JP4770048B2 - カードの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、不可視情報を担持した磁気カード、ICカード、光カード等のカード、および当該カードの情報を反復記録して可視表示するカードの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、情報処理の効率化やセキュリティーの観点から、データの記録、処理を行う半導体素子(ICチップ)を搭載したICカードが普及しつつある。
このようなICカードは、例えば、通行券、プリペイドカード、乗車券、入場券、IDカード、遊戯カード、ポイントカード、銀行カード、クレジットカード、電話カード、搭乗券等として使用される。
【0003】
ICカードは、カードの外部端子と外部処理装置の端子とを接続してデータの送受信を行う接触方式のICカード(接触型ICカード)と、電磁波でデータの送受信を行うアンテナコイルとデータ処理のための半導体素子を内蔵し、外部処理装置との間の読み書きをいわゆる無線方式で実現でき、IC回路の駆動電力が電磁誘導で供給され、バッテリを内蔵しない非接触方式のICカード(非接触型ICカード)とが開発されている。
【0004】
上記のうち非接触型ICカードは、一般に樹脂基板と、樹脂基板上に設けられた金属製アンテナコイルと、アンテナコイルに接続されたICチップとを備えており、当該ICチップを搭載した樹脂基板上には、保護シートが積層されて形成されている。
【0005】
一方、磁気カード、非接触型ICカード、接触型ICカード、光カード等に記録されている情報を担持したカードにおいて、そのデータ内容の確認をするための表示領域が設けてある、いわゆるリライトカードが知られている。
【0006】
リライトカードは、例えば、カードに記録されているデータ内容の表示や消去を繰り返し行えるリライト層が、カード基板の表面に埋め込まれて形成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の非接触型ICカードの製造方法において、ICチップを搭載した樹脂基板と保護シートとをプレスラミネートする際、ICチップ周辺部の隙間に存在する空気がカード外部に放出されずに内部に残ることがあり、ラミネート後のカード表面に凸部が現れてしまい、動作自体は問題無くても外観上の問題から、不良になってしまうという問題があった。
【0008】
樹脂基板と保護シートの接着面の隙間に残存する空気は、ICチップの厚み分の段差に起因しており、近年、ICチップの高機能化によりICチップが大きくかつ厚くなる傾向にあるため、上記の問題が顕在化してくる。
【0009】
上記の問題を解決する方法として、中間のシートに穴を空けてICチップの厚みを吸収させる方法も考えられるが、ICチップよりも穴の大きさの方が大きくなるために、ICチップと穴の隙間に残存する空気により凸部が現れてしまうため、やはり上記と同様の問題が起きてしまっていた。
【0010】
上記の問題は、リライトカード等についても、上述したリライト層をカード基板の表面に埋め込む際に、カード基板とリライト層の段差付近に残る空気が残存することによる外観不良の問題が考えられる。
【0011】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、従って、本発明は、カード内部に空気が残存することを防止して、カード表面の外観を向上させることが可能なカードの製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のカードの製造方法は、真空状態に耐えられるプレス室、前記プレス室内に配置された可動プレス板および固定プレス板、前記プレス室に接続された真空ポンプを有するプレス装置を用いるカードの製造方法であって、カード用基板上にカード用電子回路部品を搭載する工程と、少なくとも前記基板における前記電子回路部品の搭載面上に、接着層を有する保護層を、前記接着層が前記搭載面側となる向きで重ねて、前記保護層の4隅と前記基板の4隅とを融着させることにより、前記保護層が前記基板に対して減圧によりずれないように、かつ、仮留めされた4隅の間から空気が抜けるように、前記保護層の4隅と前記基板の4隅とを直接に仮留めする仮貼り工程と、前記保護層が4隅において直接に仮貼りされた基板を、前記固定プレス板に載置し、前記可動プレス板を降下させることにより、前記保護層および前記基板が減圧により飛散しないように前記プレス室に固定する工程と、前記真空ポンプにより前記プレス室内を排気することにより、前記保護層が仮貼りされた前記基板を、前記固定する工程により固定された状態のままで、所定の圧力に減圧する工程と、前記減圧する工程により減圧された雰囲気下で前記固定プレス板および前記可動プレス板に挟まれた前記保護層および前記基板の圧力を増加させることにより、前記保護層および前記基板をプレスする工程とを有し、前記保護層と前記基板とを仮貼りした後の前記固定する工程、前記減圧する工程、および前記プレスする工程が、前記保護層および前記基板を前記プレス装置に固定した状態において実施される一連の工程として実施される。
【0014】
好適には、前記仮貼り工程では、超音波ウェルダーにより、前記保護層の4隅と前記基板の4隅とを融着させる。
好適には、前記仮貼り工程では、前記基板の両面に、接着層を有する保護層を仮貼りする。
好適には、前記仮貼り工程では、可視情報の書き込みおよび消去を繰り返し行うことが可能な反復表示層を、前記基板の表面の一部に部分的に積層する。
【0015】
上記の本発明のカードの製造方法によれば、所定の圧力に減圧した雰囲気下で、カード用基板および保護層をプレスすることから、カード用基板上に搭載された電子回路部品の厚み分の段差に起因してできる、カード用基板と保護層の接着面の隙間に存在する空気がカード外部に放出され、プレス後のカード内部に空気が残存することを防止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のカードの製造方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
第1実施形態
本実施形態では、本発明のカードの製造方法を非接触型ICカードに適用する場合を例に説明する。
図1は、本実施形態に係るカードの製造方法により製造する非接触型ICカードの構成を示すものである。
【0020】
図1に示すように、非接触型ICカード1は、センターシート2上に設けられたアンテナコイル20と、アンテナコイル20に接続されたICチップ11とを備えており、当該センターシート2とコアシート5,6とを接着シート3,4を介して、積層させた構造となっている。
非接触型ICカード1の大きさは、非接触型ICカードの国際規格を満足するものであればよく、従って、例えば、縦が54mm、横が85.6mm、厚さは0.76mm±10%の範囲内であればよい。
【0021】
センターシート2およびコアシート5,6は、例えばアクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、アクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)、非晶質ポリエステル樹脂(例えば、イーストマンコダック社製、「PET−G」など)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)等のプラスチック材料により構成されている。
なお、図示はしないが、コアシート5,6のカード外側になる面には、印刷が施されていてもよい。
【0022】
接着シート3,4は、センターシート2とコアシート5,6との接着を良好に行うことができる材料により構成され、例えば、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等を主成分としたシートにより構成されている。
【0023】
コアシート5,6の外側にさらに不図示のオーバーシートを積層していてもよい。例えばオーバーシートとして、非晶質ポリエステル樹脂(例えば、イーストマンコダック社製、「PET−G」など)、ポリ塩化ビニル(PVC)等を用いることができる。また、非接触型ICカードに、データを磁気記録する磁気カードとしての機能も付与する場合には、オーバーシートには磁気テープが転写されていてもよい。
【0024】
なお、センターシート2、接着シート3,4、コアシート5,6は、全て融着性のある同一のシート、例えばポリ塩化ビニルや、非晶質ポリエステル樹脂(例えば、イーストマンコダック社製、「PET−G」など)等を使用してもよい。
【0025】
図2にセンターシート2の平面図を示す。
センターシート2の表面上には、配線21とブリッジ線22からなるループ状のアンテナコイル20が形成されており、アンテナコイル20に接続してICチップ11が装着され、アンテナコイル20の交差部分には、交差する配線21とブリッジ線22間を絶縁する絶縁層23が形成されている。
【0026】
図示はしないが、ICチップの下面(回路形成面)には接続端子が設けられており、センターシート2に形成されたアンテナコイル20の接続端子と異方性導電フィルムを介して、ICチップ11とアンテナコイル20は電気的に接続されている。
【0027】
アンテナコイル20は、外部装置と電磁結合又は電磁誘導により、ICチップ11に記憶される情報を外部装置と非接触で受発信する。
ICチップ11には、信号処理を行うCPUやメモリ等が内蔵されており、その厚さは、例えば300μm程度である。
また、ICチップ11には、整流回路が内蔵されており、アンテナコイル20に励起された交流電源を整流してICチップ11の電源とする。このため、電池を別途内蔵する必要はない。
【0028】
ICチップ11は、半導体素子等を用いたIC回路とその他の電子部品を搭載した基板を、樹脂モールドして構成されるICモジュールであってもよい。以下、ICチップ11には、ICモジュールの意も含むものとする。
【0029】
図3は本実施形態に係る非接触型ICカードの製造方法において、図1に示した各シート2〜6をプレスラミネートする際に使用するプレス装置の概略構成図である。
図3に示すプレス装置は、大別して、プレス部100と、排気部110と、制御部120とから構成されている。
【0030】
プレス部100は、真空状態に耐えられるように例えば高強度の鋼またはステンレスで製作されたプレス室101と、その開口部に取り付けられた蓋101aと、プレス室101の上部外側に適当な手段にて取り付け固定されたプレスシリンダー102と、プレス室101の周壁を気密に貫通するピストンロッド103と、ピストンロッド103の先端部に取り付け固定された可動プレス板104と、架台105上に設置された固定プレス板106とから構成されている。
【0031】
プレス室101の容積は、小さい方が排気する速度が大きくなりこの点で処理効率が上がるが、その反面、一回のプレスにより処理できるカードの枚数も少なくなり処理効率が落ちるため、処理効率との兼ね合いでプレス室101の容積を設計する。
なお、図示はしないが、従来のプレスラミネートに使用する装置と同様に、可動プレス板104および固定プレス板106には、ヒーターが内蔵されており、所定の温度に加熱可能となっている。
【0032】
排気部110は、プレス室101に接続された排気配管111と、当該排気配管111に接続された排気用弁112および真空ポンプ113を有し、当該真空ポンプ113および排気用弁112により排気配管111を通じてプレス室101の内部を減圧するための排気が行われる。
【0033】
制御部120は、プレスシリンダー102、排気用弁122に接続されている。
【0034】
制御部120は、例えば、プレス室101内に設置された不図示の圧力計を介して、当該圧力計によりプレス室101内の圧力が検出されると、この検出圧力が当該制御部120にフィードバックされ、当該制御部120において、予め設定された設定圧力とフィードバックされた検出圧力とを比較し、これらの差に応じて排気用弁112の開度を調節する。また、プレスシリンダー102とも接続されており、プレス制御を行う。
【0035】
上記のプレス装置によりプレスする場合には、まず、プレス室101の開口部の蓋101aを開いて、シート2〜6の積層体をプレス室101の内部に搬入して、固定プレス板106の上に載置する。
そして、プレス室101の蓋を閉じてプレス室101を密封した後、プレスシリンダー102により可動プレス板104を降下させて、固定プレス板106上に載置されたシート2〜6の積層体を圧力1kg/m2 程度で押圧して、当該積層体を固定する。
そして、シート2〜6の積層体を固定した状態のまま、プレス室101内を排気して例えば300Pa〜2000Pa程度にまで減圧し、所定の圧力でプレスすることによりカードを製造する。
【0036】
次に、上記のプレス装置を用いた本実施形態に係る非接触型ICカードの製造方法について、図4に示すフローチャートおよび図5〜図7に示す断面図を用いて説明する。なお、図5〜図7は、図1および図2におけるA−A’線における断面図に対応している。
【0037】
まず、ステップST1において、上述した材料から構成されるセンターシート2の表面に、例えば導電性金属として銀粒子または銀粉を含有したポリエステル樹脂をバインダー成分とする導電性ペーストを導電性インキとして使用し、スクリーン印刷によりICチップ搭載用の接続端子21a,21bとともに、図2に示す形状の配線21を形成する。
そして、後にブリッジ線を形成する部分に絶縁性インキをスクリーン印刷して、図2に示す絶縁層23を形成し、さらに、上述した導電性ペーストのスクリーン印刷により図2に示すブリッジ線22を形成して、ブリッジ線22と配線21とを接続し、当該ブリッジ線22と配線21とからなるアンテナコイル20を形成する(図5(a)参照)。
ここで、コイルの材料や、インダクタンス、巻き数等は、共振回路等の仕様に合わせて設定することができる。
【0038】
次に、ステップST2において、アンテナコイル20の端部の接続端子21a,21bに、異方性導電フィルム24を転写し、当該異方性導電フィルム24上にICチップ11の接続端子11a,11bが下面にくるように載置させ(図5(b)参照)、上方から熱により圧着して、ICチップ11をアンテナコイル20に接続して固着させ、ICチップ11とアンテナコイル20とを電気的に接続する(図5(c)参照)。
【0039】
異方性導電フィルム24は、例えば導電性微粒子を接着剤に分散配合したもので、フィルム自体は絶縁性であるが、フィルムを圧縮することにより導電性微粒子相互が接触して導電性が顕在化するものである。したがって、ICチップ11とアンテナコイル20の接続端子が対向するように異方性導電フィルム24を間に挟み圧力をかけることにより、接続端子相互の接続とICチップ11の接着を同時に行うことができる。また、接続端子21a,21b相互間、および接続端子11a,11b相互間は絶縁性を保つことができる。
【0040】
次に、ステップST3において、ICチップ11を搭載したセンターシート2の両面に、上述した材料および形状からなるコアシート5,6を、接着シート3,4を介して積層させ、仮貼りを行う(図6(d)参照)。
この仮貼りの工程においては、例えば、超音波ウェルダー等により積層したシートの4隅を融着させ積層したシートがずれない様に仮留めする。
なお、このとき微視的には、仮貼りしたシート2〜6の積層体内部、特にICチップ11の周囲のセンターシート2とコアシート5の接着面に、ICチップ11の厚み分の段差から生じる隙間が形成されており、カード内部に空気が残存している状態にある。
【0041】
ここで、センターシート2、接着シート3,4、コアシート5,6の材料および厚みは、ICチップ11の厚みに応じて任意に変化させることが可能であるが、ラミネート後に非接触型ICカードの国際規格を満足する必要があることから、厚さが0.76mm±10%の範囲内、すなわち、0.684mm〜0.836mmの範囲内にする必要がある。
なお、同一の材料であるとカード成形した際に反りが生じにくくなるので好ましい。
【0042】
また、コアシート5,6の外側に上述した材料からなるオーバーシートをさらに積層してもよく、この場合、オーバーシートに磁気ストライプを所定の位置に設けてもよい。
【0043】
そして、上記の仮貼りした上記のセンターシート2、接着シート3,4およびコアシート5,6(以下、仮貼りシートと呼ぶ)を図3に示したプレス装置により加工する。すなわち、まず、プレス室101の開口部の蓋101aを開いて、上記の仮貼りシート2〜6をプレス室101の内部に搬入して、例えば100℃に加熱された固定プレス板106上に載置する。
【0044】
次に、ステップST4において、プレス室101の蓋101aを閉じてプレス室101内を密封した後、プレスシリンダー102により、例えば100℃に加熱された可動プレス板104を降下させて、固定プレス板105上に載置された仮貼りシートを例えば1kg/cm2 程度押圧し、当該仮貼りシートを固定する。
なお、仮貼りシート2〜6の外側両面に、つや板を介してプレス板104,106により挟み込んでもよい。
【0045】
上記のように、固定するのは、後に真空状態にするために排気配管111からプレス室101内を排気するため、位置合わせして積層された仮貼りシート2〜6が飛散しないようにするためである。
【0046】
次に、ステップST5において、仮貼りシート2〜6をプレス固定した状態のままで、プレス室101内を排気して、例えば300Pa〜2000Pa程度にまで減圧する。
【0047】
次に、ステップST6において、仮貼りシート2〜6を、例えば10kg/cm2 程度の圧力で、10分間熱とともにプレスし、ラミネート加工する。
【0048】
次に、ステップST7において、ラミネート加工した非接触型ICカード基材を打ち抜き刃により、カードの仕上がり寸法、縦54mm×横85.6mmに打ち抜くことにより、図7(e)に示す非接触型ICカードを形成することができる。
その後の工程としては、上記の非接触型ICカードの通信特性検査等を行い、良品と判断されたICカードのみに、絵柄や顔写真その他個別に必要な表示事項等をサーマルヘッドプリンタによる昇華転写印刷、昇華転写印刷と熱溶融性インキの熱転写印刷との併用、あるいはオフセット印刷やシルク印刷などにより印刷することができる。
また、ICチップ11やアンテナコイル20が搭載される領域を避けて、エンボスを加工してもよい。
なお、上記のカードの印刷を、ラミネート前にコアシート等のカードの外側になる面に行ってもよい。
【0049】
上記の本実施形態に係る非接触型ICカードの製造方法によれば、所定の圧力に減圧した雰囲気下で、仮貼りシート2〜6をプレスすることから、アンテナシート2上に搭載されたICチップ11の厚み分の段差に起因して形成された、アンテナシート2とコアシート5の接着面の隙間に存在する空気がカード外部に放出され、カード内部に空気が残存することを防止して、カード表面の外観を向上させることができる。
【0050】
第2実施形態
本実施形態では、本発明のカードの製造方法をリライトカードに適用する場合を例に説明する。
図8は、本実施形態に係るカードの製造方法により製造するリライトカードの平面図の一例を示すものである。
【0051】
図8に示すリライトカードは、磁気カード、非接触型ICカード、接触型ICカード、光カード等に記録されている情報を担持したカードにおいて、そのデータ内容の確認をするための表示領域としてリライト層(反復表示層)200が埋め込まれているものである。
【0052】
図9に、図8のB−B’線における断面図を示す。
図9に示すように、リライトカードは、その断面構造において、可視情報の書き込みおよび消去を繰り返し行うことが可能なリライト層200が、プラスチック材料等からなるカード用基板300に埋め込まれて形成されている構造となっている。
【0053】
リライト層200は、熱、電界、磁界をかけることにより反復表示ができるものが知られている。
これらは従来公知であるため詳細は省略するが、例えば、特開平4−247985号公報に開示されているようなロイコ染料を利用し、熱により反復表示ができるものや、特開平5−294092号公報に開示されているような高分子マトリックス中に液晶を分散させた液晶高分子/高分子複合膜を有し、熱と電界により反復表示できるものや、特開平5−16556号公報に開示されているようなマイクロカプセル中の液体に磁性粉を浮遊させ、磁界により反復表示できるもの等を使用することができる。
【0054】
カード用基板300は、例えばアクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、アクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)、非晶質ポリエステル樹脂(例えば、イーストマンコダック社製、「PET−G」など)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)等のプラスチック材料、あるいはこれらの材料の積層体から構成されている。
なお、図示はしないが、カード用基板300のカード外側になる面には、印刷が施されていてもよい。
【0055】
次に、上記の本実施形態に係るリライトカードの製造方法について、図10を参照して説明する。本実施形態では、上記のリライト層200をカード用基板300に埋め込む際に、図3に示すプレス装置を使用して、カードを製造するものである。
【0056】
まず、カード用基板300の仮貼りの工程において、カード用基板300の最表面にリライト層200を積層させ、仮貼りを行う。
この仮貼りの工程においては、例えば、超音波ウェルダー等により積層したカード用基板300の4隅、およびリライト層200の少なくとも2隅を融着させ積層したシートがずれない様に仮留めする。
【0057】
そして、仮貼りしたリライト層200を有するカード用基板300を図3に示したプレス装置により加工する。以下、仮貼りしたリライト層200を有するカード用基板300を仮貼りカード用基板200,300と呼ぶ。
【0058】
すなわち、第1実施形態と同様に、つや板に仮貼りカード用基板200,300を挟み、100℃に加熱された固定プレス板106の上に載置して、固定プレス板106上に載置された仮貼りカード用基板200,300を例えば1kg/cm2 程度押圧し、当該仮貼りカード用基板200,300を固定する。
【0059】
そして、プレス室101内を300Pa〜2000Paの範囲内で減圧し、プレス板104,106により、温度100℃、圧力10Kg/cm2 で10分間プレスラミネートを行い、圧着開放後、シートを所定のサイズに打ち抜くことによって、図8および図9に示すリライトカードを作製することができる。
【0060】
本実施形態に係るリライトカードの製造方法によれば、所定の圧力に減圧した雰囲気下で、部分的にリライト層200が積層された仮貼りカード用基板200,300をプレスすることにより、カード用基板300上に積層されたリライト層200の厚み分の段差に起因してできる、カード用基板300とリライト層200との段差付近に存在する空気がカード外部に放出され、カード表面への凹凸の形成を防止して、カード表面の外観を向上させることができる。
【0061】
ここで、転写方式でカードに絵柄等を印刷する場合には、カード用基板300の仮貼りとともに最表面に転写絵柄を仮貼りし、リライト層200なしの状態で一端プレスして、出来上がった絵柄転写済みのシートにリライト層200を仮貼りし、再度、シート全体をプレスすることによりリライトカードを作製する。
【0062】
本発明のカードの製造方法は、上記の実施形態の説明に限定されない。
例えば、第1実施形態においては非接触型のICカードについて説明しているが、磁気記録、光記録、接触型ICカード等の機能も兼ね備えた複合型カードにも適用することもできる。
【0063】
また、第1実施形態において、アンテナコイル20の形成方法として、導電性インキを用いたスクリーン印刷により形成したが、これに限られるものでなく、例えば、銅箔やアルミ箔等の金属箔をセンターシート2にラミネートしたものをエッチングによってパターニングして行う方法や、例えばワイヤをコイル状に巻き付けたものをセンターシート2に貼付する方法、アンテナの形状に形成した金属箔を貼付する方法等の他の方法を用いることもできる。
【0064】
また、第2実施形態では、リライト層200を通常のプラスチックカードに適用してリライトカードを製造する方法について説明したが、これに限られるものでなく、非接触型ICカード、接触型ICカードあるいは磁気カード等に適用することもできる。
例えば、リライト付き非接触型ICカードを作製する場合には、第1実施形態におけるステップST4に示す仮貼り工程において、カード用基材の最表面、すなわち、図6に示すコアシート5上にリライト層200をも仮貼りし、ステップST4以降の工程を行えばよい。
【0065】
また、本発明のICカードとしては、矩形状の他、コイン状の媒体等が含まれ、種々の形状に適用可能である。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0066】
【実施例】
本実施例では、図1に示す非接触型ICカードにおいて、厚さが130μmのPETフィルムからなるセンターシート2上に、導電性インキのスクリーン印刷により銅のアンテナコイル20を形成し、当該アンテナコイル20上に異方性導電フィルムを介して3×2×0.15mm厚のICチップ11を重ねて、熱により圧着することによりICチップ11を搭載した。
【0067】
そして、上記のセンターシート2を挟み、ポリエステル樹脂を主体とする厚さが200μmの接着シート3,4を介して、PETフィルムからなる厚さが130μmのコアシート5,6を、図1に示す構成で仮貼りした。
【0068】
そして、第1実施形態で説明した方法により真空プレスラミネートを行った。
すなわち、まず、つや板に仮貼りしたシートを挟み、100℃に加熱された固定プレス板106の上に載置して、固定プレス板106上に載置された仮貼りシート2〜6を例えば1kg/cm2 程度押圧し、当該仮貼りシート2〜6を固定した。
【0069】
そして、プレス室101内を300Pa〜2000Paの範囲内で減圧し、プレス板104,106により、温度100℃、圧力10Kg/cm2 で10分間プレスラミネートを行い、圧着開放後、シートを所定のサイズに打ち抜くことによってICカードを作製した。
【0070】
上記の非接触型ICカードの外観を観察した結果、圧力300Pa〜2000Paの範囲においてプレスラミネートして製造されたカードには、カード内部に残存する空気による表面の凸部等はみられず、良好なカード表面を有していることが確認された。
【0071】
なお、圧力を300Pa以下に減圧して、プレスラミネートしても良好な表面を有するカードを製造することができるが、減圧するまでの時間がかかり、処理効率が低下することから、これらの処理効率を踏まえた上で、圧力を300Pa〜2000Paの範囲でプレスラミネートすることが好ましい。
【0072】
【発明の効果】
本発明のカードの製造方法によれば、カード内に空気が残存することを防止して、カード表面の外観を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係るカードの製造方法により製造する非接触型ICカードの構成図である。
【図2】図1に示すセンターシートの拡大平面図である。
【図3】本発明のカードの製造方法において、そのプレスラミネート工程に使用するプレス装置の概略構成図である。
【図4】本実施形態に係る非接触型ICカードの製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】本実施形態に係る非接触型ICカードの製造方法の製造工程を示す断面図であり、(a)はアンテナシートの形成工程まで、(b)はセンターシートへのICチップ搭載前工程まで、(c)はセンターシートへのICチップ搭載後工程までを示す。
【図6】図5の続きの工程を示す断面図であり、各カード基材の積層工程までを示す。
【図7】図6の続きの工程を示す断面図であり、プレスラミネート後の非接触型ICカードを示す。
【図8】本実施形態に係るカードの製造方法により製造するリライトカードの平面図である。
【図9】図8のB−B’線における断面図である。
【図10】本実施形態に係るリライトカードの製造方法の製造工程を示す断面図であり、(a)は仮貼りシートの形成工程まで、(b)はプレスラミネート工程までを示す。
【符号の説明】
1…非接触型ICカード、2…センターシート、3,4…接着シート、5,6…コアシート、11…ICチップ、11a,11b…接続端子、20…アンテナコイル、21…配線、21a,21b…接続端子、22…ブリッジ線、23…絶縁層、24…異方性導電フィルム、101…プレス室、102…プレスシリンダー、103…ピストンロッド、104…可動プレス板、105…架台、106…固定プレス板、110…排気部、111…排気配管、112…排気用弁、113…真空ポンプ、120…制御部、200…リライト層、300…カード用基板。
Claims (4)
- 真空状態に耐えられるプレス室、前記プレス室内に配置された可動プレス板および固定プレス板、前記プレス室に接続された真空ポンプを有するプレス装置を用いるカードの製造方法であって、
カード用基板上にカード用電子回路部品を搭載する工程と、
少なくとも前記基板における前記電子回路部品の搭載面上に、接着層を有する保護層を、前記接着層が前記搭載面側となる向きで重ねて、前記保護層の4隅と前記基板の4隅とを融着させることにより、前記保護層が前記基板に対して減圧によりずれないように、かつ、仮留めされた4隅の間から空気が抜けるように、前記保護層の4隅と前記基板の4隅とを直接に仮留めする仮貼り工程と、
前記保護層が4隅において直接に仮貼りされた基板を、前記固定プレス板に載置し、前記可動プレス板を降下させることにより、前記保護層および前記基板が減圧により飛散しないように前記プレス室に固定する工程と、
前記真空ポンプにより前記プレス室内を排気することにより、前記保護層が仮貼りされた前記基板を、前記固定する工程により固定された状態のままで、所定の圧力に減圧する工程と、
前記減圧する工程により減圧された雰囲気下で前記固定プレス板および前記可動プレス板に挟まれた前記保護層および前記基板の圧力を増加させることにより、前記保護層および前記基板をプレスする工程と
を有し、
前記保護層と前記基板とを仮貼りした後の前記固定する工程、前記減圧する工程、および前記プレスする工程が、前記保護層および前記基板を前記プレス装置に固定した状態において実施される一連の工程として実施される
カードの製造方法。 - 前記仮貼り工程では、
超音波ウェルダーにより、前記保護層の4隅と前記基板の4隅とを融着させる
請求項1記載のカードの製造方法。 - 前記仮貼り工程では、
前記基板の両面に、接着層を有する保護層を仮貼りする
請求項1または2記載のカードの製造方法。 - 前記仮貼り工程では、
可視情報の書き込みおよび消去を繰り返し行うことが可能な反復表示層を、前記基板の表面の一部に部分的に積層する
請求項1から3のいずれか一項記載のカードの製造方法。
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