記載の半導体発光素子用電極。
  6. AlGaIn1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、かつ0≦x+y≦1)の一般式で表される半導体層と、
    請求項5に記載の半導体発光素子用電極と、を備えた半導体発光素子。
  7. 前記半導体層は、サファイア基板上に形成され、
    前記半導体発光素子用電極は、前記半導体層における前記サファイア基板と反対側に形成される請求項6に記載の半導体発光素子。
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