JP5060823B2 - 半導体発光素子 - Google Patents

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本発明は、表示分野、照明分野等への応用が期待されている半導体材料を用いた発光素子に関する。
化合物半導体pn接合による発光素子として、発光ダイオードが広く実用化され、主に光伝送、表示や特殊照明用途に用いられている。近年、窒化物半導体と蛍光体を用いた白色発光ダイオードも実用化され、今後は一般照明用途への展開が大いに期待されている。しかし、特に白色発光ダイオードにおいては、エネルギー変換効率が既存の蛍光灯と比較して不十分であるため、一般照明用途に対しては大幅な効率改善が必要である。さらに、高い演色性、低コストかつ大光束の発光ダイオードを実現するためには、多くの課題が残されている。
現在市販されている白色発光ダイオードとして、図4に示すような構成が用いられている(例えば、特許文献1参照)。図4に示すように、この白色発光ダイオードは、青色LEDチップ301をリードフレーム302に実装し、例えばYAG:Ceにより構成される黄色蛍光体層303を被せた後に、エポキシ樹脂等からなるモールドレンズ304で覆われることにより構成される。青色LEDチップ301からは青色光が放出され、黄色蛍光体層303を通り抜ける際にその一部が吸収され黄色光に変換される。青色と黄色は互いに補色の関係にあることから、両者が混じり合うと白色光となる。また、この構成をさらに発展させ、赤色蛍光体を含有させることで演色性を改善したものも実現されている。
特開2004−111882号公報
ところで、これらの白色発光ダイオードは、LEDチップと粉体である蛍光体の2種類の材料が用いられるため、製造には高精度の実装工程が不可欠となる。しかし、実装工程における蛍光体の塗布量、分散性等にばらつきが生じやすく、量産時の色合いの制御が困難であり、色合いに関する歩留まりが著しく低くなる。また、白色発光ダイオードの出力、周辺温度、チップ温度等が変化すると、LEDチップと蛍光体の温度特性が異なることから、互いの発光強度比に変化が生じ、色合いが大きく変化することも大きな問題となっている。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、量産時における色合いの制御が的確に行うことができ、出力、温度等が変化しても色合いの変化を抑制することのできる発光素子を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明では、
単結晶基板の上に、少なくとも第1のn型半導体層、活性層、p型半導体層及び第2のn型半導体層を前記単結晶基板側からこの順で有し、
前記単結晶基板は、第1のドナー性不純物及び第1のアクセプタ性不純物が添加され前記活性層から放出される光により励起されると蛍光を生じる第1蛍光領域を含み、
前記第2のn型半導体層は、第2のドナー性不純物及び第2のアクセプタ性不純物が添加され前記活性層から放出される光により励起されると蛍光を生じる第2蛍光領域を含む発光素子が提供される。
この発光素子によれば、第1のn型半導体層、活性層及びp型半導体層から構成される半導体ダブルヘテロ構造を用いている。そして、p型半導体層の上に第2のドナー性不純物及び第2のアクセプタ性不純物が添加された第2のn型半導体が配置され、第2のn型半導体では、活性層で生じた光の一部をドナーアクセプタ対遷移により他の波長の光に変換させる。また、半導体ダブルヘテロ構造を成長させる単結晶基板に第1のドナー性不純物及び第1のアクセプタ性不純物が添加され、単結晶基板では、活性層で生じた光の一部をドナーアクセプタ対遷移により他の波長の光に変換させる。すなわち、第2のn型半導体及び単結晶基板は、従来の蛍光体としての役割を持ち、従来のように発光素子と別個に蛍光体を実装することなく、発光素子単独で白色光を作ることが可能となる。また、半導体材料によって全ての可視光が生成され、各半導体材料は蛍光体と比べれば温度特性が類似していることから、出力、温度等が変化しても色合いの変化が抑制される。
また、上記発光素子において、
前記第2のn型半導体層における前記第2のドナー性不純物のイオン化エネルギーが100meV以下であり、
前記第2のn型半導体層における前記第2のアクセプタ性不純物のイオン化エネルギーが200meV以上であり、
前記第2のドナー性不純物の濃度が前記第2のアクセプタ性不純物の濃度よりも高いことが好ましい。
また、上記発光素子において、
前記活性層から放出される光のピーク波長が370nmから420nmの範囲にあり、
前記単結晶基板の前記第1蛍光領域にて生じる蛍光のピーク波長が、550nmから650nmの範囲にあり、
前記第2のn型半導体層の前記第2蛍光領域にて生じる蛍光のピーク波長が、450nmから550nmの範囲にあることが好ましい。
また、前記目的を達成するため、本発明では、
単結晶基板の上に、少なくとも第1のn型半導体層、活性層、p型半導体層及び第2のn型半導体層を前記単結晶基板側からこの順で有し、
前記単結晶基板は、可視光を透過する材料により構成され、
前記第2のn型半導体層は、ドナー性不純物及びアクセプタ性不純物が添加され前記活性層から放出される光により励起されると蛍光を生じる蛍光領域を含む発光素子が提供される。
この発光素子によれば、第1のn型半導体層、活性層及びp型半導体層から構成される半導体ダブルヘテロ構造を用いている。そして、p型半導体層の上部にドナー性不純物及びアクセプタ性不純物が添加された第2のn型半導体が配置され、第2のn型半導体では、活性層で生じた光の一部をドナーアクセプタ対遷移により他の波長の光に変換させる。すなわち、第2のn型半導体は、従来の蛍光体としての役割を持ち、従来のように発光素子と別個に蛍光体を実装することなく、発光素子単独で白色光を作ることが可能となる。また、半導体材料によって全ての可視光が生成され、各半導体材料は蛍光体と比べれば温度特性が類似していることから、出力、温度等が変化しても色合いの変化が抑制される。
また、上記発光素子において、
前記第2のn型半導体層における前記ドナー性不純物のイオン化エネルギーが100meV以下であり、
前記第2のn型半導体層における前記アクセプタ性不純物のイオン化エネルギーが200meV以上であり、
前記ドナー性不純物の濃度が前記アクセプタ性不純物の濃度よりも高いことが好ましい。
また、上記発光素子において、
前記活性層から放出される光のピーク波長が430nmから490nmの範囲にあり、
前記第2のn型半導体層の前記蛍光領域にて生じる蛍光のピーク波長が、550nmから600nmの範囲にあることが好ましい。
本発明によれば、量産時における色合いの制御が的確に行うことができ、出力、温度等が変化しても色合いの変化を抑制することができる。
図1は、本発明の第1の実施形態を示す白色LEDチップの概略模式断面図である。
図1に示すように、白色LEDチップ100は、単結晶基板としてのSiC基板101上に、バッファ層102、第1のn型半導体層としてのnコンタクト層103、多重量子井戸活性層104、電子ブロック層105、p型半導体層としてのp接続層106、pトンネル接合層107、nトンネル接合層108、第2のn型半導体層としての蛍光コンタクト層109がこの順で連続的に積層されている。
SiC基板110は、例えば厚さが350μmであり、6層ごとに周期的な構造をとる6H型のSiC結晶によって形成され、ドナー不純物として窒素(N)を含むとともに、アクセプタ不純物としてホウ素(B)を含んでいる。6H型SiC結晶における窒素のイオン化はエネルギーは155meVであり、ホウ素のイオン化エネルギーは720meVである。SiC基板101の製造方法は任意であるが、例えば昇華法、化学気相成長法によってSiC結晶を成長させて製造することができる。このとき、結晶成長中の雰囲気における窒素ガス(N)の分圧を適度に調整することにより、SiC基板101における窒素濃度を任意に設定することができる。一方、ホウ素単体またはホウ素化合物を原料に対して適量混合させることにより、SiC基板110におけるホウ素濃度を任意に設定することができる。SiC基板101には、ホウ素が例えば1×1019cm−3、窒素が例えば2×1019cm−3の濃度で添加されている。SiC基板101は、多重量子井戸活性層104から放出される光により励起されるとドナーとアクセプタの再結合により蛍光を生じる。本実施形態においては、SiC基板101の全体の領域にて蛍光が生じる。
バッファ層102は、SiC基板101上に形成され、AlGaNで構成されている。nコンタクト層103は、バッファ層102上に形成され、n−GaNで構成されている。多重量子井戸活性層104は、nコンタクト層103上に形成され、GalnN/GaNで構成され、電子及び正孔の注入によりピーク波長が385nmの近紫外光を発する。電子ブロック層105は、多重量子井戸活性層104上に形成され、p―AIGaNで構成されている。p接続層106は、電子ブロック層105上に形成され、p−GaNで構成されている。
pトンネル接合層107は、p接続層106上に形成され、p−GaNで構成されている。また、nトンネル接合層108は、pトンネル接合層107上に形成され、n−GaInNで構成されている。pトンネル接合層107には、アクセプタ性不純物としてのMgが1019cm−3以上の濃度で包含され、キャリア濃度の高いp型半導体とされている。nトンネル接合層108には、ドナー性不純物としてのSiが1019cm−3以上の濃度で包含され、キャリア濃度の高いn型半導体とされている。これにより、pトンネル接合層107とnトンネル接合層108では、わずかな逆バイアス電圧を印加することにより、容易にトンネル電流が流れるようになっている。
蛍光コンタクト層109は、nトンネル接合層108上に形成され、井戸層をなすGaInNとバリア層をなすGaInNとからなる多重量子井戸構造を有している。蛍光コンタクト層109は、例えば、膜厚3nmの井戸層及び膜厚6nmのバリア層を10ペア積層することにより構成される。具体的に、蛍光コンタクト層109は、n−Ga1−xInN/Ga1−yInN(0<x<y<1)の組成式で表現される。蛍光コンタクト層109には、全体にドナー性不純物としてのSiが例えば2×1019cm−3の濃度で添加されている。また、蛍光コンタクト層109のGa1−xInN井戸層には、Siに加えてアクセプタ性不純物としてのZnが例えば1×1019cm−3の濃度で添加されている。ここで、GaInNにおけるSi及びZnのイオン化はエネルギーは、GaとInの比率によって変化する。GaInNにおけるSiのイオン化エネルギーは、例えば、10〜30meVであり、Znのイオン化エネルギーは、例えば、200〜300meVである。このように構成された蛍光コンタクト層109では、多重量子井戸活性層104の近紫外光によりバンド間で励起されるので、ドナー及びアクセプタの再結合による発光が高効率となる。本実施形態においては、SiC基板101の全体領域を第1蛍光領域とすると、蛍光コンタクト層109の井戸層が、多重量子井戸活性層104から放出される光により励起されると蛍光を生じる第2蛍光領域をなしている。
このように、本実施形態においては、バッファ層102から蛍光コンタクト層109まで、全て窒化物半導体で構成されている。白色LEDチップ100の製造にあたっては、近接昇華法によってエピタキシャル成長させつつ、各層に対応する不純物を適量ドープさせることにより、バッファ層102、nコンタクト層103、多重量子井戸活性層104、電子ブロック層105、p接続層106、pトンネル接合層107、nトンネル接合層108及び蛍光コンタクト層109が順次積層される。
アノード電極110は、蛍光コンタクト層109上に形成され、仕事関数が比較的低く、高反射率を有している。具体的に、アノード電極110は、蛍光コンタクト層109上に形成されたAg層と、Ag層上に形成されたTi層と、Ti層上に形成されたAu層と、を有している。
カソード電極111は、蛍光コンタクト層109からnコンタクト層103が露出するまでエッチングされた表面に形成され、仕事関数が比較的低く、高反射率を有している。本実施形態においては、カソード電極111はアノード電極110と同様の構成であり、nコンタクト層103上に形成されたAg層と、Ag層上に形成されたTi層と、Ti層上に形成されたAu層と、を有している。
Ag/Ti/Auの構成をとるアノード電極110及びカソード電極111は、例えば、電極を構成する金属を順に蒸着することにより形成される。尚、湿式の手法によってアノード電極110及びカソード電極111を積層することも可能である。尚、アノード電極110及びカソード電極111は、高反射率を有していれば他の金属により構成することも可能である。
以上のように構成された白色LEDチップ100は、アノード電極110とカソード電極111に対して電圧を印加すると、逆バイアス接合となるpトンネル接合層107とnトンネル接合層108との間でトンネル電流が流れ、pトンネル接合層107から多重量子井戸活性層104へ向かって正孔が注入される。同時に、nコンタクト層103からは電子が注入され、多重量子井戸活性層104において、電子及び正孔の再結合により近紫外光が放出される。
多重量子井戸活性層104から放出された近紫外光は、蛍光コンタクト層109へ向かう成分と、SiC基板101へ向かう成分とを有する。本実施形態においては、近紫外光のうち、蛍光コンタクト層109へ向かう成分とSiC基板101へ向かう成分とはほぼ半分ずつである。そして、蛍光コンタクト層109へ入射した近紫外光は、蛍光コンタクト層109に吸収されて、蛍光コンタクト層109から青から緑にかけての広いスペクトルを持つ光を放出する。蛍光コンタクト層109から放出された青緑光は、アノード電極110へ向かう成分と、SiC基板101へ向かう成分とを有する。本実施形態においては、青緑光のうち、アノード電極110へ向かう成分とSiC基板101へ向かう成分とはほぼ半分ずつである。青緑光のうちアノード電極110へ入射した光は、アノード電極110で反射されてSiC基板101へ向かうことから、蛍光コンタクト層109から放出された青緑光のほぼ全てが、SiC基板101へ入射する。SiC基板101へ入射した青緑光は、SiC基板101を透過して素子外部へ放出される。
一方、多重量子井戸活性層104で生成された近紫外光のうち、SiC基板101へ向かった光は、SiC基板101の内部で吸収されて黄橙光に変換されてから素子外部へ放出される。これにより、素子外部へは、青緑光と黄橙光の混合された光が放出され、演色性の優れた白色光が取り出される。この結果、従来のように蛍光体等を用いることなく、実装する前の素子単体の状態で演色性の優れた白色光を得ることができる。従って、量産時における色合いの制御が的確に行うことができる。また、同種あるいは類似の半導体材料によって、全ての可視光が生成されるので、出力、温度等が変化しても色合いの変化を抑制することができる。
図2は、第1の実施形態の層構成を有する白色LEDチップの発光スペクトルの一例を示す。図2においては、蛍光コンタクト層109の発光スペクトルと、SiC基板101の発光スペクトルとを別個に示している。この白色LEDチップにおいては、蛍光コンタクト層109の組成を、Ga0.9In0.1N/Ga0.98In0.02Nとし、10の量子井戸を構成した。また、多重量子井戸活性層104については、5つの量子井戸とし、井戸層の組成をGa0.9In0.1Nとするとともに、障壁層の組成をGaNとした。
図2に示すように、この白色LEDチップでは、蛍光コンタクト層109またはSiC基板101のピーク波長における発光強度を基準とした半値幅で、青色領域から赤色領域におよぶ広いスペクトルが得られていることがわかる。具体的には、半値幅でおよそ450nmから650nmにおよぶスペクトルが得られている。このように、この白色LEDチップで得られる白色光は、蛍光コンタクト層109での発光スペクトルと、SiC基板101での発光スペクトルとを重ね合わせた発光スペクトルとなることから、可視光のほぼ全てをカバーした演色性に優れたものとなっている。
尚、多重量子井戸活性層104から放出される光のピーク波長が370nmから420nmの範囲にあり、SiC基板101の蛍光領域にて生じる蛍光のピーク波長が550nmから650nmの範囲にあり、蛍光コンタクト層109の蛍光領域にて生じる蛍光のピーク波長が450nmから550nmの範囲にあると、可視光のほぼ全てをカバーした白色光を得ることができる。
また、第1の実施形態においては、多重量子井戸活性層104が、ピーク波長が385nmの近紫外光を発するものを示したが、ピーク波長はこれに限定されるものではない。ただし、SiC基板101及び蛍光コンタクト層109はその吸収端の波長以下の波長で励起することで高効率で発光することから、多重量子井戸活性層104から発せられる光のピーク波長をSiC基板101及び蛍光コンタクト層109の吸収端の波長以下とすることが好ましい。
また、第1の実施形態では、アノード電極110の反射率を高くして、SiC基板101の裏面(多重量子井戸発光層104等が形成される面と反対側の面)から主として光を取り出す構成としたが、例えば、SiC基板101の裏面に高反射率の膜を形成し、アノード電極110を透明電極として、蛍光コンタクト層109から光を取り出すようにしてもよい。
また、第1の実施形態の白色LEDチップ100において、SiC基板101とバッファ層102の間にSiC基板101及び蛍光コンタクト層109と異なる波長で蛍光を発するSiC層を設けてもよい。また、バッファ層102、pトンネル接合層107及びnトンネル接合層108の組成や、これらを設けるか否かは任意であり、単結晶基板であるSiC基板101の上に少なくとも第1のn型半導体層、活性層、p型半導体層及び第2のn型半導体層をSiC基板101側からこの順で有するものであれば、白色光を得ることができる。
図3は、本発明の第2の実施形態を示す白色LEDチップの概略模式断面図である。
図3に示すように、白色LEDチップ200は、単結晶基板としてのサファイア基板201上に、バッファ層102、第1のn型半導体層としてのnコンタクト層103、多重量子井戸活性層204、電子ブロック層105、p型半導体層としてのp接続層106、pトンネル接合層107、nトンネル接合層108、第2のn型半導体層としての蛍光コンタクト層109がこの順で連続的に積層されている。本実施形態においては、単結晶基板としてサファイア基板201を用いるとともに、多重量子井戸活性層204が青色領域にピーク波長を持つ光を発することを除いては、第1の実施形態と同様の構成である。本実施形態においては、多重量子井戸活性層204は、電子及び正孔の注入によりピーク波長が450nmの青色光を発する。
以上のように構成された白色LEDチップ100は、アノード電極110とカソード電極111に対して電圧を印加すると、逆バイアス接合となるpトンネル接合層107とnトンネル接合層108との間でトンネル電流が流れ、pトンネル接合層107から多重量子井戸活性層204へ向かって正孔が注入される。同時に、nコンタクト層103からは電子が注入され、多重量子井戸活性層204において、電子及び正孔の再結合により青色光が放出される。
多重量子井戸活性層204から放出された青色光は、蛍光コンタクト層109へ向かう成分と、サファイア基板201へ向かう成分とを有する。本実施形態においては、青色光のうち、蛍光コンタクト層109へ向かう成分とサファイア基板201へ向かう成分とはほぼ半分ずつである。そして、蛍光コンタクト層109へ入射した青色光は、蛍光コンタクト層109に吸収されて、蛍光コンタクト層109から黄色付近の広いスペクトルを持つ光を放出する。蛍光コンタクト層109から放出された黄色光は、アノード電極110へ向かう成分と、サファイア基板201へ向かう成分とを有する。本実施形態においては、黄色光のうち、アノード電極110へ向かう成分とサファイア基板201へ向かう成分とはほぼ半分ずつである。黄色光のうちアノード電極110へ入射した光は、アノード電極110で反射されてサファイア基板201へ向かうことから、蛍光コンタクト層109から放出された黄色光のほぼ全てが、サファイア基板201へ入射する。サファイア基板201へ入射した黄色光は、サファイア基板201を透過して素子外部へ放出される。
一方、多重量子井戸活性層204で生成された青色光のうち、サファイア基板201へ向かった光は、そのままサファイア基板201を透過して素子外部へ放出される。これにより、素子外部へは、青色光と黄色光の混合された光が放出され、白色光が取り出される。従って、従来のように蛍光体等を用いることなく、実装する前の素子単体の状態で白色光を得ることができる。
図4は、第2の実施形態の層構成を有する白色LEDチップの発光スペクトルの一例を示す。図4においては、蛍光コンタクト層109の発光スペクトルと、多重量子井戸活性層204の発光スペクトルとを別個に示している。この白色LEDチップにおいては、蛍光コンタクト層109の組成を、Ga0.82In0.18N/Ga0.95In0.05Nとし、10の量子井戸を構成した。また、多重量子井戸活性層204については、5つの量子井戸とし、井戸層の組成をGa0.9In0.1Nとするとともに、障壁層の組成をGaNとした。
図4に示すように、この白色LEDチップでは、青色領域及び黄色領域にピーク波長を有するスペクトルが得られていることがわかる。尚、多重量子井戸活性層204から放出される光のピーク波長が430nmから490nmの範囲にあり、蛍光コンタクト層109の蛍光領域にて生じる蛍光のピーク波長が550nmから600nmの範囲にあれば、この白色LEDチップ100と同様の白色光を得ることができる。
尚、第2の実施形態においては、多重量子井戸活性層204のピーク波長が450nmであるものを示したが、ピーク波長はこれに限定されるものではない。ただし、蛍光コンタクト層109はその吸収端の波長以下の波長で励起することで高効率で発光することから、多重量子井戸活性層204から発せられる光のピーク波長を蛍光コンタクト層109の吸収端の波長以下とすることが好ましい。
また、第2の実施形態では、アノード電極110の反射率を高くして、サファイア基板201の裏面(多重量子井戸発光層204等が形成される面と反対側の面)から主として光を取り出す構成としたが、例えば、サファイア基板201の裏面に高反射率の膜を形成し、アノード電極110を透明電極として、蛍光コンタクト層109から光を取り出すようにしてもよい。
また、バッファ層102、pトンネル接合層107及びnトンネル接合層108の組成や、これらを設けるか否かは任意であり、単結晶基板であるサファイア基板201の上に少なくとも第1のn型半導体層、活性層、p型半導体層及び第2のn型半導体層をこの順に有するものであれば、白色光を得ることができる。
また、第1及び第2の実施形態においては、SiC基板101に、ドナー性不純物としてNを、アクセプタ性不純物としてBを用いたが、ドナー性不純物及びアクセプタ性不純物として他の元素を用いてもよい。ドナー性不純物のイオン化エネルギーがアクセプタ性不純物のイオン化エネルギーよりも小さい場合は、室温においてドナーがある程度イオン化するため、ドナー電子とアクセプタ正孔が過不足なく再結合できるように、ドナー濃度をアクセプタ濃度よりも高くなるようにすることが好ましい。
また、第1及び第2の実施形態では、蛍光コンタクト層109に、ドナー性不純物としてSiを、アクセプタ性不純物としてZnを用いたが、ドナー性不純物及びアクセプタ性不純物として他の元素を用いてもよい。例えば、ドナー性不純物としてGe、Te等を用いることができ、アクセプタ性不純物としてCd、C等を用いることができる。このように他の元素を用いる場合であっても、第1の実施形態と同様に、イオン化エネルギーが100meV以下の浅いドナーと、イオン化エネルギーが200meV以上の深いアクセプタの組合せが好ましい。
このようなドナーとアクセプタの組合せが好ましい理由は、光励起によって自由電子、自由正孔を同時に生成しないことが、高効率発光には必要だからである。自由電子と自由正孔は、自由に空間を移動できるキャリアで、結晶中に欠陥があると、両者がそこに到達して、非発光再結合によって消滅するとともに発熱する。結晶が極めて高品質化される場合を除いては、結晶中の欠陥における非発光再結合の成分を極力抑えることが必要となる。そして、第1及び第2の実施形態のようにアクセプタのみイオン化エネルギーを高めておくと、光励起されて生成されたキャリアのうち、正孔は非常に高速にアクセプタに捕獲される。このときの正孔は、アクセプタ準位に緩和したことになり、捕獲されると自由には動くことができないため非発光再結合は生じない。尚、電子は自由のままであるが、非発光再結合のためには電子の対となる正孔もないと成り立たない。一方、ドナー及びアクセプタの両方に大きなイオン化エネルギーを持たせても第1及び第2の実施形態のような高効率光励起発光は可能であるが、第1及び第2の実施形態においてはトンネル接合層に対するコンタクト層の機能が別途必要である。従って、アクセプタのみならず、ドナーもイオン化エネルギーを大きくすると、自由キャリアが全くない高抵抗半導体となってしまい、電流輸送ができなくなるという不具合が生じる。この結果、ドナーとアクセプタの一方だけイオン化エネルギーを大きくする方法が最も望ましい。
また、第1及び第2の実施形態では、蛍光コンタクト層109として2種類の組成の異なる井戸層と障壁層により構成されたものを用いたが、蛍光コンタクト層109を単一層の構成としたり、3種類以上の異なる組成の層を混在させた構成であってもよい。また、蛍光コンタクト層109として、実質的にトンネル接合を形成できる窒化物以外の半導体にドナー性不純物及びアクセプタ性不純物を同時に添加したものであってもよい。すなわち、第2のn型半導体層として例えばZnO、ITO(Indium Tin Oxide)等を用い、これにドナー性不純物及びアクセプタ性不純物を添加してもよい。
本発明の第1の実施形態を示す白色発光ダイオードの構造を示す模式図である。 第1の実施形態の層構成を有する白色LEDチップの発光スペクトルの一例を示す。 本発明の第2の実施形態を示す白色発光ダイオードの構造を示す模式図である。 第2の実施形態の層構成を有する白色LEDチップの発光スペクトルの一例を示す。 従来の白色発光ダイオードの構造を示す模式図である。
符号の説明
100 白色LEDチップ
101 SiC基板
102 バッファ層
103 nコンタクト層
104 多重量子井戸活性層
105 電子ブロック層
106 p接続層
107 pトンネル接合層
108 nトンネル接合層
109 蛍光コンタクト層
110 アノード電極
111 カソード電極
200 白色LEDチップ
201 サファイア基板
204 多重量子井戸活性層

Claims (4)

  1. 第1のn型半導体層、活性層、p型半導体層及び第2のn型半導体層をこの順で有し、
    前記第2のn型半導体層は、ドナー性不純物及びアクセプタ性不純物が添加され前記活性層から放出される光により励起されると蛍光を生じる蛍光領域を含み、
    前記第2のn型半導体層における前記ドナー性不純物のイオン化エネルギーが100meV以下であり、
    前記第2のn型半導体層における前記アクセプタ性不純物のイオン化エネルギーが200meV以上であり、
    前記ドナー性不純物の濃度が前記アクセプタ性不純物の濃度よりも高く、
    前記第2のn型半導体層は、前記半導体発光素子の電流輸送を担う部位に設けられ、
    前記第1のn型半導体層、前記活性層、前記p型半導体層及び前記第2のn型半導体層は、GaN系半導体からなり、
    前記第2のn型半導体層は、In組成を含む層を含んだ多重量子井戸構造を有し、
    前記ドナー性不純物は、Siであり、
    前記アクセプタ性不純物は、Znである半導体発光素子。
  2. 前記第2のn型半導体層は、Ga1−xInN/Ga1−yInN(0<x<y<1)の組成式で表現される請求項1に記載の半導体発光素子。
  3. 前記第1のn型半導体層、前記活性層、前記p型半導体層及び前記第2のn型半導体層がこの順で形成される単結晶基板を有し、
    前記単結晶基板は、ドナー性不純物及びアクセプタ性不純物が添加され、前記活性層から放出される光により励起されると、前記第2のn型半導体層と異なるピーク波長の蛍光を生じる蛍光領域を含む請求項1または2に記載の半導体発光素子。
  4. 前記第1のn型半導体層、前記活性層、前記p型半導体層及び前記第2のn型半導体層がこの順で形成される単結晶基板を有し、
    前記単結晶基板は、可視光を透過する材料により構成される請求項1または2に記載の半導体発光素子。
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